JP2009220762A - 車両走行状況警告装置および車両走行状況警告装置用のプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の挙動に関する物理量に基づいて警告を行う技術において、道路勾配に応じてよりきめ細かく警告の条件を変化させることで、不必要な警告を従来よりも低減する。
【解決手段】省燃費運転支援システムは、地図データまたは各種センサから道路勾配の情報を取得し(ステップ115、130)、特定した傾斜度に基づいて、現在位置が平坦であるか否かを判定し(ステップ135)、平坦でない場合、すなわち上り勾配と下り勾配のどちらかである場合、その上り勾配または下り勾配の傾斜度に応じた閾値を、変動閾値テーブルおよび現在の車速に基づいて特定する(ステップ145)。そして、現在のアクセル開度および現在のエンジン回転数のそれぞれについて、設定した閾値を超えているか否かを判定し(ステップ150)、超えている物理量については、ドライバに警告を行う(ステップ155)。
【選択図】図3
【解決手段】省燃費運転支援システムは、地図データまたは各種センサから道路勾配の情報を取得し(ステップ115、130)、特定した傾斜度に基づいて、現在位置が平坦であるか否かを判定し(ステップ135)、平坦でない場合、すなわち上り勾配と下り勾配のどちらかである場合、その上り勾配または下り勾配の傾斜度に応じた閾値を、変動閾値テーブルおよび現在の車速に基づいて特定する(ステップ145)。そして、現在のアクセル開度および現在のエンジン回転数のそれぞれについて、設定した閾値を超えているか否かを判定し(ステップ150)、超えている物理量については、ドライバに警告を行う(ステップ155)。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両走行状況警告装置および車両走行状況警告装置用のプログラムに関するものである。
従来、ドライバの省燃費運転等を促すために、車両の挙動に関する物理量(例えば、アクセル操作、ブレーキ操作、車速)に基づいて警告を行う技術が知られている。例えば、特許文献1に記載の技術では、上り勾配から下り勾配に変化する変化点の手前においては、アクセルオンを起因として警告を行い、下り勾配から上り勾配に変化する変化点の手前においは、補助ブレーキオンを起因として警告を行うようになっている。
特開2007−156704号公報
しかし、特許文献1の技術は、道路勾配について単に上り、下りの区別を判断し、その区別によって警告実行の起因を切り替えているに過ぎない。更に、特許文献1の技術においては、警告実行の起因となるのが、アクセルまたは補助ブレーキの単なるオン、オフの区別であるに過ぎない。このように、特許文献1の技術は大まかな基準で警告処理を実行するようになっているので、勾配の傾斜度によってはアクセルやブレーキをオンせざるを得ない状況であっても警告を行ってしまう可能性が高い。
本発明は上記点に鑑み、車両の挙動に関する物理量に基づいて警告を行う技術において、道路勾配に応じてよりきめ細かく警告の条件を変化させることで、不必要な警告を従来よりも低減することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両(10)に搭載された車両走行状況警告装置が、車両(10)の挙動に関する物理量(例えば、増大すると燃費が悪化する傾向にある物理量)が閾値を超えたことに基づいて、車両(10)のドライバに警告を行う。そして車両走行状況警告装置は、車両(10)の位置における道路の上り勾配または下り勾配の傾斜度を特定し、特定した傾斜度に応じて、閾値を変動させる。
このように、車両走行状況警告装置は、車両の挙動に関する物理量の閾値に基づいて警告の実行の有無を制御する。したがって、単にアクセルのオン、オフ、ブレーキのオン、オフといったような単純な区分けではなく、物理量がこの値までは警告の必要がなく、この値を超えたら警告が必要であるといった、よりきめ細かい基準に基づいて警告の有無を制御することができる。
また、車両走行状況警告装置は、上り勾配において、または下り勾配において、傾斜の度合いに応じて物理量の閾値を変動させる。したがって、単なる傾斜の有無といった単純な区分けではなく、傾斜の度合いという、よりきめ細かい基準に基づいて警告実行の条件を変動させることができる。したがって、車両走行状況警告装置は、不必要な警告の発生を従来よりも低減することができる。
また、請求項2に記載のように、車両走行状況警告装置は、上り勾配または下り勾配の傾斜度と物理量との対応関係が記述されたテーブル(13b)に、上述のように特定された傾斜度を適用することで、閾値を決定するようになっていてもよい。このようになっているとで、傾斜度と閾値との関係を毎回計算する必要がなくなるので、処理負荷の低減が実現する。
