JP2009223093A - 回折光学素子および方法 - Google Patents

回折光学素子および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009223093A
JP2009223093A JP2008068911A JP2008068911A JP2009223093A JP 2009223093 A JP2009223093 A JP 2009223093A JP 2008068911 A JP2008068911 A JP 2008068911A JP 2008068911 A JP2008068911 A JP 2008068911A JP 2009223093 A JP2009223093 A JP 2009223093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diffractive
optical element
molding
lens
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008068911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5086852B2 (ja
Inventor
Hidetoshi Sakae
英利 寒河江
Satoshi Kai
聡 甲斐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2008068911A priority Critical patent/JP5086852B2/ja
Publication of JP2009223093A publication Critical patent/JP2009223093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5086852B2 publication Critical patent/JP5086852B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】高精度でかつ組立性に優れた回折光学素子を提供する。
【解決手段】光軸L方向から見ると直線状に見えるパターンPが形成され、光軸Lを含みパターンPに直角な平面Sで切った断面形状が両側部で高く中央部で低い階段状を成した回折光学素子10であって、パターンPで挟まれた各領域を直線輪帯部11〜19としたとき、各直線輪帯部11〜19は山形を成し、その上面に帯状の回折面11A〜19Aが、回折面11A〜19Aの両端に帯状の傾斜面11B〜19B,11C〜19Cがそれぞれ形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細な階段状のパターンを有する回折光学素子、その回折光学素子の加工精度評価方法、および回折光学素子成形用の金型の加工方法などに関するものである。
光走査装置に用いられる各種のレンズを樹脂材料で形成すると、樹脂製レンズは、軽量で低コストに形成でき、また、非球面に代表される特殊な面形状の形成が容易であるため、樹脂製レンズに特殊面を採用することにより、光学的な特性を向上させるとともに、光学系を構成するレンズ枚数を低減させることができる。
しかし、その反面、周知のように、樹脂製レンズは、環境変化、特に温度変化に伴って、形状が変化したり屈折率が変化したりするので、光学特性とくにパワー(集光力)が設計値から変化し、被走査面上の光スポットの径である「ビームスポット径」が環境変動により変動する問題がある。
温度変化に伴う光学特性の変化と、光源における波長変化とを考慮し、パワーを有する回折面を採用して光学特性を安定させた光走査装置(レーザ走査装置)として、特許文献1のものが知られている。この特許文献1においては、光プリンタやデジタル複写機用の光走査装置のポリゴンミラー前光学素子で実施されており、光源波長が基準波長を保っている間はパワーをもたず、温度外乱によって波長がずれたときのみパワーをもつ、階段状の同心円回折面をもつカップリングレンズ、およびシリンダレンズが適用されている。
樹脂製の回折レンズを製作する場合、金型に回折面の形状を形成し、その回折面の形状を射出成形法によってレンズ面に転写成形するのが一般的である。従来では、金型に回折面の形状を形成するには、切削加工やドライエッチングが施されてきた。例えば、特許文献2には、プリズム群素子の金型を切削工法で製作する一例が開示されている。
