JP2009231397A - 照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体発光素子の温度上昇を抑制して発光効率を維持しやすい照明装置を提供する。
【解決手段】請求項1記載の発明は、半導体発光素子11と;半導体発光素子がダイボンドされた先端面から一面に至るに従い次第に太くした素子取付け部を一体に有する放熱基板2と;前記素子取付け部の先端面側から放熱基板の一面側にいくに従って小さくなるように形成された逃げ孔を有し、前記放熱基板に配設された絶縁層5と;この絶縁層上に設けられた導体8と;この半導体発光素子と前記導体とを接続したボンディングワイヤ17と;前記半導体発光素子を封止して設けた透光性の封止部材22と;を具備したことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、LED(発光ダイオード)チップ等の半導体発光素子を発光させて照明をする照明装置に関する。
従来、例えば縦横に列をなして二次元配列された複数のLEDチップを電気的に接続して、これらのチップを発光させて、面状光源として用いる照明装置が知られている。そして、光源がLEDチップである照明装置では、LEDチップが発した熱を外部に放出するために金属ベースプリント基板が用いられている。このプリント基板は、アルミニウム等の金属板上に絶縁層を積層するとともに、この絶縁層上に導体パターンを設けて形成され、LEDチップは、絶縁層上にフリップチップ実装又はワイヤボンディングによって実装されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−193357号公報(段落0002、0013、0038、図1−図7)
前記のように従来の照明装置では、LEDチップとこれからの放熱促進を担う金属板との間に絶縁層が介在されている。絶縁層の厚みは、この絶縁層の両面に位置された金属板と導体パターンとの間の電気絶縁を確保する上で、現状では0.25mm以上必要であるとされている。絶縁層は金属材料に比較して遥かに熱伝導率が低い。特許文献1に記載のように絶縁層を、熱硬化性樹脂に無機質のフィラーを混ぜて熱伝導率を改善した構成としても、依然として金属材料と比較した場合には熱伝導率が低いことには変わりがない。そのため、LEDチップの温度上昇を十分に抑制し難く、LEDチップの発光効率を維持する上では改善の余地がある。
本発明の目的は、半導体発光素子の温度上昇を抑制して発光効率を維持しやすい照明装置を提供することにある。
請求項1の発明は、半導体発光素子と;半導体発光素子がダイボンドされた先端面から一面に至るに従い次第に太くした素子取付け部を一体に有する放熱基板と;前記素子取付け部の先端面側から放熱基板の一面側にいくに従って小さくなるように形成された逃げ孔を有し、前記放熱基板に配設された絶縁層と;この絶縁層上に設けられた導体と;この半導体発光素子と前記導体とを接続したボンディングワイヤと;前記半導体発光素子を封止して設けた透光性の封止部材と;
を具備したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の照明装置において、前記絶縁層を前記放熱基板に接着して積層するとともに、この接着に用いた接着剤の余剰分を前記逃げ孔に食み出させたことを特徴とする。
放熱基板としては、金属基板又は炭素系基板を挙げることができる。金属基板は、各種の金属材料で形成でき、例えば、熱伝導性に優れたCu(銅)やAl(アルミニウム)及びその合金等を好適に用いることができる。炭素系基板はカーボン又はグラファイトで形成できる。放熱基板として炭素系基板を用いる場合、炭素系粉末材料を成形型によって圧縮成形できる。このため、放熱基板が例えば凸部で形成される素子取付け部を有した構成であっても、凸部を形成するのにエッチング処理等を要することがなく、型成形によって凸部からなる素子取付け部を有した所定形状の放熱基板を容易に作ることができる利点がある。これとともに、放熱基板として炭素系基板を用いることは、昨今の銅価格の高騰の影響を受けない放熱基板とできる点で好ましい。
