JP2009211973A - 電子放出素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層の膜厚平坦性が良好で、均一な電子放出が可能であり、かつ、微細なパターンを有する電子放出素子を提供すること。
【解決手段】基板上にカソード電極層、感光性ペーストのフォトリソグラフィおよび焼成によりパターンが形成された絶縁層、ゲート電極層の順で積層されてなる電子放出素子であり、前記絶縁層の周辺端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax1と、それ以外の部分における該絶縁層の平均膜厚daveとの比が、0.5≦dmax1/dave≦2であることを特徴とする電子放出素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子放出素子の絶縁層を形成する際に用いる感光性ペースト、感光性ペーストの製造方法およびこれを用いた電子放出素子に関する。
ブラウン管に換わる画像表示装置として、自発光型の放電型ディスプレイである電子放出素子を用いた画像表示装置が提案されている。この画像表示装置は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに比べ、明暗のコントラストが大きい、低消費電力、動画性能に優れる、および、高精細化の要求にも応えうることから、バランスのとれた、優れたディスプレイとしてそのニーズが高まりつつある。また、画像表示装置ではなく光源として用いる蛍光発光装置としての用途も提案され、開発が行われている。このような電子放出型平面画像表示装置および蛍光発光装置のなかでも、カーボンナノチューブ(CNT)を電子放出素子に用いたCNT−フィールドエミッションディスプレイ(FED)が、電子放出特性や大面積化が容易であるという理由から、活発な開発が行われている。
このような電子放出型平面画像表示装置および蛍光発光装置は、それぞれの機能を有する前面ガラス基板(前面板)と背面ガラス基板(背面板)とを備える。背面ガラス基板(背面板)には、複数の電子放出素子とそれらの素子を接続するためのマトリックス状の配線が設けられている。これらの配線はX方向およびY方向に設置され、電子放出素子の電極の部分で交差するが、この交差部において両者を絶縁するために、パターン状の絶縁層が必要である。また、効率良く電子放出を行わせるために、背面ガラス基板の絶縁層上に電極層(ゲート電極)を設けて、電極に電圧を印加することにより電子を引き出す方法をとる三極構造型(トライオード型)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この絶縁層の作製に関しては、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法などで酸化珪素膜を形成する方法が知られている。しかし、このようなフォトリソグラフィー以外の方法でパターン形成を行おうとすると、微細加工が困難であり、その結果、電子源数が十分でない、電子源と引き出し電極の距離が遠く、電圧が高くなり消費電力が大きくなるといった欠点が生じる。
一方、感光性ペーストをスクリーン印刷で全面塗布後、紫外線露光でパターン形成する方法などが開示されている(例えば、特許文献2参照)。感光性ペーストとしては、感光性モノマー、バインダーポリマーおよび光重合開始剤を含む感光性有機成分と、無機成分とからなる感光性ペースト(例えば、特許文献3参照)や、アルカリ可溶性ポリオルガノシロキサン樹脂組成物と酸発生剤からなる感光性成分と、無機成分とからなる感光性ペースト(例えば、特許文献4参照)など各種提案されている。
このような感光性ペーストから画像表示装置および蛍光発光装置の絶縁層などの部材を得るためには、感光性ペーストを基板上に薄膜塗布し、フォトリソグラフィー処方によりパターンを形成し、その後、焼成を行う。しかしながら、この方法では、焼成にともなうパターン寸法の変化により絶縁層の厚みに凹凸が生じる。そのため、引き出し電圧の印加に強弱ができ、三極型構造での電子放出が均一に起こらない問題があった。
特開2001−210223(請求項1) 特開2002−245928号公報(第29−30段落) 特開平11−185601号公報(請求項4) 特開2005−300633(請求項1、11)
電子放出素子の電子放出を均一に行わせるには、ゲート電極から電子放出源までの距離、陰極からゲート電極までの距離を一定に保つことが求められる。そのためにはゲート電極の下に形成される絶縁層の平坦性がより一層求められるが、前述の通り、感光性ペーストを用いた方法では、パターン形成は容易であるものの、焼成による収縮で、平坦性が十分ではなかった。
本発明は、電子放出素子の構造に関し、絶縁層の膜厚平坦性が良好で、均一な電子放出が可能であり、かつ、微細なパターンを有する電子放出素子を提供することを目的とする。
本発明は、基板上にカソード電極層、感光性ペーストのフォトリソグラフィおよび焼成によりパターンが形成された絶縁層、ゲート電極層の順で積層されてなる電子放出素子であり、前記絶縁層周辺端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax1と、それ以外の部分における該絶縁層の平均膜厚daveとの比が、0.5≦dmax1/dave≦2であることを特徴とする電子放出素子である。
本発明の電子放出素子は、均一な電子放出が得られかつ、良好な微細パターン・絶縁性を有する電子放出素子である。
本発明の電子放出素子は、基板上に電極層、感光性ペーストのフォトリソグラフィおよび焼成によりパターンが形成された絶縁層、電極層の順で積層されてなる電子放出素子であり、前記絶縁層の周辺端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax1と、それ以外の部分における該絶縁層の平均膜厚daveとの比が、0.5≦dmax1/dave≦2である。dmax1/daveが0.5未満であると、周辺端部で絶縁破壊が生じる可能性が大きくなる。また、dmax1/daveが2を超えると、dmax1の部分から電子放出が起こる可能性が高くなり、周辺端部が発光する等の不具合が生じる。さらに0.75≦dmax1/dave≦1.5が好ましく、0.85≦dmax1/dave≦1.25がより好ましい。
