JPH10332918A - レリーフ型回折光学素子、およびレリーフ型回折光学素子製造用の型 - Google Patents

レリーフ型回折光学素子、およびレリーフ型回折光学素子製造用の型

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JPH10332918A
JPH10332918A JP14608697A JP14608697A JPH10332918A JP H10332918 A JPH10332918 A JP H10332918A JP 14608697 A JP14608697 A JP 14608697A JP 14608697 A JP14608697 A JP 14608697A JP H10332918 A JPH10332918 A JP H10332918A
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sectional shape
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cross
zones
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JP14608697A
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Hisashi Oide
寿 大出
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集光点での強度が高く、かつ容易に製造でき
るレリーフ型回折光学素子を提供する。 【解決手段】 不等間隔格子パターン2を有するレリー
フ型回折光学素子1において、1つのゾーン内でレリー
フ面の傾き角が異なる箇所を有する断面形状を示す第1
のゾーン群と、1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が
一定の断面形状を示す第2のゾーン群とを有し、前記第
1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾーンを含み、各
ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成した
形状を有し、前記第2のゾーン群は、位相シフト関数か
ら導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似した形状を有
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面に所定の構
造を有するレリーフ型回折光学素子、およびレリーフ型
回折光学素子製造用の型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学系の小型軽量化の要求に伴
い、回折型レンズなどのレリーフ型回折光学素子が注目
されている。例えば、回折型レンズは、色収差補正能力
を有すると共に、簡単に非球面作用を持たせることがで
きるなどの点から、様々な分野での応用が期待されてい
る。
【0003】ここで、回折型レンズとは、従来の屈折レ
ンズ、例えば球面レンズ、シリンドリカルレンズ、アナ
モルフィックレンズなどの作用を、回折作用を用いて実
現したもので、例えば、球面レンズに相当する回折型レ
ンズは、同心円の輪帯形状の格子パターンを有し、シリ
ンドリカルレンズに相当する回折型レンズは、直線形状
の格子パターンを有する。以後、本明細書では、その格
子パターンの溝の一つ一つをゾーンと呼び、回折型レン
ズの光軸を中心に、周辺に向かって順に1番目のゾー
ン、2番目のゾーンと数えることにする。
【0004】平行光束をレンズにより一点に集光する場
合、このレンズの位相シフト関数は、図15に示すよう
に、 φ(r)=−πr2 /(λf) ・・・(1) r:光軸からの距離 λ:波長 f:焦点距離 で表される。このφ(r)を2π位相構造に変形する
と、回折型レンズの位相シフト関数φd (r)は、下記
の(2)式で表される。 φd (r)=φ(r)+2π(i−1) ・・・(2) Ri-1 <r<Ri (i=1,2,3, ---) これは、1次回折光に対して回折効率を最適化したこと
に相当する。ここで、R i は、i番目のゾーンの外半径
である。なお、隣り合うゾーンの外半径の差をピッチと
呼ぶ。
【0005】図16に示すように、回折型レンズをレリ
ーフ構造で実現する場合、半径rにおけるレリーフ構造
の高さt(r)は、 t(r)=tg ・〔{φd (r)/2π}+1〕 ・・・(3) となる。ここで、tg はレリーフの最大溝深さで、 tg =λ/(n−1) ・・・(4) n:回折光学素子の材料の屈折率 である。
【0006】なお、上記の(2)式は、1つの回折型レ
ンズのみで平行光束を一点に集光する場合の回折型レン
ズの位相シフト関数を表すが、各種の光学系、例えばレ
ンズ系の中で回折型レンズを他の光学素子、例えば屈折
レンズ素子と組み合わせて用いる場合には、回折型レン
ズの位相シフト関数は、一般に高次の偶数次の多項式で
表される。
【0007】従来のレリーフ型回折光学素子としては、
例えば、特開平1−250902号公報に示されている
ように、全てのゾーンの斜辺部を位相シフト関数に対応
した曲線形状で形成して、本来の光学性能を充分に発揮
できるようにしたものや、光枝術コンタクトVol.26、
No. 3、p208〜212に示されるように、全てのゾ
ーンの斜辺部を直線で近似して、製作性を向上せさたも
のがある。
【0008】また、レリーフ型回折光学素子を製造する
方法の一つとして、型を用いた加工法がある。この方法
は、製造すべき回折光学素子の断面形状を反転した形状
を型に持たせ、この型をガラスやプラスチックなどの材
料に押し当てて、型の形状を反転して転写したり、ある
いは射出成形法や、フォトポリマー法などにより、型の
形状を反転して転写するようにしている。このようなレ
リーフ型回折光学素子製造用の型として、例えば、上記
の光技術コンタクトVol.26、No. 3、p211には、
全てのゾーンの斜辺部を直線で近似して、型の製作性を
向上させるようにしたものが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】レリーフ型回折光学素
子の断面形状は、例えば図16に示すように、位相シフ
ト関数から導かれる形状にすることが望ましい。この場
合、各ゾーンの斜辺部は、一般には曲線になる。しか
し、断面形状を、図16に示すような曲線形状に形成す
ることは、加工技術、加工時間、製作したものを検査す
る手間などの点で、様々な問題がある。例えば、切削加
工によって断面形状を理想的な曲線形状に形成しようと
すると、バイトの切れ刃先端で加工を行うことになり、
切れ刃稜で加工を行う場合に比べて、良好な表面荒さに
加工することが困難となる。
【0010】このため、従来は、図17に示すように、
位相シフト関数から導かれる破線で示す断面形状4の斜
辺部を、実線で示すような直線で近似した断面形状3に
加工することがしばしば行われる。この構造は、製造上
・検査上大きな利点がある。例えば、切削により断面形
状を直線形状に形成する場合には、バイトの切れ刃稜に
よる加工ができるので、加工データを簡素化できると共
に、被加工物の表面荒さも良好にできるという利点があ
る。しかし、他方では、斜辺部を直線で近似すると、以
下に説明するように、光学性能が劣化してしまうという
問題がある。特にゾーン本数が少ない場合には、その影
響が著しくなる。
【0011】ここで、波長λの平行光束を焦点距離fで
集光する回折型レンズにおいて、全てのゾーンの断面形
状を直線で近似した場合の集光点での強度について考え
る。図18は、ゾーン数に対する同一の波長、焦点距離
のときの下記(5)式で計算した強度比を示す。 強度比=(全てのゾーンの斜辺部を直線で近似した回折型レンズの集光点での 強度)/(全てのゾーンが理想的な断面形状を有する回折型レンズ の集光点での強度) ・・・(5)
【0012】図18から明らかなように、ゾーン数が多
い場合は、断面形状の斜辺部を直線で近似したことによ
る影響はほとんどないが、ゾーン数が少なくなるにつれ
て、集光点での強度の低下が著しくなる。この現象は、
例えば、マイクロレンズや、結像光学系に用いて絞りを
絞った状態のように、光束が通過するゾーン数が少ない
場合に無視できない問題となる。
