JP2009215109A - 高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】濡れ性の上昇による塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な濡れ性と粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】下記の(A)の要件を満足する前駆体溶液中に、下記の(B)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%含有することを特徴とする。
(A)前記前駆体溶液は、少なくとも1種のアルコール類、少なくとも1種のエステル類2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
(B)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル等からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法に関し、さらに詳しくは、有機酸塩熱分解法(以下、MOD法と呼称する場合がある。)によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその効率的な製造方法に関する。
近年、コンデンサ素子の小型化、また半導体集積回路の高集積化に伴い、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用されるキャパシタ絶縁膜としては、誘電率の高い物質が求められている。このような高誘電率を有する物質としては、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ複合酸化物が知られている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等のチタン酸バリウム系誘電物質が注目されている。
また、このような高誘電率を有する物質の薄膜形成法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOD法、CVD法等が行なわれている。しかしながら、スパッタリング法及びCVD法には、いずれも装置が複雑であり、また、膜形成速度が遅いという欠点を有する上に膜を形成することできる面積が小さいため、大面積の膜を得ることができないという問題点がある。これに対して、ゾルゲル法又はMOD法では、熱分解によりペロブスカイト型複合酸化物を形成する化合物を含有する液状材料を基板上に塗布し焼成するという比較的単純なプロセスにより、安価な設備で大面積の薄膜が得られるという利点があり、工業的に量産性に優れた有望な方法である。
従来、ゾルゲル法、MOD法等の塗布法に用いられる高誘電体薄膜形成用塗布組成物について、例えば、次の(イ)〜(ハ)が提案されている。
(イ)バリウム及びチタンの金属石鹸を使用する(例えば、特許文献1参照。)。
(ロ)酢酸バリウム等のカルボン酸バリウム塩と、チタンイソプロポキシドの原料をエチレングリコールモノメチルエーテルを含む有機溶媒に溶解し、これを加水分解してチタン酸バリウム薄膜形成用組成物とする(例えば、特許文献2参照。)。
(ハ) カルボン酸バリウム塩、カルボン酸ストロンチウム塩、及びチタンイソプロポキシドを原料としてエステルとした有機溶媒に溶解し、チタン酸バリウムストロンチウム薄膜形成用組成物とする(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの提案においては、多くの技術的課題があり、実用上の問題があった。例えば、(イ)では、焼成での金属石鹸の熱分解時にバリウム及びストロンチウムの炭酸塩は生成されないが、有機成分の揮発による質量変化が大きいため、形成される薄膜にクラックが発生したり、膜の収縮が大きくなるという問題が生じる。また、(ロ)では、原料にカルボン酸塩を用いるため、焼成での結晶化の際に800℃を超える高温が必要である。これにより、絶縁性の悪化が避けられず、リーク電流が大きいために実用化には至っていない。この悪化原因は、高温焼成による膜の急激な収縮、或いは下地電極との反応等により、薄膜内に微小なクラック又はボイドが発生するためと考えられる。また、(ハ)では、溶剤にエステルを用いることで、有機成分の揮発による質量変化は小さく、クラックの発生及び膜の収縮は生じにくい。しかしながら、高価なカルボン酸バリウム塩、カルボン酸ストロンチウム塩を用いなければならないこと、下地電極に金属膜を用いた場合に濡れ性が悪く塗膜の均一性が得られにくいこと、さらに溶剤がエステルのみであると外気による保存性が悪化してしまうこと等の問題があった。
以上のように、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成に用いられる塗布液においては、液の保存性、形成される膜のクラックの発生、膜の収縮、塗膜の均一性等の課題を解決することが求められ、そのため、これらに有効に作用することを基準として有機溶媒が選ばれて用いられていた。
ところで、これらの塗布液は、膜のクラックの発生を極力抑制するため、液濃度を希薄化する傾向にあった。一方、高誘電体薄膜は、均一性を向上させるために、塗布液を滴下した後、スピンコートして形成される。このとき、液濃度を希薄化すると、1回で得られる塗膜厚みは薄く、所望の膜厚を得るには5〜6回の繰り返し塗膜が必要となる。このため、膜形成に時間がかかるため生産性に問題が生じていた。また、塗布液を酸化物基板等の凹凸の激しい面に塗膜した場合、粘度によって、液のはじきによる塗膜の均一性の低下、又は穴等の欠陥の発生による膜表面の平坦性の低下が生じていた。これらの問題を改善するため、塗布液の構成成分として高粘性の有機溶媒を使用すると、塗布で使用する針先ノズルが詰まるという問題があった。
すなわち、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成に用いられる塗布液においては、液の保存性、形成される膜のクラックの発生、膜の収縮、塗膜の均一性、膜表面の平坦性等の性能上の課題のすべてを満足させることが困難であった。
以上の状況から、液の保存性、形成される膜のクラックの発生、膜の収縮等の基本的な課題の解決とともに、さらに塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が得られる塗布液を製造する方法が求められていた。なお、前記のハンドリング性とは、塗膜時の使用特性を表す。通常、生産で使用される基板は大型であるため、乾燥速度が速すぎると塗布開始直後と最後では乾燥差が生じ、塗膜にむらが発生する。
このため、一般的な高粘性剤、例えばエチレングリコールやカルビトールを添加することも行われるが、塗膜の焼成後に残滓を形成したり、薄膜に空隙が多く発生する原因となり、誘電率が低下する。また、これらの溶媒は水混和性が高いために、塗布液の長期保存性が悪化する。また、粘度だけでなく粘着性を上げるため、樹脂バインダの添加が挙げられる。例えば、ポリビニルブチラールはアルコールに可溶であるが、前駆体に添加するときには、高粘性化又はゲル化が生じて液の保存性、安定性に問題がある。また、ポリビニルピロリジノンは、吸水性が高く、添加後の液の保存性、安定性に問題がある。
