JP2009233673A - 順送成形プレスシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 多工程成形を行なうプレスシステムにおいて、加工精度の向上、設備の汎用性の向上、生産性の向上を図ること。
【解決手段】 帯状のワーク1を送給し、該ワーク1に多数の工程の加工を順に施して成形品を得る順送成形プレスシステム100において、多数の工程のそれぞれを順に受けもつ多数台のプレス装置10をタンデムに配置し、各プレス装置10にワーク1を順に送給するワーク送給装置20を有し、各プレス装置10はワーク送給装置20が送給してきたワーク1に当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を施すもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は順送成形プレスシステムに関する。
従来、順送成形プレス装置として、特許文献1に記載の如く、例えば板厚が3〜5mmの厚板の帯状のワークをアンコイラとレベラーを用いたワーク送給装置によって送給し、該ワークに多数の工程の加工を順に施して成形品を得るものがある。従来の順送成形プレス装置では、1台のプレス装置内に、第1工程型、第2工程型・・・の如くの多数の工程型を並置して備えた順送型を配置し、例えば図9に示す如く、第1工程としてのピアス1、第2工程としてのピアス2、第3工程としてのトリム1、第4工程としてのトリム2、第5工程としての曲げ、第6工程としてのカットの各工程を連続して行ない、最終成形品を得るようになっている。尚、通常の順送成形プレス装置で行なわれる工程数は10〜20工程と多い。
また、例えば板厚が2mm以下の薄板のブランク材のワークに主として絞り成形を中心とする多工程成形を行なうときには、多数台のプレス装置をタンデムに配置し、それらのワークをトランスファ装置やロボットを用いて上流のプレス装置から下流のプレス装置に順に受け渡すこととしている。
特開平6-85446
(1)従来の順送成形プレス装置により、例えば板厚が3〜5mmの厚板の帯状のワークを多工程成形する場合には、以下の問題点がある。
ワークの投入時や成形終了時に、第1工程型や最終工程型だけにプレス反力が及び、上型を備えるスライドフレームに偏心荷重が作用する。これにより、スライドフレームは荷重がかかった側が持ち上げられて傾き、この傾きは下型と上型の位置ずれを生じさせて精度の高いプレス成形をできなくする。下型と上型を早期に磨耗させてそれらの金型寿命を著しく低下させる。そして、スライドフレームが傾くことにより、スライドフレームに設けたスライドガイドと、これを案内するようにコラムに設けた摺動部(スライドメタル)とが早期に磨耗して精度不良を引き起したり、スライドメタルに焼付きを生じてプレス装置の運転を不能にする。
1台のプレス装置の限られたプレスルーム内に順送型を配置するものであり、順送成形の工程数、送りピッチによっては対応できず、設備の汎用性に欠ける。
ワーク送給装置によって帯状のワークに送り込み力を加えて該ワークを送給するものであり、ワークの板厚が3〜5mmである等、適用ワークには送り込み力による座屈を生じない強度が要求される。
(2)従来のタンデムに配置した多数台のプレス装置により、例えば2mm以下の薄板のブランク材のワークを多工程成形する場合には、以下の問題点がある。
ワークの搬送手段として用いられるトランスファ装置やロボットが3次元動作するものになり、搬送時間がかかるし、搬送設備の高コストを招く。
現状の技術では大寸法ブランク材の深絞り成形において、ロングストロークのプレス装置を使用して連続成形を行なう場合、1台のプレス装置の使用時間は最短で約3秒、材料搬送時間は約3秒のため、自動化を含む生産タクトは6秒程度かかるから、1分間の生産量は10回程度が限界であった。生産コストを下げるために生産性向上が必要であり、プレス装置間でのワーク搬送をより高速に行なうことが必要になる。
本発明の課題は、多工程成形を行なうプレスシステムにおいて、加工精度の向上、設備の汎用性の向上、生産性の向上を図ることにある。
