以下、本発明の一実施の形態の電気掃除機の構成を図1ないし図9を参照して説明する。
図9において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
管部12は、掃除機本体13に接続される基端側に対して先端側が前方へ屈曲した接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
また、掃除機本体13は、図5ないし図9に示すように、ケース体25を備え、このケース体25の内部には、隔壁26が設けられ、この隔壁26の後側に、電動送風機27を収容する図示しない電動送風機室と、電源コード31を巻回したコードリール32を収容する図示しないコードリール室とが区画されているとともに、隔壁26の前側に、この隔壁26に設けられた図示しない連通口を介して電動送風機27の吸込側に連通する本体集塵室35が区画され、この本体集塵室35に、集塵装置としての集塵カップ36が着脱可能に設けられている。
ケース体25は、例えば合成樹脂などにより形成され、上側が開口した下ケース41と、この下ケース41の上側後部である電動送風機室およびコードリール室を覆う上ケース42と、この上ケース42あるいは下ケース41に対して上下方向に回動可能に軸支され本体集塵室35を開閉可能とする蓋体43とを備えている。
下ケース41は、被掃除面である床面Fに対向する下面に、後方上側へと湾曲した後部湾曲面45を後側に有するとともに、この後部湾曲面45の前側に連続して平坦状の平坦面46を前後方向の略中心位置に有し、かつ、この平坦面46の前側に連続して前方上側へと略円弧状に湾曲した前部湾曲面47を前側に有している。また、この下ケース41の後部湾曲面45の両側方には、掃除機本体13の走行用の大径の走行輪51(一方のみ図示)が回転自在に軸支されている。さらに、前部湾曲面47の両側で走行輪51の前方には、ウレタンあるいは起毛布などの軟質の部材により形成された非回動部材としての緩衝手段であるバンパ53(一方のみ図示)が取り付けられている。このバンパ53は、前部湾曲面47に沿って湾曲している。
上ケース42は、電動送風機室(コードリール室)の下流側に連通する排気口55が多数開口形成されているとともに、これら排気口55の側方に、電源コード31をケース体25の外部に導出するためのコード導出口56が開口形成されている。また、上ケース42の上部には、掃除機本体13を把持するための本体把持部であるハンドル57が前後方向に回動可能に設けられている。さらに、上ケース42の上部には、コードリール32を回転させて電源コード31をコード導出口56から巻き取り可能にするコード巻取ボタン58が設けられている。
ここで、ハンドル57は、上ケース42の基端部が回動可能に軸支された一対の軸支部61と、これら軸支部61,61間の先端部間を接続する被把持部62とを備えている。そして、ハンドル57は、掃除機本体13の重心Gの上方に軸支部61の基端側が位置している。このため、このハンドル57は、図6(c)に示すように、把持して床面Fに対して掃除機本体13を持ち上げた際に、掃除機本体13が水平状となる位置に取り付けられている。
蓋体43は、後端側が回動可能に軸支されており、前端部に、この蓋体43を下ケース41に対して係脱させるためのクランプ64が設けられている。また、この蓋体43には、前方上側へと傾斜した傾斜部65が円形状に形成されており、この傾斜部65には、管部12の接続管部15が接続される本体吸込口66を備えた回転部67が周方向に回転可能に設けられている。したがって、本体吸込口66は、前方上側に向けて開口形成されている。
電動送風機27は、電源コード31を介して電源から給電されることにより、設定ボタン22で設定された所定の動作モードで動作して管部12を介して空気とともに塵埃を吸い込むもので、ケース体25に配置された各種部材中で例えば最も重量が大きい重量物である。そして、この電動送風機27は、前側を吸込側、後側を排気側として電動送風機室内に配置され、ケース体25全体として後側に偏って位置している。なお、この電動送風機27は、例えばカバー体などによって少なくとも一部が覆われていてもよい。
コードリール32は、電動送風機27の側方に位置してコードリール室内に配置された重量物であり、ケース体25全体として後側に偏って位置している。
