JP2009228575A - ディーゼルエンジン排ガス用浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディーゼルエンジン排ガスに燃料を添加してこの燃料を酸化し、その反応熱を利用して排ガスの温度を効率的に上昇させることが可能な酸化触媒装置を備えるディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を提供すること。
【解決手段】ディーゼルエンジン4の排ガス流路上に燃料添加手段1と酸化触媒装置2と排ガス浄化手段3とを備え、前記酸化触媒装置が、基材と該基材に担持されたPtおよびPdのうちの少なくとも1種を含む貴金属とを含む低貴金属担持量の第一の酸化触媒2a、および基材と該基材に担持された少なくともPtを含む貴金属とを含む高貴金属担持量の第二の酸化触媒2bを備えるものであり、前記第一の酸化触媒が排ガス流れの上流側に配置され、前記第二の酸化触媒が排ガス流れの下流側に配置され、前記第一の酸化触媒と前記第二の酸化触媒の体積比が特定の範囲にある、ことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス用浄化装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジン排ガス用浄化装置に関し、より詳しくは、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる窒素酸化物や粒子状物質を除去するための排ガス用浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン排ガスの浄化処理において特に低減が必要な成分はススなどの粒子状物質(PM)および窒素酸化物(NOx)である。排ガス中のPMは一般的にはフィルターに捕集して除去されるが、排ガス浄化処理を連続的に実施する場合にはフィルターに堆積したPMの除去も必要となる。このようなフィルターに堆積したPMは、一般的には約600℃以上で加熱して燃焼させ、フィルターから除去される。
また、排ガス中のNOxは、一般的にはNOx吸蔵還元触媒に吸蔵され、還元処理される。このNOxの還元は300℃以上の温度で実施可能であるが、NOx吸蔵還元触媒には被毒物質である硫黄酸化物(SOx)も吸蔵されるため、このSOxをNOx吸蔵還元触媒から脱離させるために700℃以上の加熱が必要となる。
しかしながら、ディーゼルエンジンの排ガスの温度は200〜350℃であるため、PMの除去やSOxの脱離を行なうにはフィルターやNOx吸蔵還元触媒を加熱する必要がある。特開平5−44435号公報(特許文献1)には、ディーゼル機関の排ガスに燃料を供給し、排ガス中のPMを酸化触媒が担持されたフィルターに捕集し、前記酸化触媒の作用により前記燃料を酸化し、その反応熱によりPMを燃焼させる排気浄化装置が開示されている。
近年、ディーゼルエンジンの高性能化により排ガス温度が低下する傾向にあり、例えば、過給器付き直噴ディーゼルエンジンにおいては排ガスの温度が運転条件によっては200℃以下になることもある。このような温度の排ガスに軽油(各成分の沸点:約150〜350℃)を添加した場合には、軽油の大部分の成分が沸点以下にあるため、添加した軽油の大部分(高沸点成分)が気化せずに酸化触媒表面に付着して油膜が形成される。この油膜は、酸化触媒表面への酸素の供給を阻害するため、酸化触媒表面での酸化反応が十分に起こらず、排ガスや排ガス浄化手段の温度が十分に上昇しない傾向にあった。
このため、特開2007−315274号公報(特許文献2)には、同一種の触媒金属が担持された内層触媒層と表層触媒層とを備え、内層触媒層の触媒金属担持密度が表層触媒層のものよりも高い酸化触媒が提案されている。この酸化触媒は、表層触媒層に付着した軽油のうちの気化した成分を内層触媒層で酸化するものであるが、酸化される成分は内層触媒層に移送された成分のみであり、気流中(排ガス中)に放出された成分は再び表面触媒層に付着するか、酸化されずにそのまま酸化触媒装置から排出される。また、内層触媒層での酸化により表面触媒層の温度が上昇すると気化した軽油の気流中への放出量も多くなり、酸化されずにそのまま排出される軽油の量も増加する傾向にあった。さらに、表層触媒層に高密度で軽油が付着すると内層触媒層への酸素の供給が阻害され、内層触媒層において軽油が十分に酸化されない傾向にあった。このように、従来の排ガス浄化処理装置においては、排ガスに添加された軽油が十分に酸化されず、排ガスや排ガス浄化手段の温度が十分に上昇しない傾向にあった。
特開平5−44435号公報 特開2007−315274号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ディーゼルエンジンの排ガスに燃料を添加してこの燃料を酸化し、その反応熱を利用して排ガスの温度を効率的に上昇させることが可能な酸化触媒装置を備えるディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、燃料の酸化反応を利用して排ガスの温度を上昇させるための酸化触媒装置において、PtおよびPdのうちの少なくとも1種を含む貴金属が特定量担持された低担持量酸化触媒と、少なくともPtを含む貴金属が特定量担持された高担持量酸化触媒とを、前記酸化触媒装置の前段と後段にそれぞれ特定の体積比で配置することにより、前記酸化触媒装置の後段において選択的に燃料を酸化させることができ、その結果、前記排ガスの温度を効率的に上昇させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置は、ディーゼルエンジンの排ガス流路に接続された燃料添加手段と、前記排ガス流路上の前記燃料添加手段より下流に配置された酸化触媒装置と、前記排ガス流路上の前記酸化触媒装置より下流に配置された排ガス浄化手段とを備え、
