JP2009222649A - 赤外線撮像素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画素の固着現象が発生し難く信頼性のある熱型赤外撮像素子を得ることを目的としている。
【解決手段】 本発明に係る熱型の赤外線撮像素子は、検出部が半導体基板から離間して支持する素子であり、検出部に対向する位置であって半導体基板上の画素領域に堆積膜を由来とするサイドウォールが孤立して立設されたことを特徴とするものである。
サイドウォールの幅は堆積層の堆積厚さになるためナノオーダまで薄くすることも可能である。したがって、サイドウォールと半導体基板とが接触する面積が極めて小さくできるため、固着する可能性が極めて小さくできる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、遠赤外域に感度を有する熱型の赤外線撮像素子に関するものである。
従来の熱型の赤外線撮像素子は、入射赤外線を熱に変換して温度変化による物性値の変化を電気信号として読み出していた。また、この素子は赤外検出感度を高めるため、検知部は基板から熱的に離隔された断熱構造となっていた。さらに、赤外線吸収部を広げて入射赤外線を受ける面積をかせぐために、検知部を赤外線吸収部と温度検知部とに分離した中空構造としていた(例えば、特許文献1参照)。
他方、加速度センサ等に見られるような、機械的な振動をする機構を有する中空構造のマイクロセンサでは、中空構造が基板等に接触した際にそのまま固着する現象が発生することがあり、これを抑止するために微小な突起を設ける工夫がなされていた(例えば、特許文献2、3参照)。さらには、構造体表面に特殊な被覆膜を付着させて、固着する確率を低下させる技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2005−233671号公報(第4頁、図2) 特開2006−95632号公報(第3頁、図1) 特開2000−349065号公報(第4頁、図1) 特開2005−144660号公報(第6頁、図1)
従来の赤外線撮像素子においては、振動式の角加速度センサのように積極的に機械的な駆動を行っていないものの、赤外線検知部は予期しない過渡的なの機械的衝撃が加わる可能性があった。例えば、素子を落としてしまったときに衝撃が加わる場合があり、この場合に中空構造体は基板等に接触してそのまま固着する現象が発生することがあった。そのため、かかる場合には画素欠陥が発生することになった。
ここで、特許文献2に見られるようなリソグラフィー技術を利用して作成した突起を赤外線撮像素子の固着防止のために採用した場合を想定すると、突起と中空構造体との接触面積はリソグラフィー技術の解像度に依存する。そのため、接触面積の大小に依存する固着の防止効果がリソグラフィー技術の解像度に左右される問題があった。
また、特許文献3に見られるような、シリコン基板の表面をウエットエッチングにより荒らす手法は、突起を所望の位置に正確に形成することはできなかった。したがって、中空構造が基板に接触する接点以外にも突起を形成する領域を設けなければならず、素子設計上の自由度が確保できないという問題があった。
また、特許文献4に見られる膜形成技術は、有機分子膜からのガス放出による真空度低下が懸念されるため、真空中で動作させる熱型の赤外撮像素子には信頼性確保の上で不向きであった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、固着現象が発生し難く信頼性のある熱型赤外撮像素子を得ることを目的としている。
本発明に係る赤外線撮像素子の製造方法は、検出部と、その検出部上に結合部を介して検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子の製造方法において、半導体基板上であって赤外線吸収部の下に第1の犠牲層を形成する工程と、第1の犠牲層の上を含む半導体基板上に堆積層を積層する工程と、堆積層をエッチング除去して第1の犠牲層の側壁にサイドウォールを形成する工程と、第1の犠牲層上およびサイドウォール上を含む半導体基板上に第2の犠牲層を形成した後に赤外線吸収部を形成する工程と、第1および第2の犠牲層を除去する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る赤外線撮像素子の製造方法は、検出部と、その検出部上に検出部から離間されて結合部を介して支持された赤外線吸収部と、検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