この結果、掃除機本体13は、重心Gの位置が走行輪51の回転軸51aよりも若干後方に位置しており、図6(a)に示すように、走行停止状態(移動停止状態)で、後部湾曲面45が床面Fに対向するように走行輪51を中心として前側が上動し、管部12の把持部21などを把持して床面Fを走行させた図6(b)に示す走行状態では前側が下動するように倒れ、前部湾曲面47のバンパ53が床面Fに対して掃除機本体13を支持し、このバンパ53が床面Fを摺動する状態となるように構成されている。したがって、掃除機本体13は、図6(c)に示すように、ハンドル57により把持して床面Fから持ち上げた状態で、走行状態と同様に前側が下動するように倒れて水平状となるように重心Gの位置が設定されている。なお、以下、図6(b)および図6(c)に示すように掃除機本体13の前側が下動して水平状となった状態を倒し状態という。
そして、コード導出口56は、掃除機本体13の走行停止状態で水平状、あるいは水平よりも下方、すなわち水平以下の方向に開口方向が向き、かつ、掃除機本体13の倒し状態で水平以上の上方に開口方向が向く角度に開口されている。換言すれば、コード導出口56の開口角度は、水平方向に対して、0°より大きく、掃除機本体13の回動角度以下に設定されている。
また、集塵カップ36は、図1ないし図4および図7に示すように、遠心分離(サイクロン分離)によって吸込風に含まれる塵埃を捕集するもので、集塵装置本体としての外部ケースであるカップ本体部71と、このカップ本体部71の内部に着脱可能に設けられた内部ケースとしての中ケース72と、カップ本体部71に回動可能に設けられた蓋部としてのカップ蓋73と、カップ本体部71に着脱されるフィルタ部74とを備えている。そして、集塵カップ36のカップ本体部71内には、塵埃を捕集する集塵室としての第1集塵部である粗塵捕集室75と、フィルタ部74を取り付けるフィルタ取付部76と、粗塵捕集室75に連通する風路である連通室77と、フィルタ取付部76の下方に位置する塵埃集塵室としての塵埃溜め室である第2集塵部すなわち細塵捕集室78とが内部に区画されている。なお、本実施の形態では、以下、集塵カップ36の前側を上流側とし、後側を下流側とする。
カップ本体部71は、例えば合成樹脂などにより形成され、前壁部81と、この前壁部81の両側にそれぞれ連続する側壁部82,82と、これら前壁部81および側壁部82,82の上部を閉塞する上壁部83と、これら側壁部82,82および上壁部83の後部に亘って連続した枠状の後枠部84とを備えている。
側壁部82,82は、下端部が前側へと上方に略直線状に傾斜して形成されており、この下端部が、前壁部81および後枠部84の下端部とともに、粗塵捕集室75および細塵捕集室78に連通しカップ蓋73により開閉される塵埃廃棄口85となっている。したがって、塵埃廃棄口85は前側下方に向けて開口形成されている。また、一方の側壁部82の外側には、カップ蓋73を開閉するための開閉操作ボタン86に連続する図示しない開閉機構を内部に収容した機構収容部88が上下方向に沿って長手状に形成されており、開閉操作ボタン86が上側に露出している。
さらに、前壁部81の下端側から側壁部82,82の下端側に亘って、中ケース72の下端側が嵌合固定される段差部89が連続的に形成されている。
上壁部83は、前側が下方へと傾斜した傾斜面SPを形成するように平面状に形成されており、中央部に、粗塵捕集室75に連通する丸孔状の吸気口91を区画する円筒状の吸気筒部92が形成されている。また、この上壁部83には、集塵カップ36を把持するための把持ハンドル93が、一側から他側へとループ状に連続して形成されている。
吸気口91は、管部12を介して吸い込んだ塵埃を含む空気を粗塵捕集室75内で空気を矢印Aに示すように循環させるものであり、本体集塵室35に取り付けられた状態で蓋体43を閉じることで、本体吸込口66の下流側に気密に接続されるように構成されている。
吸気筒部92は、上壁部83すなわち傾斜面SPの面方向に対して略垂直な方向を軸方向として形成されている。