前記酸化触媒装置が、基材と該基材に担持されたPtおよびPdのうちの少なくとも1種を含む貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり0.01g以上3.0g未満である第一の酸化触媒、および基材と該基材に担持された少なくともPtを含む貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり3.0g以上20.0g以下である第二の酸化触媒を備えるものであり、前記第一の酸化触媒が排ガス流れの上流側に配置され、前記第二の酸化触媒が排ガス流れの下流側に配置され、前記第一の酸化触媒と前記第二の酸化触媒の体積比が第一:第二=2:1〜10:1である、
ことを特徴とするものである。
前記燃料は軽油であることが好ましく、また、前記排ガス浄化手段はディーゼルパティキュレートフィルターおよびNOx吸蔵還元触媒装置のうちの少なくとも1つの浄化手段であることが好ましい。
なお、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置によって排ガスの温度が効率的に上昇する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、軽油などの燃料は数多くの炭化水素(HC)の混合物であり、分子量が比較的大きな成分は反応性が高いものの、沸点が高いため酸化触媒表面に付着やすい傾向にある。一方、分子量が比較的小さい成分は沸点が低く、気化しやすいが反応性が低い傾向にある。このため、本発明にかかる酸化触媒装置の前段においては、分子量が大きい炭化水素(高沸点成分)が酸化触媒に選択的に付着し、分子量が小さい炭化水素(低沸点成分)は通過して酸化触媒装置の後段に移送される。前段の酸化触媒に付着した高沸点成分は、前段の酸化触媒の貴金属担持量が少ないため、完全には酸化されず、徐々に前段の酸化触媒から脱離して酸化触媒装置の後段に移送される。一方、後段の酸化触媒は、貴金属担持量が多く、高活性であるため、後段に移送された高沸点成分を効率的に酸化し、また、反応性が低い低沸点成分も酸化することができる。本発明にかかる酸化触媒装置においては、高沸点成分が酸化触媒装置の前段でトラップされた後、徐々に後段に移送されるため、後段の酸化触媒においては表面に油膜が形成されにくく、十分に酸化反応が起こるものと推察される。また、容積の大きい前段ではほとんど酸化反応が起こらず、主として容積の小さい後段で酸化反応が起こるため、酸化触媒装置全体の温度上昇が抑制され、酸化触媒装置出口付近で排ガスの温度が局所的に上昇し、排ガスの温度を効率的に上昇させることが可能となるものと推察される。
本発明によれば、ディーゼルエンジン排ガスの浄化処理において、排ガスに燃料を添加してこの燃料を酸化し、その反応熱を利用して排ガスの温度を効率的に上昇させることができ、燃料の添加量を低減することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
先ず、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置について説明する。本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置は、図1に示すように、ディーゼルエンジン4の排ガス流路に燃料を添加するための燃料添加手段1と、添加された燃料を酸化するための酸化触媒装置2と、排ガス浄化手段3とを備えるものであり、これらがディーゼルエンジン4の排気管5により接続されている。
<燃料添加手段>
前記燃料添加手段1は、例えば、燃料タンク1aと燃料添加装置1bとを備えるものである。本発明においては、このような燃料添加手段は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。また、本発明に用いられる燃料としては軽油およびその類似成分、バイオディーゼル燃料などが挙げられる。
前記燃料添加装置としては、添加する燃料をできる限り微粒化できるという観点から燃料噴霧器が好ましい。本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置における燃料添加手段の設置場所は、高温であり且つ過給器の羽根で燃料が攪拌されるという観点からターボチャージャ(図示なし)の上流が好ましいが、ディーゼルエンジン4と酸化触媒装置2との間の排ガス流路であれば特に制限はない。
燃料噴霧器により燃料を噴霧する場合、噴霧粒子の直径は170μm以下が好ましい。噴霧粒子の直径が前記上限を超えると噴霧粒子の運動量が大きく、酸化触媒装置の前段の第一の酸化触媒に付着することなく、油滴のまま通過しやすい傾向にある。
燃料の添加方法については特に制限はないが、実用的には、排ガス浄化手段内またはその近傍に装着した温度検出手段によって排ガスの温度を測定しながら燃料の添加を制御することから、ON/OFF時間を制御できるパルス状添加が好ましい。また、燃料の添加量は排ガス浄化処理条件に応じて適宜設定することができるが、例えば、パティキュレートフィルター上の粒子状物質を燃焼させる場合には排ガス中に酸素が残存するように燃料を添加することが好ましく、NOx吸蔵還元触媒においてNOxを還元したり、SOxを脱離させる場合には排ガス中の酸素量より過剰量の燃料を添加することが好ましい。
<酸化触媒装置>
本発明にかかる酸化触媒装置2は、基材とこの基材に担持された貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり0.01g以上3.0g未満である第一の酸化触媒2aと、基材とこの基材に担持された貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり3.0g以上20.0g以下である第二の酸化触媒2bとを備えるものであり、前記第一の酸化触媒の下流に前記第二の酸化触媒が配置されたものである。
(第一の酸化触媒)
