JP2009223043A - 多層材料、樹脂パターンの形成方法、基板、表示装置および液晶表示装置 - Google Patents

多層材料、樹脂パターンの形成方法、基板、表示装置および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】剥離性の良好な多層材料を提供する。
【解決手段】少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有し、前記中間層がポリビニルアルコール系樹脂を含有し、該ポリビニルアルコール系樹脂が末端アルキル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする多層材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ等の形成に用いられる多層材料、該多層材料を用いた樹脂パターンの形成方法、該形成方法によって形成された樹脂パターンを有する基板、該基板を備えた表示装置および液晶表示装置に関する。
カラーフィルタやスペーサ等の形成に用いられる、多層材料は従来から知られている。該多層材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層および感光性樹脂層をこの順に設けてなる。
例えば、上記カラーフィルタは、多層材料の感光性樹脂層と基体とを「ラミネート法」によって貼り合わせ、その後仮支持体を剥離して、露光、現像をおこない、基体上に画像を形成して作製される。上記多層材料は、感光性樹脂層と基体とを貼り合わせる際に両者の間に気泡が入り転写不良を起こすという問題点を、熱可塑性樹脂層を設けることによって改良し、基体に凹凸がある場合であっても気泡の進入を防止することができ、良好な転写画像を得ることが可能であるとされている。
上記の様に、熱可塑性樹脂層を有する多層材料を用いてカラーフィルタ、スペーサや、その他液晶配向制御用突起などの材料を作製する場合、ラミネーター及び基板の汚れを防ぐために、所望の部分のカバーフィルムのみを除去し、ガラス基板などの基体への転写が実施される。
しかしながら、従来の多層材料では、カバーフィルムを剥がす際に、中間層と感光性樹脂層の密着力が不充分なため、中間層と感光性樹脂層の界面で剥がれたり、その界面の一部が泡状に浮きあがったりする剥離不良が問題となっていた。
上記について、支持体と感光性樹脂層の間にポリビニルアルコール誘導体等の中間層を設けた転写材料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、熱可塑性樹脂層を有する多層材料においては中間層に部分鹸化タイプのポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを併用することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平2−213849号公報 特開平5−173320号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、仮支持体との剥離性、溶解特性の改良を目的としており、下地に凹凸がある場合の転写性については何等考慮されていない。
また、特許文献2の方法では連続してカバーフィルムを感光性樹脂層から除去する場合は良好なものの、カバーフィルムに切り込みを入れ、所望の部分のみ剥離する方法では依然として、上記のような剥離不良が生じてしまっていた。
本発明は、上記従来における欠点を改善することを目的とする。
即ち、本発明の目的は、カバーフィルム等の剥離性の良好な多層材料を提供することにある。
また、感光性樹脂層の剥離残りの発生を効果的に抑制でき、良好な樹脂パターンが得られる樹脂パターンの形成方法、剥離残りに起因するムラの発生を抑制した基板、該基板を備えた表示装置および液晶表示装置を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明の多層材料は、
<1> 少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有し、前記中間層がポリビニルアルコール系樹脂を含有し、該ポリビニルアルコール系樹脂が末端アルキル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする多層材料である。
<2> 中間層と感光性樹脂層の密着力が4cm幅あたり30gf以上であることを特徴とする<1>に記載の多層材料である。
また、本発明の樹脂パターン形成方法は、
<3> 少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有する多層材料のカバーフィルム上から仮支持体の一部に至る切り口を作製する工程と、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で剥離しカバーフィルム除去する工程と、基板面と前記感光性樹脂層が接するように基板に貼り合わせる工程と、転写後仮支持体と熱可塑性樹脂層との間で剥離し、仮支持体を除去する工程と、を有する樹脂パターンの形成方法であって、前記多層材料として<1>または<2>に記載の多層材料を用いることを特徴とする樹脂パターンの形成方法である。
<4> 前記仮支持体を剥離する工程を経た後に、少なくとも露光工程および現像工程を有することを特徴とする<3>に記載の樹脂パターンの形成方法である。
また、本発明の基板は、
<5> <3>または<4>に記載の樹脂パターンの形成方法によって形成された樹脂パターンを有することを特徴とする基板である。
また、本発明の表示装置は、
<6> <5>に記載の基板を備えたことを特徴とする表示装置である。
更に、本発明の液晶表示装置は、
<7> <6>に記載の基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、剥離性の良好な多層材料を提供することができる。また、該多層材料を用いることにより、良好な樹脂パターンが得られる樹脂パターンの形成方法、該形成方法で樹脂パターンを形成することにより、剥離残りがなく、ムラの発生を抑制することができる基板、該基板を備えた表示装置および液晶表示装置を提供することができる。
<多層材料>
本発明の多層材料は、少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有し、前記中間層がポリビニルアルコール系樹脂を含有し、該ポリビニルアルコール系樹脂が末端アルキル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、前記中間層と前記感光性樹脂層の密着力が、カバーフィルムの剥離性の観点から、4cm幅あたり30gf(30×9.8mN)以上であることが好ましい。
前記中間層と前記感光性樹脂層との密着力は、4cm幅あたり50gf以上であることがより好ましく、100gfであることが特に好ましい。
前記中間層と前記感光性樹脂層の密着力を、4cm幅あたり30gf(30×9.8mN)以上とすることにより、カバーフィルムを除去する際に、感光性樹脂層が中間層から剥離することなくカバーフィルムのみ剥離することができ好ましい。
また、本発明において、上記密着力は剥離力と同じ意味で用いており、密着力、即ち、剥離力とは、JIS−K6854−1(1999年)に準拠して測定した剥離力を示している。具体的には、後述の実施例に記載の方法により求めた値を示す。
多層材料において、仮支持体/熱可塑性樹脂層間の密着力(A)、熱可塑性樹脂層/中間層間の密着力(B)、中間層/感光性樹脂層間の密着力(C)、感光性樹脂層/カバーフィルム間の密着力(D)としたとき、それぞれの関係は、(D)<(B)≦(A)≦(C)であることが好ましい。
個々の密着力については、仮支持体/熱可塑性樹脂層間の密着力(A)は30gf/4cm幅以上が好ましく、50gf/4cm幅以上がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂層/中間層間の密着力(B)は、30gf/4cm幅以上が好ましく、50gf/4cm幅以上がより好ましい。
また、感光性樹脂層/カバーフィルム間の密着力(D)は、5〜12gf/4cm幅が好ましく、6〜10gf/4cm幅がより好ましい。5gf/4cm幅未満であるとカバーフィルムの密着性が悪化し、カバーフィルムに切り口をつける時点で剥れてしまい、搬送トラブルなどを生じる。
また密着力の差((B)−(D))は15gf/4cm以上とすることにより、カバーフィルムを除去する際に、感光性樹脂層が中間層から剥離することなくカバーフィルムのみ剥離することができ好ましい。さらに好ましくは35gf/4cm以上である。
以下、本発明の多層材料を詳細に説明するにあたり、まず多層材料の構成について詳述する。
(中間層)
本発明の多層材料における中間層は、複数の層の形成時、および形成後の保存時における成分の混合を防止することができ、酸素遮断膜とすることにより、露光時の感度をアップし、生産時の時間負荷を減らすことができ、それにより生産性が向上する。
本発明の多層材料においては、中間層に末端アルキル変性ポリビニルアルコールを含有することが必要である。
前記中間層に末端アルキル変性ポリビニルアルコールを含有することにより、カバーフィルムを剥離する際に、感光性樹脂層等の剥離残りを含むことがなく、そのためムラの発生を抑制することができる多層材料を得ることができる。
前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールにおける末端アルキル基としては、炭素数6〜20が好ましく、炭素数6〜16がより好ましく、炭素数8〜16が更に好ましい。
