JP2009231697A - 熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置内に搬入された基板が割れた場合に、それを装置を開けずに検知することができる技術を提供する。
【解決手段】マイクロフォン61が、フラッシュランプ41によるフラッシュ加熱処理直後の熱空間V内の音をモニタリングして音響信号を取得する。割れ発生検知部63が、マイクロフォン61により取得された音響信号(より具体的には、マイクロフォン61により取得され、フィルタ回路62により所定の周波数領域が除去された音響信号)に割れ音が含まれるか否かを判断することによって、装置内に搬入された基板Wが割れたか否かを判定する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロフォン61が、フラッシュランプ41によるフラッシュ加熱処理直後の熱空間V内の音をモニタリングして音響信号を取得する。割れ発生検知部63が、マイクロフォン61により取得された音響信号(より具体的には、マイクロフォン61により取得され、フィルタ回路62により所定の周波数領域が除去された音響信号)に割れ音が含まれるか否かを判断することによって、装置内に搬入された基板Wが割れたか否かを判定する。
【選択図】図1
Description
この発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することにより該基板を熱処理する熱処理装置、特に閃光を照射して基板を瞬間的に加熱する熱処理装置に関する。
従来より、イオン注入後の基板のイオン活性化工程においては、ハロゲンランプを使用したランプアニール装置が一般的に使用されていた。このようなランプアニール装置においては、基板を、例えば、1000℃ないし1100℃程度の温度に加熱(アニール)することにより、基板のイオン活性化を実行している。そして、このような熱処理装置においては、ハロゲンランプより照射される光のエネルギーを利用することにより、毎秒数百度程度の速度で基板を昇温する構成となっている。
一方、近年、半導体デバイスの高集積化が進展し、ゲート長が短くなるにつれて接合深さも浅くすることが望まれている。しかしながら、毎秒数百度程度の速度で基板を昇温する上記ランプアニール装置を使用して基板のイオン活性化を実行した場合においても、基板に打ち込まれたボロンやリン等のイオンが熱によって深く拡散するという現象が生ずることが判明した。このような現象が発生した場合においては、接合深さが要求よりも深くなり過ぎ、良好なデバイス形成に支障が生じることが懸念される。
このため、キセノンフラッシュランプ等を使用して基板の表面に閃光を照射することにより、イオンが注入された基板の表面のみを極めて短時間(数ミリセカンド以下)に昇温させる技術が提案されている。キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの基板の基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから基板に閃光を照射したときには、透過光が少なく基板を急速に昇温することが可能である。また、数ミリセカンド以下の極めて短時間の閃光照射であれば、基板の表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、イオンを深く拡散させることなく、イオン活性化のみを実行することができるのである。このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置の構成例は、例えば特許文献1に記載されている。
ところで、キセノンフラッシュランプのように基板に瞬間的に膨大な熱エネルギーを与える加熱態様においては、基板がその熱応力により粉々に割れることがある。また、基板に与えられるエネルギーが比較的小さくても、処理される基板に予めストレスが入っていた場合に、基板が粉々に割れてしまうことがある。
従来の装置においては、キセノンフラッシュランプ等による熱処理が実行された後、装置内から基板を搬出しようとしたにもかかわらず搬出できなかったことをもって、はじめて、熱処理において基板が割れてしまったことが判明していた。すなわち、装置を開けて(より具体的には、熱処理チャンバーを開放して)基板を取り出す動作(シーケンス)を実行してはじめて基板の割れが検出されていた。
基板が粉砕した場合、割れた基板の粉塵がパーティクルとなってチャンバー内を浮遊している。この状態でチャンバーを開放すると、チャンバー内を浮遊するパーティクルが装置外部に流出して汚染を招いてしまう。また、チャンバー内では割れた基板の砕片が八方に飛び散っているため、この状態で搬出扉等の可動部を動作させると、装置機構の隙間に砕片が入り込んで故障の原因となる可能性も高い。
