JP2009231465A - ステンシルマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性を保持するとともにステンシルマスクを固定するときに破損しにくいステンシルマスクを提供する。
【解決手段】 ステンシルマスク100は、枠8と、枠8によって展開されている薄層2と、薄層2の表面の一部に形成されている厚層12を備えている。厚層12が積層されていない範囲の薄層2には、開口10が形成されている。ステンシルマスク100を平面視したときの中心11から枠8の内側8aに至る任意の線分D2に沿って薄層2と厚層12aの積層を断面視したときに、その断面の重心位置G2が線分D2の中点G1よりも枠8側に位置している。ステンシルマスク100では、厚層12によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスク100を固定するときに、衝撃加速度によって生じるマスクの撓みが低減される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクに関する。特に、枠と、その枠によって展開されている薄層と、薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えているステンシルマスクに関する。
半導体装置の製造過程では、被処理基板の表面の所定領域に荷電粒子を照射する一方において、所定領域以外の範囲には荷電粒子の照射を規制する処理が必要とされる。一般的に、この種の処理では、半導体基板の表面に被覆膜を形成し、その被覆膜に開口を形成し、その開口から半導体基板の表面に不純物を導入する方法を利用することが多い。この方法では、半導体基板の表面に被覆膜を形成する工程、被覆膜に開口を形成する工程、被覆膜を除去する工程等を必要とする。そのため、製造に要する工程数が多くなる。この問題を解決するために、ステンシルマスクの開発が進められている。
ステンシルマスクとは、開口が予め形成されている遮蔽部材のことをいう。ステンシルマスクを用いる方法では、半導体基板の上方にステンシルマスクを固定し、次にステンシルマスク越しに半導体基板の表面に向けて荷電粒子を照射する。ステンシルマスクは、複数の半導体基板に対して繰返し利用される。ステンシルマスクを利用すれば、半導体基板の表面に被覆膜を形成し、その被覆膜に開口を形成し、被覆膜を除去する工程を省略することができる。このため、その半導体装置の製造に要する工程数を大幅に削減することができる。
ステンシルマスクは一般的に、枠と、枠によって展開されている薄い扁平な薄層で構成されている。薄層には、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されている。開口は荷電粒子の照射パターンに対応する形状で形成されている。
近年、半導体装置の小型化に伴い、ステンシルマスクの小型化が求められている。そのため、薄層をさらに薄く形成することが求められている。薄層が荷電粒子に晒されると、薄層が発熱する。薄層を薄く形成してゆくと、荷電粒子の照射時に薄層が熱変形しやすくなってしまう。
特許文献1に、熱変形しにくいステンシルマスクの従来例が記載されている。図9の(a)にそのステンシルマスク450の断面図を示す。図9の(b)に、そのステンシルマスク450の一部の上視図を示す。図9(a)は、図9(b)におけるIX−IX断面を含む断面図を示したものである。図9(b)は、図9(a)における範囲D3の上視図を示したものである。
ステンシルマスク450は、枠158と、枠158によって展開されている薄層152と、薄層152の表面の一部に積層されている厚層162を備えている。枠158と薄層152と厚層162は単結晶シリコンで形成されている。厚層162が積層されていない範囲の薄層152には、荷電粒子の通過を許容する開口160が形成されている。図示152aは、薄層152の側壁を示す。図示162aは、厚層162の側壁を示す。範囲D3は、枠158の内側に位置する範囲を示している。荷電粒子は図9(a)に示す断面図において、上方から照射される。
ステンシルマスク450では、厚層162の側壁162aが、薄層152の側壁152aに蓄積される熱を外部に伝熱する効果を有しており、薄層152の側壁152aの温度が上昇するのを抑制する。ステンシルマスク450では、薄層152の表面の一部に厚層162が積層されていることによって、荷電粒子の照射時に熱変形しにくい。ステンシルマスク450では、ステンシルマスクの耐熱性が向上している。
特開2006−287005号公報