請求項1の発明は、帯状のワークを送給し、該ワークに多数の工程の加工を順に施して成形品を得る順送成形プレスシステムにおいて、多数の工程のそれぞれを順に受けもつ多数台のプレス装置をタンデムに配置し、各プレス装置にワークを順に送給するワーク送給装置を有し、各プレス装置はワーク送給装置が送給してきたワークに当該プレス装置が受けもつ工程の加工を施すようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、各プレス装置がワーク送給装置によって断続的に送給されてきたワークに一定の加工ピッチaで当該プレス装置が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施すようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、各プレス装置のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとするようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において更に、前記ワークの縁寄りに該ワークの長手方向に連続する凸条部を設け、各プレス装置の少なくともいずれかの下流にローラーフィーダを設け、ローラーフィーダによりワークの凸条部を銜えて該ワークを引張り送給するようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、前記ワーク送給装置により送給されてくるワークの縁寄りに前記凸条部を付与する凸条成形装置を有するようにしたものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、前記プレス装置のうちの最先のプレス装置が、後工程のプレス装置に送給されたワークを位置決めするためのロケーション用孔を設けるためのピアス加工を該ワークの成形品となる範囲の周辺に施すようにしたものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において更に、前記プレス装置のうちで、絞り加工するプレス装置より上流のプレス装置が、後工程の絞り加工を容易化するためのスリット加工をワークの成形品となる範囲の周辺に施すようにしたものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの発明において更に、前記プレス装置がタンデムをなして相隣る他のプレス装置との配置間隔を調整するプレスピッチ調整装置を有するようにしたものである。
(請求項1)
(a)1台のプレス装置により1工程の加工を行なうものであるから、第1プレスへのワーク投入時や最終プレスでの成形終了時にそれらプレス装置のスライドフレームに作用する偏心荷重が解消し、各工程の加工出力の違いによっても各プレス装置のスライドフレームに偏心荷重を生ずることがない。従って、高精度なプレス加工が繰り返され、金型寿命が向上する。各プレス装置は1工程を受けもつだけであって小出力で足り、各プレス装置の全高は低くできる。
(b)成形品によって工程数が変化しても、工程数の台数分のプレス装置があれば足り、設備の汎用性が向上する。
(c)ワークはワーク送給装置により各プレス装置に順に送給され、各プレス装置が受けもつ工程の加工を順に施される。従って、ワーク送給装置はワークを単にパスライン上に断続的に送給すれば足り、各プレス装置の間での材料搬送時間は短く、プレスシステムの生産性を向上できる。搬送設備を低コストにできる。
(請求項2)
(d)各プレス装置がワーク送給装置によって断続的に送給されてきたワークに一定の加工ピッチaで当該プレス装置が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す。各プレス装置が当該プレス装置が受けもつ工程の加工を連続して繰り返すものであり、各プレス装置の生産性は高い。相隣るプレス装置の間のプレスピッチL(配置間隔)が長い場合には、プレスピッチLより短い間隔aで複数回の加工を行ない、材料歩留りを向上できる。
(請求項3)
(e)各プレス装置のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする。ワーク送給装置がワークの一定の加工ピッチをワークの1回の送りピッチとして該ワークを断続的にN回送給する毎に、ワークを各工程のプレス装置による加工位置に位置付けることができる。
(請求項4)
(f)プレス装置の下流に設けたローラーフィーダによりワークの凸条部を銜えて該ワークを引張り送給することにより、プレス装置の最上流に設けたワーク送給装置によりワークに送り込み力を加えて送給する場合に比して、ワークが板厚を例えば2mm以下とする薄板であっても、ワークに座屈を生ずることなく該ワークを安定的に送給できる。
(請求項5)
(g)凸条成形装置によりワークの縁寄りに該ワークの長手方向に連続する凸条部を付与することにより、上述(f)のローラーフィーダにより銜えられる凸条部を簡易に成形して付与できる。また、この凸条部は、相隣るプレス装置の間のプレスピッチが長い場合にも、ワークが自重で発生するたるみを抑制できる。