後枠部84は、フィルタ取付部76を区画するもので、側壁部82,82の後部に連続する枠側部84a,84aと、上壁部83の後部でかつ枠側部84a,84aの上部間に連続する枠上部84bと、側壁部82,82の後部でかつ枠側部84a,84aの下部間に連続する略水平状の枠下部84cとを備えた略角筒状となっている。
また、中ケース72は、合成樹脂などにより形成されており、カップ本体部71との間に連通室77を区画するものである。そして、この中ケース72は、カップ本体部71の前壁部81の後部に密着する内部前壁部96と、カップ本体部71の側壁部82,82の内部に対向する内部側壁部97,97と、カップ本体部71の上壁部83の下部に対向する内部上壁部98と、これら内部側壁部97,97および内部上壁部98の後端に亘って連続してこれら内部側壁部97,97および内部上壁部98の後部を閉塞する内部後壁部99とを備えている。さらに、この中ケース72は、カップ本体部71の内部に挿入固定されて取り付けられた状態で、このカップ本体部71の内部に位置している。すなわち、この中ケース72には、カップ本体部71に対して取り付けた状態でこのカップ本体部71に対して外部に突出する部分が形成されていない。
内部前壁部96は、カップ本体部71の前壁部81の下端側の段差部89に嵌合している。
各内部側壁部97の下端部は、中ケース72をカップ本体部71内に取り付けた状態でこのカップ本体部71の各側壁部82の下端部の傾斜に沿うように前方へと上方に向けて傾斜している。そして、各内部側壁部97は、カップ本体部71の側壁部82,82の下端側の段差部89に嵌合する被嵌合部97aが下端側に形成されているとともに、この被嵌合部97aの上側に連続して、側壁部82,82に対して離間されてこれら側壁部82,82との間に連通室77の一部を区画する側壁区画部97bが形成されている。さらに、各内部側壁部97には、粗塵捕集室75と連通室77とを連通する連通開口97cがそれぞれ開口形成され(一方のみ図示)、各連通開口97cに、フィルタである側部フィルタ97dが取り付けられている。
側部フィルタ97dは、吸気口91から粗塵捕集室75へと吸い込まれた空気の流れの一部が連通室77へと通過する際にこの空気に含まれる塵埃を捕集するメッシュ状の濾過フィルタである。
内部上壁部98は、内部前壁部96および内部側壁部97,97の前側の間にそれぞれ連続しカップ本体部71内に中ケース72を取り付けた状態で上壁部83に対して下方に離間される凸部としての凸部面すなわち障壁部である前上壁部98aと、この前上壁部98aの後部から上方へと突出するように連続して内部側壁部97,97間および内部後壁部99に連続して形成された後上壁部98bとを備え、上壁部83との間に連通室77を区画している。
前上壁部98aは、吸気口91から粗塵捕集室75へと吸い込まれた空気の矢印Aに沿った流れの一部と交差するように突出し、前側から後側へと突出して塵埃廃棄口85に対向し、後側が前側に対して若干上方に傾斜して形成されている。そして、この前上壁部98aには、粗塵捕集室75と連通室77とを連通する連通開口部としての前上開口98cが形成され、この前上開口98cには、フィルタとしての通気フィルタ98dが取り付けられている。
通気フィルタ98dは、吸気口91から粗塵捕集室75へと吸い込まれた空気の矢印Aの流れの一部が連通室77へと通過する際にこの空気に含まれる塵埃を捕集するメッシュ状の濾過フィルタであり、塵埃廃棄口85の上方に位置している。
また、後上壁部98bには、カップ本体部71内に中ケース72を取り付けた状態で吸気口91を区画する吸気筒部92の下流側である下端側に連通する筒状の連通筒部98eが形成されている。この連通筒部98eは、連通室77内に突出し、吸気筒部92の下流側に気密に接続されている。また、この連通筒部98eは、下端部が側部フィルタ97dの上方近傍に位置している。さらに、この連通筒部98eは、吸気筒部92と軸方向が略一致するように前方に向けて上側に傾斜している。したがって、この連通筒部98eは、上壁部83すなわち傾斜面SPの面方向に対して略垂直な方向を軸方向として形成されている。
内部後壁部99は、粗塵捕集室75の後部とフィルタ取付部76および細塵捕集室78とを区画する平坦状のフィルタ形成部としての上部傾斜壁部99aと、この上部傾斜壁部99aの下端側の位置から後方に連続し細塵捕集室78とフィルタ取付部76とを区画する開口形成部としての下部傾斜壁部99bとを備えている。