末端アルキルの炭素数が上記範囲の6以上であると感光樹脂層との密着低下し難く、また20以下であると感度低下及び感光層との分離性が悪化し難い点で好ましい。
これらのアルキル基(−R)は、硫黄原子を介してスルフィド(−SR)の形で末端に配置されることも好ましい。
本発明における前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールは、例えば、Rラジカル(アルキルラジカルやアルキルチオラジカル)を形成し、酢酸ビニルに付加重合したのち、得られたポリマーをケン化する等の、従来公知の製法で製造することができる。
また、本発明においては、市販されている末端アルキル変性ポリビニルアルコールを用いることもできる。市販品としては、クラレポバールMP−203(平均重合度300、ケン化度86.5〜89.5モル%、(株)クラレ製)、クラレポバールMP−103(平均重合度300、ケン化度98.0〜99.0モル%、(株)クラレ製)等が挙げられる。
前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールの鹸化度は、80〜99%が好ましく、80%以上では感度低下及び感光層との分離性が悪化し難く、99%以下は溶解性が悪化し難い点で好ましい。
前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールの重合度は、250〜1100が好ましい。250以上では感度及び感光性樹脂層との分離性が悪化し難く、1100以下であると感光性樹脂層との密着力が低下し難い点で好ましい。
前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールの添加率は、中間層のバインダーの15〜100質量%が好ましい。より好ましくは20〜80質量%、25〜60質量%が特に好ましい。
前記添加率が、15質量%以上であると感光樹脂層との密着が低下し難い点で好ましい。
中間層には、前記酸素遮断膜として、低い酸素透過性を示し、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解するものを添加することが好ましく、公知のものの中から選択することができる。
これらのうち、好ましくは前記末端アルキル変性ポリビニルアルコールとの組み合せの観点から、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、転写時にはみ出した熱可塑性樹脂層自身による被転写体の汚染防止を可能とする点からアルカリ可溶性である必要があり、後述する感光性樹脂層を被転写体上に転写する際に、被転写体上に存在する凹凸に起因して発生する転写不良を効果的に防止するクッション材としての機能を有し、感光性転写材料を被転写体上に加熱密着させた際の被転写体上の凹凸に対応して変形可能な層である。
本発明においては、熱可塑性樹脂層の層厚は、2〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂層は、少なくともアルカリ可溶な熱可塑性樹脂を用いて構成することができ、必要に応じて適宜他の成分を用いることができる。アルカリ可溶な熱可塑性樹脂は、特に制限はなく適宜選択することができるが、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が80℃以下であるものが好ましい。
熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの熱可塑性樹脂のうち、軟化点が80℃以下のものが好ましい。尚、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
上記アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂の中でも、重量平均分子量5万〜50万(Tg=0〜140℃)の範囲で、更に好ましくは重量平均分子量6万〜20万(Tg=30〜110℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特開平5−241340号の各公報明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2一エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
また、上記した種々の樹脂の中から、好ましくは重量平均分子量3千〜3万(Tg=30〜170℃)の範囲で、更に好ましくは重量平均分子量4千〜2万(Tg=60〜140℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号の各公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層には、前記熱可塑性樹脂以外に他の成分として、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的に軟化点が80℃を超えない範囲内で各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤、可塑剤等を添加することができる。これらによりTgの調整も可能である。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物を挙げることができる。アルカリ可溶性熱可塑性樹脂層中の、可塑剤の量は熱可塑性樹脂に対して200質量%以下が一般的で、20〜100質量%の範囲が好ましい。
前記界面活性剤は、本発明の前記熱可塑性樹脂と混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
フッ素系界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数は1〜38が好ましく、5〜25がより好ましく、7〜20が最も好ましい。フッ素原子数が多すぎるとフッ素を含まない通常の溶媒に対する溶解性が落ちる点で好ましくない。フッ素原子数が少なすぎると、ムラの改善効果が得られない点で好ましくない。
特に好ましい界面活性剤として、下記一般式(a)及び、一般式(b)で表されるモノマーを含み、且つ一般式(a)/一般式(b)の質量比が20/80〜60/40の共重合体を含有するものが挙げられる。
Figure 2009223043
(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1〜18の整数、mは2〜14の整数を示す。p、qは0〜18の整数を示すが、p、qが同時に0になる場合は含まない。)
上記界面活性剤の具体例は特開2003−337424号公報の段落番号[0068]の表1に記載されている。
また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF−780−F、F−784−F、F171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
界面活性剤の添加量は,熱可塑性樹脂層に含まれるバインダーと可塑剤の固形分に対し、28〜43%が好ましく、より好ましくは30〜40%であり、32〜38%が特に好ましい。28%未満であると、クッション性が低下することがあり、43%を越えると、転写時に熱可塑性樹脂層がはみ出し、ラミネートのヒートロールを汚す場合があり好ましくない。
(感光性樹脂層)
本発明の多層材料は、少なくとも一層の感光性樹脂層を有してなる。感光性樹脂層は、スペーサ等の樹脂構造物を形成する場合に該樹脂構造物を構成する層であり、例えば、高分子物質と、重合性モノマーと、光重合開始剤とを含んでなり、必要に応じて、充填剤、着色剤や他の成分を用いて構成することができる。着色剤を含有する場合には、カラーフィルタを構成する着色画素を形成することができる。
〈高分子物質〉
高分子物質は、スペーサや着色画素等の積層体を形成した場合にバインダー成分としての機能を有するものであり、前記<熱可塑性樹脂層>で述べた樹脂や、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーやそれ自体重合性を有する、特開2003−131379の段落番号[0031]〜[0054]に記載の光により重合可能なアリル基を有する高分子樹脂が好ましい例として挙げられる。
高分子物質は、目的に応じて適宜選択した単量体の単独重合体、複数の単量体からなる共重合体のいずれであってもよく、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーの例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、また、この他にも水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく用いることができる。また、特に好ましい例としては、シクロヘクシル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマー多元共重合体や、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートレと(メタ)アクリル酸との共重合体,ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体、またこれらの多元共重合体にグリシジルメタクリレートを付加させた多元共重合体を挙げることができる。
高分子物質の単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル基含有(メタ)アクリレート、等が挙げられる。尚、本明細書中において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