第一の酸化触媒における基材としては、一般的に用いられるコーディエライト、炭化ケイ素に代表されるセラミック材料またはステンレス箔に代表される金属材料などが挙げられる。また、このような基材の表面には、高沸点成分(好ましくは沸点が200℃以上の成分)を吸着する能力やそれを徐々に放出する能力を高めるために、Al、SiO、TiO、ZrOなどの比表面積が20〜200m/gの金属酸化物およびこれらの混合物がコーティングされていることが特に好ましい。
第一の酸化触媒における貴金属はPtおよびPdのうちの少なくとも1種を含むものである。このような貴金属は、第一の酸化触媒に吸着した高沸点成分が徐々に放出される際にその高沸点成分の少なくとも一部をより反応性の高い成分に分解することができる。また、第一の酸化触媒にこれらの貴金属が含まれることによって、後述する第二の酸化触媒における酸化反応が引き金となって、この第一の酸化触媒においても酸化反応が進行し、添加した燃料を全て熱に変換することが可能となる。
また、第一の酸化触媒におけるこのような貴金属の担持量は、基材1L当たり0.01g以上3.0g未満である。貴金属担持量が前記下限未満になると高沸点成分が反応せずに第一の酸化触媒に付着したまま残存する。他方、貴金属担持量が前記上限以上になると第一の酸化触媒の活性が高くなり、酸化触媒装置の前段においても燃料が酸化されて酸化触媒装置全体で温度が上昇するが、酸化触媒装置出口の排ガス温度においては前段で燃料を酸化する効果が得られず、燃料の利用効率が低下する。また、酸化反応によって第一の酸化触媒が高温になると第二の酸化触媒の熱劣化が促進され、第二の酸化触媒において高い活性を維持することが困難となる。本発明においては、このような観点から第一の酸化触媒における貴金属の担持量は基材1L当たり0.1g以上1.0g以下がより好ましい。
(第二の酸化触媒)
本発明に用いられる第二の酸化触媒における基材としては、特に限定はないが、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素に代表される無機多孔質材料またはステンレス箔に代表される金属材料などが挙げられる。また、このような基材の表面には、燃料、特に軽油成分の酸化に有利なSiO、Al、TiOおよびTaのうちの少なくとも1種の両性または酸性金属酸化物がコーティングされていることが特に好ましい。これにより、第二の酸化触媒における酸化反応により発生した反応熱を効率的に排ガスの加熱に利用することができる。
第二の酸化触媒における貴金属は少なくともPtを含むものである。このようなPtを含む貴金属は燃料を部分酸化してCOやHに変換することができる。COやHは反応性が高く、排ガス浄化手段による除去が容易である。また、Ptは反応性の低い炭化水素もCOやHに変換することが可能であるため、下流の排ガス浄化手段への炭化水素の流入を抑制することが可能となる。さらに、下流の排ガス浄化手段において還元性雰囲気が必要な場合にはそれに利用することができる。本発明においては、このような観点から第二の酸化触媒における貴金属はPtのみからなることが好ましい。
また、第二の酸化触媒におけるこのような貴金属の担持量は、基材1L当たり3.0g以上20.0g未満である。貴金属担持量が前記下限未満になると酸化触媒装置の後段において燃料が十分に酸化されず、酸化触媒装置出口における排ガスの温度が十分に上昇しない。他方、貴金属担持量が前記上限以上になると貴金属担持量の増加による効果がほとんど得られない。本発明においては、このような観点から第二の酸化触媒における貴金属の担持量は基材1L当たり3.0g以上5.0g以下が好ましい。
なお、後段の酸化触媒における貴金属としてPdのみを使用した場合には、燃料の酸化反応においてはPdが反応性の高い成分を選択的にCOやHOにまで酸化するため、未反応の成分(炭化水素)が残存しやすい。この炭化水素は反応性が低く、排ガス浄化手段による除去が困難であるため、後段の酸化触媒における貴金属としてPdのみを使用することは好ましくない。また、前段および後段の酸化触媒に担持する貴金属としてはRhも想定されるが、Rhは高価であることに加えて、Ptおよび/またはPdの燃料に対する触媒活性を低下させる傾向にあり、前段および後段の酸化触媒にRhを担持することは好ましくない。
本発明にかかる酸化触媒装置においては、燃料の酸化反応により発生した反応熱を排ガスの加熱に効率的に利用するために第二の酸化触媒の熱容量を低減することが好ましい。このような観点から、直径の小さい基材(好ましくは排ガス浄化手段の直径よりも小さいもの)に前記貴金属を担持せしめたものを第二の酸化触媒として使用することが好ましい。ただし、下流の排ガス浄化手段の形状から第二の酸化触媒の基材として直径の小さいものを使用することが困難な場合には、排ガスの流れ方向の長さが短いものを使用することが好ましく、排ガスの線速度や浄化処理温度などの排ガス浄化処理条件にも依存するが、具体的には、第一の酸化触媒と同一断面の場合には、長さが100mm以下のものがより好ましく、60mm以下のものが特に好ましい。なお、後述するように第二の酸化触媒の長さの下限は15mmが好ましい。
本発明に用いられる第一および第二の酸化触媒における貴金属の担持方法は特に制限されず、例えば、ウォッシュコート法など従来公知の担持方法により基材に貴金属を担持せしめることができる。貴金属の担持量は、使用する貴金属溶液の濃度を調整したり、コーティング回数を調整するなどして制御することができる。また、第一および第二の酸化触媒において、前記貴金属を、その担持量が排ガスの入口側で低く、出口側で高くなるように担持せしめてもよい。
(酸化触媒装置)
本発明にかかる酸化触媒装置2において、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒との体積比(第一:第二)は2:1〜10:1が好ましく、2:1〜5:1がより好ましい。前記体積比が前記範囲にあると、第一の酸化触媒においては一時的に高沸点成分をトラップした後、徐々に放出させることにより、高活性な第二の酸化触媒に適量の高沸点成分を供給することができ、第二の酸化触媒において十分に燃料を酸化することが可能となり、効率的に排ガスの温度を上昇させることが可能となる。