上部傾斜壁部99aは、カップ本体部71内に中ケース72を取り付けた状態で吸気筒部92の後縁部に当接する位置に上端側が位置し、下端側が後側へと下方に傾斜している。換言すれば、この上部傾斜壁部99aは、上側が前方へと傾斜している。また、この上部傾斜壁部99aには、粗塵捕集室75および連通室77とフィルタ取付部76とを連通する後部開口部としてのフィルタ取付開口99cが開口形成されており、このフィルタ取付開口99cには、保持枠101に保持された濾過フィルタとしての主フィルタ102が取り付けられている。したがって、上部傾斜壁部99aは、主フィルタ102を取り付けるフィルタ取付面FPを形成している。すなわち、このフィルタ取付面FPは、上側が前方すなわち上流側に向けて傾斜し、その面方向が、カップ本体部71の傾斜面SPと45°以上90°未満の角度φで交差している。
主フィルタ102は、連通室77側である上側に位置する上部主フィルタ102aと、粗塵捕集室75側である下側に位置する下部主フィルタ102bとを有し、略平面状に形成されている。なお、この主フィルタ102は、上流側面に凹凸が形成されていないものであれば、例えば全体として円弧状に湾曲されたものなどでもよい。
上部主フィルタ102aは、上流面側および下流面側に凹凸が形成されていないメッシュ状の濾過フィルタであり、上部傾斜壁部99aの面方向、すなわちフィルタ取付面FPの面方向に沿って配置されている。また、上部主フィルタ102aは、吸気口91の下流側である連通筒部98eの下流端に対向する(臨む)位置に配置されている。さらに、上部主フィルタ102aは、吸気口91の幅(連通筒部98eの幅)内に配置されている。
また、下部主フィルタ102bは、上流面側および下流面側に凹凸が形成されていないメッシュ状の濾過フィルタであり、上部主フィルタ102aの下方に連続して格子状に配置されている。さらに、この下部主フィルタ102bは、上部主フィルタ102aよりも幅広に形成され、上部傾斜壁部99aの両側近傍まで両側が延設されている。
このため、吸気口91は、主フィルタ102の上流側面に対して、0°より大きく45°以下の角度θで直接吸込風を当てることが可能な位置となっている。
また、下部傾斜壁部99bは、上部傾斜壁部99aに対して、下端側がさらに後方へと傾斜している。したがって、この下部傾斜壁部99bは、水平方向前側に対する傾斜角度が、上部傾斜壁部99aよりも小さい。さらに、この下部傾斜壁部99bは、掃除機本体13の走行状態(図6(b))、あるいはハンドル57により掃除機本体13を把持した状態(図6(c))などの、掃除機本体13の倒し状態では、上側が前方へと若干傾斜し(図1(b))、掃除機本体13の走行停止状態では、略垂直状となる(図1(a))。そして、この下部傾斜壁部99bには、細塵捕集室78とフィルタ取付部76とを連通する開口部99dが左右幅方向に複数開口形成されている。これら開口部99dは、閉塞部材としてのフラップ状のシャッタ105によりそれぞれ開閉可能となっている。また、これら開口部99dは、下側の縁部が、前方へと下側に傾斜している。
各シャッタ105は、例えば合成樹脂などの比較的軽量の部材により板状に形成され、上端部が開口部99dの上端前側の位置にて、回転軸105aにより回転自在に軸支され、下端側が自由端状となっている。また、各シャッタ105の表面は、塵埃が付着しにくくなるように例えばフッ素などのコーティングが施されている。そして、各シャッタ105は、電動送風機27の駆動により開口部99dから作用する負圧によって下部傾斜壁部99bへと密着されるように回動して開口部99dを閉塞することが可能となっている。また、各シャッタ105は、電動送風機27の停止状態では、重力(自重)により略垂直状となる。このため、この電動送風機27の停止状態で、かつ、掃除機本体13が走行停止状態(図6(a))であるときには、略垂直状態となった下部傾斜壁部99bの前面側に沿う状態となって開口部99dを閉塞し(図1(a))、電動送風機27の停止状態で、かつ、掃除機本体13が走行状態(図6(b))、あるいはハンドル57により掃除機本体13を把持した状態(図6(c))など、掃除機本体13が倒し状態のときには、傾斜状となった下部傾斜壁部99bに対して離間され、開口部99dを開くように(図1(b))構成されている。