放熱基板の素子取付け部は、絶縁層に覆われない部位を指している。放熱基板が金属基板である場合、絶縁層で覆われた金属基板の部位の厚みは0.25mm〜0.50mmとすることが好ましく、それにより、前記部位の厚み寸法の精度を向上できるに伴い、ボンディングワイヤと導体とがワイヤボンディングにより接合された接合部の接合強度のばらつきが抑制されて、接合の信頼性を向上できる。
絶縁層にはガラスエポキシ基板を好適に用いることができるとともに、良好な光反射性能を得るために白色を呈する絶縁層を使用することが好ましい。例えば、白色のガラスエポキシ基板からなる絶縁層を用いた場合には、半導体発光素子からその周囲に放出された光が、絶縁層で吸収されることが抑制されて、この白色の絶縁層で反射されるから、光の取出し効率を高めるのに有効である。
導体は、例えばCu(銅)やAg(銀)等の電気伝導率が良い金属からなり、例えば放熱基板が金属基板である場合はエッチング処理により設けることができるが、これ以外に接着剤を用いて絶縁層上に設けられたものであってもよい。この導体の表面にレジスト層を塗布することもできる。レジスト層で導体を覆った構成では、導体の絶縁性を向上できるとともに、導体の耐マイグレーション性の向上と、導体の酸化等を抑制できる点で好ましい。
半導体発光素子には、例えば青色発光する青色LEDチップ、紫外光を発する紫外LEDチップ等を好適に用いることができるが、青色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップのうちの少なくとも二種のLEDチップを組み合わせて用いることも可能である。そして、例えば発光源に青色LEDチップを用いて白色発光をする照明装置とする場合には、青色の光で励起されて主として黄色の光を放射する蛍光体が混ぜられた封止部材を用いればよく、或いは、紫外光により励起されて主として赤色の光を放射する蛍光体、紫外光により励起されて主として緑色の光を放射する蛍光体、及び紫外光により励起されて主として黄色の光を放射する蛍光体が夫々混ぜられた封止部材を用いればよい。
素子取付け部に半導体発光素子をダイボンドするには、ダイボンド材(接着剤)を用いる。このダイボンド材の厚みは接着機能を失わない範囲で10μm以下にするとよい。又、光の取出し性能をより向上させる上では、ダイボンド材を透光性として、半導体発光素子から放射された光の一部を素子取付け部で反射させることが好ましい。又、半導体発光素子を外気及び湿気から遮断してこの素子の寿命低下を防ぐ透光性の封止部材には、透光性の合成樹脂、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる他、樹脂以外の封止部材として透明な低融点ガラスを用いることもできる。
請求項1の発明の照明装置は、導体及びボンディングワイヤを介して半導体発光素子に通電することにより、この素子を発光させ、その光を封止部材に透過させて外部に取出し、その取出し方向の照明を行う。この点灯時に、導体と放熱基板との間の電気的絶縁を担う絶縁層は、放熱基板と半導体発光素子との間には介在されておらず、又、半導体発光素子は放熱基板と一体の素子取付け部に直接ダイボンドされている。そのため、点灯時に半導体発光素子が発する熱は、絶縁層に邪魔されることなく放熱基板に直接的に伝導する。従って、半導体発光素子の熱が、高効率で放熱基板に伝わってこの放熱基板から外部に放出されるので、半導体発光素子の温度上昇を効果的に抑制できる。
放熱基板の凸部からなる素子取付け部は、レーザ光を用いた加工、機械加工等で形成できる他、エッチング処理等でも形成できる。素子取付け部の断面積が、絶縁層が接着された放熱基板の一面に近付く程大きいので、半導体発光素子から放熱基板の裏面に向けての熱伝導がより容易となる。さらに、前記凸部からなる素子取付け部が通る逃げ孔は、素子取付け部の先端面側から放熱基板の一面側にいくに従って小さくなるようにテーパ状に形成されている。そうすると、半導体発光素子を封止する透光性の封止部材は、前記逃げ孔に進入する際にテーパ状部分を沿って流れて進入するため、前記逃げ孔のテーパ部と素子取付け部との隙間に溜まった空気が、この進入によって封止部上方に流出して、この封止部材内に気泡となって留まることが抑制される。この気泡は、半導体発光素子の光を散乱させて発光効率を低減される要因になっていたが、この気泡を低減することができたので、発光効率の低下を抑制することができる。
