JP2009224099A - 非水電解液二次電池用負極板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】集電体に合材層を塗工して負極板を作製する際に、はがれや脱落等がなく、優れた非水電解液二次電池用負極板を提供する。
【解決手段】負極板作製時に、練合工程にてペースト状塗工組成物を作製した際、前記ペースト状塗工組成物のゼータ電位が−16.78〜−4.83mVであり、導電率が0.48〜0.65S・m-1であり、ついで前記ペースト状塗工組成物を集電体に塗布して負極板を作製することを特徴とする非水電解液二次電池用負極板の製造方法である。
【選択図】図2
【解決手段】負極板作製時に、練合工程にてペースト状塗工組成物を作製した際、前記ペースト状塗工組成物のゼータ電位が−16.78〜−4.83mVであり、導電率が0.48〜0.65S・m-1であり、ついで前記ペースト状塗工組成物を集電体に塗布して負極板を作製することを特徴とする非水電解液二次電池用負極板の製造方法である。
【選択図】図2
Description
本発明は、リチウムイオンの吸蔵・放出現象を利用した非水電解液二次電池の、とくにその負極板の製造方法に関するものである。
近年、電子機器や通信機器の小型化および軽量化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として用いられる二次電池に対しても小型化および計量化が要求されている。このため、従来のアルカリ蓄電池に代わり、高エネルギー密度で高電圧を有する非水電解液二次電池、代表的にはリチウムイオン二次電池が提案されている。
非水電解液二次電池の正極板は、Li−Mn系複合酸化物、Li−Co系複合酸化物、Li−Ni系複合酸化物などが提案され、それらの一部が実用化に至っている。また、これらの複合酸化物の特性を改良すべく、さらに種々の元素置換を試みた、Li−Mn−Ni系複合酸化物、Li−Co−Al系複合酸化物、Li−Mg−Co系複合酸化物なども提案されている。これらの複合酸化物を正極活物質として用い、そのような正極活物質と結着剤(バインダー)とを適当な湿潤剤(溶剤)に分散または溶解させてペースト状の塗工組成物を調整し、当該塗工組成物を金属箔からなる集電体上に塗工して正極活物質を形成することにより作成される。
一方、非水電解液二次電池の負極板は、充電時に正極活物質層から放出されるリチウムイオン等の陽イオンを吸蔵できるカーボン等の炭素質材料を負極活物質として用い、そのような負極活物質と結着剤(バインダー)とを適当な湿潤剤(溶剤)に分散または溶解させてペースト状の塗工組成物を調整し、当該塗工組成物を金属箔からなる集電体上に塗工して負極活物質層を形成することにより作製される。
この負極板に使用される炭素材料は、千数百度以下の温度で熱処理された黒鉛構造が「未発達の「非晶質系」と呼ばれるものと、黒鉛構造が発達した「黒鉛系」のものとに大別され、それぞれに特徴を有している。しかし、初期サイクルにおける充放電効率の高さ、電位平坦性等から、実際の電池において黒鉛系の方が有利との見方が一般的である。
そして、正極板と負極板それぞれに電流を取り出すための端子を取り付け、両極板に間に短絡を防止するためのセパレータを挟んで巻取り、非水電解液の溶液を満たした容器に密封することにより二次電池が組み立てられる。
近年さらに、より優れた電池特性の非水電解液二次電池が要求されてきており、優れた電池特性を得る為、これらの原材料の開発、改良を図る訳であるが、その手法として、先ず第一に原材料とその配合の選択、第二に配合された材料を得るための焼成条件等の最適化を試みる。これは、結晶学的、あるいは電気化学的な基本データがあれば良いから、少量サンプルでの評価、解析で済む場合が多い。
前記負極活物質の改良は、粉体物性的には、種々提案、報告が成され、代表的な物性値である、かさ密度、吸油量、粒度分布については、例えば、特許文献1などが開示されている。
次に、この改良されたサンプルを用いて、実用に耐える負極板作製を試みる訳であるが、先ず第一に極板化する際のペーストの良否、第二に極板にした時の強度等の最適化が重要である。ここでペーストの良否とは、工業的には、ペースト化した後に集電体に塗工す
るまで放置されることがあるので、経時変化に対する安定性、たとえば時間が経っても沈降性を増さないこと、塗工しやすいこと(非ニュートニアン流体が好ましい)、さらには粘度変化が大きくないことが上げられる。
るまで放置されることがあるので、経時変化に対する安定性、たとえば時間が経っても沈降性を増さないこと、塗工しやすいこと(非ニュートニアン流体が好ましい)、さらには粘度変化が大きくないことが上げられる。
前記負極板を用いて、実用に耐えうる非水電解液二次電池作製を試みる訳であるが、非水電解液として最も一般的な非水溶媒の一つであるプロピレンカーボネートを含むものを用いた場合に、充電時にプロピレンカーボネートが分解するという問題がある。これに対する解決策として負極板の表面を水溶性高分子で被覆することについては、例えば、特許文献2などが開示されている。
さらに、プロピレンカーボネートの分解を抑制する解決策として、負極板の表面を水溶性高分子で被覆するだけでは不十分であるため、負極活物質の表面を水溶性高分子で被覆することについて、例えば、特許文献3などが開示されている。
特開平10−302774号公報
特開平11−120992号公報
特開2002−134171号公報
武田真一、「濃厚系スラリーにおける粒度分布およびゼータ電位測定」、粉体工学会誌、粉体工学会、第41巻、第3号、p.190−196
Andrei S.Dukhin、「Ultrasound for Characterizing Collids」、(米国)、Elsevier、p.158−165
"技術解説、環境計測器ガイド、2 水質汚濁計測器、2.2 導電率計測器"、[online]、日本電気計測器工業会、[平成20年2月15日検索]、インターネット〈URL:http:// www.mandc.org/MandC/include/html/tech/index.html〉
しかしながら、上記従来の方法では、極板化しても問題の無い事が予想される組み合わせにおいて、負極活物質の表面を被覆する水溶性高分子の量が過剰あるいは、不足した状態となり、被覆された水溶性高分子の量が最適であると判断することができず、極板の製造工程または極板化した後の工程で、合材層が集電体から浮き上がって剥がれ落ちたり、非水電解液二次電池を生産した後に、サイクル特性の悪化といった現象等が起こり、実用上大きな課題があった。
本発明は、練合工程で作製されたペースト状の塗工組成物を新たな尺度で評価する事により、上記極板化での問題点を事前に防ぐ事ができ、かつ本評価方法を利用して、黒鉛材料と結着剤の選定や練合工程での製造条件の最適化ができ、極板化する以前の練合工程において負極活物質表面を被覆した水溶性高分子の量を事前に定量化できるため、優れた特性、高い実用性、生産性を有する黒鉛材料、及び極板を提供できその結果、優れた特性と生産性を兼ね備えた非水電解液二次電池を提供することをその目的とする。
上記従来の課題を解決するため、本発明の非水電解液二次電池用負極板の製造方法は、負極板用ペーストを作製した際に、CVI法に準拠した装置により測定した、前記ペースト状の塗工組成物のゼータ電位が、−16.78〜−4.83mVであるとともに、導電率が0.48〜0.65S・m-1であることを特徴とするものである。