また、カップ蓋73は、例えば合成樹脂などにより形成され、蓋本体107と、この蓋本体107の一側をカップ本体部71の一方の側壁部82に回動可能に軸支する一対のリブ108,108と、カップ蓋73をカップ本体部71側の開閉機構に係止するための係止部である爪状の係止突部109とを備えている。
蓋本体107は、塵埃廃棄口85の縁部に圧接されて隙間を閉塞するシール部材としてのパッキン111を嵌着するシール部材嵌着部であるパッキン嵌着部112と、このパッキン嵌着部112に周囲が囲まれ粗塵捕集室75の下側を形成する集塵室蓋部としての前部区画凹部113および細塵捕集室78の下側を形成する塵埃集塵室蓋部としての後部区画凹部114とを有している。
パッキン嵌着部112は、前部区画凹部113の前側および両側を形成する前部嵌着部112aと、後部区画凹部114の後側および両側を形成し前部嵌着部112aと連続する後部嵌着部112bと、これら前部嵌着部112aと後部嵌着部112bとの連続部に形成され前部区画凹部113と後部区画凹部114との間に位置する中間部嵌着部112cとを備えている。そして、前部嵌着部112aおよび後部嵌着部112bが、カップ蓋73を閉じた状態でカップ本体部71の前壁部81、側壁部82,82および後枠部84の下端部に対向するように位置し、中間部嵌着部112cが中ケース72の上部傾斜壁部99aの下端部(保持枠101の下端部)に対向するように位置して、嵌着されたパッキン111を圧接するように構成されている。
前部区画凹部113は、カップ蓋73を閉じた状態で前上壁部98aと対向する部分であり、前部嵌着部112aの内周縁部および中間部嵌着部112cの前縁部から前部区画凹部113の中心側へと傾斜状に下方へと突出した前部傾斜面部113aと、この前部傾斜面部113aに周囲が囲まれた底面部113bとを有している。
前部傾斜面部113aは、底面部113bに対して鈍角状に交差している。また、底面部113bは、塵埃廃棄口85に対して後側よりも前側が離間されるように傾斜して形成されている。このため、前部区画凹部113は、粗塵捕集室75内での空気の矢印A方向への旋回流に沿って凹状に形成されている。
後部区画凹部114は、後部嵌着部112bの内周縁部から傾斜状に突出した傾斜底面部114aと、中間部嵌着部112cの後縁部から傾斜状に突出した後部傾斜面部114bとを有している。
係止突部109は、カップ蓋73を閉じた状態でカップ本体部71の機構収容部88の下部に対向する位置である蓋本体107の他側部、すなわちリブ108,108と反対側の位置で、かつ、前部嵌着部112aの側方に形成されている。
また、フィルタ部74は、フィルタとしての細塵フィルタである表面集塵フィルタすなわちプリーツフィルタ116と、このプリーツフィルタ116を保持するフィルタ保持枠117と、プリーツフィルタ116の前方に位置してフィルタ保持枠117に取り付けられる補助フィルタ保持枠118とを備えたフィルタユニット部である。
プリーツフィルタ116は、各フィルタ97d,98d,102により捕集しなかった細塵を捕集するためのもので、前方に突出する山部と後方に突出する谷部とがそれぞれ幅方向に交互に、上下方向に沿って直線状に形成されてプリーツ状をなしている。また、このプリーツフィルタ116の後部には、このプリーツフィルタ116に捕集した細塵を、このプリーツフィルタ116から除去する除塵手段としての塵落とし部119が配置されている。
塵落とし部119は、プリーツフィルタ116の谷部間に先端側が嵌合する除塵体である塵落とし体119aを備えている。この塵落とし体119aは、ハンドル57を回動させた際に、このハンドル57の軸支部61のいずれかに接続されハンドル57の回動動作を水平動作に変換する図示しないギヤ列などの連動機構によって図示しないガイド部に沿って幅方向に略水平に往復移動されることで、プリーツフィルタ116の谷部を順次乗り越えてこのプリーツフィルタ116に振動を与え、このプリーツフィルタ116に付着した細塵を除去するように構成されている。