接着剤には、ペースト状の接着剤又はシート状の接着剤(接着シート)等を用いることができるとともに、この接着剤は放熱基板の素子取付け部を除いた領域に配置して使用されるものである。凸部からなる素子取付け部が通る絶縁層の逃げ孔によって、放熱基板に絶縁層を接着する際に、逃げ孔が素子取付け部に嵌合するので、放熱基板に対する絶縁層の位置決めがしやすい。これにより、絶縁層が素子取付け部に当たらないようにして、放熱基板に絶縁層を適正に積層させることができる。そして、逃げ孔を接着剤の余剰分が収容される接着剤溜まりとして利用することができる。
請求項2の発明において、逃げ孔に対する余剰分の高さ位置は、絶縁層の表面と同じ高さ以下であればよいが、絶縁層の表面と同じ高さに近くなるようにすることは、未硬化の封止部材を充填する際に、空気が逃げ孔内に溜まり難くできる点で好ましい。逃げ孔に食み出した接着剤の食み出し部によって、素子取付け部の周面に対しても絶縁層が接着される場合には、放熱基板に対する絶縁層の積層強度を向上できる。その上、逃げ孔によって素子取付け部と絶縁層上の導体との間の沿面距離を長くして、これらの間の電気的絶縁を確保することもできる。接着剤が乳白色ないしは白色である場合には、半導体発光素子からその周囲に放射された光を、逃げ孔に溜められた接着剤によって反射させて取出せるので、光の取出し効率を高めるのに寄与できる。
請求項1の発明によれば、半導体発光素子の熱を直接的に放熱基板に伝えて放出するとともに気泡の発生を抑制することにより、半導体発光素子の温度上昇を抑制し半導体発光素子の発光効率を維持することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、更に、放熱基板に絶縁層を適正に積層させることができるとともに、絶縁層の逃げ孔を放熱基板に絶縁層を積層する接着剤の食み出し部を収容する接着剤溜まりとして利用できる。
図1〜図3を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1中符号1は例えばLEDパッケージを形成する照明装置を示している。この照明装置1は、例えばパッケージ基板として機能する放熱基板例えば金属基板2と、絶縁層5と、複数の導体8と、複数のLEDチップ例えば半導体発光素子11と、ボンディングワイヤ17と、リフレクタ20と、封止部材22と、を備えて形成されている。
金属基板2は、Cuからなるとともに、照明装置1として必要とされる発光面積を得るために所定形状例えば長方形状をなしている。金属基板2は、これと一体の凸部からなる素子取付け部3を例えば半導体発光素子11と同数有している。
なお、本発明は、素子取付け部3に一個の半導体発光素子11を取付けることに制約されることはなく、一つの素子取付け部3に複数個の半導体発光素子11を並べて取付けることも可能である。その場合、同じ色を発する複数個の半導体発光素子11であっても、或いは異なる色を発する複数個の半導体発光素子11であってもよい。異なる色を発する複数個の半導体発光素子11を一つの素子取付け部3に取付ける場合には、赤色、黄色、青色の光を発する3個の半導体発光素子11を並べて取付けることもできる。そして、一つの素子取付け部3に複数個の半導体発光素子11を並べて取付けた構成においては、照明装置1の全光束を向上させることが可能である。
金属基板2の素子取付け部3以外の部位からなる基板主部2a(図2参照)の厚みAは例えば0.25mmである。素子取付け部3が設けられていない基板主部2aの裏面は、放熱面又は他の放熱部材に面接触する伝熱面として用いられる。
素子取付け部3は基板主部2aの表面(一面)に突設されている。図2で代表して示すように素子取付け部3の先端面3aは前記一面と平行な平坦面をなしている。素子取付け部3はその先端面3aから金属基板2の一面に至るに従い次第に太く形成されている。言い換えれば、素子取付け部3は、その高さ方向と直交する断面積が先端面3aから金属基板2の一面に至るに従い次第に大きくなる円錐台状に形成されている。そのため、素子取付け部3の最大径をなす根元部の周面は基板主部2aとの間に角を作ることなく弧状となって基板主部2aの表面に連続している。