また、前記絶縁層のパターン端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax2と、それ以外の部分における平均膜厚daveとの比が、0.75≦dmax2/dave≦1.5であると好ましい。ここで、絶縁層のパターン端部とはパターン形成されているパターン個々の端部のことであり、例えば20μmのホールが形成されているときはその20μmホールの端の部分を指す。dmax2/daveが0.75未満であると、周辺端部で絶縁破壊が生じる可能性が大きくなる。また、dmax2/daveが1.5を超えると、dmax2の部分から電子放出が起こる可能性が高くなり、パターン端部が発光する結果、発光が不均一になる。さらに0.85≦dmax2/dave≦1.25が好ましく、0.90≦dmax2/dave≦1.2がより好ましい。
なお、絶縁層の周辺端部とはパターンが形成された絶縁層面の外側周辺部分を指す。最大膜厚dmax1は、周辺端部から、平均膜厚の200%以内の縁部における点をランダムに10点選び、測定した最大値と定義する。また、最大膜厚dmax2は、パターン端部から、平均膜厚の200%以内の縁部における点をランダムに10点選び、測定した最大値と定義する。また、平均膜厚daveは絶縁層の上記以外の部分をランダムに10点選び、膜厚を測定した平均値と定義する。
また、絶縁層全体の平均膜厚は2μm以上20μm以下であることが好ましい。20μm以下であれば、フィールドエミッションディスプレイの低電圧駆動化のために、ゲート電極部と電子放出源の距離を十分近接化することができる。2μm以上であれば絶縁性を十分に保つことができる。
膜厚の測定方法は大きく分けて破壊測定、非破壊測定の二つの手法がある。破壊測定には、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定する方法、非破壊測定には接触式、非接触式等の方法がある。なかでも接触式については触針による段差測定方式、非接触方式ではレーザー反射光量による算出が主に挙げられる。本発明ではこれらどのような方法を用いて膜厚測定を行っても構わないが、最大膜厚と平均膜厚は同様の手法を用いて測定することが好ましい。また、試料を破壊せずに多点測定できることから、非破壊測定の手法が好ましい。
このような電子放出素子の製造方法について、一例として、ネガ型感光性ペーストあるいはポジ型感光性ペーストを用いたフィールドエミッションディスプレイの製造方法を挙げて説明する。
基板として、ITOカソード電極が形成されたガラス基板上に、無機粉末及びネガ型感光性有機成分を含有する感光性ペーストもしくは無機粉末及びポジ型感光性有機成分を含有する感光性ペーストを全面もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター等の一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、感光性ペーストの粘度を選ぶことによって調整できるが、乾燥や焼成による収縮を考慮して、乾燥後の厚みが5〜100μm、好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは5〜40μmになるように塗布することが好ましい。
上記のようにして基板上に感光性ペーストの膜を形成した後に、露光および現像することで、パターンを形成することが可能である。パターンの形状は、フィールドエミッション部材により必要とされる形状は様々であるが、フィールドエミッションディスプレイの絶縁層の場合は、直径3〜100μmの円形もしくは一辺3〜100μmの四角形のホールを含むパターンを形成することが好ましい。円形もしくは四角形の一辺は、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは3〜20μmである。このような微細パターンの形成には、フォトリソグラフィー法が最も有効である。
露光は、フォトマスクを用いてマスク露光する方法とレーザー光等で直接描画露光する方法を用いることができるが、フォトマスクを用いた露光のほうが、露光時間を短くできる。この場合の露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。
使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、近赤外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で、紫外線が好ましく、その光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらの中でも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、0.5〜1000W/mの出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分間露光を行う。特に、露光量が0.05〜1J/cm程度の露光を行うことが好ましい。露光に用いる光の波長は、300〜650nmが好ましく、より好ましくは350〜650nm、さらに好ましくは350〜500nm、最も好ましくは350nm〜450nmである。
その後、現像液を使用して現像を行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、シャワー法、ブラシ法で行う。これらの中でもシャワー法が、均一な現像を実現できる点で好適である。現像液は、感光性ペースト中の有機成分が溶解または分散可能な有機溶媒や水溶液を使用する。また、有機溶媒含有の水溶液を使用してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基やフェノール性水酸基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液でも現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液のアルカリ成分の濃度は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるおそれがあり好ましくない。現像時の現像液の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
