JPH11142614A - レリーフ型回折光学素子、レリーフ型回折光学素子製造用の型、及び、レリーフ型回折光学素子を用いた光学系 - Google Patents

レリーフ型回折光学素子、レリーフ型回折光学素子製造用の型、及び、レリーフ型回折光学素子を用いた光学系

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JPH11142614A
JPH11142614A JP31177297A JP31177297A JPH11142614A JP H11142614 A JPH11142614 A JP H11142614A JP 31177297 A JP31177297 A JP 31177297A JP 31177297 A JP31177297 A JP 31177297A JP H11142614 A JPH11142614 A JP H11142614A
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optical element
relief
zone
diffractive optical
relief type
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Hisashi Oide
寿 大出
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集光点での強度が高く、かつ、製作が容易な
回折型レンズ等のレリーフ型回折光学素子。 【解決手段】 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が
一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学素子で
あって、中心のゾーン7のレリーフ形状の最大高さtc
が、他のゾーンのレリーフ形状の最大高さtg に比べ低
い。ゾーン数が少ない場合、あるいは、光束が実際に通
過するゾーン数が少ない場合等にも、集光点での強度が
高く、解像が良く、かつ、製作が容易なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に所定の構造
を有するレリーフ型回折光学素子、レリーフ型回折光学
素子製造用の型、及び、それを用いた光学系に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学系の小型軽量化の要求に伴い
回折型レンズ等のレリーフ型回折光学素子が注目されて
いる。回折光学素子の持つ色収差補正能力や、簡単に非
球面作用を持たせることができる点等を利用し、種々の
分野において回折光学素子を配置した光学系が提案され
ている。
【0003】回折型レンズとは、従来の屈折レンズ、例
えば球面レンズ、シリンドリカルレンズ、アナモルフィ
ックレンズ等の作用を回折作用を用いて実現したものを
指す。このとき、例えば球面レンズに相当する回折型レ
ンズの格子パターンは、同心円の輪帯形状を有し、シリ
ンドリカルレンズに相当する回折型レンズの格子パター
ンは、直線形状を有する。以後、その格子パターンの溝
の1つ1つをゾーンと呼び、回折型レンズの光軸を中心
としてそこから周辺に向かって1番目のゾーン、2番目
のゾーン、・・・と数えることにする。また、隣り合う
ゾーンの外半径の差をピッチと呼ぶ。
【0004】ここで、平行光束を一点に集光する作用を
有する回折型レンズについて説明する。レンズにより平
行光束を一点に集光する場合、このレンズの位相シフト
関数は、図14に示すように、 φ(r)=−πr2 /(λ0 f) ・・・(1) ここで、r:光軸からの距離 λ0 :波長 f:焦点距離 と表される。この位相シフト関数φ(r)を2π位相構
造に変形すると、回折型レンズの位相シフト関数φ
d (r)となる。これは、1次回折光に対して回折効率
を最適化したことに相当し、φd (r)は、 φd (r)=φ(r)+2π(i−1) ・・・(2) Ri-1 <r<Ri (i=1、2、3・・・) と表される。ここで、Ri はi番目のゾーン外半径であ
り、 Ri =(2λ0 fi)1/2 ・・・(3) となる。また、図15に示すように、この回折型レンズ
をレリーフ構造で実現する場合、半径rにおけるレリー
フ構造の高さt(r)は、 t(r)=tg ・[φd (r)/2π+1] ・・・(4) となる。ここで、tg はレリーフの最大溝深さであり、 tg =λ0 /(n−1) ・・・(5) である。ただし、nは回折光学素子の材料の屈折率であ
る。
【0005】上記のように、回折光学素子の全てのゾー
ンの斜辺部を位相シフト関数に対応した曲線形状で形成
して、これにより本来の光学性能を十分に発揮できるよ
うにしたものが、例えば特開平1−250902号公報
に示されている。あるいは、「光技術コンタクト」Vo
1.26,No.3,pp.208〜212に示される
ように、全てのゾーンの斜辺部を直線で近似して、これ
により製作性を向上させたものがある。
【0006】また、レリーフ型回折光学素子を製作する
方法の1つに、型を用いた加工がある。型に、レリーフ
型回折光学素子の断面形状を反転した形状を持たせ、ガ