一方、前記体積比が前記下限未満になると、第一の酸化触媒の割合が小さくなりすぎるため、添加された燃料中の高沸点成分を十分にトラップすることができず、第二の酸化触媒表面に油膜が形成して第二の酸化触媒における酸化反応が十分に起こらない傾向にある。また、第二の酸化触媒の割合が大きくなりすぎるため、第二の酸化触媒の前段部で発生した反応熱が第二の酸化触媒の後段部で吸収され、燃料の酸化による反応熱を排ガスの加熱に十分に利用できず、酸化触媒装置の出口温度の上昇速度が低下しやすい傾向にある。さらに、前記反応熱の吸収により第二の酸化触媒の後段部の触媒性能が低下しやすい傾向にある。従って、第二の酸化触媒の割合の増加は、担持せしめる貴金属の量が増加するだけでなく、第二の酸化触媒の触媒性能の低下を引き起こすこととなる傾向にある。
他方、前記体積比が前記上限を超えると、第一の酸化触媒の割合が大きくなりすぎるため、第一の酸化触媒の前段部で徐々に放出された高沸点成分が第一の酸化触媒の後段部に再び吸着し、第二の酸化触媒へ移送が遅れる傾向にある。また、第二の酸化触媒の割合が小さくなりすぎるため、第二の酸化触媒において燃料が十分に酸化されない傾向にある。
本発明にかかる酸化触媒装置においては、第一の酸化触媒が排ガス流れの上流側に、第二の酸化触媒が排ガス流れの下流側に配置される。このとき、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒は接触していてもよいし、両触媒間に空隙が設けられていてもよい。また、単一の基材に、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒とが形成されるように、前記貴金属をそれぞれ担持せしめてもよい。
このような酸化触媒装置おいては、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒は熱的に結合していることが好ましい。このような酸化触媒装置としては、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒とが接触したもの、金属箔などの伝熱性の単一の基材に第一の酸化触媒と第二の酸化触媒とを形成したもの、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒とをヒートパイプなどで結合したものなどが挙げられる。第二の酸化触媒で発生した反応熱はその大部分が排ガスに供給されるが、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒は熱的に結合することによって、余剰の反応熱を、第一の酸化触媒に伝えることが可能となり、第一の酸化触媒における高沸点成分の気化やその一部を酸化する場合に利用することができる。
第一の酸化触媒と第二の酸化触媒との間の空隙を設ける場合、その空隙は20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。特に、4気筒以下のディーゼルエンジンの排ガスを浄化処理する場合には、両触媒間に空隙を設けてもその間隔が前記範囲内であれば熱的に結合した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、4気筒以下のディーゼルエンジンにおいては、各気筒から間欠的に排ガスが供給されるため、排ガスが流路内を逆流する時期が存在する。本発明にかかる酸化触媒装置においても、後段の第二の酸化触媒において加熱された排ガスが前段の第一の酸化触媒に逆流し、これにより第二の酸化触媒で発生した反応熱が第一の酸化触媒に伝えられ、第一の酸化触媒における高沸点成分の気化やその一部を酸化する場合に利用することが可能となる。
本発明にかかる酸化触媒装置おいては、燃料微粒子同士が衝突したり、燃料微粒子を核として高沸点成分が凝集して粗大燃料粒子が形成することがある。この粗大燃料粒子は運動量が大きく、酸化触媒に付着せずに通過することがある。このような場合には、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒との間に空隙を設けることにより、たとえ粗大燃料粒子が前段の第一の酸化触媒を通過したとしても、後段の第二の酸化触媒の前面に粗大燃料粒子が衝突して乱流となり、第二の酸化触媒の前段に粗大燃料粒子が付着して第二の酸化触媒内の通過を抑制することができる。本発明においては、このような観点から、第一の酸化触媒と第二の酸化触媒との間の空隙は2mm以上であることが好ましい。
また、上述したように第二の酸化触媒の前段に粗大燃料粒子が付着した場合には、第二の酸化触媒の前面から排ガスの流れ方向15mmの範囲に油膜が形成される。したがって、第二の酸化触媒上に燃料を酸化するサイトを確保するために、第二の酸化触媒の排ガス流れ方向の長さは15mm以上であることが好ましく、25mm以上であることがより好ましい。
<排ガス浄化手段>
本発明にかかる排ガス浄化手段3としては、粒子状物質(PM)を捕集するためのフィルターやNOx吸蔵還元触媒装置などが挙げられる。本発明においては、これらの排ガス浄化手段は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。
本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置において、前記排ガス浄化手段は前記酸化触媒装置と2mm以上の隙間を隔てて配置することが好ましい。これにより、排ガス浄化手段の前面に排ガスが衝突して乱流が形成され、排ガス流れに垂直な方向の温度分布を均一にすることができ、排ガス浄化手段全体を均一に加熱することができる。