また、現像液には、感光性ペーストの塗布膜への塗れ性改善、現像の均一性、残渣の低減などのために、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン、アニオン、カチオンおよび両性の各種界面活性剤を用いることができる。また、現像時に、現像液中で超音波処理を行うことが好ましい。さらに周波数変調型超音波処理が、特に20〜50KHzの間の波長範囲で変調される周波数変調型超音波処理が好ましい。このような超音波処理により、微細で均一なパターンの形成と共に、残渣の低減に大きな効果が得られる。
上記のような方法により、本発明の感光性ペーストから、基板上に厚さ5〜100μm、直径3〜100μmの円形もしくは一辺3〜100μmの四角形のホールを含むパターンを形成することができる。しかしながら、絶縁層周辺端部やパターン端部では、ホール部分に侵入した現像液により、残存するペースト膜の下部が侵食されることがある。特にペースト膜の下部の現像液に対する溶解性が大きい場合に、この現象が起こりやすい。中でも、ネガ型感光性ペーストを用いた場合には、ペースト膜の下部が硬化不足となりやすく、この現象が顕著に起こる。このような状態で次の焼成を行うと、周辺端部やパターン端部のガラスが軟化・流動した際に縁が丸く盛り上がり、本発明で定義した最大膜厚dmax1やdmax2が大きな状態となる。
最大膜厚dmax1やdmax2と平均膜厚daveの比を小さく抑えるには、ペースト膜下部における現像液による侵食が少なく、現像後のペースト膜の断面形状が矩形もしくは上辺より下辺のほうが長い台形形状であることが好ましい。このような状態であればガラスが軟化・流動した際にも縁が盛り上がらない。このような状態を得る方法として次のような方法が挙げられるがこれらに限定されるものではない。まずネガ型における場合には現像時にペースト膜下部の現像液に対する溶解性を抑える方法(後記[1]、[2]の方法)、露光プロセスの工夫により台形形状を形成する方法(後記[3]、[4]の方法)が挙げられる。
[1]の方法は、ペースト膜を形成する際に、ペースト膜下部に相当する部分に現像液に対する溶解性が小さいペーストを使用するものである。具体的には、アルカリ現像の場合にはバインダポリマーの酸価を層上部に対して層下部のペースト層の方を小さくする方法が挙げられる。[2]の方法は、露光光に対する反応性を、ペースト膜上部よりも膜下部に相当する部分の方が高くなるようにするものである。具体的には、ペースト膜の感度を層上部に対して層下部のペースト層の方を高くする方法などが挙げられる。[1]または[2]の方法を用いる場合、ペースト層は複数層形成することが好ましい。複数層とすることによって、層下部と層上部のペースト層の特性に容易に差をつけることができる。
[3]の方法は、露光工程において、フォトマスクを通して露光する際または露光した後に、該露光面の裏側(基板側)から同様に位置合わせを行い、フォトマスクを通した露光を行うものである。この方法は膜下部を十分に硬化させるのに有効である。なお、現像完了時に端部における段差が緩和されていれば良いので、厳密に位置あわせを行う必要はない。[4]の方法は、一度フォトマスク露光を行った後にフォトマスクの設計を数μm大きくあるいは小さくしたフォトマスクを用いて露光を行うものである。この方法も膜下部を十分に硬化させるのに有効である。また、一度目の露光、現像の後、得られたパターン上に再度ペースト層を形成し、フォトマスクの設計を上記のように変更したフォトマスクを用いて露光する方法も有効である。この方法では、膜下部に先に形成したペースト層のパターンが残っているため、膜下部が侵食されるのを防ぐことができる。再度のペースト層形成前に先に形成したペースト層のパターンを焼成しておくと、この効果がより強められ好ましい。
一方、ポジ型における場合では、露光光が照射された部分のみが溶解するため、上記のような形状を得るために露光量を調整する方法がもっとも効果的である。具体的には、矩形の断面形状が形成できる露光量よりも少ない露光量を照射することで現像時に溶解する量を減らし、台形状のパターンを形成するものである。
このような方法で所望のパターンを得た後、パターン形成された基板を、焼成炉にて焼成し、有機成分を焼き尽くすと同時に、無機粉末を焼結させて、絶縁層を形成させる。焼成雰囲気、温度および時間は、感光性ペーストや基板の種類によって適宜選択することでき、空気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成は400〜900℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うことが好ましい。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。また、以上の各工程中に、乾燥および予備反応の目的で、50〜300℃の加熱をおこなっても良い。
絶縁層は1.55以上2.3以下の平均屈折率であることが好ましい。この範囲内であればフォトリソグラフィーの技術が適用できる。
以上の工程により、基板上に形成された厚さ5〜100μm、直径3〜100μmの円形もしくは一辺3〜100μmの四角形のホールを含むパターンを有するフィールドエミッションディスプレイ用絶縁層が得られる。高解像度化と輝度の均一化のために、絶縁層に形成されるホールは、40μm以下であることが好ましい。