特開平1−308801号公報(第1頁) 特開平1−100024号公報(第1頁) 特開平8−337421号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、MOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜を形成する際に用いる高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、MOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、特定の混合溶剤中に特定の有機酸塩を特定の割合で含有する前駆体溶液に、特定の樹脂成分を特定の添加割合で含有する塗布組成物を用いたところ、塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができること、また、前記塗布組成物の製造方法として、特定の混合溶剤中に特定の金属アルコキシドを特定の割合で含有する前駆体溶液に、特定の樹脂成分を特定の添加割合で添加し、次いで、特定の条件で攪拌したところ、前記高誘電体薄膜形成用塗布組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の(A)の要件を満足する前駆体溶液中に、下記の(B)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%含有することを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物が提供される。
(A)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
(B)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、粘度が25℃で4〜15mPa・sであることを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、塗布液として用いた際、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上に1回塗布し、次いでスピンコートにより1500rpmの回転で20秒間処理し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜の厚さが、120〜350nmであることを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、塗布液として用いた際、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上にスピンコートにより形成し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜の膜厚が200〜300nmであるとき、その比誘電率は600以上であることを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、下記の(a)の要件を満足する前駆体溶液に、下記の(b)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%添加し、次いで、大気又は不活性ガス雰囲気下に100〜130℃の温度で攪拌することを特徴とする、第1〜4いずれかの発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法が提供される。
(a)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
(b)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記樹脂成分の添加は、前記樹脂成分を、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤に溶解した樹脂成分の溶解液で行うことを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第5の発明において、前記前駆体溶液は、下記の工程(1)〜(3)を含む製造方法により得られることを特徴とする高誘電体膜形成用の塗布組成物の製造方法が提供される。
工程(1):1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤を混合し、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で環流させながら、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を添加し、攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、又は酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類のいずれかからなる溶剤中に添加し、大気下に20〜60℃の温度で攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
工程(3):前記有機酸塩液(A)と前記アルコキシド液(B)を冷却しておき、その後、両者を、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で攪拌して、前駆体溶液を合成する。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、工程(1)で用いられる混合溶剤の配合割合は、アルコール類100容積部に対して、エステル類が50〜200容積部、2−エチルヘキサン酸が50〜100容積部であることを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法が提供される。
本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法は、MOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用の塗布組成物、及びそれを効率的に製造することができる方法であり、該塗布組成物を塗布液として用いて、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等、電子デバイスにおける様々な用途のキャパシタ材料等に有用な高誘電体膜が得られるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法を詳細に説明する。
1.高誘電体薄膜形成用の塗布組成物
本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物は、下記の(A)の要件を満足する前駆体溶液中に、下記の(B)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%含有することを特徴とする。