ラスやプラスチック等の材料に押し当てて形状を反転し
て転写する方法、あるいは、射出成形法やフォトポリマ
ー法等がある。
【0007】例えば、「光技術コンタクト」Vol.2
6,No.3,p.211に示されるように、レリーフ
型回折光学素子製造用の型において、全てのゾーンの斜
辺部を直線で近似して、これにより型の製作性を向上さ
せるものがある。
【0008】ところで、式(1)に示した光学レンズの
位相シフト関数は、一般に定数項を含まない形式となっ
ている。これは、レンズの光学性能に定数項が意味を持
たないためである。しかし、位相シフト関数を2π位相
構造に変形する回折光学素子の場合、位相シフト関数に
おける定数項の有無により、各ゾーンの形状が変化する
ことになる。
【0009】ここで、位相シフト関数に定数項を含むレ
ンズについて説明する。定数項を含むレンズの位相シフ
ト関数は、図16に示すように、 φoffset(r)=−πr2 /(λ0 f)−φ0 ・・・(6) と表される。ここで、φ0 は定数項であり、0<φ0
2πとする。ただし、定数項φ0 の値は、m次光に最適
化した場合、0<φ0 <2πmとなる。ここで、mは回
折次数を表す。
【0010】上記φoffset(r)を2π位相構造に変形
したものが、回折型レンズの位相シフト関数φ’offset
(r)となる。これは、1次回折光に対して回折効率を
最適化したことに相当し、φ’offset(r)は、 φ’offset(r)=φoffset(r)+2π(i−1) ・・・(7) R’i-1 <r<R’i (i=1、2、3・・・) と表される。ここで、R’i はi番目のゾーン外半径で
あり、 R’i ={2λ0 f[i−φ0 /(2π)]}1/2 ・・・(8) となる。したがって、位相シフト関数に定数項を含んだ
ときの1番目のゾーンの外半径R’1 は、位相シフト関
数に定数項を含まない場合の1番目のゾーンの外半径R
1 に比べて小さくなる。
【0011】また、図17に示すように、この回折型レ
ンズをレリーフ構造で実現する場合、半径rにおけるレ
リーフ構造の高さt(r)は、 t(r)=tg ・[φ’offset(r)/2π+1] ・・・(9) となる。このとき、上記の回折型レンズの断面形状は、
図17に示すように、1番目のゾーン、すなわち中心の
ゾーンのレリーフ形状の最大の高さは、他のゾーンのレ
リーフ形状の最大の高さに比べて低くなる。
【0012】なお、式(2)、(7)は1つの回折型レ
ンズでのみで平行光束を一点に集中する場合の回折型レ
ンズの位相シフト関数を表しているが、各種の光学系、
例えば、レンズ系の中で回折型レンズを他の光学素子、
例えば屈折レンズ素子と組み合わせている場合、回折型
レンズの位相シフト関数は、一般に高次の偶数次の多項
式で表される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】レリーフ型回折光学素
子の断面形状は、例えば図15に示されるような、ある
いは特開平1−250902号公報に示されるような位
相シフト関数から導かれる鋸歯状の形状にすることが望
ましい。このとき、各ゾーンの斜辺部は一般には曲線に
なる。しかし、断面形状を図15に示すような曲線形状
に形成することは、加工技術、加工時間、製作したもの
を検査する手間等の様々な問題がある。例えば切削加工
により断面形状を理想的な曲線形状に形成しようとする
と、バイトの切れ刃先端による加工を行うことになり、
切れ刃稜で加工を行う場合に比べて良好な表面粗さに加
工することが困難である。
【0014】そのため、「光技術コンタクト」Vo1.
26,No.3,pp.208〜209に見られるよう
に、図18に点線に示すような位相シフト関数から導か
れる断面形状の斜辺部を、図18に実線で示すような直
線で近似した断面形状にすることがしばしば行われる。
この構造は、製造上、検査上大きな利点がある。例えば
切削により断面形状を直線形状に形成する場合、バイト
の切れ刃稜による加工ができ、加工データが簡素化され
ると共に、被加工物の表面粗さも良好に形成されるとい
う利点がある。しかし、以下に示すように、斜辺部を直
線で近似すると光学性能が劣化してしまうという問題が
ある。特にゾーン本数が少ない場合に、その影響が顕著
になる。
【0015】ここで、波長λの平行光束を焦点距離fで
集光する回折型レンズにおいて、全てのゾーンの断面形
状を直線で近似した場合の集光点での強度について考え
る。図19は、ゾーン数に対する同一の波長、焦点距離
のときの下式で計算した強度比を示す。
【0016】強度比=(全てのゾーンの斜辺部を直線で
近似した回折型レンズの集光点での強度)/(全てのゾ
ーンが理想的な断面形状を有する回折型レンズの集光点
での強度) 図19から分かるように、ゾーン数が多い場合では、断
面形状の斜辺部を直線で近似したことによる影響はほと
んどないが、ゾーン数が少なくなるにつれて集光点での
強度の低下が顕著になる。この現象は光束の通過するゾ
ーン数が少ない回折型レンズに対しては無視できない問
題になる。例えば、マイクロレンズであるとか、あるい
は結像光学系に用いて絞りを絞った状態等では、光束が
通過するゾーン数が少なく、斜辺部を直線で近似した影
響が大きく出てしまう。
【0017】このように、実効的なゾーン数が少ない場