ゲート電極の形成は例えば次のような方法で行う。所望のパターンのホールが形成された絶縁層上に、スパッタ法あるいは蒸着法によって、電極膜を形成したのち、ホール部分の電極膜をエッチングする方法、あるいは先にホール部分を覆う処理をした後、電極膜をスパッタ法あるいは蒸着法によって形成し、覆いを除去する方法などにより形成される。電子放出源の形成方法は電子放出源によって異なり、電子放出源がスピントタイプの金属チップ(またはマイクロチップ)の場合には蒸着法、カーボンナノチューブ(CNT)を用いる場合には、感光性ペーストを用いた方法、プラズマCVD法による直接成長方法などにより形成される。このようにして得られたホールパターン付き絶縁層上にゲート電極を作成し、また、ホールパターンの内部に電子放出源を作成することにより、フィールドエミッションディスプレイの背面版が得られる。そして、該背面板と、アノード電極を有する前面板をスペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気封着した後、配線の実装を行うと、高輝度でコントラストの高いトライオード型フィールドエミッションディスプレイを得ることができる。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜5kVの電圧を供給し、ゲート電極に電圧を印加することで、電子放出源から電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
次に、本発明に用いられる絶縁層を形成する感光性ペーストについてさらに詳細に説明する。本発明に用いられる感光性ペーストには、無機粉末及びネガ型感光性有機成分を含有する感光性ペーストや、無機粉末及びポジ型感光性有機成分を含有する感光性ペーストを用いることができる。本発明の感光性ペーストは、溶媒が揮発した状態で用いるため、以下、単に「感光性ペースト」と示した場合は、特に断りない限り溶媒は含めないものとし、感光性ペースト中における含有量の算出をする際は、溶剤を除いた固形物全体に対する含有量を示すものとする。
本発明で用いる無機粉末はガラス粉末、セラミックス粉末、ガラス・セラミックス粉末、銀、銅、パラジウム、タングステンなどの金属粉末などが挙げられるが、絶縁層形成用途としてはガラス粉末、セラミックス粉末、ガラス・セラミックス粉末が好ましく、低温焼成可能である点から低軟化点ガラス粉末がより好ましい。低軟化点ガラスとしては、成分として、SiO、Al、B、ZnO、PbO、Bi、ZrO、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物などを含有したもの、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルカリ珪酸ガラス、鉛系ガラス、ビスマス系ガラスなどが挙げられる。これらのうち、鉛系ガラスは、環境汚染を起こす可能性が問題視される場合があるので、非酸化鉛系または低酸化鉛系であることが望ましい。また、ビスマス系ガラスは、微粒化が可能であり、微細パターン加工に適するので好ましい。
低温焼成によるコスト削減と生産性の向上はもちろんのこと、焼成温度が500℃以下であれば、安価なガラス基板を利用できるメリットが生じる。本発明における低軟化点とは、ガラスの熱軟化点温度が350℃〜600℃であることを指し、400℃〜580℃であることがより好ましく、さらに好ましくは450℃〜500℃が好ましい。
ガラスには非晶質ガラスおよび結晶化ガラスが存在するが、本発明においては非晶質ガラスおよび結晶化ガラス共に利用可能である。また、用いるガラスは無アルカリガラスであることが望ましい。以上より、本発明で低軟化点ガラスを用いる場合は、Zn−Bi系およびBi−Zr系ガラスが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明で用いる無機粉末の平均粒子径としては0.01μm〜5μmであることが好ましい。無機粉末の平均粒子径はレーザー回折法やBET法にて比表面積を測定した後に、粒子を球と仮定して換算することなどにより求められる。粒子がナノサイズとなる場合、正確に測定することは困難となるので、本発明では、BET法換算値を用いる。
無機粉末の感光性ペースト中における含有量としては、10〜95重量%が好ましく、50〜90重量%がより好ましく、70〜88重量%がさらに好ましい。10重量%以上とすることで、焼成時のパターン形状を好ましくすることができ、一方、90重量%以下とすることで良好な感光特性が得られる。また、体積含有量としては20〜70体積%が好ましく、30〜65体積%がより好ましく、40〜60体積%がさらに好ましい。20体積%以上とすることで焼成時のパターン形状を好ましくすることができ、70体積%以下とすることで良好な感光特性を得られる。
また、電子放出素子の絶縁層形成に用いる場合における感光性ペーストの無機粉末として、上記ガラス粉末などのほかにフィラーを入れてもよい。具体的なフィラーとしては、SiO、Al、ZrO、ムライト、スピネル、マグネシア、ZnO、酸化チタンなどのセラミック粉末が挙げられ、これらは単独種で用いても複数種組み合わせて用いても良い。フィラーの添加量は、感光性ペーストの全体積に対して、10体積%未満が好ましい。それ以上にすると焼結時にひび割れが発生する場合がある。フィラーは焼結時において溶融しないものであることが好ましい。
無機粉末の平均屈折率は1.55以上2.3以下であることが好ましい。絶縁層は無機粉末を焼結してなるため無機粉末の屈折率が絶縁層の屈折率となる場合が多い。そのため、無機粉末の好ましい範囲は絶縁層の好ましい範囲と一致する。
ガラス粉末の屈折率についてはエリプソメーターを用いて測定する。屈折率は露光波長で測定することが効果を確認する上で正確である。特に、350〜650nmの波長範囲の光で測定することが好ましい。さらには、i線(365nm)もしくはg線(436nm)での屈折率測定が好ましい。また、無機粉末が数種類の粉末の複合である場合は計算によりある程度の予測をすることができる。まず個々の成分について所望の波長における屈折率を測定する。次に無機粉末の体積%に応じて、それぞれの屈折率を足し合わせることによって求められる。
