JP2009220735A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基準舵角中立点にずれが生じた場合であっても操舵機構10の構成部品に加わる衝撃力を緩和する。
【解決手段】 挙動制御装置80は、車両の直進状態が検出されたときの操舵角θ2を検出し、操舵角θ2が変化している場合には、操舵機構10の舵角中立点が変化したとして、CAN通信システムに中立点ずれ情報を出力する。EPS−ECU50は、この中立点ずれ情報を取得すると、操舵角全域においてアシストトルクを低減する。そして、エンド当たりを検出すると、そのときの操舵角θ1からエンド舵角のずれを算出し、そのずれ分だけ基準舵角中立点を補正してEEPROM45に更新記憶する。基準舵角中立点を更新記憶した後は、アシストトルクの低減領域をストロークエンド位置近傍に戻す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、操舵ハンドルの操舵状態に応じて操舵アシストトルクを発生させる電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動パワーステアリング装置においては、運転者の行う操舵ハンドルの回動操作に対してアシストトルクを付与する電動モータと、操舵操作の状態に基づいて電動モータを駆動制御するアシストコントローラとを備えている。電動モータは、ラックバーのストローク移動をアシストするように、操舵軸あるいはラックハウジングに設けられている。アシストコントローラは、マイクロコンピュータを主要部に備え、例えば、運転者のハンドル操作に伴って発生する操舵トルクと車速とに基づいて最適なアシストトルクが得られる電動モータの目標電流値を演算し、この目標電流値と実際に電動モータに流れる電流値(実電流値)との偏差に基づいて電動モータの通電量をフィードバック制御する。
こうした電動パワーステアリング装置においては、ラックバーのストローク移動範囲を規定するストロークエンドが設定されている。このストロークエンドは、一般的にラックバーの左右両端部(タイロッドとの連結部)と、ラックハウジングの両端部との機械的な当接により設定されている。従って、運転者が操舵ハンドルを右方向あるいは左方向に大きく切ってラックバーがストロークエンド位置に到達した場合、アシストコントローラが操舵トルクに基づいて電動モータに大きなアシストトルクを発生させてしまうため、操舵機構の構成部品に対して大きな衝撃力を与えることになる。
そこで、例えば、特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置においては、ラックバーがストロークエンド位置に接近したときに、電動モータの電流指令値を制限することにより、操舵機構の構成部品に働く衝撃力を緩和するようにしている。
こうしたラックバーのストロークエンド位置への接近は、操舵角センサにより検出された操舵角に基づいて判断される。一般に、操舵角センサは、予め設定した基準舵角中立点に対する相対的な操舵角を検出する。例えば、操舵輪が中立位置(直進方向となる位置)となっているときのステアリングシャフトの回転位置を予め基準舵角中立点として記憶しておき、この基準舵角中立点に対するステアリングシャフトの回転角度から操舵角を検出する。
特開2007−45394号
しかしながら、サイドスリップ調整等のために、操舵機構の部品が交換されたり組み付け調整されたりすると、記憶している基準舵角中立点と実際の操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じてしまうことがある。例えば、インターミディエイトシャフトの脱着を行ってその装着位置がずれた場合や、操舵ハンドルの取り替えを行ってその装着位置がずれた場合には、タイロッドの長さ調整により車輪の向きを調整することがある。こうした場合には、操舵機構の舵角中立点(操舵輪が直進方向を向くときのステアリングシャフトの回転位置)が変化する。この結果、予め記憶している基準舵角中立点が実際の操舵機構の舵角中立点に対してずれてしまう。
記憶している基準舵角中立点と実際の操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じると、そのずれ分だけストロークエンド位置の検出がずれる。このため、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、ラックバーがストロークエンド位置に接近したときに、電動モータのトルク制限を行うことができなくなり、操舵機構の構成部品に働く衝撃力を緩和することができない。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、基準舵角中立点にずれが生じた場合であっても操舵機構の構成部品に加わる衝撃力を緩和することができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、運転者の操舵ハンドルの回動操作により回転する操舵軸の回転運動をラックバーの左右のストローク運動に変換し、前記ラックバーのストローク運動により操舵輪を操舵する操舵機構と、前記操舵ハンドルの回動操作をアシストするためのアシストトルクを発生する電動モータと、操舵角を検出するための基準点となる基準舵角中立点を記憶する中立点記憶手段と、前記記憶された基準舵角中立点に対する相対的な舵角を操舵角として検出する操舵角検出手段と、前記操舵ハンドルの操作状態に基づいて前記電動モータを駆動制御すると共に、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が前記ラックバーのストローク移動範囲を機械的に制限するストロークエンド位置となるエンド舵角の近傍領域であって前記エンド舵角に接近したときに、前記電動モータに発生させるアシストトルクを低減するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、前記モータ制御手段は、前記基準舵角中立点と前記操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じていることを表す中立点ずれ情報を取得する中立点ずれ情報取得手段と、前記中点ずれ情報を取得した場合に、前記エンド舵角の近傍領域よりも広い操舵角範囲において、前記電動モータに発生させるアシストトルクを低減する広域トルク低減手段とを備えたことにある。
この発明においては、モータ制御手段が、操舵ハンドルの操作状態に基づいて電動モータを駆動制御する。例えば、操舵ハンドルに入力された操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに基づいて電動モータを駆動して操舵ハンドルの回動操作をアシストする。このように電動モータを駆動制御すると、ラックバーがストロークエンド位置に到達したときに操舵機構に大きな衝撃を与えてしまうため、モータ制御手段は、操舵角検出手段により検出された操舵角がエンド舵角の近傍領域であってエンド舵角に接近したときに、電動モータに発生させるアシストトルクを低減する。アシストトルクの低減は、例えば、電動モータに通電する目標電流などの制御量を通常時(舵角がエンド舵角に接近していない時)に対して低減するものであれば良く、例えば、通常時の制御量に1未満の低減係数を乗じる構成や、電動モータの制御量が予め設定した上限値を超えないように上限値以下に制限してアシストトルクを低減する構成を採用することができる。
操舵角検出手段は、中立点記憶手段に記憶された基準舵角中立点に対する相対的な舵角を操舵角として検出する。例えば、操舵輪が直進方向に向くときの操舵軸の回転位置を基準舵角中立点として中立点記憶手段に記憶する。そして、操舵角検出手段は、この基準舵角中立点として記憶された操舵軸の回転位置を基準として、この基準位置から操舵軸が回転した角度に基づいて操舵角を検出する。尚、操舵軸の回転位置とラックバーのストローク方向の位置とは対応関係にあるため、操舵輪が直進方向に向くときのラックバーのストローク位置を基準舵角中立点として中立点記憶手段に記憶し、この基準位置からのラックバーの移動距離に基づいて操舵角を検出しても実質同一である。
