JP2009229976A - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベンド配向への初期配向転移を容易に行うことが可能な液晶装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置は、対向して配置された一対の基板と、一対の基板の間に配置された、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうる液晶層40と、一対の基板のうち一方の基板の液晶層40側の面に配置された、テーパー部を有する突起としてのスペーサ37と、を有している。一対の基板の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域には垂直配向膜39sが配置されており、一対の基板の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域を除いた領域には水平配向膜19p,39pが配置されている。
【選択図】図7

Description

本発明に係る一態様は、液晶装置及び電子機器に関する。
液晶装置の一例として、OCB(Optically Compensated Birefringence)モードの液晶装置が知られている。OCBモードの液晶装置は、一対の基板と、この一対の基板の間に封入された液晶層とを有して構成されており、液晶層は、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうるように構成される。そして、この液晶層は、初期状態ではスプレイ配向となっており、表示を行う際には、転移電圧を印加することによってベンド配向に転移させて使用する。
ベンド配向への転移を容易に行うための構成として、特許文献1には、基板の液晶層側の面に突起や溝等の立体障害を形成することにより、液晶の配向状態が他と異なる異配向領域を設ける構成が開示されている。このようにすれば、配向状態が他と異なる部分の近傍において、ベンド配向への転移が起こりやすくなる。
特開2003−5189号公報
しかしながら、このような立体障害により生じる配向状態の差異は、円滑なベンド配向への転移のためには十分でなく、転移には依然として高電圧が必要になるという課題がある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]対向して配置された一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうる液晶層と、前記一対の基板のうち一方の前記基板の前記液晶層側の面に配置された、テーパー部を有する突起と、前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域に配置された垂直配向膜と、前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域を除いた領域に配置された水平配向膜と、を備える液晶装置。
このような構成によれば、平面視でテーパー部と重なる領域の液晶層は垂直配向となる。このため、転移電圧を印加すると、この垂直配向領域の近傍の液晶層は、容易にスプレイ配向からベンド配向へ転移する。よって、垂直配向膜の形成領域を起点として、液晶層を容易にベンド配向へ転移させることができる。すなわち、短時間に、低い転移電圧でベンド配向への転移を行うことができる。
[適用例2]上記液晶装置であって、前記突起は、前記一対の基板の間隔を保持するスペーサである液晶装置。
このような構成によれば、平面視でスペーサのテーパー部と重なる垂直配向領域を起点として、液晶層を容易にベンド配向へ転移させることができる。
[適用例3]上記液晶装置であって、前記突起は、前記一方の基板上において、前記テーパー部が逆テーパー形状となるように形成されている液晶装置。
このような構成によれば、突起の形成された基板の全面に垂直配向膜を形成した後に、逆テーパー形状を有する突起をマスクとして反応性イオンエッチング等によりパターニングを行うことで、平面視で突起のテーパー部に重なる領域のみに容易に垂直配向膜を形成することができる。
[適用例4]上記液晶装置であって、前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域には凹部が形成されており、前記垂直配向膜は、前記凹部を含む領域に配置されている液晶装置。
このような構成によれば、垂直配向膜は、凹部に埋められる形で配置される。このようにすれば、垂直配向膜の形成時に、突起のテーパー部と基板表面との間に垂直配向膜が嵌り込んで、垂直配向膜の表面が傾斜してしまう不具合を防止することができる。よって、垂直配向膜の表面を、基板の面と略平行とすることができ、この領域において液晶分子を垂直に配向させることができる。
[適用例5]上記液晶装置であって、前記垂直配向膜の近傍に形成された初期配向転移構造を備える液晶装置。
このような構成によれば、初期配向転移構造により、垂直配向膜形成領域の近傍にベンド配向の転移核を生じさせることができる。このため、転移核と、垂直配向膜による垂直配向領域との双方を起点として、より容易に初期配向転移を行うことができる。
[適用例6]上記液晶装置を表示部に備える電子機器。
このような構成によれば、表示部における液晶装置を容易に初期配向転移可能な電子機器が得られる。このような電子機器によれば、表示可能な状態に短時間で移行することができる。
以下、図面を参照し、液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
(第1の実施形態)
<A.液晶装置の構成>
図1は、液晶装置1の構成を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。液晶装置1は、スイッチング素子としてTFT素子20(図4)を用いたアクティブマトリクス型の液晶装置であるとともに、OCBモードの液晶装置である。液晶装置1は、枠状のシール材41を介して対向して貼り合わされた、一対の基板としての素子基板10及び対向基板30を有している。素子基板10、対向基板30、シール材41によって囲まれた空間には、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうる液晶層40が封入されている。素子基板10の液晶層40とは反対側の面には、偏光板51が配置されており、対向基板30の液晶層40とは反対側の面には、偏光板53が配置されている。素子基板10は、対向基板30より大きく、一部が対向基板30に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、液晶層40を駆動するためのドライバIC42が実装されている。