これら単量体は、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等が好適に挙げられる。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも特に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−ブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、等が好適に挙げられる。
前記アリル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、2−メチルアリルアクリレート、クロチルアクリレート、クロルアリルアクリレート、フェニルアリルアクリレート、シアノアリルアクリレート、等が挙げられ、中でもアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記した高分子物質の中でも、アリル基含有(メタ)アクリレートをモノマーユニットとして少なくとも有する樹脂が好ましく、アリル基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸及びアリル基非含有(メタ)アクリレートから選択されるモノマーとをモノマーユニットとして有する樹脂がより好ましい。
前記高分子物質の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)との二元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M=2〜90:10〜98〕や、(メタ)アクリル酸(M)とアリル(メタ)アクリレート(M)とベンジル(メタ)アクリレート(M)との三元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM:M:M=5〜40:20〜90:5〜70〕などが挙げられる。またフォトスペーサーなど高架橋を要するものはこれらにグリシジルメタクリレートを付加させた多元共重合体が有効である。
Figure 2009223043
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Figure 2009223043
本発明における高分子物質は、モノマーの(共)重合反応の工程とエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程から合成することができる。
まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
前記高分子物質の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で5,000〜100,000が好ましく、8,
000〜50,000がより好ましい。該重量平均分子量を5,000〜100,000
の範囲内とすることで、膜強度を良化することができる。
前記高分子物質の感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、15〜95質量%が好ましく、30〜85質量%がより好ましく、40〜75質量%が更に好ましい。
〈重合性モノマー〉
重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エステル化合物、アミド化合物、並びにその他の化合物が挙げられる。
前記エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも特に、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステル、などが挙げられる。
前記「その他のエステル化合物」としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、などが挙げられる。
また、上記のアミド化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミド、などが挙げられる。
また、上記の「その他の化合物」としては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載のアリル化合物、などが挙げられる。
上記した重合性モノマーは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。重合性モノマーの感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
感光性樹脂層の現像性の好ましい範囲を達成するために、感光性樹脂層中における、前記高分子物質の含有量A(質量%)と前記重合性モノマーの含有量(質量%)Bとの比B/Aを調整する手段が好ましい。
感光性樹脂層の110℃における溶融粘度η2を350〜180000Pa・sに調整する場合、この比B/Aを0.4以上1.2未満の範囲、好ましくは0.6以上1.0未満の範囲に調整することが好ましい。
上記溶融粘度の好ましい範囲を達成する他の手段として、感光性樹脂層に充填剤を含有させる手段が挙げられる。該充填剤としては、体質顔料又は顔料を挙げることができる。前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましい。前記顔料としては着色顔料が挙げられ、前記着色顔料としては、特開2003−302639号公報[0043]に記載の顔料が挙げられる。
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤としては、およそ300nm〜500nmの波長領域に約50以上の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有しているものが好ましく、例えば、特開平2−48664号公報、特開平1−152449号公報、及び特開平2−153353号公報に記載の芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ケトン化合物、ケトオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、などが挙げられる。
上記の中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体との組合せ、4−〔p−N,N’−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン〕、2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N’−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンなどが好ましい。
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。感光性樹脂層中における光重合開始剤の含有量としては、前記重合性モノマーの量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
本発明に係る感光性樹脂層には、上記した高分子物質、重合性モノマー、及び光重合開始剤の他、染料、顔料等の着色剤を含有してもよい。好ましい顔料の種類、サイズ等については、例えば特開平11−149008号公報の記載から適宜選択することができる。顔料等の着色剤を含有させた場合は、着色画素を形成することができる。また、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加することもできる。
−着色剤−
更に、本発明において、多層材料を用いてカラーフィルタを製造する場合、感光性樹脂層は着色剤を含むことが好ましい。
着色剤としては、公知のもの(染料、顔料)を添加することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、感光性樹脂層中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
上記公知の染料ないし顔料としては、例えば、特開2005−17716号公報の段落番号(0038)から(0040)に記載の色材、特開2005−361447号公報の段落番号(0068)から(0072)に記載の顔料、および特開2005−17521号公報の段落番号(0080)から(0088)に記載の着色剤などが好適に挙げられる。
特に、本発明における感光性樹脂層がテレビ用カラーフィルタの形成に用いられる場合、上記の着色剤の中でも、(i)R(レッド)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・レッド254が、(ii)G(グリーン)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・グリーン36が、(iii)B(ブルー)の感光性樹脂層においてはC.I.ピグメント・ブルー15:6が好適なものとして挙げられる。
更に上記顔料は組み合わせて用いてもよい。
本発明において、併用して用いることが好ましい上記記載の顔料の組み合わせは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、またはC.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、またはC.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23、またはC.I.ピグメント・ブルー60との組み合わせが挙げられる。