特許文献2においては、図13に示すように、光軸L方向から見ると直線状に見えるパターンPが形成され、光軸Lを含みパターンPに直角な平面で切った断面形状が両側部で高く中央部で低い階段状を成した回折光学素子1を対象としており、この回折光学素子1は上面が回折面1Aに、回折面1Aの両端部が切り立った立ち壁1Bとなっている。このような回折光学素子1を転写するための金型を製作するには、図14に示すように、底面の大きさa,bが回折光学素子1の素子面の大きさa’,b’と同寸法の型部材2を用意する。そして、型部材2から離れた位置にダイヤモンドバイト3をセットして、このダイヤモンドバイト3を矢印Aで示すツールパスに沿って走査することにより、型部材2に階段状のパターンP’が加工される。
特開2006−135069号公報 特開2005−037623号公報
しかしながら、光走査装置に用いるシリンダレンズはその光学面が数mm程度であり、特許文献2のように、回折光学素子1の素子面の大きさ(特にa’)が型部材2の底面の大きさaと同寸法であると、回折光学素子1が小さくなりすぎて、組立性が非常に悪くなるとともに、回折面1Aと立ち壁1Bとの直角度の確保が困難となっていた。
また、上記回折光学素子1を成形加工する金型(つまり、加工後の型部材2)においては、一度成形に用いた金型の回折面成形部(回折光学素子1の回折面1Aを成形するための部位)を修正するために再加工する時など、そのセッティングに多くの手間を生じ、多くのロスが発生していた。
本発明の課題は、高精度でかつ組立性に優れた回折光学素子を提供するとともに、その回折光学素子の加工精度評価方法、および手間が掛からずに回折光学素子成形用の金型を加工することのできる加工方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、回折光学素子成形用金型において、回折光学素子の回折面を成形する回折面成形部の加工の際に、回折面成形部の両端部に深さが徐々に深くなるアプローチ部(傾斜面成形部)を設ける。これによって、回折光学素子の光学面(回折面)を形成する型部材(金型)の寸法を、光学面寸法とは独立に自由に設定することが可能となる。例えば、型部材を大きくすることで、金型組み付け時の平行調整が容易となる一方、光学面再加工時の加工機取り付けが簡易にかつ高精度にでき、また回折面の外周高さが容易に計測できるため、レンズ厚管理にも活用できる。結果として、高精度の回折光学素子を高能率に製造することが可能となる。また、回折光学素子においては、単にアプローチ用の斜面面とするだけではなく、3つの平面(回折面、傾斜面、および回折面や傾斜面の立ち壁である段差面)が交わる角部を観察することで、転写性評価の簡易チェッカとして用いることができ、量産時の品質管理に活用可能な素子形状を実現するものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、光軸方向から見ると直線状に見えるパターンが形成され、光軸を含み前記パターンに直角な平面で切った断面形状が、両側部で高く中央部で低いまたは両側部で低く中央部で高い階段状を成した回折光学素子であって、前記パターンで挟まれた各領域を直線輪帯部としたとき、当該各直線輪帯部は山形を成し、その上面に帯状の回折面が、前記回折面の両端に帯状の傾斜面がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記回折面と前記傾斜面との成す角度は、前記直線輪帯部の各々について一定であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記パターンが形成されたレンズ面と反対側のレンズ面には、前記パターンに平行にシリンダ中心軸を有するシリンダ面が設けられ、かつ、前記シリンダ面の両端部は曲面状に形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、光源と、該光源からの光束をカップリングするカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束を主走査方向に平行光とするシリンダレンズと、該シリンダレンズからの光束を主走査方向に偏向させる光偏向器と、該光偏向器により偏向された光束を集光する走査レンズとを備えた光走査装置であって、前記シリンダレンズとして、請求項1,2又は3に記載の回折光学素子が搭載されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、電子写真プロセスを行って画像を形成する画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを行う手段として、請求項4に記載の光走査装置が搭載されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の回折光学素子の加工精度を評価する際に、前記回折面と前記傾斜面とで形成される稜線、前記回折面とその立ち壁である段差面とで形成される稜線、前記傾斜面とその立ち壁である段差面とで形成される稜線、及び前記3つの稜線の交点を観察し、前記各稜線の太さ及び前記交点の大きさから前記パ
