JP2009229289A - 原子炉圧力容器の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子力圧力容器の支持構造部に発生する応力を有効に低減できる支持構造を提供する。
【解決手段】原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋のペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、支持構造は、胴体部の外周に設けられた突設サポート部7と、突設サポート部7とペデスタルとの間に介在された中間支持部材を有し、中間支持部材は、ペデスタルに固定支持された台座12と、台座12に連係し且つ突設サポート部7を載置して突設サポート部7の変位に追従する追従サポート部11,8と、からなり、追従サポート部11は、台座12に対して胴体部の略半径方向に回動可能であり胴体部の略半径方向への熱膨張又は熱収縮を吸収する。2つの台座12の上部に隙間をもってロッド10を掛け渡して係合させ、ロッド10に追従サポート部11,8を係合させて吊り下げ支持させる。
【選択図】図3
【解決手段】原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋のペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、支持構造は、胴体部の外周に設けられた突設サポート部7と、突設サポート部7とペデスタルとの間に介在された中間支持部材を有し、中間支持部材は、ペデスタルに固定支持された台座12と、台座12に連係し且つ突設サポート部7を載置して突設サポート部7の変位に追従する追従サポート部11,8と、からなり、追従サポート部11は、台座12に対して胴体部の略半径方向に回動可能であり胴体部の略半径方向への熱膨張又は熱収縮を吸収する。2つの台座12の上部に隙間をもってロッド10を掛け渡して係合させ、ロッド10に追従サポート部11,8を係合させて吊り下げ支持させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、高温高圧で運転される原子炉圧力容器の支持構造に係り、特に圧力容器の起動時、停止時、運転時及び地震時などに発生する応力を低減するのに好適な原子炉圧力容器の支持構造に関する。
沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)は近年、安全性、経済性の向上等を目的として数々の高度な技術改良が行われており、改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)として安全に運用されている。先ず、改良型沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器(RPV:Reactor Pressure Vessel)の配置状態を図10に示す。図10は、従来の原子力発電所の主要部を示す縦断面図である。原子炉圧力容器(RPV)4は、原子炉建屋1内に格納されている。原子炉建屋1の内側に円筒状をした原子炉遮蔽壁2が設置され、原子炉遮蔽壁2の内壁に円環状突部からなるぺデスタル3が設けられ、ぺデスタル3上に支持装置5を介してRPV4が支持されている。
RPV4の上部にベイスンシールスカート67と称されるシール部材やスタビライザ65が設置されている。スタビライザ65は、地震時にRPV4に発生するRPV4の水平方向の荷重を支持する機能を有している。
従来技術における支持装置5の構成例を図10〜図18に示す。図11は原子炉圧力容器RPV4の支持構造を示す縦断面図であり、図12は図11に示すA部の詳細図である。図11に示すようにRPV4は、主として円筒胴6と、円筒胴6の上部に設けられたフランジ付の上鏡板部100と、円筒胴6の下部に設けられた下鏡板部101とから構成されている。円筒胴6は製作性等の観点から、上部円筒胴43と下部円筒胴40とを円周方向の溶接部47(図12参照)により接続したものである。
図12に示すように、下部円筒胴40の外周部にスカート41が設けられて外形が切頭円錐(円錐台)状をしており、スカートフランジ42及びベースプレート50を介して前記ぺデスタル3上に配置されている。スカートフランジ42及びベースプレート50にはぺデスタル3に埋め込まれた基礎ボルト51が貫通して、ナット53とワッシャー52で締め付け固定されている。
スカート41は、下部円筒胴40の外周に突出させて切り出し等で形成した突起部49に溶接部48で接続され、突起部49を含む逆Y字断面形状の下部円筒胴40を形成している。下部円筒胴40の上端は溶接部47で上部円筒胴43の下端に接続され、下部円筒胴40の下端は溶接部46で下鏡板部101の上部に形成された円筒胴45に接続されている。