(A)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩(以下、複合有機酸塩と呼称する場合がある。)を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
(B)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物は、前記複合有機酸塩の溶解性、塗膜性、保存性等を満足させることができるとともに、MOD法による誘電体薄膜の形成において、塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができるものである。
すなわち、上記塗布組成物を塗布液として用いた際、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上に1回塗布し、次いでスピンコートにより1500rpmの回転で20秒間処理し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜は、その厚さとして120〜350nmが得られる。しかも、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上にスピンコートにより形成し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜において、膜厚が200〜300nmであるとき、その比誘電率は600以上である。
上記塗布組成物において、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤を含む前駆体溶液のほかに、樹脂成分を含むことが重要である。これによって、好適な濡れ性及び粘性が得られ、塗膜の均一性、膜表面の平坦性、厚膜化、適度な乾燥速度による高ハンドリング性等の課題が達成される。また、同時に、従来の上記樹脂成分を含有しない塗布液と比較して、長期安定性、膜形成時の塗布性、膜熱処理時の分解性、膜の緻密性等は良好である。
すなわち、前駆体溶液に用いる有機溶剤を適切に選ぶことにより、前記複合有機酸塩の溶解性、塗膜性、保存性、膜の結晶性、製造安定性を満足させることができる。ここで、カルボン酸、エステル、またはアルコールを単独、もしくは1、2種だけで用いると塗布組成物の劣化や電気特性の悪化等の問題が生じる。しかも、上記混合溶媒には、水混和性が低い有機溶媒を選定しているため、従来よりも優れた保存性の塗布組成物が得られる。
すなわち、一般に、アルコール等を主成分としている前駆体溶液では、スピンコート後に即座に塗膜の乾燥が開始され、場所による乾燥むらやはじき等が起こりやすい。特に、大きな基板を用いた場合にはピンホール状の穴欠陥が目視でも観察される。これらの問題は作業環境を整えることでも解消されるが、作業性は劣ることになる。このため、液安定化の改善には、ジケトン類であるアセチルアセトンやアセト酢酸エチル等をアルコキシドに対し等モル以上で加えてキレート化処理したり、或いは溶媒のアルコールとしてメチルセロソルブ等を用い、かつ溶解、合成した後、液保存性を高めるために、115℃以上で蒸留して、反応生成した115℃未満の沸点を有する低沸点材を除く方法が採られる。
これに対して、上記前駆体溶液においては、耐水性の高い溶媒を用いているため、生成される複合有機酸塩は耐水性が高く、反応時に生成する低沸点材に影響を受けず、十分に安定性を保つことができる。
一方、生成する低沸点材の混入は液の耐水性に影響を与えるが、その生成物は熱分解性が高い。したがって、塗膜時に、低温処理でも結晶化しやすくなるという効果がある。特に、115℃未満の沸点を有する低沸点材は、その効果が高い。このため、上記前駆体溶液においては、加熱合成時の温度を110℃以下とすることで、反応生成する115℃未満の沸点を有する低沸点材を蒸留除去することなく、液中に包含させるものである。
ここで、上記前駆体に含まれる115℃未満の沸点を有する低沸点材としては、1容量%以上であり、好ましくは2〜60容量%である。なお、これらの低沸点材の含有量は、GCMS分析法で得た検出スペクトルの強度からで算出される。
また、樹脂成分を適切に選ぶことにより、塗布組成物の粘度を適切な範囲に上昇させ、粘性の上昇による厚膜化のため、高誘電体薄膜の所望の膜厚を得るための塗膜回数を大幅に軽減することができる。
例えば、従来の上記樹脂成分を含有しない塗布液を用いる場合では、1回塗膜で得られる高誘電体薄膜の膜厚は、800℃での焼成後で60〜80nm程度である。なお、一般の薄膜キャパシタ等に使用する場合は、膜厚としては、200nm以上が必要である。したがって、所望の膜厚を得るためには、3〜4回の塗膜操作を繰り返し行わなければならない。この改善策として、塗布組成物中の高誘電体を構成する金属元素濃度を高める方法が考えられるが、この方法で1回の塗布厚を厚くすると、焼成後に膜割れが発生してしまう。例えば、前記金属元素濃度が1.4mol/Lで塗布した場合には、1回塗膜で得られる高誘電体薄膜の膜厚は、800℃での焼成後で100nmを大きく超えることも可能であるが、焼成時に膜表面に割れが生じ、誘電特性を測定することすらできない。
上記樹脂成分としては、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル又はこれらの共重合体が用いられる。なお、重合体及び共重合体の平均分子量が20万以上になると、上記混合溶媒に溶解できなくなる。上記樹脂成分を含有することにより、1回塗膜で得られる高誘電体薄膜の膜厚としては、800℃での焼成後で120〜350nm程度となり、所望の膜厚を得るための塗膜回数を大幅に軽減することができる。
上記樹脂成分の塗布組成物中の含有割合としては、前駆体溶液に対し0.2〜2質量%である。すなわち、樹脂成分の含有割合が0.2質量%未満では、濡れ性及び粘度が低く、厚膜化の効果が薄れる。一方、添加割合が2質量%を超えると、塗膜を焼成した際、膜表面の凹凸が激しくなる。
上記前駆体溶液に用いる複合有機酸塩としては、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含有する有機酸塩であり、熱分解によりチタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等の高誘電特性を有するペロブスカイト型複合酸化物を形成するものである。
上記前駆体溶液中の金属元素濃度としては、0.4〜1.2mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.4mol/L未満では、得られる塗布組成物の濃度が希薄になるため、1回の塗膜で形成される高誘電体薄膜の厚さが薄いので、塗膜回数が上昇し生産性が低下する。一方、金属元素濃度が1.2mol/Lを超えると、得られる塗布組成物の濃度が高くなるので、塗膜の焼成時に膜割れが生じる。
上記塗布組成物の粘度としては、例えば、実施例で記載する評価方法で4〜15mPa・sが好ましい。すなわち、前記粘度が4mPa・s未満では、塗膜の厚みが改善されない。一方、前記粘度が15mPa・sを超えると、スピンコートを行うときの膜厚分布にむらが生じる。さらに、樹脂成分により、乾燥時による外気の影響を受けにくくするばかりでなく、クラック、空隙等の問題が生じることはない。また、熱分解性に優れた樹脂成分を選定したために、焼成において残滓を形成することもなく、高誘電体薄膜の誘電特性に低下は見られない。