合、従来技術では、集光点での強度が高く、かつ、製作
が容易なレリーフ型回折光学素子の構造を実現できてい
ない。
【0018】本発明はこの点に着目し、集光点での強度
が高く、かつ、製作が容易な回折型レンズ等のレリーフ
型回折光学素子を提供することを第1の課題とする。
【0019】ところで、レリーフ型回折光学素子製造用
の型を製作する場合、その型を用いて製作されるレリー
フ型回折素子は、型のレリーフ形状を反転した形状を有
することになるので、型の断面形状はレリーフ型回折光
学素子の位相シフト関数に対応した曲線形状を有するこ
とが望ましい。しかし、実際には曲線形状を持たせるこ
とが難しいため、「光技術コンタクト」Vo1.26,
No.3,p.211に見られるように、斜辺部を直線
で近似する場合がある。その場合には、その型を用いて
製作されたレリーフ型回折光学素子は、斜辺部も直線で
近似した形状になり光学性能は劣化してしまう。
【0020】このように、従来技術では、それを用いて
成形したレリーフ型回折光学素子の実効的なゾーン数が
少ない場合、集光点での強度が高く、かつ、製作が容易
なレリーフ型回折光学素子製造用の型の構造を実現でき
ていない。
【0021】本発明はこの点に着目し、それを用いて成
形したレリーフ型回折光学素子の集光点での強度が高
く、かつ、製作が容易なレリーフ型回折光学素子製造用
の型を提供することを第2の課題とする。
【0022】また、従来は、全てのゾーンの斜辺部が直
線で近似され、かつ、実効的なゾーン数が少ないレリー
フ型回折光学素子を光学系に用いた場合、集光点での強
度が大幅に低下し、同時に集光スポットが広がることに
よりMTFが低下して解像が悪化するという問題点があ
った。
【0023】本発明はこの点に着目し、実効的なゾーン
数が少ない場合であっても、解像が良く、かつ、製作の
容易なレリーフ型回折光学素子を用いた光学系を提供す
ることを第3の課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の第1の課題を解決
する本発明のレリーフ型回折光学素子は、1つのゾーン
内でレリーフ面の傾き角が一定の鋸歯断面形状を有する
レリーフ型回折光学素子であって、中心のゾーンのレリ
ーフ形状の最大高さが、他のゾーンのレリーフ形状の最
大高さに比べ低いことを特徴とするものである。
【0025】この発明の対応する実施の形態は、後記の
第1の実施の形態である。まず、レリーフ型回折光学素
子のゾーンの断面形状が集光点での強度に与える影響に
ついて説明する。波長λの平行光束を焦点距離fで集光
する回折型レンズを例にとる。検討の結果、全てのゾー
ンの斜辺部を直線で近似する場合、定数項を含まない位
相シフト関数を用いる場合に比べて、初期位相を含む位
相シフト関数を用いることで、集光点での強度が飛躍的
に向上することが分かった。
【0026】図7は、位相シフト関数に含まれる定数項
の値φ0 をそれぞれπ/4、π/2、3π/4、π、5
π/4、3π/2、7π/4とし、各ゾーンの断面形状
を直線で近似したときのフレネル数に対する集光点での
強度比を示したものである。
【0027】ただし、定数項を含む位相シフト関数のゾ
ーンの外半径は、定数項がない場合のゾーンの外半径R
i と異なるため、ゾーン数毎に集光点での強度を示すと
それぞれの場合で素子の有効径が異なってしまう。そこ
で、位相シフト関数に定数項を含む場合は、フレネル数
が整数となるときの集光点での強度の結果を示した。こ
こで、フレネル数とは (フレネル数)=R2 /(2fλ0 ) で定義したものである。ただし、Rは有効径である。
【0028】位相シフト関数に定数項を含まない場合、
i番目のゾーンの外半径Ri におけるフレネル数はゾー
ン数iとなる。したがって、定数項を含む場合におい
て、フレネル数が整数iとなるときの有効径は、定数項
を含まない場合のゾーン数iの有効径と一致することに
なる。
【0029】また、直線近似とは、各ゾーンの理想形状
の斜辺部の両端を直線で結んだ形状である。なお、各ゾ
ーン数における強度は、全てのゾーンを位相シフト関数
から導かれる形状に形成した場合の集光点での強度との
比として示した。
【0030】図7から分かるように、位相シフト関数が
定数項を含む場合、定数項を含まない場合に比べて何れ
も強度比が増加し、全てのゾーンを直線で近似したこと
による集光点での強度の低下はわずかである。例えば、
フレネル数が10の場合について、図7と図19で比較
を行ってみると、位相シフト関数に定数項を含まない構
造では、集光点での強度比は約0.90に低下するのに
対して、定数項の値がπ/4、π/2、3π/4、π、
5π/4、3π/2の場合、集光点での強度比はそれぞ
れ0.93、0.95、0.97、0.98、0.9
9、0.98、0.97になる。
【0031】全てのゾーンの斜辺部を直線で近似したと
きに生じる光学性能の低下の大きな原因として、図15
に示したように、ゾーンの斜辺部を直線で近似したとき
の理想的形状からの乖離、すなわち、位相シフトの誤差
量があげられる。ただし、各ゾーンの乖離の量を比べる
と、ピッチの間隔が大きくなるに従って大きくなる。一
般に、回折型レンズにおいてピッチが最も大きくなるの
は中心ゾーンであるから、定数項を加えることにより中