【0013】このため、このようなレリーフ型回折光学
素子を用いて光学系を構成すると、光束がレリーフ型回
折光学素子の少数のゾーンしか通過しない場合には、集
光点で強度が大幅に低下し、同時に集光スポットが広が
ることにより、MTFが低下して解像度が低下するとい
う問題が生じることになる。
【0014】また、レリーフ型回折光学素子を製造する
のに用いる型を製作する場合、その型の断面形状は、製
造すべきレリーフ型回折光学素子の位相シフト関数に対
応した曲線形状を有することが望ましい。しかし、実際
には曲線形状を持たせることが難しいために、斜辺部を
直線で近似する場合がある。この場合には、その型を用
いて製造されるレリーフ型回折光学素子も、斜辺部が直
線で近似した形状となって、光学性能が劣化してしま
う。
【0015】さらに、旋盤などで型を加工する場合に
は、バイトの切れ刃先端を用いた切削により、断面形状
を曲線にすることは可能であるが、一般に、型材料の加
工性は悪いため、バイトの切り刃先端を用いた切削で
は、被加工物の表面を鏡面に仕上げることは困難であ
る。このため、その型を用いてレリーフ型回折光学素子
を形成すると、平均的には断面形状が位相シフト関数か
ら導かれる理想的な形状に形成されても、表面の面荒れ
が大きいために、入射した光束の一部に散乱などが生じ
て光の利用効率が低下するという問題が生じると共に、
その散乱された光束が迷光となって光学性能が低下する
という問題が生じることになる。
【0016】この発明は、上述した点に鑑みてなされた
もので、その第1の目的は、集光点での強度が高く、か
つ容易に製造できるよう適切に構成したレリーフ型回折
光学素子を提供しようとするものである。
【0017】さらに、この発明の第2の目的は、製造さ
れるレリーフ型回折光学素子の表面の面荒れを小さくで
き、したがって入射光の散乱を有効に防止して光の利用
効率を向上できると共に、散乱による光学性能の低下を
有効に防止でき、しかも集光点での強度を高くできるレ
リーフ型回折光学素子を製造するための型を容易に製作
できるよう適切に構成したレリーフ型回折光学素子製造
用の型を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、請求項1に係る発明は、不等間隔格子パターン
を有するレリーフ型回折光学素子において、1つのゾー
ン内でレリーフ面の傾き角が異なる箇所を有する断面形
状を示す第1のゾーン群と、1つのゾーン内でレリーフ
面の傾き角が一定の断面形状を示す第2のゾーン群とを
有し、前記第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾー
ンを含み、各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直
線で構成した形状を有し、前記第2のゾーン群は、位相
シフト関数から導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似
した形状を有することを特徴とするものである。
【0019】また、請求項2に係る発明は、請求項1記
載のレリーフ型回折光学素子において、前記レリーフ面
を、屈折作用をなす面に回折作用をなす面を重畳して構
成したことを特徴とするものである。
【0020】さらに、上記第2の目的を達成するため、
請求項3に係る発明は、不等間隔格子パターンを有する
レリーフ型回折光学素子製造用の型において、1つのゾ
ーン内でレリーフ面の傾き角が異なる箇所を有する断面
形状を示す第1のゾーン群と、1つのゾーン内でレリー
フ面の傾き角が一定の断面形状を示す第2のゾーン群と
を有し、前記第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾ
ーンを含み、各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の
直線で構成した形状を有し、前記第2のゾーン群は、位
相シフト関数から導かれる断面形状の斜辺部を直線で近
似した形状を有することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】ここで、レリーフ型回折光学素子
のゾーンの断面形状が、集光点での強度に与える影響に
ついて、波長λの平行光束を焦点距離fで集光する回折
型レンズを例にとって説明する。本発明者による検討に
よると、以下に示すようにゾーン数が少ない場合には、
全てのゾーンの斜辺部を直線で近似した場合に比べて、
中心の1番目のゾーンのみについて、その断面形状の斜
辺部を2本の直線で構成することで、集光点での強度が
飛躍的に向上することが分かった。
【0022】図19は、1次回折光に対して最適化し、
1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を2直線で構成した
回折型レンズについて、1番目のゾーンを構成する2直
線の交点を位相シフト関数上の座標で、{0.55・R
1 ,0.25・(−2π)}とし、それ以外の全てのゾ
ーンの斜辺部を直線で近似した構造として場合の、回折
型レンズを構成するゾーンの本数に対する集光点での強
度を示すものである。ここで、R1 は、図16に示すよ
うに、中心の1番目のゾーンの外半径である。また、各
ゾーン数における強度は、全てのゾーンを位相シフト関
数から導かれる形状に形成した場合の集光点での強度と
の比として示してある。
【0023】図19から明らかなように、1番目以外の
ゾーンを直線で近似したことによる集光点での強度の低
下は僅かである。例えば、ゾーン数が10本の場合につ
いて、図18と図19とで比較を行ってみると、全ての
ゾーンの斜辺部を直線で近似した構造では、集光点での
強度比は約0.9に低下するのに対して、1番目のゾー
ンの断面形状の斜辺部を2本の直線で構成すると、集光
点での強度比は、約0.994になる。
【0024】全てのゾーンの斜辺部を直線で近似したと
きに生じる光学性能の低下の大きな原因としては、図1
7に示したように、ゾーンの斜辺部を直線で近似したと
きの理想的形状からの乖離、すなわち位相シフトの誤差
量が挙げられる。しかも、各ゾーンにおける乖離の量
は、ピッチの間隔が大きくなるに従って大きくなる。こ
こで、回折型レンズにおいて、ピッチが最も大きくなる
のは、一般に、中心ゾーンであるから、上記のように、
中心ゾーンの斜辺部の形状を2本の直線で近似して構成
すれば、集光点での強度の低下を実質的に防止すること
ができるので、全体の光学性能を大きく向上させること
ができる。
【0025】したがって、請求項1に係る不等間隔格子
パターンを有するレリーフ型回折光学素子におけるよう
に、例えば、ピッチが最も大きいゾーンの断面形状の斜
辺部を2本以上の直線で構成すれば、図18および図1
9を用いて説明したように、全てのゾーンの斜辺部を直
線で近似した場合よりも集光点での強度が向上し、特に
ゾーン数が少ない場合に、その効果が大きくなる。当然
のことながら、ピッチが最も大きいゾーン以外のいくつ
かのゾーンについても、それらの断面形状の斜辺部を、
2本以上の直線を用いて位相シフト関数に近似した断面
形状にすれば、集光点での強度を更に向上することがで
きる。
【0026】また、以上の説明では、回折次数を1次と
した場合の回折型レンズを例として用いたが、2次以上
の高次の回折光に対して最適化した場合にも、この発明
を有効に適用することができる。すなわち、この場合に
は、全輪帯を直線で近似すると、1次回折光に対して最
適化した場合に比べ、理想形状に対する斜辺部の乖離が
さらに大きくなるので、乖離の大きいゾーンの断面形状
の斜辺部を2本以上の直線で近似して構成する。このよ
うにすれば、理想シフト関数の近似を高めることがで
き、上述したと同様に、集光点での強度の低下を有効に
防止でき、全体の光学性能を大きく向上させることがで
きるので、その効果は大きい。
【0027】このように構成することにより、製造上の
負担を大きく増やすことなく、光束が通過するゾーン数
にかかわらず集光点での強度が高いレリーフ型回折光学
素子を実現することができる。
【0028】この発明の一実施形態においては、請求項
1記載のレリーフ型回折光学素子において、該レリーフ
型回折光学素子が回折型レンズで、第1のゾーン群に含
まれるゾーンの数を、全ゾーン数の半分以下とする。
【0029】図18および図19を用いて説明したよう
に、不等間隔格子パターンを有する回折型レンズにおい