電子放出素子の絶縁層形成に用いられる無機粉末に含まれるガラス粉末の平均粒子径は、0.1〜5μmであることが好ましく、さらには0.1〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。平均粒子径0.1μm以上のガラス粉末を使用することにより凝集の生じにくい感光性ペーストが得られ、平均粒子径5μm以下のガラス粉末を用いることにより、薄膜での微細なフォトリソグラフィーによる加工が可能となる。電子放出素子の絶縁層形成に用いられる無機粉末に含まれるフィラーの平均粒子径としては、0.01μm〜0.5μmであることが好ましく、さらには0.01〜0.05μmであることが好ましい。0.01μm以上のフィラー添加により、焼成後の部材の強度を向上することができ、0.5μm以下のフィラーを使用することにより、良好な感光特性を得ることができる。
本発明において感光性有機成分は、光によって硬化するネガタイプでも、光によって可溶化するポジタイプでも良いが、組み合わせの豊富さ等からネガタイプのほうが好ましい。
本発明において、感光性有機成分は、a)エチレン性不飽和基含有化合物および光重合開始剤、b)グリシジルエーテル化合物、脂環式エポキシ化合物およびオキセタン化合物からなる群から選択された1種以上のカチオン重合性化合物および光カチオン重合開始剤、ならびにc)キノンジアジド化合物、ジアゾニウム化合物およびアジド化合物からなる群から選択された1種以上の化合物、のうちいずれか1種以上が好ましく用いられる。
以上のような感光性有機成分としては、材料選択のバリエーションの多さ、それに基づく性能のコントロールし易さなどから、a)成分のエチレン性不飽和基含有化合物および光ラジカル重合開始剤が好ましい。
a)〜c)成分から選ばれる化合物の含有量は感光性有機成分に対して5〜98重量%が好ましい。より好ましくは10〜70重量%である。5〜98重量%の範囲とすることで、パターン加工性を良好に維持することができる。
一般に、感光性有機成分および無機粉末を含有する感光性ペーストにおいて、感光性有機成分の平均屈折率と無機粉末の平均屈折率は、なるべく近い方が好ましい。屈折率が近いと、感光性有機成分と無機粉末との界面での光散乱が起きにくく、フォトリソグラフィーを用いてパターン形成をする際に、精細なパターン加工が可能となる。
しかしながら、本発明に好ましく用いられる低軟化点ガラスは、焼成温度が低い反面、屈折率が大きいことが多く、平均屈折率を感光性有機成分に近づけることは困難である。したがって、感光性有機成分と無機粉末との屈折率差は非常に大きい。屈折率差が大きいと、感光性有機成分と無機粉末との界面での光散乱のために、感光性ペーストの内部に光が十分到達せず、露光面から遠い部分が硬化しにくくなる。
そのため、このような場合においては、感光性有機成分中に、光を吸収して、該吸収した光より長波長の光線を発する化合物(以下、化合物(A)という)を含有することが好ましい。このような化合物を含有していると、感光性有機成分と無機粉末との屈折率差が大きい場合でも、露光面から遠い部分も硬化させることが可能となる。化合物(A)は、露光に用いられる波長の光を吸収し、吸収した光より長波長の光線を発し、発した光線が感光性有機成分を硬化あるいは可溶化させる。化合物(A)は、紫外線を吸収することで散乱を抑制し、しかも紫外線よりも透過性が高い長波長の蛍光を発するため、露光面から遠い部分も硬化させることができる。
本発明における化合物(A)の含有量は、感光性有機成分に対して、0.1〜30重量%が好ましい。
また、本発明において、感光性有機成分は、さらにバインダーポリマーを有することが好ましく、また紫外線吸収剤、増感剤、重合禁止剤、可塑剤、分散剤、酸化防止剤などの添加剤を含有することができる。
バインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールなどの各種ポリマーを用いることができるが、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。さらに、無機粉末の分散性や現像性の観点から、加えて、感光によるパターン形成性の観点から、バインダーポリマーはカルボキシル基や水酸基、エチレン性不飽和二重結合などの反応性官能基を有していることが好ましい。
感光性有機成分中のバインダーポリマーの含有量は感光性有機成分に対して1〜70重量%が好ましい。より好ましくは5〜50重量%である。1〜70重量%の範囲とすることで、パターン加工性と、焼成時の収縮などの特性を両立させることができる。
その他、本発明に用いられる感光性ペーストは紫外線吸収剤、増感剤、重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有することもできる。
感光性ペーストの粘度調整は無機成分、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は0.5〜200Pa・sが好ましい。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、0.5〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、30〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
粘度の測定は回転粘度計(RVDVII+、ブルックフィールド社製)にて、温度25±0.1℃、回転数10rpm、測定開始から5分後の粘度を測定した。
本発明の感光性ペーストは、電子放出素子の各種絶縁層部材などに好ましく用いられるが、フィールドエミッションディスプレイの絶縁層に代表されるフィールドエミッション部材として特に好ましく用いられる。フィールドエミッションとは電界電子放出のことであり、電界電子放出とは真空中で半導体や金属などの導電体を陰極とし、その表面近傍に陽極を設置すると、陰極表面から陽極へ向かって、電子が真空中へ放出される物理現象のことをいう。本発明において、フィールドエミッション部材とはこのような電界電子放出を利用した部材のことを指す。具体的にはフィールドエミッションディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト、フィールドエミッションランプ、走査型電子顕微鏡の電子線源、微少真空管などが挙げられるがこれらに限定されない。
