JP2009214630A - タイヤ・ホイール組立体、ホイール及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐リムずれ性を損なうことなく、リム組時の嵌合性を向上することが可能なタイヤ・ホイール組立体及びそれに使用するホイールと空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ハンプ16を有するリム12に空気入りタイヤ2のビード部21を装着してなるタイヤ・ホイール組立体である。ハンプ16及び/またはリム21に当接するビード部21のビードシート部24よりタイヤ軸方向外側でかつ少なくともビードヒール部25が、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層31,33で被覆されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤ・ホイール組立体及びそれに使用するホイールと空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、リム組時の嵌合性を改善するようにしたタイヤ・ホイール組立体、ホイール及び空気入りタイヤに関する。
従来、リムクッション部表面に超高分子ポリエチレンからなる被膜を設けた空気入りタイヤが知られている。このような被膜をリムクッション部表面に設けることにより、タイヤ使用時の耐リムずれ性を低下させずに、リム組時の嵌合性を向上させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、近年、タイヤ性能の更なる向上が強く求められており、上述したリム組時の嵌合性やタイヤ使用時における耐リムずれ性などについても更に向上する技術の提案が求められていた。
特開平4−71910号公報
本発明の目的は、耐リムずれ性を損なうことなく、リム組時の嵌合性を向上することが可能なタイヤ・ホイール組立体及びそれに使用するホイールと空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ・ホイール組立体は、ハンプを有するリムに空気入りタイヤのビード部を装着してなるタイヤ・ホイール組立体において、前記ハンプ及び/または前記リムに当接する前記ビード部のビードシート部よりタイヤ軸方向外側でかつ少なくともビードヒール部を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆したことを特徴とする。
本発明のホイールは、空気入りタイヤのビード部を装着するリムに突設したハンプを有するホイールにおいて、前記ハンプを熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆したことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、ハンプを有するリムにビード部を装着する空気入りタイヤであって、前記リムに当接する前記ビード部のビードシート部よりタイヤ軸方向外側で少なくともビードヒール部を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆したことを特徴とする。
上述した本発明によれば、ハンプとビードヒール部の少なくとも一方を熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆することにより、最もリム組時の嵌合に大きく影響する、ビード部がハンプを乗り越える際の摩擦抵抗を低減することができるので嵌合がし易くなり、リム組時の嵌合性を向上することができる。耐リムずれ性に大きく影響するビードシート部を除いているので、タイヤ使用時における耐リムずれ性を損なうことがない。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤ・ホイール組立体の一実施形態を示し、1はホイール、2はホイール1に装着された空気入りタイヤである。
ホイール1は、車軸に固定されるディスク11の外周端に円筒状のリム12を備えている。リム12はディスク11に連接されるウェル部13と、そのウェル部13の両側に接続された左右のビードシート部14と、このビードシート部14のホイール幅方向外側端からホイール径方向外側に延在する左右のフランジ部15を有している。各ビードシート部14にはハンプ16が環状に突設されている。このハンプ16を乗り越えて空気入りタイヤ2がビードシート部14に座着するようになっている。
空気入りタイヤ2は、ビードシート部14に取り付けられる左右のビード部21と、このビード部21からタイヤ径方向外側に延在する左右のサイドウォール部22と、この左右のサイドウォール部22間に延在するトレッド部23を有している。図示せぬが、タイヤ内部には左右のビード部21間にカーカス層が延設され、その両端部がビード部21に埋設されたビードコアの周りにタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。トレッド部23のカーカス層外周側にはベルト層が配設されている。
上記ホイール1は、図2に示すように、ハンプ16が、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム状の被覆層31で被覆されている。また、フランジ部15の外周部15Aの空気入りタイヤ2に面する表面部分15Bが、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム状の被覆層32で更に被覆されている。被覆層31,32はホイール周方向に沿って1周にわたり環状に延在している。
空気入りタイヤ2は、図3に示すように、リム12のビードシート部14に当接するビード部21のビードベース部24よりタイヤ軸方向外側でかつ少なくともビードヒール部25が、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム状の被覆層33で被覆されている。図3に示す例では、ビードヒール部25とフランジ部15の外周部15Aに接触するビード部21のリムクッション部26の表面をそれぞれ被覆層33で被覆している。被覆層33もタイヤ周方向に1周にわたり環状に延在している。