荷電粒子の照射時やステンシルマスクの搬送時などでは、ステンシルマスクの枠の一部が固定用冶具によって固定されることがある。ステンシルマスクを固定するときには、固定用冶具から枠を伝ってステンシルマスクへ衝撃加速度が発生する。この衝撃加速度がマスクの破損加速度の許容範囲を超えた場合、ステンシルマスクが破損してしまう。
従来のステンシルマスク450では、耐熱性の向上を実現したものの、厚層が薄層の表面の大部分に積層されているため、ステンシルマスクを固定するときに薄層に加わる内部応力が大きく、ステンシルマスクが破損しやすいことが判明した。
本発明は、上記の課題を解決するために提案された。すなわち、本発明は、耐熱性を保持するとともにステンシルマスクを固定するときに破損しにくいステンシルマスクを提供することを目的とする。
本発明は、荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクに関する。
本発明のステンシルマスクは、枠と、枠によって展開されている薄層と、薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えている。厚層は複数形成されていてもよい。
本発明のステンシルマスクは、厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されている。開口は、開口範囲内を複数の微細な梁が網目状に繋がっているメッシュ構造をしていてもよい。
本発明の第1態様のステンシルマスクは、ステンシルマスクを平面視したときの中心(以下、ステンシルマスクの中心と記載する)から枠の内側に至る任意の線分(以下、線分と記載する)に沿って薄層と厚層の積層を断面視したときに、断面の重心位置が線分の中点よりも枠側に位置している。
本発明のステンシルマスクによると、上記の断面において、ステンシルマスクの中心側がステンシルマスクの枠側に比べて軽くなるように厚層が積層されている。このような配置で厚層が積層されていると、上記の断面において、薄層の表面の略全面に厚層が積層されている場合に比べてステンシルマスクの中心側が撓みにくい。その結果、ステンシルマスクの枠の一部を固定用冶具で固定するときに、衝撃加速度によって生じるステンシルマスクの撓みが低減される。厚層によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度によるステンシルマスクの破損が抑制される。
本発明のステンシルマスクでは、比重の異なる複数種類の材料で厚層が構成されているために、断面の重心位置が線分の中点よりも枠側に位置していることが好ましい。例えば、ステンシルマスクの中心側に積層されている厚層を、ステンシルマスクの枠側に積層されている厚層よりも比重の小さい材料で形成する。厚層を構成する材料は限定されない。また、厚層の一部に比重の異なる材料が充填されていてもよい。上記のステンシルマスクによると、厚層の大部分がステンシルマスクの中心側に積層されていても、断面の重心位置が線分の中点よりも枠側に位置するようにすることができる。厚層をステンシルマスクの中心近傍にまで積層することができるため、ステンシルマスクの中心近傍でも熱変形が起こりにくい。ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくく、かつステンシルマスクの中心側でも熱変形しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明のステンシルマスクでは、厚層に欠肉部が形成されているために、断面の重心位置が線分の中点よりも枠側に位置していることが好ましい。欠肉部は、厚層の一部が刳り貫かれた状態であってもよいし、厚層の一部が欠落して薄層が露出している状態であってもよい。上記のステンシルマスクによると、厚層の大部分がステンシルマスクの中心側に積層されていても、断面の重心位置が線分の中点よりも枠側に位置するようにすることができる。ステンシルマスクの中心近傍でも熱変形が起こりにくい。ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくく、かつステンシルマスクの中心側でも熱変形しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明のステンシルマスクでは、厚層の少なくとも一部が、薄層よりも比熱の高い材料で形成されていることが好ましい。厚層の耐熱性を高めることができる。ステンシルマスクを固定するときの衝撃加速度に対して破損しにくく、かつ熱変形しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明の第2の態様は、固定用治具に固定して用いるとともに荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクに関する。例えば、荷電粒子の照射時に固定用冶具に固定されるステンシルマスクや、ステンシルマスクの搬送時に固定用冶具に固定されるステンシルマスクに関する。ステンシルマスクが固定されるときには、枠の一部が固定される。