上記塗布組成物は、さらに、従来の上記樹脂成分を含有しない塗布液がその低粘度と濡れ性不良のために不向きであった酸化物基板等で使用に際しても、凹凸の激しい面に塗膜しても、その膜表面の平坦性を改善することもできるという大きな利点を有する。
すなわち、例えば、EL素子の作製では、ガラス基板上に電極、誘電体ペーストを塗り、加熱して数ミクロンの誘電体層を形成するが、通常、樹脂及びペースト成分の揮発で大きな穴や亀裂が生じる。こうした誘電体層の表面の欠陥、多孔質の膜質、凹凸形状等があると、その上に蒸着法又はスパッタリング法等の気相堆積法で形成される発光層が、表面形状に追随するため平滑に形成することができない。このような基板の非平坦部に形成された発光層部には効果的に電界を印加することができないので、有効発光面積が減少したり、膜厚の局所的な不均一性から発光層が部分的に絶縁破壊を生じ、発光輝度の低下を生じるといった問題がある。このため、誘電体ペーストのビヒクル成分(ガラス等)に工夫を凝らしていたが、解決するには至っていない。また、上記従来の塗布液を用いると穴のすそ野が広がるように、いわゆる目玉状に液がはじけてしまう。これに対し、本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物を使用すれば、同様の組成の誘電体物質を用いることにより特性を劣化させることもなく、かつスムーズに穴表面を被覆して修復することができる。
2.高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法
本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法は、上記高誘電体薄膜形成用の塗布組成物を製造する方法であって、下記の(a)の要件を満足する前駆体溶液に、下記の(b)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%添加し、次いで、大気又は不活性ガス雰囲気下に100〜130℃の温度で攪拌することを特徴とする。
(a)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
(b)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
上記塗布組成物の製造方法に用いる前駆体溶液の製造方法としては、特に限定されるものではないが、下記の工程(1)〜(3)を含むものが好ましい。
工程(1):1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤を混合し、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で環流させながら、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を添加し、攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、又は酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類のいずれかからなる溶剤中に添加し、大気下に20〜60℃の温度で攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
工程(3):前記有機酸塩液(A)と前記アルコキシド液(B)を冷却しておき、その後、両者を、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で攪拌して、前駆体溶液を合成する。
上記工程(1)では、前記アルコール類、前記エステル類、及び2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤を所望の配合で混合し、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で環流させながら加熱しておく。この混合溶媒中に、少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を添加し、好ましくは1〜3時間攪拌し溶解する。
使用するアルカリ土類金属元素の形態によっては、溶解が進むと溶解熱により温度上昇が著しいため注意を要する。これにより、金属元素濃度が、0.4〜1.2mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
上記カルボン酸塩としては、特に限定されるものではないが、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、エチルヘキサン酸カルシウム等のカルボン酸塩が好ましい。
また、上記アルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素のメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。
上記混合溶剤の配合割合としては、特に限定されるものではないが、前記アルコール類100容積部に対して、前記エステル類が好ましくは50〜200容積部、より好ましくは50〜140容積部、また、2−エチルヘキサン酸が好ましくは50〜100容積部、より好ましくは50〜70容積部、である。すなわち、配合割合がこの範囲外になると、溶解が不十分となり、未溶解物が発生しやすくなり、沈殿が生成して液が不安定になる。また、これにより、液安定性は高まるので、即座にアルコキシド液(B)と混合して合成しなくとも、密閉容器に入れておけば3ヶ月間はまったく変化がないものが得られる。
これに対して、エーテル類、アルコール類、カルボン酸類又はエステル類等の有機溶剤を単独で、或いは本発明の条件以外で任意に組合わせて用いると上記効果が得られない。例えば、アルカリ土類金属元素の原料として金属を用いた場合、アルコール類又はエーテル類に容易に溶解するが、得られる有機酸塩液は水に対する安定性が欠けるため、外気に晒すことができず、また保存性が悪いという問題がある。また、低級カルボン酸塩を原料とした場合、その多くは低級アルコールに溶解しにくいため、一般的には、エステル類又はカルボン酸類を用いて溶解される。しかしながら、エステル類だけを用いると、カルボン酸塩の溶解度が低いため、保存時に粒子が析出する。さらに、誘電体薄膜の下地電極である金属膜との濡れ性が悪く、均一な膜が得られないという問題がある。一方、カルボン酸類は、溶解性が高く、かつ水混和性も低いために保存性を安定させる有用な有機溶剤であるが、加熱により揮発除去されにくい。したがって、カルボン酸類を多量に用いると、膜形成時に有機成分が残留する。エステル類とカルボン酸類の混合溶液にしても同様である。
上記工程(1)で用いる加熱溶解条件としては、温度が100〜110℃である。すなわち、加熱温度が100℃未満では、有機酸塩の形成が不十分である。一方、加熱温度が110℃を超えると、有機溶剤の揮発が活発になる。また、攪拌時間としては、特に限定されるものではなく、1〜3時間が好ましい。