前記ゼータ電位の定義と種々の測定方法について、水中の固体表面は、水中からのイオンの吸着あるいは表面官能基での解離反応によって表面電荷を帯びる。表面電荷と反対符
号の溶液中の対イオンは静電引力によって表面電荷に引きつけられるが、同時に対イオン自身の熱運動によってバルク溶液中へ拡散しようとする。その結果、粒子表面には拡散電気二重層が形成される。拡散層中のイオン濃度はボルツマン分布に従う。
号の溶液中の対イオンは静電引力によって表面電荷に引きつけられるが、同時に対イオン自身の熱運動によってバルク溶液中へ拡散しようとする。その結果、粒子表面には拡散電気二重層が形成される。拡散層中のイオン濃度はボルツマン分布に従う。
そのため、対イオンは表面に近いほど濃度が高く、表面から離れるにしたがってバルク濃度に近づいていく。実際の電気二重層において,溶液側はStern面を境にStern層と拡散層に分けられる。Stern面は水和対イオンの最近接面で、拡散層の始まる面であり、この面における電位は通常φδと表される。固体表面に化学的親和性を有するイオンが存在すると特異吸着(表面官能基との化学反応)を起こす。Sternモデルでは特異吸着イオンの中心はStern面上に存在する。
したがって、Stern層内には電荷が存在しないことになるので、電位は直線的に変化し拡散層へ続く。また、Stern面での電位は二つの因子すなわちDebye−Huckelパラメーターκとイオンの特異吸着の影響を受ける。κの値が増加したり、対イオンの吸着が増すとφδは図1の曲線102のように低下する。対イオンが表面電荷を上まわって特異吸着するとφδは図1の曲線103のように表面電位φ0と反対符号になる。ゼータ電位は固体が液体中を動くときのすべり面における電位と定義されるので、φδとは異なるものであるが、通常φδ≒ζ(ゼータ)として取り扱われる。
ゼータ電位の種々の測定方法は、電気泳動法を用いたものと濃厚分散系のゼータ電位測定が存在する。電気泳動法には、顕微鏡電気泳動法、回転回折格子法、レーザー・ドップラー電気泳動法があり、濃厚分散系のゼータ電位測定には、CVP(Colloid Vibration Potential)法、CVI(Colloid Vibration Current)法、ESA(Electrokinetic Sonic Amplitude)法などが挙げられる。
これらのゼータ電位の測定方法は、ペースト中の水溶性高分子で被覆された負極活物質表面の電気化学的特性を評価する方法で、例えば、非特許文献1などが開示されている。
ESA法は、帯電している粒子に交流電場を印加することで粒子の振動を起こさせ、それにより生じた音響シグナル(音圧変動)を検出し、その大きさと誘導電場の大きさからゼータ電位を算出する。原理的には粒子が帯電していない場合、交流電場を印加しても粒子は振動しないので、ゼータ電位の測定も不可能となるため、濃厚分散系のゼータ電位測定にはCVPあるいはCVI法を用いることが望ましい。
本発明には、CVI(Colloid Vibration Current)法を用い、CVI(Colloid Vibration Current)法において、粒子分散溶液へ超音波を照射すると、粒子と溶媒に密度の違いにより、粒子は相対的に振動する。その結果、荷電粒子とその周囲の対イオンが分極を生じ、CVP(Colloid Vibration Potential)と呼ばれる電場を発生する。この電場は、溶液中に設置された電極表面の電位変化を生じ、CVI(Colloid Vibration Current)と呼ばれる電流として検出される。このCVI(Colloid
Vibration Current)から、濃厚系用ゼータ電位解析ソフトを用いることによりゼータ電位が計算される。
Vibration Current)から、濃厚系用ゼータ電位解析ソフトを用いることによりゼータ電位が計算される。
このCVI法の測定方法は、粒子に超音波を照射させて、粒子を振動させ、その振動により誘起されたコロイド電流を測定し、そのコロイド電流を用いてゼータ電位を算出する方法で、例えば、非特許文献2などが開示されている。
導電率の測定方法は、電極法と電磁誘電法が存在する。電極法は、導電率の非常に小さ
いものから一般の水溶液まで広範囲に導電率を測定できる方法であり、電磁誘電法は、高い領域の導電率の測定に適した方法である。
いものから一般の水溶液まで広範囲に導電率を測定できる方法であり、電磁誘電法は、高い領域の導電率の測定に適した方法である。
本発明には、ペースト状の塗工組成物は、低い導電率を示し、高い導電率を測定できる電磁誘電法を用いると誤差が大きくなるため、ペースト状の塗工組成物の導電率測定には電極法を用いることが望ましい。また、電極面における分極容量及び分極抵抗の影響を避けるため、電源に交流を用いた交流2極法を用いている。
この電極法の測定方法は、測定溶液に電極を浸し,溶液抵抗を測定し,その溶液抵抗を用いて導電率を算出する方法で、例えば、非特許文献3などが開示されている。
本発明によると、高い電池容量を実現し、サイクル特性の悪化といった問題が生じ難い非水電解液二次電池用負極板を安定して製造し得るペースト状の塗工組成物を提供することができる。
また、塗工しやすいペーストが得られ、高い電池容量の非水電解液二次電池用負極板を安定して製造し得る負極板用塗工組成物を提供することもできる。
そして、本発明の請求項2に記載の評価方法は、練合工程において作製されたペースト状の塗工組成物をゼータ電位、導電率で規定することを特徴とするものである。
つぎに、本発明の請求項3に記載の非水電解液二次電池用負極板は、請求項1に記載のペースト状の塗工組成物を集電体の一面側又は両面に設けてなるものである。
本発明によると、高い電池容量を実現し、サイクル特性の悪化といった問題が生じ難い非水電解液二次電池用負極板を提供することができる。
さらに、本発明の請求項4に記載の非水電解液二次電池は、請求項3に記載の非水電解液二次電池用負極板と正極板とをセパレータを介して絶縁した電池群を電池ケースに収納し、非水電解液を注液してなるものである。
本発明によると、高い電池容量を実現し、サイクル特性の悪化といった問題が生じ難い非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明は、優れた特性及び性状を有する負極板を作成する上でのペースト状の塗工組成物を電気化学的性質の新しい尺度を用いて提言するものであり、基本的には活物質の種類、具体的には原材料やその製造プロセス、条件などにはよらないが、一例を示すと非晶質系あるいは黒鉛系炭素材料などに適用される。
本発明によると、練合工程で作製されたペースト状の塗工組成物を新たな尺度で評価する事により、優れた特性、高い実用性、生産性を有する黒鉛材料、及び極板を提供でき、その結果、優れた特性と生産性を兼ね備えた非水電解液二次電池を提供できるという効果を有する。
本発明は、ペースト状の負極板用塗工組成物をゼータ電位及び導電率で評価し、一定の範囲内になるよう選定、あるいは調整する。ゼータ電位がCVI法に準拠した装置により、測定した塗工組成物のゼータ電位が、−16.78〜−4.83mVであり、導電率が0.48〜0.65S・m-1となる物を選定、あるいは調整する。
本発明は、主に、非水電解液二次電池用負極板に塗工されるペースト状の塗工組成物を新たな尺度で評価する事により、極板化での問題点を事前に防ぎ、優れた特性を低下させる事無く、量産性を高める事を主目的としており、原則的には、塗工組成物の電気化学的な物性値で判断が可能であるので、黒鉛材料の種類に寄らず、普遍的な方法として用いる事が可能である。
