JP2009219687A - 針刺し防止部材および該部材を含む防護手袋 - Google Patents

針刺し防止部材および該部材を含む防護手袋 Download PDF

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Abstract

【課題】充分な針刺し防止効果、すなわち高い貫通抵抗値を有する針刺し防止部材および該部材を含む防護手袋を提供すること。
【解決手段】ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層1及びヤング率が2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層2を含む針刺し防止部材。評価方法は上記針刺し防止部材1,2の積層面に対して、500mm/分の速度で垂直方向から針3をおろし、針が貫通するとき抵抗値をロードセル4にて測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療および化学・生物分野等の針を使用する環境において針刺し事故を防止することができる針刺し防止部材に関する。また、該部材を含む防護手袋に関する。
従来から多くの分野において、ナイフ、鋏もしくは鋭利な断面をもつ物質によって手を傷付けないという防護機能を有する切創防止手袋が種々研究されており、例えば、アラミド系繊維や超高分子量ポリエチレン繊維など高強力・高弾性繊維からなる切創防止手袋が知られている。
しかし、医療現場や化学・生物分野の研究開発分野の現場等においては、耐切創性だけでは充分ではなく、針刺し防止機能を有する保護具が求められている。特に医療現場では注射針や手術用縫い針等を使用する機会が多いため、針を誤って自らに刺してしまう事故が発生する。特に多いのが、針先端を元のキャップに戻すとき、すなわちリキャップ時に誤って指先端を刺してしまう事故であり、出血以外に感染、投薬事故等を起こす危険性がある。現在針刺し防止のために行われている方法としては手術用手袋を2重に装着するなどの方法が取られているが、2重に装着しても針が容易に貫通してしまい、耐針刺し性は充分なものではなかった。
また、医療現場における耐傷性部材として、硬質合成樹脂片、金属薄板片等を含有する層を含む屈曲性耐傷性部材等が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、引用文献1では、耐傷性については検討されているものの、耐針刺し性については充分な検討がなされていないものである。
従って、充分な針刺し防止効果を有する部材はいまだ無いのが現状である。
特開平8−24271号公報
本発明の目的は、上記状況に鑑み、充分な針刺し防止効果、すなわち高い貫通抵抗値を有する針刺し防止部材および該部材を含む防護手袋を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層及びヤング率が2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層を含む針刺し防止部材が、上記の目的を達成できることを見出した。この知見に基づいてさらに発展させることにより本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の針刺し防止部材および該部材を含む防護手袋を提供する。
項1.ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層及びヤング率が2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層を含む針刺し防止部材。
項2.エラストマー系樹脂が、ポリウレタン樹脂である上記項1記載の針刺し防止部材。
項3.高強度樹脂が、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂である上記項1又は2記載の針刺し防止部材。
項4.エラストマー系樹脂からなる層と高強度樹脂からなる層が、接着剤又は熱融着により接着されている上記項1〜3のいずれかに記載の針刺し防止部材。
項5.上記項1〜4記載の針刺し防止部材を含む防護手袋。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.針刺し防止部材
本発明の針刺し防止部材は、ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層及びヤング率が2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層を含むものである。
1.1.エラストマー系樹脂
本発明のエラストマー系樹脂としては、ショアA硬度が30〜90であるゴム弾性を有する樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム等を挙げることができ、これらの中でも、機械的強度および耐摩耗性が特に優れている点から、ウレタンゴムが好ましい。
シリコーンゴムとしては、例えば、付加型液状シリコーンゴムが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製の、KE−106、KE−1300等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系フッ素ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系フッ素ゴム(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX−401161等が挙げられる。
ブチルゴムとしては、イソブチレン−イソプレン共重合体が挙げられる。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、またはそれを主体とする共重合により得ることのできるゴム状弾性体である。
ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系ウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)などが挙げられる。
エラストマー系樹脂のショアA硬度は、30〜90であり、40〜80であることが好ましく、40〜70であることがより好ましい。ショアA硬度がこの範囲にあることで、針先端部分における針刺し衝撃の緩衝効果が高まるため好ましい。ここで、ショアA硬度とは、JIS K6253に準じて測定した値をさすものである。
エラストマー系樹脂からなる層の厚さ(以下、エラストマー系樹脂層ともいう)は、ニップ圧の応力集中防止の点から、50μm以上であることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましく、100〜250μmであることがさらに好ましい。
また、エラストマー系樹脂には、種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、フィラー等をあげることができる。
特に医療機関において、静電気による電子機器トラブルの防止策として、導電性付与は効果的である。導電性付与剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属または合金;更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を挙げることができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの導電性付与剤は、微粉末状であることが好ましい。
導電性付与剤の含有量は、通常、エラストマー系樹脂中5〜30重量%程度であることが好ましい。これによりエラストマー系樹脂に、針刺し防止部材に適した導電性を付与することができる。
1.2.高強度樹脂
高強度樹脂としては、ヤング率が2.0〜8.0GPaである樹脂であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、これらの混合物等を挙げることができる。高強度樹脂からなる層は、これらの材料を用いて遠心成型法や溶融押出成形法などの公知の方法により製造できる。
ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合することにより製造される。
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物等を挙げることができる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等を挙げることができる。
ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
また、ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合することにより製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。
高強度樹脂からなる層のヤング率は2.0〜8.0GPaであり、3〜7.5GPaであることが好ましい。ヤング率がこの範囲であることにより、針刺し衝撃に対する耐素材変形が大きく、貫通しにくくなるため好ましい。ここで、ヤング率とは、実施例に記載された方法により測定することができる。
高強度樹脂からなる層(以下、高強度樹脂層ともいう)の厚さは、集中応力の貫通抵抗と手術用手袋の装着感の点から、30〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましく、100〜150μmであることがさらに好ましい。
高強度樹脂には、本願発明の効果を損なわない範囲で添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、帯電防止、静電気による電子機器トラブルの防止のため導電性付与剤、物性低下防止のための酸化防止剤、紫外線吸収剤およびフィラー等を挙げることができる。導電性付与剤としては、前記同様のものを挙げることができる。
導電性付与剤の含有量は、高強度樹脂中5〜25重量%程度であることが好ましい。
本発明の針刺し防止部材は、前記エラストマー系樹脂層と高強度樹脂層が接着剤又は熱融着により接着されていることが好ましい。
接着剤としては、特に限定されるものではないが、合成系接着剤が望ましい。合成系接着剤としてはアクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着、エポキシ樹脂系接着剤、エポキシ樹脂エマルジョン接着剤、シリコーン系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム溶液系接着、スチレン-ブタジエンゴム溶液系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変成シリコーン系接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤等を挙げることができる。接着剤の塗布量としては、特に限定されるものはないが、例えば、0.0001〜0.01g/cm程度であることが好ましい。
熱融着する場合の条件としては、特に限定されるものではないが、熱ラミネート機で、ローラー温度を80〜120℃程度に設定し熱圧着する、もしくは塗布後、80〜120℃程度に設定されたオーブン内で熱融着する方法などを挙げることができる。
本発明の針刺し防止部材は、ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層及びヤング率は2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層を含むことで、充分な針刺し防止効果、すなわち高い貫通抵抗値を有するものである。