上記工程(1)で得られる有機酸塩液(A)の金属元素濃度としては、0.4〜1.2mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.4mol/L未満では、濃度が希薄なため生産性が低下し、一方金属元素濃度が1.2mol/Lを超えると、溶解が不十分になり液が安定しない問題がある。
上記工程(2)では、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、前記アルコール類又は前記エステル類のいずれかの溶剤中に添加し、大気下に20〜60℃の温度で攪拌し溶解する。これにより、金属元素濃度が、0.4〜1.2mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
上記工程(2)では、原料形態、並びに有機溶剤等とその配合比を選ぶことにより、作製時における安全性に優れたアルコキシド液(B)を得るとともに、アルコキシド液(B)中の金属の溶解性と保存性、さらに高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
上記工程(2)で用いるアルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。
上記工程(2)で用いる加熱溶解条件としては、特に限定されるものではないが、20〜60℃の温度が好ましい。すなわち、加熱温度が20℃未満では、金属アルコキシドの形成が不十分である。一方、加熱温度が60℃を超えると、有機溶剤の揮発が活発になる。また、加熱時間としては、特に限定されるものではなく、0.2〜2時間が好ましく、金属アルコキシドの形成が十分に行なわれる時間が選ばれる。
上記工程(2)において得られるアルコキシド液(B)の金属元素濃度としては、0.4〜1.2mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.4mol/L未満では、濃度が希薄になると生産性が低下し、一方、金属元素濃度が1.2mol/Lを超えると、溶解が不十分となり液が安定しない。
上記工程(3)では、前記有機酸塩液(A)と前記アルコキシド液(B)を冷却しておき、その後、両者を、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で好ましくは2〜10時間攪拌して、前駆体溶液を合成する。
上記工程(3)では、有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)の配合比を上記の条件で選ぶことにより、前駆体溶液中の金属の溶解性と保存性、さらに高誘電体薄膜形成用塗布組成物の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
上記工程(3)で用いる加熱条件としては、温度が100〜110℃である。すなわち、加熱温度が100℃未満では、合成反応が不十分であり、複合有機酸塩の形成が進まず、構成元素が単独で存在するため、加水分解速度に差が生じて膜組成の均一性が劣る。一方、温度が110℃を超えると、溶媒の揮発が活発化するだけでなく、内容物も同時に揮発して組成ずれが起こる。また、加熱時間としては、特に限定されるものではなく、2〜10時間が好ましく、合成が十分に行なわれる時間が選ばれる。
なお、上記前駆体溶液の製造方法において、工程(1)及び工程(3)は、加熱に際して環流下で行うため、溶媒から揮発する成分がなく、液組成の変動がない。
上記塗布組成物の製造方法は、上記前駆体溶液の製造方法に続いて、得られた前駆体溶液を冷却後、該前駆体溶液中に、前記樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%添加し、次いで、大気又は不活性ガス雰囲気下に100〜130℃の温度に加熱する。
ここで、樹脂成分は、前駆体溶液との加熱反応により合成化され、樹脂を含んだ塗布組成物が形成される。これにより、塗布組成物の粘度が上昇する。また、塗布組成物には、樹脂の耐水性の高い特徴が付与されるため、長期安定性が高まる。
上記樹脂成分の添加方法としては、樹脂成分を直接前駆体溶液に添加することができるが、例えば、前記樹脂成分を、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤に溶解して得た樹脂成分の溶解液で行うこともできる。
上記樹脂成分の溶解液の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記溶剤に、前記樹脂成分を配合後、60℃以上の温度で1時間以上加熱し、次いで一昼夜放冷することにより、完全に溶解しておくことが好ましい。
上記塗布組成物の合成温度としては、100〜130℃である。すなわち、温度が100℃未満では、合成が不十分となり、液の塗れ性等に対する効果が希薄となる。一方、温度が130℃を超えると、希釈液の揮発が活発となり、液組成の制御が難しくなる。また、加熱の時間としては、特に限定されるものではなく、加熱合成を十分に促すため、1時間以上が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
上記塗布組成物の金属元素濃度としては、例えば、0.2〜0.8mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.2mol/L未満では、濃度が希薄になるため生産性が低下し、一方、金属元素濃度が0.8mol/Lを超えると、膜加熱処理時に膜割れが生じる。なお、上記塗布組成物の金属元素濃度の調整は、上記前駆体溶液に前記樹脂成分を含む溶解液を添加することで行われる。例えば、1−ブタノールと酢酸ブチルと混合した溶媒に樹脂を適量加えて溶解しておき、これを希釈剤として、前駆体溶液に混ぜることで濃度調整された塗布組成物が得られる。
上記高誘電体薄膜形成用の塗布組成物を塗布液として用いて、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた高誘電体膜を得ることができる。例えば、白金膜を形成したシリコン基板上にスピンコートにより形成し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜の膜厚が200〜300nmであるとき、その比誘電率は600以上である。
上記高誘電体膜の形成方法としては、まず、基板上に、塗布液を滴下した後、スピンコート、ディップコート等により塗布し乾燥する。次に、400〜600℃の温度で10分〜1時間程度の仮焼成を行う。ここで、所望の膜厚にするために、塗布、乾燥、仮焼成を数回繰り返し得られた多層誘電体薄膜を、700〜900℃の温度で20分〜2時間程度本焼成して、高誘電体膜を得る。
上記基板としては、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板、例えば、Ru/RuO/SiO /Si、RuO/Si、Ir/IrO/Si、Pt/Ir/IrO/Si、Pt/IrO/Si、Pt/TiO/Si、Pt/TiO/SiO/Si等が挙げられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた塗布組成物の評価方法及び薄膜の形成方法と評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)塗布組成物の評価方法:次の(イ)〜(ニ)の測定を行った。