心のピッチの間隔を小さくして、各ゾーンの乖離量を減
少させることができる。
【0032】したがって、集光点での強度の低下を実質
的に防止することができるため、全体の光学性能を大き
く向上させることができ、特にゾーン数が少ない場合に
おいてその効果は大きい。
【0033】上記構成をとることにより、製造上の負担
を大きく増やすことなく、実効的なゾーン数が少ない場
合でも、集光点での強度が高いレリーフ型回折光学素子
を実現できる。
【0034】また、2次以上の高次の回折項に対して最
適化した場合、定数項を含まない位相シフト関数から導
いた全ゾーンの形状を直線で近似すると、1次回折光に
対して最適化した場合に比べ、理想形状に対する斜辺部
の乖離がさらに大きくなる。したがって、定数項を含ん
だ位相シフト関数から導かれるゾーンから構成すること
により、理想位相シフト関数への近似を高めることがで
き、効果が大きい。
【0035】なお、位相シフト関数に定数項を加えた回
折光学素子については、例えば、T.Hessler,R.E.Kunz,"
Relaxed fabrication for low-Fresnel-number lense
s",Jounal of the Optical Society of America A14,15
99-1606(1997) に示されているが、この論文では、定数
項を加えた位相シフト関数を2π位相構造としたときの
作用に関して述べられている。
【0036】一方、本発明で示した回折光学素子は、定
数項を加えた位相シフト関数の断面形状を近似したとき
の作用に着目したものであるが、上記論文には位相シフ
ト関数を近似するという概念は全く示されていない。
【0037】また、このようなレリーフ型回折光学素子
において、各ゾーンの断面形状が、定数項φ0 を含む位
相シフト関数を直線で近似した形状を有し、前記定数項
φ0の値が、 0.18×2π<φ0 <0.98×2π ・・・(10) の条件を満たすように構成することが望ましい。
【0038】これは後記の第1の実施の形態が対応す
る。回折型レンズにおいて、定数項φ0 を含む位相シフ
ト関数を用いて、各ゾーンの断面形状を直線で近似して
形成すると、上記した作用と同様の作用により光学性能
を向上させることが可能となる。このとき、位相シフト
関数に含まれる定数項の値が、(10)式の条件を満た
していれば、実質上高い効果が得られる。
【0039】また、上記のようなレリーフ型回折光学素
子において、レリーフ面を、屈折作用をなす面に回折作
用をなす面を重畳した面として構成することもできる。
【0040】これは後記の第1の実施の形態が対応す
る。球面あるいは非球面のように、屈折レンズ作用をな
す面に、回折面として回折レンズ作用を有するレリーフ
パターンを重畳して形成すると、レンズ全体として必要
なパワーを屈折面と回折面とで分担させることができ
る。この場合、回折作用が分担するパワーが小さくな
り、各ゾーンのピッチは大きくなる傾向にある。ピッチ
が大きくなると、ゾーンの斜辺部を直線で近似したこと
による理想形状からの乖離は大きくなる。このような場
合に、位相シフト関数に定数項を加え、各ゾーンの断面
形状を直線で近似して構成すると、前記した作用と同様
の作用により、光学性能を向上させることが可能とな
る。
【0041】前記の第2の課題を解決する本発明のレリ
ーフ型回折光学素子製造用の型は、1つのゾーン内でレ
リーフ面の傾き角が一定の鋸歯断面形状を有するレリー
フ型回折光学素子製造用の型であって、中心のゾーンの
レリーフ形状の最大高さが、他のゾーンのレリーフ形状
の最大高さに比べ低いことを特徴とするものである。
【0042】この発明に対応する実施の形態は、後記の
第2の実施の形態である。この型を用いて製作した回折
光学素子は、位相シフト関数に定数項を含んだレリーフ
形状の各ゾーンの断面形状を直線で近似して構成した形
状を有する。したがって、この型を用いると前記のレリ
ーフ型回折光学素子が得られる。
【0043】また、本発明は、このレリーフ型回折光学
素子製造用の型により製造されるレリーフ型回折光学素
子であって、レリーフ面が、屈折作用をなす面に回折作
用をなす面が重畳された面であるものを含む。
【0044】これは後記の第2の実施の形態が対応す
る。この型を用いて製作した回折光学素子は、屈折レン
ズ作用をなす面に、回折面として回折レンズ作用を有す
るレリーフパターンを重畳して形成され、回折面は位相
シフト関数に定数項を含んだレリーフ形状の各ゾーンの
断面形状を直線で近似して構成した形状を有する。した
がって、この型を用いると、前記のレリーフ面が屈折作
用をなす面に回折作用をなす面を重畳した面として構成
したレリーフ型回折光学素子が得られる。
【0045】前記の第3の課題を解決する本発明のレリ
ーフ型回折光学素子を用いた光学系は、上記のレリーフ
型回折光学素子を含むことを特徴とするものである。
【0046】この発明に対応する実施の形態は、後記の
第3及び第4の実施の形態である。レリーフ型回折光学
素子は、後記の第1の実施の形態で説明するものと同様
な構造を持つので、図7を用いて上記で説明したよう
に、集光点で高い強度が得られ、ひいては光学系の中で
用いたときのフレアの発生や解像の悪化を防止すること
