JP2008145239A - 原子炉圧力容器の支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持構造部に発生する応力を有効に低減できる原子力圧力容器の支持構造を提供する。
【解決手段】支持構造部5を介して原子炉圧力容器4の胴体部6を原子炉建屋の基礎部に設けられた支持部3に支持する構造において、支持構造部5が、胴体部6の外周に突設されたサポート7と、サポート7と支持部3の間に介在された中間支持部材を備え、中間支持部材10,13が、胴体部6の半径方向への膨張、収縮に伴って回動する回動機能を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、高温高圧で運転される原子炉圧力容器の支持構造に係り、特に圧力容器の起動時、停止時、運転時及び地震時などに発生する応力を低減するのに好適な原子炉圧力容器の支持構造に関する。
沸騰水型原子炉(BWR:Biling Water Reactor)は近年、安全性、経済性の向上等を目的として数々の高度な技術改良が行われており、改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Biling Water Reactor)として安全に運用されている。
先ず、この改良型沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器(RPV:Reactor Pressure Vessel)の配置状態を図9に示す。同図は、従来の原子力発電所の主要部を示す縦断面図である。
原子炉圧力容器(RPV)4は、原子炉建屋1内に格納されている。原子炉建屋1の内側に円筒状をした原子炉遮蔽壁2が設置され、原子炉遮蔽壁2の内壁に円環状突部からなるぺデスタル3が設けられ、ぺデスタル3上に支持装置5を介してRPV4が支持されている。
RPV4の上部にベイスンシールスカート67と称されるシール部材やスタビライザ65が設置されている。スタビライザ65は、地震時にRPV4に発生するRPV4の水平方向の荷重を支持する機能を有している。
支持装置5の従来例を図9〜図11に示す。図10はRPV4の支持構造を示す縦断面図、図11は図10A部の詳細図である。
図10に示すようにRPV4は、主として円筒胴6と、円筒胴6の上部に設けられたフランジ付の上鏡板部100と、円筒胴6の下部に設けられた下鏡板部101とから構成されている。円筒胴6は製作性等の観点から、上部円筒胴43と下部円筒胴40とを円周方向の溶接部47により接続したものである。
図11に示すように、下部円筒胴40の外周部にスカート41が設けられて外形が切頭円錐(円錐台)状をしており、スカートフランジ42及びベースプレート50を介して前記ぺデスタル3上に配置されている。スカートフランジ42及びベースプレート50にはぺデスタル3に埋め込まれた基礎ボルト51が貫通して、ナット53とワッシャー52で締め付け固定されている。
スカート41は、下部円筒胴40の外周に突出させて切り出し等で形成した突起部49に溶接部48で接続され、突起部49を含む逆Y字断面形状の下部円筒胴40を形成している。下部円筒胴40の上端は溶接部47で上部円筒胴43の下端に接続され、下部円筒胴40の下端は溶接部46で下鏡板部101の上部に形成された円筒胴45に接続されている。
図11に示すように、RPV4を高温高圧で運転する場合、円筒胴43、40,45は破線で示すように熱膨張により半径方向に膨れる。この場合、スカート41はスカートフランジ42が基礎ボルト51によりぺデスタル3に固定されており、しかもスカートフランジ42と円筒胴43、40,45との温度差が大きいことから(例えばスカートフランジ42で50℃、円筒胴40で290℃となり、温度差は240℃)、スカートフランジ42を拘束点として変形し、スカート41と円筒胴40との溶接部48、及びスカート41とスカートフランジ42との接続部に大きな曲げ応力が生じる。
この曲げ応力を許容値以下とするためには、スカート41の長さLを長くする必要がある。また地震時の上下方向の荷重によりスカート41が座屈することを防止するために、スカート41の厚さTを厚くすることで、機械的強度を確保する必要があった。このようなことからぺデスタル3の径D(図10参照)を大きくし、かつRPV4を収納している原子炉遮蔽壁2の内径Wを大きくする必要があった。
図12及び図13は実開平1−160396号公報に記載されている支持装置5を説明するための図で、図12は図9B部の詳細図、図13は図12C−C視図である。
円筒胴6の外周にリング56を一体に設け、リング56の外周に凹凸の係合部57を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。一方、RPV4を支持するぺデスタル3上に、前記係合部57と嵌合する嵌合部58を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。各嵌合部58は、ボルト60でぺデスタル3上に固定されている。図12に示すように前記係合部57に対応する前記リング56とぺデスタル3との間にスライドプレート64を設け、前記係合部57はRPV4の半径方向に沿ってスライド可能になっている。