以下、本発明の非水電解液二次電池用負極板の塗工組成物について、その構成および形成方法を説明し、さらにその負極板を用いて構成した本発明の非水電解液二次電池用負極板について説明する。
〈正極板の構成〉
本発明の非水電解液二次電池用正極板は、集電体の一面側又は両面に、少なくとも正極活物質、導電材及び通常は結着材を含有する。正極板の集電体としては通常、アルミニウム箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の正極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、LiMn2O4(マンガン酸リチウム)、LiCoO2(コバルト酸リチウム)若しくはLiNiO2(ニッケル酸リチウム)等のリチウム酸化物、またはTiS2、MnO2、MoO3もしくはV2O5等のカルコゲン化合物を例示することができる。
本発明の非水電解液二次電池用正極板は、集電体の一面側又は両面に、少なくとも正極活物質、導電材及び通常は結着材を含有する。正極板の集電体としては通常、アルミニウム箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の正極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、LiMn2O4(マンガン酸リチウム)、LiCoO2(コバルト酸リチウム)若しくはLiNiO2(ニッケル酸リチウム)等のリチウム酸化物、またはTiS2、MnO2、MoO3もしくはV2O5等のカルコゲン化合物を例示することができる。
正極活物質は、塗工層中に均一に分散させるために、1〜100μmの範囲の粒径を有し、且つ平均粒径が3〜30μmの粉体であることが好ましい。これらの正極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工組成物中の正極活物質の配合割合は、溶剤を除く配合成分を基準(固形分基準)とした時に、高い電池容量を実現とサイクル特性とのバランスの点から90〜98.5重量%とすることが好ましく、更に96〜98.5重量%とすることが好ましい。
また、正極板用塗工組成物には、通常、結着材が添加される。結着材としては従来から用いられているもの、例えば、熱可塑性樹脂、より具体的にはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、PTFEやポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、または、ポリイミド樹脂あるいはスチレンブタジエンゴム等のゴム系樹脂等を使用することができる。
この際、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーまたはオリゴマーを結着材中に混入させることも可能である。そのほかにも、ゴム系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー或いはそれらの混合物からなる電離放射線硬化性樹脂、上記各種の樹脂の混合物を使用することもできる。
塗工組成物中の結着材の配合割合は、固形分基準で通常は0.5〜10重量%、好ましくは0.9〜4重量%とする。
正極板用塗工組成物を調製する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン或いはこれらの混合物のような有機溶剤や水を用いることができる。塗工組成物中の溶剤は、通常は固形分が組成物全体に対して40〜85重量%、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは60〜80重量%となるように配合し、塗工液をペースト状に調製する。
〈負極板の構成〉
本発明の非水電解液二次電池用負極板は、集電体の一面側又は両面に、少なくとも炭素材料からなる負極活物質と、水系結着剤を含む負極合材層から形成される。負極板の集電体としては、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。
本発明の非水電解液二次電池用負極板は、集電体の一面側又は両面に、少なくとも炭素材料からなる負極活物質と、水系結着剤を含む負極合材層から形成される。負極板の集電体としては、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは通常、5〜50μm程度とする。
炭素材料は特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛、球状あるいは繊維状の人造黒鉛、コークス等の易黒鉛化性炭素、フェノール樹脂焼成体等の難黒鉛化性炭素等を用いることができる。負極活物質は、塗工層中に均一に分散させるために、1〜100μmの範囲の粒径を有し、且つ平均粒径が3〜30μmの粉体であることが好ましい。なお、これらの1種を単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
ここで、人造黒鉛は、例えば、易黒鉛化性炭素を2800℃以上の高温で熱処理して製造することができる。この場合の原料となる易黒鉛化性炭素には、コークス、ピッチ類を400℃前後で加熱する過程で得られる光学異方性の小球体(メソカーボンマイクロビーズ:MCMB)等がある。
水系結着剤は、水に溶解し得る結着剤であれば、特に限定されるものではない。負極活物質材料どうし、および負極活物質材料と集電体との結着を良好なものとし、かつ水に容易に溶解し得るという観点から、例えば、合成ゴム系ラテックス型接着剤と水溶性高分子とを含んだ複合結着剤の態様を採用することが望ましい。
ここで、合成ゴム系ラテックス型接着剤は、ペースト状の負極合材を集電体に塗布、乾燥した後における負極活物質材料どうし、および負極活物質材料と集電体との密着性に寄与するものである。特に、集電体表面に接着し、被膜を形成することにより負極活物質材料を集電体に結着させる役割を果たす。この場合、合成ゴム系ラテックス型接着剤の負極合材中の含有割合は、特に限定されるものではない。
特に、負極活物質である炭素材料と集電体との密着性をより向上させるという観点から、合成ゴム系ラテックス型接着剤の負極合材中の含有割合は、負極活物質を100重量%とした場合、合成ゴム系ラテックス型接着剤重量の0.5重量%以上とすることが望ましい。
0.5重量%未満であると、炭素材料と集電体との密着性が悪く、負極作製時や使用時に炭素材料が剥離する恐れがあるからである。一方、合成ゴム系ラテックス型接着剤が過剰に含まれる場合には、それが集電体の表面に接着して過剰な被膜を形成する。その結果、炭素材料の電気絶縁性が大きくなり、負極板を形成した場合に電気抵抗が大きくなってしまう。このことを考慮した場合には、合成ゴム系ラテックス型接着剤の負極合材中の含有割合を1.0重量%以下とすることが望ましい。
ここで、合成ゴム系ラテックス型接着剤は、スチレンブタジエンゴムラテックス、ニトリルブタジエンゴムラテックス、メチルメタクリレートブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックスのいずれか1種以上を用いることができる。なかでも、集電体との密着性、および電解液に対する耐性を考慮すると、メチルメタクリレートブタジエンゴムラテックスを選択することが望ましい。
また、水溶性高分子は、負極活物質である粉末状の炭素材料に吸着し、その炭素粒子を負極合材中に分散させる役割を果たすとともに、炭素粒子間および炭素粒子と集電体とを