(イ)塗布組成物の粘度測定:室温を25℃に保ち、B型回転式粘度計を用いて5分間測定した。
(ロ)塗布組成物の乾燥速度測定:塗布液をスピンコート法によりPt/TiO/SiO/Si基板上に塗布し、120℃で10分間乾燥させ、乾燥前後の質量変化から減少率を算出した。この減少率が大きいと乾燥速度が速い。
(ハ)塗膜の均一性の評価:塗布液をスピンコート法によりPt/TiO/SiO/Si基板上に塗布し、実体顕微鏡で2mm角視野を観察し、ピンホールの発生状況を評価した。
(ニ)塗布組成物の保存性:塗布組成物を30℃×60%RH中で10日間放置した後、液の状態を目視観察した。
(3)薄膜の形成方法と評価方法:塗布液をPt/TiO/SiO/Si基板上にスピンコート法により1500rpmの回転数で20秒間塗布し、150℃で乾燥した後、大気中600℃で30分間の仮焼成を行った。塗布、乾燥、仮焼成を所定回数繰り返した後、酸素ガス気流中800℃で30分間本焼成して、薄膜を形成した。その間、下記の(ホ)、(へ)の方法により、薄膜の膜厚とクラック発生を評価した。
(ホ)薄膜の膜厚の測定:段差計にて測定し、1回塗布当たりの膜厚を求めた。
(へ)薄膜のクラック発生状況:AFM観察で、膜表面のクラックを観察した。
さらに、この上にφ0.4mmの白金上部電極を設け、AC電圧1.0V、周波数1MHz時の静電容量を求めて比誘電率と誘電損失を算出した。
(実施例1)
まず、金属バリウムを容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酢酸ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤中に添加し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度1.0mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。また、チタンテトライソプロポキシドを酢酸ブチルに添加し、大気中25℃で0.4時間攪拌混合して、Ti濃度1.0mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、金属元素濃度1.0mol/Lの前駆体溶液を得た。
次いで、前駆体溶液に、樹脂成分としてマレイン酸ジエチルを前駆体溶液に対し1.0質量%を添加した後、窒素中110℃で2時間攪拌混合して塗布組成物を得た。得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況を上記塗布組成物の評価方法に従って測定した。
その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って、塗布、乾燥、仮焼成を2回繰り返してBaTiO薄膜を形成し、薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
(実施例2)
上記前駆体溶液に、樹脂成分としてマレイン酸ジブチルを前駆体溶液に対し2.0質量%を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
(実施例3)
上記前駆体溶液に、樹脂成分の代わりに、次の樹脂成分の溶解液(C)を樹脂成分が前駆体溶液に対し0.2質量%となるように添加したこと、このときの温度が100℃であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布が1回であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(C)]
容量比で1:1で配合したメタクリル酸ブチルとアクリル酸ブチルの共重合体(平均分子量15万)を、容量比で1−ブタノール:酢酸ブチル=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度50質量%。
(実施例4)
上記前駆体溶液に、樹脂成分の代わりに、次の樹脂成分の溶解液(C)を樹脂成分が前駆体溶液に対し0.5質量%となるように添加したこと、このときの温度が100℃であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布が1回であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(C)]
容量比で1:1で配合したメタクリル酸ブチルとアクリル酸ブチルの共重合体(平均分子量15万)を、容量比で1−ブタノール:酢酸ブチル=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度50質量%。
(実施例5)
上記前駆体溶液に、樹脂成分の代わりに、次の樹脂成分の溶解液(D)を樹脂成分が前駆体溶液に対し1質量%となるように添加したこと、このときの温度が125℃で攪拌時間が1時間であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布が1回であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(D)]
容量比で1:2で配合したメタクリル酸メチル(平均分子量1万)とマレイン酸ジブチルを、2メチル−1プロパノール中に添加して得た。濃度20質量%。
(実施例6)
上記前駆体溶液に、樹脂成分の代わりに、次の樹脂成分の溶解液(E)を樹脂成分が前駆体溶液に対し1質量%となるように添加したこと、このときの温度が125℃で攪拌時間が1時間であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布が1回であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(E)]
メタクリル酸アミドを、3メチル−1ブタノール中に添加して得た。濃度20質量%。
(実施例7)
まず、モル比で9:1の金属バリウムと金属カルシウムを、容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酢酸ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤中に添加し、窒素気流中110℃で5時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/Lのバリウムカルシウム有機酸塩液(A)を調製した。また、モル比でチタン:ジルコニウム=8:2になるように配合したチタンテトライソプロポキシドとジルコニウムテトラブトキシドを、2−メチル−1−プロパノールに添加し、大気中25℃で0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.4mol/Lのチタンジルコニウムアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比で、バリウムとカルシウムの合計量:チタンとジルコニウムの合計量=1:1となるようにバリウムカルシウム有機酸塩液(A)中にチタンジルコニウムアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中110℃で4時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/Lの前駆体溶液を得た。