ここで、針刺し防止効果とは、針が刺さった場合に、針にかかる抵抗が大きく、針の貫通により大きな力を要することを指すものであり、実施例に記載された方法により測定することができる。
本発明の針刺し防止部材は、保護手袋、医療手袋(手術用手袋、検査用手袋)、化学・生物実験用手袋などに使用することができる。
保護手袋とする場合は、本発明の針刺し防止部材のみからなる手袋としてもよく、また、保護手袋の一部分(特に指部分)にのみ本発明の針刺し防止部材を用いた手袋としてもよい。
2.針刺し防止部材の製造方法
本発明の針刺し防止部材の製造方法については、例えば、下記のような方法を挙げることができる。
(工程1)高強度樹脂は、流延法又は遠心成形、射出法、延伸法等で形成することができるが、市販されている樹脂フィルムを使用してもよい。
(工程2)上記工程1で得られた表面層にエラストマー系樹脂からなる層を形成して2層膜を形成することにより製造する方法が好ましい。ただし、本発明の針刺し防止部材の製造方法は、この方法に限定されるものではなく、公知の方法によりそれぞれの層を形成して、公知の方法により接着してもよい。
以下に、上記工程1、2を含む製造方法について説明する。
2.1.高強度樹脂層の製造方法(工程1)
高強度樹脂層の製造方法としては、特に限定されるものではなく公知の方法を使用できるが、高強度樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂を用いる場合は、流延法又は遠心成形等で形成することができるが、市販されている樹脂フィルムを使用してもよい。また、ポリカーボネート、PVDF、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して、溶融押出成型又は射出成型で成形することができる。
以下に、高強度樹脂がポリイミド樹脂である場合の遠心成型について説明する。
ポリイミド樹脂の原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを溶媒中で反応させてポリアミック酸溶液を用意する。テトラカルボン酸二無水物とジアミンについては、前記同様のものを挙げることができる。ポリアミック酸溶液の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、10〜40重量%程度であることが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒を挙げることができる。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。これらの中でも、特に、NMPが好ましい。
得られたポリアミック酸溶液を、回転ドラム(円筒状金型)等を用いて遠心成形を行う。回転ドラムは特に限定されるものではないが、例えば、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型等を挙げることができる。加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し、100〜190℃程度、好ましくは110〜130℃程度にする(第1加熱段階)。昇温速度は、特に限定されるものではないが、例えば、1〜2℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、約半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のある管状ベルトを成形する。
次に、第2段階加熱として、温度280〜400℃程度(好ましくは300〜380℃程度)で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにするのが良い。なお、第2段階加熱は、管状ベルトを回転ドラムの内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階を終了後、回転ドラムから管状ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃に加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常約20分〜3時間程度である。
高強度樹脂として、ポリアミドイミド樹脂を用いる場合も同様にして、ジアミン又はジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを遠心成型してポリアミドイミドの高強度樹脂からなる層を形成できる。
以下に、溶融押出成形について説明する。
高強度樹脂として、ポリカーボネート、PVDF、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して溶融押出成型又は射出成型することによりシームレスの高強度樹脂層を製造できる。
溶融温度としては、用いる樹脂の溶融温度により適宜設定することができるものである。
高強度樹脂中、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、フィラー等を添加しても良い。
以上のようにして、継目のない高強度樹脂からなる層を製造できる。
2.2.エラストマー系樹脂層の製造方法(工程2)
工程1で得られた高強度樹脂層の内面に、遠心成形によりエラストマー系樹脂層を形成する。
前述のエラストマー系樹脂を溶媒に溶解させて液状組成物として、遠心成形を行うことができる。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、エラストマー系樹脂の種類に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;又はこれらの混合溶媒などが用いられる。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。これらの中でも、特に、トルエン、キシレンが好ましい。
