JP2009227796A - インクジェット用インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体のカール及びコックリングを抑制し、高い印字濃度を得ることができ、吐出安定性及び分散安定性に優れ、かつUV照射による定着性乾燥性に優れ、高速印刷可能なインクジェット用インク組成物を提供する。
【解決手段】アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料と、水と、浸透性溶剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インク組成物に関する。
水系顔料インクは、インク中に揮発成分を含まず安全性や環境問題の観点から優れているが、上質紙や普通紙に印字した場合に滲みが発生し易く、また、印刷本紙に印字した場合に乾燥が不十分で高速印刷が困難であり、固形分濃度を増やせない、という問題がある。
具体的には、水系インクを、記録媒体に印字した場合に、水系インク中の水が記録媒体へ吸収されるため、記録紙の繊維が膨潤し記録媒体の印刷面の全面が変形するカール現象や、記録媒体が波打ち変形するコックリング現象が見られる。
水系紫外線硬化型インクの例としては、例えば、特許文献1(特開2007−182513)は、色材と、水と、活性エネルギー線反応性化合物と、特定式で表される化合物と、を含有するインクを開示している。
特開2007−182513号公報
しかしながら、従来提案されている水系紫外線硬化型インクについても、上質紙や普通紙に対して浸透し易いため、上記カールないしコックリングの問題が依然としてあり、高い印字濃度を得ることが困難である、という問題がある。
また、依然として、固形分濃度を十分増やせない、という問題がある。
本発明は、(1)アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料と、水と、浸透性溶剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物;
(2)前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンである、前記(1)記載のインクジェット用インク組成物;
(3)前記浸透性溶剤は、アセチレングリコール、グリコールエーテル、1,2−アルカンジオールから選ばれる1種以上である、前記(1)又は(2)に記載のインクジェット用インク組成物;
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して印刷物を得るインクジェット印刷方法;
(5)前記(1)〜(3)の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して得た印刷物;
(6)前記印刷メディアが吸収性メディアである、前記(5)記載の印刷物を提供する。
本発明によれば、吐出安定性に優れ、かつUV照射による乾燥性に優れ、高速印刷可能なインクジェット用インク組成物を提供することができる。
また、本発明のインクジェット用インク組成物は、固形分濃度を増やすことができるので、水分量を低減させることができ、カール及びコックリングを防止することができ、また、分散安定性を改善することができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明のインクジェット用インク組成物は、アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料と、水と、浸透性溶剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含む。
前記アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料は、顔料粒子表面の全体が樹脂被膜で完全に覆われており、すなわち樹脂被膜に包み込まれて構成される。
例えば、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたアドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料が挙げられる。
アニオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆したマイクロカプセル化顔料の製造方法の一例としては、アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、重合開始剤を加えて乳化重合する方法が挙げられる。
カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、第一アミンカチオン、第二アミンカチオン、第三アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。第一アミンカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH3 +)等を、第二アミンカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(R2NH2 +)等を、第三アミンカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(R3NH+)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R4+)等を挙げることができる。ここで、Rは、疎水性基及び重合性基であり、下記に示すものを挙げることができる。
前掲のカチオン性基の対アニオンとしては、Cl-、Br-、I-などを挙げることができる。
疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
前記カチオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。
カチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4-(l+m+n)]1 l2 m3nN+・X-で表される化合物を挙げることができる(Rは重合性基であり、R1、R2、R3はそれぞれアルキル基またはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであり、l、m、nはそれぞれ1または0である。)。ここで、前記重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基を有する炭化水素基を好適に例示でき、より具体的には、アリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロぺニル基、ビニリデン基、ビニレン基等を挙げることができる。
カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前記のカチオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
別の例としては、カチオン性基を表面に有する顔料粒子が、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたアドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料が挙げられる。
カチオン性基を表面に有する顔料粒子をポリマーにより被覆したマイクロカプセル化顔料の製造方法の一例としては、カチオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にアニオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、さらにアニオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて水中で重合する方法が挙げられる。
前記アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料及びその製造方法の例としては、例えば、特開2007−154104、特開2005−97517、特開2005−120136、特開2005−133012等に開示のものが挙げられる。
前記顔料としては、インクジェット用水性顔料インクに通常用いられているものは特に制限無く用いることができ、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;カーボンブラック(例えば、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等)、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等の無機顔料;シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の体質顔料等を用いることができる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー74、93、109、110、128、138、150、151、154、155、180、185;C.I.ピグメントレッド122、202、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、60;C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36、37;C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26;C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、14、15、16、34、36、38等が挙げられる。
前記水(主溶媒としての水)としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記浸透性溶剤は、アセチレングリコール、グリコールエーテル、1,2−アルカンジオールから選ばれる1種以上であることが好ましい。特に、1,2−アルカンジオールを用いることが好ましい。1,2−アルカンジオールを用いることにより印刷本紙に印字したときに、他の浸透性溶剤を用いたときよりも印字物の凝集ムラを低減させることができる。特に1,2−ヘキサンジオールにおいてかかる効果は顕著である。
前記アセチレングリコールとして市販されている市販品を利用することも可能であり、具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、104PG50及びTG(いずれも商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、並びにオルフィンSTG及びオルフィンE1010(以上商品名、日信化学社製)、が挙げられる。
前記グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
前記1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−ペンタンジオール、及び1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの他に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類を挙げることができ、これらから適宜選択して本発明のインク組成物に用いることができる。
水系インクを、記録媒体に印字した場合に、水系インク中の水が記録媒体へ吸収されるため、記録紙の繊維が膨潤し記録媒体の印刷面の全面が変形するカール現象や、記録媒体が波打ち変形するコックリング現象が見られる。カール及びコックリングの発生メカニズムは十分解明されていないが、次のように推測される。水系インク中の水が記録紙に浸透すると、記録紙のセルロース繊維間の水素結合が切れる。次に乾燥により水が除去されると、切れた水素結合は再結合するが、その時、最初に結合していた場所と同じ場所で結合が生じればよいが、異なる場所で結合が生じた場合、セルロース繊維の伸縮が発生し、それにより、カール及びコックリングが発生すると考えられる。これに対してインク組成物中に前記糖又は糖アルコールを含有させると、前記糖又は糖アルコールの水酸基がセルロースと結合しやすく、水がセルロース繊維と接触する量を低減させることができるのでカール及びコックリングを低減させることができると考える。
前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンであることが好ましい。
「光ラジカル重合性」とは、紫外線を照射することで、光重合開始剤が活性なラジカルを生成し、紫外線硬化性樹脂をアタックすることで反応が進行することを意味する。反応は一般的に下記のように表される。
Figure 2009227796