ができる。また、実効的な回折光学素子のゾーン数が少
なくても集光点で高い強度が得られ、解像の良い光学系
を実現できる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態について説明する。 〔第1実施形態〕図1〜図5は本発明の第1の実施形態
を説明するための図である。図1に断面形状を示すのは
レリーフ型回折光学素子であり、波長λの平行光束を焦
点距離fで集光する回折型レンズである。レリーフ型回
折光学素子1の材料は、光学材料、例えば光学ガラスで
あり、その巨視形状は平行平板形状である。その片面に
回折面として格子パターン2が形成されている。格子パ
ターン2が形成された面をレリーフ面と呼ぶ。格子パタ
ーン2は、回転対称な同心円状の構造を有するレリーフ
パターンであり、回転対称軸は回折型レンズの光軸とな
る。なお、この図1も含め本発明の実施形態のレリーフ
型回折光学素子の図は概念図であって、実際の形状を正
確に示している訳ではない。
【0048】図2に、レリーフ型回折光学素子1の光軸
付近の拡大図を示す。図2中に示された実線は本発明に
基づく断面形状3であり、点線が定数項を含む回折型レ
ンズとしての位相シフト関数から導かれる断面形状4を
示す。各ゾーンの断面形状3は、レリーフ面の傾き角が
一定の鋸歯断面形状、すなわち位相シフト関数から導か
れる断面形状の斜辺部を1本の直線で近似した形状とな
っている。
【0049】したがって、本発明の回折光学素子1をバ
イトによる切削を含む工程によって製作する場合、各ゾ
ーンの断面形状が全て直線で構成されているため、製作
が容易になるという利点を有する。すなわち、全てのゾ
ーンの切削加工をバイトの切れ刃稜によって行うことに
なるので、バイトの切れ刃先端によって加工を行う場合
に比べ、加工データが簡単になると共に、良好な表面粗
さに加工することが可能となる。
【0050】ただし、位相シフト関数に加える定数項の
値によっては、中心ゾーン7のレリーフ形状のみをバイ
トの切れ刃先端による点切削が必要となる場合がある
が、各ゾーンの形状を切れ刃先端によって理想形状に切
削する場合に比べ、全体として良好な表面粗さに加工す
ることが可能となる。
【0051】また、図2に示したレリーフパターンは、
1次回折光に対して回折効率が最適化されており、その
とき中心のゾーン7を除くゾーンの最大の高さtg は、
g=λ0 /(n−1)である。ただし、nはレリーフ
型回折光学素子1の基板材料の波長λ0 に対する屈折率
である。このとき、中心のゾーン7のレリーフ形状の最
大の高さtc は、位相シフト関数に含まれる定数項φ0
によって決定され、tc =λ0 [1−φ0 /(2π)]
/(n−1)となり、他のゾーンに比べ低くなる。な
お、ゾーンの最大高さとは、各ゾーン内での最大高低差
を意味する。
【0052】位相シフト関数に定数項を含まないような
回折型レンズにおいて、一般にピッチが最も大きくなる
のは、図15に示すように、中心のゾーンである。そこ
で、図7、図19を用いて上で説明したように、定数項
を加えた位相シフト関数を用いて各ゾーンの断面形状を
斜辺部を直線で近似すると、定数項を含まない位相シフ
ト関数を用いて各ゾーンの断面形状の斜辺部を直線で近
似した場合よりも、集光点での強度が向上する。とりわ
け、このような構造をとることにより、ゾーン数が少な
い場合、あるいは回折光学素子全体としてのゾーン数が
多いが、光束が実際に通過するゾーン数が少ない場合等
にも、集光点での強度が大幅に低下してしまうことを防
げる。
【0053】図6に、1次回折光に対して最適化し、位
相シフト関数に定数項φ0 =πを含む回折型レンズにつ
いて、全てのゾーンの斜辺部を直線で近似した構造とし
た場合の集光点での強度を示す。なお、定数項φ0 =π
を含む回折型レンズの回折次数を1次とすると、中心ゾ
ーン7のレリーフ形状における最大の高さは、他のゾー
ンのレリーフ形状の最大の高さの半分となる。図19と
比べると、明らかに集光点での強度比が向上している。
【0054】さらに、図7は、位相シフト関数に含まれ
る定数項の値φ0 をそれぞれπ/4、π/2、3π/
4、π、5π/4、3π/2、7π/4とし、各ゾーン
の断面形状を直線で近似したときのフレネル数に対する
集光点での強度比を示したものである。位相シフト関数
に含まれる定数項の値により、集光点での強度比は変わ
るものの、定数項を含まない場合に比べて何れも強度比
が増加していることが分かる。とりわけ、フレネル数が
15以下の場合、定数項を含まない場合の強度比の低下
は顕著になるが、位相シフト関数に定数項を加えること
により、フレネル数が減少したときの光学性能劣化を有
効に防ぐことが可能となる。
【0055】また、図8は、フレネル数を5としたとき
に、位相シフト関数に含まれる定数項の値φ0 を{0<
φ0 <2π}の範囲内で変化させ、各ゾーンの断面形状
を直線で近似たときの集光点での強度比を示したもので
ある。図8から分かるように、定数項の値が{0.18
×2π<φ0 <0.98×2π}の範囲にあるとき、集
光点での強度比0.9以上の高い値となる。さらに、望
ましくは、定数項の値が{0.36×2π<φ0 <0.
90×2π}の範囲にあるとき、集光点での強度比0.