また、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置においては、前記酸化触媒装置と前記排ガス浄化手段との間に、Rhなどの改質触媒を備える改質触媒装置を配置してもよい。これにより、前記酸化触媒装置を通過した排ガス中の炭化水素をCOやHなどの高活性の還元性成分に変換することができ、排ガス浄化手段を還元性雰囲気にすることが可能となる。また、炭化水素の改質反応は吸熱反応であるため、改質触媒装置を、酸化触媒装置と排ガス浄化手段との間に配置することによって高温条件で改質反応を行なうことができる。
本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置においては、ディーゼルエンジン4に接続された排ガス流路(排気管5)に燃料添加手段1が接続され、この燃料添加手段1より下流の排ガス流路上に酸化触媒装置2が配置され、さらにこの酸化触媒装置2より下流の排ガス流路上に排ガス浄化手段3が配置されている。
このようなディーゼルエンジン排ガス用浄化装置は、排ガスに燃料を添加してこの燃料を酸化し、その反応熱を利用して排ガスの温度を上昇させて排ガスを浄化処理する方法に有用であり、ディーゼルエンジンから排出される排ガスの温度よりも高沸点の成分を含む燃料を添加する場合に特に有効である。
また、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置においては、ディーゼルエンジンから排出される排ガスの温度が十分に高く、例えば350℃を超え、添加される燃料の大部分の成分の沸点を超える場合においても、第一の酸化触媒の貴金属担持量が少なく、第二の酸化触媒の貴金属担持量が多いため、酸化触媒装置の前段においては基材である多孔材料の毛管凝縮作用により、添加した燃料の一部が液化と気化とを繰り返しながら一部は緩慢に分解、酸化され、後段においては速やかに燃料が酸化される。このため、酸化触媒装置の前段において急激な排ガスの上昇は起こらず、実質的には後段で排ガスが加熱される。その結果、酸化触媒装置や排ガス浄化手段の異常な加熱を抑制でき、第一および第二の酸化触媒の熱劣化や溶損などのトラブルを低減することが可能となる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
長さ100mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約1.3リットル)に比表面積80m/gのAl250gをコーティングし、さらに0.2gのPtと0.7gのPdとを担持せしめ、酸化触媒A1を調製した。この酸化触媒A1の軽油保持量は320gであった。一方、長さ45mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約0.6リットル)に比表面積60m/gのSiO/Al複酸化物担体75gをコーティングし、さらに5gのPtを担持せしめ、酸化触媒B1を調製した。この酸化触媒B1の軽油保持量は105gであった。触媒ケースに、第一の酸化触媒としての酸化触媒A1および第二の酸化触媒としての酸化触媒B1を、酸化触媒A1とB1との間に5mmの空隙を設けてA1/B1の順に組み込み、酸化触媒装置を作製した。
4気筒2Lの過給器付き直噴ディーゼルエンジンの排気管の前記過給器から300mm下流の地点に軽油噴霧装置(噴霧粒子径65μm、噴霧量2.5g/秒)を取り付け、さらに前記排気管の前記軽油噴霧装置から800mm下流の地点に、酸化触媒A1が入口側、酸化触媒B1が出口側となるように前記酸化触媒装置を接続し、その下流に触媒成分としてPt、RhおよびBaからなるNOx吸蔵還元触媒(長さ150mm、容量2リットル)を備えるNOx吸蔵還元触媒装置を配置してディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。
前記ディーゼルエンジンを所定の条件で運転し、軽油を前記軽油噴霧装置から前記排気管に1秒間噴霧して排ガスの浄化処理を実施した。噴霧開始時を0秒とし、0.5秒ごとに前記酸化触媒装置内の各地点の温度を測定した。その結果を図2および図3に示す。図中の距離は酸化触媒装置の入口からの距離を表し、0〜100mmが酸化触媒A1の領域、105〜150mmが酸化触媒B1の領域に相当する。図2は、回転数1700rpm、トルク48Nm、排ガス温度約220℃の条件でディーゼルエンジンを運転した場合、図3は、回転数1700rpm、トルク68Nm、排ガス温度約260℃の条件でディーゼルエンジンを運転した場合の結果を示す。
(比較例1)
軽油の代わりに軽油よりも軽質で低沸点のn−ヘプタンを1秒間噴霧した以外は実施例1と同様にして前記ディーゼルエンジンを所定の条件で運転し、排ガスの浄化処理を実施した。この間、0.5秒ごとに前記酸化触媒装置内の各地点の温度を測定した。その結果を図4および図5に示す。図4は、回転数1700rpm、トルク48Nm、排ガス温度約220℃の条件でディーゼルエンジンを運転した場合、図5は、回転数1700rpm、トルク68Nm、排ガス温度約26℃の条件でディーゼルエンジンを運転した場合の結果を示す。
図2および図3に示したように、軽油を噴霧した場合(実施例1)には、いずれの排ガス温度においても、先ず酸化触媒装置の入口(0mm)の温度が低下し、続いて出口(150mm)の温度が上昇することが確認された。これは、入口付近に吸着した軽油が気化する際に気化熱を奪うため、その周囲の温度が低下し、その後、気化した比較的高沸点の炭化水素が高活性な酸化触媒B1に到達して反応し、その反応熱によりその周囲の温度が上昇したものと推察される。