液晶装置1は、液晶層40が封入された表示領域43において表示を行う。液晶層40は、初期的には図2(a)に示すようなスプレイ配向となっており、表示を行う際には、図2(b)に示すようなベンド配向に転移させて使用する。スプレイ配向からベンド配向への転移は、液晶層40に転移電圧を印加することによって行う。ベンド配向においては、液晶層40に含まれる液晶分子40aが弓なりに並んでおり、その弓なり形状の曲がりの度合いを変えることで透過率を変調して表示を行う。
図3は、表示領域43の拡大平面図である。この図に示すように、液晶装置1は、赤、緑、青に対応した画素4R,4G,4B(以下では、対応する色を区別しない場合には単に画素4とも呼ぶ)を多数有している。画素4は、マトリクス状に配置されており、ある列に配置される画素4の色は全て同一である。すなわち、画素4は、対応する色がストライプ状に並ぶように配置されている。隣り合う画素4の間の領域には、遮光層34が形成されている。換言すれば、遮光層34に囲まれた領域が1つの画素4の占める領域となる。また、行方向に並んだ隣り合う3つの画素4R,4G,4Bからなる画素群が、表示の最小単位(ピクセル)となる。液晶装置1は、各画素群において、画素4R,4G,4Bの輝度バランスを調節することによって、種々の色の表示を行うことができる。
<B.等価回路>
図4は、液晶装置1の表示領域43における各種素子、配線等の等価回路図である。表示領域43においては、複数のゲート線12と複数のソース線14とが交差するように形成されている。画素4は、ゲート線12とソース線14との交差に対応して設けられており、画素4ごとに画素電極16が形成されている。また、ゲート線12に沿って、容量線15が形成されており、画素電極16と容量線15との間に補助容量15aが形成されている。
ゲート線12とソース線14との交差に対応する位置には、画素電極16への通電制御を行うための、スイッチング素子としてのTFT素子20が画素4ごとに形成されている。TFT素子20のソース端子には、ソース線14が電気的に接続されている。TFT素子20のゲート端子には、ゲート線12が電気的に接続されている。TFT素子20のドレイン端子には、画素電極16が電気的に接続されている。
<C.画素構造>
図5(a)は、画素4の構成を示す平面図である。この図は、画素4を対向基板30側から、より詳しくは対向基板30の法線方向から見た図である。本明細書では、対向基板30の法線方向から見ることを「平面視」とも呼ぶ。また、図5(a)では、説明の便宜上、ソース線14が左右方向に延在するように描かれている。本明細書では、ソース線14の延在方向をY軸、ゲート線12の延在方向をX軸、X−Y平面に直交する方向をZ軸と定義する。また、図5(b)は、図5(a)中のB−B線における断面図である。以下では、図5(a),(b)を用いて、画素4及びその周辺部の構成について説明する。
図5(b)に示すように、素子基板10は、基板11を基体として構成される。基板11としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。基板11の液晶層40側には、ゲート線12と容量線15が形成されている。基板11と、ゲート線12及び容量線15との間には、さらに酸化シリコン(SiO2)等からなる絶縁層が設けられていてもよい。ゲート線12の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層23を挟んで半導体層20aが形成されている。半導体層20aは、例えばアモルファスシリコンやポリシリコン等から構成することができる。また、半導体層20aに一部が重なる状態で、ソース電極20sとドレイン電極20dが形成されている。ソース電極20sは、ソース線14(図5(a))と一体で形成することができる。半導体層20a、ソース電極20s、ドレイン電極20d、ゲート線12等からTFT素子20が構成される。ゲート線12は、TFT素子20のゲート電極の役割を兼ねる。ゲート線12(ゲート電極)、ソース電極20s、ドレイン電極20d、ソース線14、容量線15は、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属のうちの少なくとも1つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性ポリシリコン等から構成することができる。
TFT素子20の上層には、酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁層24を挟んで画素電極16が形成されている。画素電極16は、例えば透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)を用いて構成することができる。画素電極16は、層間絶縁層24に設けられたコンタクトホール21を介してドレイン電極20dに電気的に接続されている。画素電極16は、一部が容量線15と対向しており、容量線15との間で補助容量15a(図4)を構成する。画素電極16上には、ポリイミドからなる配向膜19が形成されている。素子基板10は、基板11から配向膜19までの要素により構成される。
対向基板30は、基板31を基体として構成される。基板31としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。基板31の液晶層40側には、遮光性を有する樹脂からなる遮光層34が形成されている。遮光層34は、平面視で隣り合う画素電極16の間の領域を覆う位置に形成されており、当該領域からの光漏れを防止して表示のコントラストを向上させる役割を果たす。遮光層34は、図5(b)に示すように、TFT素子20やスペーサ37と平面的に重なる領域にも形成されている。これにより、TFT素子20による反射光を遮光したり、TFT素子20、スペーサ37近傍の液晶層40の配向乱れに起因する光漏れを防止することができる。また、基板31の液晶層40側には、カラーフィルタ32が形成されている。カラーフィルタ32は、赤、緑、青の各色に対応する3種の色要素を含んで構成され、これらの色要素はそれぞれ画素4R,4G,4Bに配置されている。各画素4からは、カラーフィルタ32の色に応じた色の光が射出され、カラー表示が可能となる。カラーフィルタ32は、遮光層34上にも形成されている。
カラーフィルタ32上には、ITOからなる共通電極36が形成されている。共通電極36は、表示領域43(図1)の略全体にわたって形成されている。共通電極36上には、ポリイミドからなる配向膜39が形成されている。対向基板30は、基板31から配向膜39までの要素により構成される。