このように、基板が割れた場合に装置を開けるまでそれを検知できない従来の装置構成においては、外部汚染や装置故障等の各種の問題が発生するおそれがある。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置内に搬入された基板が割れた場合に、それを装置を開けずに検知することができる技術を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、基板に対して光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、筐体内部に形成される熱空間内の所定位置に基板を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された基板と所定の距離だけ離間した位置から前記基板に向けて光を照射する1以上の光照射手段と、前記熱空間内部の音をモニタリングするモニタリング手段と、前記モニタリング手段が取得した音響信号を解析することによって、装置内に搬入された基板の割れを検知する割れ検知手段と、を備える。
請求項2の発明は、請求項1に記載の熱処理装置であって、前記モニタリング手段が取得した音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去する成分除去手段、を備え、前記割れ検知手段が、前記所定の周波数領域の成分が除去された音響信号に所定の強度値を超える成分が含まれるか否かを判断し、当該成分が含まれる場合に、装置内に搬入された基板が割れたと判断する。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の熱処理装置であって、前記1以上の光照射手段の1つが、閃光を照射するフラッシュランプ、を備える。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の熱処理装置であって、前記1以上の光照射手段の少なくとも1つが、ハロゲンランプ、を備える。
請求項5の発明は、請求項2に記載の熱処理装置であって、前記1以上の光照射手段の1つが、閃光を照射するフラッシュランプ、を備え、前記所定の周波数領域が、前記フラッシュランプを発光させた際に生じる音の周波数成分領域を含む。
請求項1〜5の発明によると、熱空間内部の音をモニタリングすることによって、装置内に搬入された基板の割れを検知する。したがって、装置内に搬入された基板が割れた場合に、それを装置を開けずに検知することができる。
特に、請求項2の発明によると、熱空間内部をモニタリングして得られた音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去する。この構成によると、装置内で検出された音のうち、特定の周波数領域のみをみて基板の割れを検知することができるので、基板の割れを効率的に検知することができる。
特に、請求項5の発明によると、熱空間内部をモニタリングして得られた音響信号から、フラッシュランプを発光させた際に生じる音に起因する成分を除去することができる。したがって、フラッシュランプを発光させた際に生じた音が、基板が割れた音として誤って検出されることがなく、基板の割れを正確に検知することができる。
この発明の実施の形態に係る熱処理装置について図面を参照しながら説明する。この発明の実施の形態に係る熱処理装置は、略円形の基板Wに閃光(フラッシュ光)を照射してその基板Wを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
〈1.熱処理装置の全体構成〉
はじめに、この発明の実施の形態に係る熱処理装置の全体構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、熱処理装置100の構成を示す側断面図である。図2(a)および図2(b)は、熱処理装置100を図1の矢印Q1方向および矢印Q2方向からそれぞれみた縦断面図である。
はじめに、この発明の実施の形態に係る熱処理装置の全体構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、熱処理装置100の構成を示す側断面図である。図2(a)および図2(b)は、熱処理装置100を図1の矢印Q1方向および矢印Q2方向からそれぞれみた縦断面図である。
熱処理装置100は、6枚の反射板11によって6角形の筒状に形成された反射体1を備える。各反射板11は反射率が十分に高い部材(例えば、アルミニウム等)により形成されている。もしくは、内側表面に反射率を高めるコーティング(例えば、金の非拡散コーティング)がなされている。後述する光照射部3,4から照射された光線の一部は、反射板11の内側表面で反射されて後述する保持部2に保持される基板Wに入射する。これによって、光照射部3,4から発生した光エネルギーが無駄なく基板Wの熱処理に用いられることになる。
また、熱処理装置100は、反射体1の筒内部(以下において「熱空間V」ともいう)において基板Wを水平に保持する保持部2を備える。保持部2は、基板Wの直径よりも若干大きな直径を有するリング状の部材であり、その内側端面には、基板Wの裏面を点で支持する支持部材21が複数個(例えば4個)形成されている。保持部2に保持される基板Wは、これら複数個の支持部材21によって裏面側から支持される。