一方、図4に示したように、温度が低い(約220℃)排ガスにn−ヘプタンを噴霧した場合には、酸化触媒装置の入口の温度低下は少ないが、出口の温度上昇も少ない。これは、n−ヘプタンが気化しやすいため、入口付近の温度は低下しにくく、また、n−ヘプタンの大部分が未反応のまま酸化触媒A1およびB1を通過したため、反応による温度上昇が起こりにくかったものと推察される。他方、図5に示したように、温度が高い(約260℃)排ガスにn−ヘプタンを噴霧した場合には、酸化触媒A1において急激に温度が上昇するが、酸化触媒装置の出口の温度はほとんど上昇しない。これは、酸化触媒A1においてはn−ヘプタンの酸化反応が進行し、その反応熱により温度が上昇するが、酸化触媒装置全体についてはその熱容量により冷却されるため、酸化触媒B1の温度がほとんど上昇せず、酸化触媒装置の出口温度がほとんど上昇しなかったものと推察される。
また、図2および図4に示した結果から明らかなように、軽油はn−ヘプタンに比べて低温での反応性が高い成分を含み、低温の排ガスを効率的に加熱できることが確認された。また、図2および図3に示した結果から明らかなように、高温の排ガスに軽油を添加した場合には、低温の排ガスの場合と同様に排ガスを効率的に加熱できることが確認された。一方、図5に示した結果から明らかなように、高温の排ガスにn−ヘプタンを添加した場合には、排ガスを効率的に加熱することは困難であった。
以上の結果から明らかなように、本発明にかかる酸化触媒装置は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化方法において軽油の酸化反応を利用して排ガスの温度を高める際に有効であることが確認された。
(実施例2)
長さ100mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約1.3リットル)に比表面積80m/gのAl250gをコーティングし、さらに2gのPdを担持せしめ、酸化触媒A2を調製した。第一の酸化触媒として前記酸化触媒A1の代わりにこの酸化触媒A2を用いた以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。
前記ディーゼルエンジンを、回転数1700rpm、トルク48Nm、排ガス温度約220℃の条件で運転し、軽油を前記軽油噴霧装置から前記排気管に20秒ごとに1秒間噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。このときの前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。平均出口温度と入ガス温度(約220℃)との差を図6に示す。
(実施例3)
Pdの代わりに2gのPtを担持せしめた以外は実施例2と同様にして酸化触媒A3を調製し、ディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。実施例2と同一条件でディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。このときの酸化触媒装置の出口温度を測定した。平均出口温度と入ガス温度(約220℃)との差を図6に示す。
(比較例2)
Pdの代わりに2gのRhを担持せしめた以外は実施例2と同様にして酸化触媒C1を調製し、ディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。実施例2と同一条件でディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。このときの酸化触媒装置の出口温度を測定した。平均出口温度と入ガス温度(約220℃)との差を図6に示す。
図6に示した結果から明らかなように、第一の酸化触媒としてPdまたはPtが担持されたものを使用した場合(実施例2〜3)には、酸化触媒装置の出口温度は入ガス温度より80℃以上上昇し、軽油の添加により効率的に排ガスを加熱できることが確認された。一方、Rhが担持されたものを使用した場合(比較例2)には出口温度の上昇は10℃以下であり、軽油を添加しても効率的に排ガスを加熱することは困難であった。
(実施例4)
実施例1のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、ディーゼルエンジンを回転数1700rpm、トルク90Nm、排ガス温度約310℃の条件で運転し、前記軽油噴霧装置から前記排気管に1回当たり3.6gの軽油を6秒間隔で噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、定常状態における酸化触媒装置内およびNOx吸蔵還元触媒装置内の各地点の温度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例3)
酸化触媒装置を取り付けなかった以外は実施例4と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、定常状態における酸化触媒装置内およびNOx吸蔵還元触媒装置内の各地点の温度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2009228575
実施例4および比較例3で用いたNOx吸蔵還元触媒は、NOx吸蔵還元触媒の被毒物質である硫黄成分を除去するために定期的に700℃以上の高温・還元雰囲気下に曝す必要があるものであるが、表1に示した結果から明らかなように、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置(実施例4)においては、NOx吸蔵還元触媒装置の入口から出口までほぼ均一に750℃以上に維持されていることが確認された。一方、本発明にかかる酸化触媒装置を用いない場合(比較例3)においては、NOx吸蔵還元触媒装置内を700℃以上に維持することは困難であった。
(実施例5)
実施例1のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、ディーゼルエンジンを回転数1700rpm、トルク48Nm、排ガス温度約240℃の条件で運転し、前記軽油噴霧装置から前記排気管に1回当たり2.9gの軽油を10秒間隔で噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、1回目の噴霧開始時を0秒とし、15秒ごとに前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1と同様にして酸化触媒A1およびB1を調製した。触媒ケースに、酸化触媒B1および酸化触媒A1を、酸化触媒B1とA1との間に5mmの空隙を設けてB1/A1の順に組み込み、酸化触媒装置を作製した。