本発明の第2態様のステンシルマスクは、枠と、枠によって展開されている薄層と、薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えている。厚層は複数形成されていてもよい。
本発明の第2態様のステンシルマスクでは、厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されている。開口は、開口範囲内を複数の微細な梁が網目状に繋がっているメッシュ構造をしていてもよい。
本発明の第2態様のステンシルマスクでは、枠のうちの固定用治具に固定される部位に、枠よりも硬度が低い緩衝層が形成されている。緩衝層の材料や厚みは限定されない。
本発明の第2態様のステンシルマスクによると、ステンシルマスクを固定するときに、枠と固定用冶具の間に緩衝層を介してステンシルマスクが固定される。緩衝層は枠よりも硬度が低い材料で形成されているため、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度の一部が緩衝層によって吸収される。その結果、ステンシルマスクを固定するときに枠に伝わる衝撃加速度が低減される。厚層によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときの衝撃加速度に対して破損しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明の第2態様のステンシルマスクでは、緩衝層が導電性を有することが好ましい。ステンシルマスクに照射される荷電粒子は正の電荷を帯びている。そのため、緩衝層が厚い場合は、荷電粒子の照射後にステンシルマスクにチャージされた正電荷が、枠から固定用冶具を伝って外部へ流れないことがある。この場合、ステンシルマスク内でチャージアップが生じてしまう。緩衝層が導電性を有していると、緩衝層が厚い場合でも、ステンシルマスクにチャージされた正電荷が緩衝層を経由して外部へ流れるため、ステンシルマスク内でチャージアップが生じることがない。さらに、厚い緩衝層を形成することができるため、緩衝層によって衝撃加速度の一部を吸収する効果を高めることができる。
本発明の第3態様のステンシルマスクは、枠と、枠によって展開されている薄層と、薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えている。厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されている。厚層は複数形成されていてもよい。
本発明の第3態様のステンシルマスクでは、薄層と厚層が、シリコン単結晶で形成されており、薄層の表面と厚層の表面がともに(111)面であることを特徴とする。
本発明の第3態様のステンシルマスクによると、薄層と厚層が、シリコン単結晶で形成されており、薄層と厚層の表面がともに(111)面で形成されている。シリコン単結晶では、(111)面のヤング率が最も小さい。ヤング率が小さいと内部応力も小さくなるため、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度を吸収する効果が大きい。厚層によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときに破損しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明の第3態様のステンシルマスクでは、薄層の表面の結晶方位と厚層の表面の結晶方位が30度の角度で交差していることが好ましい。薄層の劈開面と厚層の劈開面が一致するように厚層が積層されていると、劈開面に沿って破損しやすい。一方、薄層の劈開面と厚層の劈開面のずれが最も大きい場合、最も破損しにくい。シリコン単結晶では、面方位が(111)面のとき、結晶方位が30度の角度で交差するように厚層が積層されているときに最も劈開面のずれが大きい。上記のステンシルマスクによると、薄層の劈開面と厚層の劈開面のずれが最も大きくなるように薄層の表面に厚層が積層されているため、劈開面に沿った破損が発生しにくい。厚層によって耐熱性が保持されるとともに、マスクを固定するときの衝撃加速度に対して破損しにくいステンシルマスクを実現することができる。