フィルタ保持枠117は、フィルタ取付部76内に嵌合する外郭をなす保持枠本体117aと、この保持枠本体117aの内部に一体に形成されプリーツフィルタ116の山部の上下部を閉塞する保持板部117bと、この保持板部117bの下方でかつ保持枠本体117aの内部に一体に形成された傾斜状の傾斜板部117cとを備えている。
保持枠本体117aの外周部には、フィルタ部74をフィルタ取付部76に取り付けた際にカップ本体部71の後枠部84の内面に圧接されるフィルタ部シール部材である環状のパッキン121を取り付ける取付凹部117dが全周に亘って形成されている。また、この保持枠本体117aの上部には、フィルタ部74をフィルタ取付部76に取り付けた際にカップ本体部71の後枠部84の後部に位置し、フィルタ部74をフィルタ取付部76から取り外す際のつまみ部となるつまみ片部117eが上方に向けて突出している。
保持板部117bは、プリーツフィルタ116の山部の少なくとも上下部を閉塞し谷部の少なくとも下部を開放するように、櫛歯状に形成されている。
傾斜板部117cは、保持板部117bの下方、すなわちプリーツフィルタ116の下方に位置し、前方へと下側に傾斜している。また、この傾斜板部117cは、フィルタ部74をフィルタ取付部76に取り付けた状態で下端部である前端部が下部傾斜壁部99bの後面でかつ開口部99dの下部に当接している。このため、傾斜板部117cは、フィルタ部74をフィルタ取付部76に取り付けた状態で、プリーツフィルタ116の下方から開口部99dへと下方に傾斜して連続するように形成されている。
補助フィルタ保持枠118は、プリーツフィルタ116の前方にて例えば図示しないティッシュ紙などの補助フィルタを保持するためのもので、格子枠状に形成され、フィルタ保持枠117の前側に着脱可能となっている。
また、粗塵捕集室75は、綿ごみなどの粗塵が捕集される空間部であり、電動送風機27の駆動により吸い込まれた空気が旋回する旋回部125と、この旋回部125の接線方向、本実施の形態では下方および前方に亘って連続する塵埃捕集部126とが内部に形成される。
旋回部125は、矢印A方向に沿って空気が流れる部分であり、中ケース72の内部後壁部99および内部側壁部97,97などにより主として中ケース72の内部に形成される。
塵埃捕集部126は、旋回部125を旋回する空気から遠心分離された塵埃が溜まる部分であり、主として前上壁部98aの下方であるカップ蓋73の前部区画凹部113に形成される。
また、フィルタ取付部76は、カップ本体部71の後枠部84により周囲が囲まれた枠状の空間部であり、後端部が、フィルタ部74によって閉塞される略四角形状の集塵装置排気口である集塵カップ排気口128となっている。
また、連通室77は、粗塵捕集室75に吸い込まれた空気の一部が主フィルタ102を介さずにプリーツフィルタ116へと流れる風路であり、カップ本体部71と中ケース72との間に区画され、連通開口97c(側部フィルタ97d)および前上開口98c(通気フィルタ98d)の下流側と電動送風機27の吸込側であるフィルタ部74との間に連通して形成されている。
そして、細塵捕集室78は、塵落とし部119の塵落とし体119aによりプリーツフィルタ116から除去された細塵を、開口部99dを介して溜める空間部である。
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
掃除の際には、まず、作業者は、走行停止状態の掃除機本体13の蓋体43を開き、本体集塵室35に集塵カップ36を取り付け、蓋体43を閉じる。このとき、掃除機本体13の前側が上方に向いていることにより作業者の方向に向いた本体吸込口66に、接続管部15を介してホース体16を連通接続し、このホース体16の先端側に、延長管18および床ブラシ19を順次連通接続する。
さらに、作業者は、掃除機本体13から電源コード31を引き出して図示しないコンセントに接続する。この電源コード31の引き出しの際には、作業者が掃除機本体13を押さえて電源コード31の先端側に引き出し方向の外力を加える。このとき、押さえられた掃除機本体13は、前側が下方へと倒れて走行状態時と同様に掃除機本体13が倒し状態となり、バンパ53が床面Fに接触することで掃除機本体13の滑りを防止する。また、この引き出しの際、コード導出口56は掃除機本体13の後側上方を向くため、電源コード31を容易に引き出し可能となる。