て、ピッチが最も大きいゾーンの断面形状の斜辺部を2
本以上の直線で構成することで、全てのゾーンの斜辺部
を直線で近似した場合よりも、集光点での強度を向上で
き、特にゾーン数が少ない場合において、その効果が大
きくなる。この場合において、ピッチが最も大きいゾー
ン以外のいくつかのゾーンについて、それらの断面形状
の斜辺部を2本以上の直線で構成した断面形状にすれ
ば、集光点での強度を更に向上することができるが、そ
れにつれて製造上の負担も増加することになる。このよ
うな観点から、第1のゾーン群に含まれるゾーン数は、
全ゾーン数の半分以下とするのが望ましい。
【0030】このように構成することにより、製造上の
負担を大きく増やすことなく、光束が通過するゾーン数
にかかわらず集光点での強度が高い回折型レンズを実現
することができる。
【0031】さらに、この発明の一実施形態において
は、上記のように、第1のゾーン群に含まれるゾーン数
を全ゾーン数の半分以下とする場合において、中心のゾ
ーンのみが第1のゾーン群に含まれるよう構成する。
【0032】このように構成すれば、回折型レンズで
は、ピッチが最も大きいのは一般に中心のゾーン、すな
わち1番目のゾーンであるから、図18および図19を
用いて説明したように、そのピッチが最も大きいゾーン
のみの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成すれ
ば、高い効果が得られることになる。
【0033】さらに、この発明の一実施形態において
は、上記のように、中心のゾーンのみが第1のゾーン群
に含まれるよう構成する場合において、中心のゾーンの
断面形状の斜辺部を2本の直線で構成すると共に、その
2直線の交点の位置を、位相シフト関数上の座標(R,
z)に関して、(0≦R≦R1 ,−2π≦z≦0)の範
囲にあり、かつ下記の条件を満たすようにする。 z>−2πR/R1 ,z<−3π{R−(3R1 /5)}/R1 ・・・(6)
【0034】このように構成すれば、回折型レンズで
は、ピッチが最も大きいのは一般に中心のゾーン、すな
わち1番目のゾーンであるので、実質上高い効果を得る
ことができる。
【0035】さらに、この発明の一実施形態において
は、請求項2記載のように、請求項1記載のレリーフ型
回折光学素子において、レリーフ面を、屈折作用をなす
面に回折作用をなす面を重畳して構成する。
【0036】例えば、球面上に不等間隔格子パターンを
形成する場合、回折型レンズ全体として必要なパワー
を、屈折面である球面と、回折面としての不等間隔格子
パターンとで分担するように設計すると、不等間隔格子
パターンが分担するパワーが小さくなり、各ゾーンのピ
ッチが大きくなる傾向にある。このように、ピッチが大
きくなると、ゾーンの斜辺部を直線で近似したことによ
る理想形状からのずれが大きくなるので、上記のよう
に、第1のゾーン群の断面形状の斜辺部を2本以上の直
線で構成することは、効果が大きい。
【0037】さらに、この発明の一実施形態において
は、請求項1記載のレリーフ型回折光学素子において、
第1のゾーン群の断面形状を構成する直線のうち、1本
の直線はレリーフパターンを形成する基板の面と平行と
なるようにする。
【0038】図20は、1次回折光に対して最適化し、
1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を、1本の直線がレ
リーフパターンを形成する基板の面と平行である2直線
で構成した回折型レンズについて、1番目のゾーンを構
成する2直線の交点の位相シフト関数上での座標を
(0.34・R1 ,0)とし、それ以外のすべてのゾー
ンの斜辺部を直線で近似した構造とした場合の、回折型
レンズを構成するゾーンの本数に対する集光点での強度
を示すものである。ただし、各ゾーン数における強度
は、全てのゾーンを位相シフト関数から導かれる形状に
形成した場合の集光点での強度との比として示してあ
る。
【0039】図20から判るように、1番目以外のゾー
ンを直線で近似したことによる集光点での強度の低下は
僅かである。例えば、ゾーン数が10本の場合につい
て、図18および図19と比較してみると、全てのゾー
ンの斜辺部を直線で近似した構造(図18)では、集光
点での強度比は約0.9に低下するのに対して、図20
では、図19の結果よりは若干劣るものの、集光点での
強度比は約0.988となる。
【0040】このように、中心のゾーンの断面形状の斜
辺部を2本の直線で構成し、そのうち1本の直線をレリ
ーフパターンが形成される基板の面と平行になるように
しても、理想形状からの乖離を少なくすることができる
ので、集光点での強度の低下を効果的に防止することが
でき、全体の光学性能を向上させることができる。
【0041】さらに、上記のように1本の直線をレリー
フパターンが形成される基板の面と平行となるようにす
れば、製造上および検査上大きな利点がある。例えば、
レリーフ構造をバイトによる切削を含む工程により実現
する場合、1回の切削のみで、断面形状の斜辺部を2本
の直線で構成した形状に加工することができるので、切
削の工程を少なくすることができる。したがって、断面
形状の斜辺部を2本以上の直線で構成した他の回折型レ
ンズに比べ、製作が容易となる。
【0042】さらに、この発明の一実施形態において
は、上記のように、1本の直線をレリーフパターンが形
成される基板の面と平行とする場合において、中心のゾ
ーンのみが第1のゾーンに含まれ、該中心のゾーンの断
面形状の斜辺部を2本の直線で構成し、その2直線の交
点の位置が、位相シフト関数上の座標(R,z)に関し
て、 0<R<0.59・R1 ,z=0 の条件を満たすようにする。
【0043】このように構成すれば、集光点での強度の
低下防止について、実質上の効果を得ることができる。
【0044】さらに、この発明の一実施形態において
は、第1のゾーン群および第2のゾーン群が回転対称と
なる共通の回転軸を有するよう構成する。
【0045】さらに、この発明の一実施形態において
は、第1のゾーン群が、上記の回転軸に対して垂直な面
を含むように構成する。
【0046】さらに、請求項3に係るレリーフ型回折光
学素子製造用の型におけるように、ピッチの最も大きい
ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成し、
その他のゾーンは断面形状の斜辺部を直線で近似した形
状に形成すれば、この型をバイトによる切削を含む工程
によって製作する場合、各ゾーンの断面形状が全て直線
で構成されているので、製作が容易になる。なお、例え
ば、凸作用を有する回折型レンズを製造するための型を
バイトによる切削を含む工程によって製作する場合に
は、中心のゾーンについては、光軸に近い側の直線はバ
イトの切れ刃先端で切削することになるが、各ゾーンの
形状を切れ刃先端で理想形状に切削する場合に比べれ
ば、全体として良好な表面荒さに加工することが可能と
なる。
【0047】また、凹作用を有する回折型レンズを製造
するための型をバイトによる切削を含む工程によって製
作する場合には、中心のゾーンを含む全てのゾーンの断
面形状の切削加工は、バイトの切れ刃稜で行うことがで
きるので、良好な表面荒さに加工することが可能とな
る。したがって、いずれの場合でも、容易に製作できる
と共に、該型を用いて製造されるレリーフ型回折光学素
子として、その表面の面荒れを小さくでき、したがって
入射光の散乱を有効に防止して光の利用効率を向上でき
ると共に、散乱による光学性能の低下を有効に防止でき
る。
【0048】しかも、この型を用いて製造される回折光
学素子は、ピッチが最も大きいゾーンの断面形状の斜辺
部が2本以上の直線で構成され、その他のゾーンは断面
形状の斜辺部が直線で近似した形状となるので、図18
および図19を用いて説明したように、光束が通過する
ゾーン数にかかわらず集光点での強度が高い回折光学素
子を得ることができる。なお、ピッチが最も大きいゾー
ン以外のいくつかのゾーンについても、それらの断面形
状の斜辺部を2本以上の直線で構成すれば、該型を用い
て製造されるレリーフ型回折光学素子の集光点での強度
を更に向上することができる。
【0049】この発明の一実施形態においては、請求項
3記載のレリーフ型回折光学素子製造用の型において、
該型が回折型レンズ製造用の型で、第1のゾーン群に含
まれるゾーンの数を、全ゾーン数の半分以下とする。
【0050】かかる型を用いて回折型レンズを製造すれ