また、熱処理装置100は、反射体1の筒内部に配置され、保持部2に保持された基板Wと所定の距離だけ離間した位置から当該基板Wに向けて光を照射することにより基板Wを加熱する2つの光照射部3,4を備える。
第1の光照射部(第1光照射部3)は、保持部2に保持された基板Wの下側であって基板Wと100mm以上離間した位置から、基板Wに向けて光を照射する。そして、その光エネルギーによって基板Wを所定の予備加熱温度(例えば、600度)まで昇温させる。第1光照射部3は、複数のハロゲンランプ31およびリフレクタ32を有する。複数のハロゲンランプ31は、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が互いに平行となるように平面状に配列されている。リフレクタ32は、複数のハロゲンランプ31の下方にそれら全体を覆うように設けられ、その表面はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
ハロゲンランプ31は、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入したものが封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプ31は、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特徴を有する。
第2の光照射部(第2光照射部4)は、保持部2に保持された基板Wの上側であって基板Wと100mm以上離間した位置から、基板W(より具体的には、第1光照射部3により予備加熱された基板W)に向けて閃光を照射する。そして、その光エネルギーによって基板Wの表面を短時間に昇温させる。第2光照射部4は、複数(例えば、30本)のキセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」という)41およびリフレクタ42を有する。複数のフラッシュランプ41は、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が互いに平行となるように平面状に配列されている。リフレクタ42は、複数のフラッシュランプ41の上方にそれら全体を覆うように設けられ、その表面はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
キセノンフラッシュランプ41は、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設されたガラス管と、該ガラス管の外周面上に巻回されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのジュール熱でキセノンガスが加熱されて光が放出される。このキセノンフラッシュランプ41においては、予め蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし10ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。
なお、光照射部3,4と保持部2との間には、光照射部3,4のそれぞれと保持部2に保持された基板Wとを分離された空間におくための雰囲気遮断部材を設けてもよい。ただし、この雰囲気遮断部材は光を透過させる部材(例えば、石英)を用いて形成する必要がある。雰囲気遮断部材を設けることによって、光照射部3,4にて発生したパーティクル等によって保持部2に保持された基板Wが汚染されるのを防止することができる。
また、熱処理装置100は、反射体1を覆う六角筒形状のチャンバー5を備える。チャンバー5は、反射体1を包囲する六角筒状のチャンバー側部51と、チャンバー側部51の上部を覆うチャンバー蓋部52、および、チャンバー側部51の下部を覆うチャンバー底部53によって構成される。チャンバー側部51には、基板Wの搬入および搬出を行うための搬送開口部511が形成されている。搬送開口部511は、軸512を中心に回動するゲートバルブ513により開閉可能とされる。搬送開口部511は、反射体1の側壁面をも貫通して形成されており、ゲートバルブ513が開放位置(図1の仮想線位置)におかれることによって、搬送開口部511を通じて反射体1の筒内部に基板Wを搬出入することが可能となる(矢印AR5)。一方、ゲートバルブ513が閉鎖位置(図1の実線位置)におかれると、チャンバー5の内部が密閉空間とされる。
また、熱処理装置100は、装置内の基板Wの割れを検出する割れ検出部6を備える。割れ検出部6の構成については後に説明する。
また、熱処理装置100は、上記の各構成を制御する制御部91と、ユーザインターフェイスである操作部92および表示部93を備える。
操作部92および表示部93はチャンバー5の外部に配置され、ユーザから各種の指示をチャンバー5の外部にて受け付ける。制御部91は、操作部92および表示部93から入力された各種の指示に基づいて熱処理装置100の各構成を制御する。また、制御部91には、後述する割れ検出部6の有するマイクロフォン61が取得した音響信号を解析することによって、装置内に搬入された基板Wの割れを検知する割れ発生検知部63が実現される。割れ発生検知部63については後に説明する。