また、ラックバーのストロークエンド位置(ラックバーのストローク移動範囲を機械的に制限する位置)への接近は、操舵角検出手段により検出される操舵角に基づいて行われる。この場合、ストロークエンド位置に対応する操舵角として、基準舵角中立点に対する相対的な舵角であるエンド舵角が設定されている。従って、モータ制御手段は、操舵角検出手段により検出される操舵角がエンド舵角の近傍領域であってエンド舵角に接近したときに、電動モータに発生させるアシストトルクを低減することにより操舵機構に大きな衝撃を与えないようにする。
操舵機構の機械的な調整等により、中立点記憶手段に記憶されている基準舵角中立点が実際の操舵機構の舵角中立点からずれてしまうと、それに伴ってエンド舵角についても実際のストロークエンド位置に対応しなくなる。その場合には、エンド舵角の近傍領域におけるアシストトルクの低減制御を行っても操舵機構に大きな衝撃を与えてしまうおそれがある。そこで、本発明においては、モータ制御手段に中立点ずれ情報取得手段と広域トルク低減手段とを設け、こうした問題を解決している。
つまり、中立点ずれ情報取得手段により、基準舵角中立点と操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じていることを表す中立点ずれ情報を取得すると、広域トルク低減手段が、エンド舵角の近傍領域よりも広い操舵角範囲において電動モータに発生させるアシストトルクを低減する。従って、エンド舵角が実際のストロークエンド位置に対応しなくなっていても、ラックバーがストロークエンド位置に達したときの衝撃(例えば、ラックバーがストッパに当たったときの衝撃)を抑制することができる。この結果、操舵機構の各部品を保護することができる。また、衝撃音の発生や、操舵ハンドルから運転者に伝わる衝撃を抑制することができる。尚、操舵機構の舵角中立点とは、例えば、操舵輪が直進方向を向くときの操舵軸の回転位置(この回転位置と対応関係にあるラックバーのストローク位置も含む)として表すことができる。
本発明の他の特徴は、車両の走行中に、車両の横加速度、あるいは、車両のヨーレート、あるいは、左車輪速度と右車輪速度との差の少なくとも一つに基づいて、車両の直進状態を検出する直進状態検出手段と、前記直進状態が検出される度に、前記直進状態における操舵角の変化の有無を判断し、前記操舵角の変化がある場合に前記中立点ずれ情報取得手段に前記中立点ずれ情報を与える中立点ずれ検出手段とを備えたことにある。
この発明においては、直進状態検出手段が、車両の走行中に、車両の横加速度、あるいは、車両のヨーレート、あるいは、左車輪速度と右車輪速度との差の少なくとも一つに基づいて車両の直進状態を検出する。例えば、車両の横加速度を検出する横加速度センサを設け、走行中における横加速度が基準値よりも小さいときに車両が直進状態であると判断する。あるいは、車両の重心軸周りのヨーレートを検出するヨーレートセンサを設け、走行中におけるヨーレートが基準値よりも小さいときに車両が直進状態であると判断する。あるいは、左操舵輪の速度と右操舵輪の速度とを検出する車輪速センサを設け、走行中における左右の操舵輪の速度差が基準値よりも小さいときに車両が直進状態であると判断する。また、これらを組み合わせて直進状態を検出することもできる。
こうして車両が実際に直進走行していることが検出された場合、操舵角(例えば、基準舵角中立点に対する操舵軸の回転角度、あるいは、基準舵角中立点に対するラックバーのストローク位置)は常に一定の値をとるはずであるが、操舵機構の機械的な調整等により舵角中立点の位置が変更されると、直進走行時における操舵角が変化する。つまり、操舵機構の機械的な調整後の直進走行時において検出される操舵角は、操舵機構の機械的な調整前の直進走行時における操舵角と相違する。そこで、本発明においては、中立点ずれ検出手段が、車両の直進状態が検出される度に、直進状態における操舵角の変化の有無を判断し、操舵角の変化がある場合に中立点ずれ情報取得手段に中立点ずれ情報を与える。従って、良好に中立点ずれ検出することができる。
この場合、中立点ずれ検出手段は、モータ制御手段がエンド舵角への接近を検出するために使用する操舵角検出手段を用いて操舵角の変化を検出してもよいし、別に設けた操舵角検出手段(例えば、操舵軸の回転角度を検出する手段)により操舵角を検出し、その操舵角の変化を検出してもよい。
直進状態検出手段は、車両の旋回方向の挙動安定制御、いわゆるVSC(Vehicle Stability Control)と呼ばれる制御を行う挙動制御装置の機能として備わっている。挙動制御装置は、例えば、横加速度センサ、ヨーレートセンサ、車輪速センサ、操舵角センサ等を備え、車両が直進状態であるか旋回状態であるか、あるいは、旋回状態にてスピンやドリフトアウトが発生するか否かを極めて正確に判断する。そして、スピンやドリフトアウトなど車両に挙動異常が発生する可能性が高い場合に、左右前後の車輪に付与する制動力を制御して車両の挙動を安定化させるものである。従って、本発明は、挙動制御装置が車両に搭載されている場合に、この機能を使うことで、大幅なコストアップを招くことなく、基準舵角中立点と操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じていること精度良く検出することができる。
本発明の他の特徴は、前記中立点ずれ情報を取得した後に、前記ラックバーが前記ストロークエンド位置に到達したことを検出するストロークエンド検出手段と、前記ラックの前記ストロークエンド位置への到達が検出されたときの前記操舵角検出手段により検出された操舵角と前記エンド舵角との差に基づいて、前記中立点記憶手段に記憶された基準舵角中立点を更新する基準舵角中立点更新手段と、前記基準舵角中立点を更新した後に、前記広域トルク低減手段の動作を終了させるトルク低減解除手段とを備えたことにある。
この発明においては、中立点ずれ情報を取得した後に、ストロークエンド検出手段が、ラックバーがストロークエンド位置に到達したことを検出すると、基準舵角中立点更新手段が、ラックのストロークエンド位置への到達が検出されたときの操舵角検出手段により検出された操舵角とエンド舵角との差に基づいて、中立点記憶手段に記憶された基準舵角中立点を更新する。基準舵角中立点が操舵機構の舵角中立点とずれている場合、そのずれ角は、ラックバーがストロークエンド位置に到達したときに検出される操舵角とエンド舵角との差に等しい。従って、ラックバーがストロークエンド位置に到達したときに検出される操舵角とエンド舵角との差を使って、基準舵角中立点のずれを補正することができる。
こうした補正により更新された基準舵角中立点は、その後の操舵角検出手段が操舵角を検出するための基準点として使用される。この場合、更新された基準舵角中立点を中立点記憶手段に記憶してもよいが、補正量を中立点記憶手段あるいは別の記憶手段に記憶するようにしてもよい。
基準舵角中立点が更新されると、トルク低減解除手段が広域トルク低減手段の動作を終了させる。従って、広い操舵範囲において快適なアシストトルクが得られるとともに、ラックバーがストロークエンド位置に到達したときに発生する衝撃を適切に緩和することができる。
本発明の他の特徴は、前記ストロークエンド検出手段は、前記電動モータに流れる電流を測定し、前記測定した電流の変化度合いに基づいて、前記ラックバーが前記ストロークエンドに到達したことを検出することにある。
運転者が操舵ハンドルを大きく切ってラックバーがストロークエンド位置に達すると、ラックバーの移動が規制されるため、電動モータの回転が急に停止する。従って、それまで電動モータの回転により発生していた逆起電力が急激に消失し、電動モータに流れる電流が急増する。つまり、電動モータの回転時においては、逆起電力が発生するため、それに打ち勝つだけの大きなモータ制御量が設定されるが、電動モータの回転が急激に停止すると、逆起電力の消失によりモータ制御量が過大となり電流値が一気に増大する。