次いで、前駆体溶液に、樹脂成分の溶解液(C)を前駆体溶液に対し樹脂成分が2質量%となるように添加した後、大気中100℃で1時間攪拌混合して塗布組成物を得た。得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況を上記塗布組成物の評価方法に従って測定した。
その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って、塗布1回で、(Ba0.9Ca0.1)(Ti0.8Zr0.2)O薄膜を形成し、薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(C)]
容量比で1:1で配合したメタクリル酸ブチルとアクリル酸ブチルの共重合体(平均分子量15万)を、容量比で1−ブタノール:酢酸ブチル=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度50質量%。
(実施例8)
上記前駆体溶液に、次の樹脂成分の溶解液(F)を樹脂成分が前駆体溶液に対し1.0質量%となるように添加したこと、このときの攪拌時間が2時間であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布、乾燥、仮焼成を2回繰り返したこと以外は、実施例7と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られた(Ba0.9Ca0.1)(Ti0.8Zr0.2)O薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(F)]
メタクリル酸メチル(平均分子量1万)を、容量比で2−メチル−1−プロパノール:酢酸イソペンチル=4:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度20質量%。
(実施例9)
上記前駆体溶液に、次の樹脂成分の溶解液(G)を樹脂成分が前駆体溶液に対し0.5質量%となるように添加したこと、このときの攪拌時間が2時間であったこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布、乾燥、仮焼成を2回繰り返したこと以外は、実施例7と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。なお、塗布組成物の塗れ性は良好であった。
[樹脂成分の溶解液(G)]
アクリル酸ブチル(平均分子量8000)を、容量比で1−ブタノール:酢酸ブチル=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度20質量%。
(比較例1)
上記前駆体溶液を、樹脂成分を添加しないでそのまま塗布液としたこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布、乾燥、仮焼成を3回繰り返したこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
(比較例2)
上記前駆体溶液を、開封した状態で135℃加熱して濃度1.4mol/Lまで濃縮し、樹脂成分を添加しないでそのまま塗布液としたこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布が1回であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
(比較例3)
上記前駆体溶液に、樹脂成分の代わりに、次の樹脂成分の溶解液(H)を樹脂成分が前駆体溶液に対し1質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様に行ったところ、得られた塗布組成物がゲル化した。結果を表1〜3に示す。
[樹脂成分の溶解液(H)]
ポリビニルブチラール(平均分子量1500)を、1−ブタノール中に添加して得た。濃度5質量%。
(比較例4)
上記前駆体溶液に、樹脂成分としてプロピレングリコールを前駆体溶液に対し5.0質量%を添加したこと、及びこのとき温度が100℃で攪拌時間が1時間であったこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られたBaTiO薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
(比較例5)
上記前駆体溶液を、樹脂成分を添加しないでそのまま塗布液としたこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布、乾燥、仮焼成を4回繰り返したこと以外は、実施例7と同様に行い、得られた(Ba0.9Ca0.1)(Ti0.8Zr0.2)O塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られた薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
(比較例6)
上記前駆体溶液に、次の樹脂成分の溶解液(I)を樹脂成分が前駆体溶液に対し5質量%となるように添加したこと、及びこのときの攪拌時間が2時間であったこと以外は、実施例7と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られた(Ba0.9Ca0.1)(Ti0.8Zr0.2)O薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。[樹脂成分の溶解液(I)]
メタクリル酸メチル(平均分子量1万)を、容量比でエタノール:トルエン=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度20質量%。
(比較例7)
上記前駆体溶液に、次の樹脂成分の溶解液(J)を樹脂成分が前駆体溶液に対し7質量%となるように添加したこと、及びこのときの攪拌時間が2時間であったこと以外は、実施例7と同様に行ったところ、得られた塗布組成物がゲル化した。結果を表1〜3に示す。
[樹脂成分の溶解液(J)]
ポリビニルブチラール(平均分子量1500)を、容量比でエタノール:ターピネオール=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度20質量%。
(比較例8)
上記前駆体溶液に、次の樹脂成分の溶解液(K)を樹脂成分が前駆体溶液に対し1.0質量%となるように添加したこと、及び上記薄膜の形成方法と評価方法において、塗布、乾燥、仮焼成を3回繰り返したこと以外は、実施例7と同様に行い、得られた塗布組成物の粘度、乾燥速度、保存性、及び塗膜のピンホールの発生状況と、得られた(Ba0.9Ca0.1)(Ti0.8Zr0.2)O薄膜の膜厚とクラック発生の評価及び比誘電率と誘電損失の評価を行なった。結果を表1〜3に示す。