〈2.割れ検出部6〉
基板状態判定部6の構成について、引き続き図1を参照しながら説明する。割れ検出部6は、マイクロフォン61、フィルタ回路62、および、割れ発生検知部63を備える。
基板状態判定部6の構成について、引き続き図1を参照しながら説明する。割れ検出部6は、マイクロフォン61、フィルタ回路62、および、割れ発生検知部63を備える。
〈マイクロフォン61〉
マイクロフォン61は、保持部2と第2光照射部4との間の所定位置にチャンバー側部51および反射板11を貫通して設けられた貫通孔より貫入し、その集音部が熱空間Vまで達するように貫装されている。マイクロフォン61は、熱空間V内部の音をモニタリングし、集音した熱空間V内の音を電気信号(音響信号)に変換する。マイクロフォン61によって取得された音響信号は、フィルタ回路62を介して割れ発生検知部63に送られる。
マイクロフォン61は、保持部2と第2光照射部4との間の所定位置にチャンバー側部51および反射板11を貫通して設けられた貫通孔より貫入し、その集音部が熱空間Vまで達するように貫装されている。マイクロフォン61は、熱空間V内部の音をモニタリングし、集音した熱空間V内の音を電気信号(音響信号)に変換する。マイクロフォン61によって取得された音響信号は、フィルタ回路62を介して割れ発生検知部63に送られる。
〈フィルタ回路62〉
フィルタ回路62は、マイクロフォン61が取得した音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去するフィルタ回路であり、例えば、ハイパスフィルタ(High-pass filter)により構成される。所定の周波数領域は、基板Wが割れた場合に生じる音(割れ音)に起因する音が含まれる周波数領域以外の任意の領域に設定することができる。つまり、フィルタ回路62は、マイクロフォン61が取得した音響信号から、割れ音に起因しない音を含む周波数領域の成分を除去する。
フィルタ回路62は、マイクロフォン61が取得した音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去するフィルタ回路であり、例えば、ハイパスフィルタ(High-pass filter)により構成される。所定の周波数領域は、基板Wが割れた場合に生じる音(割れ音)に起因する音が含まれる周波数領域以外の任意の領域に設定することができる。つまり、フィルタ回路62は、マイクロフォン61が取得した音響信号から、割れ音に起因しない音を含む周波数領域の成分を除去する。
後述するモニタリング期間に熱空間Vに発生し得る、割れ音以外の音としては、フラッシュランプ41を発光させた際に生じる音(フラッシュ音)が想定される。図3には、フラッシュ音のFFT(高速フーリエ変換: Fast Fourier Transform) 解析結果が模式的に示されている。ここに示されるように、フラッシュ音には、比較的低い周波数領域(およそ2KHz以下)の成分が多く含まれることがわかる。そこで、この実施の形態に係るフィルタ回路62は、マイクロフォン61が取得した音響信号から、2KHz以下の周波数領域の成分を除去することによって、フラッシュ音に起因する周波数成分を除去するものとする。
なお、後述するように、フラッシュ音と割れ音とは異なる周波数領域に分布をもち、割れ音は、フラッシュ音に比べて比較的高い周波数領域(およそ2KHz以上)の成分が多く含まれることがわかっている。したがって、2KHz以下の周波数領域の成分を除去することによって、割れ音に起因する周波数成分までもが除去されることはない。
〈割れ発生検知部63〉
割れ発生検知部63は、装置内に搬入された基板Wの割れ発生を検知する処理(割れ検知処理)を実行する処理部であり、制御部91にて実現される。割れ発生検知部63は、専用のハードウェア回路を用いて実現されてもよいし、図示しない記憶装置に格納されたプログラム(もしくは、記録媒体に格納されたプログラムを読み取ることによって取得されたプログラム)により実現されてもよい。
割れ発生検知部63は、装置内に搬入された基板Wの割れ発生を検知する処理(割れ検知処理)を実行する処理部であり、制御部91にて実現される。割れ発生検知部63は、専用のハードウェア回路を用いて実現されてもよいし、図示しない記憶装置に格納されたプログラム(もしくは、記録媒体に格納されたプログラムを読み取ることによって取得されたプログラム)により実現されてもよい。
割れ検知処理とは、具体的には、マイクロフォン61により取得された音響信号(より具体的には、マイクロフォン61により取得され、フィルタ回路62により所定の周波数領域が除去された音響信号)に割れ音が含まれるか否かを判断することによって、装置内に搬入された基板W(より具体的には、保持部2に保持された基板W)が割れたか否かを判定する処理である。以下において、状態判定処理部63が実行する割れ検知処理を、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、割れ発生検知部63が実行する判断処理の流れを示す図である。
