JP2009221576A - 鉄基粉末混合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形体の焼結に際し、100℃未満という低温度域でも優れた成形性が得られ、さらには得られる焼結体の機械的強度および切削性に優れる、粉末冶金用の鉄基粉末混合物を提供する。
【解決手段】鉄基粉末に、添加材として、タルクおよびステアタイトのうちから選んだ少なくとも1種を0.01〜0.05mass%と脂肪酸アミドおよび金属石鹸を添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄粉、合金鋼粉などの鉄基粉末に、所定の添加材、さらには黒鉛粉および銅粉などの合金用粉末を混合した鉄基粉末混合物に関し、さらに詳しくは、常温から100℃未満の温度域での加圧成形において優れた圧縮性が得られ、特に自動車用高強度焼結部品の製造に好適な粉末冶金用の鉄基粉末混合物に関するものである。
粉末冶金用の鉄基粉末混合物は、鉄基粉末に、銅粉や黒鉛粉、燐化鉄粉などの合金用粉末と、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛などの潤滑剤、さらに必要に応じて切削性改善用粉末を混合して製造するのが一般的である。そして、使用する潤滑剤は、鉄基粉末との混合性や焼結時の散逸性などを考慮して選択されてきた。
近年、焼結部品に対する高強度化の要求の高まりと共に、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されたように、鉄基粉末混合物を加熱しつつ成形することにより、成形体の高密度かつ高強度化を可能にする温間成形技術が開発された。この技術により、鉄基粉末が加熱により塑性変形抵抗が低下することを利用して、より低い荷重での成形体密度の向上が可能となった。
しかしながら、このような鉄基粉末混合物は、以下に述べるような問題を残していた。
すなわち、温間成形は、金型および粉末を100℃以上の高温に予め加熱した後、鉄基粉末混合物を加圧成形する技術であるが、熱伝導性が悪い鉄基粉末混合物を安定して100℃以上に加熱・保温することは極めて難しいため、焼結部品の生産性の低下を招く傾向にあった。また、鉄基粉末混合物を長時間加熱することによって、鉄基粉末混合物の酸化による変質という問題も生じていた。
また、特許文献5や特許文献6には、MoS2やフッ化炭素、黒鉛などの層状結晶を有する無機化合物を潤滑剤として用いる技術が開示されている。
しかしながら、MoS2を用いた場合は、焼結時に分解して有害なSが発生し、焼成炉が汚染される危険性がある。また、フッ化炭素を用い、水素雰囲気中で焼結した場合は、フッ化水素の発生が懸念される。
特開平2−156002号公報 特公平7−103404号公報 米国特許第5,256,185号明細書 米国特許第5,368,630号明細書 特開平9−104901号公報 特開平10−317001号公報
ところで、自動車等の各種機械の部品を粉末冶金技術で製造するには、鉄基粉末混合物を金型に充填して圧粉成形し、さらに焼結を行う。こうして得られた焼結部品は寸法精度が良く、複雑な形状のものを製造することができる。但し、非常に厳しい寸法精度が要求される焼結部品を製造する場合には、焼結した後に、さらに機械加工(例えば切削加工やドリル加工等)を施す必要がある。
しかしながら、焼結部品は切削性に劣るので、機械加工で使用する切削工具が著しく損耗する。その結果、機械加工費が増大し、焼結部品の製造コストの上昇を招く。このような焼結部品の切削性の劣化は、内部に存在する気孔によって焼結部品の熱伝導率が低下し、切削中の焼結部品の温度が上昇するために生じる。
粉末冶金用の鉄基粉末混合物に快削成分(例えばS、MnS等)を添加することによって、焼結部品の切削性が改善されることは従来から知られている。快削成分は、切り屑を容易に破断させる効果、あるいは切削工具に薄い構成刃先を形成して切削工具(特にすくい面)の潤滑性を高める効果を有している。
焼結部品は、様々な機器の部品として採用されているが、とりわけ自動車の部品(例えばギヤ等)は高強度、高疲労強度が要求される。そこで、高強度、高疲労強度を有する焼結部品を製造するために、合金成分を添加した鉄基粉末混合物を使用する技術が種々検討されている。
