JP2009216353A - 流動層ボイラによる燃焼方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】揮発分の高い石炭を混入して燃焼するにあたり、脱硫設備や脱硝触媒といった新たな設備を設けて設備を大型化しなくても、排ガス中のNOとSOの双方を確実に低減させることができる流動層ボイラによる燃焼方法を提供する。
【解決手段】流動化空気および燃焼空気を複数個所に吹き込む流動層ボイラの燃焼炉に、揮発分の高い石炭を混入して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼するにあたり、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に吹き込ませる流動化空気と燃焼空気の少なくとも一方に水分を添加するか、燃焼炉2内に水分を投入して脱硫を行い、排ガス中のNOおよびSOを低減させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、流動層ボイラの燃焼炉に、通常使用している揮発分が10〜25質量%(湿基準)の石炭とその石炭より揮発分が高い石炭を混合して装入し燃焼させるにあたり、燃焼排ガス中のNOおよびSOを低減させることを特徴とする流動層ボイラによる燃焼方法に関するものである。
流動層ボイラは、その燃焼排ガス中のNOを低減させるために、燃焼空気を複数個所に分配して吹き込む多段階燃焼方式を採用し、更に、燃焼炉の出側煙道にアンモニアまたは尿素を直接吹き込むことにより脱硝する無触媒脱硝を行っている。また同時に、流動層ボイラの燃焼炉内で燃焼排ガスのSOを低減させるために、燃焼炉内に石灰石や生石灰といった粉状または粒状のCa分を吹き込むことにより脱硫する気層脱硫(炉内脱硫)を行っている。
また、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、流動床燃焼において、水や水蒸気を加えて流動層内の流動ガスの水分濃度を一時的に高くする方法が記載されているが、これは流動層ボイラの燃焼炉内に付着したCa化合物等の付着物を剥離除去することを目的としたもので、燃焼排ガス中のNOおよびSOを低減させることを目的としたものではない。
特開平9−60836号公報 特開平9−60837号公報 特開平9−60843号公報
一般に流動層ボイラは、燃焼に用いる燃料種に大きな制約がないことが特徴である。例えば、石炭焚き流動層ボイラでは、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭に限らず、RDF、RPFなどの再生燃料から木屑チップといったものまで燃料として使用することが可能である。
流動層ボイラは、種々の燃料種を使用しても、流動層内の燃焼温度が800℃〜900℃と比較的低温であるため、燃焼空気中のN分が酸化して発生するThermal NOが発生しにくい。また、流動層ボイラの燃焼炉内に燃焼空気を複数個所に分配して吹き込む多段階燃焼方式を採用することによって、燃焼炉内全域の酸素分圧を低く制御することにより、燃料中のNに起因するFuel NOの生成も抑制することができる。更には、流動層内の燃焼温度が800℃〜900℃であって、その温度は、アンモニアまたは尿素を直接吹き込むことにより脱硝する無触媒脱硝にとって脱硝効率が高くなる温度域と重なるため、効率良く燃焼排ガス中のNOの低減を行うこともできる。
一方、流動層ボイラの燃焼炉内で燃焼排ガス中のSOを低減するために、燃焼炉内に石灰石や生石灰といった粉状または粒状のCa分を吹き込むことにより脱硫する気層脱硫(炉内脱硫)を行う場合、まず、燃焼炉内のベッド部およびライザ部で燃料中のS分が酸化してSOになった後に、そのSOがCa分と反応してCaSOとなり脱硫される。尚、図1に、燃焼炉2内のベッド部2aおよびライザ部2bの位置を示す。