以下に、実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<測定方法>
ガラス粉末の熱軟化温度はガラス粉末を白金セルに入れ、示差熱分析装置(TG8120、理学電機(株)製)を用いて、常温から700℃まで20℃/分の昇温速度で示差熱分析を行い、最初に現れる吸熱部の極小点を経て吸熱が終了する温度を軟化点(Ts)とした。
ガラス粉末の平均粒子径はレーザー回折散乱測定装置(マイクロトラック粒度分布計HRA、日機装(株)製)による測定およびBET法、すなわち窒素ガスなどの不活性ガスを吸着させて、比表面積を測定した後に、粒子を球と仮定して比表面積から粒子径を求め、数平均として平均粒子径を求めることで算出した。比重は、ガラスを約5×5×5mmの大きさに加工し、アルキメデス法を用いて測定した。
最大膜厚と平均膜厚は感光性ペーストを用いて形成したパターン付き基板について、それぞれ以下のような測定により算出した。最大膜厚dmax1は絶縁層周辺端部から平均膜厚の200%以内の縁部における点をランダムに10点選び、測定した最大値とした。最大膜厚dmax2は絶縁層パターン端部から平均膜厚の200%以内の縁部における点をランダムに10点選び、測定した最大値とした。また、平均膜厚daveは絶縁層の上記以外の部分をランダムに10点選び、膜厚を測定した平均値とした。膜厚の測定にはレーザー顕微鏡(VK−9500、(株)キーエンス製)を用いた。
無機粉末の屈折率は、石英ガラス上に無機膜を作製した後、エリプソメーターを用いたエリプソメトリー法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。
粘度の測定は回転粘度計(RVDVII+、ブルックフィールド社製)にて、温度25±0.1℃、回転数10rpm、測定開始から5分後の粘度を測定した。
<バインダーポリマーI>
40重量部のメタクリル酸メチル、20重量部のアクリル酸エチル、40重量部のメタクリル酸からなる共重合体のカルボキシル基に対し、0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量16000、酸価105mgKOH/g、二重結合密度2.5mmol/gであった。
<バインダーポリマーII>
40重量部のメタクリル酸メチル、26重量部のアクリル酸エチル、34重量部のメタクリル酸からなる共重合体のカルボキシル基に対し、0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量25000、酸価70mgKOH/g、二重結合密度2.5mmol/gであった。
<バインダーポリマーIII>
アクリル系ポリマー(共栄社化学(株)製、オリコックスKC−1700P)重量平均分子量100000。
<ガラス粉末I>
ガラス粉末は、酸化物換算でBi(77.2重量%)、SiO(6.9重量%)、B(10.2重量%)、ZrO(0重量%)、ZnO(2.5重量%)、Al(2.7重量%)の組成のガラス粉末を用いた。このガラス粉末の熱軟化温度は493℃、平均粒子径0.5μm、比重6.1g/cm、屈折率(n)は2.21であった。
<ガラス粉末II>
ガラス粉末は、酸化物換算でPbO(70重量%)、SiO(13重量%)、Al(3重量%)、B(10重量%)、ZnO(4重量%)の組成のガラス粉末を用いた。このガラス粉末の熱軟化温度は590℃、平均粒子径は1.2μm、屈折率(n)は2.1であった。
<ガラス粉末III>
ガラス粉末は、酸化物換算でLiO(8重量%)、SiO(27重量%)、B(30重量%)、ZnO(15重量%)、Al(5重量%)、CaO(15重量%)の組成のガラス粉末を用いた。このガラス粉末の熱軟化点は500℃、平均粒子径1.5μm、比重2.6g/cm、屈折率(n)は1.58であった。
<ガラス粉末IV>
ガラス粉末は酸化物換算でSiO(60重量%)、PbO(17.5重量%)、CaO(7.5重量%)、MgO(3重量%)、NaO(3.2重量%)、KO(2重量%)、B(5.8重量%)の組成のものを用いた。このガラス粉末のガラス軟化点は686℃、平均粒子径は2μmであった。屈折率(n)は1.56であった。
<セラミック粉末I>
アルミナ:平均粒子径37nmのアルミナ粒子(シーアイ化成(株)製、商品名ナノテックAl)、平均粒子径は窒素ガスを用いたBET法により比表面積を測定した後に、粒子を球と仮定して比表面積から粒子径を求め、数平均として平均粒子径を求めた。比重4g/cm、屈折率(n)は1.7であった。
<化合物(A)I>
クマリン系誘導体(日本化薬(株)製、商品名Kayalight B)。3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール溶液中での紫外線の吸収最大波長は370nm、蛍光の最大発光波長は441nmであった。
実施例1
感光性有機成分1として、エチレン性不飽和基含有化合物であるアクリルモノマー(日本化薬(株)製カヤラッド(登録商標)TPA−330)を7g、上記バインダーポリマーIを7g、溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を20g、光重合開始剤(日本化薬(株)製、2,4−ジメチルチオキサントンとチバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)369を1:2の重量比で用いる)を1.4g、化合物(A)Iを2.2g、紫外線吸収剤(KayasetSF−G:日本化薬(株)製)を0.1g、重合禁止剤(p−メトキシフェノール)を0.3gを混合・溶解し、メンブレンフィルター(孔径:0.2μm)を用いて濾過した。