JP2009227346A - ウェブ切断装置 - Google Patents

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順一 清水
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Abstract

【課題】磁気テープ等の製造のウェブ裁断後の巻取りにおいて、巻取りハブと巻取りホルダーとの固定を確実にして、ハブとホルダーの滑りを防止して幅精度を維持して巻き姿が良好なままスリット速度をあげて生産性を向上させる。
【解決手段】ウェブの裁断装置のテープ巻取り手段において、円柱状の巻取り軸と、巻取り軸に固定されてテープを巻き取る複数のハブとハブと巻取り軸を固定するハブホルダーとを備え、ハブ固定手段はハブの幅方向両端部と、更に少なくとも一つ設けられる。
【選択図】図5

Description

本発明はウェブの裁断装置に係り、特に、カセットテープやビデオテープを始めとして、コンピュータのデータバックアップ用の磁気テープの製造に好適に使用できるウェブの裁断装置に関する。
カセットテープやビデオテープを始めとして、コンピュータのデータバックアップ用にも使用されている各種のテープは、ロール状に巻回された幅広な帯状のウェブを、送り出し側から引き出して搬送させながらスリッタで複数の幅狭なテープに裁断して、それぞれ巻取り側の巻芯(通常ハブと呼ばれる)に巻き取ることにより製造される。このハブに幅狭なテープが巻き取られた状態のものは、一般にパンケーキと呼ばれる。また、薄い金属シート等もこのようなスリッタで複数の幅狭なテープに裁断されることが多い。
従来、このようなウェブの製造において使用されるスリッタ14は、図2に示すように幅広で帯状のウェブを上下一対の回転刃40、41により複数本のウェブに裁断する装置であり、受け刃としてローラ状に形成された複数の回転刃と、この回転刃との間でウェブに剪断力を与えて裁断する薄円盤状の複数の回転刃とで構成されるのが一般的である。
このような各種のテープの製造にあっては、このウェブを製造する巻取り工程での巻き姿を良くするために、ロール両端部の厚さよりもロール中央部の厚さが厚い中高ロール形状に巻回されているのが一般的である。すなわち、複数本のテープに裁断される前のウェブにおいては、ロール中央部の外径はロール両端部の外径よりも大きくなっている。
このウェブをいきなりスリッタで複数本のテープに裁断するとすれば、ロール中央部より採取されたテープとロール両端部より採取されたテープとでは長さが異なってしまい、テープのたるみ又はテープに極端な引張りを生じてしまう。その結果、製品のテープ幅のバラツキといった製品の品質不良を生じる。
また、テープのたるみにより複数本のテープにかかる張力が不均一になって上記形状のウェブよりスリッタで複数本のテープに裁断した場合、採取するウェブの部位により、テープに湾曲を生じることも避けられない。
これらの問題点に対処すべく、各種の提案がなされている(特許文献1〜3参照。)。このうち、特許文献1に記載の提案は、ウェブの裁断直前に真空圧を作用させて、ウェブを強制的に展張させる構成を採用している。特許文献2に記載の提案は、ウェブの裁断前に複数個のテンショナーを設け、ウェブの伸び部分に張力を与える構成を採用している。特許文献3に記載の提案は、ロールの形状を測定し、この形状に対応する形状吸収体を設ける構成を採用している。特許文献4には裁断装置の系にフリクションローラを採用している。これら提案は、各種手段により、上記のような不具合が生じることを低減できるとされている。
特開平6−320492号公報 特開平9−7170号公報 特開2000−322735号公報 特開2005−41625号公報