エラストマー系樹脂に導電性を付与する場合、エラストマー系樹脂中5〜30重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電性付与剤を該液状組成物に添加することができる。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。
また、液状組成物には、必要に応じて硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤等を挙げることができる。硬化剤の添加量は、エラストマー系樹脂中2〜50重量%であることが好ましい。
また、前記液状組成物の固形分濃度は、20〜70重量%程度であることが好ましい。
得られた液状組成物を、高強度樹脂層が形成された回転ドラム(円筒状金型)の表面層の内面に均一に塗布して遠心成型を行う。遠心成形しなから加熱処理を行う。
加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し100〜180℃程度、好ましくは110〜160℃程度に到達せしめる。昇温速度は、例えば、1〜3℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、ドラム内に表面層、その上にエラストマー系樹脂を有する2層膜を成形する。
また、前記遠心成形法によらず、エラストマー系樹脂フィルムを別途用意し、高強度樹脂層とともに加熱・圧縮して熱融着することもできるし、ドライラミ接着剤等により接着することもできる。
上述の方法により得られた本発明の針刺し防止部材は、充分な針刺し防止効果、すなわち高い貫通抵抗値を有するものである。
本発明により、医療現場や化学・生物分野の研究開発分野の現場等における針刺し防止機能を高めることにより医療事故を防ぎ、安心・安全の環境を提供することができる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
宇部興産(株)製のU−ワニス−A(固形分濃度:18重量%、ポリイミドフィルムのヤング率:3.5GPa)5kgにNMPを1.2kg加え、固形分濃度14.5重量%のポリイミド先駆体溶液を6.2kg作製した。この液体原料を外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型を回転数250r.p.mで回転させながら、円筒金型内周面に塗付した。塗布の厚さは、液体原料の固形分濃度から算出し、ポリイミドフィルムの厚さが40μmになるように決定した。その後も250r.p.mで回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で90分間保持して溶媒を揮発させた。次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入し、120分間かけて330℃に昇温し、330℃で60分間高温加熱することでポリイミド転化を完了した。
その後、室温まで冷却、再び円筒金型を回転数250r.p.mで回転させながら、トルエン1000gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP1627、大日本インキ(株)製)を1000g溶解させた溶液に、硬化剤CLH−5(大日本インキ(株)製)83.3gを添加し撹拌したものをポリイミドフイルム付きの円筒金型内周面に塗付した。塗布の厚さは、液体原料の固形分濃度から算出し、厚さが160μmになるように決定した。その後も250r.p.mで回転させたまま、60分間かけて150℃に昇温し、その後150℃で30分間保持して溶媒を揮発させ、ポリウレタン樹脂(PU)を硬化させた。最後に室温まで冷却し、金型内面より剥離し、ポリイミド樹脂とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
実施例2〜4
ポリイミド厚みを表1に示す厚みになるように塗布の厚みを変えて作製した以外は全て実施例1と同様にして、ポリイミド樹脂とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
実施例5〜7
日立化成工業(株)製のHPC−9000(固形分濃度:21重量%、ポリアミドイミドフィルムのヤング率:4.1GPa)5kgにNMPを1.2kg加え、固形分濃度16.9重量%のポリアミドイミド溶液を6.2kg作製した。この液体原料を外径324mm、内径300mm、長さ500mmの円筒金型を回転数250r.p.mで回転させながら、円筒金型内周面に塗付した。塗布の厚さは、液体原料の固形分濃度から算出し、ポリイミドフィルムの厚さが40μmになるように決定した。その後も250r.p.mで回転させたまま、30分間かけて120℃に昇温し、その後120℃で90分間保持して溶媒を揮発させた。次に、この管状物を円筒金型の内周面に付着したまま高温加熱炉に投入し、120分間かけて260℃に昇温し、260℃で60分間高温加熱することでNMPを完全に揮発・除去させた。実施例1〜3のポリイミド先駆体溶液の代わりに、このポリアミドイミド溶液を用いた以外は実施例1〜3と同様にして、ポリアミドイミド樹脂とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
実施例8〜14
トルエン1000gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP1627、大日本インキ(株)製)を1000g溶解させた溶液に、硬化剤CLH−1:CLH−5(大日本インキ(株)製)10.4g:53.5gを添加し撹拌を行った。このポリウレタン樹脂(PU)溶液を用いた以外は、実施例1〜7と同様にして、ポリイミド樹脂(又はポリアミドイミド樹脂)とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
なお、予備試験としてこのポリウレタン樹脂(PU)溶液にて作製したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA(JIS K6253)にて45°であった。