ば、得られる回折型レンズは、ピッチが最も大きいゾー
ンの斜辺部が2本以上の直線で形成された断面形状とな
り、その他のゾーンの斜辺部は直線で近似された断面形
状となる。また、ピッチが最も大きいゾーン以外のいく
つかのゾーンについても、それらの斜辺部の断面形状を
2本以上の直線で構成すれば集光点での強度を更に向上
させることができるが、それにつれて型の製作上の負担
も増加することになる。したがって、型の製作上の観点
からは、第1のゾーン群に含まれるゾーン数を、最大で
も全ゾーン数の半分以下とするのが望ましく、このよう
な型を用いて回折型レンズを製造すれば、図18および
図19を用いて説明したように、光束が通過するゾーン
数にかかわらず、集光点での強度が高い回折型レンズを
得ることができる。
【0051】さらに、この発明に係るレリーフ型回折光
学素子製造用の型の一実施形態においては、上記のよう
に、第1のゾーン群に含まれるゾーン数を全ゾーン数の
半分以下とする場合において、中心のゾーンのみが第1
のゾーン群に含まれるよう構成する。
【0052】このように構成すれば、より簡単に型を製
作することができると共に、かかる型を用いて回折型レ
ンズを製造すれば、得られる回折型レンズは、中心のゾ
ーンのみが、その断面形状の斜辺部を2本以上の直線で
構成した形状となり、他のゾーンは斜辺部を直線で近似
した形状になる。ここで、回折型レンズは、一般に中心
のゾーンのピッチが最も大きいので、図18および図1
9で説明したように、集光点での強度が高い回折型レン
ズを得ることができる。
【0053】さらに、この発明に係る型の一実施形態に
おいては、レリーフ面を、回折作用と屈折作用との両方
を同時に行うように、回折作用をなす面に屈折作用をな
す面を重畳して構成する。
【0054】例えば、型を用いて球面上に不等間隔格子
パターンを有する回折型レンズを製造する場合、回折型
レンズ全体として必要なパワーを、屈折面である球面
と、回折面としての不等間隔格子パターンとで分担する
ように設計すると、不等間隔格子パターンが分担するパ
ワーが小さくなり、各ゾーンのピッチが大きくなる傾向
にある。このように、ピッチが大きくなると、ゾーンの
斜辺部を直線で近似したことによる理想形状からのずれ
が大きくなるので、上記のように、第1のゾーン群の断
面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成することは、効
果が大きい。
【0055】さらに、この発明の一実施形態において
は、請求項3記載のレリーフ型回折光学素子製造用の型
において、第1のゾーン群の断面形状を構成する直線の
うち、1本の直線はレリーフパターンを形成する基板の
面と平行となるようにする。
【0056】かかる型を用いて、例えば回折型レンズを
製造すれば、得られる回折型レンズは、断面形状の斜辺
部を2本以上の直線で構成したゾーンについては、その
斜辺部を構成する1本の直線の傾きがレリーフパターン
が形成される基板の面と平行になるように形成され、他
のゾーンについは、斜辺部を直線で近似した形状にな
る。したがって、図18および図20を用いて説明した
ように、集光点での強度を向上させることができる。
【0057】さらに、上記のように1本の直線をレリー
フパターンが形成される基板の面と平行になるように形
成すれば、製造上・検査上大きな利点がある。例えば、
レリーフ構造をバイトによる切削を含む工程により実現
する場合、切削するバイトの角度の調整が容易となり、
断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成した他の回折
型レンズの型に比べ、型の製作が容易となる。特に、凹
パワーを有し、中心のゾーンの断面形状の斜辺部が2本
以上の直線で構成され、そのうちの1本の直線がレリー
フパターンを形成する基板の面と平行になる回折光学素
子を製作するための型を、バイトによる切削を含む工程
により製作する場合には、1回の切削のみで断面形状の
斜辺部を2本の直線で構成した形状に加工できるので、
切削の工程を少なくすることができ、型の製作がさらに
容易になる。
【0058】さらに、この発明に係る型の一実施形態に
おいては、第1のゾーン群および第2のゾーン群が回転
対称となる共通の回転軸を有するよう構成する。
【0059】さらに、この発明に係る型の一実施形態に
おいては、第1のゾーン群が、上記の回転軸に対して垂
直な面を含むように構成する。
【0060】さらに、この発明の一実施形態において
は、上述したこの発明に係るレリーフ型回折光学素子を
用いて光学系を構成する。
【0061】このように、この発明に係るレリーフ型回
折光学素子を用いて光学系を構成すれば、図19および
図20を用いて説明したように、レリーフ型回折光学素
子自体の集光点での強度を、光束が通過するゾーン数が
少ない場合でも高くできるので、フレアの発生を有効に
防止した、解像度の良好な光学系を実現することができ
る。
【0062】以下、図面を参照してこの発明の実施の形
態について説明する。図1は、この発明の第1実施形態
を説明するための図である。このレリーフ型回折光学素
子1は、波長λの平行光束を焦点距離fで集光する回折
型レンズで、両面を平行に研磨した平行平板形状の例え
ば光学ガラスの片面に、光軸に対して回転対称な同心円
状の構造を有する不等間隔格子パターン2よりなるレリ
ーフパターンを形成したレリーフ面を有する。なお、図
1も含め、レリーフ型回折光学素子の図は概念図であっ
て、実際の形状を正確に示している訳ではない。
【0063】図2は、図1に示したレリーフ型回折光学
素子1の光軸付近の拡大図である。不等間隔格子パター
ン2は、1次回折光に対して回折効率が最適化されてお
り、そのときの各ゾーンの最大溝深さtg は、tg =λ
/(n−1)である。但し、nはレリーフ型回折光学素
子1の基板材料の波長λに対する屈折率である。図2に
おいて、実線はこの実施形態における断面形状3であ
り、破線は位相シフト関数から導かれる断面形状4であ
る。中心の1番目のゾーン7の断面形状4の斜辺部は、
2本の直線で構成された形状となっている。また、その
他のゾーンについては、位相シフト関数から導かれる斜
辺部を1本の直線で近似した形状となっている。
【0064】回折型レンズは、一般に、中心のゾーンの
ピッチが最も大きくなる。したがって、この実施形態に
おけるように、ピッチが最も大きいゾーンのみについて
その断面形状の斜辺部を2本の直線で構成すれば、図1
8および図19を用いて説明したように、全てのゾーン
の断面形状の斜辺部を直線で構成した場合よりも集光点
での強度を向上することができる。特に、このような構
造をとることにより、ゾーン数が少ない場合、あるいは
回折光学素子全体としてのゾーン数が多いが、光束が実
際に通過するゾーン数が少ない場合などに生じる集光点
での強度の大幅な低下を有効に防止することができる。
【0065】また、図1に示すレリーフ型回折光学素子
1をバイトによる切削を含む工程によって製造する場合
には、各ゾーンの断面形状が全て直線で構成されている
ので、加工が容易になるという利点がある。すなわち、
この場合には、全てのゾーンの切削加工を、バイトの切
れ刃稜で行うことができるので、バイトの切れ刃先端で
加工する場合に比べ、加工データが簡単になると共に、
良好な表面荒さに加工することが可能となる。
【0066】以下、この実施形態における変形例につい
て説明する。例えば、図1には、凸作用を有する回折型
レンズの構成を示したが、同様に、凹作用を有する回折
型レンズを構成することもできる。また、この凹作用を
有する回折型レンズをバイトによる切削を含む工程によ
って製造する場合、中心のゾーンについては、光軸に近
い側の直線は切れ刃先端によって切削して形成する必要
があるが、各ゾーンの形状を切れ刃先端によって理想形
状に切削する場合に比べれば、全体として良好な表面荒
さに加工することが可能となる。
【0067】さらに、図18および図19を用いて説明
した際、1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を構成する
2本の直線の交点は、位相シフト関数上の座標で、
{0.55・R1 ,0.25・(−2π)}としたが、
交点の座標はこれに限定するものではない。この点につ
いて、さらに詳細に説明する。
【0068】図3は、輪帯数20の回折型レンズについ
て、1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を構成する2直