例えば、特許文献7には、Ni,Cu,Mo等の粉末を純鉄粉に付着拡散させる技術が開示されている。この技術で得られた鉄基粉末混合物は圧縮性に優れており、高強度、高疲労強度を有する焼結部品の製造に好適である。
しかしながら、特許文献7に開示された技術では、Niの拡散が遅いので、純鉄粉にNiを十分に拡散させるために長時間の焼結が必要となる。また、得られた焼結部品の硬度が高いので、快削成分を鉄基粉末混合物に添加しても切削性の大幅な改善は期待できない。
また、引用文献8には、CとMoを含有し、MnとCrを実質的に含有しない低合金鋼粉に、Cu粉および/またはNi粉を添加し、さらに黒鉛粉を添加した鉄基粉末混合物が開示されている。さらに、引用文献9には、Mo,Mn,Cを含有する合金鋼粉にCu粉を融着させた鉄基粉末混合物が開示されている。これらの鉄基粉末混合物は、高強度の焼結部品の製造に好適である。
しかしながら、特許文献8,9に開示された鉄基粉末混合物では、切削性に優れた焼結部品を製造することは困難であった。
特公昭45−9649号公報 特開昭61−163239号公報 特開昭63−114903号公報
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、成形体の焼結に際し、焼成炉の炉内環境に悪影響を及ぼすことなく、また100℃未満という低温度域で優れた成形性が得られ、しかも切削性に優れた焼結部品を製造するのに好適な粉末冶金用の鉄基粉末混合物を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の問題を解決する方策として、鉄基粉末混合物の成形に際し、炉内環境に悪影響を及ぼすことなく、また鉄基粉末混合物の加熱温度をより低く、好ましくは加熱なしに成形した場合であっても、高密度の成形体の製造を可能とする添加材について、鋭意検討を重ねた。
その結果、添加材として、タルクやステアタイト、さらには脂肪酸アミドおよび金属石鹸を用いた場合に、これらの添加材の潤滑機能により、加圧成形時に鉄基粉末粒子の再配列が促進され、室温程度の低い成形温度であっても、成形密度の高い鉄基粉末成形体が得られること、またかかる鉄基粉末成形体を焼結して得られる焼結体は機械的強度および切削性に優れていることの知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)鉄基粉末に、添加材として、タルクおよびステアタイトのうちから選んだ少なくとも1種を0.01〜0.05mass%と脂肪酸アミドおよび金属石鹸を添加したことを特徴とする鉄基粉末混合物。
(2)前記鉄基粉末混合物中に、さらに合金用粉末を配合したことを特徴とする上記(1)に記載の鉄基粉末混合物。
本発明によれば、室温程度の低い温度で成形したとしても、成形密度が高くかつ抜出力が小さい鉄基粉末混合物を得ることができる。
また、本発明によれば、上記の鉄基粉末混合物を原料とすることにより、成形密度が高い鉄基粉末成形体、さらには焼結密度が高く、しかも機械的強度および切削性に優れた鉄基粉末焼結体を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の鉄基粉末混合物の原料について説明する。
本発明において、鉄基粉末としては、アトマイズ鉄粉や還元鉄粉などの純鉄粉、または部分拡散合金化鋼粉および完全合金化鋼粉、さらには完全合金化鋼粉に合金成分を部分拡散させたハイブリッド鋼粉などが例示される。
また、合金用粉末としては、黒鉛粉末、Cu,Mo,Niなどの金属粉末、ボロン粉末および亜酸化銅粉末などが例示される。これらの合金用粉末を鉄基粉末に混合させることにより焼結体の強度を上昇させることができる。
この合金用粉末の配合量は、鉄基粉末混合物中0.1〜10mass%程度とすることが好ましい。というのは、合金用粉末を0.1mass%以上配合することにより、得られる焼結体の強度が有利に向上し、一方10mass%を超えると焼結体の寸法精度が低下するからである。
さて、本発明では、添加材として、タルクおよびステアタイトのうちから選んだ少なくとも1種と、脂肪酸アミドおよび金属石鹸を添加することが重要である。そして、タルクは単斜晶系または三斜晶系の結晶構造、ステアタイトは単斜晶系の結晶構造をそれぞれ有することが好ましい。
添加材として、上記したタルクやステアタイト、脂肪酸アミドおよび金属石鹸を添加することにより、成形体の圧縮性が向上すると同時に、成形時の抜出力が低減し、成形性が大幅に改善される理由は、次のとおりと考えられる。