素子基板10の外側には偏光板51が、また対向基板30の外側には偏光板53が、それぞれ配置されている。偏光板51,53の透過軸は、相互に略直交するように、かつ配向膜19,39の配向規制力の向きと略45度の角度をなすように配置されている。偏光板51と素子基板10との間、及び偏光板53と対向基板30との間の少なくとも一方に、必要に応じて光学補償フィルムを配置してもよい。光学補償フィルムとしては、屈折率異方性が負のディスコティック液晶分子等をハイブリッド配向させてなるフィルム(例えば、富士写真フィルム製のWVフィルム)、屈折率異方性が正のネマチック液晶分子等をハイブリッド配向させてなるフィルム(例えば、新日本石油製のNHフィルム)、各方向の屈折率がnx>ny>nzとなる二軸性媒体等を使用することができる。
さらに、偏光板51の外側には、光源、リフレクタ、導光板等を有するバックライト(不図示)が設置されている。
素子基板10と対向基板30とは、互いに対向してシール材41(図1(b))を介して貼り合わされている。素子基板10と対向基板30との間には、上述のように液晶層40が配置されている。液晶層40には、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶を用いることができる。一例として、液晶層40の厚さは4.5μm、液晶層40に含まれる液晶分子40aのΔn(複屈折率)は0.15とすることができる。
対向基板30の液晶層40側の面には、突起としてのスペーサ37が配置されている。素子基板10と対向基板30とが貼り合わされた状態において、スペーサ37は、素子基板10、対向基板30のいずれにも接して両基板を支持する。すなわち、スペーサ37は、素子基板10と対向基板30との間隔を保持している。スペーサ37は、例えば対向基板30上にアクリル樹脂の層を形成した後に、この層をフォトリソグラフィーによりパターニングすることによって形成される。スペーサ37は、容量線15と平面的に重なる位置に配置されている。これにより、スペーサ37による透過率の低下を防ぎ、スペーサ37の近傍の配向乱れによる光漏れを防止してコントラストを向上させることができる。また、スペーサ37は、各画素4に1つずつ配置されている。
図6は、スペーサ37の拡大平面図であり、図7(a)は、図6中のC−C線における断面図である。スペーサ37は、平面視で、角が丸くなった四角形、もしくは略円形をなしている。スペーサ37は、図7(a)に示すように、素子基板10側で幅が広く、対向基板30側ではこれより幅が狭くなっている。すなわち、スペーサ37は、対向基板30上において、テーパー部が逆テーパー形状となるように形成されている。スペーサ37は、テーパー部を有する突起に対応する構成要素である。図6に示す、スペーサ37のX方向及びY方向の幅Dは、いずれも約15μmであり、またテーパー部の平面視での幅dは、約2μmである。なお、図7(a)では、説明の便宜上、幅Dと幅dとの比率を誇張して描いている。また、図7(a),(b)においては、基板11上に形成された、ゲート線12、ソース線14、容量線15、TFT素子20、層間絶縁層23,24等をまとめて回路素子層6として描いている。
液晶分子40aは、配向膜19,39が有する配向規制力の向きに沿って配向する。ここで、素子基板10側の配向膜19は、図7(a)に示すように、水平配向膜19pから構成されている。また、対向基板30側の配向膜39は、水平配向膜39p及び垂直配向膜39sから構成されている。このうち垂直配向膜39sは、対向基板30の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域に配置されている。換言すれば、垂直配向膜39sは、スペーサ37のテーパー部と対向する領域に配置されている。また、水平配向膜39pは、対向基板30の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域を除いた領域に配置されている。すなわち、水平配向膜39pは、垂直配向膜39sが配置されていない領域に排他的に配置されている。一方、水平配向膜19pは、素子基板10の液晶層40側の面の全体に配置されている。
水平配向膜19p,39pは、近傍の液晶分子40aを、その長軸が水平配向膜19p,39pに略平行となるような状態に配向させる配向膜である。一方垂直配向膜39sは、近傍の液晶分子40aを、その長軸が垂直配向膜39sに略垂直な状態となるように配向させる配向膜である。水平配向膜19p,39p及び垂直配向膜39sは、いずれもポリイミドを主成分として構成されている。垂直配向膜39sは、表面に長鎖のアルキル鎖(非極性分子)を有しており、このアルキル鎖の作用により液晶分子40aを垂直方向に配向させることができる。水平配向膜19p,39pは、表面のアルキル鎖が短いか、又はアルキル鎖をもたないため、液晶分子40aを平行方向に配向させる。
水平配向膜19p,39pに対しては、表面を布等で擦るラビング処理により、ラビング処理の向きに沿った配向規制力を付与することができる。液晶分子40aは、水平配向膜19p,39pの表面付近においては、この配向規制力の向きに沿って、所定のプレチルト角を有して配向する。本実施形態では、水平配向膜19p,39pに対しては、+Y方向のラビング処理がなされている。これにより、水平配向膜19p,39p近傍の液晶分子40aは、+Y方向に沿って所定のプレチルト角で立ち上がるような状態で配向する(図7(a))。
このような構成により、初期状態の液晶分子40aは、平面視でスペーサ37のテーパー部に重なる領域においては垂直配向膜39sの作用により垂直配向となり、その他の領域では水平配向膜19p,39pの作用によりスプレイ配向となる。以下では、平面視で垂直配向膜39sの配置領域と重なる領域を「領域S」とも呼び、領域Sを除いた領域(すなわち初期状態で液晶分子40aがスプレイ配向となっている領域)を「領域P」とも呼ぶ。
<D.転移動作>
以上の構成を有する液晶装置1は、次のように動作させることによって、液晶層40をスプレイ配向からベンド配向へ転移させることができる。この転移を、以下では初期配向転移とも呼ぶ。