本発明の第4態様のステンシルマスクは、枠と、枠によって展開されている薄層と、薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えている。厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されている。
本発明の他のステンシルマスクは、薄層と厚層が、シリコン単結晶で形成されており、薄層の表面と厚層の表面が、(100)面又は(110)面である。さらに薄層の表面の結晶方位と厚層の表面の結晶方位が45度の角度で交差している。
単結晶シリコンでは、面方位が(100)面又は(110)面のとき、結晶方位が45度の角度で交差しているときに最も劈開面のずれが大きい。本発明の第4態様のステンシルマスクによると、薄層の劈開面と厚層の劈開面のずれが最も大きくなるように薄層の表面に厚層が積層されているため、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくい。
本発明によると、耐熱性を保持するとともにステンシルマスクを固定するときに破損しにくいステンシルマスクを提供することができる。
下記に説明する実施例の好ましい特徴を列記する。
(第1特徴) 枠の表面の一部にドットパターン状の緩衝層を形成する。
(第1実施例)
図1の(a)に、本発明の第1実施例であるステンシルマスク100の断面図を示す。図1の(b)に、ステンシルマスク100の一部の上視図を示す。図1(a)は、図1(b)におけるI−I断面を含む断面図を示したものである。図1(b)は、図1(a)における範囲D1の上視図を示したものである。
図1(a)に示すように、第1実施例のステンシルマスク100は、枠8と、枠8によって展開されている薄層2と、薄層2の表面の一部に形成されている厚層12を備えている。枠8は、シリコン酸化層4aとシリコン単結晶層6aで形成されている。厚層12は、シリコン酸化層4bとシリコン単結晶層6bで形成されている。枠8は、ステンシルマスク100の外周を一巡している。厚層12が積層されていない範囲の薄層2の一部には、開口10が形成されている。開口10の範囲内には複数の微細な梁が網目状に形成されている。梁によって個々の微細な開口に分割されている。微細な開口の集合によって開口10が形成されている。ステンシルマスクを通過した荷電粒子は梁の下方にまわりこむ。梁が微細であれば、荷電粒子の照射範囲に梁が影響しない。微細な開口の集合によって一つの開口が形成されていると説明することができる。図1(b)に示すように、ステンシルマスク100では、開口10aがメッシュ構造をしており、枠8の内側を一巡している。厚層12は、ステンシルマスク100の中心11を対称点として対称となるように配置されている。
図示D1は、枠8の内側に位置する範囲を示す。図示D2は、ステンシルマスク100の中心(図1(b)の上視図における中心)11から枠8の内側に至る線分(あるいは範囲)を示す。図示G1は、線分D2の中点を示す。図示G2は、範囲D2における薄層2と厚層12の積層物の断面の重心位置を示す。断面の重心位置G2は、中点G1よりも枠8側に位置している。なお、中心11から枠8の内側に至る任意の線分に沿って薄層2と厚層12の積層を断面視したときも、断面の重心位置G2は、中点G1よりも枠8の内側に位置している。なお、図示はしないが、薄層2の一部には、マスクを固定するときに位置決めするための微細な開口が設けられている。
ステンシルマスク100によると、範囲D2においてステンシルマスク100の中心11側が枠8側に比べて軽くなるように厚層12が配置されている。そのため、I−I断面において、薄層2の表面の略全面に厚層12が積層している場合に比べてステンシルマスク100の中心11側が撓みにくい。その結果、ステンシルマスク100を固定するときに、衝撃加速度によって生じるマスクの撓みが低減される。厚層12によって耐熱性が保持されるとともに、マスクを固定するときのステンシルマスク100の破損が抑制される。
図2の(a)に、ステンシルマスク100を固定して荷電粒子20を照射する時の模式的な斜視図を示す。図2の(b)に、ステンシルマスク100を固定して荷電粒子20を照射する時の模式的な断面図を示す。
図2(a)に示すように、荷電粒子20を照射する対象となる半導体基板14を固定する場合、第1ステージ18の表面の一部に形成されている固定台16に半導体基板14を固定する。固定台16は、静電チャックになっており、静電気力で半導体基板14を固定することができる。第1ステージ18は、固定台16に固定した半導体基板14を任意の方向へ動かすことができる。半導体基板14の上方には、ステンシルマスク100が固定されている。ステンシルマスク100の上方から荷電粒子20が照射されると、ステンシルマスク100の開口10を荷電粒子20が通過し、半導体基板14上の所定の範囲に照射される。ステンシルマスク100によって遮蔽された荷電粒子20は、半導体基板14上には照射されない。なお、図2(a)では簡略化のため、ステンシルマスク100の枠8や厚層12は図示していない。