すなわち、タルクやステアタイトは、成形時に鉄基粉末粒子間で剪断応力を受けた際に、上記物質が結晶面に沿ってへき開し易く、そのため成形体内部の粒子間の摩擦抵抗が低減し、粒子間相互で動き易くなるという潤滑効果によって、成形体の密度が向上するものと考えられる。また、成形体と金型間にタルクやステアタイトが存在すると、成形体抜出時に金型表面からの剪断応力を受けてへき開するため、金型表面での成形体のすべり易さが向上し、抜出力が低減するものと考えられる。なお、これらの効果は、さらに脂肪酸アミドを添加することによって、格段に改善される。
これらの効果は、鉄基粉末混合物の温度によらず発現するため、鉄基粉末混合物を加熱する必要は必ずしもなく、常温での成形における鉄基粉末成形体の密度向上に有効に寄与する。また、鉄基粉末を加熱した場合は、加圧成形時に鉄基粉末の塑性変形抵抗が低下するため、より高い成形体密度が得られることが可能となる。従って、必要とする成形体密度に応じて、鉄基粉末の加熱温度を適宜設定することができるが、この加熱温度は100℃未満で十分である。
これらタルクおよびステアタイトの添加量は、鉄基粉末混合物全体に対し0.01〜0.05mass%の範囲とする必要がある。というのは、これらの添加材を0.01mass%以上添加することにより、加圧成形時における成形体密度を十分に向上させ、かつ成形体抜出時における抜出力を十分に低減させることができるからである。一方、添加量が0.05mass%を超えると、成形体を焼結して得た焼結材の機械的強度を低下させることが懸念される。
また、脂肪酸アミドとしては、脂肪酸モノアミドおよび脂肪酸ビスアミドのうちから選ばれる1種以上が好適である。この脂肪酸アミドの添加量は、鉄基粉末混合物全体に対し0.01〜0.5 mass%程度とすることが好ましい。というのは、添加量が0.01mass%にに満たないとその添加効果に乏しく、一方0.5 mass%を超えると成形体強度の低下を招くからである。
また、本発明では、添加材中に、さらに金属石鹸を含有させる。ここに、金属石鹸としてはステアリン酸亜鉛およびステアリン酸リチウムなどが好ましい。これらは、前記成形時の潤滑効果により、粒子間の摩擦抵抗を低減し、粒子相互を動きやすくすることにより、成形体の密度を向上させるだけでなく、鉄基粉末混合物の流動性をさらに向上させることができる。
この金属石鹸の添加量は、鉄基粉末混合物全体に対し0.01〜0.5 mass%程度とすることが好ましい。というのは、添加量が0.01mass%にに満たないとその添加効果に乏しく、一方0.5 mass%を超えると成形体の強度が低下するからである。
さらに、脂肪酸アミドと、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸リチウムとを複合添加する場合は、脂肪酸アミドとステアリン酸亜鉛やステアリン酸リチウムとの総量が、鉄基粉末混合物全体に対し0.01〜1.0 mass%添加することが好ましく、0.05〜0.5mass%添加することがさらに好適である。というのは、添加量が0.01mass%に満たないと金属石鹸の添加効果が発現せず、一方1.0 mass%を超えると成形体の強度が低下し、焼結条件によっては焼結を阻害して、焼結体強度の低下を招き、好ましくないからである。
また、タルクやステアタイトは、潤滑性能を発揮する他、鉄基粉末混合物を成形し、焼結する際に分解しない、すなわち有害な分解ガスを発生させず、焼結を阻害しないため、焼結体の機械的強度の向上にも寄与する。
さらに、これらのタルクやステアタイトは、快削成分として知られるMgO−SiO2系酸化物であり、焼結体の切削性の改善にも有効に寄与するが、その効果は金属石鹸と複合添加することにより一層向上する。
以下、上記の効果を発現させるのに好適なタルク、ステアタイトの添加量について説明する。
上記の目的でタルク(3MgO・4SiO2)やステアタイト(MgO・SiO2)を添加する場合、単独添加または複合添加いずれの場合においても、添加量が0.01mass%に満たないと十分に満足いくほどの切削性の改善効果が得られず、一方0.05mass%を超えると圧粉密度:7.3 Mg/m3を超える高密度成形時の抜出力が上昇し、量産成形への適用が困難となる場合がある。