初期配向転移に際しては、画素電極16と共通電極36との間に転移電圧を印加する。この転移電圧は、例えば5Vの交流の矩形波とすることができる。このとき、画素電極16上の液晶層40には、基板11の法線方向の成分を有する電界(縦電界)が生じる。この電界により、画素電極16上の広い範囲で液晶分子40aが駆動される。より詳しくは、スプレイ配向となっている液晶分子40a(すなわち領域Pの液晶分子40a)が、縦電界により、基板11に垂直な方向に配向させる力を受ける。ここで、領域Sの液晶分子40aは、初期状態から既に垂直配向となっているため、領域Pのうち、領域Sの近傍に位置する液晶分子40aは、容易に垂直方向に配向方向を変える。これは、液晶分子40aが、隣り合う液晶分子40aの配向状態と揃う状態においてエネルギー的に安定するためである。ところで、領域Pの液晶層40は、中間層の液晶分子40aが垂直配向となることで、ベンド配向に移行する。したがって、領域Pのうち、領域Sの近傍に位置する液晶分子40aは、転移電圧の印加により容易にベンド配向に転移する(図7(b))。こうして領域Pの一部がベンド配向に転移すると、領域Pの他の領域にもベンド配向が広がっていき、最終的に領域Pの全体がベンド配向となる。
このように、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域に垂直配向膜39sを有する液晶装置1においては、垂直配向膜39sの作用による垂直配向領域を起点として、液晶層40を容易にベンド配向へ転移させることができる。すなわち、短時間にベンド配向への転移を行うことができる。また、より低い転移電圧によってベンド配向への転移を行うことができ、例えば5Vより小さな転移電圧でも初期配向転移を行うことができる。スペーサ37及び垂直配向膜39sは、各画素4に配置されているため、すべての画素4において初期配向転移を容易にする効果が得られる。
なお、画素電極16と共通電極36との間に転移電圧を印加する前に、ゲート線12と画素電極16との間に転移電圧を印加してもよい。この転移電圧は、例えば5V程度の交流の矩形波とし、印加時間は例えば0.5秒とする。このようにすれば、ゲート線12と画素電極16との間に電界が生じ、液晶層40の液晶分子40aは、この電界の方向に沿って配向方向を変えて、一部がベンド配向に転移する。このようにしてゲート線12と画素電極16との間、又はその近傍の領域にベンド配向の転移核を発生させておけば、上述した縦電界による転移動作の際に、この転移核からもベンド配向領域を広げることができるため、より短時間でベンド配向への転移を行うことができる。
<E.表示動作>
続いて、液晶層40をベンド配向へ転移させた後の表示動作について説明する。
図4に示すように、各ゲート線12には、走査信号G1,G2,…,Gnが供給される。また、各ソース線14には、画像信号S1,S2,…,Smが供給される。ゲート線12が選択電位となると、当該ゲート線12に接続されたTFT素子20がオン状態となる。TFT素子20がオン状態となっている期間においては、ソース線14に供給された画像信号S1,S2,…,Smが、TFT素子20を介して画素電極16に印加される。画素電極16に印加された所定のレベルの画像信号S1,S2,…,Smと、共通電極36(図5(b))の共通電位とで定まる電圧が駆動電圧となり、液晶層40に印加される。上記駆動電圧は、液晶層40の容量及び補助容量15aにより一定時間保持される。液晶層40に駆動電圧が印加されると、印加された電圧レベルに応じて液晶分子40aの配向状態が変化する。これによって、液晶層40に入射された光が変調されて階調表示が可能となる。
ここで、上記駆動電圧の実効値は、液晶層40がベンド配向を維持するための臨界電圧より大きくなるように設定される。駆動電圧の実効値が臨界電圧より小さくなると、液晶層40の一部がスプレイ配向へ逆転移してしまい、その部位の表示が乱れて輝点不具合が生じてしまうためである。
本実施形態では、領域Sの液晶層40は常に垂直配向となっており、ベンド配向となった領域Pのうち領域Sの近傍に位置する液晶分子40aは、領域Sの垂直配向状態に影響を受けてベンド配向を維持しようとする。よって、スプレイ配向への逆転移が起きにくい。このため、臨界電圧が小さくなり、より低い電圧を表示に用いることができる。例えば、ノーマリーホワイトモードの場合には、白表示の電圧を下げることによって、より高輝度の表示を行うことができる。また、ベンド配向の維持のために黒表示を挿入する「擬似インパルス表示方式」が採用されている場合には、黒表示の挿入頻度を低減させることができ、これにより表示品位を向上させることができる。
<F.液晶装置の製造方法>
続いて、液晶装置1の製造方法について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る液晶装置1の製造方法を示すフローチャートである。図8において、工程S11からS13が素子基板10を製造するための工程であり、工程S21から工程S26が対向基板30を製造するための工程である。工程S31から工程S33は、素子基板10及び対向基板30を組み合わせて液晶装置1を完成させるための工程である。工程S11からS13と、工程S21から工程S26とは、それぞれ独立に行われる。
工程S11では、素子基板10を構成する基板11上に、ゲート線12、ソース線14、容量線15、TFT素子20、層間絶縁層23,24等を含む回路素子層6、及び画素電極16を形成する。この工程は、例えば常圧又は減圧CVD法、スパッタ法、フォトリソグラフィー法等の各種の成膜手法を用いて行われる。
工程S12では、工程S11において形成された回路素子層6、画素電極16に重ねて、フレキソ印刷法によってポリイミドからなる配向膜19を形成する。この配向膜19は、水平配向膜19pである。
工程S13では、工程S12で形成された水平配向膜19pに対してラビング処理を行う。より詳しくは、水平配向膜19pの表面に対して、布を巻きつけたローラーを回転させた状態で当接させ、このローラーを水平配向膜19pに対して+Y方向に相対移動させる。このラビング処理により、水平配向膜19pの表面に+Y方向の配向規制力が付与される。以上の工程S11から工程S13を経て、素子基板10が完成する。
次に、対向基板30の製造工程(工程S21から工程S26)について図9を参照しながら説明する。図9(a)から(e)は、対向基板30の製造工程における断面図である。
工程S21では、対向基板30を構成する基板31上に、遮光層34、カラーフィルタ32、共通電極36を形成する。この工程は、例えばスピンコート法、スパッタ法、フォトリソグラフィー法等の各種の成膜手法を用いて行われる。