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(またはビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビヒクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。
前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項頁に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献の310項頁記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
−微粒子−
感光性樹脂層がスペーサー用途である場合は、微粒子を添加することが好ましい。前記微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点からコロイダルシリカが好ましい。
前記微粒子の平均粒子径は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
微粒子の平均粒子径の測定は、以下の方法によって行われる。微粒子の分散物をその分散媒で適宜希釈し、動的光散乱法粒子径測定器を用いて平均粒子径を測定する。
また、前記微粒子の含有量は、高い力学強度を有するフォトスペーサーが得られるという観点から、本発明における感光性樹脂層中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
−その他の添加剤−
[溶媒]
本発明における感光性樹脂層においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができる。
[熱重合防止剤]
本発明における感光性樹脂層は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
[紫外線吸収剤]
本発明における感光性樹脂層には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物の他、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。
[その他の添加物]
上記感光性樹脂層や、上記中間層には、前記熱可塑性樹脂層を膨張させる際の露光によって感光性樹脂層まで硬化させないために、露光光を遮断する能力のある物質を添加することが好ましい。
上記露光光を遮断する能力のある物質としては、有機色素などがその代表的な例である。例えば、インドレニン色素等のシアニン色素、アントラキノン系、アズレン系、フタロシアニン系等の色素、ジチオールニッケル錯体等の有機金属化合物等の色素を挙げることができる。感度の点からは、照射光波長における吸光係数の大きなシアニン色素、フタロシアニン系色素などがより好ましい。
尚、上記露光光を遮断する能力のある物質は、感光性樹脂層に含有させる場合の含有量としては、全固形分に対して0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。また、中間層に含有させる場合には、全固形分に対して0.2〜10質量%が好ましく、0.4〜8質量%がより好ましい。
また、本発明における感光性樹脂層においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
(仮支持体)
仮支持体としては、転写の支障とならない程度に前記熱可塑性樹脂層に対する剥離性を有するものが好ましく、化学的・熱的に安定で可撓性を有するものが好ましい。
前記仮支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。
仮支持体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。これらは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用してもよい。
仮支持体には、前記熱可塑性樹脂層との間に良好な剥離性を確保する観点から、グロー放電等の表面処理を行なわないことが好ましく、また、ゼラチン等の下塗層も設けないことが好ましい。仮支持体の厚みとしては、5〜300μm程度が好ましく、20〜150μmが好ましい。
前記仮支持体としては、その少なくとも一方の表面に導電性層が設けられているか、或いは仮支持体自体が導電性を有することが好ましい。仮支持体がこのように導電性を有する構成であると、該仮支持体を備えた多層材料を被転写体上に密着させた後に仮支持体を剥離する場合に、該仮支持体や該被転写体等が帯電して周囲のゴミ等を引き寄せることがなく、その結果、該仮支持体を剥離した後においても熱可塑性樹脂層上にゴミ等が付着せず、その後の露光過程で余分な未露光部ができることに伴なうピンホールの形成を効果的に防止することができる。仮支持体上の導電性層又は導電性を有する仮支持体の表面における表面電気抵抗としては、1013Ω以下が好ましい。
前記導電性を有する仮支持体とするには、該仮支持体中に導電性物質を含有させればよい。導電性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属酸化物、帯電防止剤などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、金属酸化物の形態としては、結晶微粒子、複合微粒子などが挙げられる。
前記帯電防止剤としては、例えば、エレクトロストリッパーA(花王(株)製)、エレノンNo.19(第一工業製薬(株)製)等のアルキル燐酸塩系アニオン界面活性剤、アモーゲンK(第一工業製薬(株)製)等のベタイン系両性界面活性剤、ニッサンノニオンL(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤、エマルゲン106、同120、同147、同420、同220、同905、同910(花王(株)製)やニッサンノニオンE(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルアミン系等のその他の非イオン系界面活性剤が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性層としては、公知の導電性物質の中から適宜選択して使用することにより形成することができ、該導電性物質としては、例えば、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoOなどが湿度環境に影響されず安定した導電効果が得られる点で好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属酸化物又は前記導電性物質の体積抵抗値としては、10Ω・cm以下が好ましく、10Ω・cm以下がより好ましい。
前記金属酸化物又は前記導電性物質の粒子径としては、0.01〜0.7μmが好ましく、0.02〜0.5μmがより好ましい。
前記導電性層には、バインダーとして、例えば、ゼラチン、セルロースナイトレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、炭素数1〜4のアルキルアクリレート、ビニルピロリドン等を含むホモポリマー又はコポリマー、可溶性ポリエステル、ポリカーボネート、可溶性ポリアミド、などを使用することができる。
(カバーフィルム)
多層材料においては、カバーフィルムは、保管等の際に汚れや損傷等から前記感光性樹脂層を保護する機能を有し、上記の仮支持体と同一又は類似の材料で構成することができる。
カバーフィルムとしては、前記感光性樹脂層から容易に剥離可能なものであればよく、例えば、シリコーン紙、ポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート等が好適に挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンシート又はフィルム、ポリプロピレンシート又はフィルムが好ましい。カバーフィルムの厚みとしては、5〜100μm程度が好ましく、10〜30μmがより好ましい。
(多層材料の作製方法)
本発明の多層材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後中間層用塗布液及び感光性樹脂層用塗布液を同様に順次塗布、乾燥して中間層、感光性樹脂層を設けることにより作製することができる。
尚、本発明の多層材料において、感光性樹脂層の膜厚としては、1.0〜6.0μmが好ましく、1.0〜5.0μmがより好ましく、1.0〜4.7μmが特に好ましい。また熱可塑性樹脂層としては、前記(i)のように複数層からなる場合における総厚みも、(ii)のように単層からなる場合も、2〜30μmが好ましく、5〜25μmがより好ましく、10〜20μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、中間層は0.5〜3.0μm、カバーフィルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
−スリット状ノズル−
上記多層材料は、公知の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、およびスリットコーターが好適に用いられる。
<樹脂パターンの形成方法>
本発明の樹脂パターンの形成方法は、前記多層材料のカバーフィルム上から仮支持体の一部に至る切り口を作製する工程(カバーフイルム切断工程)と、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で剥離しカバーフィルムを除去する工程(カバーフィルム剥離工程)と、