このようにするのは、下り勾配においては、アクセルが踏み込まれなくても、重力加速度による車輪の回転からエンジンの回転数が上昇するため、その上昇の度合いは、傾斜度が大きいほど大きくなるからである。燃料を消費せずにエンジン回転数が上昇する場合にまで、警告を行う必要性は乏しい。また、例えば、下り勾配においてアクセル開度が0%であるときは、燃料を消費していないため警告を行う必要性は乏しい。
また、請求項4に記載のように、上記物理量は車両(2)のアクセル開度であってもよい。その場合、車両走行状況警告装置は、特定した傾斜度が上り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほど閾値を大きくするようになっていてもよい。
このようにするのは、上り勾配においては、重力に逆らって車両を走行させる必要があるので、エネルギー出力を保つためアクセル開度を上昇させざるを得ないからである。そして、アクセル開度を上昇させる必要性は、傾斜度が大きいほど大きくなる。
また、請求項5に記載のように、上記物理量は車両(2)のアクセル開度であってもよい。その場合、車両走行状況警告装置は、上記のような作動に加え、車両(10)の現在位置から基準距離離れた前方の位置に上り勾配があるときに、当該上り勾配の傾斜度を特定し、前記上り勾配に前記車両(10)が入る前において(例えば当該現在位置において)、当該前方の位置の傾斜度に応じて、閾値を変動させるようになっていてもよい。
このようにすることで、上り勾配の手前においてはアクセルの踏み足しが許可されるので、当該上り勾配で定速走行が実現する可能性が高くなる。
また、請求項6に記載のように、車両走行状況警告装置が警告を行った位置を車両(10)が通過してから基準時間経過後に、警告を行った位置についての走行のアドバイスをドライバに報知するようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバは、警告を(現在または過去に)受けた位置を通り過ぎて一段落つき、かつ、通過時の当該位置の状況を思い返すことができる程度の範囲内で、当該位置の走行についてのアドバイスを受けることができるので、ドライバの学習効果が高まる。
また、請求項7に記載のように、車両走行状況警告装置は、車両走行状況警告装置による警告の履歴に基づいて、ドライバに走行のアドバイスを報知するようになっていてもよい。
このように、ドライバが受けた警告の履歴に基づいて、ドライバの特性に適した方法で運転のアドバイスを行うことができる。
また、請求項8に記載のように、請求項1に記載の発明の特徴は、プログラムとしても捉えることができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。この車載システムは、省燃費運転支援システム1、GPS受信機2、車速センサ3、加速度センサ4、アクセル開度センサ5、エンジン回転数センサ6を有している。これら装置1〜6は、車内LANを介して互いにデータを授受することができるようになっている。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。この車載システムは、省燃費運転支援システム1、GPS受信機2、車速センサ3、加速度センサ4、アクセル開度センサ5、エンジン回転数センサ6を有している。これら装置1〜6は、車内LANを介して互いにデータを授受することができるようになっている。
GPS受信機2は、GPS衛星から受信した信号に基づいて自車両の現在位置および走行方向を特定し、特定結果を省燃費運転支援システム1に送信する装置である。車速センサ3は、車両の走行速度を検出し、省燃費運転支援システム1に送信する周知の装置である。加速度センサ4は、車両の上下方向および前後方向のそれぞれの加速を検出し、省燃費運転支援システム1に送信する周知の装置である。アクセル開度センサ5は、アクセルの開度(100%が最大踏み込みに相当する)を検出し、省燃費運転支援システム1に送信する周知の装置である。エンジン回転数センサ6は、エンジン回転数を検出し、省燃費運転支援システム1に送信する周知の装置である。
省燃費運転支援システム(車両走行状況警告装置の一例に相当する)1は、音出力装置11、車内LANインターフェース12、記憶媒体13、および制御回路14を有している。音出力装置11は、制御回路14からの制御に基づいて、あるときは警告のためのビープ音を出力し、またあるときはアドバイス音声を出力する。
車内LANインターフェース12は、車内LANと制御回路14とを繋ぐインターフェースである。制御回路14は、この車内LANインターフェース12を介してセンサ2〜6から信号を受信する。