工程S22では、共通電極36に重ねて、スペーサ37を形成する。この工程では、まず共通電極36上に、スピンコート法等によってスペーサ形成材料37aを全面に塗布する(図9(a))。スペーサ形成材料37aとしては、例えばネガ型の感光性アクリル材料を使用する。その後、フォトリソグラフィー法によりスペーサ形成材料37aをパターニングして、逆テーパー形状を有するスペーサ37を形成する(図9(b))。より詳しくは、まずスペーサ形成材料37aに対し、後にスペーサ37を形成する領域に、ステッパー露光を行う。この露光の際には、MPA(ミラープロジェクションアライナー)を用いてマスクのアライメントを行い、照射する光としてはGH線(435.8nm,404.7nm)を用いる。これに対応するように、スペーサ形成材料37aとしては、GH線に対して感度のある材料を用いる。このような波長領域に感度を有するネガ型のスペーサ形成材料37aは、i線にのみ感度を有するものと比較して非常に感度が高く、露光過多となる。特に、光は図9(a)中の上方(基板31とは反対側)から照射されるため、スペーサ形成材料37aのうち上方ほど露光過多となり、下方(基板31側)は相対的に露光量が少なくなる。この状態で現像を行うことにより、露光された部分は残り、その他の部分を除去されて、スペーサ37が得られる。このとき、上述のように上方ほど露光過多となっているため、上方の幅が広く、下方ほど幅が狭い、逆テーパー形状を有したスペーサ37が得られる。
工程S23では、基板31上の略全面に、スピンコート法によってポリイミドからなる垂直配向膜39sを形成する(図9(c))。垂直配向膜39sは、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域まで回りこんで形成される。
工程S24では、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)により、垂直配向膜39sの一部を除去する(図9(d))。より詳しくは、図9(d)の上方から、プラズマ化した酸素ガスを垂直配向膜39sに衝突させる。このとき、酸素イオンによるスパッタリングと同時に垂直配向膜39sと酸素イオンとの化学反応が起こり、垂直配向膜39sは、揮発性の酸化物ガスとして排気、除去される。ここで、反応性イオンエッチングにおいては、プラズマ化した酸素ガスを指向性よく垂直配向膜39sへ衝突させることができるため、スペーサ37がマスクとして機能し、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域に配置された垂直配向膜39sは除去されずに残る。このように、逆テーパー形状を有するスペーサ37を用いることで、反応性イオンエッチングにより基板31上の一部にのみ垂直配向膜39sを形成することができる。
工程S25では、垂直配向膜39sが形成された基板31上に、スピンコート法によってポリイミドからなる水平配向膜39pを形成する(図9(e))。ここで、垂直配向膜39sの表面は非極性分子のアルキル鎖で覆われており、極性分子を有する水平配向膜39pとの間では密着性が悪い。このため、水平配向膜39pは、垂直配向膜39sの形成領域においては垂直配向膜39sにはじかれて形成されず、垂直配向膜39sの配置されていない領域に選択的に形成される。すなわち、水平配向膜39pは、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域を除いた領域に配置される。
工程S26では、工程S25で形成された水平配向膜39pに対してラビング処理を行う。より詳しくは、水平配向膜39pの表面に対して、布を巻きつけたローラーを回転させた状態で当接させ、このローラーを水平配向膜39pに対して+Y方向に相対移動させる。このラビング処理により、水平配向膜39pの表面に+Y方向の配向規制力が付与される。なお、この工程において垂直配向膜39sにラビング処理がされたとしても、垂直配向膜39sの機能は損なわれないため、問題はない。以上の工程S21から工程S26を経て、対向基板30が完成する。
工程S31では、素子基板10と対向基板30とを、シール材41(図1(b))を介して、配向膜19,39が形成された面が対向するように貼り合わせる。より詳しくは、素子基板10又は対向基板30の表面にディスペンサ塗布法又はスクリーン印刷法等によってシール材41を枠状に塗布し、素子基板10と対向基板30との間でアライメント(位置合わせ)をした状態で接触、圧着させ、その後シール材41を乾燥させて両基板を貼り合わせる。
工程S32では、素子基板10、対向基板30、及びシール材41によって囲まれた領域に液晶を注入し、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうる液晶層40を形成する。この工程は、真空下においてシール材41に設けられた注入口から毛細管現象によって上記領域に液晶を導入し、注入口を紫外線硬化性樹脂等により封止することによって行う。なお、液晶層40を素子基板10、対向基板30の間に封入する方法としては、素子基板10又は対向基板30の表面に液晶を滴下した状態で貼り合わせ(工程S31)を行う方法を採用することもできる。
工程S33では、素子基板10、対向基板30の外側に、それぞれ偏光板51,53を貼り付ける。素子基板10、対向基板30が、これらを複数含むマザー基板に形成される場合には、工程S33又は工程S32の前に、マザー基板を適宜ブレイク(切断)する。以上の工程を経て、液晶装置1が製造される。
以上に説明したような液晶装置1の製造方法によれば、逆テーパー形状を有するスペーサ37を用いることで、反応性イオンエッチングにより基板31上の一部にのみ垂直配向膜39sを形成することができる。この際、スペーサ37がマスクとして機能するため、別途垂直配向膜39sの形成のためのマスクを準備する必要がなく、工程を簡略化することができる。
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、垂直配向膜39sの配置領域の形状が第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
図10は、本実施形態に係る液晶装置1の、スペーサ37の配置領域における断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図6におけるC−C線の位置に対応する。この図に示すように、対向基板30の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域には凹部5が形成されており、垂直配向膜39sは、凹部5を含む領域に配置されている。
凹部5を形成するためには、例えばカラーフィルタ32を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルタ32を一部除去するか、あるいは、カラーフィルタ32の形成の際に、凹部5に相当する領域にはカラーフィルタ32を配置しないようにする。その後、ITOのスパッタにより共通電極36を形成すれば、共通電極36の表面に凹部5を形成することができる。