嵌合部58とその中央部に嵌合された係合部57とでリング押さえ部材59が構成され(図12参照)、地震によるRPV4の上向きの荷重を抑える構造になっている。
しかし、RPV4を高温高圧で運転する場合、熱膨張により円筒胴6は半径方向に膨れるから、リング56とスライドプレート64の間でスライド現象が発生する。RPV4内には内部構造物や燃料等が収納され、それらの質量を加えたRPV4全体の質量は非常に重く、リング56とスライドプレート64に大きな面圧が生じる。また、リング56には円周方向に変形が生じることから、スライドプレート64のRPV4面内には均一の面圧ではなく局所的に過大な面圧が作用する。このためRPV4の起動時及び停止時において常にスライドが発生し、この現象に伴い局所的に磨耗するという問題がある。
前記実開平1−160396号公報に記載されている別の支持装置5を図14及び図15とともに説明する。図14は図9B部の詳細図、図15は図14D−D視図である。
円筒胴6の外周にリング61を設け、リング61の外周に凸部62を周方向に所定の間隔をおいて多数設ける。一方、ぺデスタル3上に支持スカート63を固定し、支持スカート63の上部には前記凸部62が嵌合する凹部55がそれぞれ設けられ、図14に示すように凹部55の下方内側には内フランジ60が形成されている。
凸部62を凹部55に嵌合して、内フランジ60上に載置することにより、リング61と支持スカート63を介してRPV4をぺデスタル3で支持することができる。
図14に示すように支持スカート63の上端にリング押さえ部材64が取り付けられ、リング押さえ部材64と内フランジ60により凸部62が挟まれて、地震時のRPV4の上向きの荷重を押さえている。
この構造においてもRPV4の起動時及び停止時にリング61と内フランジ60との間でスライドが生じ、接触部での磨耗が問題となる。
図16と図17は米国特許明細書第5,930,320号に記載されている別の支持装置を説明するための図で、図17は図16E−E視図である。この支持装置は、スカートタイプの支持構造に替えてラブタイプの支持構造になっている。
円筒胴6の外周には、所定の間隔をおいて多数の凸部サポート7が突設されている。一方、原子炉遮蔽壁2の前記凸部サポート7側の下方に向けて延設されたぺデスタル32上にサポート26、27、28が設けられている。サポート26、27は一体構造になっており、図17に示すようにサポート27の両端部はサポート28に嵌合して、サポート28はボルト33とナット35でぺデスタル32上に固定されて、サポート27とぺデスタル32の間はスライド可能な構造になっている。凸部サポート7と最上部のサポート26は、ボルト33とナット35で連結されている。
この構造においてもRPV4の起動時及び停止時にサポート27とぺデスタル32との間でスライドが生じ、接触部での磨耗が問題となる。
実開平1−160396号公報 米国特許明細書第5,930,320号
従来のスカートタイプの支持構造は、運転時、起動時、停止時及び地震時などにスカートに発生する応力が大きく、それに対応するためにスカートを長くする必要があり、ぺデスタルの径が大きくなり、さらに原子力圧力容器を収納している原子炉遮蔽壁の内径が大きくなるという問題がある。
また、スカートと円筒胴との溶接部を運転開始後の検査で点検する際(UT等)、作業時間が長くかかり、検査員の被爆線量が多くなる。
さらに、スカートタイプ以外の支持構造(ブラケット構造)は、原子力圧力容器の運転時、停止時に熱膨張、熱収縮が生じ、構成部品どうしの摺動で摩擦が発生し、その摩擦力で構成部品に過大な応力が発生する恐れがあり、構造強度の健全性が低下する。
本発明の目的は、支持構造部に発生する応力を有効に低減できる原子力圧力容器の支持構造を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、例えば後述の支持装置などの支持構造部を介して原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられた例えば後述のペデスタルなどの支持部に支持する原子炉圧力容器の支持構造において、
前記支持構造部が、前記胴体部の外周に突設された例えば後述の凸部サポートなどのサポートと、そのサポートと前記支持部との間に介在された中間支持部材を備え、
前記中間支持部材が、前記胴体部の半径方向への膨張、収縮に伴って回動する回動機能を有することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記中間支持部材に、前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面が形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記中間支持部材が、追従サポート部材と、その追従サポート部材を載置する台座を有し、