記憶媒体13は、HDD、フラッシュメモリ等の、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体である。この記憶媒体13には、地図データ13a、変動閾値テーブル13b等が記録されている。
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。
また、道路データには、勾配データが含まれている。勾配データは、各リンク(またはリンクを複数に分割した各セグメント)における、傾斜角およびその傾斜の方向を示すデータである。
変動閾値テーブル13b(テーブルの一例に相当する)においては、上り勾配の複数の傾斜度および下り勾配の複数の傾斜度のそれぞれについて、速度とアクセル開度の閾値との関係および速度とエンジン回転数の閾値との関係が記述されている。図2に、変動閾値テーブル13bの一例を示す。図2の例においては、傾斜度と関連する量として、傾斜角が用いられている。ここでいう傾斜角は、水平面に対して車両の進行方向が成す角であり、上り方向がプラス方向に相当し、下り方向がマイナス方向に相当する。
なお、上り勾配の傾斜度は、傾斜角が大きいほど(すなわち図2中で下に行くほど)大きくなり、下り勾配の傾斜度は、傾斜角が小さいほど(すなわち図2中で上に行くほど)大きくなる。すなわち、上り勾配および下り勾配とも、傾斜角の絶対値が大きくなるほど、傾斜度が大きくなる。
変動閾値テーブル13bの閾値の例としては、例えば、下り勾配が3°(すなわち傾斜角が−3°)の坂では、十分な走行速度を得るためのアクセル開度は10%〜50%、エンジン回転数は3000rpm以下、アクセル開度閾値は50%、エンジン回転数閾値は3000rpmとなっていてもよい。
また例えば、上り勾配が5°(すなわち傾斜角が+5°)の坂では、十分な登坂速度を得るためのアクセル開度は30%〜70%、エンジン回転数は1500rpm〜3000rpm、アクセル開度閾値は70%、エンジン回転数閾値は3000rpm。となっていてもよい。
また例えば、上り勾配が1°(すなわち傾斜角が+1°)の坂では、十分な登坂速度を得るためのアクセル開度は10%〜60%、エンジン回転数は1500rpm〜2500rpm、アクセル開度閾値は60%、エンジン回転数閾値は2500rpm。
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMから読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、記憶媒体13から情報を読み出し、RAMおよび記憶媒体13に対して情報の書き込みを行い、車内LANインターフェース12を介してセンサ2〜6から信号を受信し、音出力装置11を制御する。
以下、制御回路14の具体的な作動内容について説明する。制御回路14は、図3に示すプログラム100を、車両の走行中に繰り返し実行し、その実行において、まずステップ105で、GPS受信機2からの信号に基づいて自車両の現在位置を特定する。
続いてステップ110では、地図データ中の勾配データを検索して、自車両の現在位置が属するリンク(またはセグメント)の勾配の情報があるか否かを判定する。あれば続いてステップ115を実行し、なければ続いてステップ120を実行する。
ステップ115では、勾配データ中の現在位置の勾配情報を読み出し、読み出した勾配情報に基づいて、自車両の走行方向の傾斜角を特定する。自車両の走行方向は、GPS受信機2から取得してもよい。ステップ115に続いては、ステップ135を実行する。
ステップ120では、車速センサ3からの信号に基づいて自車両の現在の走行速度を特定する。続いてステップ125では、加速度センサ4からの信号に基づいて自車両の現在の加速度を特定する。
続いてステップ130では、特定した走行速度および加速度に基づいて自車両の傾斜角を特定する。ここで、車速センサ3から取得した走行速度の時間微分および加速度に基づいて自車両の走行方向の傾斜角を算出る方法は、周知である。例えば、加速度センサ4からの信号に基づいて特定した自車両の前進方向の加速度をAx、自車両の鉛直方向の重力加速度をAz、走行速度の時間微分(車両加速度)をDV、傾斜角をθとすると、θ=sin−1[(Ax―DV)/Az]という式で、相対傾斜が求まり、GPSにより補正することで傾斜角を特定することができる。ステップ130に続いて ステップ135では、道路が平坦であるか否かを判定する。具体的には、ステップ115または130で特定した傾斜角の絶対値が1°以下であれば平坦であると判定し、1°を超えていれば平坦でないと判定する。
平坦であると判定した場合、続いてステップ140で、アクセル開度およびエンジン回転数の閾値として、デフォルトの閾値を設定する。具体的には、図2の変動閾値テーブル13bにおいて、平坦な場合における車速と傾斜角との対応関係を採用する。