ストロークエンド検出手段は、こうした現象を利用して、電動モータに流れる電流の変化度合いに基づいて、ラックバーがストロークエンド位置に到達したことを検出する。例えば、単位時間あたりの電流増加量(右操舵方向あるいは左操舵方向にアシストトルクを発生させる電流の増加量)が基準値を超えていることを検出したときに、ラックバーがストロークエンド位置に到達したと判断する。この判断条件は、単位時間あたりの電流増加量に加えて、他の条件を組み合わせても良い。例えば、電動モータに流れる電流の大きさが基準値以上であるという条件を加えるようにしてもよい。この場合には、一層高い精度にてラックバーのストロークエンド位置への到達を検出することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る電動パワーステアリング装置のシステム構成を概略的に示している。
この電動パワーステアリング装置は、大別すると、操舵輪を操舵する操舵機構10と、運転者の操舵操作をアシストするアシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動制御する制御ユニット50(以下、EPS−ECU50と呼ぶ)とから構成される。また、電動パワーステアリング装置は、CAN(Controller Area Network)通信ネットワークに接続され、本実施形態においては挙動制御装置80から出力される情報を受信できるように構成されている。
操舵機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12(操舵軸)の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の左右方向のストローク運動に変換して、このラックバー14のストローク運動により操舵輪である左前輪Wflと右前輪Wfrとを操舵するようになっている。ステアリングシャフト12は、メインシャフト12aとインターミディエイト12bとピニオンシャフト12cとをユニバーサルジョイント12d,12eで連結して構成される。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング15内に収納され、その左右両端がラックハウジング15から露出してタイロッド16と連結される。このラックバー14のタイロッド16との連結部には、ストッパ18が形成され、このストッパ18とラックハウジング15両端部との当接によりラックバー14の左右のストローク移動範囲を機械的に制限している。ラックバー14がストッパ18に移動制限される位置をストロークエンド位置と呼ぶ。左右のタイロッド16の他端は、左右前輪Wfl,Wfrに設けられたナックル17に接続される。尚、ストロークエンド位置は、左右に2つあるが、以下、それらを区別する必要があるときのみ左右を特定して説明する。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には減速ギヤ21を介して電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20は、例えば、三相ブラシレスモータが使用される。電動モータ20は、ロータの回転により減速ギヤ21を介してステアリングシャフト12をその中心軸周りに回転駆動して、操舵ハンドル11の回動操作に対してアシストトルクを付与する。電動モータ20には、モータ回転角センサ31が設けられる。このモータ回転角センサ31は、レゾルバにより構成され、電動モータ20のロータの回転角度を表す検出信号を出力する。
電動モータ20とステアリングシャフト12とが減速ギヤ21を介して連結されていることから、モータ回転角センサ31で検出される回転角度は、操舵ハンドル11の操舵角に対応したものとなる。従って、モータ回転角センサ31は、電動モータ20の通電制御に使用されるだけでなく、操舵角検出用のセンサとして使用される。
モータ回転角センサ31を構成するレゾルバは、電動モータ20のステータに対するロータの相対的な回転角度(回転位置)θmに応じた信号を出力するものである。従って、モータ回転角センサ31の出力する回転角度信号だけでは、操舵輪Wfl,Wfrが直進方向に向く舵角中立点に対する操舵角を検出することができない。そのため、EPS−ECU50側で、予め、操舵輪Wfl,Wfrが直進方向に向くときのモータ回転角センサ31の検出回転位置を、操舵角を演算するための基準点となる基準舵角中立点として記憶しており、この基準舵角中立点を操舵角ゼロとしてモータ回転角センサ31で検出された回転角度θmから操舵角θ1を算出する。従って、モータ回転角センサ31から出力される回転角度信号とEPS−ECU50にて行う操舵角演算処理とにより、基準舵角中立点に対する相対的な舵角を操舵角θ1として検出する構成となっている。尚、本明細書においては、操舵角θ1は、基準舵角中立点に対して右方向の操舵角を正の値で、基準舵角中立点に対して左方向の操舵角を負の値で表すことにする。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には、操舵ハンドル11と減速ギヤ21との間に操舵トルクセンサ33が設けられている。操舵トルクセンサ33は、ステアリングシャフト12に介装されたトーションバー(図示略)の捩れ角度に基づいて、操舵ハンドル11に付与された操舵トルクTを検出する。例えば、トーションバーの両端にレゾルバを設け、この2つのレゾルバにより検出される回転角度の差に基づいて操舵トルクTを検出する。尚、本明細書においては、操舵トルクTは、ステアリングシャフト12に右回転方向に働くトルクを正の値で、左回転方向に働くトルクを負の値で表すことにする。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には、操舵トルクセンサ33と減速ギヤ21との間にシャフト回転角センサ32が設けられる。シャフト回転角センサ32は、挙動制御装置80において、電動パワーステアリング装置とは独立して操舵ハンドル11の操舵角を検出するために設けられている。
シャフト回転角センサ32は、モータ回転角センサ31と同様にレゾルバ(図示略)にて構成される。このレゾルバは、ステアリングシャフト12の外周面に固定されるレゾルバロータと、レゾルバロータの外周面に対向し車体に固定されるレゾルバステータとを備え、レゾルバステータに対するレゾルバロータの相対的な回転角度(回転位置)θhに応じた信号を出力するものである。従って、シャフト回転角センサ32の出力する回転角度信号だけでは、操舵輪Wfl,Wfrが直進方向に向く舵角中立点に対する操舵角を検出することができない。そのため、挙動制御装置80側で、予め、操舵輪Wfl,Wfrが直進方向に向くときのシャフト回転角センサ32の検出回転位置を、操舵角を演算するための基準点となる基準舵角中立点として記憶しており、この基準舵角中立点を操舵角ゼロとしてシャフト回転角センサ32で検出された回転角度θhから操舵角θ2を算出する。従って、シャフト回転角センサ32から出力される回転角度信号と挙動制御装置80にて行う操舵角演算処理とにより、基準舵角中立点に対する相対的な舵角を操舵角θ2として検出する構成となっている。尚、本明細書においては、操舵角θ2は、基準舵角中立点に対して右方向の操舵角を正の値で、基準舵角中立点に対して左方向の操舵角を負の値で表すことにする。
次に、EPS−ECU50について説明する。EPS−ECU50は、電子制御装置40とモータ駆動回路48とから構成される。電子制御装置40は、マイクロコンピュータ41、入力インタフェース42、出力インタフェース43、通信インタフェース44、EEROM45を備えている。マイクロコンピュータ41(以下、マイコン41と呼ぶ)は、後述するアシスト制御ルーチン等の制御プログラムや各種データを記憶するメモリを内蔵しており、記憶した制御プログラムを実行することにより電動モータ20の最適制御量を決定する。入力インタフェース42は、モータ回転角センサ31、操舵トルクセンサ33、車速センサ34、電流センサ35を接続し、これらセンサ31,33,34,35から入力した検出信号をバスを介してマイコン41に出力する。
車速センサ34は、車両の車速Vを表す車速検出信号を出力する。電流センサ35は、モータ駆動回路48から電動モータ20に流れる3相の電流を測定し、その測定した電流iを表す検出信号を出力する。尚、本明細書においては、測定した電流iを実電流iと呼び、電動モータ20が右操舵方向にトルクを発生する実電流を正の値で、左操舵方向にトルクを発生する実電流を負の値で表すことにする。