燃料中のS分の酸化によるSOの生成量は、流動層ボイラの燃焼炉内の温度が高くなるほど、或いは、流動層ボイラの燃焼炉内の酸素分圧が低くなるほど、SOの乖離反応が進み、急激に減少する。乖離したS分は、再度、燃焼炉内のガス温度が低くなると酸化されてSOになるが、ガス温度が低くなるとCa分の脱硫反応速度が低下することから、脱硫されずに排気され、燃焼排ガス中のSOが急激に増加することになる。
即ち、NOの生成を抑制するために流動層ボイラの燃焼炉内の酸素分圧を低くすると、流動層ボイラの燃焼炉内のガス温度が上昇するため、SOの乖離反応が進み、その結果脱硫率が低下する。一方、SOの生成を抑制するために流動層ボイラの燃焼炉内の酸素分圧を高くすると、流動層ボイラの燃焼炉内のガス温度が下降し、SOの乖離反応が抑制されるため、生成されたSOが減少することなくCa分による脱硫が行われるため脱硫率が向上するが、酸素分圧を高くした結果、逆にNOが生成されやすくなる。このように相反する条件の中で、燃焼排ガス中のNO、SOの両方を共に低減させることが課題となる。
具体的な対策として、流動層ボイラの燃焼炉内の温度が一定となるように、流動化空気および燃焼空気を複数個所に分配して吹き込む多段燃焼を行い、流動化空気量および燃焼空気量を増減して煙道内でのO濃度を調整し、燃焼排ガス中のNO、SOの両方が共に低くなるように対処している。
これまでは、発電用の流動層ボイラでは、燃料として揮発分が10〜25質量%(湿基準)の無煙炭、半無煙炭、或いは瀝青炭を用いることが殆どであった。しかしながら、最近ではこれら揮発分が少ない石炭の値段が高騰しており、低コストの亜瀝青炭や、瀝青炭でも揮発分が高いものを使用しなければならない状況となってきている。
しかしながら、これら亜瀝青炭や瀝青炭は、揮発分が30〜45質量%(湿基準)であり、このような揮発分の高い石炭が、燃料中に占める割合が高くなると、揮発ガスの燃焼速度が速くなり、流動層ボイラの燃焼炉の下部に位置する流動層ベッド部付近のガス温度が上昇しやすくなる。その結果、流動層ベッド部からの吹き上がりが循環しているライザ部でのガス温度が相対的に低下する傾向がある。
燃焼炉の流動層ベッド部付近のガス温度が上昇すると、SOの乖離反応が進行し、SOの発生量が増加する。そのSOの生成を抑制するために、ベッド部へ供給する流動化空気量や燃焼空気量を増加させると、ベッド部から吹き上がる砂などが循環するライザ部に供給するための燃焼空気の配分量が少なくなり、その結果、2段燃焼や3段燃焼といった多段燃焼による炉内温度の均一化が困難となる。
その結果、上記した多段燃焼方式により流動層ボイラの燃焼炉内のガス温度を一定にして、酸素分圧を均一に低くすることができなくなり、燃焼中のNに起因するFuel NOの生成を抑止することができず、燃焼排ガス中のNO量が増加することとなる。増加した燃焼排ガス中のNOを除去するため、燃焼炉の出側煙道へのアンモニアまたは尿素の投入量を増加させて、無触媒脱硝を行うことになり、アンモニアまたは尿素の投入量の増加を招く。
この傾向は揮発分の高い石炭を燃料として使用すればするほど顕著になり、石炭の揮発分の割合が高くなるほど、燃焼排ガス中のSO発生量を抑える操業を指向すると逆に燃焼排ガス中のNO発生量が増加し、アンモニア等の投入量を増加させても燃焼排ガス中のNO発生量の増加を完全には抑制できず、結果として、石炭の焚き量を下げざるを得なくなる。
また、流動層ボイラは、流動層内の燃焼温度が800℃〜900℃と比較的低温であり、更には、流動層ボイラの燃焼炉内では、微分炭焚きバーナーのように明確な火炎が形成されず、個々の粒子の微小な燃焼が燃焼炉内全体で行われることになるため、通常、1500℃〜2000℃以上の火炎の内部で生成される活性な酸素の量は少なくなり、その結果、炭化水素系気体未燃分や固体未燃分が発生しやすくなる。