本発明者は、耐リムずれ性とリム組時の嵌合性について鋭意検討し、実験を繰り返し行った結果、以下のことを知見した。
即ち、空気入りタイヤ2をホイール1のリム12にリム組みする際に、ビード部21がリム12のハンプ16を乗り越えてビードシート部14に座着する。従って、ビード部21がハンプ16を乗り越え易く、即ち接触するビード部11とハンプ16との摩擦抵抗を減じることによりリム組時の嵌合性を最も効果的に改善することができる。そこで、ホイール1については、ハンプ16を熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層31で被覆し、タイヤとの間で生じる摩擦抵抗を低減するようにしたのである。
他方、ビード部21については、全体の摩擦抵抗を低減すると、制駆動時にリム12とビード部21との間に滑りが発生し、耐リムずれ性が悪化する。そこで、ビード部21の各部分に被覆層33を貼り付けて耐リムずれ性とリム組時の嵌合性を調べてみると、ハンプ16に最初に当たるビードヒール部15を被覆層33で被覆して摩擦抵抗を下げることにより、ビード部21がハンプ16を乗り越え易くなり、しかも耐リムずれ性に悪影響がないことがわかった。耐リムずれ性に悪影響がある部分はビードベース部24である。
また、リム組時にビード部21がハンプ16に当たった際に、更にフランジ部15の外周部15Aの表面部分15Bにリムクッション部26が当接する。そこで、被覆層32,33を配置してその間の摩擦抵抗を減じると、耐リムずれ性の低下を招かずに一層リム組時の嵌合を容易にできることがわかった。
そこで、本発明では、上述したように、ホイール1において、ハンプ16とフランジ部15の外周部15Aの表面部分15Bを熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層31,32で被覆する一方、空気入りタイヤ2においては、ビードヒール部25とリムクッション部26を熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層33で被覆したのである。
ハンプ16とビードヒール部25を被覆層31,33で被覆することにより、最も嵌合性に大きく影響するビード部21のハンプ16の乗り越えを容易にすることができるので、リム組時の嵌合性を効果的に高めることができる。耐リムずれ性に悪影響がない部分を被覆層で被覆するので、タイヤ使用時の耐リムずれ性を従来と同じレベルに維持することができる。
また、リム組時に接触するフランジ部15の外周部15Aの表面部分15Bとリムフランジ部26を被覆層32,33で被覆することにより、リム組時の嵌合性を一層向上することができる。
本発明において、ビードヒール部25を被覆する被覆層33は、図3に示すように、リム組みしていない状態でのタイヤ子午線断面において、ビードヒール部25の表面25Aに対してタイヤ軸方向に対して45度傾斜した接線Kを引いた際の接点K1から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲X(表面に沿って測定)のビードヒール部25の表面25Aを被覆するのが、リム組時の嵌合性の点からよい。上限は、ビードベース部24を被覆しない範囲であればよく、ビードヒール部25からタイヤ径方向外側に延在し、リムクッション部26を被覆する被覆層33と一体的に構成してもよい。
リムクッション部26を被覆する被覆層33は、図4に示すように、リム組した状態(空気圧200kPa)でのタイヤ子午線断面において、フランジ部15の外周部15Aの表面に対してタイヤ軸と平行に引いた接線Mとリムクッション部26の表面との交点M1から両側にそれぞれ少なくとも2.5mmの範囲Y(表面に沿って測定)のリムクッション部26の表面を被覆するのが、リム組時の嵌合性の点からよい。上限は、リム組み時の嵌合性に寄与する部分として6mmまであればよい。
ホイール1を被覆する被覆層32は、図2に示すように、ホイール回転軸を通る平面で切断したホイール断面において、フランジ部15の外周部15A表面に対してホイール回転軸に対して45度傾斜した接線Nを引いた際の接点N1から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲Z(表面に沿って測定)を被覆するのが、リム組時の嵌合性の点からよい。上限は、耐リムずれ性の点から4mm以下がよい。
リム11を被覆する被覆層31,32は、好ましくは、リム11と異なる色(例えば、白などで着色)を有するのが、被覆層31,32の有無の識別を容易にする上でよい。ビード部21を被覆する被覆層33は、好ましくは、空気入りタイヤ2と異なる色(例えば、白などで着色)を有するのが、被覆層33の有無の識別を容易にする上でよい。また、通常、空気入りタイヤにはリムチェックラインと称する凸状の周方向ラインがあるが、嵌合時に見える部分にある被覆層32,33を着色しておくことで、タイヤがリムに正常に嵌合しているかを目視により判断するのを容易にすることができる。
本発明は、上述したようにリム12のハンプ16と空気入りタイヤ2のビードヒール部25の両者を被覆層31,33で被覆するのが、リム組時の嵌合性をより向上する上で好ましいが、いずれか一方であっても嵌合時の摩擦抵抗を効果的に軽減することができ、リム組時の嵌合性を向上することができる。また、フランジ部15の外周部15Aの表面部分15Bとリムクッション部26は、上述した被覆層がなくてもよいが、好ましくはいずれか一方、より好ましくは両者を被覆層で被覆するのがよい。
被覆層31,32,33は周方向に1周にわたって連続的に設ける必要はなく、断続的に設けるようにしてよい。各被覆層31,32,33の長さは合計で全周の長さの50%程度あればよい。また、半周にわたって連続的に設けるように配置することも可能である。
被覆層31,32,33に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
熱可塑性エラストマー組成物は、上述した熱可塑性樹脂の成分にエラストマー成分を混合して構成することができる。使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブラジエンゴム(SBR)、ブラジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー)等を好ましく使用することができる。