通信インタフェース44は、CAN通信線60を介してCAN通信システムに接続され、CAN通信システムを構成する各種の制御装置やセンサ類に対して情報を授受するための通信回路である。本実施形態においては、挙動制御装置80から出力される中立点ずれ情報(後述する)をマイコン41内に取り込むように構成されている。
EEROM(Electrical Erasable PROM)45は、車載バッテリ(図示略)から電源供給を受けない状態においてもデータを記憶保持する不揮発性の記憶回路であり、バスを介してマイコン41と接続されている。EEPROM45は、モータ回転角センサ31における基準舵角中立点を表すデータを記憶している。このEEPROM45は、本発明の中立点記憶手段に相当する。
出力インタフェース43は、モータ駆動回路48に接続され、マイコン41により演算された目標電圧に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路48に出力する。モータ駆動回路48は、3相インバータ回路により構成されており、電子制御装置40から出力されたPWM制御信号により、内部のスイッチング素子がオン・オフし、電動モータ20に対して目標電圧の駆動電源を供給する。
挙動制御装置80は、車両の旋回方向の挙動安定制御、いわゆるVSC(Vehicle Stability Control)と呼ばれる制御を行う装置である。挙動制御装置80は、マイクロコンピュータ81(以下、マイコン81と呼ぶ)、入力インタフェース82、EEPROM83、通信インタフェース84等から構成される。入力インタフェース82は、車輪速センサ91、ヨーレートセンサ92、横加速度センサ93、シャフト回転角センサ32を接続し、これらセンサ91,92,93,32から入力した検出信号をバスを介してマイコン81に出力する。
車輪速センサ91は、各車輪(左右前輪Wfl,Wfrおよび図示しない左右後輪)にそれぞれ設けられ、左前輪Wflの左前車輪速Vflと、右前輪Wfrの右前車輪速Vfrと、左後輪(図示略)の左後車輪速Vrlと、右後輪(図示略)の右後車輪速Vrrとを表す車輪速信号を出力する。ヨーレートセンサ92は、車両の旋回時に発生する重心軸周りのヨーレートγを表すヨーレート検出信号を出力する。横加速度センサ93は、車両の左右方向の加速度(横加速度G)を表す横加速度信号を出力する。シャフト回転角センサ32は、上述したようにステアリングシャフト12の回転角度θhを表す回転角度信号を出力する。尚、本明細書においては、ヨーレートγは、右回り方向に働くヨーレートを正の値で、左回り方向に働くヨーレートを負の値で表すことにする。また、横加速度Gは、右方向に働く横加速度を正の値で、左方向に働く横加速度を負の値で表すことにする。
通信インタフェース84は、CAN通信線60を介してCAN通信システムに接続され、CAN通信システムを構成する各種の制御装置やセンサ類に対して情報を授受する通信回路である。尚、CAN通信線60を使って、上述した車輪速センサ91、ヨーレートセンサ92、横加速度センサ93、シャフト回転角センサ32の検出信号を挙動制御装置80に入力するようにしてもよい。
マイコン81は、上述したセンサ91,92,93,32の検出信号に基づいて、車両の運動挙動状態、例えば、車両が直進状態であるかまたは旋回状態であるか、あるいは、旋回状態にてスピンやドリフトアウトが発生するか否かを判断する。そして、例えば、スピンやドリフトアウトなど車両に挙動異常が発生する可能性が高い場合には、CAN通信システムを使って、図示しないブレーキ制御装置やエンジン制御装置に挙動状態信号を出力して、エンジン出力と各車輪のブレーキ制動を制御して車両の挙動を安定化させる。
このように挙動制御装置80は、正確に車両の運動挙動状態を判別する必要があるため、シャフト回転角センサ32の出力する回転角度θhを表す検出信号から操舵角θ2を高い精度で検出するようになっている。つまり、挙動制御装置80は、走行時における車輪速センサ91、ヨーレートセンサ92、横加速度センサ93の検出信号から、車両が直進状態にあることを正確に検出できるため、この時のシャフト回転角センサ32の出力する回転角度θhを基準舵角中立点としてEEPROM83に記憶しておき、この基準舵角中立点を操舵角ゼロとしてシャフト回転角センサ32で検出された回転角度θhから操舵角θ2を算出する。従って、常に、正確な操舵角を検出することができる。
ところで、サイドスリップ調整等のために、操舵機構10の部品が交換されたり組み付け調整されたりすると、記憶している基準舵角中立点と実際の操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じてしまうことがある。挙動制御装置80においては、車両が直進状態であることを検出する度に、基準舵角中立点を決定しているため、こうした問題に対応できるが、電動パワーステアリング装置側では、車両の直進状態を正確に検出することが難しいため、以下の問題が生じる。
つまり、電動パワーステアリング装置においては、後述するように、運転者が操舵ハンドル11を大きく切った時に、ラックバー14のストッパ18とラックハウジング15の端部とが強く衝突しないように、ラックバー14がストロークエンド近傍に近づいたとき電動モータ20のアシストトルクを低減するアシスト低減制御を組み込んでいる。こうしたアシスト低減制御を行うには、操舵角を正確に検出する必要があり、基準舵角中立点がずれてしまうと、適正なタイミングでアシストトルクを低減することができなくなる。従って、操舵機構10の衝撃力緩和を適切に行えなくなる。
そこで、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、挙動制御装置80の行う処理、つまり、車両の直進状態検出に基づく基準舵角中立点の更新記憶処理を利用して、基準舵角中立点が変化したことを表す情報を取得し、その情報に基づいて電動モータ20のアシストトルクを低減する舵角範囲を広くするように制御する。そして、その後、実際にラックバー14がストロークエンド位置に到達したときに検出された操舵角θ1と予め設定されたエンド舵角との差に基づいて、基準舵角中立点のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて基準舵角中立点を補正して更新記憶する。
以下、これらの処理について詳しく説明する。まず、挙動制御装置80の行う舵角中立点ずれ検出処理について説明する。図2は、挙動制御装置80のマイコン81の行う舵角中立点ずれ検出ルーチンを表す。この舵角中立点ずれ検出ルーチンは、マイコン81のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチのオンしている間、所定の周期で繰り返し実行される。
舵角中立点ずれ検出ルーチンが起動すると、マイコン81は、ステップS11において、車輪速センサ91により検出される左前車輪速Vfl,右前車輪速Vfr,左後車輪速Vrl,右後車輪速Vrrと、横加速度センサ93により検出される横加速度Gと、ヨーレートセンサ92により検出されるヨーレートγとを読み込む。
続いて、マイコン81は、ステップS12において、左前車輪速Vfl,右前車輪速Vfr,左後車輪速Vrl,右後車輪速Vrrのうち一番小さい車輪速(低速側となる車輪速)が基準車輪速Vmin0以上あるか否かを判断する。左前車輪速Vfl,右前車輪速Vfr,左後車輪速Vrl,右後車輪速Vrrのうち一番小さい車輪速が基準車輪速Vmin0未満である場合には(S12:No)、本舵角中立点ずれ検出ルーチンを一旦終了する。このステップS12の処理は、車両が停止状態あるいは低速走行状態である場合には、車両の直進状態を良好に判定できる状況にないとして、直進状態の判定から除外する処理である。従って、車速センサ34の検出する車速信号を入力して、車速Vが基準車速V0以上であるか否かを判断するようにしてもよい。また、4輪の車輪速の平均値と基準車輪速Vmin0とを比較するようにしてもよい。また、4輪の車輪速を用いずに、左右前輪の車輪速速(Vfl,Vfr)、あるいは、左右後輪の車輪速(Vrl,Vrr)、あるいは任意の1輪の車輪速のみに基づいて車両が基準速度以上で走行していることを判断してもよい。