従って、量産成形に適用可能な低抜出力および焼結体の良好な切削性を得るためには、タルクおよびステアタイトは単独添加または複合添加いずれの場合においても、0.01〜0.05mass%の範囲で添加する必要がある。
次に、上記した優れた機械的強度および切削性を得るのに好適な合金組成について説明する。
鉄基粉末としては、水アトマイズ合金鋼粉が好適であり、合金成分については次のとおりである。なお、合金成分の含有量(mass%)は、水アトマイズ合金鋼粉と後述する添加材とを混合して得られる鉄基粉末混合物の質量(mass%)に占める比率を内数で示す。
Mo:0.3〜0.5mass%
Moは、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上によって焼結部品の強度を高める元素である。しかしながら、含有量が0.3mass%未満では、十分満足いくほどの焼結部品の強度向上が望めず、一方0.5mass%を超えると、焼結部品の強度向上効果が飽和するばかりか、切削性の低下を招く。従って、Moは0.3〜0.5mass%の範囲内とする。
Mn:0.1〜0.25mass%
Mnも、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上によって焼結部品の強度を高める元素である。しかしながら、含有量が0.1mass%未満では、やはり十分な焼結部品の強度向上が望めず、一方0.25mass%を超えると、Mnの酸化が進行し易くなり、合金鋼粉の強度と圧縮性が低下する。従って、Mnは0.1〜0.25mass%の範囲内とする。
上記した水アトマイズ合金鋼粉に、以下に述べる添加材を混合する。なお、これらの添加材の添加量(mass%)は、水アトマイズ合金鋼粉と添加材とを混合して得られる鉄基粉末混合物の質量(mass%)に占める比率を内数で示す。
Cu粉:1〜3mass%
Cuは、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上によって焼結部品の強度を高める元素である。また、Cu粉は、焼結の際に溶融して液相となり、水アトマイズ合金鋼粉の粒子を互いに固着させる作用がある。しかしながら、添加量が1mass%に満たないとその効果に乏しく、一方3mass%を超えると、焼結部品の強度向上効果が飽和するばかりでなく、切削性の低下を招く。従って、Cu粉は1〜3mass%の範囲内とする。
なお、Cuを添加するにあたっては、添加量が上記の範囲内であれば、
(a) 水アトマイズ合金鋼粉にCu粉を添加して単に混合する、
(b) 水アトマイズ合金鋼粉の表面にバインダーを介してCu粉を付着させる、
(c) 水アトマイズ合金鋼粉とCu粉を混合し、さらに熱処理して水アトマイズ合金鋼粉の表面にCu粉を付着拡散させる
という方法のいずれを採用しても良い。
黒鉛粉:0.1〜1.0mass%
黒鉛粉の主成分であるCは、焼結時に鉄に固溶し、固溶強化、焼入れ性向上によって焼結部品の強度を高める元素である。焼結後に浸炭熱処理等で、焼結体に外部から浸炭する場合には、添加する黒鉛粉は少なくても良い。しかしながら、焼結後に浸炭熱処理を行わない場合、黒鉛粉の含有量が0.1mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0mass%を超えると過共析になるためセメンタイトが析出して強度が低下し、かつ切削性の低下を招く。また、焼結後に浸炭熱処理する場合でも、焼結体内部までは浸炭されないため、黒鉛粉は0.1〜0.7mass%程度含有させることが好ましい。従って、黒鉛粉は0.1〜1.0mass%の範囲内とする。
次に、本発明の鉄基粉末混合物の製造方法について説明する。
鉄基粉末に、タルク、ステアタイト、脂肪酸アミドおよび金属石鹸などの添加材、さらに必要に応じて合金用粉末を加えて、1次混合する。ついで、1次混合後の混合物を、上記した添加材のうち少なくとも1種の添加材の融点以上に加熱しつつ撹拌し、混合しながら徐々に冷却して、鉄基粉末の表面に溶融した添加材によって合金用粉末やその他の添加材を固着させる。
なお、上記したタルク、ステアタイト、脂肪酸アミド、金属石鹸などの添加材は、必ずしも全量を一度に添加する必要はなく、一部のみを添加して1次混合を行ったのち、残部を添加して2次混合することもできる。
また、混合手段としては、特に制限はなく従来から公知の混合機いずれもが使用できるが、加熱が容易な、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機および円錐遊星スクリュー形混合機などは特に有利に適合する。