上記した特定の熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成分の種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマー成分との合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドする場合の特定の熱可塑性樹脂成分(A)とエラストマー成分(B)との組成比は、特に限定はなく、フィルムの厚さ、柔軟性のバランスなどで適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比(A)/(B)で10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜90/10である。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須ポリマー成分に加えて、被覆層としての必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤ポリマーなどの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、更に一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を上記弾性率の要件を損なわない限り任意に配合することもできる。
また、上記エラストマー成分は熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマー成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔phr:ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。その他として、亜鉛華(5phr 程度)、酸化マグネシウム(4phr 程度) 、リサージ(10〜20phr 程度) 、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr 程度) 、メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程度) が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr 程度用いることができる。具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr 程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr 程度)等が使用できる。熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマー成分を分散させることによる。エラストマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマー成分を動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練およびエラストマー成分の動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500Sec -1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作された熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂(A)のマトリクス中にエラストマー成分(B)が不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、被覆層として使用するフィルムに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマー成分の多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
タイヤ及びリムとの接着は、通常のゴム系、フェノール樹脂系、アクリル共重合体系、イソシアネート系等のポリマーと架橋剤を溶剤に溶かした接着剤を塗布し、熱と圧力により接着させる方法、または、スチレンブタジエンスチレン共重合体(SBS)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、スチレンエチレンブチレンブロック共重合体(SEBS)等の接着用樹脂をフィルムと共に共押出、或いはラミネートして多層積層体を作製しておき、接着させる方法がある。溶剤系接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系(ケムロック220・ロード社)、塩化ゴム系(ケムロック205、ケムロック234B)、イソシアネート系(ケムロック402)等を例示することができる。
本発明は、特に乗用車に用いるタイヤ・ホイール組立体、ホイール、空気入りタイヤに好ましく適用することができる。
〔実施例1〕
タイヤサイズを215/60R16、リムサイズを16×6 1/2Jで共通にし、被覆層を表1のように配置した本発明タイヤ・ホイール組立体1〜9(実施例1〜9)と比較タイヤ・ホイール組立体1,2(比較例1,2)をそれぞれ作製した。
各タイヤ・ホイール組立体において、ビードヒール部を被覆する被覆層の範囲は接点K1から両側にそれぞれ2mmである。また、リムクッション部を被覆する被覆層の範囲は接点M1から両側にそれぞれ4mmである。また、リムのフランジ部外周部表面を被覆する被覆層の範囲は接点N1から両側にそれぞれ4mmの範囲である。
これら各タイヤ・ホイール組立体を以下に示す方法により、リム組嵌合性と耐リムずれ性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
リム組嵌合性
各タイヤ・ホイール組立体において、タイヤをリム組みした時の嵌合圧を測定した。その評価結果を比較タイヤ・ホイール組立体1を100とする指数値で示す。この指数値が大きいほど、リム組時の嵌合圧が低く、リム組嵌合性に優れている。120以上が顕著な効果がある。