基板面と前記感光性樹脂層が接するように基板に貼り合わせる工程(転写工程)と、
転写後仮支持体と熱可塑性樹脂層との間で剥離し、仮支持体を除去する工程(仮支持体剥離工程)と、
を有することを特徴とする。
前記仮支持体剥離工程を経た後に、露光工程及び現像工程を有することが好ましい。
尚、カラーフィルタにおける着色画素の形成の場合には、基板上に樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法などによって得ることができる。
以下、本発明の樹脂パターンの形成方法を、工程の順を追って説明する。
(カバーフィルム切断・除去工程)
本発明の樹脂パターンの形成方法は、まず、カバーフィルム上から仮支持体の一部に至るまでの切り口を作製するカバーフィルム切断工程を有する。
前記切り口は、特に限定されず、公知の多層材料の製造装置に設けられたロータリーカッター等を用いることにより作製することができる。
前記仮支持体の一部に至るまでとは、カバーフィルム、感光性樹脂層、中間層、熱可塑性樹脂層を切断して、更に、仮支持体の深さ方向約40μmまでの切り口であり、支持体の一部が切り込まれるものの、切断されていない状況を意味する。切り口の形は、V字型の溝のように設ける。
前記切り口を設けることにより、カバーフィルム、感光性樹脂層、中間層、熱可塑性樹脂層を確実に切断しとすることができる。
続いて、上記で切断されたカバーフィルム上に、前記製造装置の粘着層を有する粘着ローラ等を貼りつけて、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で接着したカバーフィルムを剥離することにより、カバーフィルムを除去することができる。
上記カバーフィルム切断・除去工程は、具体的に、特開2007−260865号公報、特開2007−084200号公報記載の方法を用いるのが好ましい。
(転写工程)
−ラミネーターによる貼り付け−
本発明の多層材料を用い、フイルム状に形成した感光性樹脂層を、後述する基板上に加熱および/または加圧したローラーまたは平板で圧着または加熱圧着することによって、貼り付けることができる。
具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーターおよびラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
−基板−
本発明における上記基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、多層材料との密着を良好にすることができる。
該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
(仮支持体剥離工程)
仮支持体剥離工程は、前記転写後の多層材料の仮支持体を熱可塑性樹脂層から剥離して仮支持体を除去する工程である。
具体的には、基板面と前記多層材料の感光性樹脂層とを接するようにラミネートした後、仮支持体と熱可塑性樹脂層の界面から剥離して仮支持体を除去する工程である。
前記仮支持体は、上記のカバーフィルムの剥離工程と同様に、前記製造装置の粘着層を有する粘着ローラ等を貼りつけて、仮支持体を熱可塑性樹脂層の間で接着した仮支持体を剥離することにより除去することができる。
上記仮支持体の剥離は、具体的に、仮支持体を連続巻取式に剥離する連続剥離或いは枚葉式に分離された基板より突出する仮支持体の端部を把持して剥離することもできる。
上記仮支持体の剥離は、具体的に、連続剥離は特開2006−297879号公報、枚葉剥離は特開2007−320678号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
(露光・現像工程)
前記仮支持体剥離工程を経た後に、樹脂パターンのマスク再現性、現像性、及びベーク後の力学強度の観点から、露光・現像工程を有することが好ましい。
上述の方法により仮支持体と熱可塑性樹脂層を剥離した後、基板側に残った感光性樹脂層や中間層等の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、中間層等を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う、という工程を経て、樹脂パターンを得ることができる。
ここで、前記露光の光源としては、樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。
具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。
尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等、公知の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム(株)製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム(株)製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
<基板および表示装置>
上記した本発明の樹脂パターンの形成方法によって、液晶表示装置、PDP及びELなどに用いるカラーフィルタ、表示装置に用いるスペーサや液晶配向制御用突起等の樹脂パターンを有する基板(例えばガラス基板、プラスティック基板)上に形成することができる。
上記形成方法によれば、熱可塑性樹脂層と隣接層との間の剥離性がよく、剥離残りが効果的に抑制されているため、樹脂パターン形成の際に露光光が散乱せず、良好なパターンが形成でき、更には剥離残りに起因したムラを改善することができる。
上記カラーフィルタ、スペーサ、液晶配向制御用突起等の樹脂パターンは、表示装置、特には、小型モバイル機器や大型ディスプレイ等の液晶表示装置の基板に好適に用いられる。
以下、本発明を、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」および「分子量」は、「質量部」、「質量%」および「重量平均分子量」を表す。
(実施例1)
≪カラーフィルタ用多層材料の作製≫
−スペーサー用感光性転写フイルムの作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方Aからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚16.5μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 25.0部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、質量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 … 58.4部
(=63/37[モル比]、質量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 39.0部
・界面活性剤1(下記参照) … 10.0部
・メタノール … 90.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 51.0部
・メチルエチルケトン … 700部
*界面活性剤1
・下記構造物1 ・・・30%
・メチルエチルケトン ・・・70%
Figure 2009223043
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚1.6μmの中間層を積層した。
〔中間層用塗布液の処方B〕
・ポリビニルアルコール … 1.61部
(PVA−205、鹸化率88%、(株)クラレ製)
・末端アルキル変性ポリビニルアルコール … 1.61部
(末端アルキル基:C17、鹸化率88%、重合度300)
・ポリビニルピロリドン … 1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール … 42.9部
・蒸留水 … 52.4部
次に、形成した中間層上に更に、下記処方1からなる感光性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚3.6μmの感光性樹脂層を積層した。
〔感光性樹脂層用塗布液の処方1〕
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 468部
・コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルイソブチルケトン:70部、日産化学工業社製MIBKst) … 209部
・ソルスパース20000(アシビア製) …4.2部
・上記構造式P−25のポリマー45%溶液(質量平均分子量=3.5万、固形分45%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート15%、1−メトキシ−2−プロパノール40%) … 160部
・DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24%) … 86.0部
・2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン … 2.14部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル … 0.024部
・ビクトリアピュアブルーNAPS(保土ヶ谷化学工業株式会社製)の5%溶液