ターンの転写レベルを判定することを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の回折光学素子を射出成形で製作する場合で、その射出成形用の金型を加工する際に、非回転の直線稜線を持つ単結晶ダイヤモンドバイトを用い、かつ、前記回折面を成形するための回折面成形部と、前記傾斜面を成形するための傾斜面成形部との成す角度をθとしたとき、θ≦45度に設定して加工を行うことを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の回折光学素子を射出成形で製作する場合で、その射出成形用の金型を加工する際に、直線稜線を持つ単結晶ダイヤモンドバイトを回転させたフライカット形態の工具を用い、かつ、前記回折面を成形するための回折面成形部と、前記傾斜面を成形するための傾斜面成形部に対して、当該各成形部の面上で切り込み動作を行うことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、光学面(回折面)を形成する型部材の寸法を光学面寸法とは独立に自由に設定することが可能となる。例えば、型部材を大きくすることで、金型組付時の平行調整が容易となる。また、光学面再加工時の加工機取付けが簡易にかつ高精度にでき、加えて、回折面の外周高さが容易に計測できるため、レンズ厚管理にも活用できる。結果として、高精度でかつ組立性に優れた回折光学素子の製造が可能となる。さらに、回折面の両端部を傾斜面とすることで、回折光学素子を樹脂で成形した場合に、樹脂流動がスムーズになる。
請求項2の発明によれば、回折面と傾斜面との成す角度を一定とすることで、クセのない樹脂流動、転写、収縮が実現され、高精度で高安定な回折光学素子の成形プロセスを獲得することができる。
請求項3の発明によれば、シリンダ面の両端部を曲面状にすることで、回折光学素子を樹脂で成形した場合に、樹脂流動がスムーズになる。
請求項4の発明によれば、光源における波長変化と考慮し、パワーを有する回折面を採用して樹脂製走査レンズを用いた場合でも、温度外乱に強く、かつ光学特性の安定した光走査装置を得ることができる。
請求項5の発明によれば、温度外乱に強く、かつ光学特性の安定した画像形成装置を実現することができる。
請求項6の発明によれば、単にアプローチ用傾斜面とするだけではなく、3つの平面が交わる角部を観察することで、転写性評価の簡易チェッカとして用いることができ、AFM(Atomic force Microscope)などによる長時間検査をすることなく、量産時の品質管理を高効率かつ低コストで実施可能となる。
請求項7の発明によれば、ダイヤモンド工具の製作限界からくる値を設定することで、確実な工具干渉の回避が可能となる。
請求項8の発明によれば、フライカット工具を用いることで工具干渉を気にせず自由なツールパスとしてのθ(回折面成形部と傾斜面成形部との成す角度)を設定することができる。また、切削抵抗が非回転工具に比べ格段に小さくできるため、切削抵抗が問題となる加工物、型加工では無く、素子加工として樹脂等の低剛性部材への適用が可能である。
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1および図2は本発明に係る回折光学素子を示しており、図1はその外観斜視図、図2(a)は上面図である。図2(b)および(c)は(a)のB部の拡大図である。
図1および図2(a)に示すように、本発明に係る回折光学素子10は光軸L方向から見ると直線状に見えるパターンPが形成され、光軸Lを含みパターンPに直角な平面Sで切った断面形状が両側部で高く中央部で低い階段状を成している。
そして、パターンPで挟まれた各領域を直線輪帯部11〜19としたとき、各直線輪帯部11〜19は山形を成し、ベース板20の上に形成されている。直線輪帯部11と直線輪帯部19は幅(平面Sに沿った長さ:以下同じ)が同じであり、また、直線輪帯部12と直線輪帯部18、直線輪帯部13と直線輪帯部17、直線輪帯部14と直線輪帯部16も幅がそれぞれ同じである。幅は直線輪帯部15が最も広く、以下、直線輪帯部14と直線輪帯部16、直線輪帯部13と直線輪帯部17、直線輪帯部12と直線輪帯部18の順に狭くなり、直線輪帯部11と直線輪帯部19が最も狭い。
一方、高さは直線輪帯部11と直線輪帯部19が最も高く、以下、直線輪帯部12と直線輪帯部18、直線輪帯部13と直線輪帯部17、直線輪帯部14と直線輪帯部16の順に低くなり、直線輪帯部15が最も低い。なお、直線輪帯部11〜19は一体的に形成されている。