図12に示すように、RPV4を高温高圧で運転する場合、円筒胴43,40,45は破線で示すように熱膨張により半径方向に膨れる。この場合、スカート41はスカートフランジ42が基礎ボルト51によりぺデスタル3に固定されており、しかもスカートフランジ42と円筒胴43,40,45との温度差が大きいことから(例えば、スカートフランジ42で50℃、円筒胴40で290℃となり、温度差は240℃)、スカートフランジ42を拘束点として変形し、スカート41と円筒胴40との溶接部48、及びスカート41とスカートフランジ42との接続部に大きな曲げ応力が生じる。
この曲げ応力を許容値以下とするためには、スカート41の長さLを長くする必要がある。また地震時の上下方向の荷重によりスカート41が座屈することを防止するために、スカート41の厚さTを厚くすることで、機械的強度を確保する必要があった。このようなことからぺデスタル3の径D(図11参照)を大きくし、かつRPV4を収納している原子炉遮蔽壁2の内径W(図11参照)を大きくする必要があった。
図13及び図14は、原子炉圧力容器の支持装置における従来技術を例示する特許文献1に記載されている支持装置5を説明するための図であり、図13は図10に示すB部の詳細図であり、図14は図13に示すC−C線の断面視図である。図面において、円筒胴6の外周にリング56を一体に設け、リング56の外周に凹凸の係合部57を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。一方、RPV4を支持するぺデスタル3上に、この係合部57と嵌合する嵌合部58を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。各嵌合部58は、ボルト60でぺデスタル3上に固定されている。
図13に示すように係合部57に対応するリング56とぺデスタル3との間にスライドプレート64を設け、係合部57はRPV4の半径方向に沿ってスライド可能になっている。嵌合部58とその中央部に嵌合された係合部57とでリング押さえ部材59が構成され(図13参照)、地震によるRPV4の上向きの荷重を抑止する構造になっている。
しかし、RPV4を高温高圧で運転する場合、熱膨張により円筒胴6は半径方向に膨れるから、リング56とスライドプレート64の間でスライド現象が発生する。RPV4内には内部構造物や燃料等が収納され、それらの質量を加えたRPV4全体の質量は非常に重く、リング56とスライドプレート64に大きな面圧が生じる。また、リング56には円周方向に変形が生じることから、スライドプレート64のRPV4面内には均一の面圧ではなく局所的に過大な面圧が作用する。このためRPV4の起動時及び停止時において常にスライドが発生し、この現象に伴い局所的に磨耗するという課題がある。
さらに、上記の特許文献1に記載されている別の支持装置5を図15び図16を用いて説明する。図15は図10に示すB部の詳細図であり、図16図は図15に示すD−D線の断面視図である。図面において、円筒胴6の外周にリング61を設け、リング61の外周に凸部62を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。一方、ぺデスタル3上に支持スカート63を固定し、支持スカート63の上部にはこの凸部62が嵌合する凹部55がそれぞれ設けられ、図13に示すように凹部55の下方内側には内フランジ60が形成されている。凸部62を凹部55に嵌合して、内フランジ60上に載置することにより、リング61と支持スカート63を介してRPV4をぺデスタル3で支持することができる。
図15に示すように支持スカート63の上端にリング押さえ部材64が取り付けられ、リング押さえ部材64と内フランジ60により凸部62が挟まれて、地震時のRPV4の上向きの荷重を押さえている。この構造においてもRPV4の起動時及び停止時にリング61と内フランジ60との間でスライドが生じ、接触部での磨耗が課題となる。
図17と図18は、原子炉圧力容器の支持装置における従来技術を例示する特許文献2に記載されている支持装置5を説明するための図であり、図18は図17に示すE−E線の側面視図である。この支持装置は、スカートタイプの支持構造に替えてラグタイプの支持構造になっている。