(請求項6)
(h)帯状のワークの成形品となる範囲の周辺にロケーション用孔を設けたから、後工程の各工程でワークを位置決めできる。
(請求項7)
(i)帯状のワークの成形品となる範囲の周辺に後工程の絞り加工を容易化するためのスリットを設けた。帯状に連続するワークに絞り加工を施すとき、材料の流れ込みを容易にして絞り加工性を向上できる。絞り成形の場合、成形時に材料の流れ込みが生じ、外側から材料が引張られる現象がある。アンコイラを用いた連続する材料を使用する場合はブランク材と違い、周辺の4方向からの材料の流れ込みが行なわれにくい。
(請求項8)
(j)プレス装置がタンデムをなして相隣る他のプレス装置との配置間隔を調整するプレスピッチ調整装置を有するようにした。成形品の寸法、搬送ピッチの変更により、各プレス装置の加工中心と、各プレス装置に搬入されたワークの成形品となる範囲の中心とがずれるとき、プレスピッチ調整装置により上記プレス装置の加工中心を位置調整できる。尚、ワークは各プレス装置の金型に対し、ワークのロケーション用孔を金型のパイロットピンに嵌合させて確実に位置決めされることも重要である。
図1は実施例1の順送成形プレスシステムを示す模式平面図、図2はワークのスケルトンを示す模式平面図、図3は順送成形プレスシステムの各プレス装置が受けもつ工程の加工内容を示す図表であり、最上段に当該プレス装置で受けもつ工程の加工内容を示し、それ以外の段に当該プレス装置の事前プレス装置にてワークに付与された加工内容を記載した図表、図4は実施例2の順送成形プレスシステムを示し、(A)は模式平面図、(B)は模式側面図、図5はワークに設けた凸条部を示す図4(A)のV−V線に沿う矢視図、図6はワークをローラーフィーダにより送給する状態を示し、(A)は図4(A)のVI−VI線に沿う矢視図、(B)は(A)の下面図、図7はワークが絞り加工によりパスラインから下がる状態を示す模式断面図、図8は順送成形プレスシステムの各プレス装置のプレスピッチ調整構造を示し、(A)は模式側面図、(B)は模式平面図、図9は従来の順送型によるワークのスケルトンを示す模式平面図である。
(実施例1)(図1〜図3)
図1に示す順送成形プレスシステム100は、例えば板厚が3〜5mmの厚板の帯状のワーク1を送給し、ワーク1に多数の工程、本実施例では第1工程(ピアス1)、第2工程(ピアス2)、第3工程(トリム1)、第4工程(トリム2)、第5工程(曲げ)、第6工程(カット)の全6工程の加工を順に施して成形品を得る。第6工程でワーク1のスケルトンから切り離された成形品はプレスルーム内からプッシャー、ロボット等の成形品取出し装置により搬出される。成形品を切り離されたスケルトンの残材は例えばプレスルーム内で剪断処理される。
順送成形プレスシステム100は、第1工程〜第6工程のそれぞれを順に受けもつ全6台のプレス装置10(第1プレス10A〜第6プレス10F)をタンデムに配置し、各プレス装置10の配置間隔をプレスピッチLとしている。
順送成形プレスシステム100は、ワーク1を順に送給するワーク送給装置20を有する。ワーク送給装置20は、第1プレス10Aの入側に配置されるアンコイラ21とレベラーフィーダ22から構成され、ワーク1を間欠的に送給し、ワーク1の成形品となる範囲の中心を順に各プレス装置10の加工中心に位置付ける。
順送成形プレスシステム100は、ワーク送給装置20が送給してきたワーク1に、当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を施す。各プレス装置10は、ワーク送給装置20によって断続的に送給されてきたワーク1に一定の加工ピッチa(図2)で、当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す。順送成形プレスシステム100では、各プレス装置10のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする。本実施例ではN=6とする。即ち、ワーク1に対し、第1プレス10Aは第1工程のピアス1加工を連続して複数回繰り返し、第2プレス10Bは、第2工程のピアス2加工を連続して複数回繰り返し、第3プレス10Cは第3工程のトリム1加工を連続して複数回繰り返し、……最終の第6プレス10Fは第6工程のカットを連続して繰り返す。ワーク1は、図3に示す如く、同一工程の加工を複数回(例えば6回)連続して行なわれた後、次工程の加工に順次移行され、第1工程〜第6工程の各加工を順に積み重ねられ、最終の第6工程でワーク1のスケルトンからカットされた成形品を得る。