95以上の高い値となる。
【0056】また、上記の説明では、中心のゾーン7の
断面形状は、位相シフト関数の両端を結ぶ直線として表
したが、本発明はこれらに限られる訳ではない。一般
に、中心近辺の位相シフト関数の傾きは小さいため、例
えば、図3に示すように、中心のゾーン7の断面形状を
基板と平行となるように形成しても、同様の効果を得る
ことができる。また、図4に示すように、位相シフト関
数との乖離が小さくなるような直線、例えばr=0で理
想曲線と一致しないような直線で近似してもよい。
【0057】さらに、上記の説明では、レリーフ型回折
光学素子1の基板形状として平行平板の場合について説
明したが、本発明ではこれに限られる訳ではなく、例え
ば図5に示すように、屈折作用をなす平凸形状の基板上
の凸面側に格子パターンを重畳して形成する場合につい
て適用しても、良好な効果が得られる。このように、球
面あるいは非球面上に格子パターンを形成し、回折型レ
ンズとして用いる場合、回折型レンズ全体として必要な
パワーを屈折面である球面と回折面としての格子パター
ンとで分担するように設計すると、回折面が分担するパ
ワーが小さくなり、各ゾーンのピッチは大きくなる傾向
にある。
【0058】このような場合に、位相シフト関数に定数
項を加えることにより、中心のゾーンのリング半径を小
さくすることは効果が大きい。また、格子パターンが片
面のみに形成される場合を例にあげたが、格子パターン
が基板の両面に形成される場合にも適用することができ
る。
【0059】また、図1には、凸パワーの作用を有する
回折型レンズの構成を示したが、同様に凹パワーの作用
を有する回折型レンズを構成することができる。なお、
凹パワーの作用を有する回折型レンズをバイトによる切
削を含む工程によって製造する場合、位相シフト関数に
加える定数項の値によっては、中心のレリーフ形状のみ
をバイトの切れ刃先端による点切削が必要となる場合が
あるが、中心のゾーン7を除くゾーンの切削加工を、バ
イトの切れ刃稜で行うことができるので、各ゾーンの形
状を切れ刃先端によって理想形状に切削する場合に比
べ、全体として良好な表面粗さに加工することが可能と
なる。
【0060】さらに、上記の格子パターンの構成は、透
過型に限らず、反射型の場合にも同様に適用することが
できる。ただし、反射型の場合には、最大溝深さt
g は、tg =mλ0 /2となる。ただし、mは反射回折
次数である。このとき、中心のゾーン7のレリーフ形状
の最大高さtc は位相シフト関数に含まれる定数項φ0
によって決定され、tc =mλ0 [1−φ0 /(2
π)]/2となる。
【0061】〔第2実施形態〕図9は、本発明の第2の
実施形態を説明するための図である。図9はレリーフ型
回折光学素子製造用の型10を示す断面図であり、型材
料は例えばWC(タングステンカーバイト)からなり、
その巨視形状は平行平板形状である。レリーフ型回折光
学素子製造用の型10は凸パワーの作用を有する回折型
レンズ(図1に対応)を形成するための型であり、基板
の片面に製造される回折型レンズの格子パターンを反転
した形状の格子パターン11が形成されていて、他方の
面は平滑に研磨されている。格子パターン11は、回転
対称な同心円状の構造を有するレリーフパターンであ
る。
【0062】また、レリーフパターンの断面形状は、中
心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが、他のゾーンの
それに比べて低く、各ゾーンのレリーフ面の傾き角が一
定の鋸歯断面形状となっている。ただし、型10により
加工される材料の加工工程による収縮がある場合は、レ
リーフ型回折光学素子製造用の型10の断面形状をその
収縮を見込んで予め補正しておく。
【0063】このレリーフ型回折光学素子製造用の型1
0を用いて回折型レンズを製作すると、位相シフト関数
に定数項を含み、各ゾーンの断面形状を直線で近似した
形状の回折型レンズが得られ、第1実施形態において説
明したように、良好な光学性能を示す。
【0064】また、図9には、凸パワーの作用を有する
回折型レンズ製造用の型の構成を示したが、同様に凹パ
ワーの作用を有する回折型レンズ製造用の型を構成する
こともできる。
【0065】この実施形態に用いた型をバイトによる切
削を含む工程によって製作する場合、型の各ゾーンの断
面形状が全て直線で構成されているため、型の製作が容
易になるという利点を有する。上記のような凸パワーの
作用を有する回折型レンズを成形するための型をバイト
による切削を含む工程によって製作する場合、型の中心
のゾーンは型の他のゾーンに比べ切り込む深さが浅くな
るため、全てのゾーンをバイトの切れ刃稜によって行う
ことになり、良好な表面粗さに加工することが可能とな
る。
【0066】また、凹パワーの作用を有する回折型レン
ズを成形するための型をバイトによる切削を含む工程に
よって製作する場合も、凸パワーの作用を有する回折型
レンズと同様に、中心のゾーンを含む全てのゾーンの断
面形状の切削加工はバイトの切れ刃稜によって行うこと
になり、良好な表面粗さに加工することが可能となる。
【0067】本実施形態の各構成は、各種の変形、変更
が可能である。上記の説明では、レリーフ型回折光学素
子製造用の型10の材料としてWCをあげたが、これに
限られる訳ではなく、他の型材料、例えばSiC(シリ
コンカーバイド)、NiP等を用いてもよい。このと
き、WC、SiCを型10の材料として用いると、製造
されるレリーフ型回折光学素子の材料としてガラスを用
いることができる。製造されるレリーフ型回折光学素子
の材料としてプラスチックを用いる場合、型10の材料
としてはNiPが適する。
【0068】また、本発明は、レリーフ型回折光学素子
製造用の型10により成形されるレリーフ型回折光学素
子しとて格子パターンが同心円の回折型レンズについて
説明したが、格子のパターンが直線の場合や、楕円パタ
ーンのレリーフ型回折光学素子についても適用できる。
【0069】また、上記の説明では、平行平板の基板上
に格子パターンを形成したレリーフ型回折光学素子製造
用の型10について述べたが、本発明はこれに限られる
訳ではなく、例えば図10に示すように、球面上に格子
パターンを形成したレリーフ型回折光学素子製造用の型