直線輪帯部11には、その上面に帯状の回折面11Aが、回折面11Aの両端に帯状の傾斜面11B,11Cがそれぞれ形成され、直線輪帯部12には、その上面に帯状の回折面12Aが、回折面12Aの両端に帯状の傾斜面12B,12Cがそれぞれ形成されている。また、直線輪帯部13には、その上面に帯状の回折面13Aが、回折面13Aの両端に帯状の傾斜面13B,13Cがそれぞれ形成され、直線輪帯部14には、その上面に帯状の回折面14Aが、回折面14Aの両端に帯状の傾斜面14B,14Cがそれぞれ形成されている。さらに、直線輪帯部15には、その上面に帯状の回折面15Aが、回折面15Aの両端に帯状の傾斜面15B,15Cがそれぞれ形成されている。
また、直線輪帯部16には、その上面に帯状の回折面16Aが、回折面16Aの両端に帯状の傾斜面16B,16Cがそれぞれ形成され、直線輪帯部17には、その上面に帯状の回折面17Aが、回折面17Aの両端に帯状の傾斜面17B,17Cがそれぞれ形成されている。また、直線輪帯部18には、その上面に帯状の回折面18Aが、回折面18Aの両端に帯状の傾斜面18B,18Cがそれぞれ形成され、直線輪帯部19には、その上面に帯状の回折面19Aが、回折面19Aの両端に帯状の傾斜面19B,19Cがそれぞれ形成されている。
各直線輪帯部11〜19について、回折面と傾斜面の成す角度は一定である。すなわち、直線輪帯部11についての回折面11Aと傾斜面11Bとの成す角度および回折面11Aと傾斜面11Cとの成す角度、直線輪帯部12についての回折面12Aと傾斜面12Bとの成す角度および回折面12Aと傾斜面12Cとの成す角度、直線輪帯部13についての回折面13Aと傾斜面13Bとの成す角度および回折面13Aと傾斜面13Cとの成す角度、直線輪帯部14についての回折面14Aと傾斜面14Bとの成す角度および回折面14Aと傾斜面14Cとの成す角度が各々一定である。また、直線輪帯部15についての回折面15Aと傾斜面15Bとの成す角度および回折面15Aと傾斜面15Cとの成す角度が前記一定の角度とそれぞれ同じである。
さらに、直線輪帯部16についての回折面16Aと傾斜面16Bとの成す角度および回折面16Aと傾斜面16Cとの成す角度、直線輪帯部17についての回折面17Aと傾斜面17Bとの成す角度および回折面17Aと傾斜面17Cとの成す角度、直線輪帯部18についての回折面18Aと傾斜面18Bとの成す角度および回折面18Aと傾斜面18Cとの成す角度、直線輪帯部19についての回折面19Aと傾斜面19Bとの成す角度および回折面19Aと傾斜面19Cとの成す角度が前記一定の角度と各々同じである。
また、直線輪帯部11〜19について、回折面の長手方向の長さは同一である。すなわち、回折面11A、回折面12A、回折面13A、回折面14A、回折面15A、回折面16A、回折面17A、回折面18Aおよび回折面19Aの長手方向の長さは同一である。
そして、直線輪帯部11,19の高さが最も高く、直線輪帯部12,18、直線輪帯部13,17、直線輪帯部14,16、直線輪帯部15の順に低くなっているので、傾斜面11B,19Bはベース20上を最も外側(図2の左側)に突出して配置され、以下、傾斜面12B,18B、傾斜面13B,17B、傾斜面14B,16Bの順に突出量が小さくなり、傾斜面15Bの突出量が最も小さい。同様に、傾斜面11C,19Cはベース20上を最も外側(図2の右側)に突出して配置され、以下、傾斜面12C,18C、傾斜面13C,17C、傾斜面14C,16Cの順に突出量が小さくなり、傾斜面15Cの突出量が最も小さい。
上記構成の回折光学素子10において、光学的機能は回折面11A〜19Aが有しており、入射光束はこれら回折面11A〜19Aの領域を通過する。転写性を重視する場合は、樹脂の流動方向を回折パターンと平行にとることが多いが、このような場合、上述したように、回折面11A〜19Aと傾斜面11B〜19Bとの成す角度、および回折面11A〜19Aと傾斜面11C〜19Cとの成す角度を一定とした方が、転写性、均等な収縮の確保に有利な傾向がある。
図2(b)および(c)は、回折面13Aと傾斜面13Cとで形成される稜線21、回折面13Aとその立ち壁である段差面(図示せず)とで形成される稜線22、傾斜面13Cとその立ち壁である段差面(図示せず)とで形成される稜線23、及び前記3つの稜線21,22,23の交点24を拡大して示したものである。このように3つの面が交わる角部は、樹脂が完全には充填されにくい箇所であり、充填不良に敏感な部位となっている。この角部を光学顕微鏡で観察してみると、充填が完全である場合は、図2(b)に示すようにきれいな十字線が確認され、転写は良好であるが、充填が不十分である場合は、図2(c)に示すように、交点24部に未充填領域が確認され、良好な転写は得られない。