固体未燃分は、燃焼炉の出側煙道に配置される集塵機(サイクロン)により回収されて、再び、燃焼炉内に吹き込まれることにより、系外へ排出される量を低減することができる。一方、炭化水素系気体未燃分は、燃焼することなく非常に僅かな量ではあるが系外へ排出されることとなる。
この炭化水素系気体未燃分は、燃焼炉の出側煙道に設置されている連続測定式NO計に干渉し、見かけ上NO濃度を高く検出させてしまうという問題を備えている。しかも、炭化水素系気体未燃分はその排出濃度が非常に低いので、連続測定式NO計でNO測定前に行われる事前処理でも除去することができない。従って、燃料の揮発ガス分の割合が高くなると、必然的に炭化水素系気体未燃分も増加するため、連続測定式NO計が見かけ上NO濃度を高く検出してしまう。連続測定式NO計が見かけ上NO濃度を高く検出するため、それに対応して燃焼排ガス中のNOを低減させるために、アンモニア等の投入量を増加させることになる。しかし、実際はNOの生成量が増加しているわけではないので、連続測定式NO計の測定値を下げることにあまり効果がでない。
炭化水素系気体未燃分を減少させるには、燃焼炉内の酸素分圧を上昇させるか、燃焼炉内の温度を上昇させることにより、燃焼除去することが有効である。しかし、燃焼炉内の酸素分圧を上昇させると、Fuel NOの生成量を増加させ、一方、燃焼炉内の温度を上昇させると、SOの乖離を進行させてSOの発生量を増加させる。このため、流動層ボイラの燃焼炉で、揮発ガス分の割合が高い石炭を使用する場合にはその焚き量を制限することになり、流動層ボイラの本来の特徴である燃焼に用いる燃料種に大きな制約がないという特性を十分に発揮することができなくなっている。
流動層ボイラには、以上説明したような諸問題があることから、揮発分の高い石炭を燃料として使用するために脱硫設備を炉外に新たに設置してSOの削減を図ったり、脱硝触媒を設置してアンモニアまたは尿素を吹き込んでNOの削減を図ったりずるという対策を施すことが必要となり、必然的に設備が大型化せざるを得ない状況となってきている。即ち、炉外に脱硫装置を設ける必要がなく、無触媒脱硝により簡易な設備で脱硝ができるという本来の流動層ボイラの特徴点が十分に活かせない状況になってきている。
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、通常使用している揮発分が10〜25質量%(湿基準)の石炭とその石炭より揮発分が高い石炭を混合して装入し、混炭前に対して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼させるにあたり、脱硫設備や脱硝触媒といった新たな設備を設けて全体の設備を大型化しなくても、燃焼排ガス中のNOとSOの双方を確実に低減させることができる流動層ボイラによる燃焼方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、流動化空気および燃焼空気を複数個所に吹き込む流動層ボイラの燃焼炉に、揮発分が10〜25質量%(湿基準)の石炭とその石炭より揮発分が高い石炭を混合して装入し、混炭前に対して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼させるにあたり、前記流動層ボイラの燃焼炉内に吹き込ませる流動化空気と燃焼空気のうち少なくとも一方に水分を事前添加するか、前記流動層ボイラの燃焼炉内に直接水分を投入し、前記流動層ボイラの燃焼炉内で脱硫を行い、燃焼排ガス中のNOおよびSOを低減させることを特徴とする流動層ボイラによる燃焼方法である。
請求項2記載の発明は、前記脱硫は、前記流動層ボイラの燃焼炉内にCaまたはMgを投入して行うことを特徴とする請求項1記載の流動層ボイラによる燃焼方法である。
請求項3記載の発明は、前記流動層ボイラの燃焼炉内に、石炭1tあたり、水分を50kg〜200kg投入することを特徴とする請求項1または2記載の流動層ボイラによる燃焼方法である。