線の交点の座標を位相シフト関数上の座標で(0≦R≦
1,−2π≦z≦0)の範囲で変化させたときの、集
光点での強度比を示す。各升目の中心が2直線の交点の
座標を表し、その交点を有するときの集光点での強度比
を各升目の模様で示している。各模様の表示は、白色に
近づくほど強度比が高くなることを示し、白で示した升
目は、0.98以上の強度比を有している領域である。
図3から明らかなように、1番目のゾーンの斜辺部を構
成する2直線の交点の座標は、位相シフト関数上の(0
≦R≦R1 ,−2π≦z≦0)の座標範囲で、 z>−2πR/R1 ,z<−3π{R−(3R1
5)}/R1 の条件を同時に満たすならば、高い効果を得ることがで
きる。
【0069】ただし、全ゾーンの断面形状の斜辺部を直
線で構成した場合、集光点での強度比は、約0.94と
なるが、黒で示した升目は0.94未満の強度比を有し
ている領域であるため、このような領域に2直線の交点
があるように構成しても効果はない。
【0070】また、1番目のゾーンの断面形状の斜辺部
を2直線で構成する際、ゾーンの両端の位置は、位相シ
フト関数上の座標で(0,0)および(0,−2π)で
固定としたが、これに限定するものではなく、例えば図
4に示すように、中心でのz軸の座標z0 をz0 ≠0と
することにより、理想形状からの乖離を小さくするよう
に構成して、上記と同様の効果を得ることもできる。
【0071】さらに、図1に示す実施形態では、レリー
フ型回折光学素子1の基板形状を平行平板として説明し
たが、例えば図5に示すように、平凸形状の基板上の凸
面側に不等間隔格子パターンを形成しても、同様の効果
を得ることができる。すなわち、球面上に不等間隔格子
パターンを有する回折型レンズの場合、回折型レンズ全
体として必要なパワーを、屈折面である球面と回折面と
しての不等間隔格子パターンとで分担するように設計す
ると、不等間隔格子パターンが分担するパワーが小さく
なって、各ゾーンのピッチが大きくなる傾向にある。し
たがって、このような場合に、中心の1番目のゾーンの
断面形状の斜辺部を2本の直線で構成した形状に形成す
ることは効果が大きい。また、図1に示す構成の不等間
隔格子パターン2は、基板の片面だけでなく、両面に形
成する場合にも有効に適用することができる。
【0072】さらに、断面形状の斜辺部を2直線で近似
するゾーンは、中心の1番目のゾーン7のみをでなく、
例えば中心から1番目と2番目ゾーンとすることもでき
る。このように構成すれば、中心の1番目のゾーン7の
斜辺部のみを2直線で構成する場合に比べて、光学性能
をより向上することができる。
【0073】また、図1では、不等間隔格子パターン2
を、1次回折光に対して最適化したが、その他の次数光
に対して最適化することもできる。この場合、最適化す
る回折次数をmとすると、 tg =mλ/(n−1) となる。このように高次の回折次数について最適化した
回折型レンズにおいては、全ゾーンの断面形状の斜辺部
を直線で近似すると、回折次数1次で最適化した場合に
比べて、理想的な位相シフト関数からの乖離がさらに大
きくなる。したがって、この場合において、上述したと
同様に、ゾーンの断面形状の斜辺部を2本の直線を用い
て構成すれば、理想的な位相シフト関数からの乖離を小
さくすることができるので、大きな効果を得ることがで
きる。特に、理想形状からの乖離の大きいゾーンに関し
ては、そのゾーンの断面形状の斜辺部を3本以上の直線
で構成すれば、理想形状に対する斜辺部の乖離をより小
さくできるので、高い強度比を得ることができる。
【0074】さらに、上記の不等間隔格子パターン2の
構成は、透過型に限らず、反射型の場合にも同様に適用
することができる。但し、反射型の場合には、最大溝深
さt g は、 tg =mλ/2(m:反射回折次数) となる。
【0075】また、不等間隔格子パターン2は、同心円
状に限らず、シリンドリカルレンズに相当する直線パタ
ーンや、楕円パターンに形成することもできる。さら
に、レリーフ型回折光学素子1を構成する基板材料は、
光学ガラスに限らず、プラスチック、光学結晶、金属な
どを用いることもできる。
【0076】図6は、この発明の第2実施形態を説明す
るための図である。このレリーフ型回折光学素子1は、
波長λの平行光束を焦点距離fで集光する回折型レンズ
で、両面を平行に研磨した平行平板形状の例えば光学ガ
ラスの片面に、光軸に対して回転対称な同心円状の構造
を有する不等間隔格子パターン2よりなるレリーフパタ
ーンを形成したレリーフ面を有する。
【0077】図7は、図6に示したレリーフ型回折光学
素子1の光軸付近の拡大図である。不等間隔格子パター
ン2は、1次回折光に対して回折効率が最適化されてお
り、そのときの各ゾーンの最大溝深さtg は、tg =λ
/(n−1)である。但し、nはレリーフ型回折光学素
子1の基板材料の波長λに対する屈折率である。図7に
おいて、実線はこの実施形態における断面形状3であ
り、破線は位相シフト関数から導かれる断面形状4であ
る。中心の1番目のゾーン7の断面形状4の斜辺部は、
2本の直線で構成され、そのうちの1本の直線は、レリ
ーフパターンが形成される基板の面と平行となってい
る。また、その他のゾーンについては、位相シフト関数
から導かれる斜辺部を1本の直線で近似した形状となっ
ている。
【0078】上述したように、回折型レンズは、一般
に、中心のゾーンのピッチが最も大きくなる。したがっ
て、この実施形態におけるように、ピッチが最も大きい
ゾーンのみについてその断面形状の斜辺部を2本の直線
で構成し、そのうちの1本の直線を、レリーフパターン
が形成される基板の面と平行となるようにすれば、図1
8および図20を用いて説明したように、全てのゾーン
の断面形状の斜辺部を直線で構成した場合よりも集光点
での強度を向上することができる。特に、このような構
造をとることにより、ゾーン数が少ない場合、あるいは
回折光学素子全体としてのゾーン数が多いが、光束が実
際に通過するゾーン数が少ない場合などに生じる集光点
での強度の大幅な低下を有効に防止することができる。
【0079】また、図6に示すレリーフ型回折光学素子
1をバイトによる切削を含む工程によって製造する場合
には、各ゾーンの断面形状が全て直線で構成されている
ので、加工が容易になるという利点がある。さらに、凸
作用を有するレリーフパターンの場合、1番目のゾーン
を形成するための切削は、2本の直線で構成される断面
形状を1回の切削のみで形成できるので、切削の工程を
少なくでき、容易に製造することができると共に、この
場合には、全てのゾーンの切削加工を、バイトの切れ刃
稜で行うことができるので、良好な表面荒さに加工する
ことが可能となる。
【0080】以下、この実施形態における変形例につい
て説明する。例えば、図6には、凸作用を有する回折型
レンズの構成を示したが、同様に、凹作用を有する回折
型レンズを構成することもできる。なお、この凹作用を
有する回折型レンズをバイトによる切削を含む工程によ
って製造する場合、中心のゾーンについては、断面形状
を構成する直線毎に切削する必要があることから、レリ
ーフパターンが形成される基板の面と平行となる直線
は、切れ刃先端によって切削する必要がある。しかし、
斜辺部を基板面に対して角度を有する2本の直線で構成
して凹作用を有する回折光学素子を製造する場合に比べ
れば、バイトの角度の調整が容易になる。
【0081】さらに、図18および図20を用いて説明
した際、1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を構成する
2本の直線の交点は、位相シフト関数上の座標で、
(0.34・R1 ,0)としたが、交点の座標はこれに
限定するものではない。この点について、さらに詳細に
説明する。
【0082】図8は、輪帯数20の回折型レンズについ
て、1番目のゾーンの断面形状の斜辺部を構成する2直
線の交点の座標を、位相シフト関数上の座標で(0≦R
≦R 1 ,z=0)の範囲で変化させたときの集光点での
強度比を示す。横軸にR軸、縦軸にその交点を有すると
きの集光点での強度比を示している。図8から明らかな
ように、1番目のゾーンの斜辺部を構成する2直線の交
点の座標が、位相シフト関数上の(0<R<0.59・
1 )の座標範囲に存在すれば、全てのゾーンの斜辺部
を直線で構成した場合に比べ強度比が高くなる。また、
交点の座標が、望ましくは(0.19・R1 ≦R≦0.