また、感光性有機成分2として、エチレン性不飽和基含有化合物であるアクリルモノマー(日本化薬(株)製カヤラッド(登録商標)TPA−330)を7g、上記バインダーポリマーIIを7g、溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を20g、光重合開始剤(日本化薬(株)製、2,4−ジメチルチオキサントンとチバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)369を1:2の重量比で用いる)を1.5g、化合物(A)Iを2.1g、紫外線吸収剤(KayasetSF−G:日本化薬(株)製)を0.1g、重合禁止剤(p−メトキシフェノール)を0.3gを混合・溶解し、メンブレンフィルター(孔径:0.2μm)を用いて濾過した。さらにそれぞれの感光性有機成分に対し、無機粉末として、上記ガラス粉末Iを82g混合し、3本ロールに5回通した。さらに各々に対し溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を15g添加・攪拌混合することで粘度調整を行い、それぞれ感光性ペースト1と2を作製した。これらの感光性ペーストをさらにPTFEフィルター(孔径:4μm)を用いて濾過した。得られた感光性ペーストの粘度はそれぞれ2Pa・s、2.5Pa・sであった。
次に、ITOカソード電極(厚さ150nm)と位置合わせ用のアライメントマークが形成された200mm×200mm×1.8mmのソーダライムガラス基板上に、感光性ペースト2を、スピナーにて2000rpm、30秒間塗布した。このとき、アライメントマーク上には感光性ペーストが塗布されないよう、マスキングしておいた。これを乾燥した後に、感光性ペースト1を同様に塗布・乾燥して塗膜を形成した。同様の操作を繰り返し、感光性ペーストが積層された基板を10枚用意した。
その後、得られた感光性ペーストの層に対し、ネガ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、20μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並べられている。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。露光量は400mJ/cmであった。
次に25℃に保持した炭酸ナトリウム0.1重量%の水溶液をシャワーで30秒間現像した。その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に約20μmの孔径をもつビアパターンを形成した。ペースト膜下層が酸価の低いバインダポリマーを用いているため、現像液による侵食が抑えられている。
パターン形成後の基板を光学顕微鏡で観察し、マスクのビアパターン100個のうち、ビアパターンが形成された割合をビア加工率(%)として評価した。その結果、100個のビアパターンが形成されており、100%のビア加工率であった。また、パターン形成基板の表面観察を行ったところ、パターンのクラックは見られなかった。パターン形成後の基板を10℃/分の昇温レートでガラス粉末の軟化点付近まで昇温し、10分保持して焼成を行った。焼成後の平均膜厚daveは12μmであった。
さらに最大膜厚dmax1およびdmax2を測定し、dmax1/daveおよびdmax2/daveを算出したところ、dmax1/dave=1.5、dmax2/dave=1.25であった。
次に、焼成後の絶縁層パターン形成基板に、スピンコーター法でポジ型のフォトレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 商品名AZ4620)を塗布した後、100℃で2分ベークした。フォトレジストの膜厚は10μmであった。得られたレジスト膜付きパターン基板に対し、ネガ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、50μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並んでいる。このビアパターンの中心は前記20μmビアパターンのマスクのビアパターン中心と重なり合う。さらに、その外側2cmにはパターンのない面が広がっている。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。露光量は100mJ/cmであった。次に25℃に保持したレジスト現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 商品名AZ400Kを5倍に希釈)に90秒間浸漬、揺動して現像した。その後、30秒間純水洗浄し、120℃2分のポストベークを行うことでレジストパターンを得た。
その後、スパッタ法を用いて膜厚150nmのクロム膜を形成した。続いて、25℃に保持したレジスト剥離液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 商品名AZリムーバー700)に30秒間浸漬、揺動してレジスト膜とその上に形成されたクロム膜を剥離した。その後、30秒間純水で洗浄を行い、ゲート電極の形成されたパターン形成基板を得た。
続いてゲート電極の形成されたパターン形成基板に、スピンコーター法でポジ型のフォトレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 商品名AZ1500)を塗布した後、100℃で2分ベークした。フォトレジストの膜厚は3μmであった。得られたレジスト膜付きパターン基板に対し、ポジ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、15μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並んでいる。ビアパターンの中心は前記2つのクロムマスクのビア中心と重なり合う。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。露光量は100mJ/cmであった。次に25℃に保持したレジスト現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 商品名AZ400Kを5倍に希釈)に90秒間浸漬、揺動して現像した。その後、30秒間純水洗浄し、120℃2分のポストベークを行うことでレジストパターン(犠牲層)付きのゲート電極の形成されたパターン形成基板を得た。