尚、順送成形プレスシステム100は、最先のプレス装置10である第1プレス10Aにおいて、後工程のプレス装置10(第2プレス10B〜第6プレス10F)に送給されたワーク1の成形品となる範囲の中心をそれらの各プレス装置10の加工中心に位置決めするためのロケーション用孔2を設けるためのピアス1加工を、ワーク1の成形品となる範囲の周辺に施す。
また、順送成形プレスシステム100は、タンデムをなして配置されて相隣るプレス装置10とプレス装置10の配置間隔(プレスピッチL)を調整する、プレスピッチ調整装置(不図示)を有する。プレスピッチ調整装置は、順送成形プレスシステム100の第1プレス10Aを固定配置(基準位置)し、第2プレス10B〜第6プレス10Fの下面に設けた移動輪をそれらのタンデム配置方向に沿うように工場床面に敷設したレールの上に架設し、それらの各プレス10B〜10Fをレール上で前後方向に高精度で移動する電動式又は油圧式等の前後移動装置を有する。プレスピッチ調整装置は、更に、それらの各プレス10B〜10Fの下面を工場床面に対して昇降するリフト装置を有するとともに、それらの各プレス10B〜10Fの下面を工場床面に対して固定するクランプ装置を有して構成される。第1プレス10Aを基準位置とし、第2プレス10B以後の各プレス10B〜10Fをリフト装置により工場床面から上げた状態で、前後移動装置によってそれらの各プレス10B〜10Fをレール上で前後方向に高精度に移動し、各プレス10B〜10Fを任意の前後方向位置に移動後にリフト装置によって工場床面に着座させ、クランプ装置によって各プレス10B〜10Fをプレス加工の振動等によって位置ずれしないように工場床面に固定化する。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)1台のプレス装置10により1工程の加工を行なうものであるから、第1プレス10Aへのワーク投入時や最終プレス10Fでの成形終了時にそれらプレス装置10のスライドフレームに作用する偏心荷重が解消し、各工程の加工出力の違いによっても各プレス装置10のスライドフレームに偏心荷重を生ずることがない。従って、高精度なプレス加工が繰り返され、金型寿命が向上する。各プレス装置10は1工程を受けもつだけであって小出力で足り、各プレス装置10の全高は低くできる。
(b)成形品によって工程数が変化しても、工程数の台数分のプレス装置10があれば足り、設備の汎用性が向上する。
(c)ワーク1はワーク送給装置20により各プレス装置10に順に送給され、各プレス装置10が受けもつ工程の加工を順に施される。従って、ワーク送給装置20はワーク1を単にパスライン上に断続的に送給すれば足り、各プレス装置10の間での材料搬送時間は短く、プレスシステム100の生産性を向上できる。搬送設備を低コストにできる。
(d)各プレス装置10がワーク送給装置20によって断続的に送給されてきたワーク1に一定の加工ピッチaで当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す。各プレス装置10が当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返すものであり、各プレス装置10の生産性は高い。相隣るプレス装置10の間の、プレスピッチL(配置間隔)が長い場合には、プレスピッチLより短い間隔aで複数回の加工を行ない、材料歩留まりを向上できる。
(e)各プレス装置10のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする。ワーク送給装置20がワーク1の一定の加工ピッチをワーク1の1回の送りピッチとして該ワーク1を断続的にN回送給する毎に、ワーク1を各工程のプレス装置10による加工位置に位置付けることができる。
(f)帯状のワーク1の成形品となる範囲の周辺にロケーション用孔2を設けたから、後工程の各工程でワーク1を位置決めできる。
(g)プレス装置10がタンデムをなして相隣る他のプレス装置10との配置間隔を調整するプレスピッチ調整装置を有するようにした。成形品の寸法、搬送ピッチの変更により、各プレス装置10の加工中心と、各プレス装置10に搬入されたワーク1の成形品となる範囲の中心とがずれるとき、プレスピッチ調整装置により上記プレス装置10の加工中心を位置調整できる。尚、ワーク1は各プレス装置10の金型に対し、ワーク1のロケーション用孔を金型のパイロットピンに嵌合させて確実に位置決めされることも重要である。
(実施例2)(図4〜図8)