図17と図18において、円筒胴6の外周には、所定の間隔をおいて多数の凸部サポート7が突設されている。一方、原子炉遮蔽壁2のこの凸部サポート7側の下方に向けて延設されたぺデスタル32上にサポート26,27,28が設けられている。サポート26,27は一体構造になっており、図18に示すようにサポート27の両端部はサポート28に嵌合して、サポート28はボルト33とナット35でぺデスタル32上に固定されて、サポート27とぺデスタル32の間はスライド可能な構造になっている。凸部サポート7と最上部のサポート26は、ボルト33とナット35で連結されている。この支持構造においてもRPV4の起動時及び停止時にサポート27とぺデスタル32との間でスライドが生じ、接触部での磨耗が課題となる。
実願昭63−56840号(実開平1−160396号公報) のマイクロフィルム
米国特許第5,930,320号明細書
しかしながら、上記の特許文献1に示すような従来技術におけるスカートタイプの支持構造は、運転時、起動時、停止時及び地震時などにスカートに発生する応力が大きく、それに対応するためにスカートを長くする必要があり、ぺデスタルの径が大きくなり、さらに原子炉圧力容器を収納している原子炉遮蔽壁の内径が大きくなるという課題がある。また、スカートと円筒胴との溶接部を運転開始後の検査で点検する際(UT等)、作業時間が長くかかり、検査員の被曝線量が多くなるという課題が生じる。
さらに、上記の特許文献2に示すような、スカートタイプ以外の支持構造(ブラケット構造)は、原子炉圧力容器の運転時、停止時に熱膨張、熱収縮が生じ、構成部品同士の摺動で摩擦が発生し、その摩擦力で構成部品に過大な応力が発生する恐れがあり、構造強度の健全性が低下する。
本発明の目的は、原子炉遮蔽壁の内径を小さく、且つ、支持構造部に発生する応力を有効に低減できる原子炉圧力容器の支持構造を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられたペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、前記支持構造は、前記胴体部の外周に設けられた突設サポート部と、前記突設サポート部と前記ペデスタルとの間に介在された中間支持部材と、を有し、前記中間支持部材は、前記胴体部の半径方向への膨張又は収縮移動に伴って回動する回動機構を有する構成とする。さらに、前記原子炉圧力容器の支持構造において、前記中間支持部材の回動機構は、前記突設サポート部をロッドで回動支持するロッド支持構造である構成とする。
原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられたペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、前記支持構造は、前記胴体部の外周に設けられた突設サポート部と、前記突設サポート部と前記ペデスタルとの間に介在された中間支持部材と、を有し、前記中間支持部材は、前記胴体部の半径方向への膨張又は収縮移動に伴って回動する回動機構を有する構成とする。さらに、前記原子炉圧力容器の支持構造において、前記中間支持部材の回動機構は、前記突設サポート部をロッドで回動支持するロッド支持構造である構成とする。
また、原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられたペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、前記支持構造は、前記胴体部の外周に設けられた突設サポート部と、前記突設サポート部と前記ペデスタルとの間に介在された中間支持部材を有し、前記中間支持部材は、前記ペデスタルに固定支持された台座と、前記台座に連係し且つ前記突設サポート部を載置して前記突設サポート部の変位に追従する追従サポート部と、からなり、前記追従サポート部は、前記台座に対して前記胴体部の略半径方向に回動可能であり前記胴体部の略半径方向への熱膨張又は熱収縮を吸収する構成とする。さらに、前記原子炉圧力容器の支持構造において、2つの台座の上部に隙間をもってロッドを掛け渡して係合させ、前記ロッドに前記追従サポート部を係合させて吊り下げ支持させる構成とする。
本発明によれば、原子炉圧力容器の支持構造が原子炉圧力容器の半径方向の熱膨張、収縮を吸収できる回動構造であるから、熱膨張、収縮に起因した応力は発生せず、支持構造材の強度健全性の向上が図れ、装置の安全性及び信頼性に繋がる。
また、原子炉圧力容器の支持構造が上方向への移動又は水平方向への移動を一定量以下に抑えることから、地震時の原子炉圧力容器の移動を効果的に防止できる。また、従来のスカートタイプの支持構造に代えて、ブラケットタイプの支持構造となることから、原子炉圧力容器の運転・保守管理における溶接部の検査が不要となり、保守管理の経済性の向上が図れる。
さらに、原子炉圧力容器の支持構造が小型化できるから、ぺデスタルの径を小さくでき、これに伴い原子炉圧力容器を収納しているコンクリート製原子炉遮蔽壁の内径も小さくなり、建設コストの低減を図ることができる。