凹部5が形成された面に、スピンコート法により垂直配向膜39sを形成することにより、垂直配向膜39sを凹部5に埋める形で配置することができる。このようにすれば、スペーサ37のテーパー部と共通電極36との間に垂直配向膜39sが嵌り込んで、垂直配向膜39sの表面が基板31の面に対して傾斜してしまう不具合を防止することができる。よって、垂直配向膜39sの表面を、基板31の面と略平行とすることができ、液晶分子40aを垂直に配向させることができる。
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、スペーサ37、配向膜19,39の構成及び形成方法が第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
<A.液晶装置の構成>
図11(a)及び(b)は、本実施形態に係る液晶装置1の、スペーサ37の配置領域における断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図6におけるC−C線の位置に対応する。本実施形態では、対向基板30に形成されたスペーサ37の形状は、基板31側で幅が広く、基板31から離れるほど幅が狭くなっており、いわゆる順テーパー形状を有した構造となっている。対向基板30の液晶層40側表面には、スペーサ37のテーパー部を含めた略全面に、水平配向膜39pからなる配向膜39が形成されている。水平配向膜39pは、+Y方向にラビング処理がなされており、スペーサ37のテーパー部では、図11(a)中の矢印で示す向きの配向規制力が付与されている。したがって、このテーパー部においても、水平配向膜39p近傍の液晶分子40aは、ラビング方向に沿って所定のプレチルト角で立ち上がるような状態で配向する。
一方、素子基板10側の配向膜19は、水平配向膜19p及び垂直配向膜19sから構成されている。このうち垂直配向膜19sは、素子基板10の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域に配置されている。また、水平配向膜19pは、素子基板10の液晶層40側の面のうち、平面視でスペーサ37のテーパー部と重なる領域を除いた領域に配置されている。換言すれば、水平配向膜19pは、垂直配向膜19sが配置されていない領域に排他的に配置されている。水平配向膜19pは、水平配向膜39pと同様に、+Y方向にラビング処理がなされている。
このような構成により、初期状態の液晶分子40aは、平面視で垂直配向膜19sの配置領域に重なる領域Sにおいては垂直配向膜19sの作用により垂直配向となり、その他の領域Pでは水平配向膜19p,39pの作用によりスプレイ配向となる(図11(a))。このうち領域Sにおいては、より詳しくは、素子基板10側(垂直配向膜19sの近傍)では、液晶分子40aは垂直配向となり、対向基板30側(スペーサ37のテーパー部上の水平配向膜39pの近傍)では、液晶分子40aは水平配向膜39pの機能に応じてテーパー部に対して一定のプレチルト角を有して配向する。このとき、テーパー部は基板31の面に対して大きく傾斜しているため、この傾斜の角度にプレチルト角を付加した角度で配向する液晶分子40aも、基板31の面に対して大きな角度で配向する。したがって、テーパー部近傍の液晶分子40aも、垂直に近い配向状態となり、領域Sにおいて液晶層を垂直配向に近い状態とすることに寄与する。
このような構成により、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、初期配向転移の際に、垂直配向膜19sの作用による垂直配向領域を起点として、液晶層40を容易にベンド配向へ転移させることができる(図11(b))。すなわち、短時間にベンド配向への転移を行うことができる。また、より低い転移電圧によってベンド配向への転移を行うことができる。
<B.液晶装置の製造方法>
続いて、第3の実施形態に係る液晶装置1の製造方法について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。また、図13(a)及び(b)は、本実施形態の液晶装置1の製造工程における断面図である。図12において、工程P11からP15が素子基板10を形成するための工程であり、工程P21から工程P24が対向基板30を形成するための工程である。工程P31から工程P33は、素子基板10及び対向基板30を組み合わせて液晶装置1を完成させるための工程である。工程P11からP15と、工程P21から工程P24とは、それぞれ独立に行われる。
工程P11では、素子基板10に回路素子層6及び画素電極16を形成する。この工程は、第1の実施形態の工程S11と同一の工程である。
工程P12では、基板11上の略全面に、フレキソ印刷法によってポリイミドからなる垂直配向膜19sを形成する。
工程P13では、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)により、垂直配向膜19sの一部を除去する。より詳しくは、垂直配向膜19sの一部に、マスクを介してプラズマ化した酸素ガスを垂直配向膜19sに衝突させ、垂直配向膜19sの一部を揮発性の酸化物ガスとして排気、除去する。この際、後の工程P31において対向基板30と貼り合わされる際に、平面視でスペーサ37と重なることになる領域の垂直配向膜19sは、マスクで保護して除去せずに残しておく。この結果、基板11上の一部にのみ垂直配向膜19sがパターニングされて残る。
工程P14では、垂直配向膜19sが形成された基板11上に、スピンコート法によってポリイミドからなる水平配向膜19pを形成する(図13(b))。ここで、水平配向膜19pは、垂直配向膜19sの形成領域においては垂直配向膜19sにはじかれて形成されず、垂直配向膜19sの配置されていない領域に選択的に形成される。すなわち、水平配向膜19pは、後の貼り合わせの際に平面視でスペーサ37と重なる領域を除いた領域に配置される。
工程P15では、工程P14で形成された水平配向膜19pに対してラビング処理を行う。この工程は、第1の実施形態の工程S13と同様に行われる。なお、この工程において垂直配向膜19sにラビング処理がされたとしても、垂直配向膜19sの機能は損なわれないため、問題はない。以上の工程P11から工程P15を経て、素子基板10が完成する。
次に、対向基板30の製造工程について説明する。工程P21では、対向基板30を構成する基板31上に、遮光層34、カラーフィルタ32、共通電極36を形成する。この工程は、第1の実施形態の工程S21と同一の工程である。