図4に示す順送成形プレスシステム100は、例えば板厚が2mmの薄板の帯状のワーク1を送給し、ワーク1に多数の工程、本実施例では第1工程(ピアス、スリット)、第2工程(絞り)、第3工程(トリム)、第4工程(ピアス)、第5工程(カット)の全5工程の加工を順に施して成形品を得る。第5工程でワーク1のスケルトンから切り離された成形品はプレスルーム内からプッシャー、ロボット等の成形品取出し装置により搬出される。成形品を切り離されたスケルトンの残材は例えばプレスルーム内で剪断処理される。
順送成形プレスシステム100は、第1工程〜第5工程のそれぞれを順に受けもつ全5台のプレス装置10(第1プレス10A〜第5プレス10E)をタンデムに配置し、各プレス装置10の配置間隔をプレスピッチLとしている。
順送成形プレスシステム100は、ワーク1を順に送給するワーク送給装置20を有する。ワーク送給装置20は、第1プレス10Aの入側に配置されるアンコイラ21とレベラーフィーダ22から構成され、ワーク1を間欠的に送給し、ワーク1の成形品となる範囲の中心を順に各プレス装置10の加工中心に位置付ける。
順送成形プレスシステム100は、ワーク送給装置20が送給してきたワーク1に、当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を施す。各プレス装置10は、ワーク送給装置20によって断続的に送給されてきたワーク1に一定の加工ピッチaで、当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す。順送成形プレスシステム100では、各プレス装置10のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする。本実施例ではN=1とする。即ち、ワーク1に対し、第1プレス10Aは第1工程のピアス及びスリット加工を連続して複数回繰り返し、第2プレス10Bは、第2工程の絞り加工を連続して複数回繰り返し、第3プレス10Cは第3工程のトリム加工を連続して複数回繰り返し、……最終の第5プレス10Eは第5工程のカットを連続して繰り返す。ワーク1は、前工程の加工を行なった後、次工程の加工に順次移行され、第1工程〜第5工程の各加工を順に積み重ねられ、最終の第5工程でワーク1のスケルトンからカットされた成形品を得る。
尚、順送成形プレスシステム100において各プレス装置10のプレスピッチLが長いときには、ワーク1は実施例1におけると同様に、同一工程の加工を複数回連続して行なわれた後、次工程の加工に順次移行されるものでも良い。
ここで、順送成形プレスシステム100は、ワーク1に主として絞り加工を行なうものであり、ワーク1として板厚を例えば2mm以下とする広幅帯状材を採用し、相隣るプレス装置10のプレスピッチLも一定の距離がある。従って、順送成形プレスシステム100の最上流に位置するワーク送給装置20が各プレス装置10にワーク1を送り込むだけでは、ワーク1に座屈を生じて正規の搬送ができない。そこで、本実施例では、ワーク1を各プレス装置10の下流側から引張り送給することとし、以下の構成を具備した。
即ち、順送成形プレスシステム100は、図5に示す如く、ワーク1の左右両側2ヵ所の縁寄りに該ワーク1の長手方向に連続する凸条部(リブ)1A、1Aを設け、図6に示す如く、各プレス装置10の少なくともいずれか、本実施例では全てのプレス装置10の下流に左右のローラーフィーダ30を設け、ローラーフィーダ30のローラ対によりワーク1の凸条部1Aを銜え、ローラーフィーダ30のローラ対の強制回転力により該ワーク1を引張り送給する。本実施例では、ワーク送給装置20と第1プレス10Aとの間に凸条成形装置40を設けた。凸条成形装置40は、ワーク送給装置20により送給されてくるワーク1の左右両側の縁寄りにU字状の凸条部1Aを連続して付与する。
尚、順送成形プレスシステム100は、最先のプレス装置10である第1プレス10Aにおいて、後工程のプレス装置10(第2プレス10B〜第5プレス10E)に送給されたワーク1の成形品となる範囲の中心をそれらの各プレス装置10の加工中心に位置決めするためのロケーション用孔2を設けるためのピアス加工を、ワーク1の成形品となる範囲の周辺に施す。
また、順送成形プレスシステム100は、絞り加工する第2プレス10Bより上流の第1プレス10Aのスリット加工により後工程の絞り加工を容易化するためのスリット3を、ワーク1の成形品となる範囲の周辺の四辺に沿わせるように施す。帯状に連続するワーク1において、材料を絞り加工部分の側に流れ込み易いようにするものである。