前記インクジェット用インク組成物の使用例としては、インク組成物を記録媒体上に着弾させた後、紫外線を照射することによって記録を行う。こうすることで、紫外線硬化樹脂エマルジョンを含有していない水系インクと比べて、乾燥が速く、十分な印刷特性が瞬時に得られることから、高速印刷が可能となる。また一般的な紫外線硬化型インク組成物には、紫外線硬化型モノマーが用いられているが、紫外線硬化型モノマーは印刷本紙、上質紙、普通紙といった吸収性のあるメディアに対しては浸透してしまい、印字後、紫外線照射しても紙内部に未反応物が残存してしまう。紫外線硬化型モノマーは皮膚刺激性があり、未反応のままメディア中に残存した場合、印刷物の取り扱いにおいて安全性に問題が生じる。それに対し、モノマーよりも分子量の大きいオリゴマー、ポリマーであれば紙表面に紫外線硬化化合物を残すことができ、印字後、紫外線照射することで未反応物のない印字物を得ることができると考えられる。さらに紫外線硬化樹脂を水中にエマルジョン化することでより安全性の高いインク組成物が得られる。
前記ポリウレタンアクリレートは、ウレタン系モノマーとアクリレート系モノマーとの共重合体である。
前記ポリウレタンアクリレートは、一般的にポリイソシアネート成分とポリオール成分と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とのウレタン化反応にて合成される。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートの水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートの多量体、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアネートフェニルチオホスフェート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
前記ポリオールとしては、例えば、脂肪族又は脂環式ジヒドロキシ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、チオジグリコール、1,2−プロピレンオキシドから調整されるジグリコール又はポリグリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、及びテトラブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジ−、トリ−及びテトラへキシレンエーテルグリコール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、並びに以上の化合物と、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応生成物、又は芳香族ジオール、例えばp−キシレングリコール等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシブチルフタレート等が挙げられる。
前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、前記ポリウレタンアクリレートを水中にエマルジョン化したものであり、自己乳化型エマルジョンである。市販品として、荒川化学社製のビームセットEM−90、ビームセットEM−92等がある。
本発明のインク組成物は、光重合開始剤を含む。
前記光重合開始剤の例としては、Irgacure 2959、754、500、127、184、369、379、1700、1800、1850、1870、819、Darocur 1173、TPO、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の商品名で入手可能な光ラジカル重合開始剤が挙げられる。特に水系タイプのIrgacure2959、754、500が好ましく用いられる。
前記インク組成物は、さらに湿潤剤を含んでいてもよい。本発明に用いられる湿潤剤としては、この種のインク組成物に用いられるものは特に制限無く使用できる。特に、インク組成物に保水性と湿潤性を付与する観点から、沸点が180℃以上、好ましくは200℃以上の高沸点湿潤剤を用いることが好ましい。高沸点湿潤剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。インク組成物に高沸点湿潤剤を添加することにより、開放状態(室温でインクが空気に触れている状態)で放置しても、流動性と再分散性とを長時間維持できるインクジェット用インクを得ることができる。さらに、このようなインク組成物は、インクジェットプリンタを用いての印字中もしくは印字中断後の再起動時に、インクジェットノズルの目詰まりが生じにくくなるため、インクジェットノズルからの高い吐出安定性を有するインク組成物が得られる。
また前記湿潤剤として糖又は糖アルコールを用いることで、印字した時のカール及びコックリングの発生を低減させることができる。
前記糖としては、例えば、単糖類 、二糖類 、オリゴ糖(三糖類 及び四糖類 を含む)及び多糖類 が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。
前記糖アルコールとしては、例えば、トレイトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、リキシトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が好適である。
本発明のインク組成物は顔料と、水と、浸透性溶剤と、湿潤剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、光重合開始剤と、を混合することによって得ることができる。一般的な紫外線硬化型インク組成物には、紫外線硬化型モノマーが用いられているが、紫外線硬化型モノマーは印刷本紙、上質紙、普通紙といった吸収性のあるメディアに対しては浸透してしまい、印字後、紫外線照射しても紙内部に未反応物が残存してしまう。紫外線硬化型モノマーは皮膚刺激性があり、未反応のままメディア中に残存した場合、印刷物の取り扱いにおいて安全性に問題が生じる。それに対し、モノマーよりも分子量の大きいオリゴマー、ポリマーであれば紙表面に紫外線硬化化合物を残すことができ、印字後、紫外線照射することで未反応物のない印字物を得ることができると考えられる。さらに紫外線硬化樹脂を水中にエマルジョン化することでより安全性の高いインク組成物が得られる。