割れ発生検知部63は、まず、マイクロフォン61により取得され、フィルタ回路62により所定の周波数領域が除去された音響信号を取得する(ステップS11)。
続いて、ステップS11で取得された音響信号に、所定の強度値を超える成分が含まれるか否かを判断する(ステップS12)。より具体的には、モニタリングされる音響信号に、強度の変化量が所定値を超える周波数領域が現れたか否かを判断する。
図5には、基板Wが割れた場合に、ステップS11で取得される音響信号の周波数成分が、模式的に例示されている。図5に示されるように、割れ音には、比較的高い周波数領域(およそ2KHz以上)の成分が多く含まれることがわかっており、基板Wが割れた場合は、この割れ音に起因する周波数成分が多く含まれることになる。したがって、基板Wが割れた場合は、ステップS12において所定の強度値を超える成分が検出されることになる。なお、ステップS11で取得される音響信号は、フラッシュ音に起因する周波数成分が除去されたものとなっているので、フラッシュ音が割れ音として誤って検出されてしまうことはない。
ステップS12で、所定の強度値を超える成分が検出された場合は、保持部2に保持されている基板Wが割れたと判断する(ステップS13)。
一方、そのような成分が含まれないと判断した場合は、モニタリングが終了しているか否かを判断し(ステップS14)、モニタリングが終了していなければ再びステップS11の処理に戻ってステップS12の判断を行う。モニタリングが終了していれば、保持部2に保持されている基板Wは割れていないと判断する(ステップS15)。
〈3.熱処理装置の動作〉
次に、熱処理装置100における基板Wの処理手順について図6を参照しながら説明する。図6は、熱処理装置100にて実行される処理の流れを示す図である。ここで処理対象となる基板Wはイオン注入法により不純物が添加された半導体基板であり、添加された不純物の活性化が熱処理装置100による熱処理により行われる。なお、以下の処理動作は、制御部91が所定のタイミングで各構成を制御することによって行われる。
次に、熱処理装置100における基板Wの処理手順について図6を参照しながら説明する。図6は、熱処理装置100にて実行される処理の流れを示す図である。ここで処理対象となる基板Wはイオン注入法により不純物が添加された半導体基板であり、添加された不純物の活性化が熱処理装置100による熱処理により行われる。なお、以下の処理動作は、制御部91が所定のタイミングで各構成を制御することによって行われる。
はじめに、イオン注入後の基板Wを熱処理装置100内に搬入する(ステップS1)。より具体的には、制御部91が駆動手段(図示省略)を制御して、ゲートバルブ513を開放位置におく。これにより搬送開口部511が開放される。続いて、装置外部の搬送ロボットが、イオン注入後の基板Wを搬送開口部511を通じてチャンバー5内に搬入して、保持部2上に載置する。基板Wが保持部2上に載置されると、制御部91が再び駆動手段(図示省略)を制御して、ゲートバルブ513を閉鎖位置におく。これにより搬送開口部511が閉鎖され、チャンバー5内部が密閉空間とされる。
続いて、保持部2に保持された基板Wを予備加熱する(ステップS2)。より具体的には、制御部91が第1光照射部3を制御して、保持部2に保持された基板Wに向けて光を照射させる。この光エネルギーによって基板Wが所定の予備加熱温度まで昇温される。このとき、第1光照射部3のハロゲンランプ31から放射される光は直接に、もしくは、反射板11やリフレクタ32等で反射されながら、保持部2に保持された基板Wへと向かい、これらの光照射により基板Wの予備加熱が行われる。
後述するフラッシュ加熱の前に第1光照射部3により基板Wを予備加熱しておくことにより、後述するフラッシュランプ41からの閃光照射において基板Wの表面温度を処理温度まで容易に上昇させることができる。特に、この実施の形態においては、ハロゲンランプ31を用いて予備加熱を行うので、ホットプレート等を用いた場合に比べて高温(例えば、600度以上)領域まで基板Wを予備昇温させておくことができる。これにより、フラッシュ加熱における昇温幅を小さくすることが可能となり、フラッシュ加熱における基板の割れの発生を抑制することができる。