表面素子取付け部3の先端面3aには光反射層4が被着されている。光反射層4は、Agの薄膜からなり、その厚みBは0.003mm〜0.005mmである。これとともに、Ag製光反射層4の光反射率は90%以上である。光反射層4を含めた素子取付け部3の高さは、半導体発光素子11の表面(図2において上面)の高さ位置が導体8の高さ位置以上になることを満たせば、絶縁層5の表面(図2において上面)の高さ位置より低くても差し支えないが、絶縁層5の表面の高さ位置と同じかそれ以上高くすることが好ましく、本実施形態では絶縁層5上の導体8の表面(図2において上面)の高さ位置より高くしてある。
絶縁層5には光反射性能を得るために例えば白色のガラスエポキシ基板が用いられている。絶縁層5の厚みBは、最小で0.060mmあればよく、本実施形態では例えば0.25mmにしてある。この絶縁層5は、図2及び図3で代表して示すように素子取付け部3が通る逃げ孔6を有している。
この逃げ孔6は例えば円形で、その直径は素子取付け部3の最大径をなす根元部の直径より大きい。さらに、素子取付け部の先端面側から放熱基板の一面側(素子取付け部3の最大径をなす根元部)にいくに従って小さくなるようにテーパ状に形成されている。そして、この逃げ孔6は素子取付け部3と同数設けられている。なお、本実施例では絶縁層5を一層としたが、これは二層とすることもできる。例えば前記最小厚みでの実施では、厚み0.030mmのガラスエポキシ基板を二枚積層したものを用いることが可能である。それにより、一層の絶縁層よりも高い絶縁耐圧を確保できる。
絶縁層5は基板主部2aの表面(一面)に接着剤7を用いて貼り合わせることにより金属基板2に積層されている。接着剤7は、絶縁性であって、絶縁層5と基板主部2aとの間に例えば0.005mm以下の膜厚Cで設けられる。絶縁層5の接着において、絶縁層5の各逃げ孔6は各素子取付け部3に夫々嵌合するので、絶縁層5は金属基板2に素子取付け部3を除いて積層され、それにより、素子取付け部3は逃げ孔6に露出されている。
前記嵌合により絶縁層5が素子取付け部3に当たらないので、絶縁層5が金属基板2に対して浮くようなことがなく適正に重ね合わされるとともに、金属基板2に対し絶縁層5が位置決めされる。言い換えれば、凸部からなる素子取付け部3が通る絶縁層5の逃げ孔6によって、金属基板2へ絶縁層5を接着する際に、この絶縁層5が素子取付け部3に当たらないようにして、金属基板2に絶縁層5を適正に積層させることができる。
そして、前記貼り合わせにおいて接着剤7の塗布量が多く余剰を生じた場合、その余剰分7a(図2及び図3参照)の一部は、張り合わせの際に加えられる圧力によって逃げ孔6に押し出される。より正確には、素子取付け部3の形状に起因して、この素子取付け部3の側面と逃げ孔6との間に必然的に形成される環状の隙間に、余剰分7aからなる食み出し部が押し出されてそこに溜められて固化される。それにより、絶縁層5は、素子取付け部3の側面に対しても接着されるので、積層強度が高められる。しかも、余剰分7aは体積固有抵抗が10−2〜10−15Ω・mの絶縁層として機能するので、後述のように導体8が装着された絶縁層5と素子取付け部3の側面との間の耐電圧を向上できる。
複数の導体8は、各半導体発光素子11への通電要素としてこれら半導体発光素子11を直列に接続するために設けられ、絶縁層5の基板主部2aに接着された裏面とは反対側の面にエッチング処理等により形成されている。これらの導体8は、Cuからなり、絶縁層5を基板主部2aに貼り合わせる前に設けられる。図1に示すように各導体8は、絶縁層5の長手方向に所定間隔毎に点在して二列形成されている。各列での複数の導体8は例えば4mmピッチで各逃げ孔6と交互に並べられている。これら列の一端側に位置した導体8には電線接続部9が一体に連続して形成されている。これら電線接続部9の夫々には図示しない電源にいたる電線が個別に半田付けされる。
図2及び図3で代表して示すように各導体8は、逃げ孔6の縁には達しておらず、この逃げ孔6の縁から所定距離隔てられている。それにより、導体8の端8aとこれに最も近接している逃げ孔6の縁との間に、白色の絶縁層5の一部が露出されている。ここに、導体8の端8aとは、正確には、導体8に被着された後述の光反射層10の端を指している。なお、符号5aで絶縁層5の露出面を示す。そのため、導体8の端8aと素子取付け部3との間に前記環状の隙間より大きい絶縁距離を確保することができるとともに、露出面5aでもそこに入射した光を光の取出し方向に反射させることができる。