前記追従サポート部材の上部が前記胴体部の外周に突設されたサポートと回動可能に係合され、前記追従サポート部材の下部が前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面を有し、
前記追従サポート部材が前記台座上に前記胴体部の半径方向に回動可能にかつ前記胴体部の半径方向にずれないように載置されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記台座の上面に前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面が形成され、その台座の曲面の曲率半径が前記追従サポート部材の下面の曲率半径よりも大きいことを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第3または第4の手段において、前記追従サポート部材の下部のほぼ中央部に下方へ向けて開口した凹部が形成され、前記台座の上部の前記追従サポート部材の凹部と対向する位置に上方へ向けて開口した凹部が形成されて、
前記追従サポート部材の凹部から前記台座の凹部にかけてずれ防止用のストッパーが挿入されて、前記追従サポート部材ならびに台座の凹部と前記ストッパーの間に、前記追従サポート部材の回動を許容するための隙間が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、前記追従サポート部材ならびに台座の凹部と前記ストッパーの組が、前記追従サポート部材の前記胴体部の半径方向と直交する方向に所定の間隔をおいて複数組設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は前記第1または第2の手段において、前記中間支持部材が、前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面を下面に有する例えば後述のベアリングサポートなどの滑り部材と、その滑り部材の下に敷設された例えば後述の干渉部材などの下敷部材とを有し、
前記胴体部の半径方向への膨張、収縮に伴って前記滑り部材が前記下敷部材上を滑りながら前記曲面に沿って回動することを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記下敷部材が前記滑り部材よりも硬質の材料で構成されていることを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、支持構造部に発生する応力を有効に低減できる。
次に本発明の実施形態を図とともに説明する。第1実施形態に係る改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の原子炉圧力容器(RPV)の構造を図1〜6を用いて説明する。図1はABWR内のRPVの配置状態を示す図、図2は図1F部の詳細図、図3は図2G−G線上の断面図、図4は図2H−H線上の断面図、図5は図2I−I線上の断面図、図6は追従サポート部材の動きを説明するための図である。
図1に示すようにRPV4は、それの円筒胴6の下部に支持装置5を介してぺデスタル3上に立設され、図示しない配管類を介して高温高圧の流体を内蔵及び流通する。
図2に示すように支持装置5は、円筒胴6の下部外周に突設した円環状の凸部サポート7と、その凸部サポート7を介して円筒胴6の荷重を支持すると共に円筒胴6の径方向の熱膨張、収縮を回動により追従(吸収)する追従サポート部材10と、追従サポート部材10を回動可能に支持する台座13と、凸部サポート7の外周側に離間して配置され、円筒胴6の径方向の移動を抑制すると共に、凸部サポート7の上方向の移動を抑制する移動防止サポート部材17を備えている。
追従サポート部材10、台座13ならびに移動防止サポート部材17は、図5に示すように円環状の凸部サポート7の周方向に等間隔に配置されている。
図2に示すようにぺデスタル3上に台座13が載置され、台座13の外周部上に移動防止サポート部材17が重ねられ、台座13と移動防止サポート部材17はボルト20とナット21でぺデスタル3に固定されている。
凸部サポート7と台座13の内周部の間に、側面形状がほぼむすび型の追従サポート部材10が介在されている。
凸部サポート7の追従サポート部材10と対向する下面に断面形状が上側に向けて凸に湾曲した溝状の支圧面8が形成され、追従サポート部材10の上端部に断面形状が上側に向けて凸に湾曲した半円柱状の支圧面9が形成されて、支圧面9が支圧面8に挿入され、追従サポート部材10が横方向に回動する際の摺動面となっている。支圧面8と支圧面9の曲率半径はほぼ同じか、支圧面8の曲率半径の方が若干大きくなっている。
追従サポート部材10の下面に下側に向けて凸に湾曲した支圧面11が形成され、台座13の追従サポート部材10が載置されている位置に下側に向けて凸に湾曲した溝状の支圧面14が形成され、支圧面11が支圧面14内に挿入されている。図2と図6に示すように、支圧面14の曲率半径の方が支圧面11よりも若干大きく設計されている。