したがって、稜線21,22,23の太さ、および交点24の大きさの閾値を設定することで、簡易に量産時の成形状況をモニタリングすることが可能となる。従来は、角ダレ等の転写不良は、AFM(Atomic force Microscope)などで検査し、非常に多くの長時間を要しており実用的では無かった。
図3は、直線輪帯部11〜19(つまり、回折面11A〜19Aや傾斜面11B〜19B,11C〜19C)を成形するための金型25の外観斜視図である。金型25には、回折面11A〜19Aや傾斜面11B〜19B,11C〜19Cを反転させた形状の凹部26が形成されている。金型25の母材はマルテンサイト系ステンレスで、成形面には150μm厚の無電解Niメッキが施されている。
直線輪帯部15を成形するための部位において、回折面15A’の彫り込み深さはトータルで70μmである。回折面15A’の大きさは 短手方向で3mm、長手方向で6mmであり、その両端に傾斜面15B’,15C’の端部が形成されている。ここでは、回折面15A’と傾斜面15B’,15C’の成す角度θ=20度としているため、前記彫り込み深さは70μm×tan20°=26μmであり、傾斜面15B’,15C’の端部は最も長いものでもこの長さであり、不必要に成形品を大きくするものではない。
図4は、非回転工具を用いた場合の、前記金型の加工法を説明するものである。図5は、図4を側面から見た模式図である。
単結晶ダイヤモンドバイト27を型部材25’の上空に位置させ、所定の角度で斜めに型部材25’を切り込んでゆく。矢印CおよびDに示すように、斜めのツールパスが傾斜面の端部加工のツールパスであり、工具のアプローチとリトラクト行っている。矢印Eは回折面加工のツールパスである。
ここで、重要な点は、回折面と傾斜面とが成す角度θに注意することである。ダイヤモンドバイト27の前ニゲ面27aが回折面となす角をφとするとき、
θ<φ
の関係に設定しないと、工具アプローチ時に前ニゲ面27aと傾斜面の端部とが干渉し、切削面がむしれ面になるだけでなく、工具損傷の原因ともなりうる。現在、単結晶バイトの製作限界は前逃げ角が30°、加工時の姿勢としては負のスクイ角状態として−15°あたりが使用限界であり、これらをあわせると45°であり、θは45°以下とすることが望ましい。
本実施例によれば、回折面を形成する型部材の寸法を光学面寸法とは独立に自由に設定することができ、例えば、型部材を大きくすることで、金型組付時の平行調整が容易となる。また、光学面再加工時の加工機取付けが簡易にかつ高精度にでき、加えて、回折面の外周高さが容易に計測できるため、レンズ厚管理にも活用できる。結果として、高精度でかつ組立性に優れた回折光学素子の製造が可能となる。さらに、回折面の両端部を傾斜面とすることで、回折光学素子を樹脂で成形した場合に、樹脂流動がスムーズになる。
図6および図7は回折光学素子を裏返した状態を示しており、図6はその外観斜視図、図7は図6の側面図である。
図6および図7は、回転工具によって端部斜面を形成した例を示している。パターンP(図1参照)が形成されたレンズ面と反対側のレンズ面には、パターンPに平行にシリンダ中心軸を有するシリンダ面28が設けられ、かつ、シリンダ面28の両端部には曲面状部分28A,28Bが形成されている。シリンダ面28はRバイトのフライカットで加工を行っているため、曲面状部分28A,28Bはトーリック面のような曲面となっている。
なお、この例では、直線輪帯部29の両端(回折面の両端)は傾斜面ではなく、円弧面(シリンダ面)29A,29Bとなっている。
以上の実施例においては、回折光学素子10は、平面S(図1参照)での断面形状が両側部で高く中央部で低い階段状を成したものであったが、これに限らず、前記平面Sでの断面形状が両側部で低く中央部で高い階段状を成したものでもよい。
図8は、回転工具による型部材の加工法を説明するものである。ツールパスは、図4および図5の場合と同様に、傾斜面を形成するための矢印C,D方向のものと、回折面を形成するための矢印E方向のものとで構成される。非回転工具との違いは、前逃げ面の干渉が回転工具30の回転半径で決定され、ツールパスに依存しない点である。そのため、ツールパスとしてのθは90°にとることも可能である。しかし、回転工具30先端の回転半径は最小でも3mm程度となるため、傾斜面端部は非回転工具よりも長くなってしまう。回転工具の場合、ツールパスとしてのθと、加工面としてのθが一致しない点を考慮して実施する必要がある。