本発明の請求項1記載の流動層ボイラによる燃焼方法によると、通常使用している石炭より揮発分の高い石炭を混入して、混炭前に対して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼させるにあたり、脱硫設備や脱硝触媒といった新たな設備を設けて全体の設備を大型化しなくても、燃焼排ガス中のNOとSOの双方を確実に低減させることができる。
本発明の請求項2記載の流動層ボイラによる燃焼方法によると、流動層ボイラの燃焼炉内にCaまたはMgを投入するというきわめて簡単な方法で、燃焼排ガス中のSOを低減させることができる。
本発明の請求項3記載の流動層ボイラによる燃焼方法によると、流動層ボイラ内に投入する水分量を、燃焼排ガス中のNOとSOの双方を確実に低減させるために過不足のない適量とすることができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。尚、以下に説明する揮発分の質量%については、特に記載はしないが、全て湿基準である。
例えば、図1に示すような流動層ボイラ1で、通常使用されている無煙炭、半無煙炭、瀝青炭といった揮発分が10〜25質量%程度の石炭に加え、亜瀝青炭のような揮発分が30〜45質量%の石炭を燃料として混合し、混炭前に対して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼する場合には、流動層ボイラ1の燃焼炉2内の酸素分圧を低減させて、燃焼中のNに起因するFuel NOの生成を抑制して、同時に、燃料中に含まれるS分の酸化と炭化水素系気体未燃分の酸化を促進する必要がある。
従って、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に酸素以外の酸化剤を投入する必要がある。本発明では、その酸化剤として水分を採用することとした。即ち、流動層ボイラ1の燃焼炉2内の水分濃度(水蒸気分圧)を高くして、燃焼炉内の燃料中に含まれるS分と炭化水素系気体未燃分の酸化を促進するのである。
具体的には、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に吹き込ませる流動化空気と燃焼空気のうち少なくとも一方に水分を事前添加するか、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に直接水分を投入する。尚、これらの水分の添加投入は、一種のみを行っても良いし、全てを同時に行っても良い。また、その水分を添加投入する方法としては、流動化空気や燃焼空気に水分を事前添加する場合、水蒸気を添加する方法、水を噴霧する方法がある。また、燃焼炉2内に直接水分を投入する場合にも、水蒸気を吹き込む方法、水を直接吹き込む方法がある。
図1は本発明を、循環流動層燃焼炉を用いた流動層ボイラへ適用した実施形態を示す。この実施形態では、排熱回収を行う熱交換装置3を通過した後に分岐された流動化空気や燃焼空気に、水または水蒸気を添加する。この水または水蒸気の添加は、全ての流動化空気と燃焼空気に行っても良いし、それらのうち少なくとも一系統の流動化空気または燃焼空気に行っても良い。水分添加によって流動層ボイラ1の燃焼炉2内でのガス改質を行うことから、直接水分を投入する場合を含み水分の添加位置は、流動層からの伝熱により燃料の石炭が加熱されて炭化水素系気体分を発生しやすい、燃焼炉2内で石炭粉が流動しているその下部領域付近や、その下部領域より下方であることが望ましい。
燃焼炉2は、燃料となる石炭や、燃焼排ガス中のSOを低減するためのCaやMg分を含む石灰等の脱硫剤が投入される下部のベッド部2aと、そのベッド部2aからの吹き上がりが循環している上部のライザ部2bとを有している。燃焼炉2の出側煙道にはサイクロン4が設置されており、燃焼炉2で燃え残った固体未燃分を回収し、再び燃焼炉2内に吹き込む。5は燃焼炉2の出側煙道にアンモニアまたは尿素を直接吹き込む脱硝設備、6はバグフィルタ、7は煙突である。尚、図1中、1SH、2SH、3SHは蒸気を加熱するための熱交換器、ECOは節炭器、AHOは空気予熱器を示す。