本発明の実施形態に係る原子炉圧力容器の支持構造について、図1〜図7を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る改良型沸騰水型原子炉内における原子炉圧力容器の配置状態を示す図である。図2は本実施形態に関する図1に示すF部の断面詳細図である。図3は本実施形態に関する図2に示すG−G線からみた側断面図である。図4は本実施形態に関する図2に示すH−H線からみた平面図である。図5は本実施形態に関する図4に示すK−K線からみた側断面図である。図6は本実施形態に関する図2に示すJ−J線からみた平面図である。
また、図7は本実施形態に係る支持構造の見取図である。図8は本実施形態に係る支持構造における追従サポート部材の作動態様を説明する図である。図9は本実施形態に係る支持構造における他の構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に関する原子炉圧力容器(RPV)4は、その円筒胴6の下部に支持構造5を介してぺデスタル3上に立設され、図示しない配管類を介して高温高圧の流体を内蔵及び流通する。本実施形態の特徴は、原子炉圧力容器4とペデスタル3とを連係させる原子炉圧力容器の支持構造が、原子力圧力容器の運転時、停止時に生じる熱膨張、熱収縮に因る支持構造への過大な熱応力が生じないようにする工夫を凝らしたものである。
図2に示すように(図7に示す見取図を参照して)、本実施形態に係る支持構造5は、原子炉圧力容器4の円筒胴6の下部外周に突設した凸部サポート7と、この凸部サポート7を介して円筒胴6の荷重を支持すると共に円筒胴6の径方向の熱膨張、収縮を回動により追従(吸収)する追従サポート部材11及びサポート部材8と、追従サポート部材11及びサポート部材8を回動可能に支持するロッド10と、ロッド10を支持する台座12及び台座ベース15と、台座ベース15をペデスタル3に固定するボルト20及びナット21と、から構成される。すなわち、本実施形態の支持構造は、その機能において概略的に云えば、円筒胴6の外周に設けられた凸部サポート7と、この凸部サポート7とペデスタル3との間に介在された中間支持部材を備え、この中間支持部材が、円筒胴6の半径方向への膨張又は収縮移動に伴って回動する回動機構を有するものである。追従サポート部材11はサポート8と連結されて、ロッド10を介して台座12と連係されている。追従サポート部材11は凸部サポート7(原子炉圧力容器4の円筒胴6に突設されたもの)の周方向に等間隔に配置されている。
図2と図3に示すように、原子炉遮蔽壁2のぺデスタル3上に台座ベース15が載置され、台座ベース15の上部に台座12が接続され、台座ベース15はボルト20とナット21でぺデスタル3に固定されている。図3に示すように、図示する左右の台座12と台座12の間にサポート部材8と追従サポート部材11(両部材8,11は一体構造でも別体構造でもよい)を設けて、追従サポート部材11の上面11Aに凸部サポート7の下面7Aを接触できる構造としている。また、台座12とサポート部材8の間にはギャップ12Aを確保して、サポート部材8の設置容易とすることや、原子炉圧力容器4の運転時における円筒胴6の径方向の熱膨張、収縮を回動により追従(吸収)できる構造としている。
すなわち、円筒胴6は凸部サポート部材7と一体構造であり、追従サポート部材11とサポート部材8は円筒胴6と一体的に移動可能であり(面11Aと面7Aとの接触を通して)、円筒胴6の熱膨張・収縮によって、サポート部材8は台座12との隙間12Aを介して後述するロッド10を中心にして回動し、円筒胴6の径方向の熱膨張、収縮を追従(吸収)しているのである。
台座12及びサポート部材8にはロッド10の直径より大きい開口10A及び開口10Bを設けて、ロッド10をそれぞれの開口10A,10Bに貫通させる。ロッド10の両端部にはそれぞれ突起13、ストッパー14を設けて、ロッド10が開口10A,10Bから脱落させない構造としている。
凸部サポート7の上面7Bとロッド10の下面10Cにはギャップ7Cを設け、原子炉圧力容器4からの熱伝導によって生じる凸部サポート7の鉛直方向の熱膨張量とサポート部材8、台座12、サポート部材11及びロッド10との熱膨張を吸収できるように配慮している。
図1〜図8に示すように、原子炉圧力容器4の全質量は凸部サポート7に伝達され、さらに凸部サポート7の下面7Aと追従サポート部材11の上面11Aとの接触によりサポート部材8に伝達される。そして、サポート部材8の開口10Bとロッド10が接触して、ロッド10に質量が伝達される。