また、順送成形プレスシステム100にあっては、図7に示す如く、各プレス装置10にワーク1を送給するパスラインPLは一定であるが、絞り加工工程(第2工程)では、ワーク1の外縁フランジ部をつかむ金型のダイクッションが絞り高さ分下降し、ワーク1がパスラインPLから絞り高さ分下降する。このとき、ワーク1が長手方向に引張られることによる不都合を回避するため、ワーク1において成形品にならない範囲で該ワーク1の長手方向に直交するスリット4を設けたり、各プレス装置10のプレスピッチLを長くすることが必要とされる。
また、順送成形プレスシステム100は、図8に示す如く、タンデムをなして配置されて相隣るプレス装置10とプレス装置10の配置間隔(プレスピッチL)を調整する、プレスピッチ調整装置50を有する。プレスピッチ調整装置50は、順送成形プレスシステム100の第1プレス10Aを固定配置(基準位置)し、第2プレス10B〜第6プレス10Fの下面に設けた移動輪をそれらのタンデム配置方向に沿うように工場床面に敷設したレール51の上に架設し、それらの各プレス10B〜10Fをレール51上で前後方向に高精度で移動する電動式又は油圧式等の前後移動装置52を有する。プレスピッチ調整装置50は、更に、それらの各プレス10B〜10Fの下面を工場床面に対して昇降するリフト装置53を有するとともに、それらの各プレス10B〜10Fの下面を工場床面に対して固定するクランプ装置54を有して構成される。第1プレス10Aを基準位置とし、第2プレス10B以後の各プレス10B〜10Fをリフト装置53により工場床面から上げた状態で、前後移動装置52によってそれらの各プレス10B〜10Fをレール51上で前後方向に高精度に移動し、各プレス10B〜10Fを任意の前後方向位置に移動後にリフト装置53によって工場床面に着座させ、クランプ装置54によって各プレス10B〜10Fをプレス加工の振動等によって位置ずれしないように工場床面に固定化する。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)1台のプレス装置10により1工程の加工を行なうものであるから、第1プレス10Aへのワーク投入時や最終プレス10Eでの成形終了時にそれらプレス装置10のスライドフレームに作用する偏心荷重が解消し、各工程の加工出力の違いによっても各プレス装置10のスライドフレームに偏心荷重を生ずることがない。従って、高精度なプレス加工が繰り返され、金型寿命が向上する。各プレス装置10は1工程を受けもつだけであって小出力で足り、各プレス装置10の全高は低くできる。
(b)成形品によって工程数が変化しても、工程数の台数分のプレス装置10があれば足り、設備の汎用性が向上する。
(c)ワーク1はワーク送給装置20により各プレス装置10に順に送給され、各プレス装置10が受けもつ工程の加工を順に施される。従って、ワーク送給装置20はワーク1を単にパスライン上に断続的に送給すれば足り、各プレス装置10の間での材料搬送時間は短く、プレスシステム100の生産性を向上できる。搬送設備を低コストにできる。
(d)各プレス装置10がワーク送給装置20によって断続的に送給されてきたワーク1に一定の加工ピッチaで当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す。各プレス装置10が当該プレス装置10が受けもつ工程の加工を連続して繰り返すものであり、各プレス装置10の生産性は高い。相隣るプレス装置10の間のプレスピッチL(配置間隔)が長い場合には、プレスピッチLより短い間隔aで複数回の加工を行ない、材料歩留りを向上できる。
(e)各プレス装置10のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする。ワーク送給装置20がワーク1の一定の加工ピッチをワーク1の1回の送りピッチとして該ワーク1を断続的にN回送給する毎に、ワーク1を各工程のプレス装置10による加工位置に位置付けることができる。
(f)プレス装置10の下流に設けたローラーフィーダ30によりワーク1の凸条部1Aを銜えて該ワーク1を引張り送給することにより、プレス装置10の最上流に設けたワーク送給装置20によりワーク1に送り込み力を加えて送給する場合に比して、ワーク1が板厚を例えば2mm以下とする薄板であっても、ワーク1に座屈を生ずることなく該ワーク1を安定的に送給できる。
(g)凸条成形装置40によりワーク1の縁寄りに該ワーク1の長手方向に連続する凸条部1Aを付与することにより、上述(f)のローラーフィーダ30により銜えられる凸条部1Aを簡易に成形して付与できる。また、この凸条部1Aは、相隣るプレス装置10の間のプレスピッチが長い場合にも、ワーク1が自重で発生するたるみを抑制できる。
(h)帯状のワーク1の成形品となる範囲の周辺にロケーション用孔2を設けたから、後工程の各工程でワーク1を位置決めできる。