子の製造方法の製造方法において、半導体基板上に第3の犠牲層を形成する工程と、第3の犠牲層上であって前記赤外線吸収部の下に第4の犠牲層を形成する工程と、第3の犠牲層上を含む半導体基板上に堆積層を積層する工程と、堆積層をエッチング除去して第4の犠牲層の側壁にサイドウォールを形成する工程と、サイドウォールの上にこれと接合する赤外線吸収部を形成する工程と、第3および第4の犠牲層を除去する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る赤外線撮像素子は、検出部と、その検出部上に結合部を介して検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子において、赤外線吸収部に対向する位置であって半導体基板上にサイドウォールが立設されたことを特徴とする。
また、本発明に係る赤外線撮像素子は、検出部と、その検出部上に結合部を介して検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子において、半導体基板に対向する位置であって赤外線吸収部の下面にサイドウォールが立設されたことを特徴とする。
この発明によれば、サイドウォールを利用した微細構造を形成したことにより、機械的な外乱により中空構造体が変位して基板等に接触しても固着現象が発生し難くなる。したがって、画素欠陥が発生し難い信頼性の高い熱型の赤外撮像素子を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る赤外線撮像素子の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1中のIIで示した部分を拡大した図であって、隣接する画素10を抜出して拡大した斜視図である。図2において、隣接する画素10の最上層である赤外線吸収部13がそれぞれ見えている。図3は、図2中に示した赤外線吸収部13を取除いた状態を示した模式図である。図3では、枠状のサイドウォール30が赤外反射体21上に配置されている。図4は、図3に赤外線吸収部13を破線で重ね描きしたものである。サイドウォール30は、仮に赤外線吸収部13が変形しても赤外線吸収部13の外縁が赤外反射体21に接触しないように、赤外反射体21上であって赤外線吸収部13の裏面に当接しうる位置に配置されている。
なお、本実施の形態では、サイドウォール30を赤外反射体21上に形成する場合を説明するが、必ずしも赤外反射体21上に形成する必要なく、例えば、赤外反射体21を省略した赤外撮像素子の場合には、Si基板上あるいはSi基板に積層したSi酸化膜などの上であれば形成可能である。すなわち、サイドウォール30は半導体基板上であればサイドウォール下部の層の種類には依存せず形成可能である。
図5は、図2中に示した画素を平面視した模式図であって、隣り合う2つの赤外線吸収部13を示した平面図である。図6は、斜視図で示した図3を平面視した模式図であって、図5で示した赤外線吸収部13の更に下層を示したものである。図7は、図6中に示した赤外反射体21より下層の状態を示した平面図である。図8は、図5中に示すVIII-VIII線に沿った画素の断面の模式図である。
まず、赤外線撮像素子の全体構成について説明する。
図1において、赤外線撮像素子は、画素10、水平走査回路2、垂直走査回路3、出力アンプ4、等により構成さている。また、画素10は、光学系(図示せず。)によって像が結像する基板上の領域(以下、撮像領域という)に2次元アレイ状に配列されている。画素10の出力信号は、それぞれ垂直選択線5及び信号線6を通じて水平走査回路2と垂直走査回路3とにより読み出され、出力アンプ4より素子外部へ出力される。
なお、ここでいう画素とは、赤外線撮像素子の画像信号を発生させるものであり、赤外線撮像素子上に配列された赤外線吸収部13や検出部16等の配列の最小の繰返し単位である。
さらに、赤外線撮像素子の構造について図8に従って説明する。
赤外線撮像素子は、SOI(Silicon On Insulator)基板の埋め込み酸化膜(図示せず。以下、BOX酸化膜という)の上に作製されたダイオードを検出器とした熱を電気信号へ変換する検出部16を有する。また、BOX酸化膜の下のSi基板12は部分的にエッチングされて空洞部18が形成されており、検出部16は支持脚17を介してSi基板12から離間されて支持されている。そのため、検出部16からSi基板12への熱伝導を低減する断熱構造となっている。したがって、画素10では素子へ入射する赤外線によって断熱構造の検知部分の温度が上昇し、その温度上昇を検出部16で熱電気変換し、電気信号として出力することが可能となる。