10’に適用しても良好な効果が得られる。このような
型を用いて球面上に格子パターンを形成し、回折型レン
ズ(図5に対応)として用いる場合、回折型レンズ全体
として必要なパワーを屈折面である球面と回折面として
の格子パターンとに分担させるように設計すると、回折
面が分担するパワーが小さくなり、各ゾーンのピッチは
大きくなる傾向にある。このような場合に、本発明の効
果は顕著になる。
【0070】〔第3実施形態〕図11は、本発明の第3
の実施形態を説明するための図である。図11は、カメ
ラのような撮像光学系の構成を模式的に示したもので、
光学系は、絞り12と、屈折レンズ13と、レリーフ型
回折光学素子1’と、像面15を含む。
【0071】レリーフ型回折光学素子1’は、絞り12
側の面にレリーフパターンが形成された回折型レンズ
で、レリーフパターンの断面形状は、第1実施形態で説
明した通り、中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが
他のゾーンのそれに比べて低く、各ゾーンのレリーフ面
の傾き角が一定の鋸歯形状になっている。
【0072】図示しない物体から入射する光量が増大
し、それに応じて絞り12の径を小さく絞ると、光束が
通過する回折型レンズ1’のゾーン数が減少する。全て
のゾーンの斜辺部を直線で近似した形状では、先に説明
したように、ゾーン数が減少したときに集光点での強度
が大幅に低下してしまう。
【0073】この実施の形態では、レリーフ型回折光学
素子1’として第1実施形態で説明した構造のものを用
いているので、光束が通過する回折格子のゾーン数が減
少したときの集光点での強度の大幅な低下を防止するこ
とができ、ひいては光学系の中で用いたときの解像の悪
化を防止することができる。
【0074】したがって、レリーフ型回折光学素子1’
のレリーフパターンにおいて、中心のゾーンのレリーフ
形状の最大高さが他のゾーンのそれに比べて低く、各ゾ
ーンのレリーフ面の傾き角が一定の鋸歯形状になってい
る形状にすることで、光束が通過する回折光学素子1’
のゾーン数にかかわらず、集光点で高い強度が得られ、
解像の良い光学系を実現できる。
【0075】本実施形態の各構成は、各種の変形、変更
が可能である。上記では、光学系が回折型レンズ1’と
屈折レンズ13との組み合せからなる場合について説明
したが、回折型レンズのみからなる場合についても適用
できる。絞りのない光学系においては、回折型レンズの
ゾーン数が少ない、例えば30本程度以下の場合におい
て本発明は効果的である。また、レリーフ型回折光学素
子が透過型である場合について説明したが、反射型であ
ってもよい。
【0076】〔第4実施形態〕図12、図13は本発明
の第4の実施形態を説明するための図である。図12
は、本発明による硬性型内視鏡(いわゆる硬性鏡)用対
物レンズを含む内視鏡装置の全体の構成図である。図1
2に示す内視鏡装置20は、挿入部22を有する内視鏡
28と、カメラ24と、モニター25と、ライトガイド
ケーブル26と、光源装置27とを有している。
【0077】上記内視鏡装置20は、その挿入部22の
先端部21には、図13に示すような結像光学系や、図
示しない照明光学系、リレー光学系等が配置されてい
る。照明光学系やリレー光学系は公知の技術により実現
できるため、ここではその説明は省略する。内視鏡20
の基部23には、図示しない接眼光学系が配置され、そ
の接眼光学系の後には、撮像手段としてのカメラ24を
取り付けることが可能である。ここで、内視鏡20の基
部23及びカメラ24は一体式又は着脱式で構成されて
いる。カメラ24で撮像された被写体は、最終的にモニ
ター25で内視鏡画像として観察者に観察可能に表示さ
れる。
【0078】図13は、内視鏡先端部21の断面図であ
る。外筒31の端面に前方負レンズ32を有する。前方
負レンズ32の光軸上には、前方負レンズ32に近い順
から、レリーフ型回折光学素子として回折型レンズ3
3、像面34が位置する。レリーフ型回折光学素子33
の片面は非球面であり、他方の平面側に格子パターン
2’が形成されており、レリーフパターンの断面形状
は、中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが他のゾー
ンのそれに比べて低く、各ゾーンのレリーフ面の傾き角
が一定の鋸歯形状になっている。
【0079】前方負レンズ32から入射した光線は、レ
リーフ型回折光学素子33により像面34に結像する。
先端部21の外径は、観察対象により異なるが、細い場
合には数ミリ程度の場合がある。このような場合、必然
的にレリーフ型回折光学素子33の外径も小さなものと
なり、全ゾーン数は数十本以下となる場合もある。図
7、図19を用いて上で説明したように、このようにレ
リーフ型回折光学素子33の全ゾーン数が少ない場合に
定数項を含む位相シフト関数を用い、各ゾーンの断面形
状を直線で近似した形状にすることで、集光点での強度
の低下を防止することができ、良好な像を得ることがで
きる。
【0080】上記では、格子パターンが平面上に形成さ
れた場合について説明したが、本発明はこれに限られる
訳ではなく、球面上や他の曲面上に形成してもよい。ま
た、上記説明では直視の硬性鏡について説明したが、軟
性鏡や斜視の内視鏡に対して適用してもよい。
【0081】以上の本発明のレリーフ型回折光学素子、
レリーフ型回折光学素子製造用の型、及び、レリーフ型
回折光学素子を用いた光学系は例えば次のように構成す
ることができる。
【0082】〔1〕 1つのゾーン内でレリーフ面の傾
き角が一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学
素子であって、中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さ
が、他のゾーンのレリーフ形状の最大高さに比べ低いこ
とを特徴とするレリーフ型回折光学素子。
【0083】〔2〕 上記〔1〕記載のレリーフ型回折
光学素子において、各ゾーンの断面形状が、定数項φ0
を含む位相シフト関数を直線で近似した形状を有し、前
記定数項φ0 の値が、 0.18×2π<φ0 <0.98×2π ・・・(10) の条件を満たすように構成したことを特徴とするレリー