導体8の端8aは、半導体発光素子11の後述する電極14又は15から0.25mm〜6.0mmの距離Dを隔てて位置される。各導体8の表面にはAgの光反射層10が被着されている。この光反射層10は、反射率が90%以上のAgの薄膜からなり、その厚みは0.003mm〜0.005mmである。光反射層10を含めた導体8の厚みGは0.012mm〜0.018mmである。各導体8上の光反射層10及び各素子取付け部3の光反射層4は、いずれも例えばメッキ処理により一度に設けることができる。この場合、導体8及び素子取付け部3がCu製であるので、これらをメッキ浴することなく、光反射層10及び4をメッキ処理して設けることが可能である。なお、光反射層10の表面にレジスト膜を積層することも可能である。
各半導体発光素子11は例えば青色LEDチップからなる。このLEDチップは、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型であって、図2に示すように透光性を有する素子基板12の一面に半導体発光層13を積層して形成されている。素子基板12は例えばサファイア基板で作られている。半導体発光層13は、素子基板12の裏面にバッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウエル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n形半導体層にはn側電極14が設けられ、p形半導体層にはp側電極15が設けられている。この半導体発光層13は反射膜を有しておらず、半導体発光素子11の厚み方向の双方に光を放射できるとともに、素子基板12の側面から側方へも光を放射できる。
これらの半導体発光素子11は、素子基板12の前記一面と平行な他面を接着剤例えば透光性のシリコーン樹脂からなるダイボンド材16を用いて各素子取付け部3の先端面3aにダイボンドされている。それによって、各半導体発光素子11は、各導体8と同じく例えば4mmピッチで、これら導体8と交互に配置されている。
ダイボンド材16の厚みHは0.10mm以下である。ダイボンド材16は半導体発光素子11から素子取付け部3への伝熱の抵抗部材となるが、以上のようにきわめて薄いので、このダイボンド材16での熱抵抗は実質的に無視できる程度である。ダイボンド材16の厚みHは、接着性能を失わない範囲でできるだけ薄くすることが望ましい。
半導体発光素子11の半導体発光層13と素子取付け部3との間の絶縁耐圧は、ダイボンド材16だけではなく、このダイボンド材16よりもはるかに厚いサファイア製の素子基板12で確保されている。ダイボンド材16を含めた半導体発光素子11の厚みIは例えば0.09mmである。こうした半導体発光素子11を用いることによって、半導体発光層13の高さ位置は導体8表面の光反射層10より高く位置されており、しかも、本実施形態では半導体発光素子11全体が導体8表面の光反射層10より高く位置されている。
こうした高さの差によって、後述のワイヤボンディングにおいて、ボンディングマシンでボンディングワイヤの一端を半導体発光層13の電極14,15にボールボンディングにより接合した後に、このボンディングワイヤの他端を導体8に接合する際、ボンディングマシンのボンディングツールの移動に絶縁層5が邪魔になり難く、又、ボンディングワイヤを斜め下方に無理に引くこともないので、ワイヤボンディングがし易い。
更に、本実施形態のように半導体発光素子11全体が絶縁層5の表面よりも高い位置に配置されている好ましい構成では、半導体発光素子11からその周囲に放射される光が、絶縁層5に妨げられることなく、逃げ孔6の周りに差し込み易い。それにより、半導体発光素子11の周りで光を反射させて光を取出すことができるので、光の取出し効率を高めることができる点で有利である。
金属基板2の長手方向に交互に配置された導体8と半導体発光素子11とは、ワイヤボンディングにより設けられたボンディングワイヤ17で接続されている。更に、前記二列の導体列の他端側に位置した導体8同士は、図1に示すようにワイヤボンディングにより設けられた端部ボンディングワイヤ18で接続されている。従って、本実施形態の場合、各半導体発光素子11は電気的に直列に接続されている。
以上の光反射層4を有した金属基板2、光反射層10を有した導体8付きの絶縁層5、複数の半導体発光素子11、ボンディングワイヤ17、及び端部ボンディングワイヤ18によって、照明装置1の面状発光源が形成されている。