この酸化触媒装置を、酸化触媒B1が入口側、酸化触媒A1が出口側となるように接続した以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。このディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、実施例5と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、実施例5と同様にして前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例5)
長さ45mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約0.6リットル)に比表面積80m/gのAl115gをコーティングし、さらに0.092gのPtと0.32gのPdとを担持せしめ、酸化触媒A4を調製した。この酸化触媒A4の軽油保持量は150gであった。触媒ケースに、酸化触媒A1および酸化触媒A4を、酸化触媒A1とA4との間に5mmの空隙を設けてA1/A4の順に組み込み、酸化触媒装置を作製した。
この酸化触媒装置を、酸化触媒A1が入口側、酸化触媒A4が出口側となるように接続した以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。このディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、実施例5と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、実施例5と同様にして前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例6)
長さ100mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約1.3リットル)に比表面積60m/gのSiO/Al複酸化物担体163gをコーティングし、さらに10.8gのPtを担持せしめ、酸化触媒B2を調製した。この酸化触媒B2の軽油保持量は215gであった。触媒ケースに、酸化触媒B2および酸化触媒B1を、酸化触媒B2とB1との間に5mmの空隙を設けてB2/B1の順に組み込み、酸化触媒装置を作製した。
この酸化触媒装置を、酸化触媒B2が入口側、酸化触媒B1が出口側となるように接続した以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。このディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、実施例5と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、実施例5と同様にして前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例7)
長さ49mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約0.65リットル)に比表面積80m/gのAl123gをコーティングし、さらに0.098gのPtと0.34gのPdとを担持せしめ、酸化触媒A5を調製した。この酸化触媒A5の軽油保持量は160gであった。一方、長さ100mmのコーディエライト基材(600セル/inch、直径130mm、容量約1.3リットル)に比表面積60m/gのSiO/Al複酸化物担体167gをコーティングし、さらに6.5gのPtを担持せしめ、酸化触媒B3を調製した。この酸化触媒B3の軽油保持量は280gであった。触媒ケースに、酸化触媒A5および酸化触媒B3を、酸化触媒A5とB3との間に1mmの空隙を設けてA5/B3の順に組み込み、酸化触媒装置を作製した。
この酸化触媒装置を、酸化触媒A5が入口側、酸化触媒B3が出口側となるように接続した以外は実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を作製した。このディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、実施例5と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。この間、実施例5と同様にして前記酸化触媒装置の出口温度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2009228575
表2に示した結果から明らかなように、本発明にかかる酸化触媒装置のように入口側に貴金属担持量の少ない酸化触媒を配置し、出口側に貴金属担持量の多い酸化触媒を配置した場合には、排ガスを500℃以上に加熱できることが確認された(実施例5)。一方、酸化触媒装置の入口側に貴金属担持量の多い酸化触媒を配置し、出口側に貴金属担持量の少ない酸化触媒を配置した場合(比較例4)や、入口側、出口側ともに貴金属担持量の少ない酸化触媒を配置した場合(比較例5)には、排ガスを十分に加熱することは困難であった。他方、酸化触媒装置の入口側、出口側ともに貴金属担持量の多い酸化触媒を配置した場合(比較例6)や、貴金属担持量の多い酸化触媒の体積割合を本発明にかかる酸化触媒装置より増加させた場合(比較例7)には、排ガスを500℃以上に加熱することは可能であるが、実施例5の場合に比べて全体的な貴金属担持量が多く、経済的には劣るものであった。
(実施例6)