平坦でないと判定した場合、続いてステップ145で、アクセル開度およびエンジン回転数の閾値として、特定した傾斜角(すなわち上り勾配の傾斜度または下り勾配の傾斜度)に応じた閾値を設定する。具体的には、図2の変動閾値テーブル13bにおいて、特定した傾斜角に該当する部分の、車速と傾斜角との対応関係を採用する。
ステップ140または145に続いてステップ150では、ステップ140または150で設定したアクセル開度およびエンジン回転数の閾値に基づいて、警告が必要であるか否かを判定する。
具体的には、変動閾値テーブル13b中の採用した部分のアクセル開度閾値―車速の対応関係に、現在の車速を適用することで、今回使用するアクセル開度閾値を決定する。そして、当該アクセル開度閾値と、アクセル開度センサ5が検出したアクセル開度とを比較し、検出したアクセル開度の方が大きい状態が所定時間(例えば3秒)続くと、アクセル開度について警告する旨を判定する。
それと共に、変動閾値テーブル13b中の採用した部分のエンジン回転数閾値―車速の対応関係に、現在の車速を適用することで、今回使用するエンジン回転数閾値を決定する。そして、当該エンジン回転数閾値と、エンジン回転数センサ6が検出したエンジン回転数とを比較し、検出したエンジン回転数の方が大きい状態が所定時間(例えば3秒)続くと、エンジン回転数について警告する旨を判定する。
さらにステップ150では、アクセル開度とエンジン回転数のうちどちらかに警告の必要があれば、肯定的判定となり、続いてステップ155を実行する。また、アクセル開度とエンジン回転数のうちいずれも警告の必要がなければ、否定的判定となり、プログラム100の今回の実行を終了する。
ステップ155では、アクセル開度とエンジン回転数のうち必要なものについて警告を行う。警告の方法は、例えば、音出力装置11を制御してブザーを吹鳴させてもよいし、「アクセルを戻してください」、「エンジンの回転数が大き過ぎます」等の音声を出力させてもよい。ステップ155の後、プログラム100の今回の実行が終了する。
以上のようなプログラム100を繰り返し実行することで、制御回路14は、地図データ中に現在位置(ステップ105参照)の道路勾配の情報があれば(ステップ110→YES参照)、当該勾配情報を読み出すことで現在位置の傾斜度を特定し(ステップ115参照)、なければ(ステップ110→NO参照)走行速度(ステップ120参照)の微分または前後加速度(ステップ125参照)に基づいて、現在位置の傾斜度を特定する(ステップ130参照)。
そして制御回路14は、特定した傾斜度に基づいて、現在位置が平坦であるか否かを判定し(ステップ135参照)、平坦である場合はデフォルトの(すなわち平坦地用の)閾値を設定し(ステップ140参照)、平坦でない場合、すなわち上り勾配と下り勾配のどちらかである場合、その上り勾配または下り勾配の傾斜度に応じた閾値を、変動閾値テーブル13bおよび現在の車速に基づいて特定する(ステップ145参照)。
そして制御回路14は、現在のアクセル開度および現在のエンジン回転数のそれぞれについて、設定した閾値を超えているか否かを直ちに判定し(ステップ150参照)、超えている物理量については、ドライバに警告を行う(ステップ155参照)。
以上説明した通り、省燃費運転支援システム1は、広い走行区間に渡って(例えば、ある上り坂全体を通じて、ある下り坂全体を通じて、エンジンオンからオフまでの走行経路全体を通じて)、継続的に、自車両の位置における道路の上り勾配または下り勾配の傾斜度を特定し、特定した傾斜度に応じて、その特定した位置における車両の挙動についての各物理量の閾値を変動させる。
このように、省燃費運転支援システム1は、閾値に基づいて警告の実行の有無を制御する。したがって、単にアクセルのオン、オフ、ブレーキのオン、オフといったような単純な区分けではなく、物理量がこの値までは警告の必要がなく、この値を超えたら警告が必要であるといった、よりきめ細かい基準に基づいて警告の有無を制御することができる。
また、省燃費運転支援システム1は、上り勾配において、または下り勾配において、傾斜の度合いに応じて物理量の閾値を変動させる。したがって、単なる傾斜の有無といった単純な区分けではなく、傾斜の度合いという、よりきめ細かい基準に基づいて警告実行の条件を変動させることができる。したがって、省燃費運転支援システム1は、不必要な警告の発生を従来よりも低減することができる。
そして、車両が移動することによって道路の勾配情報が更新された場合において、警告の閾値を変更することで、上り坂の影響を受けて減速してしまった場合の、過度なアクセルの踏み込みや、下り坂でのスピードの出し過ぎ、不必要なアクセルの踏み込みなどをなくし、省燃費運転が実現できるとともに煩わしい警告を排除することができる。結果として、省燃費運転の基本として挙げられている「定速走行」「滑らかな走行」を実現することができ、ドライバの運転技術も向上することが可能となる。