結着させる役割を果たすものである。ここで、水溶性高分子の負極合材中の含有割合は、特に限定されるものではない。しかし、負極活物質材料に吸着して作用するという観点から、水溶性高分子の含有割合は、負極活物質材料の含有量を考慮して決定されることが望ましい。
結着させる役割を果たすものである。ここで、水溶性高分子の負極合材中の含有割合は、特に限定されるものではない。しかし、負極活物質材料に吸着して作用するという観点から、水溶性高分子の含有割合は、負極活物質材料の含有量を考慮して決定されることが望ましい。
具体的には、負極合材中の水溶性高分子の含有割合を、負極活物質を100重量%とした場合、1.0重量%以下とすることが望ましい。1.0重量%を超えると、水溶性高分子が過剰となり、それが炭素粒子の表面に吸着して過剰な被膜を形成する。その結果、リチウムイオンの移動が妨げられ、さらには、炭素材料の電気絶縁性が大きくなるために、負極を構成した場合に電気抵抗が大きくなってしまうからである。
0.6重量%未満であると、炭素材料と集電体との密着性が悪く、極板製造工程で合材層が集電体から剥がれ落ちる恐れがあるからである。ペースト状の負極合材を集電体に塗布するときに、良好な流動性が得られなくなり、塗布することが困難となる恐れがあるからである。
ここで、水溶性高分子は、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の合成高分子や、セルロースエーテル系の樹脂を用いることができる。これらの中でもセルロースエーテル系樹脂は、人体に毒性を示すことはなく、生体系に対しても無害であるという利点があることから、これを用いるのが望ましい。セルロースエーテル系樹脂は、エーテル化度、平均分子量、変性等が異なる種々のものがある。
セルロースエーテル系樹脂は、セルロースが有する水酸基の一部をエーテル化したものである。セルロース単位には3つの水酸基が存在する。例えば、セルロースエーテルのすべてのセルロース単位において、水酸基の1つがエーテル化されている場合は、エーテル化度が1.0となる。つまり、エーテル化度は、セルロースに含まれる水酸基がどれだけエーテル化されているかを示す指標である。
なかでも、ペースト状の負極合材を集電体に塗布するときに、良好な流動性が得られるという理由から、エーテル化度が1.0未満のものを用いることが望ましい。エーテル化度が1.0以上の場合、ペースト状の負極合材を製造するときにペーストが増粘し、塗布し難くなるからである。
また、セルロースエーテル系樹脂は、付加する官能基によって種々のものを用いることができ、例えば、セルロースエーテルのナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩のいずれか1種以上を用いればよい。セルロースエーテルとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリエチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、およびオキシエチルセルロース等のグループから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
特に、溶媒である水との親和性が高く、かつ負極活物質材料との親和性も良好であるという理由から、カルボキシメチルセルロースを選択することが望ましい。さらに、水に溶解し易いという理由から、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を選択することが望ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極板は、上述した負極活物質と水系結着剤とを含む負極合材から形成されるものであり、その形成方法等は、特に限定するものではない。負極活物質となる炭素材料に水系結着剤を混合し、溶媒として水を加えてペースト状にし
た負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。溶媒として加える水の配合割合は、特に制限されるものではない。
た負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。溶媒として加える水の配合割合は、特に制限されるものではない。
水の配合割合により、ペースト状の負極合材の粘度を調整することができるため、集電体表面への塗布方法によってその割合を適宜調整すればよい。一般に、ある集電体表面にペーストを塗布し塗膜を形成した場合、その塗膜と基材との密着性は、ペースト塗布後の乾燥による塗膜の収縮と関係がある。つまり、塗膜の収縮が大きいほど密着性は低下する。また、塗膜の収縮は、ペーストの固形分濃度と関係があり、ペーストの固形分濃度が低くなると塗膜の収縮は大きくなる。
したがって、ペースト状の負極合材を集電体に塗布、乾燥して負極を形成する場合、塗布する負極合材の固形分濃度を高くすることで、乾燥後の塗膜の収縮を小さくすることができる。すなわち、負極合材の固形分濃度が高いほど負極合材の塗膜と集電体との密着性が高くなる。このような観点から、溶媒として加える水の配合割合は、ペースト状とした負極合材全体の重量を100重量%とした場合の50重量%以下(固形分濃度50重量%以上)とすることが望ましい。
〈正極板及び負極板の形成方法〉
正極及び負極活物質、導電材、通常結着材、及び他の配合成分を適切な溶剤中にいれ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散して、ペースト状に調製できる。
正極及び負極活物質、導電材、通常結着材、及び他の配合成分を適切な溶剤中にいれ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散して、ペースト状に調製できる。
正極及び負極板用塗工組成物の塗布方法は、特に限定されないが、例えばスライドダイコート、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート等のように、厚い塗工層を形成できる方法が適している。ただし、活物質層に求められる厚さが比較的薄い場合には、グラビアコートやグラビアリバースコート等により塗布してもよい。活物質層は、複数回塗布、乾燥を繰り返すことにより形成してもよい。
乾燥工程における熱源としては、熱風、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、高周波、或いはそれらを組み合わせて利用できる。乾燥工程において集電体をサポート又はプレスする金属ローラーや金属シートを加熱して放出させた熱によって乾燥してもよい。また、乾燥後、電子線または放射線を照射することにより、結着材を架橋反応させて活物質層を得ることもできる。塗布と乾燥は、複数回繰り返してもよい。
更に、得られた正極及び負極活物質層をプレス加工することにより、活物質層の密度、集電体に対する密着性、均質性を向上させることができる。
プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行う。本発明においてプレス温度は、活物質層の塗工膜を乾燥させる温度よりも低い温度とする限り、室温で行っても良いし又は加温して行っても良いが、通常は室温(室温の目安としては15〜35℃である。)で行う。