図9は、回折光学素子の他の実施例を示したものである。図9においては、回折面11a〜19aと傾斜面11b〜19b,11c〜19cとの成す角度を一定とせずに、傾斜面11b〜19b,11c〜19cの端部を一定に揃えた点に特徴がある。他の構成は、図1および図2の場合と同様である。
このように構成すれば、素子の長手寸法に厳しい制約がある場合などに活用することができる。
なお、図9の場合も、回折光学素子10は、平面S(図1参照)での断面形状が両側部で高く中央部で低い階段状を成したものであるが、これに限らず、前記平面Sでの断面形状が両側部で低く中央部で高い階段状を成したものでもよい。
図10は、射出成形により回折光学素子を成形する金型31を模式的に表した断面図である。この金型31は、固定側金型32と、可動側金型33とからなり、これら両金型32,33を結合することによって、所定の形状の回折光学素子を成形するための空間(キャビティ)34が形成される。また、可動側金型33には樹脂材料を空間34内に注入するための樹脂注入口35が設けられている。この金型31を用いた回折光学素子の成形過程は以下の通りである。
(1)金型32,33を成形温度130〜140度程度に加熱する。
(2)樹脂注入口35から溶融した樹脂材料を30〜100Mpa高圧で空間34内に注入する。
(3)全体を冷却する。
(4)適当な温度に下がったところで、固定側金型32と可動側金型33とを分離する。
(5)型開きの状態では、回折光学素子は可動側金型33に張り付いた状態である。
(6)樹脂による成形品である回折光学素子を光軸方向(図の左側方向)に引き出し、図示なきイジェクタピンで押し出し取り出す。
図11(a)は図12に示した光走査装置40に搭載され、光路上のポリゴンミラー41前方に位置する第1光学系の構成図である。なお、図12において、ポリゴンミラー41後方の走査レンズ42による構成を第2光学系としている。
図11(a)に示すように、第1光学系は、光源である半導体レーザ(LD)43からの発散光を緩やかな収束光としてポリゴンミラー41に投射させる機能をもつ。LD43からの発散光であるレーザ光44がカップリングレンズ45の回折面45Aに入射する。カップリングレンズ45は、図11(b)に示すように、同心円パターンの回折面45Aを有する。
カップリングレンズ45の出射面45Bは共軸非球面であり、レーザ光44はアパーチャ46を通過して、所望のビーム形状に成形された後に、シリンダレンズ47のシリンダ面47Aに入射する。その後、レーザ光44は、シリンダレンズ47の出射面47Bから緩やかな収束光となって出射される。シリンダレンズ47は、図11(c)に示すように、直線状パターンの回折面47Bを有する。なお、ここで示したシリンダレンズ47は、図1等に示した回折光学素子1と同等のものである。
上記光走査装置40は、プリンタ等の画像形成装置に適用可能である。
本発明に係る回折光学素子の外観斜視図である。 (a)は本発明に係る回折光学素子の上面図、(b)および(c)は(a)のB部の拡大図である。 回折光学素子の直線輪帯部を成形するための金型の外観斜視図である。 非回転工具を用いて、図3に示した金型を加工する方法を説明する図である。 非回転工具を用いて金型を加工する方法を示しており、図4を側方より見た図である。 裏返したときの回折光学素子の外観斜視図である。 図6の側面図である。 回転工具によって型部材を加工する方法を説明する図である。 他の実施例による回折光学素子の上面図である。 シリンダレンズを成形するための金型構造の模式図である。 (a)は光走査装置のポリゴンミラー前方に位置する第1光学系の構成図、(b)は第1光学系に配置されたカップリングレンズの回折面を示す図、(c)は第1光学系に配置されたシリンダレンズの回折面を示す図である。 光走査装置の構成を示す図である。 従来技術によるシリンダレンズの外観斜視図である。 図13のシリンダレンズを成形するための金型を、加工する方法を説明する図である。
符号の説明
10 回折光学素子
11〜19 直線輪帯部
11A〜19A 回折面
11B〜19B,11C〜19C 傾斜面
21,22,23 稜線
24 交点
25 金型
25’ 型部材
27 単結晶ダイヤモンドバイト
28 シリンダ面
28A,28B 曲面状部分
30 回転工具
40 光走査装置
P 直線状のパターン

Claims (8)

  1. 光軸方向から見ると直線状に見えるパターンが形成され、光軸を含み前記パターンに直角な平面で切った断面形状が、両側部で高く中央部で低いまたは両側部で低く中央部で高い階段状を成した回折光学素子であって、
    前記パターンで挟まれた各領域を直線輪帯部としたとき、当該各直線輪帯部は山形を成し、その上面に帯状の回折面が、前記回折面の両端に帯状の傾斜面がそれぞれ形成されていることを特徴とする回折光学素子。