より具体的には、省燃費運転支援システム1は、図2に示すように、ある走行速度の範囲については、特定した傾斜度が下り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほどエンジン回転数の閾値を大きくするようになっている。
例えば、図4に示すように、自車両10が下り区間始点21に差し掛かると、下り坂用の閾値が設定され、その後車両10が平坦区間始点22に到達すると、平坦地用の閾値が設定される。
このようにするのは、下り勾配においては、アクセルが踏み込まれなくても重力加速度により車輪の回転から逆にエンジンの回転数を上昇させ、その上昇の度合いは、傾斜度が大きいほど大きくなるからである。燃料を消費せずにエンジン回転数が上昇する場合にまで、警告を行う必要性は乏しい。
また、省燃費運転支援システム1は、ある走行速度の範囲については、下り勾配においても、特定した傾斜度が大きくなってもエンジン回転数の閾値を同じ値に維持するようになっていてもよい。
また、省燃費運転支援システム1は、ある走行速度の範囲については、特定した傾斜度が上り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほどアクセル開度の閾値を大きくするようになっている。
また、省燃費運転支援システム1は、ある走行速度の範囲については、特定した傾斜度が上り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほどエンジン回転数の閾値を大きくするようになっている。
これらのようにするのは、上り勾配においては、重力に逆らって車両を走行させる必要があるので、エネルギー出力を保つためアクセル開度およびエンジン回転数を上昇させざるを得ないからである。そして、アクセル開度およびエンジン回転数を上昇させる必要性は、傾斜度が大きいほど大きくなる。
また、省燃費運転支援システム1は、ある走行速度の範囲については、特定した傾斜度が下り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほどアクセル開度の閾値を小さくするようになっている。このようにするのは、下り坂走行では、燃料を消費してまで速度上昇をさせる必要性が薄れるからである。このような傾向は、傾斜度が大きいほど大きくなる。
また、省燃費運転支援システム1は、上り勾配または下り勾配の傾斜度(および走行速度)と物理量との対応関係があらかじめ記述された変動閾値テーブル13bに、上述のように検出された傾斜度を適用することで、閾値を決定するようになっている。このようになっているとで、傾斜度と閾値との関係を毎回計算する必要がなくなるので、処理負荷の低減が実現する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、上り勾配の手前に車両がいる場合における作動である。以下、本実施形態が第1実施形態の異なる部分についてのみ、図5を用いて説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、上り勾配の手前に車両がいる場合における作動である。以下、本実施形態が第1実施形態の異なる部分についてのみ、図5を用いて説明する。
制御回路14は、プログラム100のステップ135で平坦な道路を走行していると判定した場合、続いてステップ140の処理に変わり、地図データ13a中の勾配データに基づいて、自車両の走行方向の所定距離Lだけ先に上り勾配があるか否かを判定し、なければステップ140を実行する。
しかし、自車両10の位置31において、走行方向の所定距離Lだけ先に上り勾配の始点32がある場合は、その所定距離Lだけ先における、車両10の進行方向の傾斜角を特定し、アクセル開度およびエンジン回転数の閾値として、特定した傾斜角(すなわち上り勾配の傾斜度または下り勾配の傾斜度)に応じた閾値を設定する。具体的には、図2の変動閾値テーブル13bにおいて、特定した傾斜角に該当する部分の、車速と傾斜角との対応関係を採用する。そしてその後ステップ150を実行する。
なお、車両10が地点31から上り勾配始点32に到るまでは、同じ傾斜角(すなわち、地点32における傾斜角)に基づいた閾値を継続的に使用するようになっていてもよい。
以上のように、本実施形態の省燃費運転支援システム1は、第1実施形態のような作動に加え、車両10の現在位置から基準距離Lだけ離れたれた前方の位置32に上り勾配があるときに、当該上り勾配の傾斜度を特定し、現在位置31から当該位置32までにおいて、当該前方の位置32の傾斜度に応じて、アクセル開度閾値およびエンジン回転数閾値を変動させるようになっている。