そして、ロッド10に伝達された原子炉圧力容器4の全質量は、台座12の開口10Aとロッド10の下面で構成される支圧面9に伝達され、さらに台座12に伝達されて台座ベース15で支持される。さらに、台座ベース15はボルト20とナット21でぺデスタル3に固定され、原子炉圧力容器4の全質量が完全支持される。以上説明したように、原子炉圧力容器4の据付状態及び停止状態における原子炉圧力容器4の全質量が支持された状態となる。
次に、原子炉圧力容器4の起動から運転次いで停止に至る状態について説明する。図8に示すように、原子炉圧力容器4が起動から運転状態への過程では高温状態となることから、一点破線で示す状態となる。すなわち、原子炉圧力容器4は熱膨張で半径方向に変形する。追従サポート部材11の上面11A(図3参照)に凸部サポート7の下面7Aが接触しており、当該面での接触のずれの発生はなく、サポート部材8と台座12がロッド10で連結されていることから、当該部材(8,12と10)間で回転機構が可能であり、熱膨張量19がこの回転機構により吸収される。すなわち、当該面での接触によって生じる摩擦力Fが回転角度20で生じるサポート部材8と追従サポート部材11の質量による抵抗力fよりも遥かに大きいことから、熱膨張量19がこの回転角度20によって吸収できるものである。
次に、図3において、運転状態中に地震によって原子炉圧力容器4が水平方向及び鉛直方向に移動することによって、水平方向の地震荷重QH及び鉛直方向の地震荷重QVが発生する場合の状態を述べる。鉛直方向の地震荷重QVの場合、下向き方向に対しては、原子炉圧力容器4が停止状態と同様に追従サポート部材11で地震荷重を支持される。
一方、上向き方向の地震荷重に対しては、凸部サポート7の上面7Bとロッド10の下面10Cとのギャップ7C、及びロッド10と台座12の開口10Aとのギャップ12Bの範囲分の量は原子炉圧力容器4が上方向に移動できるが、これ以上の量の移動は阻止される。すなわち、凸部サポート7の上面7Bとロッド10の下面10Cが接触して、ロッド10で凸部サポート7が阻止される。そして、ロッド10に伝達された上向き荷重は、台座12に伝達され、さらに台座ベース15に伝わり、最終的には台座ベース15に設けているボルト20、ナット21に伝達される。したがって、上向き方向の地震荷重に対して原子炉圧力容器4の移動が阻止できる構造となっている。
また、図3において、水平方向の地震荷重QHに対する機能を述べる。水平方向の地震荷重QHが左方向に作用した場合には、ギャップ8Aとギャップ12Aの範囲分の量は原子炉圧力容器4が左方向に移動できるが、これ以上の量の移動は阻止される。すなわち、凸部サポート7の側面とサポート部材8の側面が接触して地震荷重が伝達され、さらに、サポート部材8の側面と台座12の側面が接触して地震荷重が伝達される。伝達された地震荷重は台座ベース15に伝わり、最終的には台座ベース15に設けているボルト20及びナット21に伝達される。したがって、水平方向の地震荷重に対して原子炉圧力容器4の移動が阻止できる構造となっている。
次に、本発明の実施形態に係る原子炉圧力容器支持構造の他の構成例について、図9を参照しながら説明する。図9によると、凸部サポート7の下面及び追従サポート11の上面にそれぞれ凹部23及び凸部24を設けることで、これらの部品の現地での据付性の向上が図れることとなる(凹部と凸部はどちらに設けてもよい)。すなわち、これらの凹部23と凸部24を設けることで凹凸形状がガイドの機能を果たす役目となるからである。
次に、本発明の実施形態に係る原子炉圧力容器支持構造の他の構成例について、図9を参照しながら説明する。図9によると、凸部サポート7の下面及び追従サポート11の上面にそれぞれ凹部23及び凸部24を設けることで、これらの部品の現地での据付性の向上が図れることとなる(凹部と凸部はどちらに設けてもよい)。すなわち、これらの凹部23と凸部24を設けることで凹凸形状がガイドの機能を果たす役目となるからである。
以上説明したように、本発明の実施形態の主たる特徴は、胴体部に設けた凸部サポート7が原子炉圧力容器RPV4の運転時に胴体部とともに半径方向に熱膨張するが、凸部サポートとぺデスタル側の間に設けた追従サポート部材11とサポート部材8の回動による移動の確保が可能であり、RPV4の半径方向の熱膨張、収縮が拘束されない状態となる。すなわち、半径方向の熱膨張、収縮を吸収できる回動構造であるから、熱膨張、収縮に起因した応力は発生せず、支持構造材の強度健全性の向上が図れ、装置の安全性及び信頼性に繋がる。また、支持部材の上方向への移動又は水平方向への移動を一定量以下に抑えることから、地震時のRPV4の移動を効果的に防止できる。