リフレクタ20は、一個一個又は数個の半導体発光素子11毎に個別に設けられるものではなく、絶縁層5上の全ての半導体発光素子11を包囲する単一のものであり、枠、例えば図1に示すように長方形をなす枠で形成されている。リフレクタ20は絶縁層5に接着されている。電線接続部9の一部は電線を接続するためにリフレクタ20の外に位置されている。リフレクタ20の内周面は光反射面となっている。そのために、例えばリフレクタ20の成形材料である合成樹脂中に酸化アルミニウム等の白色粉末を混入させている。このリフレクタ20は、光の取出し方向に取出された光を、投光対象に対して制御をするレンズ等の配光制御部材(図示しない)の取付け部として、利用することが可能である。
封止部材22は、リフレクタ20内に注入して加熱処理により硬化されていて、前記面状発光源のリフレクタ20内に位置された殆どの部分を埋めている。この封止部材22は、透光性材料例えば透明シリコーン樹脂からなり、その内部には必要により蛍光体が混入されている。この封止部材22は、テーパ状に形成された逃げ孔6に進入する際にテーパ状部分6を沿って流れて進入するため、逃げ孔6と素子取付け部3との隙間に溜まった空気が、この進入によって封止部材22上方に流出して、この封止部材22内に気泡となって留まることが抑制される。この気泡は、半導体発光素子11の光を散乱させて発光効率を低減される要因になっていたが、この気泡を低減することができたので、発光効率の低下を抑制することができる。本実施形態では半導体発光素子11が青色発光をするので、この光で励起されて主に黄色の光を放射する蛍光体(図示しない)が、好ましくは略均一に分散した状態で混入されている。
この組み合わせにより、照明装置1の点灯により半導体発光層13から放出された青色の光の一部が蛍光体に当たることなく封止部材22を通過する一方で、青色の光が当たった蛍光体が、青色によって励起されて黄色の光を放射し、この黄色の光が封止部材22を通過するので、これら補色関係にある二色の混合によって照明装置1は白色光を照射できる。なお、リフレクタ20が枠形であるので、照明装置1から取出される光の多くは、リフレクタ20で反射されることなく封止部材22を透過するので、反射を原因とする光の損失が少なく、光の取出し効率を向上するにも有効である。
以上の構成の照明装置1では、接着剤7の余剰分7aが逃げ孔11内に食み出しているので、金属基板2とこれに接着剤7を介して積層された絶縁層5との間に、接着剤7の厚みに相当する隙間が逃げ孔6に連通して形成されることがない。このため、前記隙間がある場合のようにそこに溜まった空気が、封止部材22を加熱硬化させる際に泡となって封止部材22内に流出して、この封止部材22内に気泡となって留まることがない。封止部材22内に気泡が残留していると、そこに外部から水分が入り込んだ場合、絶縁耐圧が低下する恐れがあるが、こうしたことがないようにできる。また、照明装置1は、各半導体発光素子11に通電して、これらの半導体発光素子11を発光させることにより図2中矢印方向に光を取出して照明を行う。この点灯時に各半導体発光素子11が発熱する。
ところで、半導体発光素子11に電力を導く導体8と金属基板2とは、これらの間に設けた絶縁層5で電気的に絶縁されているが、この絶縁層5は金属基板2と半導体発光素子11との間には介在されていないとともに、半導体発光素子11は金属基板2の素子取付け部3に直接ダイボンドされている。そのため、各半導体発光素子11が発する熱は、絶縁層5に邪魔されることなく金属基板2に直接的に伝導する。より具体的には、半導体発光素子11の熱は、実質的に熱抵抗とはならないほど薄いダイボンド材16を通ってから、Agの光反射層4を経て金属基板2の素子取付け部3に伝えられる。しかも、金属基板2の素子取付け部3は、半導体発光素子11がダイボンドされた先端面3aから金属基板2の基板主部2aに至るに従い次第に太く、言い換えれば、素子取付け部3の断面積が基板主部2aに近付く程大きくなっているので、半導体発光素子11から金属基板2の裏面に向けての熱伝導がより容易となる。そして、金属基板2の熱はこの金属基板2の裏面から外部に放出される。