このようにすることで、上り勾配の手前においてはアクセルの踏み足しが許可されるので、当該上り勾配で定速走行が実現する可能性が高くなる。
なお、基準距離Lは、あらかじめ記憶された一定値(例えば100メートル)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよい。例えば、車速に比例する値であってもよい。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。本実施形態においては、制御回路14は、第1、第2実施形態の作動に加え、プログラム100のステップ155で警告した後、基準時間T経過後に、その警告内容についてのアドバイスの音声を、音出力装置11に出力させる。
以下、本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。本実施形態においては、制御回路14は、第1、第2実施形態の作動に加え、プログラム100のステップ155で警告した後、基準時間T経過後に、その警告内容についてのアドバイスの音声を、音出力装置11に出力させる。
例えば、上り坂の始点41から上り坂の中間地点(あるいは、上り坂の始点41から所定時間経過後の車両10の地点)42までの間にエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行った場合は、基準時間経過後に、上り坂の前には加速するよう促すメッセージ、上り坂の前にはエンジン回転数を上げるよう促すメッセージ、および、上り坂においてエンジン回転数が落ちる前にシフトポジションを1段低いポジションに移すよう促すメッセージのうち1つ以上を音出力装置11に出力させてもよい。
このようにするのは、上り坂の前半でエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行ったということは、上り坂の前におけるドライバによる加速操作が不足していたと考えられるからである。
また例えば、上り坂の中間地点(あるいは、上り坂の頂点から所定時間遡ったときの車両10の地点)42から上り坂の頂上までの間にエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行った場合は、基準時間経過後に、上り坂の頂上付近でアクセルを緩めるよう促すメッセージを音出力装置11に出力させてもよい。これは、上り坂の頂上付近でエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行ったということは、上り坂で加速し過ぎてしまった可能性が高いからである。
このように、本実施形態においては、省燃費運転支援システム1は、警告を行った位置を車両10が通過してから基準時間T経過後に、警告を行った位置についての走行のアドバイスをドライバに報知するようになっている。
なお、基準時間Tは、ドライバが、警告を受けた位置を通り過ぎて一段落つき、かつ、通過時の当該位置の状況を思い返すことができる程度の範囲内の時間である。基準時間Tは、あらかじめ記憶された一定値(例えば1分以上5分以下の範囲内の値)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよい。例えば、車速に反比例する値であってもよい。このようになっていることで、警告位置の走行についてのアドバイスを受けることができるので、ドライバの学習効果が高まる。
また、警告の内容は、上り勾配の上り始めの段階であるか上り終わりの段階であるかによって、変化させるようになっている。このようになっていることで、警告位置に基づいてドライバの運転の問題点を特定し、特定した問題点に対する適切なアドバイスをすることができる。なお、自車両が上り坂のどの位置にいるかは、地図データ中の勾配データに基づいて特定することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の省燃費運転支援システム1は、第1〜第3実施形態の作動に加え、過去の警告の履歴に基づいて、ドライバに走行のアドバイスを報知する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の省燃費運転支援システム1は、第1〜第3実施形態の作動に加え、過去の警告の履歴に基づいて、ドライバに走行のアドバイスを報知する。
このために、制御回路14は、プログラム100のステップ155で警告がある度に、(1)その警告の日時、(2)警告の内容(すなわち、アクセル開度についての警告かエンジン回転数についての警告かの別)ならびに、その警告が平坦でない勾配位置で行われた場合は、(3)その勾配は上り勾配か下り勾配か、および、(4)勾配の初期位置、中間位置、終盤位置のいずれで警告が行われたかの別を、記憶媒体13に記録する。ここで、一続きの勾配の区間を初期位置、中間位置、終盤位置という3つの区間に分ける方法は、例えば、一続きの勾配の区間を三等分する方法でもよい。