ロールプレスは、ロングシート状の極板を連続的にプレス加工できるので好ましい。ロールプレスを行う場合には定位プレス、定圧プレスいずれを行っても良い。プレスのライン速度は通常、5〜75m/min.とする。ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を0.5kgf/cm〜1tf/cmとする。
また、シートプレスを行う場合には通常、4903〜73550N/cm2(500〜
7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)の範囲に圧力を調節する。プレス圧力が小さすぎると活物質層の均質性が得られにくく、プレス圧力が大きすぎると集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)の範囲に圧力を調節する。プレス圧力が小さすぎると活物質層の均質性が得られにくく、プレス圧力が大きすぎると集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
正極及び負極活物質層の塗工量は通常、20〜350g/m2とし、その厚さは、乾燥、プレス後に通常10〜200μm、好ましくは50〜190μmの範囲にする。負極活物質層の密度は、塗工後は1.0g/cc程度であるが、プレス後は1.5g/cc以上(通常は1.5〜1.75g/cc程度)まで増大する。従って、プレス加工を支障なく行い、体積エネルギー密度を向上させることにより、電池の高容量化を図ることが出来る。
〈非水電解液二次電池〉
以上のようにして本発明に係る非水電解液二次電池用負極板が得られ、この負極板を用いて非水電解液二次電池を作製することができる。
以上のようにして本発明に係る非水電解液二次電池用負極板が得られ、この負極板を用いて非水電解液二次電池を作製することができる。
本発明に係る電極板を用いて二次電池を作製する際には、電池の組立工程に移る前に活物質層中の水分及び/又は溶剤を除去するために、真空オーブン等で加熱処理や減圧処理等のエージングをあらかじめ行うことが好ましい。
構成される本発明の非水電解液二次電池(図示省略)の形状は円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極板及び負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して渦巻状に巻き回し、外装容器に挿入する。挿入後、正極板の端子接続部(集電体の露出面)と外装容器の上面に設けた正極端子をリードで接続し、一方、負極板の端子接続部(集電体の露出面)と外装容器の底面に設けた負極端子をリードで接続し、外装容器に非水電解液を充填し、密封することによって、本発明に係る負極板を備えた非水電解液二次電池が完成する。
非水電解液二次電池を作製する場合には、溶質であるリチウム塩を有機溶媒に溶かした非水電解液が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、または、LiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiOSO2CF3、LiOSO2C2F5、LiOSO2C3F7、LiOSO2C4F9、LiOSO2C5F11、LiOSO2C6F13、LiOSO2C7F15等の有機リチウム塩等が用いられる。
リチウム塩を溶解するための有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等を例示できる。より具体的には、環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を例示できる。
鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフ
ラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
ラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等を例示できる。
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等を例示することができる。
以下、本発明の実施例を用いて詳細に説明する。本実施例の評価は、下記の(評価)の項に記載された方法を用いた。
(実施例1)
正極活物質100重量部に導電材としてアセチレンブラック2重量部と、結着剤としてPVDF2重量部と、溶剤としてNMPとを攪拌混合し、ペースト状の正極板用塗工組成物を得た。一面あたりの塗工量は約260.0g/m2とし、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターを用いて正極板用塗工組成物を塗工した。その後、乾燥し、ロールプレスにより圧延、乾燥後、所定の寸法に切断して、正極板を得た。
正極活物質100重量部に導電材としてアセチレンブラック2重量部と、結着剤としてPVDF2重量部と、溶剤としてNMPとを攪拌混合し、ペースト状の正極板用塗工組成物を得た。一面あたりの塗工量は約260.0g/m2とし、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターを用いて正極板用塗工組成物を塗工した。その後、乾燥し、ロールプレスにより圧延、乾燥後、所定の寸法に切断して、正極板を得た。
負極活物質を混合系として、50%粒径20μm、比表面積2.1m2/g、タップ密度1.13g/cm3である市販の負極活物質A80重量部、50%粒径17.5μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.00g/cm3である市販の負極活物質B20重量部、増粘剤を混合系として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G0.9重量部、平均分子量5万、エーテル化度0.65である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩H0.1重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−8.96mVであり、導電率が0.59S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。
また、一面あたりの塗工量は約120.0g/m2とし、厚さ10μmの銅箔の両面にダイコーターを用いて負極板用塗工組成物を塗工した。その後、乾燥し、ロールプレスにより圧延、乾燥後、所定の寸法に切断して、負極板を得た。正極板と負極板とを、ポリエチレン製のフィルム状セパレータを介して、極板群を得た。得られた極板群は、アルミ製の外装ケースに収納した。外装ケース内に、LiPF6を1mol/Lの割合で含むエチレンカーボネートとジエチルカーボネート(DEC)を50:50の混合液を非水電解液として注入し、封口板で外装ケースを封口し、レーザー溶接で密封した。
(実施例2)