マイコン81は、ステップS12において、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS13に進めて、左前車輪速Vflと右前車輪速Vfrとの差の絶対値|Vfl−Vfr|が基準値ΔVf0以下であるか否かを判断する。左前車輪速Vflと右前車輪速Vfrとの差の絶対値|Vfl−Vfr|が基準値ΔVf0を超える場合には(S13:No)、直進走行していないと判断して本ルーチンを一旦終了する。尚、左右輪の車輪速の差の検出は、例えば、左後車輪速Vrlと右後車輪速Vrrと差の絶対値|Vrl−Vrr|を用いるなど種々の手法を採用することができる。
マイコン81は、ステップS13において、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS14の処理に進めて、ヨーレートセンサ92により検出されるヨーレートγの大きさ|γ|が基準値γ0以下であるか否かを判断する。ヨーレートγの大きさ|γ|が基準値γ0を超える場合には(S14:No)、直進走行していないと判定して本ルーチンを一旦終了する。
マイコン81は、ステップS14において、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS15の処理に進めて、横加速度センサ93により検出される横加速度Gの大きさ|G|が基準値G0以下であるか否かを判断する。横加速度Gの大きさ|G|が基準値G0を超える場合には(S15:No)、直進走行していないと判定して本ルーチンを一旦終了する。
こうしたステップS13からステップS15の判断は、車両が直進走行しているか否かを判断する処理であるが、必ずしも、3つの条件を全て判断する必要はなく、少なくともその1つを行うようすればよい。
マイコン81は、ステップS15において、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS16に進めて継続時間の判定を行う。つまり、ステップS12からステップS15の判定条件が全て成立している時間が基準時間以上継続したか否かを判断する。例えば、ステップS15において「Yes」と判定した直後からタイマによる時間カウントを開始するとともに、ステップS12〜S15の判断処理を繰り返す。そして、タイマカウント中においてステップS12〜S15における判定条件が1つでも成立しなくなったときに、タイマをリセットするように構成する。これにより、タイマのカウント値により継続時間を検出することができる。
マイコン81は、ステップS12からステップS15の判定条件が全て成立している時間が基準時間以上継続した場合(S16:Yes)、ステップS17において、車両が直進状態にあると判定する。続いて、ステップS18において、操舵角θ2が舵角ゼロになっているか否かを判断する。つまり、シャフト回転角センサ32により検出される回転角度θhを読み込み、この回転角度θhがEEPROM83に記憶されている基準舵角中立点と相違しているか否かを判断する。この相違の判断は、必ずしも完全一致か否かを判断する必要はなく、相違量が許容値以内か否かを判断するものでよい。
直進状態における回転角度θhは、操舵機構10の舵角中立点が変化しない限り一定であり、EEPROM83に記憶されている基準舵角中立点と一致する。一方、操舵機構10の機械的な調整により舵角中立点が変化した場合には、直進状態における回転角度θhも変化し、EEPROM83に記憶されている基準舵角中立点と相違する。従って、このステップS18の処理は、操舵機構10の舵角中立点が変化したか否かを判断する処理といえる。
マイコン81は、ステップS18において、舵角中立点の変化が検出されない場合には、本ルーチンを一旦終了する。一方、舵角中立点の変化が検出された場合、つまり、回転角度θhがEEPROM83に記憶されている基準舵角中立点と相違している場合には、ステップS19において、現時点の回転角度θhを基準舵角中立点としてEEPROM83に更新記憶する。
続いて、マイコン81は、ステップS20において、操舵機構10の舵角中立点が変化したことを表す情報(中立点ずれ情報と呼ぶ)を、CAN通信線60を介してCAN通信システムに出力する。従って、CAN通信システムに接続される制御装置側においては、中立点ずれ情報により舵角中立点の変化の有無を把握することができる。本ルーチンは、ステップS20の処理を行うと一旦終了する。
本舵角中立点ずれ検出ルーチンは、所定の周期で繰り返される。従って、車両の直進状態が検出される度に、操舵機構10の舵角中立点が変化しているか否かを判定し、変化している場合には、回転角度θhを使って基準舵角中立点をEEPROM83に更新記憶するとともに、CAN通信システムに中立点ずれ情報を出力する。
尚、変形例として、ステップS17において直進状態が検出される度に、回転角度θhを使って基準舵角中立点をEEPROM83に更新記憶するようにし、基準舵角中立点の変化量が許容値を超える場合に中立点ずれ情報をCAN通信システムに出力するようにしてもよい。
次に、電動パワーステアリング装置における制御処理について説明する。電動パワーステアリング装置のEPS−ECU50は、運転者の行うハンドル操作状況と車速とに応じて電動モータ20で発生するトルクを制御して最適な操舵アシストを行うとともに、ラックバー14がストロークエンド位置に近づいたとき電動モータ20のアシストトルクを低減する。この場合、上述したように基準舵角中立点と操舵機構10の舵角中立点との間にずれが生じていると、正確なストロークエンド位置を把握できず適正なタイミングでアシストトルクを低減することができなくなる。そこで、上述した中立点ずれ情報を受信したときには、後述するように、アシストトルクを操舵角全域において低減するとともに、正しい基準舵角中立点を求めてEEPROM45に更新記憶する制御処理を操舵アシスト制御と並行して行うようにしている。
まず、操舵アシスト制御から説明する。図3は、マイコン41が実行する操舵アシスト制御ルーチンを表す。この操舵アシスト制御ルーチンは、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチのオンしている間、所定の短い周期で繰り返される。
本操舵アシスト制御ルーチンが起動すると、マイコン41は、ステップS31において、車速センサ34によって検出された車速Vと、操舵トルクセンサ33によって検出された操舵トルクTを読み込む。
続いて、マイコン41は、ステップS32において、図4に示すアシストトルクテーブルを参照して、車速Vおよび操舵トルクTに応じて設定される基本アシストトルクTaを計算する。アシストトルクテーブルは、マイコン41のROM内に記憶されている。このアシストトルクテーブルからわかるように、基本アシストトルクTaは、操舵トルクTの増加にしたがって増加し、しかも、車速Vが低くなるほど大きな値となるように設定される。
尚、図4の特性グラフは、正領域すなわち右方向の操舵トルクTおよび基本アシストトルクTaの関係についてのみ示しているが、負領域すなわち左方向の操舵トルクTおよび基本アシストトルクTaに関しては、図4の特性グラフを原点を中心に点対称の位置に移動した関係になる。また、本実施形態では、基本アシストトルクTaをアシストトルクテーブルを用いて算出するようにしたが、アシストトルクテーブルに代えて操舵トルクTおよび車速Vに応じて変化する基本アシストトルクTaを定義した関数を用意しておき、その関数を用いて基本アシストトルクTaを計算するようにしてもよい。また、基本アシストトルクTaの算出に関しては、必ずしも車速Vと操舵トルクTとの組み合わせから算出する必要はなく、少なくとも操舵状態に応じた検出信号に基づいて行えばよい。