(固形分5%、メタノール26%、メチルエチルケトン69%) … 70.0部
・メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製) … 0.75部
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の積層構造に構成した後、感光性樹脂層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製フィルムを加熱・加圧して貼り付け、スペーサ用感光性転写フイルム(1)を得た。
≪カラーフィルタ基板の作製≫
<1.感光性濃色組成物の調製>
−カーボンブラック分散液(K−1)の調製−
下記処方でカーボンブラック分散液(K−1)を調製した。
・カーボンブラック(デグッサ社製 カラーブラックFW2) ・・26.7部
・分散剤(楠本化成製ディスパロンDA7500 酸価26 アミン価40)
・・・3.3部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])共重合体
(分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50質量%溶液) ・・・10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・60部
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、カーボンブラック分散液(K−1)を得た。
得られたカーボンブラック分散液(K−1)を用いて、下記表1の処方で感光性濃色組成物塗布液CK−1を調製した。表1中の数値は質量比を示す。
Figure 2009223043
表1中の各成分の詳細は下記のとおりである。
・樹脂溶液C−2:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=85/15モル比)共重合体、(Mw10000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50wt%溶液)
・UV硬化性樹脂C−3:商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業(株)製〔側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)〕
・重合性化合物C−5:商品名 TO−1382 東亞合成(株)製
(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの末端OH基の一部をCOOH基に置換した5官能のアクリロイル基を有するモノマーが主成分。)
・開始剤C−7:商品名「OXE−02」 チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製
・界面活性剤C−8:商品名「メガファックR30」 大日本インキ化学工業(株)製
・溶剤:PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP=3−エトキシエチルプロピオネート
<2.塗布によるブラックマトリクスの形成>
−感光性濃色組成物層形成工程−
得られた感光性濃色組成物CK−1を、洗浄したガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)にスリットコーター(型番HC8000、平田機工株式会社製)を用いて、ポストベーク後の膜厚が1.2μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
−プリベーク工程、露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、90℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8800、キヤノン株式会社社製)を用いて、100mJ/cmで露光した。
−現像工程−
その後、傾斜搬送型の現像装置(型番SK-2200G、大日本スクリーン製造株式会社製、傾斜角5°)で現像した。すなわち、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.20MPaに設定して、60秒現像し、純水で洗浄し、現像後のブラックマトリクスを得た。
−ベーク工程−
次いで220℃のクリーンオーブンで40分間ポストベーク処理し、着色画素形成領域の開口が90μm×200μmで、ブラックマトリックスの厚みが1.2μmで、ブラックマトリックスの線幅が約25μmの格子状ブラックマトリクス基板を形成した。
X-Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング(株)製)を用いて、
出来上がったブラックマトリックスの光学濃度(OD)を測定したところ、4.2であった。
<3.感光性着色組成物の調製>
− 3−1.赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1の調製−
下記処方で赤色(R)用分散液(R−1)を調製した。
・Pigment Red 254(SEM観察での平均粒子径43nm) ・・・11部
・Pigment Red 177(SEM観察での平均粒子径58nm) ・・・4部
・下記分散樹脂A−3の溶液 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製)
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの30%溶液)・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=75/25[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・9部
・溶剤B:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・68部
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し赤色(R)用分散液(R−1)を得た。得られた赤色(R)用分散液(R−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は36nmであった。
得られた赤色(R)用分散液(R−1)を用いて、下記処方で赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を調製した。
・赤色(R)用分散液(R−1) ・・・100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製 ・・・2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート・・・8部
・重合開始剤:4−(o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン ・・・1部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 ・・・1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン ・・・0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R30 大日本インキ化学工業社製)
・・・0.01部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:テトロニックR150 ADEKA社製)
・・・0.2部
・溶剤:プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート ・・・30部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・100部
上記成分を混合撹拌し、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を得た。
− 3−2.緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1の調製−
下記処方で緑色(G)用分散液(G−1)を調製した。
・Pigment Green 36(SEM観察での平均粒子径47nm) ・・・11部
・Pigment Yellow150(SEM観察での平均粒子径39nm) ・・・7部
・下記分散樹脂A−3の溶液 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=85/15[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・・11部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・70部
上記各成分を3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いたビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて8時間微分散処理を施し、緑色(G)用分散液(G−1)を得た。得られた緑色(G)用分散液(G−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は32nmであった。
得られた緑色(G)用分散液(G−1)を用いて、下記処方で緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を調製した。