フ型回折光学素子。
【0084】〔3〕 上記〔1〕記載のレリーフ型回折
光学素子において、前記レリーフ面を、屈折作用をなす
面に回折作用をなす面を重畳した面として構成したこと
を特徴とするレリーフ型回折光学素子。
【0085】〔4〕 1つのゾーン内でレリーフ面の傾
き角が一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学
素子製造用の型であって、中心のゾーンのレリーフ形状
の最大高さが、他のゾーンのレリーフ形状の最大高さに
比べ低いことを特徴とするレリーフ型回折光学素子製造
用の型。
【0086】〔5〕 上記〔4〕記載のレリーフ型回折
光学素子製造用の型により製造されるレリーフ型回折光
学素子であって、レリーフ面が、屈折作用をなす面に回
折作用をなす面が重畳された面であることを特徴とする
レリーフ型回折光学素子。
【0087】〔6〕 1つのゾーン内でレリーフ面の傾
き角が一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学
素子であって、中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さ
が、他のゾーンのレリーフ形状の最大高さに比べ低いレ
リーフ型回折光学素子を含むことを特徴とするレリーフ
型回折光学素子を用いた光学系。
【0088】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のレリーフ型回折光学素子、レリーフ型回折光学素子製
造用の型、及び、レリーフ型回折光学素子を用いた光学
系によると、レリーフ型回折光学素子の中心のゾーンの
レリーフ形状の最大高さが、他のゾーンのレリーフ形状
の最大高さに比べ低いので、ゾーン数が少ない場合、あ
るいは、光束が実際に通過するゾーン数が少ない場合等
にも、集光点での強度が高く、解像が良く、かつ、製作
が容易なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のレリーフ型回折光学
素子の断面図である。
【図2】図1のレリーフ型回折光学素子の光軸付近の拡
大図である。
【図3】第1実施形態のレリーフ型回折光学素子の変形
例の断面図である。
【図4】第1実施形態のレリーフ型回折光学素子の別の
変形例の断面図である。
【図5】第1実施形態のレリーフ型回折光学素子のもう
1つの変形例の断面図である。
【図6】定数項πを含みゾーンを直線で近似した回折型
レンズのゾーン数に対する集光点での強度の変化を示す
図である。
【図7】種々の定数項を含みゾーンを直線で近似した回
折型レンズのゾーン数に対する集光点での強度の変化を
示す図である。
【図8】フレネル数が一定でゾーンを直線で近似した回
折型レンズの定数項の値に対する集光点での強度の変化
を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のレリーフ型回折光学
素子製造用の型の断面図である。
【図10】第2実施形態のレリーフ型回折光学素子製造
用の型の変形例の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の撮像光学系の構成
を模式的に示した図である。
【図12】本発明の第4の実施形態の内視鏡装置の全体
の構成図である。
【図13】図12の内視鏡先端部の断面図である。
【図14】回折型レンズにより平行光束を一点に集光す
る場合の位相シフト関数を示す図である。
【図15】図14の位相シフト関数を2π位相構造に変
形した位相シフト関数を示す図である。
【図16】定数項を含む回折型レンズの位相シフト関数
を示す図である。
【図17】定数項を含む回折型レンズの断面形状を示す
断面図である。
【図18】従来のゾーンを直線で近似した回折型レンズ
の断面形状を示す断面図である。
【図19】図18の回折型レンズのゾーン数に対する集
光点での強度を示す図である。
【符号の説明】
1…レリーフ型回折光学素子 1’…レリーフ型回折光学素子 2…格子パターン 2’…格子パターン 3…各ゾーンの断面形状 4…位相シフト関数から導かれる断面形状 7…中心のゾーン 10…レリーフ型回折光学素子製造用の型 10’…球面上に格子パターンを形成したレリーフ型回
折光学素子製造用の型 11…格子パターン 12…絞り 13…屈折レンズ 15…像面 20…内視鏡装置 21…挿入部の先端部 22…挿入部 23…内視鏡の基部 24…カメラ 25…モニター 26…ライトガイドケーブル 27…光源装置 28…内視鏡 31…外筒 32…前方負レンズ 33…回折型レンズ 34…像面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が
    一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学素子で
    あって、 中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが、他のゾーン
    のレリーフ形状の最大高さに比べ低いことを特徴とする
    レリーフ型回折光学素子。
  2. 【請求項2】 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が
    一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学素子製
    造用の型であって、 中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが、他のゾーン
    のレリーフ形状の最大高さに比べ低いことを特徴とする
    レリーフ型回折光学素子製造用の型。
  3. 【請求項3】 1つのゾーン内でレリーフ面の傾き角が
    一定の鋸歯断面形状を有するレリーフ型回折光学素子で
    あって、中心のゾーンのレリーフ形状の最大高さが、他
    のゾーンのレリーフ形状の最大高さに比べ低いレリーフ
    型回折光学素子を含むことを特徴とするレリーフ型回折
    光学素子を用いた光学系。
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