しかしながら、従来公知の各種手段を採用することで裁断後の複数のウェブに均一に張力をかけることが可能になっても巻取り軸での巻き取るためのハブとハブホルダーとの滑りをなくすることができなかった。それゆえ、滑りが発生すると個々のテープの張力を完全に均一にすることは難しく、テープ張力の不均一によるテープ幅のバラツキは依然として解消されていない。同様に、ウェブのたるみ等に起因する不具合が生じる懸念も解消されていない。また一定以上の高速でスリットしようとすると滑りの発生頻度は多くなり、一定の速度以下でしか裁断できないので生産性を落とす原因にもなった。
テープを巻取るハブは通常,AS樹脂やフェノール樹脂からなるプラスチック製である。一方ハブを巻取り軸に固定するハブホルダーはローラー部材を有しており、巻取り軸とローラ部材との回転速度の差に応じて、巻取り軸とローラ部材との間に所定のトルクを発生させるトルク発生手段を備えている。
ハブホルダーは円筒状で、通常、巻取り軸がハブホルダーの内径に略一致する寸法であって所定幅の複数のハブホルダーは巻取り軸に装着されて、固定される。そしてハブホルダーは一般にステンレス材で作製されており、ハブの内側の面に接するハブホルダーの外周面にはハブを固定するためのコイルスプリングやOリングを装着する溝が周回してつくられている。この方法以外にもハブの内周面複数箇所をばねで径方向外側へ押圧し、固定する方法等がある。
裁断装置の系の中では文献であげたように、個々の裁断されたテープの張力を均一化する手法がとられているが、巻き取る部分までの経路は張力の均一化が可能でも
最後の巻取り部においてハブとハブホルダーとの緩みの発生まで防止することができなかった。
したがって、裁断装置において巻取りまでの経路では張力を均一にすることが可能であっても上記従来の技術だけでは、巻取り軸部におけるハブとハブホルダーとの緩みの発生によって、裁断後の各テープが均一な張力を保持できず、近年要求されているテープ幅の要求精度や製造内での次工程での作業に関与する巻取り後のパンケーキの整巻き性を維持してかつ生産性を向上させるには問題であった。すなわち、コンピュータ用途を代表とするバックアップテープ、特に、サーボトラックを有するバックアップテープは高いテープ幅の要求精度とサーボ記録のための整巻き性の要求があり、品質と歩留りを充たすには技術のステップアップが求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウェブから複数の幅狭なテープに裁断して巻取り側の巻芯に巻き取るテープの製造等において、張力を均一化したウェブの裁断後のテープを巻き取るときの、巻取り軸とテープハブとの緩みによる滑りを防止して、高速度でスリットしても巻き姿良好でテープ幅を均一化して、生産性、製品品質を向上させることができるウェブの裁断装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、ロール状に巻回された幅広な帯状のウェブを送り出し側から引き出すウェブ供給手段と、前記ウェブを複数の幅狭なテープに裁断するスリッタと、裁断された前記複数のテープを個別に巻き取るテープ巻取り手段とを有するウェブの裁断装置において、前記テープ巻取り手段は、円柱状の巻取り軸と、巻取り軸と同心状に固定されて、テープを巻き取る複数のハブとハブと巻取り軸の間に巻取り軸と同心状に設けられ、ハブと巻取り軸を固定するハブホルダーとを備え、ハブホルダーは、ハブホルダーの外表面を周回する複数のハブ固定手段を備え、ハブ固定手段はハブの幅方向両端部と、更に少なくとも一つ設けられていることを特徴とするウェブ切断装置を提供する。
本発明によれば、巻取り軸に装着されるハブホルダーの外周面にはハブの幅方向両端部と、更に少なくとも一つハブ固定手段が設けられているので、ハブをしっかりと固定することで緩みが発生せずに巻取り軸から確実なトルク伝達ができてスリット速度も700m/min以上に高速化することができて、製品品質を維持した状態で生産性を向上させることができる。また、巻取り軸の軸方向へのハブの固定も確実に行うことができるので、ハブを傾き無く正位置に装着でき、一層整巻き性を向上させることができる。
ハブホルダーとハブをしっかりと固定することでスリット速度を大きくして生産性を上げる以外にも次のような効果もあげられる。