・緑色(G)用分散液(G−1) ・・100部
・エポキシ樹脂:(商品名EHPE3150 ダイセル化学工業社製) ・・2部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート ・・8部
・重合性化合物:ペンタエリスリトールのテトラ(エトキシアクリレート)・・2部
・重合開始剤:1,3−ビストリハロメチル−5−ベンゾオキソラントリアジン
・・2部
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 ・・1部
・重合開始剤:ジエチルチオキサントン ・・0.5部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
・・0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) ・・0.5部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・120部
・溶剤:プロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート ・・30部
上記組成を混合撹拌し、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1を得た。
− 3−3.青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1の調製−
下記処方で青色(B)用分散液(B−1)を調製した。
・Pigment Blue 15:6(SEM観察での平均粒子径55nm) ・・・14部
・Pigment Violet 23(SEM観察での平均粒子径61nm) ・・・1部
・下記分散樹脂A−3の溶液 ・・・5部
・分散剤(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製 30%溶液)
・・・3部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=80/20[モル比]共重合体、分子量30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・ ・・4部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・73部
上記各成分を、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて1時間撹拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いてビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施し、青色(B)用分散液(B−1)を得た。得られた青色(B)用分散液(B−1)中の分散粒子をSEMで観察したところ平均粒子径は39nmであった。
得られた青色(B)用分散液(B−1)を用いて、下記処方で青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を調製した。
・青色(B)用分散液(B−1) ・・100部
・アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(=80/20[モル比]共重合体、分子量30,000)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)) ・・7部
・エポキシ樹脂:(商品名セロキサイド2080 ダイセル化学工業社製)・・2部
・UV硬化性樹脂:(商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業社製)
(側鎖に脂環、COOH基、及びアクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%) ・・4部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート ・・12部
・重合開始剤:1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバ
ゾル−3−イル)−1−(o−アセチルオキシム)エタノン ・・3部
・重合禁止剤: p−メトキシフェノール ・・0.001部
・フッ素系界面活性剤(商品名:Megafac R08 大日本インキ化学工業社製)
・・0.02部
・ノニオン系界面活性剤(商品名:エマルゲンA−60 花王社製) ・・1.0部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル ・・20部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・150部
上記成分を混合撹拌し、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1を得た。
<4.分散樹脂A−3の合成>
(1.連鎖移動剤A3の合成)
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕(下記化合物(33))7.83部、及び吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する下記化合物(m−6)4.55部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル28.90部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示すメルカプタン化合物(連鎖移動剤A3)の30%溶液を得た。
Figure 2009223043
(2.分散樹脂A―3の合成)
前記のようにして得られた連鎖移動剤A3の30%溶液4.99部、メタクリル酸メチル19.0部、及びメタクリル酸1.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.66部の混合溶液を、窒素気流下、90℃に加熱した。この混合溶液を攪拌しながら、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕0.139部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.36部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.40部の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了してから、90℃で2.5時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.046部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.00部の混合溶液を投入し、更に2時間反応させた。反応液にプロピレングリコールモノメチルエーテル1.52部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート21.7部を加え、室温まで冷却することで特定分散樹脂A−3(ポリスチレン換算の重量平均分子量24000)の溶液(特定分散樹脂30質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル21質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49質量%)を得た。
この特定分散樹脂A−3の酸価は48mg/gであった。分散樹脂A−3の構造を以下に示す。
Figure 2009223043
<カラーフィルタの作製>
−感光性着色組成物層形成工程−
得られた赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、前記ブラックマトリックス基板のブラックマトリックス形成面側に、塗布した。具体的には、感光性濃色組成物層形成の場合と同様に、ポストベーク後の感光性着色組成物層の層厚が約2.1μmとなるようにスリットとブラックマトリックス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
−着色層プリベーク工程、着色層露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、ミラープロジェクション方式露光機(型番MPA−8800、キヤノン株式会社製)を用いて、90mJ/cmで露光した。
また、露光パターンと、ブラックマトリックスとの重なり(露光重なり量)が9.0μmとなるようにマスクパターンと露光機を設定した。
−着色層現像工程、着色層ベーク工程−
その後、傾斜搬送型の現像装置(型番SK-2200G、大日本スクリーン製造株式会社製、傾斜角5°)で現像した。すなわち、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.2MPaに設定して、45秒現像し、純水で洗浄した。
次いで220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、熱処理済みの赤色画素を形成した。
次いで、上記感光性着色組成物層形成工程、着色層プリベーク工程、着色層露光工程、着色層現像工程、及び着色層ベーク工程において、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、緑色(G)用感光性着色組成物塗布液CG−1に代えた他は同様にして、緑色画素を形成した。さらにその後、赤色(R)用感光性着色組成物塗布液CR−1を、青色(B)用感光性着色組成物塗布液CB−1に代えた他は同様にして、青色画素を形成してカラーフィルタを得た。