[樹脂成分の溶解液(K)]
容量比で1:3で配合したスチレンとマレイン酸の共重合体(平均分子量5000)を、容量比で1−ブタノール:酢酸ブチル=3:1で配合した混合溶剤中に添加して得た。濃度20質量%。
Figure 2009215109
Figure 2009215109
Figure 2009215109
表1〜3より、実施例1〜9では、特定の混合溶剤中に特定の有機酸塩を特定の割合で含有する前駆体溶液に、特定の樹脂成分を特定の添加割合で含有する塗布組成物を用いて、本発明に従って行われたので、濡れ性の上昇による塗膜の均一性、適度な乾燥速度によるハンドリング性、及び適度な濡れ性と粘性による厚膜化のための生産性の向上が達成され、しかも、クラックの発生がなく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができることが分かる。
これに対して、比較例1〜8では、樹脂成分又はその添加割合が本発明の条件に合わないので、得られた塗布組成物において適度な粘度が得られなかったり、或いは乾燥速度が速い等の問題があり、誘電体薄膜にクラックが発生したり、誘電特性が低く、満足すべき結果が得られないことが分かる。なお、比較例3又は7では、塗布組成物がゲル化するなどのため塗布が不可能であるという問題があり、満足すべき結果が得られない。
以上より明らかなように、本発明の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物とその製造方法は、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等、電子デバイスにおける様々な用途のキャパシタ材料等の高誘電体膜に用いられる高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法として好適である。

Claims (8)

  1. 下記の(A)の要件を満足する前駆体溶液中に、下記の(B)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%含有することを特徴とする高誘電体薄膜形成用の塗布組成物。
    (A)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
    (B)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
  2. 粘度が25℃で4〜15mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物。
  3. 塗布液として用いた際、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上に1回塗布し、次いでスピンコートにより1500rpmの回転で20秒間処理し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜の厚さが、120〜350nmであることを特徴とする請求項1に記載の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物。
  4. 塗布液として用いた際、酸化物からなる中間膜上に白金膜を形成したシリコン基板上にスピンコートにより形成し、その後に800℃の温度で焼成して得られる高誘電体薄膜の膜厚が200〜300nmであるとき、その比誘電率は600以上であることを特徴とする請求項1に記載の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物。
  5. 下記の(a)の要件を満足する前駆体溶液に、下記の(b)の要件を満足する樹脂成分を該前駆体溶液に対し0.2〜2質量%添加し、次いで、大気又は不活性ガス雰囲気下に100〜130℃の温度で攪拌することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法。
    (a)前記前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤中に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む有機酸塩を含有し、かつ金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lである。
    (b)前記樹脂成分は、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、又はこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種からなる。
  6. 前記樹脂成分の添加は、前記樹脂成分を、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤に溶解した樹脂成分の溶解液で行うことを特徴とする請求項5に記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
  7. 前記前駆体溶液は、下記の工程(1)〜(3)を含む製造方法により得られることを特徴とする請求項5に記載の高誘電体膜形成用の塗布組成物の製造方法。
    工程(1):1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類、並びに2−エチルヘキサン酸からなる混合溶剤を混合し、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で環流させながら、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を添加し、攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
    工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、又は酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類のいずれかからなる溶剤中に添加し、大気下に20〜60℃の温度で攪拌して、金属元素濃度が0.4〜1.2mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
    工程(3):前記有機酸塩液(A)と前記アルコキシド液(B)を冷却しておき、その後、両者を、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で攪拌して、前駆体溶液を合成する。
  8. 工程(1)で用いられる混合溶剤の配合割合は、アルコール類100容積部に対して、エステル類が50〜200容積部、2−エチルヘキサン酸が50〜100容積部であることを特徴とする請求項7に記載の高誘電体薄膜形成用の塗布組成物の製造方法。
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