この後、作業者が、把持部21を把持して所定の設定ボタン22を操作すると、この設定ボタン22により設定された動作モードに応じて電動送風機27が駆動される。この電動送風機27の駆動により、各シャッタ105が開口部99dから作用する負圧によって下部傾斜壁部99bの前面側に吸着され、開口部99dが閉塞されて、細塵捕集室78に捕集された細塵が開口部99dからフィルタ取付部76(プリーツフィルタ116)側に吸い出されることがない。
次いで、作業者は、把持部21を把持して床面F上で床ブラシ19を前後に走行させる。このとき、ホース体16側を引っ張ると、管部12を介して掃除機本体13に前方向への外力が作用することで、掃除機本体13の重心Gの位置が前方へと移動し、掃除機本体13が走行状態となる。そして、バンパ53が床面Fに接触した状態で掃除機本体13が走行輪51により床面F上を走行する。
作業者は、掃除位置まで来ると、ホース体16側を引っ張る外力を緩める。このとき、掃除機本体13は、重心Gの位置が再度走行輪51の回転軸51aよりも後方に位置するため、走行輪51を中心として前側が上方へと回動して走行停止状態となる。
そして、作業者が把持部21により床ブラシ19を床面F上で前後に走行させることで、電動送風機27による負圧によって、床ブラシ19の先端側から塵埃を空気とともに吸い込む。
床ブラシ19から塵埃とともに吸い込まれた空気は吸込風となり、延長管18およびホース体16(接続管部15)を介して、塵埃を本体吸込口66から集塵カップ36へと運ぶ。
この集塵カップ36においては、本体吸込口66から吸気口91へと吸い込まれた吸込風が、吸気筒部92および連通筒部98eを介して吸気口91の開口方向に沿って略直線状に粗塵捕集室75へと吸い込まれ、角度θで主フィルタ102の上部主フィルタ102aの上流側面へと直接吹き付けられ、この上部主フィルタ102aに付着した塵埃を常時剥がして落とす。
さらに、この上部主フィルタ102aに吹き付けられた吸込風は、内部後壁部99の上部傾斜壁部99aに沿って上部主フィルタ102aおよび下部主フィルタ102bに付着した塵埃を剥がしつつ、旋回部125内で矢印A方向、すなわち後部下側から前部上側へと旋回した後、主フィルタ102を通過して塵埃を捕集されながらフィルタ取付部76へと流れる。この旋回により、吸込風に含まれる綿ごみなどの粗塵は、遠心力によって塵埃捕集部126へと遠心分離(サイクロン分離)され、前上壁部98aの下方に向けて圧縮されながらカップ蓋73の前部区画凹部113内へと溜められる。
また、吸込風の一部は、側部フィルタ97dおよび通気フィルタ98dを通過して連通室77へと流れる際に塵埃が捕集される。
主フィルタ102、あるいは連通室77(側部フィルタ97dおよび通気フィルタ98d)を通過した吸込風は、プリーツフィルタ116を通過する際に、これらフィルタ102,97d,98dにより捕集しなかった細塵が捕集される。
この後、吸込風は、隔壁26の連通口を介して電動送風機27へと吸い込まれ、この電動送風機27を通過して排気風となり、ケース体25の排気口55から掃除機本体13の外部へと廃棄される。
掃除が終了し、電気掃除機11を収納する際には、電動送風機27を停止させて走行停止状態とした掃除機本体13のコード導出口56の開口方向が水平以下の下方を向くため、電源コード31をコンセントから取り外し、コード巻取ボタン58を操作すると、電源コード31がコード導出口56の縁部と擦れることなくコードリール32へと巻き取られる。
次いで、作業者は、ハンドル57の被把持部62を把持してこのハンドル57を前方へと回動させながら掃除機本体13を床面Fに対して持ち上げる。
このとき、掃除機本体13が倒し状態となることで、各シャッタ105が自重により下方へと回動し、集塵カップ36の下部傾斜壁部99bが傾斜状となるため、各開口部99dが開かれる。同時に、ハンドル57の回動により連動機構を介して塵落とし部119の塵落とし体119aが水平方向に移動し、プリーツフィルタ116に振動を与えて、このプリーツフィルタ116に捕集した細塵をこのプリーツフィルタ116から除去する。このプリーツフィルタ116から除去された細塵は、掃除機本体13を持ち上げた状態で前側下方へと傾斜した傾斜板部117cの上面にガイドされつつ、開いた各開口部99dから細塵捕集室78へと運ばれ、この細塵捕集室78に溜められる。