図2は本発明を、流動層燃焼炉を用いた流動層ボイラで排ガス循環を行う設備に適用した実施形態を示す。この実施形態では、バグフィルタ6を出た燃焼排ガスの一部が煙突7から排気されずに、流動化空気や燃焼空気として再び燃焼炉2内へ供給される。この燃焼排ガスはもとから水分を含んでいるため水分を添加するのと同等の効果を得ることができるが、燃焼炉2内の水蒸気分圧と酸素分圧を調整するために、更に燃焼排ガスに水分添加を行っても良い。尚、循環する燃焼排ガスは、流動化空気と燃焼空気の総量の約2割程度とすることが望ましい。
次に、本発明で得られるNOとSOを同時に低減することができるという作用について更に詳細に説明する。
流動層ボイラ1の燃焼炉2内で、燃焼排ガス中のNOを低減するために、燃焼炉2内の酸素分圧を下げると燃焼炉2内の酸素ポテンシャルが下がり、燃料中のS分の酸化反応よりもSOの乖離反応が進行しやすくなる。燃焼炉2内の酸素分圧が低下しても、燃焼炉2内の流動化空気や燃焼空気に水分を添加したり、流動層ボイラの燃焼炉2内に直接水分を投入したりすることにより、水蒸気分圧を高くすることで燃焼炉2内の酸素ポテンシャルが下がらず、燃料中のS分の酸化反応を進行させることが可能となる。このため、SOの発生量の増加を抑制しながら、燃焼炉2内の酸素分圧を下げることが可能となる。
同時に、燃焼炉2内への水分添加で、燃焼炉2内に発生する炭化水素系気体未燃分に水蒸気を接触させて改質を行い、連続測定式NO計に干渉することで、見かけ上NO濃度を高く検出させてしまうという現象が発生しないようにする。例えば、炭化水素の水蒸気改質反応は次の反応式で表すことができる。
+nHO→nCO+(n+m/2)H
反応式より分かる通り、炭化水素が一酸化炭素と水素に分解される。即ち、水分を添加することにより、燃焼炉2内より連続測定式NO計の干渉成分になる炭化水素系気体未燃分を除去することができる。尚、生成された一酸化炭素と水素は、連続測定式NO計の干渉成分にならない。また、水素の生成は、NOの生成抑制にも効果がある。
上式の反応は吸熱反応であり、更に、燃焼炉2内に存在する多量の炭素分と水分との下式で示される水性ガス反応も吸熱反応であることから、燃焼炉2内への水分の添加量により、燃焼炉2内の温度を制御することが可能である。燃焼炉2の下部に位置する流動層ベッド部2a付近の温度上昇によるSOの乖離反応の進行を抑制するために、流動層温度を脱硫に適した800℃〜900℃に保持することができる。
C+HO→CO+H
従って、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に吹き込ませる流動化空気や燃焼空気に水分を事前添加すること、或いは、流動層ボイラ1の燃焼炉2内に直接水分を吹き込むことにより、連続測定式NO計の干渉成分である炭化水素系気体を発生しやすい亜瀝青炭や褐炭等の石炭、更には、RDF、RPF、木屑チップ類といった燃料を、安定して流動層ボイラ1の燃焼炉2で使用することが可能となる。
通常、流動層ボイラ1の燃焼炉2で石炭を燃料として使用する場合、石炭中のS分は1質量%程度以下であること、また、炭化水素系気体未燃分の発生量も石炭の揮発分の1質量%程度以下であることから、石炭中のS分の酸化と石炭中の炭化水素系気体未燃分の水蒸気改質反応を行うのに必要な水分量は、石炭1tあたり30kg〜40kgとなる。しかし、燃焼炉2内には固体炭素分も多く存在して水性ガス反応や水性ガスシフト反応にも水分が消費されるため、発明者らの経験によると石炭1tあたり50kg〜200kgの水分を添加投入することが必要である。換算すると、流動化空気や燃焼空気等へ添加する水分量は約5〜25kg/Nm程度となる。尚、水分の添加量を増加するほど、得られる効果は大きくなると考えられるが、水分の添加量の増加に伴い燃焼炉2の排ガス損失も増加するので、その上限を規定した。