47・R1 )の範囲に存在すれば、強度比が0.98以
上となり、高い効果を得ることができる。
【0083】さらに、図6に示す実施形態では、レリー
フ型回折光学素子1の基板形状を平行平板として説明し
たが、屈折作用をなす平凸形状の基板上の凸面側に不等
間隔格子パターンを重畳して形成する場合について適用
しても良好な効果を得ることができる。このように、球
面上に不等間隔格子パターンを形成して回折型レンズと
して用いる場合、回折型レンズ全体として必要なパワー
を、屈折面である球面と回折面としての不等間隔格子パ
ターンとで分担するように設計すると、不等間隔格子パ
ターンが分担するパワーが小さくなって、各ゾーンのピ
ッチが大きくなる傾向にある。したがって、このような
場合に、中心の1番目のゾーン7の断面形状4の斜辺部
を2本の直線で構成し、そのうちの1本の直線を、レリ
ーフパターンが形成される基板の面と平行となるよう
に、すなわち光軸に対して直交するようにすれば、その
効果は大きい。この場合、中心のゾーン7は、光軸に対
して垂直な面を含むことになる。
【0084】図9は、この発明の第3実施形態を説明す
るための図である。この実施形態は、凸作用を有する回
折型レンズを製造するのに用いるレリーフ型回折光学素
子製造用の型10を示すものである。この型10は、例
えばWC(タングステンカーバイト)からなる平行平板
状の型材料の一方の面に、製造すべき回折型レンズの不
等間隔格子パターンを反転した形状の不等間隔格子パタ
ーン11を形成し、他方の面は平滑に研磨して構成す
る。不等間隔格子パターン11は光軸に対して回転対称
な同心円状で、その断面は、製造すべき回折型レンズが
1次回折光に対して最適化された溝深さ、形状となるよ
うに形成する。
【0085】また、不等間隔格子パターン11の中心の
ゾーンは、製造すべき回折型レンズの断面形状の斜辺部
を2本の直線で近似した形状を反転した形状とし、他の
ゾーンは斜辺部を直線で近似した形状を反転した形状と
する。なお、型10により加工される材料が、その加工
工程で収縮する場合には、その収縮分を補正するように
断面形状を形成する。
【0086】このレリーフ型回折光学素子用の型10を
用いて回折型レンズを製造すれば、中心のゾーンが斜辺
部を2本の直線で構成した断面形状を持ち、他のゾーン
は斜辺部を直線で近似した形状を有する、第1実施形態
で説明したと同様の良好な光学特性を有する回折型レン
ズを得ることができる。
【0087】また、この実施形態の型10は、その各ゾ
ーンの断面形状が全て直線となっているので、バイトに
よる切削を含む工程によって容易に製作できる利点があ
る。ただし、上記のような凸作用を有する回折型レンズ
を成形するための型を、バイトによる切削を含む工程に
よって製作する場合、中心のゾーンについては、光軸に
近い側の直線はバイトの切れ刃先端で切削することにな
るが、この場合でも、各ゾーンの形状を切れ刃先端で理
想形状に切削する場合に比べれば、全体として良好な表
面荒さに加工することが可能となる。
【0088】以下、この実施形態における変形例につい
て説明する。例えば、図9では、凸作用を有する回折型
レンズを製造するための型構造としたが、同様に、凹作
用を有する回折型レンズを製造するための型を構成する
こともできる。なお、この凹作用を有する回折型レンズ
の製造用の型をバイトによる切削を含む工程によって製
作する場合には、中心のゾーンを含む全てのゾーンの断
面形状の切削加工を、バイトの切れ刃稜で行うことがで
きるので、良好な表面荒さに加工することが可能とな
る。
【0089】また、レリーフ型回折光学素子製造用の型
10の材料は、上述したWCに限らず、他の型材料、例
えばSiC(シリコンカーバイド)、Cr2 3 、Ni
Pなどを用いることもできる。特に、レリーフ型回折光
学素子の材料としてガラスを用いる場合には、型10の
材料としてWC、SiC、Cr2 3 を用いるのが好ま
しく、また、レリーフ型回折光学素子の材料としてプラ
スチックを用いる場合には、型10の材料としてNiP
を用いるのが好ましい。さらに、上述したレリーフ型回
折光学素子製造用の型は、不等間隔格子パターン11が
同心円状の回折型レンズの製造用のものに限らず、格子
パターンが直線状のものや、楕円状のものの製造用とし
て構成することもできる。
【0090】また、図9では、平行平板状の基板上に不
等間隔格子パターン11を形成したレリーフ型回折光学
素子製造用の型10を示したが、例えば図10に示すよ
うに、球面上に不等間隔格子パターンを形成してレリー
フ型回折光学素子製造用の型10′を構成することもで
きる。このような型を用いて、球面上に不等間隔格子パ
ターンを有する回折型レンズを製造する場合、回折型レ
ンズ全体として必要なパワーを、屈折面である球面と回
折面としての不等間隔格子パターンとて分担するように
設計すると、不等間隔格子パターンが分担するパワーが
小さくなって、各ゾーンのピッチは大きくなる傾向にあ
る。したがって、このような回折型レンズを製造する場
合に、その型の中心の1番目のゾーンの断面形状の斜辺
部を2本の直線で形成すれば、得られる回折型レンズの
集光点での強度を高めることができ、その効果は大き
い。
【0091】図11は、この発明の第4実施形態を説明
するための図である。この実施形態は、凹作用を有する
回折型レンズを製造するのに用いるレリーフ型回折光学
素子製造用の型10を示すものである。この型10は、
例えばWCからなる平行平板状の型材料の一方の面に、
製造すべき回折型レンズの不等間隔格子パターンを反転
した形状の不等間隔格子パターン11を形成し、他方の
面は平滑に研磨して構成する。不等間隔格子パターン1
1は光軸に対して回転対称な同心円状で、その断面は、
製造すべき回折型レンズが1次回折光に対して最適化さ
れた溝深さ、形状となるように形成する。
【0092】また、不等間隔格子パターン11の中心の
ゾーンは、製造すべき回折型レンズの断面形状の斜辺部
を2本の直線で構成し、そのうちの1本の直線がレリー
フパターンが形成される基板の面と平行になった断面形
状を反転した形状とし、他のゾーンは斜辺部を直線で近
似した形状を反転した形状とする。
【0093】このレリーフ型回折光学素子用の型10を
用いて回折型レンズを製造すれば、中心のゾーンの斜辺
部が2本の直線で構成され、そのうちの1本の直線がレ
リーフパターンが形成される基板の面と平行となった断
面形状を有し、他のゾーンは斜辺部を直線で近似した形
状を有する、第2実施形態で説明したと同様の良好な光
学特性を有する回折型レンズを得ることができる。
【0094】この実施形態の型10は、第3実施形態の
場合と同様に、その各ゾーンの断面形状が全て直線とな
っているので、バイトによる切削を含む工程によって容
易に製作できる利点がある。しかも、この場合には、2
本の直線で構成される断面形状を有する1番目のゾーン
については、1回の切削で済むので、切削の工程を少な
くでき、より容易に製作することができると共に、全て
のゾーンをバイトの切れ刃稜で切削加工することができ
るので、良好な表面荒さに加工することが可能となる。
【0095】なお、図11では、凹作用を有する回折型
レンズを製造するための型構造としたが、同様に、凸作
用を有する回折型レンズを製造するための型を構成する
こともできる。ただし、このような型をバイトによる切
削を含む工程によって製作する場合には、中心のゾーン
については、断面形状を構成する直線毎に切削する必要
があるが、この場合、1本の直線についてはレリーフパ
ターンが形成される基板の面と平行となるように切削す
るので、斜辺部を傾斜した2本の直線で構成した回折光
学素子製造用の型を製作する場合に比べて、バイトの角
度調整が容易になる利点がある。
【0096】また、図11では、平行平板状の基板上に
不等間隔格子パターン11を形成したレリーフ型回折光
学素子製造用の型10を示したが、球面上に不等間隔格
子パターンを形成してレリーフ型回折光学素子製造用の
型を構成することもできる。このような型を用いて、球
面上に不等間隔格子パターンを有する回折型レンズを製