続いて、マイコン41は、ステップS33において、この基本アシストトルクTaに補償トルクTbを加算して理想アシストトルクTiを算出する。この補償トルクTbは、例えば、操舵角θ1に比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵角速度ωに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。操舵角θ1は、モータ回転角センサ31で検出される回転角度θhとEEPROM45に記憶されている基準舵角中立点とを読み込んで、基準舵角中立点に対する回転角度θhの相対角度から計算により求められる。また、操舵角速度ωは、操舵角θ1を時間で微分することにより求められる。
続いて、マイコン41は、ステップS34において、トルク低減係数Kを読み込む。このトルク低減係数Kは、後述のトルク低減係数設定ルーチンにより設定される値であり、「1」、あるいは、α(0≦α<1)に設定される。続いて、ステップS35において、理想アシストトルクTiにトルク低減係数Kを乗じて目標トルクT*を算出する(T*=Ti×K)。続いて、ステップS36において、目標トルクT*に比例した目標電流i*を計算する。目標電流i*は、目標トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、マイコン41は、ステップS37において、電動モータ20に流れる電流値(実電流値i)を電流センサ35から読み込む。続いて、ステップS38において、この実電流値iと先に計算した目標電流値i*との偏差Δiを算出し、この偏差Δiに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧v*を計算する。
そして、マイコン41は、ステップS39において、目標指令電圧v*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路48(3相インバータ回路)に出力して本制御ルーチンを一旦終了する。本制御ルーチンは、所定の短い周期で繰り返し実行される。従って、本制御ルーチンの実行により、モータ駆動回路48のスイッチング素子のデューティ比がPWM制御により調整される。この結果、電動モータ20で目標トルクT*と同じ大きさのトルクが発生し、運転者のハンドル操作をアシストする。
次に、トルク低減係数設定処理について説明する。本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ラックバー14がストロークエンド位置に近づいたとき、および、EEPROM45に記憶されている基準舵角中立点が操舵機構10の舵角中立点と相違していると把握しているときに電動モータ20のアシストトルクを低減する。そこで、マイコン41は、図5に示す中立点ずれ情報取得ルーチンを所定の短い周期で実行し、そこで得た中立点ずれ情報の有無に応じて、トルク低減係数Kを設定するようにしている(図6)。
まず、図5に示す中立点ずれ情報取得ルーチンについて説明する。中立点ずれ情報取得ルーチンは、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶されており、上述したアシスト制御ルーチンと並行して所定の短い周期で繰り返し実行される。
本ルーチンが起動すると、マイコン41は、ステップS51において、CAN通信線60を介してCAN通信情報を読み込む。続いて、ステップS52において、CAN通信情報の中に、中立点ずれ情報が含まれているか否かを判断する。中立点ずれ情報は、上述したように、挙動制御装置80により操舵機構10の舵角中立点の変化が検出されて基準舵角中立点の更新が行われたときに挙動制御装置80からCAN通信システムに出力される情報である。マイコン41は、CAN通信情報の中に中立点ずれ情報が含まれている場合には(S52:Yes)、ステップS53において、フラグFを「1」にセットする。このフラグFは、本ルーチンの起動時においては「0」にセットされており、後述する処理からわかるように、中立点ずれ情報を取得してから電動パワーステアリング装置における基準舵角中立点が更新記憶されるまでの間、「1」に保持されるものである。

ステップS53においてフラグFを「1」に設定すると本ルーチンを一旦終了する。また、ステップS52において、CAN通信情報の中に中立点ずれ情報が含まれていないと判断した場合には、ステップS53の処理を飛ばして本ルーチンを一旦終了する。
次に、トルク低減係数設定処理について説明する。図6は、トルク低減係数設定ルーチンを表すフローチャートである。トルク低減係数設定ルーチンは、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶されており、上述した操舵アシスト制御ルーチンと並行して所定の短い周期で繰り返し実行される。
本トルク低減係数設定ルーチンが起動すると、マイコン41は、ステップS61において、フラグFが「0」か否かを判断する。挙動制御装置80から中立点ずれ情報が出力されている場合には、上述の中立点ずれ情報取得ルーチンによるフラグFが「1」にセットされている。従って、こうした場合には、ステップS61の判断は「No」となり、マイコン41は、ステップS62において、トルク低減係数Kを値αに設定する(K=α)。この値αは、0以上で1より小さい数値に設定されている(0≦α<1)。トルク低減係数Kは、上述したアシスト制御ルーチンのステップS35において理想アシストトルクTiに乗じられる係数である。従って、この場合においては、電動モータ20で発生させるアシストトルクが、通常時(舵角中立点が変化していない場合)に比べて低減されることになる。
一方、フラグFが「0」にセットされている場合、つまり、挙動制御装置80から中立点ずれ情報が出力されていない場合には、マイコン41は、ステップS63において、操舵角θ1を検出する。この操舵角θ1は、モータ回転角センサ31により検出される回転角度θmを読み込み、EEPROM45に記憶されている基準舵角中立点に対する回転角度θmの相対角度から算出される。
続いて、ステップS64において、操舵角θ1が右エンド舵角θendRに接近しているか否かを判断する。つまり、操舵角θ1が右エンド舵角θendRの近傍領域内であって、かつ、右操舵方向に増加中か否かを判断する。右エンド舵角θendRとは、ラックバー14が右方向のストロークエンド位置にあるとみなす操舵角、つまり、基準舵角中立点に対する相対的な右最大舵角であり、予めマイコン41のROM等の記憶素子に記憶されている。従って、EEPROM45に記憶されている基準舵角中立点と操舵機構10の実際の舵角中立点とがずれていないときには、右ストロークエンド位置に到達しているときには、操舵角θ1は右エンド舵角θendRと一致する。
ステップS64においては、右エンド舵角θendRの近傍領域とみなす舵角範囲を、(θendR−A)からθendRの間として予め設定しておき、検出した操舵角θ1が(θendR−A)より大きく、かつ、今回検出した操舵角θ1が直前回(本ルーチンの制御周期における1周期前)に検出した操舵角θ1oldより大きくなるときに、操舵角θ1が右エンド舵角θendRに接近したと判断する。つまり、次の2つの条件を判定する。
第1条件 θ1>(θendR−A)
第2条件 θ1−θ1old>0
尚、第1条件におけるAは、図7(a)に示すように、エンド舵角の近傍領域の幅を設定する正の値であって任意の値に設定できる。
ステップS64において、「Yes」、つまり、操舵角θ1が右エンド舵角θendRに接近している場合には、ステップS62において、トルク低減係数Kを値αに設定する(K=α)。一方、ステップS64において、「No」、つまり、操舵角θ1が右エンド舵角θendRに接近していない場合には、ステップS65において、操舵角θ1が左エンド舵角θendLに接近しているか否かを判断する。つまり、操舵角θ1が左エンド舵角θendLの近傍領域内であって、かつ、左操舵方向に増加中か否かを判断する。左エンド舵角θendLとは、ラックバー14が左方向のストロークエンド位置にあるとみなす操舵角、つまり、基準舵角中立点に対する相対的な左最大舵角であり、予めマイコン41のROM等の記憶素子に記憶されている。
ステップS65においては、左エンド舵角θendLの近傍領域とみなす舵角範囲を、(θendL+A)からθendLの間として予め設定しておき、検出した操舵角θ1が(θendL+A)より小さく、かつ、今回検出した操舵角θ1が直前回(本ルーチンの制御周期における1周期前)に検出した操舵角θ1oldより小さくなる(絶対値では大きくなる)ときに、操舵角θ1が左エンド舵角θendLに接近したと判断する。つまり、次の2つの条件を判定する。