図8に従い画素10について更に説明する。上述したように、画素10は赤外線吸収部13と検出部16と支持脚17とを含む構成であって、赤外線吸収部13は画素の結合部14を介して検出部16から離間されて結合されている。支持脚17は窒化チタンからなる配線と酸化珪素からなる誘電体層を積層したものから構成されている。また、誘電体層は主に支持脚17の剛性を向上するために用いられている。赤外線吸収部13は、例えばシート抵抗が概ね350オームである窒化チタンからなる薄膜金属層を酸化珪素からなる誘電膜で挟んだものである。また、赤外線吸収部13と赤外反射体21とからなる光学的共振構造により、入射されてきた赤外入射光を効率よく赤外線吸収部13で吸収できる構造である。
さらに、画素の構造を説明する。赤外線吸収部13の下層には入射赤外線を遮蔽する構造としての赤外反射体21が一面にあり、画素の結合部14が通るに十分な開口部25が開いている。赤外反射体21は、例えばクロムからなる赤外反射膜を酸化珪素からなる誘電膜中に設けた構成であり、概ね9割以上の赤外反射率を有するものである。赤外反射体21は検知部16とは接触しないように形成され、画素の周辺部でSi酸化膜26を介してSi基板に固定されている。赤外反射体21は多重反射構造の構成要素として入射光の吸収には寄与しているものの、検出部16や赤外線吸収部13には接続されていない。なお、上述した開口部25は、この穴を通じてSi基板をエッチングし空洞部18を形成するための開口である。
つぎに、サイドウォール30について説明する。サイドウォール30は、赤外反射体21上に配置された突出した形状の厚みの薄い薄厚の構造体である。図3および図6を参照して、サイドウォール30は赤外反射体21上であって、平面視において2つの画素の赤外線吸収部13の下に重なるように配置された長方形の塀のような形状である。また、図8も合わせて参照して、サイドウォール30の先端は、赤外線吸収部13の裏面とは通常は接触していない。しかし、赤外線吸収部13が外力により変形したときは、サイドウォール30の先端は赤外線吸収部13と当接するが、赤外線吸収部13は赤外反射体21とは接触しない。サイドウォール30は、かかる関係が満たされる高さ及び配置位置をとるように設置されている。
また、サイドウォール30は後述する製造法により形成されるため、サイドウォール30の先端は、数十ナノオーダの幅の鋭利な突起となっている。
さらに、赤外反射体21の下層を示した図7について説明する。検出部16は支持脚17のみによって支持され、Si基板から熱絶縁された構造である。支持脚17は蛇行した細長い形状をとることによって断熱性の高い構造としたものである。
上述した画素の構成によれば、画素10では、入射されてきた赤外入射光は赤外線吸収部13で吸収され熱に変換される。さらに、赤外線吸収部13は画素の結合部14を介して検出部16結合されているため、この熱は検知部16に伝達され検知部16に設けているダイオードにより電気信号に変換される。
つぎに、赤外線撮像素子の製造方法を説明する。図9〜図18は、本実施の形態における製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、断面位置は図5中に示すVIII-VIII線に沿った位置に相当する。以下、工程順に説明する。
図9に示す第1工程では、シリコンプロセスを経て検出部16、支持脚17、信号線6、等をまず作製する。なお、図示していないがこの段階では赤外線撮像素子の読み出し回路(水平走査回路2、垂直走査回路3)等が形成されている。
図10に示す第2工程では、画素の上にレジストを塗布し、画素の検出部16、支持脚17の周囲を埋めている。この工程で塗布したレジストは、さらに、Si酸化膜26が露出するまで化学研磨法により平坦化され、画素平坦化犠牲層40となる。平坦化後に、赤外反射体21となる酸化珪素層とクロム層とからなる層27を積層する。なお、画素平坦化犠牲層40は画素の平坦化のためであり、最終工程で除去される
図11に示す第3工程では、酸化珪素層とクロム層の積層27の上にサイドウォール形成のための第1犠牲層41を形成する。第1犠牲層41は、酸化珪素層とクロム層の積層27の上にレジストを塗布して所定の形状にパターン化した犠牲層パターンである。なお、本実施形態では第1犠牲層41の形状は、所定の厚みを持つ直方体である。また、この厚みは後述するサイドウォール30の高さを調節するために適宜選択される。また、パターン化は半導体プロセスで常用されるリソグラフィーの手法を利用して作製する。