  2. 前記回折面と前記傾斜面との成す角度は、前記直線輪帯部の各々について一定であることを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
  3. 前記パターンが形成されたレンズ面と反対側のレンズ面には、前記パターンに平行にシリンダ中心軸を有するシリンダ面が設けられ、かつ、前記シリンダ面の両端部は曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回折光学素子。
  4. 光源と、該光源からの光束をカップリングするカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束を主走査方向に平行光とするシリンダレンズと、該シリンダレンズからの光束を主走査方向に偏向させる光偏向器と、該光偏向器により偏向された光束を集光する走査レンズとを備えた光走査装置であって、
    前記シリンダレンズとして、請求項1,2又は3に記載の回折光学素子が搭載されていることを特徴とする光走査装置。
  5. 電子写真プロセスを行って画像を形成する画像形成装置であって、
    電子写真プロセスの露光プロセスを行う手段として、請求項4に記載の光走査装置が搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1,2又は3に記載の回折光学素子の加工精度を評価する際に、
    前記回折面と前記傾斜面とで形成される稜線、前記回折面とその立ち壁である段差面とで形成される稜線、前記傾斜面とその立ち壁である段差面とで形成される稜線、及び前記3つの稜線の交点を観察し、前記各稜線の太さ及び前記交点の大きさから前記パターンの転写レベルを判定することを特徴とする回折光学素子の加工精度評価方法。
  7. 請求項1に記載の回折光学素子を射出成形で製作する場合で、その射出成形用の金型を加工する際に、非回転の直線稜線を持つ単結晶ダイヤモンドバイトを用い、かつ、前記回折面を成形するための回折面成形部と、前記傾斜面を成形するための傾斜面成形部との成す角度をθとしたとき、θ≦45度に設定して加工を行うことを特徴とする成形用金型の加工方法。
  8. 請求項1に記載の回折光学素子を射出成形で製作する場合で、その射出成形用の金型を加工する際に、直線稜線を持つ単結晶ダイヤモンドバイトを回転させたフライカット形態の工具を用い、かつ、前記回折面を成形するための回折面成形部と、前記傾斜面を成形するための傾斜面成形部に対して、当該各成形部の面上で切り込み動作を行うことを特徴とする成形用金型の加工方法。
JP2008068911A 2008-03-18 2008-03-18 回折光学素子および方法 Expired - Fee Related JP5086852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008068911A JP5086852B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 回折光学素子および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008068911A JP5086852B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 回折光学素子および方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009223093A true JP2009223093A (ja) 2009-10-01
JP5086852B2 JP5086852B2 (ja) 2012-11-28

Family

ID=41239919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008068911A Expired - Fee Related JP5086852B2 (ja) 2008-03-18 2008-03-18 回折光学素子および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5086852B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010072350A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 Ricoh Co Ltd 光学面に微細パターンを有するプラスチック光学素子