続いて、保持部2に保持された基板Wをフラッシュ加熱する(ステップS3)。より具体的には、制御部91が第2光照射部4を制御して、保持部2に保持された基板Wに向けて閃光(フラッシュ光)を照射させる。この光エネルギーによって基板Wが所定の処理加熱温度まで昇温される。このとき、第2光照射部4のフラッシュランプ41から放射される光の一部は直接に保持部2に保持された基板Wへと向かい、他の一部は一旦反射板11やリフレクタ42により反射されてから基板Wへと向かう。これらの閃光照射により基板Wのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプ41からの閃光照射により行われるため、基板Wの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、第2光照射部4のフラッシュランプ41から照射される閃光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリ秒ないし10ミリ秒程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプ41からの閃光照射によりフラッシュ加熱される基板Wの表面温度は、瞬間的に所定の処理温度(例えば、1000℃ないし1100℃程度)まで上昇し、基板Wに添加された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置100では、基板Wの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、基板Wに添加された不純物の熱による拡散(この拡散現象を、基板W中の不純物のプロファイルがなまる、ともいう)を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、添加不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
続いて、マイクロフォン61が、熱空間V内部の音をモニタリングして熱空間V内の音を取得し、それを電気信号(音響信号)に変換してフィルタ回路62に送る(ステップS4)。ただし、モニタリングは、フラッシュ加熱を行う直前(もしくは同時)に開始し、フラッシュ加熱が行われた後に終了するものとする。すなわち、モニタリング時間は、フラッシュエネルギーによって基板Wが粉砕する可能性が最も高い時間帯であるフラッシュ加熱直後のタイミングを含むように設定する。
続いて、フィルタ回路62が、マイクロフォン61が取得した音響信号から所定の周波数領域(この実施の形態においては、2KHz以下の周波数領域)の成分を除去し、割れ発生検知部63に送る(ステップS5)。
続いて、割れ発生検知部63が、上述した割れ検知処理を実行する(図4参照)(ステップS6)。
ステップS6の処理で、保持部2に保持されている基板Wが割れたと判断された場合は(ステップS7でYES)、続いて、所定の警報処理(例えば、アラームを鳴動させてオペレータに基板Wが割れた旨を報知する処理)を行う(ステップS8)。
一方、ステップS6の処理で、保持部2に保持されている基板Wが割れていないと判断された場合は(ステップS7でNO)、基板Wを熱処理装置100内から搬出する(ステップS9)。より具体的には、制御部91が駆動手段(図示省略)を制御してゲートバルブ513を開放位置におく。続いて、装置外部の搬送ロボットが、基板Wを搬送開口部511を通じてチャンバー5内から搬出する。以上で、熱処理装置100における基板Wの処理が終了する。
〈4.効果〉
上記の実施の形態に係る熱処理装置100は、割れ検出部6が、熱空間V内部の音をモニタリングして、装置内に搬入された基板Wの割れ発生を検知する。したがって、装置内に搬入された基板Wが割れた場合に、それを装置を開けずに(すなわち、熱処理チャンバーを開放して基板Wを取り出す動作を実行する前に)検知することができる。
上記の実施の形態に係る熱処理装置100は、割れ検出部6が、熱空間V内部の音をモニタリングして、装置内に搬入された基板Wの割れ発生を検知する。したがって、装置内に搬入された基板Wが割れた場合に、それを装置を開けずに(すなわち、熱処理チャンバーを開放して基板Wを取り出す動作を実行する前に)検知することができる。
また、フィルタ回路62が、熱空間V内部をモニタリングして得られた音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去する。この構成によると、装置内で検出された音のうち、特定の周波数領域のみをみて割れの発生を検知することができるので、割れを効率的に検知することができる。
特に、フラッシュ音に起因する成分を含む2KHz以下の周波数領域の成分を除去するので、フラッシュ音が、割れ音として誤って検出されることがない。これによって、基板Wの割れを正確に検知することができる。
〈5.その他の実施の形態〉
上記の実施の形態においては、フィルタ回路62が、2KHz以下の周波数領域の成分を除去する構成としていたが、除去する周波数領域はこれに限らない。また、フィルタ回路62を設けない構成としてもよい。
上記の実施の形態においては、フィルタ回路62が、2KHz以下の周波数領域の成分を除去する構成としていたが、除去する周波数領域はこれに限らない。また、フィルタ回路62を設けない構成としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、チャンバー5は、六角柱であるとしたが、チャンバー5の形状はこれに限らず、各種の柱体形状(例えば、円柱、四角柱、三角柱等)であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、2つの光照射部3,4の両方が、保持部2に保持された基板Wから100mm以上離間した位置に配置されるとしたが、必ずしも両方の光照射部3,4を基板Wから100mm以上離間させなくともよい。