実施例1のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用い、実施例4と同様にしてディーゼルエンジンを50時間連続運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。その後、実施例5と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。実施例5と同一の条件でディーゼルエンジンを運転したときの前記酸化触媒装置の出口温度を実施例5と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
(比較例8)
実施例1のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置の代わりに比較例6のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用いた以外は、実施例6と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。実施例5と同一の条件でディーゼルエンジンを運転したときの前記酸化触媒装置の出口温度を実施例5と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
(比較例9)
実施例1のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置の代わりに比較例7のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置を用いた以外は、実施例6と同様にしてディーゼルエンジンを運転し、軽油を噴霧しながら排ガスの浄化処理を実施した。実施例5と同一の条件でディーゼルエンジンを運転したときの前記酸化触媒装置の出口温度を実施例5と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2009228575
表3に示した結果から明らかなように、酸化触媒装置の入口側、出口側ともに貴金属担持量の多い酸化触媒を配置した場合(比較例8)や、貴金属担持量の多い酸化触媒の体積割合を本発明にかかる酸化触媒装置より増加させた場合(比較例9)には、本発明にかかる酸化触媒装置(実施例6)に比べて、高温での連続運転による性能の低下が著しいことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、ディーゼルエンジン排ガスの浄化処理において、排ガスに燃料を添加してこの燃料を酸化し、その反応熱を利用して排ガスの温度を効率的に上昇させることができ、燃料の添加量を低減することが可能となる。
したがって、本発明のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置は、600℃以上の温度を必要とするディーゼルパティキュレートフィルターの再生や、300〜500℃の温度を必要とするNOx吸蔵還元触媒中に吸蔵されたNOxの還元処理、500〜700℃の温度を必要とするNOx吸蔵還元触媒に取り込まれた硫黄分の脱離処理などを伴うディーゼルエンジン排ガスの浄化処理に利用可能である。
本発明のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の一例を示す模式図である。 実施例1において約220℃の排ガスに軽油を添加した場合における酸化触媒装置内の各地点の温度を示すグラフである。 実施例1において約260℃の排ガスに軽油を添加した場合における酸化触媒装置内の各地点の温度を示すグラフである。 比較例1において約220℃の排ガスにn−ヘプタンを添加した場合における酸化触媒装置内の各地点の温度を示すグラフである。 比較例1において約260℃の排ガスにn−ヘプタンを添加した場合における酸化触媒装置内の各地点の温度を示すグラフである。 実施例2〜3および比較例2において前段の貴金属としてPd、PtまたはRhを担持せしめた場合における酸化触媒装置の出口温度と入ガス温度との差を示すグラフである。
符号の説明
1…燃料添加手段、1a…燃料タンク、1b…燃料添加装置、2…酸化触媒装置、2a…第一の酸化触媒、2b…第二の酸化触媒、3…排ガス浄化手段、4…ディーゼルエンジン、5…排気管。

Claims (3)

  1. ディーゼルエンジンの排ガス流路に接続された燃料添加手段と、前記排ガス流路上の前記燃料添加手段より下流に配置された酸化触媒装置と、前記排ガス流路上の前記酸化触媒装置より下流に配置された排ガス浄化手段とを備え、
    前記酸化触媒装置が、
    基材と該基材に担持されたPtおよびPdのうちの少なくとも1種を含む貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり0.01g以上3.0g未満である第一の酸化触媒、および基材と該基材に担持された少なくともPtを含む貴金属とを含み且つ貴金属担持量が基材1L当たり3.0g以上20.0g以下である第二の酸化触媒を備えるものであり、
    前記第一の酸化触媒が排ガス流れの上流側に配置され、前記第二の酸化触媒が排ガス流れの下流側に配置され、
    前記第一の酸化触媒と前記第二の酸化触媒の体積比が第一:第二=2:1〜10:1である、
    ことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス用浄化装置。
  2. 前記燃料が軽油であることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置。
  3. 前記排ガス浄化手段がディーゼルパティキュレートフィルターおよびNOx吸蔵還元触媒装置のうちの少なくとも1つの浄化手段であることを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼルエンジン排ガス用浄化装置。
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