第1条件 θ1<(θendL+A)
第2条件 θ1−θ1old<0
ステップS65において、「Yes」、つまり、操舵角θ1が左エンド舵角θendLに接近している場合には、ステップS62において、トルク低減係数Kを値αに設定する(K=α)。一方、ステップS65において、「No」、つまり、操舵角θ1が右エンド舵角θendRと左エンド舵角θendLとのどちらにも接近していない場合には、ステップS66において、トルク低減係数Kを値1に設定する(K=1)。こうしてステップS66あるいはステップS62においてトルク低減係数Kの値が設定されると、本ルーチンは一旦終了する。
このトルク低減係数設定ルーチンによれば、中立点ずれ情報の取得の有無に基づいて、操舵アシスト制御を行うときのアシストトルク低減領域が変更される。つまり、中立点ずれ情報を取得していない時、つまり、操舵機構10の舵角中立点の変更が検出されていない通常時においては、図7(a)に示すように、左右のエンド舵角θendR,θendLの近傍領域でのみアシストトルクを低減する。一方、中立点ずれ情報を取得している時、つまり、操舵機構10の舵角中立点の変更が検出されている異常時においては、操舵角全域でアシストトルクを低減する。ここで、アシストトルクを低減するとは、操舵状態および車速に基づいて演算された理想アシストトルクTiに対して、実際に電動モータ20に発生させるアシストトルク(目標トルクT*)を低減することを意味する(図3:ステップS35参照)。
これにより、運転者がエンド舵角まで操舵ハンドル11を大きく切っても、ラックバー14のストッパ18とラックハウジング15端部との衝突による衝撃が緩和され、ステアリングシャフト12に入力される衝撃力を低減することができる。また、操舵機構10の舵角中立点が変更されている場合には、マイコン41の把握する左右のエンド舵角θendR,θendLと実際のエンド舵角とのあいだにずれを生じるが、アシストトルクを低減する操舵角領域を広範囲に設定変更するため、確実に上記衝撃力を低減することができる。この結果、操舵機構10の構成部品の損傷、劣化等を抑制することができる。また、衝撃音の発生や、操舵ハンドル11から運転者に伝わる衝撃を抑制することができる。
次に、EEPROM45に記憶されている基準舵角中立点の更新処理について説明する。図8は、マイコン41が行う基準舵角中立点更新ルーチンを表すフローチャートである。この基準舵角中立点更新ルーチンは、マイコン41のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチのオンしている間、所定の短い周期で繰り返し実行される。
基準舵角中立点更新ルーチンが起動すると、マイコン41は、ステップS71において、フラグFが「1」か否かを判断する。挙動制御装置80から中立点ずれ情報が出力されている場合には、フラグFが「1」にセットされているため、その処理をステップS72に進めるが、フラグFが「0」にセットされている場合には、本ルーチンを一旦終了する。マイコン41は、ステップS72において、電流センサ35により検出される電動モータ20に流れる実電流iを読み込む。
続いて、マイコン41は、ステップS73において、実電流iが判定基準値i0以上であるか否かを判断する。実電流iが判定基準値i0以上であれば(S73:yes)、ステップS74において、実電流iの変化度合いΔiを演算し、その変化度合いΔiが判定基準値Δi0より大きいか否かを判断する。判定基準値i0および判定基準値Δi0は、ともに予め設定された値であって正の値となっている。また、本明細書においては、電動モータ20が右操舵方向にトルクを発生する実電流iを正の値で、左操舵方向のトルクを発生する実電流iを負の値で表す。
このため、ステップS73においては、運転者が操舵ハンドル11を右方向にある程度の力で操舵したか否かについて判断するものとなる。更に、ステップS74においては、電動モータ20に右操舵方向のトルクを発生させる実電流iの変化度合いΔiが判定基準値Δi0以上であるか否かを判断するものとなる。実電流iの変化度合いΔiは、本ルーチンが所定の短い周期で繰り返されることから、今回検出した実電流iから1周期前に検出した実電流ioldを引いた値、つまり、単位時間当たりの実電流変化量として算出することができる(Δi=i−iold)。
電動モータ20が回転しているときには、必ず逆起電力が発生する。従って、目標指令電圧v*は、逆起電力を打ち勝つように高く設定されている。そのため、高速回転している電動モータ20が急に停止すると、逆起電力が急に消滅して電流が流れやすくなり、実電流iが一気に増大する。
本実施形態においては、こうした現象を捉えることによりラックバー14のストロークエンド位置を検出する。つまり、ラックバー14がストロークエンド位置にまで移動してストッパ18とラックハウジング15の端部とが衝突すると、電動モータ20が急激に停止して実電流iが急激に増大する。従って、運転者の操舵方向と実電流iの急増現象とを検出することにより、ラックバー14がストロークエンド位置に達したことを検出することができる。以下、ラックバー14がストロークエンド位置にまで移動してストッパ18とラックハウジング15の端部とが衝突することをエンド当たりと呼び、右操舵方向のエンド当たりを右エンド当たり、左操舵方向のエンド当たりを左エンド当たりと呼ぶ。
マイコン41は、ステップS73およびステップS74において「Yes」と判定した場合、つまり、実電流iが判定基準値i0以上であり、かつ、変化度合いΔiが判定基準値Δi0より大きい場合には、ステップS75において、右エンド当たりが発生したと判定する。一方、ステップS73あるいはステップS74において、「No」と判定した場合には、その処理をステップS76に進めて、実電流iが負の判定基準値−i0以下であるか否かを判断する。この場合、電動モータ20に左操舵方向のトルクを発生させる向きの実電流の大きさ|i|を考えれば、ステップS73と同様に、実電流|i|が判定基準値i0以上であるか否かを判断することになる。実電流|i|が判定基準値i0未満の場合は(S76:No)、本ルーチンを一旦終了する。
実電流|i|が判定基準値i0以上である場合は、運転者が操舵ハンドル11を左方向にある程度の力で操舵したと推定できる。この場合には、マイコン41は、ステップS77において、実電流iの変化度合いΔiを演算し、その変化度合いΔiが負の判定基準値−Δi0より小さい否かを判断する。この場合、電動モータ20に左操舵方向のトルクを発生させる向きの実電流の大きさ|i|の変化度合いを考えれば、ステップS74と同様に、実電流|i|の増加度合いが判定基準値Δi0以上であるか否かを判断することとなる。
マイコン41は、ステップS77において「Yes」と判定した場合、つまり、左操舵方向のトルクを発生させる実電流|i|の増加度合い|Δi|が判定基準値Δi0より大きい場合には、ステップS78において、左エンド当たりが発生したと判定する。一方、ステップS77において、「No」と判定した場合は、本ルーチンを一旦終了する。
マイコン41は、ステップS75あるいはステップS78においてエンド当たりを検出すると、その処理をステップS79に進めて、モータ回転角センサ31により検出される回転角度θmを読み込む。続いて、ステップS80において、この回転角度θmと基準舵角中立点とから求められる操舵角θ1と、予め記憶されているエンド舵角との差を求め、この差で基準舵角中立点を補正し、補正した基準舵角中立点をEEPROM45に更新記憶する。つまり、右エンド当たりが検出されている場合には、操舵角θ1と右エンド舵角θendRとの角度差を使って基準舵角中立点を補正し、左エンド当たりが検出されている場合には、操舵角θ1と左エンド舵角θendLとの角度差を使って基準舵角中立点を補正する。例えば、実際の右ストロークエンド位置を表す操舵角θ1が右エンド舵角θendRよりも5°右操舵方向にずれている場合には、基準舵角中立点を5°右操舵方向にずらせばよい。