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007293182A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置、光書込み装置および画像形成装置
JP2008070792A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Ricoh Co Ltd 位相型光学素子、光源ユニット、光走査装置および画像形成装置
JP2009053238A (ja) * 2007-08-23 2009-03-12 Ricoh Co Ltd 回折光学素子、光走査装置及び画像形成装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007293182A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置、光書込み装置および画像形成装置
JP2008070792A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Ricoh Co Ltd 位相型光学素子、光源ユニット、光走査装置および画像形成装置
JP2009053238A (ja) * 2007-08-23 2009-03-12 Ricoh Co Ltd 回折光学素子、光走査装置及び画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010072350A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 Ricoh Co Ltd 光学面に微細パターンを有するプラスチック光学素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP5086852B2 (ja) 2012-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7561333B2 (en) Method for manufacturing mold
JP3963750B2 (ja) 曲面切削加工方法
JP5086852B2 (ja) 回折光学素子および方法
JP2007163798A (ja) レンズ及びそれを用いた撮像装置
WO2013150742A1 (ja) 光学素子、それを備えた撮像装置及び光学素子の製造方法
JP5333986B2 (ja) 光学面に微細パターンを有するプラスチック光学素子
US7499220B2 (en) Optical lens and method of manufacturing the same
JP5315484B1 (ja) 光学素子、それを備えた撮像装置及び光学素子の製造方法
JPWO2013150744A1 (ja) 光学素子、それを備えた撮像装置及び光学素子の製造方法
JP5189420B2 (ja) 樹脂レンズおよび樹脂レンズの成形方法
JP2008241817A (ja) 光学レンズ及びレンズ製造方法
JPH10274705A (ja) 回折光学素子
WO2014157003A1 (ja) 光学レンズ、レンズユニット、撮像モジュール、電子機器、及び光学レンズの製造方法、レンズ成形型、レンズ成形型の形状補正方法
JPH10332918A (ja) レリーフ型回折光学素子、およびレリーフ型回折光学素子製造用の型
US6552863B1 (en) Optical element, its manufacturing method and optical element manufacture metal die
US20060018028A1 (en) Optical lens and method of manufacturing the same
JPH0811223A (ja) 光学素子及びその成形方法
JP2008052049A (ja) 部材および光学素子の製造方法
JP2007163799A (ja) レンズ及びそれを用いた撮像装置
JP2016004096A (ja) 光学素子及びそれを備えた撮像装置
JP7418100B2 (ja) 光学素子及び光学素子の製造方法
KR20140102002A (ko) 어레이 렌즈 및 어레이 렌즈 금형
JP2009175406A (ja) 光学部品及びその加工方法
JP2016004098A (ja) 光学素子及びそれを備えた撮像装置
JP2006091328A (ja) 非球面プラスチックレンズおよび金型

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5086852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees