JP2009215365A - 膜形成用組成物、絶縁膜、及び、電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】低い誘電率と優れた機械強度を有し、面性が良好な絶縁膜を形成できる膜形成用組成物(塗布液)を提供すること。さらには該膜形成用組成物を用いて得られる絶縁膜及び該絶縁膜を有する電子デバイスを提供すること。
【解決手段】(A)下記式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上である重合体を含むことを特徴とする膜形成用組成物。
Figure 2009215365

式(1)中、XはO、S又はCH2を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基又はトリアリールシリル基を表し、Rはさらに置換基を有していてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。nは0〜4の整数を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、膜形成用組成物及びこれを用いて得られる絶縁膜、並びに、前記絶縁膜を有する電子デバイスに関する。
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、気相成長(CVD)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO2)膜が多用されているが、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOD(spin on dielectric)膜と呼ばれる塗布型の絶縁膜も種々開発され、用途に応じて使用されるようになってきている。
SODとしては、ポリフェニレン類(特許文献1)、ポリアリーレンエーテル類(特許文献2)、ベンゾシクロブテン類(特許文献3)、メチルシルセスキオキサン類(MSQ)(特許文献4)、等が開示されており、それぞれ長所・短所を有している。
誘電率を低下させる技術としては、空孔形成剤を用いた空孔形成技術が有効であることが開示されている(特許文献5及び6)。
特開2001−106880号公報 米国特許第5986045号明細書 国際公開第00/31183号パンフレット 米国特許第6143855号明細書 特表2002−530505号公報 特表2005−516382号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載のSODでは、いずれの系においても、機械強度等の性能を大きく損なうことなく、さらに誘電率を低下させる技術開発が求められている。
また、特許文献5及び6に記載の技術は、誘電率を低下させる点について有効であるが、機械強度の低下や極端に大きい空孔が生じる、等の弊害が見られる場合があり、依然として新たな技術開発が求められている。
本発明の目的は上記問題点を解決した膜形成用組成物を提供することであり、具体的には低い誘電率と優れた機械強度を有し、面性が良好な絶縁膜を形成できる膜形成用組成物(塗布液)を提供することである。さらには該膜形成用組成物を用いて得られる絶縁膜及び該絶縁膜を有する電子デバイスを提供することである。
上記課題は下記の<1>、<4>及び<5>に記載の手段により解決されることを見出した。好ましい実施態様である<2>及び<3>と共に以下に記載する。
<1> (A)下記式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上である重合体を含むことを特徴とする膜形成用組成物、
Figure 2009215365
(式(1)中、XはO、S又はCH2を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基又はトリアリールシリル基を表し、Rはさらに置換基を有していてもよく、Rが複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。nは0〜4の整数を表す。)
<2> (B)有機溶媒と、(C)該有機溶媒に可溶であり、かつ熱及び/又はエネルギー線照射により、該有機溶媒に対して不溶化させることができる化合物とを含有する、上記<1>に記載の膜形成用組成物、
<3> 前記(C)が、炭素−炭素三重結合を有する化合物である、上記<2>に記載の膜形成用組成物、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜、
<5> 上記<4>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明によれば優れた耐熱性、低比誘電率、機械強度、面性等を有する膜を形成することができる膜形成用組成物を提供することができた。さらには該膜形成用組成物(塗布液)を用いて得られる縁膜及び該絶縁膜を有する電子デバイスを提供することができた。
本発明の膜形成用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(A)上記式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上である重合体(以下、「成分(A)」ともいう。)を含有することを特徴とする。
また、本発明の低誘電率膜形成用組成物は、(B)有機溶媒と、(C)該有機溶媒に可溶であり、かつ熱及び/又はエネルギー線照射により、該有機溶媒に対して不溶化させることができる化合物(以下、「成分(C)」ともいう。)とを含有することが好ましい。
本発明の膜形成用組成物は、成分(A)を含有することにより、優れた耐熱性、低比誘電率、機械強度及び表面平滑性を有する低誘電率膜を形成可能である。
また、本発明の膜形成用組成物は、半導体素子、電子デバイスなどの層間絶縁膜を形成するのに好適に使用され、該絶縁膜を層構成層として有する電子デバイスに好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「X以上Y以下」を「X〜Y」とも記載することとする。すなわち、「X〜Y」は、その端点であるX及びYをも含む意である。
〔(A)式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上である重合体〕
本発明の低誘電率膜形成用組成物は、下記式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上の重合体を含有する。
Figure 2009215365
式(1)中、Xは、O、S又はCH2を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基又はトリアリールシリル基を表し、Rはさらに置換基を有していてもよく、Rが複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。nは0〜4の整数を表す。
本発明において、成分(A)は、空孔形成因子(ポロゲン(porogen))と呼ばれる熱的に不安定な有機高分子であり、空孔の鋳型として膜形成用組成物に含有される。成分(A)は、熱処理により熱分解して消失し、空孔を形成する。
本発明者は、膜形成用組成物において、特定のモノマー単位を有する重合体を空孔形成因子として使用することにより、機械強度及び膜特性に優れ、かつ、低誘電率を有する膜を形成可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
式(1)において、XはO又はCH2であることが好ましく、より好ましくはCH2である。
Rは、炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、トリアルキルシリル基及びトリアリールシリル基、並びに、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子であることが好ましい。これらの中でも、Rは炭素数1〜12のアルキル基、水酸基、又は、カルボキシル基であることが好ましい。
Rはさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては上記のRに挙げた置換基が例示できる。
nは0〜4の整数を表し、nは0〜2であることが好ましく、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
すなわち、本発明において、式(1)で表されるモノマー単位がクマロン残基又はインデン残基であることが特に好ましい。
成分(A)の分子量は、GPCによるポリスチレン換算で、重量平均分子量が1,500以上である。重量平均分子量が1,500未満であると、低誘電率化を図ることができない。
重量平均分子量は、1,500以上150,000以下が好ましく、2,000以上100,000以下がより好ましく、3,000以上50,000以下がさらに好ましい。
なお、成分(A)は、上記式(1)で表されるモノマー単位の単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、他のモノマー単位を有する共重合体(コポリマー)であってもよい。また、2種以上の異なる式(1)で表されるモノマー単位を有していてもよい。
成分(A)が共重合体の場合、共重合の相手となるモノマーに特に制約はないが、炭素−炭素2重結合(エチレン性不飽和結合)を有するモノマーが好ましい。
なお、成分(A)が共重合体である場合、式(1)で表されるモノマー単位を60モル%以上含有するものであり、70モル%以上含有することがより好ましく、さらに好ましくは80モル%以上含有する。
共重合するモノマーとしては、例えば、置換又は非置換のスチレン類、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類、アクリロニトリル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド類、置換又は非置換のアセナフチレン、α−ヒドロキシメタクリル酸類及びその誘導体、置換又は非置換のエチレン類、等を挙げることができる。
これらの中でも、共重合するモノマーとしては、置換又は非置換のスチレン類、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類、アクリロニトリル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、α−ヒドロキシメタクリル酸及びその誘導体、置換又は非置換のエチレン類がより好ましく、置換又は無置換のスチレン類であることがさらに好ましい。
成分(A)の分解温度又は沸点は、好ましくは100℃〜500℃であり、より好ましくは200℃〜450℃であり、さらに好ましくは250℃〜400℃である。
成分(A)としては、合成品、天然物のいずれを用いてもよい。合成品の場合、合成方法は特に制約はないが、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合により合成することが好ましい。これらの中でも、より高分子量の成分(A)が得られることから、カチオン重合により合成することが好ましい。
合成品、天然物、いずれの場合も、金属等の不純物を除去する精製処理を施すことが好ましい。精製処理としては、イオン交換樹脂による処理、クロマトグラフィによる処理、分液処理、再沈処理、等が好ましい。
合成の際、原料となる単量体は、蒸留等の精製処理をしてから使用してもよい。
また、本発明において、上記式(1)で表されるモノマー単位を、後述する成分(C)中に導入し、化学結合させてもよく、この場合、グラフトポリマーとすることが好ましい。
成分(C)中に式(1)で表されるモノマー単位を化学結合させる場合には、成分(C)を構成するモノマー量に対して、0.5〜75モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%である。
成分(A)の添加量は、本発明の膜形成用組成物の固形分濃度として5〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは15〜40重量%である。
ここで、固形分とは、膜形成用組成物から溶媒を除いた全成分を意味する。
成分(A)の添加量が上記範囲内であると、低誘電率であり、機械的強度に優れる膜を形成可能であるので好ましい。
〔(C)有機溶媒に可溶であり、かつ熱及び/又はエネルギー線照射により、該有機溶媒に対して不溶化させることができる化合物〕
以下、本発明において、好適に使用される成分(C)について詳述する。
なお、本発明においてエネルギー線とは、UV(紫外線)、電子線、マイクロ波、X線、を指すものとする。
成分(C)は、熱又はエネルギー線照射により、化学変化が生じ、溶媒不溶となることが好ましく、化学変化としては、成分(C)同士の共有結合形成反応が好ましい。
すなわち、成分(C)は、共有結合形成のための反応性部位を有していることが好ましい。
該反応性部位としては、熱及び又はエネルギー線照射により、共有結合を形成可能な部位であれば、何を用いてもよく、同一種類の反応性部位同士の反応でも、異なる種類の反応性部位間の反応であってもよい。必要に応じて、反応を促進する触媒や反応開始剤、増感剤等を用いてもよい。
反応性部位の例としては、共有結合を形成し得る部位であれば、いかなる構造を用いてもよいが、好ましくは、置換又は非置換のアルケン、置換又は非置換のアルキン、ベンゾシクロブテン基、置換又は非置換のシクロペンタジエノン基、アルコキシシラン基、等が例示できる。
成分(C)は、低分子でも高分子でもよいが、塗布時の製膜性の観点から、少なくとも1種類は高分子の成分を含むことが好ましく、該高分子の成分は、GPCにおけるポリスチレン換算Mwが1,000以上500,000以下が好ましく、1,500以上300,000以下がより好ましく、2,000以上100,000以下がさらに好ましい。Mwが大きすぎると、溶液の濾過性が悪化する懸念がある。
成分(C)の好適な例として、炭素−炭素三重結合を有するモノマー又はその重合体を(炭素−炭素三重結合を有する化合物)挙げることができる。
炭素−炭素三重結合を有する化合物は、下記式(C1)で表される炭素−炭素三重結合を含む部分構造を、少なくとも一つ有する化合物であることが好ましく、2つ以上有することがより好ましく、3つ以上有することがさらに好ましい。
成分(C)中の式(C1)で表される部分構造以外の部位は、任意の構造を取ってよい。
Figure 2009215365
<カゴ型構造を有するモノマー及びカゴ型構造を有する重合体>
本発明に用いられる『炭素−炭素三重結合を有する化合物』は、『カゴ型構造を有する化合物』であることが好ましい。すなわち、本発明において、成分(C)として、炭素−炭素三重結合を有し、カゴ型構造を有するモノマー(以下、「カゴ型構造を有するモノマー」ともいう。)及び/又は前記カゴ型構造を有する化合物の重合体(以下、「カゴ型構造を有する重合体」ともいう。)を好適に使用することができる。なお、カゴ型構造を有する化合物とは、カゴ型構造を有するモノマー及びカゴ型構造を有する重合体の総称である。
また、本発明において、成分(C)として、少なくともカゴ型構造を有する重合体を含有することが好ましい。
本明細書で述べる「カゴ型構造」とは、「カゴ型多環炭素環構造」を指しており、共有結合した原子で形成された複数の炭素環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子構造を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。一方、ノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)などの単結合架橋を有する環状構造は、単結合架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、多環炭素環構造ではあってもカゴ型構造には該当しない。
本発明において、カゴ型構造は飽和、不飽和結合のいずれを含んでいてもよく、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでもよいが、低誘電率の見地から飽和炭化水素が好ましい。
本発明においてカゴ型構造は、好ましくはアダマンタン(adamantane)構造、ビアダマンタン(biadamantane)構造、ジアマンタン(diamantane)構造、ビ(ジアマンタン)(bi(diamantane))構造、トリアマンタン(triamantane)構造、テトラマンタン(tetramantane)構造又はドデカヘドラン(dodecahedrane)構造であることが好ましく、アダマンタン構造、ビアダマンタン構造、ジアマンタン構造、トリアマンタン構造又はテトラマンタン構造であることがより好ましく、アダマンタン構造、ビアダマンタン構造又はジアマンタン構造であることがさらに好ましく、低誘電率である点で、ビアダマンタン構造又はジアマンタン構造であることが特に好ましい。
以下に前記構造を示す。なお、ドデカヘドラン構造は、正十二面体の20個の頂点がそれぞれ炭素原子となっている正十二面体炭化水素構造である。また、ビアダマンタン構造における2つのアダマンタン構造の連結部分は、任意の位置であればよいが、橋頭位同士で連結していることが好ましい。ビ(ジアマンタン)構造も同様に、2つのジアマンタン構造の連結部分は、任意の位置であればよいが、橋頭位同士で連結していることが好ましい。
Figure 2009215365
前記カゴ型構造は、1つ以上の置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が例示できる。
前記カゴ型構造は、2〜4価の基であることが好ましい。このとき、カゴ型構造に結合する基は、1価以上の置換基でも2価以上の連結基でもよい。カゴ型構造は、より好ましくは2又は3価の基であり、特に好ましくは2価の基である。
本発明に用いられるカゴ型構造を有するモノマーは、重合可能な炭素−炭素三重結合を有することが好ましい。さらには、下記式(I)〜(VI)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2009215365
(式(I)〜(VI)中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はシリル基を表し、m1、m5は1〜16の整数を表し、n1、n5は0〜15の整数を表し、m2、m3、m6、m7はそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、n2、n3、n6、n7は0〜14の整数を表し、m4、m8は1〜20の整数を表し、n4、n8は0〜19の整数を表す。)
式(I)〜(VI)中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル、炭素数1〜20のカルバモイル基等を表す。このうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
式(I)〜(VI)中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。
1〜X8、Y1〜Y8は、さらに別の置換基で置換されていてもよい。
式(I)又は式(IV)中、m1、m5はそれぞれ独立に1〜16の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(I)又は式(IV)中、n1、n5はそれぞれ独立に0〜15の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(II)又は式(V)中、m2、m3、m6、m7はそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(II)又は式(V)中、n2、n3、n6、n7はそれぞれ独立に0〜14の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(III)又は式(VI)中、m4、m8はそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(III)又は式(VI)中、n4、n8はそれぞれ独立に0〜19の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマーは、前記式(II)、式(III)、式(V)又は式(VI)で表されるモノマーであることが好ましく、前記式(II)又は式(III)で表されるモノマーであることがより好ましく、前記式(III)で表されるモノマーであることが特に好ましい。
カゴ型構造を有するモノマー、及び、カゴ型構造を有する重合体は、有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。カゴ型構造を有するモノマー及びカゴ型構造を有する重合体の溶解度は、25℃でシクロヘキサノン又はアニソールに対して、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが特に好ましい。
本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマー、及び、カゴ型構造を有する重合体としては、例えば、特開平11−322929号公報、特開2003−12802号公報、特開2004−18593号公報記載のポリベンゾオキサゾール、特開2001−2899号公報に記載のキノリン樹脂、特表2003−530464号公報、特表2004−535497号公報、特表2004−504424号公報、特表2004−504455号公報、特表2005−501131号公報、特表2005−516382号公報、特表2005−514479号公報、特表2005−522528号公報、特開2000−100808号公報、米国特許第6509415号明細書に記載のポリアリール樹脂、特開平11−214382号公報、特開2001−332542号公報、特開2003−252982号公報、特開2003−292878号公報、特開2004−2787号公報、特開2004−67877号公報、特開2004−59444号公報に記載のポリアダマンタン、特開2003−252992号公報、特開2004−26850号公報に記載のポリイミド等が挙げられる。
以下に、本発明で用いることができるカゴ型構造を有するモノマーの具体例(M−1〜M−55)を記載するが、本発明はこれらに限定はされない。なお、下記具体例中のEtはエチル基を表す。
Figure 2009215365
Figure 2009215365
Figure 2009215365
Figure 2009215365
また、本発明において、成分(C)として、前記具体例における−C≡C−を、−CH=CH−に変更したモノマー及びその重合体も例示できる。
これらカゴ型構造を含む化合物は、ヘテロ原子、及び芳香族環を含んでいてもよいが、低誘電率化を指向する観点からは、ヘテロ原子、及び芳香族環をむしろ含まないことが好ましい。すなわち、炭素原子、水素原子のみから構成され、かつ芳香族環を含まない化合物が特に好ましい。
本発明において、カゴ型構造を有するモノマーは、例えば市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下又は非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入し、続けて臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応させて2,2−ジブロモエチル基を導入し、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換することで合成することができる。具体的にはMacromolecules., 1991年24巻5266〜5268頁、同1995年28巻5554〜5560頁、Journal of Organic Chemistry., 39巻, 2995-3003頁(1974)等に記載された方法に準じて合成することができる。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することができる。
本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマー、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体は、2つ以上を併用してもよく、また、本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマーを2種以上共重合してもよい。
本発明に用いられるカゴ型構造を有するモノマーの重合は溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法あるいは懸濁重合法のように溶媒を用いる方法により行うことが好ましい。特に好ましくは、溶液重合法である。
溶液重合法において、反応液中のモノマーの濃度は好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。1重量%以上であると、製造効率が良好であり、また、50重量%以下であると、撹拌性に優れるので好ましい。
本発明において、炭素−炭素三重結合を有するモノマー(例えば、カゴ型構造を有するモノマー)の重合反応は、ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)の存在下で行われることが好ましい。
例えば、炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生するラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)の存在下で重合することができる。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、又は、有機アゾ化合物が好ましく用いられる。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物では、日本油脂(株)より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5、−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーイキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,5−ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシブチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート、2,2’−ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が好ましく用いられる。
とりわけ、有機過酸化物が、少量で効果的に重合できる点で最も好ましい。
本発明においてラジカル発生剤は1種のみ、又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においてラジカル発生剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.75モルである。
炭素−炭素三重結合を有するモノマーの重合反応は、遷移金属触媒の存在下で行ってもよい。例えば、重合可能な炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh34)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)等のPd系触媒、Ziegler−Natta触媒、ニッケルアセチルアセトネート等のNi系触媒、WCl6等のW系触媒、MoCl5等のMo系触媒、TaCl5等のTa系触媒、NbCl5等のNb系触媒、Rh系触媒、Pt系触媒等を用いて重合することが好ましい。
遷移金属触媒は1種のみ、又は、2種以上を混合して用いてもよい。
遷移金属触媒の使用量は、モノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
本発明における重合反応の最適な条件は、ラジカル発生剤、モノマー、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜250℃、より好ましくは50℃〜220℃、さらに好ましくは100℃〜200℃である。また、反応時間は好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.2〜20時間、特に好ましくは0.3〜10時間の範囲である。
また、酸素によるラジカル発生剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
本発明におけるカゴ型構造はポリマー中にペンダント基として置換していてもよく、ポリマー主鎖の一部となっていてもよいが、ポリマー主鎖の一部となっている形態がより好ましい。ここで、ポリマー主鎖の一部になっている形態とは、該ポリマーからカゴ型構造を除去するとポリマー鎖が切断された形となることを意味する。この形態においては、カゴ型構造は直接1価の結合基で結合するか又は適当な2価の連結基によって連結される。
連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−又はこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に置換基を表し、その置換基は、式(I)〜(VI)の置換基として前記したX1〜X8、Y1〜Y8が当てはまり、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。これらの連結基は任意の置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−又はこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
本発明において、カゴ型構造を有する重合体の重量平均分子量は好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは3,000〜300,000、さらに好ましくは5,000〜200,000である。分子量が1,000以上であると加熱による膜厚の現象が抑制されるので好ましい。500,000以下であると、溶媒への溶解性が良好であるので好ましい。
分子量分布の広がりを示す指標としては多分散度(Mw/Mn)が挙げられる。Mw/Mnが1に近づくほど分子量分布が狭くなることを意味している。本発明において、カゴ型構造を有する重合体の多分散度は、この重合体を用いて得られる絶縁膜の作製過程においてクラックの生成や機械的強度の低下などの抑制、塗布面状の均一性の向上の観点から、通常100以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。
本発明において、カゴ型構造を有する重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
〔(B)有機溶媒〕
本発明の膜形成用組成物は有機溶媒を含んでいてもよく、塗布液として使用することもできる。有機溶媒としては特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶媒、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい有機溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン,シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
本発明においては、重合反応に用いる溶媒がSP3炭素と共有結合する水素原子を有さない溶媒であることが好ましい。SP3炭素と共有結合する水素原子を有さない溶媒としては、ジフェニルエーテル等が挙げられる。
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜10重量%である。
ここで固形分とは、溶媒を除く全成分に相当する。
本発明の膜形成用組成物には不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