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.1m2/g、タップ密度1.13g/cm3である市販の負極活物質A80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤として平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が70重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.79mVであり、導電率が0.65S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.1m2/g、タップ密度1.13g/cm3である市販の負極活物質A80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤として平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が70重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.79mVであり、導電率が0.65S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
ここで述べる硬練りの具体的な定義を、図2に示した練合時の練合機負荷電流値推移を元に、負極練合の場合を例に説明する。正極練合の場合も図2と同様の推移を示すので、
図示は省略する。
図示は省略する。
図2に示した横軸は練合経過時間、縦軸は負荷電流測定値を表す。
まず材料投入201を完了し、粉体のみの攪拌201〜202を開始する。その後、給水202を行い、本願定義固練り開始203、本願定義硬練り終了204まで練合を行う。給水202の量は、203での負荷電流値最大値が、練合機の負荷電流上限値を超えない値となるように決定する。給水202の量は、活物質の比表面積や吸油量により固有の値を適宜決める。運転区間203〜204が本願の硬練りの定義区間である。ペーストの性状やペースト物性値は、この区間203〜204でほぼ決定される。その後、給水204、給水205を経て、練合完了206となる。
(実施例3)
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G0.75重量部、平均分子量5万、エーテル化度0.65である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩H0.25重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−4.83mVであり、導電率が0.61S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G0.75重量部、平均分子量5万、エーテル化度0.65である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩H0.25重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−4.83mVであり、導電率が0.61S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(実施例4)
負極活物質として50%粒径18.9μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.11g/cm3である市販の負極活物質E100重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(JSR株式会社製)0.6重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−16.78mVであり、導電率が0.48S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質として50%粒径18.9μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.11g/cm3である市販の負極活物質E100重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(JSR株式会社製)0.6重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−16.78mVであり、導電率が0.48S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例1)
負極活物質を混合系として、50%粒径20μm、比表面積2.1m2/g、タップ密度1.13g/cm3である市販の負極活物質A80重量部、50%粒径17.5μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.00g/cm3である市販の負極活物質B20重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−8.81mVであり、導電率が0.76S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として、50%粒径20μm、比表面積2.1m2/g、タップ密度1.13g/cm3である市販の負極活物質A80重量部、50%粒径17.5μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.00g/cm3である市販の負極活物質B20重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−8.81mVであり、導電率が0.76S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例2)
実施例2と同様の負極活物質、増粘剤、結着剤と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が66重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.62mVであり、導電率が0.79S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
実施例2と同様の負極活物質、増粘剤、結着剤と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が66重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.62mVであり、導電率が0.79S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例3)
実施例2と同様の負極活物質、増粘剤、結着剤と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が62重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.50mVであり、導電率が0.95S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
実施例2と同様の負極活物質、増粘剤、結着剤と、溶剤として加える水の配合割合を硬練り工程で固形分濃度が62重量%となるよう調整してから攪拌混合し、ゼータ電位が−8.50mVであり、導電率が0.95S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例4)
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−4.94mVであり、導電率が0.82S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−4.94mVであり、導電率が0.82S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例5)