図2に示すように、支圧面11、14の曲率半径は支圧面8、9の曲率半径よりも大きくなっている。また支圧面8、9、11、14は、胴体部6の半径方向に向けて反った曲面となっている。本実施形態では支圧面14を曲面としたが、胴体部6の半径方向に沿ってフラット面であっても構わない。
図2に示すように、追従サポート部材10の支圧面11のほぼ中央部に下方に向けて開口した凹部12が、台座13の支圧面14のほぼ中央部に上方に向けて開口した凹部15が、それぞれ形成されている。凹部12から凹部15にかけて柱状のストッパー16が挿入され、ストッパー16と凹部12、15の間に追従サポート部材10の回動を許容するに必要な最小限の隙間が形成されている。
このストッパー16で追従サポート部材10が台座13に回動可能に位置決めされて、支圧面11、14の回動中心位置(図6の黒点)が確保され、追従サポート部材10は支圧面14上を滑ることなく回動できる。
追従サポート部材10の回動中心が溝状支圧面14の中心位置とほぼ一致しているため、円筒胴6の膨張、収縮による移動量が円筒胴6の半径方向に偏ることなく全体としてほぼ均等に膨張、収縮できる。
図3に示すように凹部12、15とストッパー16の組は、追従サポート部材10の長手方向、すなわち円筒胴6の半径方向と直交する方向に沿って複数組(本実施形態では2組)設けられている。
図2に示すように、移動防止サポート部材17の上端部は凸部サポート7側に向けて突出して、その突出部が凸部サポート7の外周部上に掛合している。突出部と凸部サポート7の外周部の間に、取り付けにおけるギャップ調整用のシム19が介在され、シム19はボルト22で前記突出部の内周面に取り付けられている。台座13と移動防止サポート部材17の重合面にもシム8が介在され、ボルト20により締め付け固定されている。
RPV4の自重及び地震時における下方向の荷重は、円筒胴6の下部に設けた凸部サポート7の各支圧面8で受け、この荷重は追従サポート部材10と台座13を介してぺデスタル3で受け止められる。
移動防止サポート部材17と凸部サポート7の間に、RPV4の停止状態から運転状態に移る際の熱膨張を許容する隙間が設けているが、運転時は円周方向で移動防止サポート部材17と凸部サポート7は接触して、地震時の横揺れに対してはほとんど動かず固定された状態となっている。この際の横揺れは、図1に示すRPV4の上部と原子炉遮蔽壁2の間に設置したスタビライザ65で防止できる。
図6において実線で示す追従サポート部材10はRPV4の停止時の状態、破線で示す追従サポート部材10はRPV4の運転時の状態を示している。RPV4の停止状態から運転状態に移る際の熱膨張による水平方向の膨らみ(変位)23は、追従サポート部材10の回動機構で吸収できる。RPV4が運転から停止状態に移ると、追従サポート部材10は破線の位置から実線の位置に戻る。
すなわち図6に示すように、追従サポート部材10の下部の支圧面11はストッパー16にで支持されているから、追従サポート部材10の水平方向(RPV4の半径方向)の移動(ずれ)は阻止されている。そして追従サポート部材10の上部で生じた円筒胴6の半径方向の熱膨張(変位)時、追従サポート部材10はそれの下部の支圧面11を基点として図6に示す矢印25方向に回動し、その回動機構で円筒胴6の半径方向の熱膨張量23が吸収できる。図中の24は追従サポート部材10の回動角度を示しており、熱膨張量23に対応している。
前記ストッパー16は、追従サポート部材10の半径方向の移動を防止して、追従サポート部材10の回動機能を確実に発揮する。
本実施形態では図5に示すように円筒胴6の外周に連続した円環状の凸部サポート7を設けたが、円筒胴6の外周に所定の間隔をおいて突設した多数の凸部サポートを設けても構わない。
本実施形態では追従サポート部材10の下部を回動基点としたが、反対に追従サポート部材10の上部を回動基点とすることも可能である。
図7ならびに図8は本発明の第2実施形態に係る支持装置を説明するための図で、図7は支持装置の断面図、図8は図7J−J視図である。
円筒胴6の外周には、連続した円環状の凸部サポート7または所定の間隔をおいて突設した多数の凸部サポート7が設けられている。一方、原子炉遮蔽壁2の前記凸部サポート7側の下方に向けて延設されたぺデスタル3上にはサポート26、27、28が設置されている。サポート26とサポート27は一体物であるが、サポート28はこれらとは別体となっている。最上部のサポート26は凸部サポート7の下側に配置され、両者はボルト36とナット37で連結されている。
図8に示すようにサポート27はぺデスタル3上に接しているが、ぺデスタル3のサポート27と対向する位置に溝44が設けられ、その溝44内に上方から干渉部材29、ベアリングサポート30、干渉部材31が重ねて介挿されている。
図8に示すようにサポート27の両端部に水平方向に延びた突出部54が設けられ、突出部54にサポート28が嵌合され、サポート28はボルト33、ワッシャー34、ナット35でぺデスタル32上に固定されている。