(i)帯状のワーク1の成形品となる範囲の周辺に後工程の絞り加工を容易化するためのスリット3を設けた。帯状に連続するワーク1に絞り加工を施すとき、材料の流れ込みを容易にして絞り加工性を向上できる。絞り成形の場合、成形時に材料の流れ込みが生じ、外側から材料が引張られる現象がある。アンコイラを用いた連続する材料を使用する場合はブランク材と違い、周辺の4方向からの材料の流れ込みが行なわれにくい。
(j)プレス装置10がタンデムをなして相隣る他のプレス装置10との配置間隔を調整するプレスピッチ調整装置50を有するようにした。成形品の寸法、搬送ピッチの変更により、各プレス装置10の加工中心と、各プレス装置10に搬入されたワーク1の成形品となる範囲の中心とがずれるとき、プレスピッチ調整装置50により上記プレス装置10の加工中心を位置調整できる。尚、ワーク1は各プレス装置10の金型に対し、ワーク1のロケーション用孔2を金型のパイロットピンに嵌合させて確実に位置決めされることも重要である。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1は実施例1の順送成形プレスシステムを示す模式平面図である。 図2はワークのスケルトンを示す模式平面図である。 図3は順送成形プレスシステムの各プレス装置が受けもつ工程の加工内容を示す図表であり、最上段に当該プレス装置で受けもつ工程の加工内容を示し、それ以外の段に当該プレス装置の事前プレス装置にてワークに付与された加工内容を記載した図表である。 図4は実施例2の順送成形プレスシステムを示し、(A)は模式平面図、(B)は模式側面図である。 図5はワークに設けた凸条部を示す図4(A)のV−V線に沿う矢視図である。 図6はワークをローラーフィーダにより送給する状態を示し、(A)は図4(A)のVI−VI線に沿う矢視図、(B)は(A)の下面図である。 図7はワークが絞り加工によりパスラインから下がる状態を示す模式断面図である。 図8は順送成形プレスシステムの各プレス装置のプレスピッチ調整構造を示し、(A)は模式側面図、(B)は模式平面図である。 図9は従来の順送型によるワークのスケルトンを示す模式平面図である。
符号の説明
1 ワーク
1A 凸条部
2 ロケーション用孔
3 スリット
10、10A〜10F プレス装置
20 ワーク送給装置
30 ローラーフィーダ
40 凸条成形装置
50 プレスピッチ調整装置
100 順送成形プレスシステム

Claims (8)

  1. 帯状のワークを送給し、該ワークに多数の工程の加工を順に施して成形品を得る順送成形プレスシステムにおいて、
    多数の工程のそれぞれを順に受けもつ多数台のプレス装置をタンデムに配置し、
    各プレス装置にワークを順に送給するワーク送給装置を有し、
    各プレス装置はワーク送給装置が送給してきたワークに当該プレス装置が受けもつ工程の加工を施すことを特徴とする順送成形プレスシステム。
  2. 各プレス装置がワーク送給装置によって断続的に送給されてきたワークに一定の加工ピッチaで当該プレス装置が受けもつ工程の加工を連続して繰り返し施す請求項1に記載の順送成形プレスシステム。
  3. 各プレス装置のタンデムの配置間隔をプレスピッチLとし、Nを整数とするとき、L=Naとする請求項2に記載の順送成形プレスシステム。
  4. 前記ワークの縁寄りに該ワークの長手方向に連続する凸条部を設け、各プレス装置の少なくともいずれかの下流にローラーフィーダを設け、ローラーフィーダによりワークの凸条部を銜えて該ワークを引張り送給する請求項1〜3のいずれかに記載の順送成形プレスシステム。
  5. 前記ワーク送給装置により送給されてくるワークの縁寄りに前記凸条部を付与する凸条成形装置を有する請求項4に記載の順送成形プレスシステム。
  6. 前記プレス装置のうちの最先のプレス装置が、後工程のプレス装置に送給されたワークを位置決めするためのロケーション用孔を設けるためのピアス加工を該ワークの成形品となる範囲の周辺に施す請求項1〜5のいずれかに記載の順送成形プレスシステム。
  7. 前記プレス装置のうちで、絞り加工するプレス装置より上流のプレス装置が、後工程の絞り加工を容易化するためのスリット加工をワークの成形品となる範囲の周辺に施す請求項1〜6のいずれかに記載の順送成形プレスシステム。
  8. 前記プレス装置がタンデムをなして相隣る他のプレス装置との配置間隔を調整するプレスピッチ調整装置を有する請求項1〜7のいずれかに記載の順送成形プレスシステム。
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