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、増粘剤を混合系として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G0.5重量部、平均分子量5万、エーテル化度0.65である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩H0.5重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−2.20mVであり、導電率が0.61S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積2.2m2/g、タップ密度1.17g/cm3である市販の負極活物質D80重量部、50%粒径21.0μm、比表面積5.5m2/g、タップ密度0.89g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、増粘剤を混合系として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G0.5重量部、平均分子量5万、エーテル化度0.65である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩H0.5重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−2.20mVであり、導電率が0.61S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
(比較例6)
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積4.0m2/g、タップ密度0.60g/cm3である市販の負極活物質F80重量部、50%粒径17.5μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.00g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−32.97mVであり、導電率が0.49S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
負極活物質を混合系として50%粒径20μm、比表面積4.0m2/g、タップ密度0.60g/cm3である市販の負極活物質F80重量部、50%粒径17.5μm、比表面積5.0m2/g、タップ密度1.00g/cm3である市販の負極活物質C20重量部、増粘剤を混合系として、増粘剤として、平均分子量35万、エーテル化度0.70である市販のカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩G1.0重量部、結着剤としてメチルメタクリレートブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製)1.0重量部と、溶剤として水とを攪拌混合し、ゼータ電位が−32.97mVであり、導電率が0.49S/m-1であるペースト状の負極板用塗工組成物を得た。実施例1と同様に塗工し、圧延した。
実施例及び比較例で得られたリチウムイオン二次電池用負極板において、集電体への負極合材の密着力を測定した。更に、それらのリチウムイオン二次電池用負極板を用いてリチウムイオン二次電池を作成し、測定した容量維持率も合わせて表1に示す。
(評価)
〈ゼータ電位〉
CVI法に準拠した米国Dispersion Technology社製(日本取扱:日本ルフト社)ゼータ電位測定装置DT−1200を用い、ゼータ電位測定用プローブをペースト状の塗工組成物中に挿入して測定し、ゼータ電位を得た。
〈ゼータ電位〉
CVI法に準拠した米国Dispersion Technology社製(日本取扱:日本ルフト社)ゼータ電位測定装置DT−1200を用い、ゼータ電位測定用プローブをペースト状の塗工組成物中に挿入して測定し、ゼータ電位を得た。
〈導電率〉
米国Dispersion Technology社製(日本取扱:日本ルフト社)ゼータ電位測定装置DT−1200に付属された導電率計を用い、導電率測定用プローブをペースト状の塗工組成物中に挿入して測定し、導電率を得た。
米国Dispersion Technology社製(日本取扱:日本ルフト社)ゼータ電位測定装置DT−1200に付属された導電率計を用い、導電率測定用プローブをペースト状の塗工組成物中に挿入して測定し、導電率を得た。
〈密着力の評価:90度剥離強度試験〉
JIS−C6481−1995に準拠して行った。集電体への負極合材の密着力は、塗工層側の面を台上に両面テープで固定し、集電体を塗工層面に対して垂直になる方向に引張り、毎分約50mmの速さで連続的に約50mm剥がして、この間での荷重の最低値を引き剥がし強さとして、集電体への負極合材の密着力の評価に用いた。
JIS−C6481−1995に準拠して行った。集電体への負極合材の密着力は、塗工層側の面を台上に両面テープで固定し、集電体を塗工層面に対して垂直になる方向に引張り、毎分約50mmの速さで連続的に約50mm剥がして、この間での荷重の最低値を引き剥がし強さとして、集電体への負極合材の密着力の評価に用いた。
〈容量維持率〉
充放電サイクルにおいて、500サイクル目で得られた放電容量を、1サイクル目で得られた放電容量を100%とする相対値を、容量維持率として算出した。
充放電サイクルにおいて、500サイクル目で得られた放電容量を、1サイクル目で得られた放電容量を100%とする相対値を、容量維持率として算出した。
表1において、実施例1〜4の負極板用塗工組成物を用いると、集電体への負極合材の密着力および容量維持率が良好であることがわかる。負極板用塗工組成物のゼータ電位が−16.78〜−4.83mVであるため、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、プロピレンカーボネートの分解が抑制されるため、高い容量維持率を実現することができた。
また、負極板用塗工組成物の導電率が0.48〜0.65S・m-1であるため、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着していない、つまりは集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、集電体への負極合材の密着力は、我々が実用上の目安にしている5N/m以上を実現することができた。
一方、比較例1の負極板用塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−8.81mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、プロピレンカーボネートの分解が抑制される。しかし、負極板用塗工組成物の導電率が0.76S・m-1であるため、集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が過剰になり、リチウムイオンが負極板内を移動する妨げとなり、充放電のサイクルを繰り返すことにより、負極板表面へのリチウム析出が起こり易く、容量維持率は65%を示し、我々が実用上の目安にしている80%以下を示した。