1:原子炉建屋、2:原子炉遮蔽壁、3:ペデスタル、4:原子炉圧力容器、5:支持構造、6:円筒胴、7:凸部サポート、7A:凸部サポート7の下面、7B:凸部サポート7の上面、7C:凸部サポート7の上面7Bとロッド10の下面10Cとのギャップ、8:サポート部材、8A:サポート部材8と凸部サポート7とのギャップ、9:支圧面、10:ロッド、10A:開口、10B:開口、10C:ロッド10の下面、11:追従サポート部材、11A:追従サポート11の下面、12:台座、12A:台座12とサポート部材8とのギャップ、13:突起、14:ストッパ、15:台座ベース、20:ボルト、21:ナット、19:熱膨張量、20:回動角度、23:凹部、24:凸部、
40:下部円筒胴、41:スカート、42:スカートフランジ、43:上部円筒胴、45:円筒胴、46:溶接部、47:溶接部、48:溶接部、49:突起部、50:ベースプレート、51:基礎ボルト、52:ワッシャー、53:ナット、54:突出部、55:凹部、56:リング、57:係合部、58:嵌合部、59:リング押さえ部材、60:内フランジ、61:リング、62:凸部、63:支持スカート、64:押さえ部材、65:スタビライザ、67:ベイスンシールスカート。
40:下部円筒胴、41:スカート、42:スカートフランジ、43:上部円筒胴、45:円筒胴、46:溶接部、47:溶接部、48:溶接部、49:突起部、50:ベースプレート、51:基礎ボルト、52:ワッシャー、53:ナット、54:突出部、55:凹部、56:リング、57:係合部、58:嵌合部、59:リング押さえ部材、60:内フランジ、61:リング、62:凸部、63:支持スカート、64:押さえ部材、65:スタビライザ、67:ベイスンシールスカート。
Claims (7)
- 原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられたペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、
前記支持構造は、前記胴体部の外周に設けられた突設サポート部と、前記突設サポート部と前記ペデスタルとの間に介在された中間支持部材と、を有し、
前記中間支持部材は、前記胴体部の半径方向への膨張又は収縮移動に伴って回動する回動機構を有する
ことを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 請求項1において、
前記中間支持部材の回動機構は、前記突設サポート部をロッドで回動支持するロッド支持構造であることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられたペデスタルに支持する原子炉圧力容器の支持構造において、
前記支持構造は、前記胴体部の外周に設けられた突設サポート部と、前記突設サポート部と前記ペデスタルとの間に介在された中間支持部材を有し、
前記中間支持部材は、前記ペデスタルに固定支持された台座と、前記台座に連係し且つ前記突設サポート部を載置して前記突設サポート部の変位に追従する追従サポート部と、からなり、
前記追従サポート部は、前記台座に対して前記胴体部の略半径方向に回動可能であり前記胴体部の略半径方向への熱膨張又は熱収縮を吸収する
ことを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 請求項3において、
2つの台座の上部に隙間をもってロッドを掛け渡して係合させ、前記ロッドに前記追従サポート部を係合させて吊り下げ支持させることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 請求項4において、
前記ロッドの下面と前記突設サポート部の上面との間に隙間を設け、前記原子炉圧力容器の上方向への移動時に、前記隙間の距離の移動分を許容することを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 請求項4または5において、
前記突設サポート部は、その側面と前記追従サポート部の側面との間に第1の隙間をもって配置され、さらに、前記台座の側面との間に第2の隙間をもって配置され、
前記原子炉圧力容器の水平方向への移動時に、前記第1の隙間と第2の隙間の合計距離の移動分を超える移動を阻止する
ことを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。 - 請求項3または4において、
前記突設サポート部は、その下面が前記追従サポート部に対して凹凸形状で係合して載置されることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
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