そして、所定の収納場所でハンドル57を戻しながら掃除機本体13を床面Fなどに載置すると、掃除機本体13は前側が上動するように走行輪51を中心として回動して走行停止状態となり、集塵カップ36の各シャッタ105が自重により垂直状態を維持することで、略垂直状態となった下部傾斜壁部99bの前面に密着して開口部99dが再度閉塞される。
また、集塵カップ36に捕集した塵埃が所定量以上溜まった場合には、作業者は掃除機本体13の蓋体43を開き、把持ハンドル93を把持して集塵カップ36を本体集塵室35から取り外し、把持ハンドル93を把持した手の親指などによってごみ箱などの上方で開閉操作ボタン86を操作することでカップ蓋73が開いて、塵埃廃棄口85から粗塵捕集室75に捕集した粗塵と、細塵捕集室78に捕集した細塵とが廃棄される。
このとき、粗塵捕集室75に捕集した細塵および細塵捕集室78に捕集した細塵とは、それぞれ前部区画凹部113および後部区画凹部114内に主に溜まっているので、カップ蓋73が開くだけでこれら粗塵および細塵が容易に廃棄される。
さらに、側部フィルタ97dおよび通気フィルタ98dなどが目詰まりしている場合には、中ケース72を塵埃廃棄口85から下方へと引き出すことでカップ本体部71から取り外し、各フィルタ97d,98dの手入れをする。このとき、主フィルタ102は、殆ど目詰まりを起こすことはないものの、長期に亘る連続使用などにより仮に目詰まりを起こしている場合には、塵埃を除去する。
この後、作業者は中ケース72をカップ本体部71に取り付けた状態でカップ蓋73を閉じ、掃除機本体13の本体集塵室35に集塵カップ36を再度取り付けて蓋体43を閉じる。
上述したように、上記一実施の形態によれば、電動送風機27の駆動状態では各シャッタ105が負圧によって開口部99dを閉じ、電動送風機27の停止状態で掃除機本体13が走行状態を含む倒し状態のときには各シャッタ105が自重により開口部99dを開くとともに掃除機本体13が走行停止状態のときには各シャッタ105が自重により開口部99dを閉じることで、掃除機本体13が走行および走行停止により揺動した場合でも細塵捕集室78に収容した塵埃が開口部99dから出てプリーツフィルタ116に再付着することを防止できる。
さらに、電動送風機27を停止させた状態でハンドル57により掃除機本体13を把持すると、掃除機本体13が倒し状態となって各シャッタ105が自重により開口部99dを開くため、このハンドル57の把持に連動した塵落とし部119によりプリーツフィルタ116から細塵を除去することで、塵落とし部119によってプリーツフィルタ116から除去した細塵を、細塵捕集室78に確実に溜めることができる。
そして、プリーツフィルタ116の下部の傾斜板部117cが開口部99d方向へと傾斜しているため、塵落とし部119によりプリーツフィルタ116から除去されて落下した細塵が、傾斜板部117cによって開口部99dへと確実にガイドされ、この細塵を細塵捕集室78に、より確実に溜めることができる。
また、掃除機本体13は、走行状態(倒し状態)および走行停止状態を繰り返すことで前側が上下に揺動するので、この揺動に伴って集塵カップ36が上下に揺動することで、プリーツフィルタ116から除去されたにも拘らず開口部99dから細塵捕集室78へと入らなかった細塵がある場合でも、この揺動に伴って開口部99dへと運ばれるので、細塵を確実に細塵捕集室78に溜めることができる。
さらに、各シャッタ105は、掃除機本体13が倒し状態となった場合でも、開口部99dを備えた下部傾斜壁部99bに対して鋭角状となっているので、電動送風機27の駆動により各シャッタ105が負圧により開口部99dを閉塞するまでの移動量が比較的少ないため、電動送風機27を起動させると各シャッタ105が瞬時に開口部99dを閉塞するので、この電動送風機27の起動時に細塵捕集室78内に溜まった細塵が開口部99dからフィルタ取付部76側へと瞬間的に吸い出されることを、より抑制できる。
なお、上記一実施の形態において、集塵カップ36は、掃除機本体13に対して着脱できないものでもよい。
また、掃除機本体13や集塵カップ36の細部の構成は、上記に限定されるものではない。