図1に示す循環流動層燃焼炉を用いた流動層ボイラ1に、水分添加を行った実施例と水分添加を行わない比較例1〜3を、表1に示す。
比較例1は、揮発分が10〜20質量%と低い石炭を用いた従来からの方法で燃焼を行った操業事例であり、排ガスのNOの生成量は50〜60ppm、SOの生成量は5〜10ppmと共に低く、特にNO並びに、SOの生成量の低減を行うために、水分の添加等の対策を施す必要はない。
これに対し、実施例、比較例2、3では、揮発分が30〜35質量%の石炭と、揮発分が10〜15質量%の石炭を等量で混焼して、混焼後の揮発分を20〜25質量%とし、燃焼炉出側のアンモニア添加量を同量にしている。
比較例2は、混炭後の揮発分割合が20〜25質量%と高くなったに関わらず、排ガスのNOの生成量の低減、SOの生成量の低減に対する対策を何も行わなかった事例である。この比較例2では、揮発分が高い石炭を用いて操業を行った結果、排ガスのNOの生成量が70〜80ppm、SOの生成量が10〜20ppmと、比較例1に比べて共に増加していることが分かる。
比較例3は、SOの生成を抑制するために、節炭器(ECO)出側のO濃度を6.5容量%と高く維持した事例である。この比較例3では、SOの生成量が低くなるはずが炉内温度の低下で、10〜30ppmと微増してしまった。また、燃焼炉内の酸素分圧が高くなったことで、NOの生成量は90〜100ppmと更に増加してしまった。
水分添加を石炭1tあたり80〜150kg程度行った実施例の場合、節炭器(ECO)出側のO濃度は3.5容量%のままとしたが、水蒸気が酸化剤として働くため、燃焼排ガス中のSOの生成量は5ppm未満になり低減することができた。また、同様にNOの生成量も50〜60ppmになり低減することができた。
Figure 2009216353
また、通常は、節炭器(ECO)出側のO濃度を低減すると炭化水素系気体未燃分が増加するため、連続測定式NO計が炭化水素系気体に干渉されてその指示値が実際より高く表示されるが、実施例では炭化水素系気体未燃分が増加しておらず、表示される指示値はその影響を受けていない。この実施例では、水分添加を行うことで、炭化水素系気体未燃分が水蒸気改質反応により無害化されており、節炭器(ECO)出側のO濃度を下げることによりNOの発生量を低減することが可能となっている。
本発明を循環流動層燃焼炉を用いた流動層ボイラへ適用した一実施形態を示す説明図である。 本発明を流動層燃焼炉を用いた流動層ボイラで排ガス循環を行う設備に適用した実施形態を示す説明図である。
符号の説明
1…流動層ボイラ
2…燃焼炉
2a…ベッド部
2b…ライザ部
3…熱交換装置
4…サイクロン
5…脱硝設備
6…バグフィルタ
7…煙突

Claims (3)

  1. 流動化空気および燃焼空気を複数個所に吹き込む流動層ボイラの燃焼炉に、揮発分が10〜25質量%(湿基準)の石炭とその石炭より揮発分が高い石炭を混合して装入し、混炭前に対して混炭後の石炭の揮発分割合を5質量%以上増加させて燃焼させるにあたり、
    前記流動層ボイラの燃焼炉内に吹き込ませる流動化空気と燃焼空気のうち少なくとも一方に水分を事前添加するか、前記流動層ボイラの燃焼炉内に直接水分を投入し、
    前記流動層ボイラの燃焼炉内で脱硫を行い、
    燃焼排ガス中のNOおよびSOを低減させることを特徴とする流動層ボイラによる燃焼方法。
  2. 前記脱硫は、前記流動層ボイラの燃焼炉内にCaまたはMgを投入して行うことを特徴とする請求項1記載の流動層ボイラによる燃焼方法。
  3. 前記流動層ボイラの燃焼炉内に、石炭1tあたり、水分を50kg〜200kg投入することを特徴とする請求項1または2記載の流動層ボイラによる燃焼方法。
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