こうして、半導体発光素子11の熱が高効率に金属基板2を通って外部に放出されるので、各半導体発光素子11の温度上昇が効果的に抑制され、各半導体発光素子11の温度を設計通りに維持できる。そのため、各半導体発光素子11の発光効率の低下と、各半導体発光素子11が発する光量のばらつきが抑制され、その結果として、各半導体発光素子から取出される光の色むらを抑制できる。又、前記構成の各半導体発光素子11は全方向に光を放射し、取分け、表方向つまり金属基板2とは反対側の光の取出し方向に放射される光よりも、裏方向つまり金属基板2に向けて放射される光の方が強い。そして、裏方向に放射された光の多くは、透光性のダイボンド材16を通って90%以上の光反射率を有したAgメッキ層からなる光反射層4に入射し、この光反射層4で光の取出し方向に反射される。このような半導体発光素子11直下での高効率の反射により、光の取出し効率をより向上させることができる。
したがって、前記構成の照明装置1は、高熱伝導により各半導体発光素子11の温度上昇による発光効率の低下を抑制しつつ、各半導体発光素子11の裏側に放射された光の高反射特性により、光の取出し効率を向上できる。又、金属基板2の素子取付け部3に半導体発光素子11をダイボンドしたダイボンド材16は、透明なシリコーン樹脂であるので、このダイボンド材16は熱により変色を伴って劣化する可能性が極めて小さい。したがって、光反射層4で反射されて取出される光の取出し効率を長期にわたり維持できる。
更に、各素子取付け部3の側面に側部光反射層4aが積層されている。側部光反射層4aは、素子取付け部3の先端面3aに積層された反射層4と余剰分7aとにわたっている。この側部光反射層4aは、反射層4と同じAgのメッキ層からなり、反射層4とともに無電解メッキにより設けられている。無電解メッキは、金属基板2に絶縁層5が接着された状態で施されるので、接着剤7の余剰分7aに側部光反射層4aが被着されることがない。このため、基板主部2aの余剰分7aに覆われた部位に側部光反射層4aは達していない。
したがって、各半導体発光素子11の温度上昇による発光効率の低下を抑制しつつ、各半導体発光素子11の裏側に放射された光の高反射特性により、光の取出し効率を向上できる。その上、凸部からなる素子取付け部3に、その先端面3aの光反射層4に連続して側部光反射層4aを設けたから、この側部光反射層4aによって光の取出し効率をより向上できる。つまり、封止部材22に混ぜられた蛍光体は半導体発光素子11から発した光で励起されて周囲に光を放射する。蛍光体から放射された光の一部は、素子取付け部11の側面に入射する。そのため、この入射光をAgからなる側部光反射層4aによって光の取出し方向に反射させて、光の取出し効率を向上できる。
本発明の一実施形態に係る照明装置を一部切欠いて示す正面図。 図1の照明装置の一部を拡大して示す断面図。 図2に示された部分を封止部材が除かれた状態で示す正面図。
符号の説明
1…照明装置、2…金属基板(放熱基板)、2a…基板主部、3…素子取付け部、3a…素子取付け部の先端面、4…光反射層、4a…側部光反射層、5…絶縁層、5a…露出面、6…逃げ孔、7…接着剤、7a…接着剤の余剰分(食み出し部)、8…導体、10…光反射層、11…半導体発光素子、12…素子基板、13…半導体発光層、16…ダイボンド材、17…ボンディングワイヤ、22…封止部材、25…レジスト層、25a…レジスト層の開口。

Claims (2)

  1. 半導体発光素子と;
    半導体発光素子がダイボンドされた先端面から一面に至るに従い次第に太くした素子取付け部を一体に有する放熱基板と;
    前記素子取付け部の先端面側から放熱基板の一面側にいくに従って小さくなるように形成された逃げ孔を有し、前記放熱基板に配設された絶縁層と;
    この絶縁層上に設けられた導体と;
    この半導体発光素子と前記導体とを接続したボンディングワイヤと;
    前記半導体発光素子を封止して設けた透光性の封止部材と;
    を具備したことを特徴とする照明装置。
  2. 前記絶縁層を前記放熱基板に接着して積層するとともに、この接着に用いた接着剤の余剰分を前記逃げ孔に食み出させたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
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