更に制御回路14は、これら警告の履歴を、上り勾配の初期位置、中間位置、終盤位置という3つのカテゴリ、下り勾配の初期位置、中間位置、終盤位置という3つのカテゴリ、および、平坦地という1つのカテゴリ、から成る7個のカテゴリ毎に警告回数を集計し、それらのカテゴリの警告回数のうち、基準回数を上回ったカテゴリについては、アドバイス処理を行う。
例えば、上り勾配の初期位置および中間位置のカテゴリで基準回数を上回った場合は、以後、上り勾配の手前において、加速するよう促すメッセージ、エンジン回転数を上げるよう促すメッセージ、上り坂においてエンジン回転数が落ちる前にシフトポジションを1段低いポジションに移すよう促すメッセージを、音出力装置11に出力させてもよい。
あるいは、過去に警告を行った地点を通過した場合は、第3実施形態と同様、通過してから基準時間T経過後に、上り坂の前には加速するよう促すメッセージ、上り坂の前にはエンジン回転数を上げるよう促すメッセージ、上り坂においてエンジン回転数が落ちる前にシフトポジションを1段低いポジションに移すよう促すメッセージを音出力装置11に出力させてもよい。
このようにするのは、上り坂の前半でエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行ったということは、上り坂の前におけるドライバによる加速操作が不足していたと考えられるからである。
また例えば、上り坂の終盤位置のカテゴリで基準回数を上回った場合は、以後、上り勾配の頂上の手前で、アクセルを緩めるよう促すメッセージを音出力装置11に出力させてもよい。
あるいは、過去に警告を行った地点を通過した場合は、第3実施形態と同様、通過してから基準時間T経過後に、上り勾配の頂上の手前で、アクセルを緩めるよう促すメッセージを音出力装置11に出力させてもよい。
これは、上り坂の頂上付近でエンジン回転数またはアクセル開度についての警告を行ったということは、上り坂で加速し過ぎてしまった可能性が高いからである。
このように、ドライバが受けた警告の回数を、勾配の種類、勾配の有無、勾配中の警告の発生位置等でグループ分けして集計し、その集計結果と閾値との比較に基づいて、アドバイスの内容を変化させるので、ドライバの特性に適した方法で運転のアドバイスを行うことができる。すなわち、ドライバの運転傾向を過去の走行履歴から分析することにより、各ドライバに適した省燃費運転の方法をアドバイスすることが可能になる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、省燃費運転支援システム1は、道路の勾配の情報を、無線通信によって取得するようになっていてもよい。例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication: 狭域通信)を利用して、道路脇に設置された通信機能を有する記憶装置から、勾配情報を取得するようになっていてもよいし、無線通信を用いることでインターネット等の広域ネットワークを介して勾配情報サーバから勾配情報を取得するようになっていてもよい。
また、上記実施形態においては、車両の挙動に関する物理量(具体的には、アクセル開度、エンジン回転数)の閾値が勾配の傾斜度および車速に基づいて変化するようになっているが、更に、車両の重量に基づいて変化するようになっていてもよい。
例えば、車両の重量が大きくなるほど、低速域における物理量の閾値を増大させるようになっていてもよい。なお、車両の重量としては、あらかじめ計測されて記録されたデータを用いてもよい。
また更に、高速道路の合流地点であるか否か、道路の幅員、道路の交通量、信号機の点灯色等の、車両の周囲の環境に基づいて、警告の実行、非実行を切り替えるようになっていてもよい。
例えば、勾配、車速、およびアクセル開度に基づけば、アクセルを緩めることを促す警告を行う場合であっても、現在位置が高速道路の合流地点の手前であれば、そのような警告を禁止するようになっていてもよい。
また例えば、勾配、車速、およびブレーキ踏み込み量(物理量の一例に相当する)に基づけば、ブレーキの踏み込みを緩めることを促す警告を行う場合であっても、車両の進行方向の近傍に赤表示の信号機が合った場合、車両の走行道路が渋滞であった場合、道路幅が非常に狭い(例えば車両の幅の1.5倍未満)場合、そのような警告を禁止するようになっていてもよい。
このようにすることで、「アクセルを緩める」、「ブレーキを緩める」というアドバイスをドライバが信じてしまい、状況によっては不適切な操作をしてしまう可能性が少なくなる。