図2(b)に示すように、ステンシルマスク100を固定する場合、ステンシルマスク100の枠8の一部を固定用冶具26で固定する。このとき、ステンシルマスク100の位置決め用開口10aの位置が半導体基板14のアライメントマーク28の位置と上下で一致するように位置決めしてから固定する。固定用冶具26は、チャック部24と第2ステージ22を備えている。チャック部24は、静電チャックになっており、静電気力でステンシルマスク100の枠8の一部を固定することができる。第2ステージ22は、水平面内で可動であり、固定したステンシルマスク100を水平面内の任意の方向へ動かすことができる。また、第2ステージ22は、内部に冷却水循環路を備えており、荷電粒子20の照射時に昇温したチャック部24を冷却する。
(第2実施例)
図3の(a)に、本発明の第2実施例であるステンシルマスク150の断面図を示す。図3の(b)に、ステンシルマスク150の一部の上視図を示す。図3(a)は、図3(b)におけるIII−III断面を含む断面図を示したものである。図3(b)は、図3(a)における範囲D1の上視図を示したものである。
図3(a)に示すように、第2実施例のステンシルマスク150は、枠38と、枠38によって展開されている薄層32と、薄層32の表面の一部に形成されている厚層42を備えている。枠38は、ステンシルマスク100の枠8と同様であるため、説明を省略する。厚層42は、シリコン酸化層34bとシリコン単結晶層36bとシリコン酸化層34cと球形シリカの充填層39で形成されている。球形シリカの充填層39は厚層42の一部に形成されている。球形シリカの充填層39の表面は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されたシリコン酸化層34cでキャッピングされている。枠38は、ステンシルマスク150の外周部を一巡している。厚層42が積層されていない範囲の薄層32の一部には、開口40aと開口40bが形成されている。図示D1は、枠38の内側に位置する領域を示す。図示D2は、ステンシルマスク150の中心(図3(b)の上視図の中心)41から枠38の内側に至る線分(あるいは範囲)を示す。図示G1は、線分D2の中点を示す。図示G3は、範囲D2における薄層32と厚層42の積層物の断面の重心位置を示す。図示G4は、球形シリカの充填層39が全てシリコン単結晶層であると仮定したときの、範囲D2における前記断面の重心位置を示す。断面の重心位置G3は、中点G1よりも枠38側に位置している。
球形シリカの充填層39はシリコン単結晶層36bが積層されている部分に比べて比重が小さい。そのため、ステンシルマスク150によると、断面の重心G3の位置が、球形シリカの充填層39が全て単結晶シリコン層であると仮定したときの断面の重心位置G4に比べて、中点G1よりも枠38側に位置している。厚層42をステンシルマスクの中心41近傍にまで積層することができる。ステンシルマスク150では、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくく、かつステンシルマスクの中心11側でも熱変形しにくい。
(第3実施例)
図4の(a)に、本発明の第3実施例であるステンシルマスク200の断面図を示す。図4の(b)に、ステンシルマスク200の一部の上視図を示す。図4(a)は、図4(b)におけるIV−IV断面を含む断面図を示したものである。図4(b)は、図4(a)における範囲D1の上視図を示したものである。
ステンシルマスク200は、枠58と、枠58によって展開されている薄層52と、薄層52の表面の一部に形成されている厚層62を備えている。枠58は、シリコン酸化層54aとシリコン単結晶層56aで形成されている。薄層52はシリコン単結晶で形成されている。厚層62は、シリコン酸化層54bとシリコン単結晶層56bで形成されている。厚層62の一部は刳り貫かれており、欠肉部62aが形成されている。図示D1は、枠8の内側に位置する領域を示す。図示D2は、ステンシルマスク200の中心から枠58の内側に至る線分(あるいは範囲)を示す。図示G1は、線分D2の中点を示す。図示G5は、範囲D2の断面の重心位置を示す。図示G6は、厚層62に欠肉部62aが形成されていないと仮定したときの、範囲D2における断面の重心位置を示す。仮定した断面の重心位置G6は、中点G1よりも枠58側に位置している。