上記より得たカラーフィルタのR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリックスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極を、スパッタリングにより形成した。
−フォトスペーサの作製−
得られたスペーサ用感光性転写フイルム(1)のカバーフィルム上からロータリーカッターで仮支持体の一部に至る切り口をつけ、テープを用いてカバーフィルムと感光性樹脂層の界面で剥離し、カバーフィルムを除去した。
この時のカバーフィルムの剥離性は良好であった。このときのカバーフィルムの剥離力は4cm幅あたり15gfであった。感光性樹脂層と中間層の剥離力は4cm幅あたり200gfであった。
露出した感光性樹脂層の表面を、上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上に重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。
その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、感光性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(層形成工程)。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量150mJ/cmにてプロキシミティー露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で10倍(T−PD2を1部と純水9部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で50秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、スペーサのパターン像を得た。
引き続き、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、所望のスペーサパターンを得た。
次に、スペーサパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、230℃下で60分間加熱処理を行ない(熱処理工程)、フォトスペーサーを作製した。
得られたスペーサーパターンは、直径12μm、平均高さ3.4μmの円柱状であった。尚、平均高さは、得られたスペーサ1000個を三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用い、ITOの透明電極形成面からスペーサの最も高い位置を測定(n=20)した。
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、上記で得られたカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
(実施例2〜15)
実施例1において、中間層のアルキル変性ポリビニルアルコールを表2に示すものに変更して多層材料を作成し、熱処理工程後のスペーサのサイズ(直径)が12μmになるよう露光してスペーサを形成した以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
(実施例16及び17)
実施例1の感光性樹脂層用塗布液の処方1において、メガファックF−780−Fを0.75部用いる代わりに、メガファックF−780−FとメガファックF−784−Fをそれぞれ0.75部及び1.13部を用いて多層材料を作成し、熱処理工程後のスペーサのサイズ(直径)が12μmになるよう露光してスペーサを形成した以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
(比較例1)
実施例1において、中間層の末端アルキル変性ポリビニルアルコールを全量PVA−205(重合度約550、鹸化率88%、(株)クラレ製)に置換した以外は、同様に多層材料を作成し、さらに熱処理工程後のスペーサのサイズが12μmになるよう露光してスペーサを形成した以外は実施例1と同様に行な行ない、表2に示す結果を得た。
(比較例2〜5)
実施例1において、中間層のアルキル変性ポリビニルアルコールの代わりに、PVA203(重合度300、鹸化率88%、(株)クラレ製)、KL118(カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、鹸化率98.5%、(株)クラレ製)、CM318(カチオン変性ポリビニルアルコール、(株)クラレ製)、ゴーセファイマーZ220(アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、鹸化率91.5%、日本合成化学(株)製)を用いた以外は同様に多層材料を作成し、さらに熱処理工程後のスペーサのサイズが12μmになるよう露光してスペーサを形成した以外は実施例1と同様に行ない、表2に示す結果を得た。
≪評価≫
−カバーフィルム/感光性樹脂層間密着力(剥離力)−
前記実施例および比較例において、得られたスペーサー用感光性転写フイルムのカバーフィルム上からポリエステル粘着テープ(日東電工製、No.31B,75φ×60×50 )をラミネートした後、幅4cmにカットし、テンシロンRTG−1210(オリエンテック(株)製)を用いて引っ張り試験(引っ張り速度500mm/分、剥離角度90度)を行ない、測定した。
−中間層/感光性樹脂層密着力(剥離力)−
前記実施例および比較例において、得られたスペーサー用感光性転写フイルムを基板にラミネートし、カバーフィルムを剥がし、感光性樹脂層に上記ポリエステル粘着テープをでラミネートした後、熱可塑性樹脂層と中間層の界面で剥離し、ポリエステル製テープ上に感光性樹脂層と中間層を転写させた。さらに剥れた中間層上に同様にポリエステル粘着テープをラミネートした後、幅4cmにカットし、上記同様にテンシロンで測定した。
−感度−
上記露光機を用い、実施例及び比較例で得られるスペーサのサイズ12μmを維持する露光量を感度とした。数値が小さいほど感度が良好であることを示す。
−カバーフィルム剥離性−
上記実施例および比較例において、得られたスペーサー用感光性転写フイルムのカバーフィルム上からロータリーカッターで仮支持体の一部に至る切り口をつけ、テープを用いてカバーフィルムと感光性樹脂層の界面で剥離してカバーフィルムを除去し、目視で観察し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。尚、実用レベルはC以上である。
<評価基準>
A:カバーフィルム上に感光性樹脂層の剥離残りが全く見られず、剥離性は極めて良好。
B:カバーフィルム切り口のエッジ部に点状の感光性樹脂層の剥離残りが微かに見られるが、他の部分に感光性樹脂層の剥離残りは起こらず、剥離性は良好。
C:カバーフィルム切り口のエッジ部に1mm幅程度の感光性樹脂層の剥離が少し見られ、またエッジ部から数cm離れた場所に微小な泡状に浮き上がった中間層と感光性樹脂層との間の剥離故障が僅かに発生とするが、表示部には存在せず、剥離性は普通。
D:カバーフィルムの切り口から数cm幅の帯状の感光性樹脂層の剥離が基板の表示部内まで至り、剥離性は悪い。
E:感光性樹脂層の剥離残りが全面に見られ、剥離性は極めて悪い。
Figure 2009223043
表から明らかな通り、比較例のいずれも中間層と感光性樹脂層との密着力(剥離力)が低く、一方、実施例は全てにおいて、中間層と感光性樹脂層との密着力(剥離力)が高く、カバーフィルムの剥離性は優れていた。

Claims (7)

  1. 少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有し、前記中間層がポリビニルアルコール系樹脂を含有し、該ポリビニルアルコール系樹脂が末端アルキル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする多層材料。
  2. 中間層と感光性樹脂層の密着力が4cm幅あたり30gf以上であることを特徴とする請求項1に記載の多層材料。
  3. 少なくとも仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性樹脂層と、カバーフィルムと、をこの順に有する多層材料のカバーフィルム上から仮支持体の一部に至る切り口を作製する工程と、カバーフィルムと感光性樹脂層との間で剥離しカバーフィルムを除去する工程と、基板面と前記感光性樹脂層が接するように基板に貼り合わせる工程と、転写後仮支持体と熱可塑性樹脂層との間で剥離し、仮支持体を除去する工程と、を有する樹脂パターンの形成方法であって、前記多層材料として請求項1又は請求項2に記載の多層材料を用いることを特徴とする樹脂パターンの形成方法。
  4. 前記仮支持体を剥離する工程を経た後に、少なくとも露光工程および現像工程を有することを特徴とする請求項3に記載の樹脂パターンの形成方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の樹脂パターンの形成方法によって形成された樹脂パターンを有することを特徴とする基板。
  6. 請求項5に記載の基板を備えたことを特徴とする表示装置。
  7. 請求項6に記載の基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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