また、上記各実施形態において、省燃費運転支援システム1は、速度超過に対する警告も行うようになっていてもよい。
また、第4実施形態においては、省燃費運転支援システム1は、7個のカテゴリ毎に警告回数を集計し、それらのカテゴリの警告回数のうち、基準回数を上回ったカテゴリについては、アドバイス処理を行うようになっているが、これらのカテゴリを、アクセル開度の警告かエンジン回転数の警告かによって更に14個のカテゴリに細分化して警告回数を集計するようになっていてもよい。
また、上記の実施形態において、制御回路14がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機やPDAも、本発明のナビゲーション装置に該当する。
1 省燃費運転支援システム
2 GPS受信機
3 車速センサ
4 加速度センサ
5 アクセル開度センサ
6 エンジン回転数センサ
13a 地図データ
13b 変動閾値テーブル
2 GPS受信機
3 車速センサ
4 加速度センサ
5 アクセル開度センサ
6 エンジン回転数センサ
13a 地図データ
13b 変動閾値テーブル
Claims (8)
- 車両(10)に搭載された車両走行状況警告装置であって、
前記車両(10)の挙動に関する物理量が閾値を超えたことに基づいて、前記車両(10)のドライバに警告を行う警告手段(155)と、
前記車両(10)の位置における道路の上り勾配または下り勾配の傾斜度を特定する傾斜度特定手段(130)と、
前記傾斜度特定手段(130)が特定した前記傾斜度に応じて、前記閾値を変動させる閾値設定手段(145)と、を備えたことを特徴とする車両走行状況警告装置。 - 前記閾値設定手段(145)は、上り勾配または下り勾配の傾斜度と前記物理量との対応関係が記述されたテーブル(13b)に、前記傾斜度特定手段(130)が特定した前記傾斜度を適用することで、前記閾値を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両走行状況警告装置。
- 前記物理量は前記車両(2)のエンジン回転数であって、
前記傾斜度特定手段(130)は、特定した前記傾斜度が下り勾配についてのものであるとき、前記傾斜度が大きくなるほど前記閾値を大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両走行状況警告装置。
また、請求項3に記載のように、上記物理量は車両(2)のエンジン回転数であってもよい。この場合、車両走行状況警告装置は、特定した傾斜度が下り勾配についてのものであるとき、傾斜度が大きくなるほど閾値を大きくするようになっていてもよい。 - 前記物理量は前記車両(2)のアクセル開度であって、
前記傾斜度特定手段(130)は、特定した前記傾斜度が上り勾配についてのものであるとき、前記傾斜度が大きくなるほど前記閾値を大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両走行状況警告装置。 - 前記物理量は前記車両(2)のアクセル開度であって、
前記傾斜度特定手段は更に、前記車両(10)の現在位置から基準距離離れた前方の位置に上り勾配があるときに、前記上り勾配の傾斜度を特定し、
閾値設定手段(145)は、前記上り勾配に前記車両(10)が入る前において、前記傾斜度特定手段(130)が特定した前記前方の位置の傾斜度に応じて、前記閾値を変動させることを特徴する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両走行状況警告装置。 - 前記警告手段(155)が警告を行った位置を前記車両(10)が通過してから基準時間経過後に、前記警告を行った位置についての走行のアドバイスをドライバに報知する第1報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両走行状況警告装置。
- 前記警告手段(155)による警告の履歴に基づいて、前記ドライバに走行のアドバイスを報知する第2報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両走行状況警告装置。
- 車両(10)に搭載された車両走行状況警告装置に用いるプログラムであって、
前記車両(10)の挙動に関する物理量が閾値を超えたことに基づいて、前記車両(10)のドライバに警告を行う警告手段(155)、
前記車両(10)の位置における道路の上り勾配または下り勾配の傾斜度を特定する傾斜度特定手段(130)、および
前記傾斜度特定手段(130)が特定した前記傾斜度に応じて、前記閾値を変動させる閾値設定手段(145)として、コンピュータを機能させるプログラム。
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