ステンシルマスク200によると、厚層の一部に欠肉部62aが形成されているため、断面の重心位置G5が、厚層62に欠肉部62aが形成されていないと仮定したときの断面の重心位置G6に比べて枠58側に位置している。その結果、重心位置G5は中点G1よりも枠58側に位置している。厚層62をステンシルマスクの中心61近傍にまで積層することができる。ステンシルマスク200では、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくく、かつステンシルマスクの中心61側でも熱変形しにくい。
(第4実施例)
図5に、本発明の第4実施例であるステンシルマスク250が固定されているときの一部断面図を示す。
ステンシルマスク250は、枠78と、枠78によって展開されている薄層72と、薄層72の表面の一部に形成されている厚層82を備えている。枠78は、シリコン酸化層74aとシリコン単結晶層76aで形成されている。厚層82は、シリコン酸化層74bとシリコン単結晶層76bで形成されている。薄層72はシリコン単結晶で形成されている。厚層82が積層されていない範囲の薄層72に、荷電粒子の通過を許容する開口80が形成されている。枠78の表面の一部には緩衝層79が形成されている。緩衝層79は、単結晶シリコンより柔らかいアルミニウムで形成されている。アルミニウムはペースト状の材料を用い、スクリーン印刷やインクジェット印刷などを用いて塗布する。図示81は、ステンシルマスク250の枠78の一部を固定している固定用冶具のチャック部を示す。ステンシルマスク250は、枠78とチャック部81の間に緩衝層79を介して固定されている。
ステンシルマスク250によると、枠78をチャック部81に固定するときに、衝撃加速度の一部が緩衝層79によって吸収される。枠78に伝わる衝撃加速度が低減されるため、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度に対して破損しにくい。ステンシルマスク250では、厚層82によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度によるステンシルマスクの破損が抑制される。
(第5実施例)
図6に、本発明の第5実施例であるステンシルマスク300が固定されているときの一部断面図を示す。
ステンシルマスク300は、枠78と、枠78によって展開されている薄層72と、薄層72の表面の一部に形成されている厚層82を備えている。枠78と厚層82の構造はステンシルマスク250と同様であるため説明を省略する。枠78の表面の一部には緩衝層89が形成されている。緩衝層89は、ドットパターン状に形成されている。緩衝層89は、シリコン単結晶より柔らかい導電性樹脂で形成されている。導電性樹脂の比抵抗は10Ω・cm以下であればよい。ステンシルマスク300は、枠78とチャック部81の間に緩衝層89を介して固定されている。
ステンシルマスク300によると、枠78をチャック部81に固定するときに、衝撃加速度の一部が緩衝層89によって吸収される。緩衝層89は、ドットパターン状になっているため、水平方向に対する衝撃吸収率が大きい。ステンシルマスク300では、厚層82によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときに発生する衝撃加速度によるステンシルマスクの破損が抑制される。
(第6実施例)
図7の(a)に、本発明の第6実施例であるステンシルマスク350の断面図を示す。図7の(b)に、シリコン単結晶の(111)面における劈開面を示す。図7の(c)に、2つのシリコン単結晶層の(111)面を30度の角度で交差させたときの劈開面の重なりを示す。破線は重ね合わせた層の劈開面を示す。
ステンシルマスク350は、枠108と、枠108によって展開されている薄層102と、薄層102の表面の一部に形成されている厚層112を備えている。枠108は、シリコン酸化層104aとシリコン単結晶層106aで形成されている。薄層102は、シリコン単結晶で形成されている。厚層112は、シリコン酸化層104bとシリコン単結晶層106bで形成されている。厚層112が積層されていない範囲の薄層102に、荷電粒子の通過を許容する開口110が形成されている。ステンシルマスク350では、薄層102の表面と厚層112の表面が(111)面であり、薄層102の表面の結晶方位と厚層112の結晶方位が30度の角度で交差している。図7(c)に示すように、単結晶シリコンでは、面方位が(111)面のとき、結晶方位が30度の角度で交差するように厚層112が積層されているときに最も劈開面のずれが大きい。ステンシルマスク350は、例えば、2つのSOI基板を貼り合わせることによって形成することができる。