比較例2の塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−8.62mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、プロピレンカーボネートの分解が抑制される。しかし、負極板用塗工組成物の導電率が0.79S・m-1であるため、集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が過剰になり、リチウムイオンが負極板内を移動する妨げとなり、充放電のサイクルを繰り返すことにより、負極板表面へのリチウム析出が起こり易く、容量維持率は55%を示し、我々が実用上の目安にしている80%以下を示した。
比較例3の塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−8.50mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、プロピレンカーボネートの分解が抑制される。しかし、負極板用塗工組成物の導電率が0.95S・m-1であるため、集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が過剰になり、リチウムイオンが負極板内を移動する妨げとなり、充放電のサイクルを繰り返すことにより、負極板表面へのリチウム析出が起こり易く、容量維持率は45%を示し、我々が実用上の目安にしている80%以下を示した。
比較例4の塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−4.94mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が最適化され、プロピレンカーボネートの分解が抑制される。しかし、負極板用塗工組成物の導電率が0.82S・m-1であるため、集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が過剰になり、リチウムイオンが負極板内を移動する妨げとなり、充放電のサイクルを繰り返すことにより、負極板表面へのリチウム析出が起こり易く、容量維持率は60%を示し、我々が実用上の目安にしている80%以下を示した。
比較例5の塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−2.20mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が不足し、充放電のサイクルを繰り返すことにより、プロピレンカーボネートの分解が抑制されず、その分解で生成された成分が負極活物質表面への堆積反応が進行し易くなり、容量維持率は65%を示し、我々が実用上の目安にしている80%以下を示した。
比較例6の塗工組成物、つまり、ゼータ電位が−32.97mVである負極板用塗工組成物を用いると、負極活物質の表面を被覆あるいは吸着したカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が過剰となり、プロピレンカーボネートの分解は抑制されるが、集電体への負極合材の密着力に寄与するカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩の量が不足するため、集電体への負極合材の密着力は、2.7N/mを示し、我々が実用上の目安にしている5N/m以下を示した。
本発明に係る負極合材で調整された実施例1〜4では、集電体への負極合材の密着力は、我々が実用上の目安にしている5N/m以上で、且つ、容量維持率は、我々が実用上の目安にしている80%以上を実現した。
一方、比較例1〜4では、集電体への負極合材の密着力は我々が実用上の目安にしている数値を満足しているが、容量維持率は低く、我々が実用上の目安にしている数値を満足しない、電池特性の悪いリチウムイオン二次電池であった。
比較例5、6では、容量維持率は高いが、集電体への負極合材の密着力は、我々が実用上の目安にしている数値を満足しない、極板製造工程で生産安定性の悪いリチウムイオン二次電池であった。
これらの結果から、本発明の負極板用塗工組成物を用いた非水電解液二次電池は、集電体への負極合材の密着力が大きく、容量維持率が良好であるためには、特に、ゼータ電位の範囲は、ゼータ電位が−16.78〜−4.83mVであり、導電率の範囲は、導電率が0.48〜0.65S・m-1であるとすることが望ましいと確認できた。
〈他の実施形態の許容〉
以上、本発明の非水電解液二次電用負極板およびそれを用いた非水電解液二次電池の実施形態について説明したが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明の非水電解液二次電池用負極板およびそれを用いた非水電解液二次電池は、上記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
以上、本発明の非水電解液二次電用負極板およびそれを用いた非水電解液二次電池の実施形態について説明したが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明の非水電解液二次電池用負極板およびそれを用いた非水電解液二次電池は、上記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
本発明にかかる非水電解液二次電池は、電池特性、実用性、生産性に優れたポータブル用電源等として有用である。
201 練合機への材料投入完了、および粉体攪拌開始時
202 給水
203 固練り開始
204 固練り終了および給水
205 給水
206 練合完了時
202 給水
203 固練り開始
204 固練り終了および給水
205 給水
206 練合完了時
Claims (4)
- リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素材料と結着剤からなる合材と溶媒とを用いて混練してペースト状の塗工組成物を作製する練合工程と、作製した塗工組成物を集電体の一面側又は両面に塗工し、乾燥することにより極板を作製する極板作製工程を少なくとも含む非水電解液二次電池用負極板の製造方法において、
前記練合工程にてペースト状塗工組成物を作製した際、前記ペースト状塗工組成物のゼータ電位が−16.78〜−4.83mVであり、導電率が0.48〜0.65S・m-1であることを特徴とする非水電解液二次電池用負極板の製造方法。 - ペースト状塗工組成物を、CVI(Colloid Vibration Current)法に準拠した装置を用いて、ゼータ電位と導電率を測定することを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池用負極板の製造方法。
- 請求項1に記載の塗工組成物を集電体の一面側又は両面に塗工し、乾燥することにより極板を作製する非水電解液二次電池用負極板。
- 請求項3に記載の非水電解液二次電池用負極板と正極板とをセパレータを介して構成した電池群を電池ケースに収納し、非水電解液を注液してなる非水電解液二次電池。
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- 2008-03-14 JP JP2008065398A patent/JP2009224099A/ja active Pending
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