図12に示す第4工程では、酸化珪素からなる堆積層33を堆積する。堆積は、第1犠牲層41の側壁に付着する堆積物が極端に厚くならないようにコンフォーマルに酸化珪素の層を堆積する。なお、酸化珪素の他に窒化珪素などの誘電体を堆積することもできる。
図13に示す第5工程では、半導体プロセスでよく用いられる垂直異方性加工により、第1犠牲層41の側壁の周囲の堆積物のみを残して他の堆積層33を除去し、サイドウォール30を形成する。
この加工方法によれば、サイドウォール30の幅は堆積層33の形成厚さ程度となるため、ナノオーダ程度まで薄くすることも可能で鋭利な突起が形成できる。また、サイドウォール30は、第1犠牲層41の周囲全周に形成されるため、サイドウォール30の形状は必ず閉じた形状になり、例えば、図3あるいは図4に示される長方形の塀の形状とすることもできる。
図14に示す第6工程では、第2工程で形成した酸化珪素層とクロム層との積層27を所定のパターンで除去加工して、後述する画素の結合部14を通すに十分な開口部25を形成する。
図15に示す第7工程では、画素の平坦化のために第2犠牲層42を積層形成する。また、画素の結合部14を形成するために、犠牲層上部から検出部16に到達する開口62を開ける。また、第2犠牲層42は上述したサイドウォール30、第1犠牲層41を覆っている。
図16に示す第8工程では、画素の結合部14を形成し、その上に赤外線吸収部13を形成する。
図17に示す第9工程では、画素の最上層から基板表面に通ずる開口(図示せず)を通してエッチャントをSi基板12に到達させてシリコンをエッチングする。これにより空洞部18をSi基板12に形成する。
最後に、図18に示す第10工程で、全ての犠牲層を除去し、中空構造の断熱構造体を完成する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、サイドウォール30の幅は堆積層33の堆積厚さ程度となるためナノオーダ程度まで薄くすることも可能である。したがって、赤外線吸収部13が仮に変位しても赤外反射体21と直接接触することはなく、赤外線吸収部13は接触面積の極めて小さいサイドウォール30に当接することになる。したがって、接触する面積が極めて小さくできるため、固着する可能性が極めて小さくできる。
単純には比較できないが、固着力が接触面積に比例するとして、固着力は従来の数十分の一にまで小さくできる。つまり、従来技術に見られるようなリソグラフィー技術を利用して作製した突起を赤外線撮像素子の固着防止のために採用した場合を想定すると、突起と中空構造体との接触面積は利用するリソグラフィー技術の解像度に依存する。そのため、解像度にもよるが、突起のサイズはミクロンないしサブミクロンオーダーになる。しかしながら、サイドウォールを利用した場合は堆積層33の堆積厚さで制御できるので極めて小さくできる。
また、上述のサイドウォール30を用いた固着防止構造は、中空構造体に付加的な熱容量の増加をもたらさないので熱的なレスポンスの低下などなく、また、サイドウォール30は平面視において極めて薄いため入射赤外線を遮光することはほとんど無いので光学特性の低下もほぼ無い。
また、サイドウォール30は、第1犠牲層41の周囲全周に形成されるため、サイドウォール30の形状は必ず閉じた形状(例えば、図3あるいは図4に示される長方形))となる。それに対し、孤立した突起の場合は突起が点で基板と接合するため、基板から剥れることも予想される。しかしながら、四角形のような枠状であれば一部分が剥離したとしても他の部分によって付着しているので剥れるおそれが極めて小さい。
また、本実施の形態では、隣接する2つの赤外吸収部13の下にサイドウォール30を配置したが、平面的な形状、レイアウトは他の形状も可能であり、例えば、赤外吸収部13の四隅の下に小さな円形の枠を配設するレイアウトも可能である。したがって、画素内の任意の位置に微細な構造体を配置できるので、素子設計上の自由度が高い。
さらに、サイドウォール30は、酸化珪素、窒化珪素などの堆積物に由来しているので真空中に素子を収納しても、有機分子膜からのガス放出にみられる真空度低下の懸念はない。したがって、真空中で動作させる熱型の赤外撮像素子には信頼性確保の上で好都合である。
上述したように、サイドウォール30を利用した微細構造を形成したことにより、機械的な外乱により中空構造体が変位して基板等に接触しても固着現象が発生し難いので、機械的な外乱で画素欠陥が発生し難い熱型赤外撮像素子を得ることができる。
実施の形態2.