膜形成用組成物の金属濃度は本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010atom・cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010atom・cm-2以下、さらに好ましくは10×1010atom・cm-2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10,000×1010atom・cm-2以下が好ましく、より好ましくは1,000×1010atom・cm-2以下、さらに好ましくは400×1010atom・cm-2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010atom・cm-2以下が好ましく、より好ましくは50×1010atom・cm-2以下、さらに好ましくは10×1010atom・cm-2以下である。
さらに、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤(炭素−炭素三重結合を有する化合物の前記重合用ラジカル発生剤とは異なる目的で)、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着促進剤などの添加剤を添加してもよい。
ラジカル発生剤とは熱又は光エネルギー照射によって炭素、酸素、窒素等のラジカルを発生する化合物を指し、硬膜反応を促進する機能を有するものである。
本発明にいかなるコロイド状シリカを使用してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒もしくは水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40重量%程度のもの等が使用できる。
本発明では塗布性や膜形成性を改善する限り、いかなる界面活性剤を使用してもよいが、用いられる界面活性剤には、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明で使用する界面活性剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコン系界面活性剤が好ましい。
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、膜形成用組成物の全量に対して0.01重量%以上1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いるシリコン系界面活性剤は、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。すなわち、公知のSi原子を有してかつ界面活性をも具備した化合物であり、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。とくに下記化学式を含む構造であることがさらに好ましい。
Figure 2009215365
上記式中、Rは水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜5)を表し、xは1〜20の整数を表し、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数を表す。複数のRは同じでも異なっていてもよい。
本発明に使用するシリコン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
本発明に使用するノニオン系界面活性剤としては、公知のいかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に使用する含フッ素系界面活性剤としては、公知のいかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に使用するアクリル系界面活性剤としては、公知のいかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
本発明に基板との密着性を改善する、公知のいかなるシランカップリング剤を使用してもよいが、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。
シランカップリング剤の好ましい使用量は、全固形分100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、特に0.05〜5重量部であることが好ましい。
本発明にはいかなる密着促進剤を使用してもよいが、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N'−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の好ましい使用量は、全固形分100重量部に対して10重量部以下、特に0.05〜5重量部であることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物には膜の機械強度の許す範囲内で、上記成分(A)に加えて、他の空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
上記成分(A)及び必要に応じて他の空孔形成因子により形成される空孔径の大きさとしては、最大で10nmが好ましく、より好ましくは最大5nmであり、特に好ましくは最大1nmである。空孔径の最大径が上記範囲内であると、形成される膜の強度に優れるので好ましい。
空孔形成剤となる添加剤としてのその他の空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶媒との溶解性、成分(C)との相溶性を同時に満たすことが必要である。
具体的には、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸及びポリビニルピリジンのホモポリマーもしくはコポリマー、又はそれらの混合物が挙げられる。
またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜200,000であることが好ましく、より好ましくは300〜100,000、特に好ましくは400〜50,000である。添加量は膜を形成する重合体(成分(C))に対して、重量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。また、空孔形成因子として、重合体(成分(C))の中に分解性基を含んでいてもよく、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であるとよい。分解性基の含有率は膜を形成する重合体のモノマー量に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により基板に塗布した後、溶媒を加熱処理で除去することにより形成することができる。溶媒を乾燥ずるための加熱は100℃〜250℃で1分〜5分行うことが好ましい。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1,300rpm程度の回転速度が好ましい。
また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に膜形成用組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ膜形成用組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、膜形成用組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶媒のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
本発明の重合体は基板上に塗布した後に加熱処理することによって硬化(焼成)させることが特に好ましい。例えば重合体中に残存する炭素−炭素三重結合の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素−炭素三重結合の重合反応を起こして硬化(焼成)させてもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは50keV以下が好ましく、より好ましくは30keV以下、特に好ましくは20keV以下である。電子線の総ドーズ量は好ましくは5μC/cm2以下、より好ましくは2μC/cm2以下、特に好ましくは1μC/cm2以下である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2,000mWcm-2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。成分(C)の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、比誘電率が2.7以下であることが好ましく、より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.3以下である。比誘電率が2.7以下であると、絶縁膜として好適に使用することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があってもよく、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、さらには層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けてもよい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、あるいは窒素、水素、ヘリウム等のガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては、市販のスラリー(例えば、フジミ製、ロデールニッタ製、JSR製、日立化成工業製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製、荏原製作所製等)を適宜使用することができる。さらにCMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することができる。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナー又はアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することもできる。
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
<合成例1:重合体(A−1)の合成>
反応容器に、インデン10.0gとAIBN0.14gを測り取り、5分間真空引きした後、乾燥窒素にてパージする操作を3回繰り返し、反応系内の酸素を十分除去した。次いで、反応液を80℃に加熱し、24時間撹拌後、反応液をエタノール500mlに滴下し、1時間撹拌した。生じた沈殿を濾取し、さらにエタノール100mlでリスラリーし、再度粉体を濾取、真空乾燥し、白色粉体の重合体(A−1) 2.4g(Mw2,000)を得た。
Figure 2009215365
<合成例2:重合体(A−2)の合成>
反応容器に、インデン1.0g、トルエン6.4gを入れ、窒素気流下0℃に冷却した。次に、BF3OEt2を108μl添加し、2時間撹拌後、反応液をメタノール500mlに添加し、生じたポリマー固体を濾取・乾燥して、重合体(A−2)0.80g(Mw18,000、Mn7,000)を得た。
<合成例3:重合体(A−3)の合成>
反応容器に、クマロン1.0g、塩化メチレン6.4gを入れ、窒素気流下−72℃に冷却した。次に、BF3OEt2を163μl添加し、1時間撹拌後、反応液をメタノール500mlに添加し、生じたポリマー固体を濾取・乾燥して、重合体(A−3)0.60g(Mw11,000、Mn5,000)を得た。
<合成例4:重合体(A−4)の合成>
反応容器に、インデン5.0g、トルエン10.0g、AIBN0.28gを測り取り、5分間真空引きした後、乾燥窒素にてパージする操作を3回繰り返し、反応系内の酸素を十分除去した。次いで、反応液を80℃に加熱し、24時間撹拌後、反応液を減圧濃縮し、得られた混合物にメタノール500mlを加えて、2時間撹拌した。生じた粉体を濾取、真空乾燥し、白色粉体の重合体(A−4)2.2g(Mw1,000)を得た。
<重合体(C)の合成>
Macromolecules., p.5266 (1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。
次に、4,9−ジエチニルジアマンタン100gと563gのジフェニルエーテルを反応容器内に入れ、窒素気流下で撹拌しながら内温155℃に加熱し、4,9−ジエチニルジアマンタンを完全に溶解した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)21.6gをジフェニルエーテル18.9gに溶解した溶液を、反応液の内温を150℃〜160℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール4Lに添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をTHF400mlに溶解して、メタノール4Lへ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約3.8万の重合体(C)を62g得た。