造する場合、回折型レンズ全体として必要なパワーを、
屈折面である球面と回折面としての不等間隔格子パター
ンとて分担するように設計すると、不等間隔格子パター
ンが分担するパワーが小さくなって、各ゾーンのピッチ
は大きくなる傾向にある。したがって、このような場合
に、その型の中心の1番目のゾーンの断面形状の斜辺部
を2本の直線で構成し、そのうちの1本の直線が光軸に
対して直交するようにすれば、得られる回折型レンズの
集光点での強度を高めることができ、その効果は大き
い。この場合、中心のゾーンは、光軸に対して垂直な面
を含むことになる。
【0097】さらに、図11に示すような構成は、不等
間隔格子パターン11が同心円状の回折型レンズの製造
用のものに限らず、格子パターンが直線状のものや、楕
円状のものの製造用の型の場合にも有効に適用すること
ができる。
【0098】図12は、この発明の第5実施形態を説明
するための図で、レリーフ型回折光学素子を含むカメラ
のような撮像光学系を模式的に示したものである。この
撮像光学系は、絞り12、屈折レンズ13、レリーフ型
回折光学素子1′と、像面15とを含む。レリーフ型回
折光学素子1′は、絞り12側の面にレリーフパターン
が形成された回折型レンズで、その断面形状は、第1実
施形態で説明したように、中心の1番目のゾーンは、そ
の断面形状の斜辺部が2本の直線で構成され、他のゾー
ンは、その斜辺部を直線で近似した断面形状となってい
る。
【0099】かかる光学系において、図示しない物体か
ら入射する光量が増大し、それに応じて絞り12の径を
小さくすると、回折型レンズ14の光束が通過するゾー
ン数が減少する。この場合、回折型レンズとして、従来
例で説明したような全てのゾーンの斜辺部を直線で近似
した形状のものを用いると、ゾーン数の減少によって集
光点での強度が大幅に低下することになる。しかし、こ
の実施形態では、レリーフ型回折光学素子1′として、
第1実施形態で説明した構造の回折型レンズを用いてい
るので、光束が通過する回折格子のゾーン数が減少して
も、集光点での強度の大幅な低下を有効に防止すること
ができ、したがって撮像光学系における解像度の低下を
有効に防止することができる。
【0100】このように、レリーフ型回折光学素子1′
として、ピッチが最も大きいゾーンの断面形状の斜辺部
を2本の直線で構成した形状とし、その他のゾーンの斜
辺部は直線で近似したものを用いて撮像光学系を構成す
れば、光束が通過する回折光学素子のゾーン数にかかわ
らず、集光点で高い強度が得られる解像度の良好な光学
系を実現することができる。
【0101】なお、図12では、屈折レンズ13と回折
型レンズとを組み合わせた光学系としたが、回折型レン
ズのみからなる撮像光学系を構成することもできる。ま
た、絞り12を用いない光学系を構成することもでき
る。なお、絞り12を用いない場合には、回折型レンズ
として、ゾーン数が少ない、例えば30本程度以下とす
るのが、製造上および光学特性等の点で好ましい。さら
に、レリーフ型回折光学素子を含む光学系は、上述した
透過型のものに限らず、反射型に構成することもでき
る。
【0102】図13は、この発明の第6実施形態を説明
するための図で、内視鏡として直視型のいわゆる硬性鏡
を含む内視鏡装置の全体の構成を示すものである。この
内視鏡装置20は、挿入部22を有する内視鏡28、カ
メラ24、モニタ25、ライトガイドケーブル26、お
よび光源装置27を有している。挿入部22の先端部2
1には、結像光学系、照明光学系、リレー光学系などが
配置されている。また、内視鏡28の基部23には、図
示しない接眼光学系が配置され、その接眼光学系の後
に、撮像手段としてのカメラ24が取り付けられるよう
になっている。ここで、内視鏡28の基部23およびカ
メラ24は、一体式または着脱式で構成されている。ま
た、カメラ24で撮像された被写体は、最終的にモニタ
25で内視鏡画像として観察者に観察可能に表示される
ようになっている。
【0103】この実施形態では、挿入部22の先端部2
1に配置される結像光学系をレリーフ型回折光学素子を
用いて構成する。すなわち、図14に断面図を示すよう
に、外筒31の端面に前方負レンズ32を設け、この前
方負レンズ32を経て入射した光線を、レリーフ型回折
光学素子33としての回折型レンズを経て像面34に結
像させるようにする。レリーフ型回折光学素子33は、
前方負レンズ32側を非球面とし、像面34側には、平
面上に不等間隔格子パターン2′を形成して構成する。
不等間隔格子パターン2′は、その中心のゾーンの断面
形状の斜辺部を2本の直線で構成した形状を有し、他の
ゾーンは斜辺部を直線で近似した断面形状を有するよう
に形成する。なお、照明光学系やリレー光学系は、公知
の技術により実現できるので、ここではその図示および
説明を省略してある。
【0104】上記構成において、先端部21の外径は、
観察対象により異なるが、細い場合には数ミリ程度の場
合がある。このような場合、レリーフ型回折光学素子3
3の外径も必然的に小さなものとなり、その全ゾーン数
は数十本以下となる場合もある。しかし、この実施形態
におけるように、中心のゾーンの断面形状の斜辺部を2
本の直線で構成し、他のゾーンは斜辺部を直線で近似し
た断面形状の不等間隔格子パターン2′を有するレリー
フ型回折光学素子33を用いて結像光学系を構成すれ
ば、レリーフ型回折光学素子33の全ゾーン数が少ない
場合でも、図18および図19を用いて説明したよう
に、集光点での強度の低下を有効に防止することができ
るので、良好な像を得ることができる。
【0105】なお、この実施形態において、レリーフ型
回折光学素子33は、不等間隔格子パターン35を平面
上に形成したものに限らず、球面上や他の曲面上に形成
したものを用いることもできる。また、この実施形態
は、直視型の硬性鏡に限らず、軟性鏡や斜視型の内視鏡
の結像光学系にも有効に適用することができる。
【0106】付記項 1.請求項1記載のレリーフ型回折光学素子において、
該レリーフ型回折光学素子が回折型レンズで、前記第1
のゾーン群に含まれるゾーンの数が、全ゾーン数の半分
以下であることを特徴とするレリーフ型回折光学素子。 2.付記項1記載のレリーフ型回折光学素子において、
前記第1のゾーン群は、中心のゾーンのみを含むことを
特徴とするレリーフ型回折光学素子。 3.付記項2記載のレリーフ型回折光学素子において、
前記中心のゾーンの断面形状の斜辺部を2本の直線で構
成すると共に、その2直線の交点の位置を、位相シフト
関数上の座標(R,z)に関して、(0≦R≦R1 ,−
2π≦z≦0)の範囲にあり、かつ、 z>−2πR/R1 ,z<−3π{R−(3R1
5)}/R1 の条件を満たすよう構成したことを特徴とするレリーフ
型回折光学素子。 4.請求項1記載のレリーフ型回折光学素子において、
前記第1のゾーン群の断面形状を構成する直線のうち、
1本の直線をレリーフパターンを形成する基板の面と平
行にしたことを特徴とするレリーフ型回折光学素子。 5.付記項4記載のレリーフ型回折光学素子において、
中心のゾーンのみが前記第1のゾーンに含まれ、該中心
のゾーンの断面形状の斜辺部を2本の直線で構成し、そ
の2直線の交点の位置が、位相シフト関数上の座標
(R,z)に関して、 0<R<0.59・R1 ,z=0 の条件を満たすよう構成したことを特徴とするレリーフ
型回折光学素子。 6.請求項1,2、付記項1〜5のいずれか一項記載の
レリーフ型回折光学素子において、前記第1のゾーン群
および第2のゾーン群が回転対称となる共通の回転軸を
有するよう構成したことを特徴とするレリーフ型回折光
学素子。 7.付記項6記載のレリーフ型回折光学素子において、
前記第1のゾーン群は、前記回転軸に対して垂直な面を
含むことを特徴とするレリーフ型回折光学素子。 8.請求項3記載のレリーフ型回折光学素子製造用の型
において、該型が回折型レンズ製造用の型で、前記第1
のゾーン群に含まれるゾーンの数が全ゾーン数の半分以
下であることを特徴とするレリーフ型回折光学素子製造
用の型。 9.付記項8記載のレリーフ型回折光学素子製造用の型