工程P22では、共通電極36に重ねて、スペーサ37を形成する。詳しくは、まず共通電極36上に、スピンコート法等によってスペーサ形成材料を全面に塗布し、その後、フォトリソグラフィー法によりスペーサ形成材料をパターニングする。このようにして、基板31上にスペーサ37が形成される。このとき、スペーサ37は、順テーパー形状を有して形成される(図13(a))。スペーサ37の順テーパー形状は、例えば感光性スペーサ形成材料に対してマスクを介して一括露光し、現像することによって得られる。
工程P23では、スペーサ37が形成された基板31上に、スピンコート法によってポリイミドからなる水平配向膜39pを略全面に形成する(図13(a))。
工程S24では、工程P23で形成された水平配向膜39pに対してラビング処理を行う。この工程は、第1の実施形態の工程S26と同様に行われる。以上の工程P21から工程P24を経て、対向基板30が完成する。
工程P31から工程P33は、第1の実施形態の工程S31から工程S33と同一の工程であるので説明は省略する。以上の工程を経て、液晶装置1が製造される。
このような液晶装置1の製造方法によれば、スペーサ37は逆テーパー形状を有している必要がないため、容易にスペーサ37を形成することができる。これにより、液晶装置1の製造工程を簡略化することができる。
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。本実施形態は、領域Sに、高さが基板間隔に満たない突起が形成されている点で第3の実施形態と異なり、その他の点は第3の実施形態と同様である。
図14は、本実施形態に係る液晶装置1の、垂直配向膜19sの配置領域における断面図である。この図に示すように、対向基板30の液晶層40側の面には、突起38が形成されている。突起38は、透光性を有する樹脂からなり、カラーフィルタ32と共通電極36との間に配置されている。突起38の形状は、基板31側で幅が広く、基板31から離れるほど幅が狭くなっており、いわゆる順テーパー形状を有した構造となっている。突起38のテーパー部の形状は、共通電極36にも反映されている。共通電極36上の略全面には、水平配向膜39pからなる配向膜39が形成されている。水平配向膜39pは、+Y方向にラビング処理がなされており、テーパー部においては、図14中の矢印で示す向きの配向規制力が付与されている。したがって、このテーパー部においても、水平配向膜39p近傍の液晶分子40aは、ラビング方向に沿って所定のプレチルト角で立ち上がるような状態で配向する。
一方、素子基板10側の配向膜19は、水平配向膜19p及び垂直配向膜19sから構成されている。このうち垂直配向膜19sは、素子基板10の液晶層40側の面のうち、平面視で突起38のテーパー部と重なる領域に配置されている。また、水平配向膜19pは、素子基板10の液晶層40側の面のうち、平面視で突起38のテーパー部と重なる領域を除いた領域に配置されている。換言すれば、水平配向膜19pは、垂直配向膜19sが配置されていない領域に排他的に配置されている。水平配向膜19pは、水平配向膜39pと同様に、+Y方向にラビング処理がなされている。
このような構成により、初期状態の液晶分子40aは、平面視で垂直配向膜19sの配置領域に重なる領域Sにおいては垂直配向膜19sの作用により垂直配向となり、その他の領域Pでは水平配向膜19p,39pの作用によりスプレイ配向となる。このうち領域Sにおいては、より詳しくは、素子基板10側(垂直配向膜19sの近傍)では、液晶分子40aは垂直配向となり、対向基板30側(突起38のテーパー部上の水平配向膜39pの近傍)では、液晶分子40aは水平配向膜39pの機能に応じてテーパー部に対して一定のプレチルト角を有して配向する。このとき、テーパー部は基板31の面に対して大きく傾斜しているため、この傾斜の角度にプレチルト角を付加した角度で配向する液晶分子40aも、基板31の面に対して大きな角度で配向する。したがって、テーパー部近傍の液晶分子40aも、垂直に近い配向状態となり、領域Sにおいて液晶層を垂直配向に近い状態とすることに寄与する。
このような構成により、本実施形態においても第3の実施形態と同様に、初期配向転移の際に、垂直配向膜19sの作用による垂直配向領域を起点として、液晶層40を容易にベンド配向へ転移させることができる。すなわち、短時間にベンド配向への転移を行うことができる。また、より低い転移電圧によってベンド配向への転移を行うことができる。
(電子機器)
上述した液晶装置1は、例えば、携帯電話機等の電子機器に搭載して用いることができる。図16は、電子機器としての携帯電話機100の斜視図である。携帯電話機100は、表示部110及び操作ボタン120を有している。表示部110は、内部に組み込まれた液晶装置1によって、操作ボタン120で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。携帯電話機100は、表示部110に搭載された液晶装置1を容易に初期配向転移させて表示可能な状態に移行することができる。また、液晶装置1においてスプレイ配向への逆転移が生じにくいことに起因して、高品位な表示を行うことができる。
なお、液晶装置1は、上記携帯電話機100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。また、液晶装置1は、プロジェクタ等の投写型表示装置にライトバルブとして組み込んで用いることができる。
以上、種々の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、例えば以下のような変形を加えることが可能である。
(変形例1)
垂直配向膜19s,39sの近傍に、初期配向転移構造を形成してもよい。図15(a)から(c)は、本変形例に係る、初期配向転移構造を有する画素4の平面図である。このうち図15(a)は、初期配向転移構造としての屈曲部を有する液晶装置1の画素4の平面図である。この図においては、ゲート線12、及び画素電極16のうちゲート線12に沿った辺は、いずれも初期配向転移構造としてのくの字状の屈曲部を有している。そして、スペーサ37及びこれに平面視で重なる垂直配向膜19s,39sは、屈曲部の近傍に配置されている。このような構成によれば、ゲート線12と画素電極16との間に転移電圧を印加することにより、屈曲部の屈曲点の近傍にベンド配向の転移核が発生する。この転移核と、垂直配向膜19s,39sとの複合効果によって、より容易に初期配向転移を行うことができる。
図15(b)は、画素電極16のうちスペーサ37(及び垂直配向膜19s,39s)の近傍に初期配向転移構造としてのスリット16aを有する液晶装置1の画素4の平面図である。スリット16aは、画素電極16に設けられた矩形波状の開口である。このような構成によれば、転移動作の際に、スリット16aの屈曲点の近傍で転移核が発生しやすくなる。この転移核と、垂直配向膜19s,39sとの複合効果によって、より容易に初期配向転移を行うことができる。