サイドウォールの形状として単純な矩形以外にも、一部が緻密に蛇行した形状も可能である。図19は、図6と同様の赤外線吸収部13の下にあるサイドウォールの形態を示したものである。蛇行部分は形状的にサイドウォールの剛性を高めることができる。そこで、中空構造の断熱構造体が基板に接触する可能性が高い箇所にこの蛇行部分63を設けると、仮に中空構造体が大きく変位してサイドウォールに強く当接しても高剛性のため破壊に至る不具合を抑制することが可能である。
実施の形態3.
上述の実施の形態1では赤外反射体上に配設したサイドウォールが赤外線吸収部に当接する例を説明したが、サイドウォールは必ずしも赤外反射体上に設けられる必要はなく、赤外線吸収部側に配設してもよい。本実施の形態では係る形態について以下説明する。
まず、本実施形態の赤外線撮像素子の製造方法について説明する。図20〜図27は、製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、断面位置は実施の形態1と同様であり図5中に示すVIII-VIII線に沿った位置に相当する。
図20に示す第1工程では、シリコンプロセスを経て検出部16、支持脚17、信号線6、等をまず作製する。なお、この工程は上述した実施の形態1と同じである。
図21に示す第2工程では、画素の上にレジストを塗布し、画素の検出部16、支持脚17の周囲を埋める。さらに、Si酸化膜26が露出するまで化学研磨法によりレジストを平坦化して画素平坦化犠牲層40を形成する。平坦化後に、赤外遮光体22となる酸化珪素層とクロム層とを積層する。次に、珪素層とクロム層との積層を所定のパターンに加工して、後述する画素の結合部14を通すに十分な開口部25を形成する。
図22に示す第3工程では赤外反射体21を含む画素の上にレジストを塗布して所定の形状にパターン化して第3犠牲層43を形成する。
図23に示す第4工程では、上述した第3犠牲層43の上にレジストを塗布して所定の形状にパターン化してサイドウォール形成のための第4犠牲層44を形成する。なお、本実施形態では、第4犠牲層44は所定の厚みを持つ直方体である。また、この厚みはサイドウォール31の高さを調節するために適宜選択される。また、パターン化は半導体プロセスで常用されるリソグラフィーの手法を利用して作製する。つぎに、酸化珪素からなる堆積層を堆積する。堆積は、第4犠牲層44の側壁に付着する堆積物が極端に厚くならないようにコンフォーマルに酸化珪素の層を堆積する。つぎに、半導体プロセスでよく用いられる垂直異方性加工により、第4犠牲層44の側壁の周囲の堆積物のみを残して他の堆積層を除去し、サイドウォール31を形成する。なお、堆積層には酸化珪素の他に窒化珪素などの誘電体を堆積することもできる。
図24に示す第5工程では、画素の上にレジストを塗布し、さらに、サイドウォール31が露出するまで化学研磨法により平坦化され、第5犠牲層45を形成する。
図25に示す第6工程では、まず第5犠牲層45の上部から検出部16に到達する開口を開け、つぎに結合部14を形成し、さらに結合部14の上に赤外線吸収部13を形成する。
図26に示す第7工程では、画素の最上層から基板表面に通ずる開口(図示せず)を通してエッチャントをSi基板12に到達させてシリコンをエッチングする。これにより空洞部18をSi基板12に形成する。
最後に、図27に示す第15工程で、全ての犠牲層を除去し、中空構造の断熱構造体を完成する。
本実施形態によれば、サイドウォール31の幅は堆積層の形成厚さ程度となるため、ナノオーダ程度まで薄くすることも可能で鋭利な突起が形成できる。したがって、この構成によっても、実施形態1で説明したものと同様の固着防止効果が期待できる。
また、中空構造の断熱構造体に付加的に微細構造であるサイドウォールを付設するため、若干の熱容量の増加に起因するレスポンス低下は生じてしまうが、他方、赤外吸収部の機械的強度が向上するという利点がある。つまり、レスポンス向上のために赤外吸収部の厚さは極めて薄膜化されて1ミクロンより薄い厚みに作製されるが、このために赤外吸収部の内部応力勾配により赤外吸収部の変形に抗することはできない。しかし、付設したサイドウォールは赤外吸収部の剛性を上げるため、格段に曲げ変形に強くなる。したがって、製造プロセスにおけるプロセスマージンがかなり拡大できるという効果がある。