また、上記の実施の形態においては、第2光照射部4は、光源としてキセノンフラッシュランプを備える構成としたが、この光源としてハロゲンランプが用いられてもよい。
また、上記の実施の形態においては、第1光照射部3および第2光照射部4のそれぞれは、複数の棒状光源(ハロゲンランプ31、フラッシュランプ41)を備える構成としたが、光源は必ずしも棒状でなくともよい。例えば、渦巻き形状の光源を用いてもよい。また、複数個の点光源を規則的に配置してもよい。また、互いに異なる直径を有する複数個の円環状の光源を同心円に配置してもよい。
また、上記の実施の形態においては、保持部2は、リング状の部材により基板Wを支持する構成としたが、基板Wを保持する態様はこれに限らない。例えば、平板状の部材(例えば、石英により形成されたステージ)により基板Wを支持(面支持)する構成としてもよい。また、このような平板状の部材にさらに複数個の支持ピンを設け、これら複数個の支持ピンにより基板Wを支持(点支持)する構成としてもよい。また、各種形状のハンドにより支持する構成としてもよい。
1 反射体
2 保持部
3 第1光照射部
4 第2光照射部
5 チャンバー
6 割れ検出部
61 マイクロフォン
62 フィルタ回路
63 割れ発生検知部
91 制御部
100 熱処理装置
V 熱空間
W 基板
2 保持部
3 第1光照射部
4 第2光照射部
5 チャンバー
6 割れ検出部
61 マイクロフォン
62 フィルタ回路
63 割れ発生検知部
91 制御部
100 熱処理装置
V 熱空間
W 基板
Claims (5)
- 基板に対して光を照射することによって当該基板を加熱する熱処理装置であって、
筐体内部に形成される熱空間内の所定位置に基板を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板と所定の距離だけ離間した位置から前記基板に向けて光を照射する1以上の光照射手段と、
前記熱空間内部の音をモニタリングするモニタリング手段と、
前記モニタリング手段が取得した音響信号を解析することによって、装置内に搬入された基板の割れを検知する割れ検知手段と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記モニタリング手段が取得した音響信号から、所定の周波数領域の成分を除去する成分除去手段、
を備え、
前記割れ検知手段が、
前記所定の周波数領域の成分が除去された音響信号に所定の強度値を超える成分が含まれるか否かを判断し、当該成分が含まれる場合に、装置内に搬入された基板が割れたと判断することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1または2に記載の熱処理装置であって、
前記1以上の光照射手段の1つが、
閃光を照射するフラッシュランプ、
を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の熱処理装置であって、
前記1以上の光照射手段の少なくとも1つが、
ハロゲンランプ、
を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項2に記載の熱処理装置であって、
前記1以上の光照射手段の1つが、
閃光を照射するフラッシュランプ、
を備え、
前記所定の周波数領域が、
前記フラッシュランプを発光させた際に生じる音の周波数成分領域を含むことを特徴とする熱処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008077583A JP2009231697A (ja) | 2008-03-25 | 2008-03-25 | 熱処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008077583A JP2009231697A (ja) | 2008-03-25 | 2008-03-25 | 熱処理装置 |
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ID=41246740
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2009231697A (ja) |
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-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008077583A patent/JP2009231697A/ja active Pending
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