所定のひとつの広幅のウェブからとる裁断後のテープ数は、当然テープ幅によって異なるが通常20本以上である。したがって、ハブのハブホルダーへの装着は手動でなく図7に示すようなハブ整列ボックスを含む自動装着機を用いて行う。ハブホルダーの軸方向の外周面でハブに内接する面にあってハブの両端以外の内接面にもハブホルダーのコイルスプリングが接した状態で固定することから(1)ハブとハブホルダーが精度よく、すなわちハブ内周面とハブホルダーの外周面が巻取り軸方向に互いに平行であるように安定して装着できる。(2)ハブが巻取り軸の中心に対して真円に(回転したときに中心から外周面のどの点までの距離も等しい)装着されるので裁断中のパンケーキの最外周に接するタッチアーム振動が低下してパンケーキの整巻き性が向上する。
ハブ固定手段はリングとコイルスプリングによるものが好ましい。なお、本発明の裁断装置における巻取り軸と個々のローラ部材との間に所定のトルクを発生させるトルク発生手段としては、公知の磁気クラッチ以外に、機械的な構成のベアリングフリクションクラッチ、ヒステリシスクラッチ等の公知の手段が好ましい。
以下、添付図面に従って本発明に係るウェブの裁断装置のハブ固定にかかるハブホルダーの好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に使用されるウェブの裁断装置10の構成図であり、図2は、スリッタ裁断装置14の一例を示す概略図である。本発明のウェブの裁断装置10は、主として、ウェブ供給手段13と、ウェブ搬送手段26と、スリッタ14と、テープ搬送手段22と、テープ巻取り手段25とで構成される。
図1に示されるように、テープ巻取り手段25において、巻取りリール17のハブ18(巻芯)には、裁断されたテープがロール状に巻き取られる。
ハブ18と巻取り軸20とはハブホルダー19によって固定される。
図3は、複数個のハブホルダー19が巻取り軸に装着されている状態と、ハブがハブポケットに整列されている状態を示す一部正面図である。ウェブが裁断される所定幅に対応した数のハブホルダーが巻取り軸に装着される。ハブの装着は、ハブポケットに整列されたハブの中心と巻取り軸の中心を合わせてハブポケットそのものを矢印方向へ移動させて装着する。図4は図3のハブホルダーにハブを装着した一部正面図である。
図5は、図4のうちの1つのハブとハブホルダーのA−A断面図である。ハブホルダー19の構成はインナーケース83にベアリング84と磁気クラッチ85を組み入れたフリクションハブホルダーであり、巻取り軸の回転をハブに伝達するためにハブホルダー外周面にはハブ固定手段が設けられる。ハブ固定手段は、ハブホルダー外周面の周方向に伸びる切り溝92と、切り溝92内に組み入れられるコイルスプリング90とOリング91とで構成される。ハブは、ハブの内径面でハブ固定手段と当接し、巻取り軸回転方向と巻取り軸軸方向の動きを抑制され固定される。
従来では、ハブ固定手段がハブの幅方向両端部2箇所のみに設置されていたためハブの固定が十分でなく、ハブの製作ロットやハブの内径面取りの差で滑りが出るものもあり、ハブホルダーのトルク伝達にムラが生じ、テープ巻取りリール17においてテープ巻き乱れや1枚飛び出しが発生していた。
しかし、図5に示すように、コイルスプリング91によるハブの内周面の両端2点固定に、さらにハブの内径中央にもう1本コイルスプリング92をハブ滑取り付けすることで、いままで発生していたハブの製作バラツキによる滑りやガタツキを改善することが出来た。この結果、図1のテープ巻取り手段25の巻取りリール17の良好な巻き姿を維持して裁断速度を上げる事が可能となった。
更に、他の実施形態として、図5に示した本実施形態Oリングやコイルスプリングを装着するための溝をハブホルダー外周面の幅方向両端部以外に複数個設け、これによりハブをより強固に固定する構成も採用できる。またOリングの種類やコイルスプリングの線径を変えることでハブ支持力の最適化が出来る。