上述した実施の形態は例示であって、本発明は例示した実施形態の範囲に限定されない。本発明は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の構成を示した斜視図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の斜視図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の斜視図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の斜視図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の平面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の平面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の平面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態1の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態2の熱型赤外検出素子の画素部の平面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。 本発明の実施形態3の熱型赤外検出素子の製造工程中の画素部の断面図である。
符号の説明
1 赤外線撮像素子、2 水平走査回路、3 垂直走査回路、4 出力アンプ、5 垂直選択線、6 信号線、10 画素、12 Si基板、13 赤外線吸収部、14 画素の結合部、16 検出部、17 支持脚、18 空洞部、20 エッチング孔、21 赤外反射体、25 開口部、26 Si酸化膜、27 酸化珪素層とクロム層の積層、30 サイドウォール、31 サイドウォール、32 サイドウォール、33 堆積層、40 画素平坦化犠牲層、41 第1犠牲層、42 第2犠牲層、43 第3犠牲層、44 第4犠牲層、45 第5犠牲層、62 開口、63 蛇行部分

Claims (6)

  1. 検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子の製造方法において、
    前記半導体基板上であって前記赤外線吸収部の下に第1の犠牲層を形成する工程と、
    前記第1の犠牲層の上を含む前記半導体基板上に堆積層を積層する工程と、
    前記堆積層をエッチング除去して前記第1の犠牲層の側壁にサイドウォールを形成する工程と、
    前記第1の犠牲層上および前記サイドウォール上を含む前記半導体基板上に第2の犠牲層を形成した後に前記赤外線吸収部を形成する工程と、
    前記第1および第2の犠牲層を除去する工程と、
    を備える熱型の赤外線撮像素子の製造方法。
  2. 検出部と、該検出部上に前記検出部から離間されて結合部を介して支持された赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子の製造方法において、
    前記半導体基板上に第3の犠牲層を形成する工程と、
    前記第3の犠牲層上であって前記赤外線吸収部の下に第4の犠牲層を形成する工程と、
    前記第3の犠牲層上を含む前記半導体基板上に堆積層を積層する工程と、
    前記堆積層をエッチング除去して前記第4の犠牲層の側壁にサイドウォールを形成する工程と、
    前記サイドウォールの上にこれと接合する赤外線吸収部を形成する工程と、
    前記第3および第4の犠牲層を除去する工程と、
    を備える熱型の赤外線撮像素子の製造方法。
  3. 検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子において、
    前記赤外線吸収部に対向する位置であって前記半導体基板上にサイドウォールが立設されたことを特徴とする赤外線撮像素子。
  4. 検出部と、該検出部上に結合部を介して前記検出部から離間されて支持された赤外線吸収部と、前記検出部を半導体基板から支持する支持脚とを備えた熱型の赤外線撮像素子において、
    前記半導体基板に対向する位置であって前記赤外線吸収部の下面にサイドウォールが立設されたことを特徴とする赤外線撮像素子。
  5. 酸化珪素もしくは窒化珪素またはこれらの混合物から成るサイドウォールであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の赤外線撮像素子。
  6. 半導体基板を平面視して、その形状に蛇行形状を有するサイドウォールであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の赤外線撮像素子。
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