において、前記第1のゾーン群は、中心のゾーンのみを
含むことを特徴とするレリーフ型回折光学素子製造用の
型。 10.請求項3記載のレリーフ型回折光学素子製造用の
型において、前記レリーフ面を、回折作用と屈折作用と
の両方を同時に行うように、回折作用をなす面に屈折作
用をなす面を重畳して構成したことを特徴とするレリー
フ型回折光学素子製造用の型。 11.請求項3記載のレリーフ型回折光学素子製造用の
型において、前記第1のゾーン群の断面形状を構成する
直線のうち、1本の直線をレリーフパターンを形成する
基板の面と平行にしたことを特徴とするレリーフ型回折
光学素子製造用の型。 12.請求項3、付記項8〜11のいずれか一項記載の
レリーフ型回折光学素子製造用の型において、前記第1
のゾーン群および第2のゾーン群が回転対称となる共通
の回転軸を有するよう構成したことを特徴とするレリー
フ型回折光学素子製造用の型。 13.付記項12記載のレリーフ型回折光学素子製造用
の型において、前記第1のゾーン群は、前記回転軸に対
して垂直な面を含むことを特徴とするレリーフ型回折光
学素子製造用の型。 14.請求項1,2、付記項1〜7のいずれか一つに記
載のレリーフ型回折光学素子を含むことを特徴とする光
学系。
【0107】
【発明の効果】請求項1記載のレリーフ型回折光学素子
によれば、不等間隔格子パターンを、1つのゾーン内で
レリーフ面の傾き角が異なる箇所を有する断面形状を示
す第1のゾーン群と、1つのゾーン内でレリーフ面の傾
き角が一定の断面形状を示す第2のゾーン群とを有し、
第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾーンを含み、
各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構成し
た形状を有し、第2のゾーン群は、位相シフト関数から
導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似した形状を有し
て構成したので、集光点での強度を高くでき、かつ容易
に製造することができる。
【0108】請求項2記載のレリーフ型回折光学素子に
よれば、請求項1において、レリーフ面を、屈折作用を
なす面に回折作用をなす面を重畳して構成したので、ピ
ッチが大きくなっても、集光点での強度を高くできる。
【0109】請求項3記載のレリーフ型回折光学素子製
造用の型によれば、不等間隔格子パターンを、1つのゾ
ーン内でレリーフ面の傾き角が異なる箇所を有する断面
形状を示す第1のゾーン群と、1つのゾーン内でレリー
フ面の傾き角が一定の断面形状を示す第2のゾーン群と
を有し、第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾーン
を含み、各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線
で構成した形状を有し、第2のゾーン群は、位相シフト
関数から導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似した形
状を有して構成したので、型自体を容易に製作できると
共に、これを用いて製造されるレリーフ型回折光学素子
として、その表面の面荒れを小さくでき、したがって入
射光の散乱を有効に防止して光の利用効率を向上できる
と共に、散乱による光学性能の低下を有効に防止でき、
しかも集光点での強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を説明するための図で
ある。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】第1実施形態における集光点での強度比を説明
するための図である。
【図4】第1実施形態の変形例を説明するための図であ
る。
【図5】同じく、他の変形例を説明するための図であ
る。
【図6】この発明の第2実施形態を説明するための図で
ある。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】第2実施形態における集光点での強度比を説明
するための図である。
【図9】この発明の第3実施形態を説明するための図で
ある。
【図10】第3実施形態の変形例を説明するための図で
ある。
【図11】この発明の第4実施形態を説明するための図
である。
【図12】この発明の第5実施形態を説明するための図
である。
【図13】この発明の第6実施形態を説明するための図
である。
【図14】図13に示す挿入部の先端部の要部の構成を
示す図である。
【図15】平行光束を回折型レンズにより一点に集光す
る場合の回折面の位相シフト関数を示す図である。
【図16】位相シフト関数から導かれるレリーフ構造の
回折型レンズにおける半径とレリーフ構造の高さとの関
係を示す図である。
【図17】従来のレリーフ型回折光学素子を説明するた
めの図である。
【図18】従来のレリーフ型回折光学素子におけるゾー
ン数に対する集光点での強度比を示す図である。
【図19】この発明に係るレリーフ型回折光学素子にお
けるゾーン数に対する集光点での強度比の一例を示す図
である。
【図20】同じく、他の例を示す図である。
【符号の説明】
1,1′ レリーフ型回折光学素子 2,2′ 不等間隔格子パターン 3 回折格子の断面形状 4 位相シフト関数から導かれる断面形状 7 中心の1番目のゾーン 10,10′ レリーフ型回折光学素子製造用の型 11 不等間隔格子パターン 12 絞り 13 屈折レンズ 15 像面 20 内視鏡装置 21 先端部 22 挿入部 23 基部 24 カメラ 25 モニタ 26 ライトガイドケーブル 27 光源装置 28 内視鏡 31 外筒 32 前方負レンズ 33 レリーフ型回折光学素子 34 像面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不等間隔格子パターンを有するレリーフ
    型回折光学素子において、 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が異なる箇所を有
    する断面形状を示す第1のゾーン群と、1つのゾーン内
    でレリーフ面の傾き角が一定の断面形状を示す第2のゾ
    ーン群とを有し、 前記第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾーンを含
    み、各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構
    成した形状を有し、前記第2のゾーン群は、位相シフト
    関数から導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似した形
    状を有することを特徴とするレリーフ型回折光学素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のレリーフ型回折光学素子
    において、 前記レリーフ面を、屈折作用をなす面に回折作用をなす
    面を重畳して構成したことを特徴とするレリーフ型回折
    光学素子。
  3. 【請求項3】 不等間隔格子パターンを有するレリーフ
    型回折光学素子製造用の型において、 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が異なる箇所を有
    する断面形状を示す第1のゾーン群と、1つのゾーン内
    でレリーフ面の傾き角が一定の断面形状を示す第2のゾ
    ーン群とを有し、 前記第1のゾーン群は、ピッチが最も大きいゾーンを含
    み、各ゾーンの断面形状の斜辺部を2本以上の直線で構
    成した形状を有し、前記第2のゾーン群は、位相シフト
    関数から導かれる断面形状の斜辺部を直線で近似した形
    状を有することを特徴とするレリーフ型回折光学素子製
    造用の型。
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