<実施例1>
重合体(C)1.0重量部及び重合体(A−1)0.30重量部をシクロヘキサノン9.0重量部に完全に溶解させて膜形成用組成物(塗布液)を調製した。この溶液を0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、塗膜を形成した。この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.22であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
なお、塗膜表面(膜面状)は以下のように評価した。
○:塗膜表面にクラック(ひび割れ)及びムラが認められない。
×:塗膜表面にクラック(ひび割れ)及び/又はムラが認められる。
<実施例2及び実施例3>
実施例2では、重合体(A−1)を重合体(A−2)に変更した以外は実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製した。また、これを用いて膜を形成した。
実施例3では、重合体(A−1)を重合体(A−3)に変更した以外は実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製した。また、これを用いて膜を形成した。
外観の評価結果は、表1に示す。
<比較例1>
実施例1の重合体(A−1)を添加しない以外は実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製し、塗膜を形成した。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.44であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
<比較例2>
実施例1の重合体(A−1)の代わりに、市販のポリスチレン(Mw2,000)を添加した以外は、実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製し、塗膜を形成した。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.34であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
<比較例3>
比較例2で添加した市販のポリスチレン(Mw2,000)の添加量を0.8重量部とした以外は比較例2と同様にして膜形成用組成物を調製し、塗膜を形成した。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.22であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したところ、塗膜表面に若干ムラが見られた。
<比較例4>
実施例1の重合体(A−1)の代わりに、重合体(A−4)を添加した以外は、実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製し、塗膜を形成した。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.45であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
(評価)
<耐熱性比較>
実施例及び比較例の膜をそれぞれ、空気中400℃30秒加熱し、膜厚変化率を測定したところ、実施例の膜が12%減であったのに対し、比較例1では12%減、比較例2では25%減、比較例3では35%減、比較例4では12%減であった。
<機械強度比較>
実施例及び比較例の膜の機械強度を測定したところ、比較例1及び比較例4がヤング率7.5GPaであったのに対し、実施例1〜3では5.5GPaでありやや悪化する結果であったが、比較例2は5.5GPa、比較例3では4.2GPaであり、同程度誘電率を下げたサンプル同士の比較において、ポリスチレンより優れる結果であった。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2009215365
<合成例5〜9:重合体(A−5)〜重合体(A−9)の合成>
合成例2において、モノマー濃度及びBF3OEt2添加量を調整することで、同様の方法で、Mw5,000(重合体(A−5))、8,000(重合体(A−6))、12,000(重合体(A−7)、15,000(重合体(A−8))、24,000(重合体(A−9))のポリマーを得た。
<実施例4〜8>
実施例1において、重合体(A−1)の代わりに重合体(A−5)〜重合体(A−9)をそれぞれ使用した以外は同様にして膜を形成した。その結果、実施例1と同等の結果が得られた。
本発明の膜形成用組成物を用いて形成された絶縁膜は、耐熱性・膜面状・機械強度を大きく悪化させずに、低い誘電率を達成しており、絶縁膜材料として有用であることがわかった。

Claims (5)

  1. (A)下記式(1)で表されるモノマー単位を含み、重量平均分子量が1,500以上である重合体を含むことを特徴とする
    膜形成用組成物。
    Figure 2009215365
    (式(1)中、XはO、S又はCH2を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基又はトリアリールシリル基を表し、Rはさらに置換基を有していてもよく、Rが複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。nは0〜4の整数を表す。)
  2. (B)有機溶媒と、
    (C)該有機溶媒に可溶であり、かつ熱及び/又はエネルギー線照射により、該有機溶媒に対して不溶化させることができる化合物と
    を含有する、請求項1に記載の膜形成用組成物。
  3. 前記(C)が、炭素−炭素三重結合を有する化合物である、請求項2に記載の膜形成用組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
  5. 請求項4に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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