次に、本発明の鉄基粉末混合物を用いた鉄基粉末成形体の製造方法および鉄基粉末焼結体の製造方法について説明する。
本発明の鉄基粉末混合物は、通常の成形方法で成形体とすることができる。すなわち、常温で成形することができる。とはいえ、鉄基粉末混合物や金型を加熱したり、金型に潤滑剤を塗布することは有利である。加熱雰囲気で成形を行う場合、鉄基粉末混合物や金型の温度は100℃未満とすることが好ましい。というのは、本発明に従う鉄基粉末混合物は圧縮性に富むので100℃未満の温度でも優れた成形性を示し、また100℃以上になると酸化による劣化が懸念されるからである。
ついで、上記のようにして得られた高密度鉄基粉末成形体に、焼結処理を施して、高密度の焼結体とする。焼結処理については、特に限定されることはなく、従来公知の焼結処理方法いずれもが好適に使用できる。また、焼結処理後に、ガス浸炭熱処理や浸炭窒化処理等の熱処理を適用することも可能である。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
表1に、鉄基粉末として用いた各種の粉末冶金用鉄粉(いずれも平均粒径:約80μm)の種類を示す。
表2に示すように、各種の鉄基粉末、天然黒鉛粉(平均粒径:5μm)および/または銅粉(平均粒径:25μm)に、各種添加材(1次添加材)を添加し、高速底部撹拌式混合機で混合しながら140℃に加熱した後、60℃以下に冷却し、さらに各種添加材(2次添加材)を添加し、500rpmで1分間撹拌後、混合機から混合粉末を排出した。1次および2次添加材の種類と添加量を 、表2に併記する。添加材の添加量(質量部)は、鉄基粉末と天然黒鉛粉と銅粉との合計質量:100mass%に対する比率を外数で示したものであるが、内数で表した数値とほぼ同じである。なお、タルク粉末、ステアタイト粉末の平均粒径はそれぞれ6μm、4μmであった。
次に、得られた各鉄基粉末混合物を、室温下で、内径:11mmの超硬製タブレット型に充填し、784 MPaで加圧成形した。その際、成形体を金型から抜出す時の抜出力および得られた成形体の圧粉密度を測定した。
さらに、得られた各鉄基粉末混合物に対し、別途、引張試験用の10×10×55mm試験片と切削試験用の外径60mm×内径20mm×厚み30mm試験片の圧粉成形を行った。圧粉成形の加圧力は784 MPaとした。焼結はRXガス雰囲気中で行い、加熱温度を1130℃とし、加熱時間を20分とした。
引張試験用の10×10×55mm試験片から、機械加工により平行部径:5mmの小型丸棒引張試験片を作製した。かかる引張試験片については、一部は焼結の後、一部は浸炭処理を施した後、引張試験に供した。
焼結体の切削性については、サーメットの切削工具を用いて、切削速度:200m/分、送り:0.1mm/回、切込み深さ:0.3mm,切削距離:1000mの条件で切削試験を行い、切削工具の逃げ面の摩耗幅を測定した。切削工具の逃げ面の摩耗幅が小さいほど、焼結体の切削性が優れていることを示す。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2009221576
Figure 2009221576
Figure 2009221576
表2〜3に示した発明例1〜6と比較例1〜6とを比較すれば明らかなように、潤滑剤として本発明の1次および2次添加材を添加することにより、室温成形であっても高密度の圧粉体を極めて低い抜出力で成形することができ、また焼結体および焼結浸炭熱処理材の引張強度が高く、切削性も良好であった。
これに対し、ステアタイトを添加しない比較例はいずれも、切削工具の摩耗が大きく、切削性に劣っていた。また、ステアタイト量が0.06%と本発明の上限を超えた比較例は、高密度成形時における抜出力が上昇した。

Claims (2)

  1. 鉄基粉末に、添加材として、タルクおよびステアタイトのうちから選んだ少なくとも1種を0.01〜0.05mass%と脂肪酸アミドおよび金属石鹸を添加したことを特徴とする鉄基粉末混合物。
  2. 前記鉄基粉末混合物中に、さらに合金用粉末を配合したことを特徴とする請求項1に記載の鉄基粉末混合物。
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