前記ベアリングサポート30は、上面がフラットでサポート27の下面と対向しており(図8参照)、下面が下側に向かって凸で円筒胴6の半径方向に向けて反った曲面になっており(図7参照)、円筒胴6の水平方向の熱膨張に対してベアリングサポート30が回動することにより凸部サポート7の移動量を確保(吸収)する。
前記ワッシャー34は少なくともサポート28またはぺデスタル3側が曲面の球面ワッシャーとなっており、ベアリングサポート30の回動に伴ってサポート28を回動させることにより、ベアリングサポート30の回動を阻害しないようになっている。なお図示していないが、サポート28は回動可能なように、サポート28に形成された各ボルト挿入穴とボルト33との間に隙間が設けられ、しかもサポート28は回動できる程度に締め付けられている。
前記干渉部材31は図7に示すようにベアリングサポート30の下面の曲面とほぼ同じ曲面とすることで、ベアリングサポート30の回動動作をスムーズに行う。また、干渉部材31と当接するぺデスタル3の上面は干渉部材31の曲率に合わせて曲面状に切削してもよいし、フラットでもよい。
ベアリングサポート30の回動動作に伴ってサポート28も回動するため、サポート27とサポート28の嵌合部にも干渉部材38が介在され、それによりベアリングサポート30の回動をより円滑に行える。
干渉部材29、31、38の材質は特に限定されないが、干渉部材29、31に関してはベアリングサポート30との間で回動を阻害しないようにベアリングサポート30とは異なる材質の金属を選択することが望ましい。一般に接触面の摩擦係数は、同種の材質よりも異種材の方が低い傾向にある。従って具体的には、干渉部材29、31はベアリングサポート30よりも硬質あるいは軟質の異種材の方が望ましい。
本実施形態は第1実施形態よりも構造が簡素化され、ベアリングサポート30の回動による凸部サポート7の移動距離が比較的短い。このため干渉部材29、31をベアリングサポート30の上下面に当接して設け、ベアリングサポート30を干渉部材29、31の間で滑らせる。
すなわちベアリングサポート30が下面の曲率に沿って回動しながら干渉部材29、31間を移動することで、RPV4の運転中、起動時、停止時の円筒胴6の半径方向の熱膨張が吸収できる。
サポート27とサポート28は干渉部材38、39を介して当接しており、地震時の横揺れに対しては殆ど動かず、固定された状態となっている。地震時のRPV4の横揺れに対しては、図1に示すRPV4の上部と原子炉遮蔽壁2の間に設置されているスタビライザ65で防止する。
本発明によれば、胴体部に設けた凸部のサポート7はRPV4の運転時に胴体部とともに半径方向に熱膨張するが、凸部のサポートとぺデスタル側の間に設けた追従サポート部材10やベアリングサポート30を中心とした中間支持部材の回動による移動の確保が可能であり、RPV4の半径方向の熱膨張、収縮が拘束されない状態となる。すなわち、半径方向の熱膨張、収縮が吸収できる構造であるから、熱膨張、収縮に起因した応力は発生せず、支持構造材の強度健全性の向上が図れ、装置の安全性及び信頼性に繋がる。
また、支持部材の上方向への移動又は円周方向への移動を一定量以下に抑えることから、地震時のRPV4の移動を効果的に防止できる。
また、スカートタイプの支持構造からブラケットタイプの支持構造となることから、RPV4の運転・保守管理における溶接部の検査が不要となり、保守管理の経済性の向上が図れる。
さらに、支持部材が小型化できるから、ぺデスタル3の径を小さくでき、これに伴いRPV4を収納しているコンクリート製原子炉遮蔽壁2の内径も小さくなり、建設コストの低減が図れる。
本発明の第1実施形態に係る改良型沸騰水型原子炉内の原子炉圧力容器の配置状態を示す図である。 図1F部の詳細図である。 図2G−G線上の断面図である。 図2H−H線上の断面図である。 図2I−I線上の断面図である。 追従サポート部材の動きを説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る支持装置の断面図である。 図7J−J視図である。 従来の改良型沸騰水型原子炉内の原子炉圧力容器の配置状態を示す図である。 その原子炉圧力容器の支持構造を示す縦断面図である。 図10A部の詳細図である。 図9B部の詳細図である。 図12C−C視図である。 他の従来技術による図9B部の詳細図である。 図14D−D視図である。 さらに他の従来技術による図9B部の詳細図である。 図16E−E視図である。
符号の説明