ステンシルマスク350によると、薄層102の表面が、シリコン単結晶におけるヤング率の最も小さい(111)面で形成されているため、衝撃加速度を吸収する効果が大きい。さらに、薄層102の劈開面と厚層112の劈開面のずれが最も大きくなるように薄層102の表面に厚層112が積層されているため、劈開面に沿った破損が発生しにくい。ステンシルマスク350では、厚層112によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときの衝撃加速度に対して破損しにくい。
(第7実施例)
図8の(a)に、本発明の第6実施例であるステンシルマスク400の断面図を示す。図8の(b)に、シリコン単結晶の(100)面における劈開面を示す。図8の(c)に、2つのシリコン単結晶層の(100)面を45度の角度で交差させたときの劈開面の重なりを示す。破線は重ね合わせた層の劈開面を示す。図8の(d)に、シリコン単結晶の(110)面における劈開面を示す。図8の(e)に、2つのシリコン単結晶層の(110)面を45度の角度で交差させたときの劈開面の重なりを示す。破線は重ね合わせた層の劈開面を示す。
ステンシルマスク400は、枠128と、枠128によって展開されている薄層122と、薄層122の表面の一部に形成されている厚層132を備えている。枠128は、シリコン酸化層124aとシリコン単結晶層126aで形成されている。薄層122は、シリコン単結晶で形成されている。厚層132は、シリコン酸化層124bとシリコン単結晶層126bで形成されている。厚層132が積層されていない範囲の薄層122に、荷電粒子の通過を許容する開口130が形成されている。ステンシルマスク350では、薄層122の表面と厚層132の表面が(100)面であり、薄層122の表面の結晶方位と厚層132の結晶方位が45度の角度で交差している。図8(c)に示すように、単結晶シリコンでは、面方位が(100)面のとき、結晶方位が45度の角度で交差するように厚層132が積層されているときに最も劈開面のずれが大きい。薄層122の表面と厚層132の表面は(110)面であってもよい。また、薄層122の表面と厚層132の表面のうち、一方が(100)面であり、他方が(110)面であってもよい。ステンシルマスク400は、例えば、2つのSOI基板を貼り合わせることによって形成することができる。
ステンシルマスク400によると、薄層122の劈開面と厚層132の劈開面のずれが最も大きくなるように薄層122の表面に厚層132が積層されているため、劈開面に沿った破損が発生しにくい。ステンシルマスク400では、厚層132によって耐熱性が保持されるとともに、ステンシルマスクを固定するときの衝撃加速度に対して破損しにくい。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
(a)は、本発明の第1実施例であるステンシルマスク100の断面図を示す。(b)は、ステンシルマスク100の一部上視図を示す。 (a)は、ステンシルマスク100を固定して荷電粒子20を照射する時の模式的な斜視図を示す。(b)は、ステンシルマスク100を固定して荷電粒子20を照射する時の模式的な断面図を示す。 (a)は、本発明の第2実施例であるステンシルマスク150の断面図を示す。(b)は、ステンシルマスク150の一部上視図を示す。 (a)は、本発明の第3実施例であるステンシルマスク200の断面図を示す。(b)は、ステンシルマスク200の一部上視図を示す。 本発明の第4実施例であるステンシルマスク250の一部断面図を示す。 本発明の第5実施例であるステンシルマスク300の一部断面図を示す。 (a)は、本発明の第5実施例であるステンシルマスク350の断面図を示す。(b)は、単結晶シリコンの(111)面における劈開面を示す。(c)は、単結晶シリコンの(111)面同士を30度の角度で交差させたときの各々の劈開面を示す。 (a)は、本発明の第6実施例であるステンシルマスク400の断面図を示す。(b)は、単結晶シリコンの(100)面における劈開面を示す。(c)は、単結晶シリコンの(100)面同士を45度の角度で交差させたときの各々の劈開面を示す。(d)は、単結晶シリコンの(110)面における劈開面を示す。(e)は、単結晶シリコンの(110)面同士を45度の角度で交差させたときの各々の劈開面を示す。 (a)は、従来のステンシルマスク450の断面図を示す。(b)は、ステンシルマスク450の一部上視図を示す。