水系インクを、記録媒体に印字した場合に、水系インク中の水が記録媒体へ吸収されるため、記録紙の繊維が膨潤し記録媒体の印刷面の全面が変形するカール現象や、記録媒体が波打ち変形するコックリング現象が見られる。カール及びコックリングの発生メカニズムは十分解明されていないが、次のように推測される。水系インク中の水が記録紙に浸透すると、記録紙のセルロース繊維間の水素結合が切れる。次に乾燥により水が除去されると、切れた水素結合は再結合するが、その時、最初に結合していた場所と同じ場所で結合が生じればよいが、異なる場所で結合が生じた場合、セルロース繊維の伸縮が発生し、それにより、カール及びコックリングが発生すると考えられる。これに対してインク組成物中に前記糖又は糖アルコールを含有させると、前記糖又は糖アルコールの水酸基がセルロースと結合しやすく、水がセルロース繊維と接触する量を低減させることができるのでカール及びコックリングを低減させることができると考える。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す配合にて、インク組成物を調製した。
(アニオン性重合性界面活性剤が表面に吸着したシアン顔料の製造)
銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 15:1)20gをアニオン性重合性界面活性剤アクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製)10g及びイオン交換水と混合し、アイガーモーターミルM250(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散し、限外濾過によって未吸着のKH−10を除去した。この限外濾過による洗浄は分光光度計で透過水の吸収スペクトルの変化を追跡し、一定となったところを終点とした。こうして、目的のアニオン性重合性界面活性剤KH−10を表面に吸着させたシアン顔料を分散液の形態で得た。この得られた分散液の固形分濃度は8.5%であった。また、熱重量分析によって求めたこの分散液中のアニオン性重合性界面活性剤KH−10の含有量は顔料に対して25.7%であった。フラスコ燃焼法によって求めた硫黄含有量は0.66%で、これから求めたこの分散液中のアニオン性重合性界面活性剤KH−10(顔料に吸着したアニオン性重合性界面活性剤量とみなす。)は、2.15×10-4mol/g(顔料1gに対するアニオン性重合性界面活性剤のモル数)であった。また、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150で測定した体積平均粒子径は70nmであった。
(アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料分散液の製造)
上記のシアン顔料分散液176gに、カチオン性水溶性モノマーとしてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩を0.8g添加し、30分攪拌混合し、さらに超音波を30分間照射した。ここに、ベンジルメタクリレート6.3g、イソボルニルメタクリレート2.52g、ラウリルメタクリレート3.78gを混合した混合物を加えて攪拌混合し、さらにイオン交換水50mlに溶解したアニオン性重合性界面活性剤SR−10(旭電化工業製)1.31gを加えて、1時間攪拌混合した。さらに、イオン交換水100mlを加え、1時間攪拌混合した。この混合物を、還流管、窒素導入管、滴下管、攪拌装置、温度調節器を備えた反応容器に入れ、窒素を流しながら、温度を80℃まで40分かけて昇温した後に、過硫酸カリウム0.34gをイオン交換水100mlに溶解した過硫酸カリウム水溶液を1時間かけて滴下し、さらに4時間反応してから温度を下げて反応を停止した。
重合終了後、1mol/l水酸化カリウム水溶液でpHを8に調整し、プレフィルターで粗大粒子を除去した後に、クロスフロー法による限外濾過を行って未反応物等を除去し、濃縮操作をして顔料濃度10wt%の目的のカプセル化顔料分散液を得た。
Figure 2009227796
上記のようにして調製した実施例1及び参考例のインク組成物を、プリンターPXV630を用いて、印字モードを普通紙、色補正なしにして、文字とベタのパターンを印字した。
また、上記のようにして調製した実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のインク組成物を、プリンターPXV630を用いて、印字モードを普通紙、色補正なしにして、メディアとしてOKトップコート+127.9g/m2を用い、文字とベタのパターンを印字した。
印字後UV照射(アイグラフィックス社製UV照射機ECS−151Uを用いて)し、印字表面を指で擦り、膜の硬化性を評価した。
評価基準は以下のとおりとした。
○:文字部、ベタ部共に擦れ跡なし
△:ベタ部は擦れ跡あるが、文字部は擦れ跡なし
×:文字部、ベタ部共に擦れ跡あり
その結果を表2、表3に示す。
Figure 2009227796

Figure 2009227796
表2に示すように、参考例では、光重合開始剤ありのインク組成物で硬化したときと同等以上のUV積算照射量を照射しても、べとつきが見られたことから、実施例1のインク組成物はUV照射により硬化したことが確認された。
表3に示すように、実施例1、2のインク組成物は、硬化が可能であり定着性に優れるのに対して、比較例1、2のインク組成物は吐出不良により硬化実験はできなかった。実施例1、2のインク組成物は吐出安定性及び分散安定性が優れるため、固形分濃度を増やすことができる。これにより、水分量を低減させることができるので、カール及びコックリングを防止することができる。

Claims (6)

  1. アドミセルポリマライゼーション−マイクロカプセル化顔料と、水と、浸透性溶剤と、紫外線硬化性樹脂エマルジョンと、を含むインクジェット用インク組成物。
  2. 前記紫外線硬化性樹脂エマルジョンは、光ラジカル重合性のポリウレタンアクリレートのエマルジョンである、請求項1記載のインクジェット用インク組成物。
  3. 前記浸透性溶剤は、アセチレングリコール、グリコールエーテル、1,2−アルカンジオールから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して印刷物を得るインクジェット印刷方法。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット用インク組成物を印刷メディアに印刷後紫外線を照射して得た印刷物。
  6. 前記印刷メディアが吸収性メディアである、請求項5記載の印刷物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101921511A (zh) * 2010-09-16 2010-12-22 珠海保税区天然宝杰数码科技材料有限公司 喷墨打印用墨水组合物

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