1:原子炉建屋、2:原子炉遮蔽壁、3:ペデスタル、4:原子炉圧力容器、5:支持装置、6:円筒胴、7:凸部サポート、8:支圧面、9:支圧面、10:追従サポート部材、11:支圧面、12:凹部、13:台座、14:支圧面、15:凹部、16:ストッパー、17:移動防止サポート部材、18:シム、19:シム、20:ボルト、21:ナット、22:ボルト、23:熱膨張量、24:回動角度、25:回動方向、26:サポート、27:サポート、28:サポート、29:干渉部材、30:ベアリングサポート、31:干渉部材、32:ペデスタル、33:ボルト、34:ワッシャー、35:ナット、36:ボルト、37:ナット、38:干渉部材、40:下部円筒胴、41:スカート、42:スカートフランジ、43:上部円筒胴、44:溝部、45:円筒胴、46:溶接部、47:溶接部、48:溶接部、49:突起部、50:ベースプレート、51:基礎ボルト、52:ワッシャー、53:ナット、54:突出部、55:凹部、56:リング、57:係合部、58:嵌合部、59:リング押さえ部材、60:内フランジ、61:リング、62:凸部、63:支持スカート、64:押さえ部材、65:スタビライザ、67:ベイスンシールスカート。

Claims (8)

  1. 支持構造部を介して原子炉圧力容器の胴体部を原子炉建屋の基礎部に設けられた支持部に支持する原子炉圧力容器の支持構造において、
    前記支持構造部が、前記胴体部の外周に突設されたサポートと、そのサポートと前記支持部との間に介在された中間支持部材を備え、
    前記中間支持部材が、前記胴体部の半径方向への膨張、収縮に伴って回動する回動機能を有することを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  2. 請求項1記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記中間支持部材に、前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面が形成されていることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  3. 請求項1または2記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記中間支持部材が、追従サポート部材と、その追従サポート部材を載置する台座を有し、
    前記追従サポート部材の上部が前記胴体部の外周に突設されたサポートと回動可能に係合され、前記追従サポート部材の下部が前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面を有し、
    前記追従サポート部材が前記台座上に前記胴体部の半径方向に回動可能にかつ前記胴体部の半径方向にずれないように載置されていることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  4. 請求項3記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記台座の上面に前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面が形成され、その台座の曲面の曲率半径が前記追従サポート部材の下面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  5. 請求項3または4記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記追従サポート部材の下部のほぼ中央部に下方へ向けて開口した凹部が形成され、前記台座の上部の前記追従サポート部材の凹部と対向する位置に上方へ向けて開口した凹部が形成されて、
    前記追従サポート部材の凹部から前記台座の凹部にかけてずれ防止用のストッパーが挿入されて、前記追従サポート部材ならびに台座の凹部と前記ストッパーの間に、前記追従サポート部材の回動を許容するための隙間が設けられていることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  6. 請求項5記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記追従サポート部材ならびに台座の凹部と前記ストッパーの組が、前記追従サポート部材の前記胴体部の半径方向と直交する方向に所定の間隔をおいて複数組設けられていることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  7. 請求項1または2記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記中間支持部材が、前記胴体部の半径方向に向けて反った曲面を下面に有する滑り部材と、その滑り部材の下に敷設された下敷部材とを有し、
    前記胴体部の半径方向への膨張、収縮に伴って前記滑り部材が前記下敷部材上を滑りながら前記曲面に沿って回動することを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
  8. 請求項7記載の原子炉圧力容器の支持構造において、前記下敷部材が前記滑り部材よりも硬質の材料で構成されていることを特徴とする原子炉圧力容器の支持構造。
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