符号の説明
2、32、52、72、102、122、152:薄層
4a、4b、34a、34b、34c、54a、54b、74a、74b、124a、124b:シリコン酸化層
6a、6b、36a、36b、56a、56b、76a、76b、126a、126b:シリコン単結晶層
8、38、58、78、108、128、158:枠
8a、38a、58a:枠の内側
10、10a、40、60、80、110、130、160:開口
11、41、61:ステンシルマスクの中心
12、42、62、82、112、132、162:厚層
62a:欠肉部
14:半導体基板
16:固定台
18:第1ステージ
20:荷電粒子
22:第2ステージ
24、81:チャック部
26:固定用冶具
10a:アライメントマーク
39:球形シリカの充填層
79、89:緩衝層
100、150、200、250、300、350、400、450:ステンシルマスク
152a:薄層の側壁
162a:厚層の側壁

Claims (9)

  1. 荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクであり、
    枠と、その枠によって展開されている薄層と、その薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えており、
    厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されており、
    そのステンシルマスクを平面視したときの中心から枠の内側に至る任意の線分に沿って薄層と厚層の積層を断面視したときに、その断面の重心位置が前記線分の中点よりも枠側に位置していることを特徴とするステンシルマスク。
  2. 前記厚層が、比重の異なる複数種類の材料で構成されているために、前記断面の重心位置が前記線分の中点よりも枠側に位置していることを特徴とする請求項1のステンシルマスク。
  3. 前記厚層に欠肉部が形成されているために、前記断面の重心位置が前記線分の中点よりも枠側に位置していることを特徴とする請求項1のステンシルマスク。
  4. 前記厚層の少なくとも一部が、前記薄層よりも比熱の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のステンシルマスク。
  5. 固定用治具に固定して用いるとともに荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクであり、
    枠と、その枠によって展開されている薄層と、その薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えており、
    厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されており、
    前記枠のうちの前記固定用治具に固定される部位に、前記枠よりも硬度が低い緩衝層が形成されていることを特徴とするステンシルマスク。
  6. 前記緩衝層が導電性を有することを特徴とする請求項5のステンシルマスク。
  7. 荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクであり、
    枠と、その枠によって展開されている薄層と、その薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えており、
    前記薄層と厚層は、シリコン単結晶で形成されており、
    厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されており、
    前記薄層の表面と前記厚層の表面が、(111)面であることを特徴とするステンシルマスク。
  8. 前記薄層の表面の結晶方位と前記厚層の表面の結晶方位が30度の角度で交差していることを特徴とする請求項7のステンシルマスク。
  9. 荷電粒子の照射範囲を規制するステンシルマスクであり、
    枠と、その枠によって展開されている薄層と、その薄層の表面の一部に積層されている厚層を備えており、
    前記薄層と厚層は、シリコン単結晶で形成されており、
    厚層が積層されていない範囲の薄層に、荷電粒子の通過を許容する開口が形成されており、
    前記薄層の表面と前記厚層の表面が、(100)面又は(110)面であり、
    薄層の表面の結晶方位と厚層の表面の結晶方位が45度の角度で交差していることを特徴とするステンシルマスク。
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