実施例15〜21
トルエン1000gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP1627、大日本インキ(株)製)を1000g溶解させた溶液に、硬化剤CLH−1:CLH−5(大日本インキ(株)製)45.9g:20.8gを添加し撹拌を行った。このポリウレタン樹脂(PU)溶液を用いた以外は、実施例1〜7と同様にして、ポリイミド樹脂(又はポリアミドイミド樹脂)とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
なお、予備試験としてこのポリウレタン樹脂(PU)溶液にて作製したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA(JIS K6253)にて70°であった。
実施例22〜28
ポリウレタンエラストマー(レザミンD6065NP、大日精化工業(株)製)を1000gの溶液に、レザミンD−52架橋剤50gを添加し撹拌を行った。このポリウレタン樹脂(PU)溶液を用いた以外は、実施例1〜7と同様にして、ポリイミド樹脂(又はポリアミドイミド樹脂)とウレタン樹脂からなる2層のフイルムを作製した。
なお、予備試験としてこのポリウレタン樹脂(PU)溶液にて作製したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA(JIS K6253)にて90°であった。
Figure 2009219687
比較例1
現行の手術用手袋(インターメド・ジャパン製、ダーマテックスII、天然ゴム製、厚み約240μm)について、下記方法により針刺し防止の評価を行った。その結果、2cNであった。
比較例2
現行のクロロプレンゴムからなる手術用手袋について、下記方法により針刺し防止の評価を行った。その結果、2.5cNであった。
実施例でえられたフィルムについて、下記方法により、針刺し防止の評価を行った。評価結果を図2〜5に示す。また、エラストマー系樹脂からなる層のショアA硬度、高強度樹脂からなる層のヤング率は下記方法により求めた。
<評価方法>
(ショアA硬度)
JIS K6253に準じて測定を行った。
(ヤング率)
実施例で得られたポリイミドフィルム(又はポリアミドイミドフィルム)から短冊型による切り出し法により、長さ250mm(つかみしろは両端30mm)×幅25mmの試験片を作製した。ASTM D882に準拠して、ストログラフR((株)東洋精機製作所製)を用いて、引張スピード25mm/min、チャートスピード100mm/minにて測定した。得られた測定値を、下記計算式にあてはめてヤング率を求めた。
ヤング率(GPa)=9.80665×{測定値(kg)×4÷厚み(μm)}
(針刺し防止の評価)
図1に示すように得られた実施例で得られた針刺し防止部材の積層面に対して、500mm/分の速度で垂直方向から針(3)をおろし、針(3)が貫通するとき抵抗値をロードセル(4)にて測定した。針先は、ランセット型医療用注射針(テルモ(株)製、0.5mmφ×25mm)を用いた。表中の値は、3回測定を行った平均値である。
また、実施例で得られた針刺し防止部材については、エラストマー系樹脂層側からの測定と、高強度樹脂層側からの測定を行った。また、ポリウレタン樹脂単体(PU単体)、ポリイミド樹脂単体(PI単体)、ポリアミドイミド樹脂単体(PAI単体)の針刺し抵抗値も測定した。
図2〜5に、それぞれポリウレタン樹脂の硬度30A、45A、70A、90Aの場合の結果を示す。なお、グラフ中の「単純和」は、貼り合わせ部材を構成するPU単体およびPI単体、PAI単体の針刺し抵抗値を単純に足した数値を、「PU側」は、エラストマー系樹脂層(ポリウレタン樹脂層)側からの測定値、「PI/PAI側」は、高強度樹脂層(ポリイミド樹脂層又はポリアミドイミド樹脂層)側からの測定値を示す。
図2〜5より明らかなように、ポリイミド樹脂層又はポリアミドイミド樹脂層の厚みが大きい程、針刺し抵抗値が大きくなる傾向がある。また、ポリウレタン樹脂層の硬度が70Aの時に高い針刺し抵抗値が得られる傾向がある。
また、ポリウレタン樹脂層側からの針刺し抵抗値が大きいため、手袋として用いる場合は、ポリウレタン樹脂層側を外側にして用いることが好ましい。
針刺し防止の評価の概略図を示す。 実施例1〜7(ポリウレタン樹脂の硬度30A)の針刺し抵抗値測定グラフを示す。 実施例8〜14(ポリウレタン樹脂の硬度45A)の針刺し抵抗値測定グラフを示す。 実施例15〜21(ポリウレタン樹脂の硬度70A)の針刺し抵抗値測定グラフを示す。 実施例22〜28(ポリウレタン樹脂の硬度90A)の針刺し抵抗値測定グラフを示す。
符号の説明
1 エラストマー系樹脂からなる層又は高強度樹脂からなる層
2 高強度樹脂からなる層又はエラストマー系樹脂からなる層
3 針
4 ロードセル

Claims (5)

  1. ショアA硬度が30〜90であるエラストマー系樹脂からなる層及びヤング率が2.0〜8.0GPaである高強度樹脂からなる層を含む針刺し防止部材。
  2. エラストマー系樹脂が、ポリウレタン樹脂である請求項1記載の針刺し防止部材。
  3. 高強度樹脂が、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂である請求項1又は2記載の針刺し防止部材。
  4. エラストマー系樹脂からなる層と高強度樹脂からなる層が、接着剤又は熱融着により接着されている請求項1〜3のいずれかに記載の針刺し防止部材。
  5. 請求項1〜4記載の針刺し防止部材を含む防護手袋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014111889A (ja) * 2009-10-07 2014-06-19 Sungyull Lee 人工芝用充填材及びこれを含む人工芝

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