図15(c)は、スペーサ37(及び垂直配向膜19s,39s)の近傍に初期配向転移構造としてのダブルソース構造のTFT素子20を有する液晶装置1の画素4の平面図である。このTFT素子20は、ソース線14から延設されたソース電極20sの先端部が2つに分かれてコの字状となっており、ドレイン電極20dの一部が、2つのソース電極20s先端部の間に挟まれるような位置に配置されている。このような構成によれば、ソース電極20sとドレイン電極20dとの間には、互いに逆方向の2種類の電界が発生する。これらの電界により、液晶層40は、部分的に異なる方向にツイストされて、この結果ベンド配向の転移核が発生する。この転移核と、垂直配向膜19s,39sとの複合効果によって、より容易に初期配向転移を行うことができる。
上記の他にも、例えば突起状構造物、窪み状構造物、転移用電極等の構造物や、ツイスト配向の領域等を初期配向転移構造としてスペーサ37及びこれと平面視で重なる垂直配向膜19s,39sの近傍に配置してもよい。
(変形例2)
上記実施形態では、スペーサ37、突起38は、対向基板30側に形成されているが、素子基板10側に形成されていてもよい。この構成においても、スペーサ37又は突起38のテーパー部と平面視で重なる領域に垂直配向膜19s,39sを配置することにより、初期配向転移を容易に行うことができる。
(変形例3)
液晶装置1は、半透過反射型としてもよい。この場合には、画素4は、反射表示領域と透過表示領域とを有するように構成し、反射表示領域には、画素電極16の基板11側にアルミニウム等からなる反射膜を形成する。また、対向基板30のカラーフィルタ32と共通電極36との間に、液晶層厚調整層を形成して、反射表示領域の液晶層の厚さが透過表示領域の液晶層の厚さより小さくなるように調整する。また、素子基板10と偏光板51との間、及び対向基板30と偏光板53との間に、それぞれ1/4波長板を配置する。
なお、上記各変形例は、任意の他の変形例と組み合わせて実施することができる。
液晶装置の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。 スプレイ配向及びベンド配向における液晶分子の配向状態を示す模式図。 表示領域の拡大平面図。 液晶装置の表示領域における各種素子、配線等の等価回路図。 画素の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。 スペーサの拡大平面図。 (a)及び(b)は、図6中のC−C線における断面図。 第1の実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 (a)から(e)は、対向基板の製造工程における断面図。 第2の実施形態に係る液晶装置の、スペーサの配置領域における断面図。 (a)及び(b)第3の実施形態に係る液晶装置の、スペーサの配置領域における断面図。 第3の実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 (a)及び(b)は、第3の実施形態に係る液晶装置の製造工程における断面図。 第4の実施形態に係る液晶装置の、垂直配向膜の配置領域における断面図。 (a)から(c)は、変形例1に係る、初期配向転移構造を有する画素の平面図。 電子機器としての携帯電話機の斜視図。
符号の説明
1…液晶装置、4…画素、5…凹部、6…回路素子層、10…素子基板、11,31…基板、12…ゲート線、14…ソース線、15…容量線、15a…補助容量、16…画素電極、16a…スリット、19,39…配向膜、19p,39p…水平配向膜、19s,39s…垂直配向膜、20…TFT素子、20a…半導体層、20d…ドレイン電極、20s…ソース電極、21…コンタクトホール、23,24…層間絶縁層、30…対向基板、32…カラーフィルタ、34…遮光層、36…共通電極、37…突起としてのスペーサ、37a…スペーサ形成材料、38…突起、40…液晶層、40a…液晶分子、41…シール材、42…ドライバIC、43…表示領域、51,53…偏光板、100…電子機器としての携帯電話機、110…表示部。

Claims (6)

  1. 対向して配置された一対の基板と、
    前記一対の基板の間に配置された、スプレイ配向又はベンド配向のいずれの配向状態をもとりうる液晶層と、
    前記一対の基板のうち一方の前記基板の前記液晶層側の面に配置された、テーパー部を有する突起と、
    前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域に配置された垂直配向膜と、
    前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域を除いた領域に配置された水平配向膜と、を備えることを特徴とする液晶装置。
  2. 請求項1に記載の液晶装置であって、
    前記突起は、前記一対の基板の間隔を保持するスペーサであることを特徴とする液晶装置。
  3. 請求項2に記載の液晶装置であって、
    前記突起は、前記一方の基板上において、前記テーパー部が逆テーパー形状となるように形成されていることを特徴とする液晶装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
    前記一対の基板の前記液晶層側の面のうち、平面視で前記テーパー部と重なる領域には凹部が形成されており、
    前記垂直配向膜は、前記凹部を含む領域に配置されていることを特徴とする液晶装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
    前記垂直配向膜の近傍に形成された初期配向転移構造を備えることを特徴とする液晶装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
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CN103996695A (zh) * 2014-04-28 2014-08-20 青岛海信电器股份有限公司 一种曲面有机发光二极管显示面板
CN104570505A (zh) * 2015-01-27 2015-04-29 合肥鑫晟光电科技有限公司 一种显示基板及其制作方法、显示面板和显示装置

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