マイコン41は、補正した基準舵角中立点をEEPROM45に更新記憶すると、ステップS81においてフラグFを「0」にリセットして本ルーチンを終了する。こうして、操舵角演算用の基準舵角中立点と操舵機構10の舵角中立点とが一致することになる。また、フラグFが「0」にリセットされるため、アシストトルクの低減領域が、全舵角領域(図7(b))からストロークエンド位置近傍領域(図7(a))に戻されることになり、運転者にとって快適な操舵アシストと、操舵機構1の構成部品の保護とを図ることができる。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、操舵機構10の調整等により操舵角演算用の基準舵角中立点と操舵機構10の舵角中立点との間にずれが生じた場合でも、ずれが生じたことを挙動制御装置80の機能を利用して早く正確に検出することができる。そして、ずれ検出に基づいて、操舵角の全域にわたってアシストトルクを低減するため、ストロークエンド位置を正確に検出できなくてもラックバー14のエンド当たりによる衝撃を緩和することができ、操舵機構10の構成部品を保護するとともに、衝撃音の低減、操舵ハンドル11から運転者へ伝わる振動を低減することができる。
しかも、操舵角全域においてアシストトルクを低減している期間では、エンド当たりの有無を判断し、エンド当たりを検出したときの操舵角θ1と記憶しているエンド舵角θendL(またはθendR)との差に基づいて基準舵角中立点を補正し更新記憶する。これにより、アシストトルクの低減領域を通常のストロークエンド近傍に戻すことができる。また、エンド当たりの検出においては、実電流|i|の増加度合いに基づいて行っているため、特別なセンサが不要であり、それに伴うコストアップ等の問題を招かない。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、中立点ずれ情報を取得したとき、操舵角全域においてアシストトルクを低減するようにしたが、アシストトルクを低減する操舵角領域は、エンド舵角の近傍領域よりも広い舵角範囲であればよく、必ずしも全域にする必要はない。
また、本実施形態においては、ステアリングシャフト12に電動モータ20を組み付けてアシストトルクを付与する構成を採用しているが、ラックハウジング15に電動モータを組み込んで、電動モータからラックバー14に対してストローク移動力を付与するようにした構成であってもよい。
また、本実施形態においては、実電流|i|の増加度合い|Δi|が判定基準値Δi0より大きい場合にエンド当たりが発生したと判定したが、エンド当たり時には、実電流|i|は急増した後に急激に減少するため、実電流|i|の減少度合い|Δi|が判定基準値Δi0より大きい場合にエンド当たりが発生したと判定するようにしてもよい。
尚、本実施形態の電動パワーステアリング装置と、挙動制御装置80における舵角中立点ずれ検出ルーチン(図2参照)を行う機能部とを含めた構成が、本発明の請求項2記載の電動パワーステアリング装置に相当する。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体システム構成図である。 実施形態に係る舵角中立点ずれ検出ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係る操舵アシスト制御ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るアシストトルクマップを表す特性図である。 実施形態に係る中立点ずれ情報取得ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るトルク低減係数設定ルーチンを表すフローチャートである。 実施形態に係るトルク低減操舵領域を表す説明図である。 実施形態に係る基準舵角中立点更新ルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
10…操舵機構、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…ラックアンドピニオン機構、14…ラックバー、15…ラックハウジング、16…タイロッド、17…ナックル、18…ストッパ、20…電動モータ、31…モータ回転角センサ、32…シャフト回転角センサ、33…操舵トルクセンサ、34…車速センサ、35…電流センサ、40…電子制御装置、41…マイクロコンピュータ、42…入力インタフェース、43…出力インタフェース、44…通信インタフェース、48…モータ駆動回路、50…アシスト制御ユニット、80…挙動制御装置、81…マイクロコンピュータ、82…入力インタフェース、84…通信インタフェース、91…車輪速センサ、92…ヨーレートセンサ、93…横加速度センサ、Wfl…左前輪、Wfr…右前輪。

Claims (4)

  1. 運転者の操舵ハンドルの回動操作により回転する操舵軸の回転運動をラックバーの左右のストローク運動に変換し、前記ラックバーのストローク運動により操舵輪を操舵する操舵機構と、
    前記操舵ハンドルの回動操作をアシストするためのアシストトルクを発生する電動モータと、
    操舵角を検出するための基準点となる基準舵角中立点を記憶する中立点記憶手段と、
    前記記憶された基準舵角中立点に対する相対的な舵角を操舵角として検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵ハンドルの操作状態に基づいて前記電動モータを駆動制御すると共に、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が、前記ラックバーのストローク移動範囲を機械的に制限するストロークエンド位置となるエンド舵角の近傍領域であって前記エンド舵角に接近したときに、前記電動モータに発生させるアシストトルクを低減するモータ制御手段と
    を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記モータ制御手段は、
    前記基準舵角中立点と前記操舵機構の舵角中立点との間にずれが生じていることを表す中立点ずれ情報を取得する中立点ずれ情報取得手段と、
    前記中点ずれ情報を取得した場合に、前記エンド舵角の近傍領域よりも広い操舵角範囲において、前記電動モータに発生させるアシストトルクを低減する広域トルク低減手段と
    を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 車両の走行中に、車両の横加速度、あるいは、車両のヨーレート、あるいは、左車輪速度と右車輪速度との差の少なくとも一つに基づいて、車両の直進状態を検出する直進状態検出手段と、
    前記直進状態が検出される度に、前記直進状態における操舵角の変化の有無を判断し、前記操舵角の変化がある場合に前記中立点ずれ情報取得手段に前記中立点ずれ情報を与える中立点ずれ検出手段と
    を備えた請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記中立点ずれ情報を取得した後に、前記ラックバーが前記ストロークエンド位置に到達したことを検出するストロークエンド検出手段と、
    前記ラックの前記ストロークエンド位置への到達が検出されたときの前記操舵角検出手段により検出された操舵角と前記エンド舵角との差に基づいて、前記中立点記憶手段に記憶された基準舵角中立点を更新する基準舵角中立点更新手段と、
    前記基準舵角中立点を更新した後に、前記広域トルク低減手段の動作を終了させるトルク低減解除手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記ストロークエンド検出手段は、前記電動モータに流れる電流を測定し、前記測定した電流の変化度合いに基づいて、前記ラックバーが前記ストロークエンド位置に到達したことを検出することを特徴とする請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
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