図5のハブホルダーを装着した巻取り軸採用の裁断装置10を使用して、テープの製造を行い、裁断速度を種々変更して実施した裁断後のテープ幅の評価と巻き取ったリールの巻き姿の評価を行った。同時に、従来の構成(ハブ固定手段がハブの幅方向両端2箇所のみ)のハブホルダーを使用したウェブの裁断装置を用いた比較例についても評価を行った。製造したテープ26は、いずれもテープ幅が設計値で12.650mm(1/2インチ)のものである。
評価は、いずれも各裁断速度で実施したテープの100m長を連続的に光学的幅測定手段により測定し、最大値と最小値及び標準偏差を求めた。また裁断されたテープの巻き姿を目視で評価した。
表1に評価結果をまとめた。
Figure 2009227346
表中の巻き姿の目視評価は、○:良好、△:1枚飛び出し、×:巻き乱れ巻き崩れ、を表す。比較例の裁断速度500m/分と700m/分での巻き取りは、巻き乱れや巻き崩れが発生し全てを巻き取ることができなかったので、巻き取れた部分の値を示している。
表から明らかなように、本発明の実施例においては、いずれの裁断速度においてもテープ幅の標準偏差は1.0μm以下であり、最大値と最小値は高精度品の製品規格である12.650±0.005mmの範囲に入った。
一方、比較例においては、300m/分の裁断速度では標準偏差は実施例の値より大きい1.3μmであるものの、テープ幅は高精度品の製品規格である12.650±0.005mmの範囲に入った。しかしながら、裁断速度が400m/分以上になると、標準偏差も2.0μmを超えて、高精度品の製品規格である12.650±0.005mmの範囲より外れた。
ハブに巻き取られたテープリールの巻き姿は、実施例では1枚飛び出しのような現象は認められなかった。また裁断速度を700m/分まで支障がなかった。一方、比較例においては裁断速度が400m/分では1枚飛び出しの現象が出始めて、500m/分以上では緩みの発生で張力が正確にハブに伝達できずに、所定の長さのウエブ最後の切断までの巻取りが不能となってテープリ−ルはいわゆるパンケーキの形態がとれなかった。巻き崩れが発生した。
本発明に使用されるウェブの裁断装置の構成図 スリッタ裁断装置の構成図 ハブホルダーとハブと巻取り軸の概略を示す構成図 ハブがハブホルダーに装着された状態を示す構成図 本発明のハブホルダーの構成要部
符号の説明
10 ウェブの裁断装置
11 巻き出しロール
12 ウェブ
13 ウェブ供給手段
14 スリッタ(裁断装置)
16 テープ
17 巻取りリール
18 ハブ
19 ハブホルダー
20 巻取り軸
22 テープ搬送手段
25 テープ巻取り手段
26 ウェブ搬送手段置
40 薄刃物
42 刃物軸
43 厚刃物
83 インナー
84 ベアリング
85 磁気クラッチ
90 コイルスプリング
91 Oリング
92 切り溝
93 ハブ整列ボックス

Claims (2)

  1. ロール状に巻回された幅広な帯状のウェブを送り出し側から引き出すウェブ供給手段と、
    前記ウェブを複数の幅狭なテープに裁断するスリッタと、
    裁断された前記複数のテープを個別に巻き取るテープ巻取り手段と、
    を有するウェブの裁断装置において、
    前記テープ巻取り手段は、
    円柱状の巻取り軸と、
    巻取り軸と同心状に固定されて、テープを巻き取る複数のハブと
    ハブと巻取り軸の間に巻取り軸と同心状に設けられ、ハブと巻取り軸を固定するハブホルダーと、を備え、
    ハブホルダーは、
    ハブホルダーの外表面を周回する複数のハブ固定手段を備え、
    ハブ固定手段は
    ハブの幅方向両端部と、更に少なくとも一つ設けられていることを特徴とするウェブ切断装置。
  2. 請求項1記載のウェブの裁断装置を用いて裁断することを特徴とするウェブの裁断方法。
JP2008070964A 2008-03-19 2008-03-19 ウェブ切断装置 Withdrawn JP2009227346A (ja)

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