耐リムずれ性
各タイヤ・ホイール組立体を空気圧200kPaにして排気量2.0リットルの乗用車(ABS制動)に装着し、時速100km/hからフル制動を付与した時のビード部のリムずれ量を測定した。その評価結果を比較タイヤ・ホイール組立体1を100とする指数値で示す。この指数値が大きいほど、リムずれ量が少なく、耐リムずれ性に優れている。
Figure 2009214630
表1から、本発明のタイヤ・ホイール組立体は、リム組嵌合性がいずれも120以上あり、耐リムずれ性を損なうことなく、リム組時の嵌合性を効果的に改善できることがわかる。
本発明のタイヤ・ホイール組立体の一実施形態を示す概略断面図である。 ホイールの要部拡大断面図である。 空気入りタイヤの要部拡大断面図である。 リムクッション部に設ける被覆層の範囲を示す断面説明図である。
符号の説明
1 ホイール
2 空気入りタイヤ
12 リム
14 ビードシート部
15 フランジ部
15A 外周部
15B 表面部
16 ハンプ
21 ビード部
24 ビードベース部
25 ビードヒール部
25A 表面
26 リムクッション部
31,32,33 被覆層
X,Y,Z 範囲

Claims (15)

  1. ハンプを有するリムに空気入りタイヤのビード部を装着してなるタイヤ・ホイール組立体において、前記ハンプ及び/または前記リムに当接する前記ビード部のビードシート部よりタイヤ軸方向外側でかつ少なくともビードヒール部を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆したタイヤ・ホイール組立体。
  2. 前記被覆層は、タイヤ子午線断面において、前記ビードヒール部の表面にタイヤ軸方向に対して45度傾斜した接線を引いた際の接点から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲のビードヒール部表面を被覆する請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  3. 前記リムのフランジ部外周部のタイヤに面する表面及び/または前記ビード部のリムクッション部表面を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で更に被覆した請求項1または2に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  4. 前記被覆層は、ホイール回転軸を通る平面で切断したホイール断面において、前記フランジ部の外周部表面にホイール回転軸に対して45度傾斜した接線を引いた際の接点から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲のフランジ部外周部表面を被覆する請求項3に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  5. 前記被覆層は、タイヤ子午線断面において、前記フランジ部の外周部表面に対してタイヤ軸と平行に引いた接線とリムクッション部表面との交点から両側にそれぞれ少なくとも2.5mmの範囲のリムクッション部表面を被覆する請求項3または4に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  6. 前記ビード部を被覆する被覆層はタイヤと異なる色を有し、前記リムを被覆する被覆層はリムと異なる色を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  7. 空気入りタイヤのビード部を装着するリムに突設したハンプを有するホイールにおいて、前記ハンプを熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆したホイール。
  8. 前記リムのフランジ部外周部のタイヤに面する表面を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で更に被覆した請求項7に記載のホイール。
  9. 前記リムのフランジ部外周部表面を被覆する被覆層は、ホイール回転軸を通る平面で切断したホイール断面において、前記フランジ部の外周部表面にホイール回転軸に対して45度傾斜した接線を引いた際の接点から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲を被覆する請求項8に記載のホイール。
  10. 各被覆層はリムと異なる色を有する請求項7乃至9のいずれか1項に記載のホイール。
  11. ハンプを有するリムにビード部を装着する空気入りタイヤであって、前記リムに当接する前記ビード部のビードシート部よりタイヤ軸方向外側で少なくともビードヒール部を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で被覆した空気入りタイヤ。
  12. 前記被覆層は、タイヤ子午線断面において、前記ビードヒール部の表面にタイヤ軸方向に対して45度傾斜した接線を引いた際の接点から両側にそれぞれ少なくとも1.5mmの範囲のビードヒール部表面を被覆する請求項11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記ビード部のリムクッション部表面を熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる被覆層で更に被覆した請求項11または12に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記リムクッション部表面を被覆する被覆層は、タイヤ子午線断面において、フランジ部の外周部表面に対してタイヤ軸と平行に引いた接線とリムクッション部表面との交点から両側にそれぞれ少なくとも2.5mmの範囲を被覆する請求項13に記載のタイヤ・ホイール組立体。
  15. 各被覆層はタイヤと異なる色を有する請求項11乃至14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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