続いて、得られたレジストパターン(犠牲層)付きのゲート電極の形成されたパターン形成基板に感光性CNTペーストを塗布し、裏面(基板ガラス面)側から露光量1000mJ/cmで露光した後、現像、レジスト剥離を経たのち、焼成、表面処理を行うことでCNTエミッタを形成した。このようにして背面板を得た。ついで得られた背面板とITO付きガラス基板に蛍光体を塗布した前面板をスペーサーを介して挟み、真空チャンバー内で発光を評価した。パターン形成した部分で80%以上均一に発光している場合を良好(◎)とし、パターン形成した部分からの発光が50%以上を良(○)とし、パターン形成した部分からの発光が50%未満あるいはパターン形成した部分以外から発光した場合を不良(×)とした。発光評価結果は良好(◎)であった。
実施例2
感光性有機成分3としてエチレン性不飽和基含有化合物であるアクリルモノマー(日本化薬(株)製カヤラッド(登録商標)DPHA)を5.25g、アクリルモノマー(日本化薬株)製カヤラッド(登録商標)R−128H)1.75g、上記バインダーポリマーIを7.0g、溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を20g、光重合開始剤(日本化薬(株)製、2,4−ジメチルチオキサントンとチバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)369を1:2の重量比で用いる)を1.4g、化合物(A)Iを2.2g、紫外線吸収剤(KayasetSF−G:日本化薬(株)製)を0.1g、重合禁止剤(p−メトキシフェノール)を0.3gを混合・溶解し、メンブレンフィルター(孔径:0.2μm)を用いて濾過した。これに無機粉末として、上記ガラス粉末Iを82g混合し、3本ロールに5回通した。さらに溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を15g添加・攪拌混合することで粘度調整を行い、感光性ペースト3を作製した。感光性ペースト3をさらにPTFEフィルター(孔径:4μm)を用いて濾過した。得られた感光性ペーストの粘度は2.3Pa・sであった。この感光性ペースト3を感光性ペースト2の代わりに用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ビア加工率、膜厚比率、発光評価を行った。結果を表1に示した。なお、表1中、「感光性有機成分」には溶剤は含んでいない。また、「量(重量%)」とあるのは、溶剤を除いた固形物全体に対する含有量を示す。
実施例3
実施例1と同様に感光性ペースト1を作製したのち、感光性ペースト1を、ITOカソード電極(厚さ150nm)と位置合わせ用のアライメントマークが形成された200mm×200mm×1.8mmのソーダライムガラス基板上に、スピナーにて1000rpm、30秒間塗布した。このとき、アライメントマーク上には感光性ペーストが塗布されないよう、マスキングしておいた。これを乾燥して塗膜を形成した。同様の操作を繰り返し、基板を10枚用意した。
その後、得られた感光性ペーストの層に対し、ネガ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、20μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並べられている。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。露光量は400mJ/cmであった。その後同じマスクを用いて裏面(基板ガラス)側から紫外線露光を行った。露光量は400mJ/cmであった。
続く操作は実施例1と同様に行い、ビア加工率、膜厚比率、発光評価を行った。結果を表1に示した。
実施例4
実施例1と同様に感光性ペースト1を作製したのち、感光性ペースト1を、ITOカソード電極(厚さ150nm)と位置合わせ用のアライメントマークが形成された200mm×200mm×1.8mmのソーダライムガラス基板上に、スピナーにて1000rpm、30秒間塗布した。このとき、アライメントマーク上には感光性ペーストが塗布されないよう、マスキングしておいた。これを乾燥して塗膜を形成した。同様の操作を繰り返し、基板を10枚用意した。
その後、得られた感光性ペーストの層に対し、ネガ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、20μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並べられている。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。
次に25℃に保持した炭酸ナトリウム0.1重量%の水溶液をシャワーで30秒間現像した。その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に約20μmの孔径をもつビアパターンを形成した。続いてパターン形成後の基板を10℃/分の昇温レートでガラス粉末の軟化点付近まで昇温し、10分保持して焼成を行った。
焼成後のパターン形成後基板に再び感光性ペースト1を前記と同様に塗布し、得られた感光性ペーストの層に対し、ネガ型クロムマスクを用い、アライメントを行ってから、紫外線露光を行った。該マスクには、15μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、絶縁層端部が前記マスクよりも1mm広いものである。露光は基板の上面側から、0.5kw出力の超高圧水銀灯を用いて行った。露光量は400mJ/cmであった。
次に25℃に保持した炭酸ナトリウム0.1重量%の水溶液をシャワーで30秒間現像した。その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に約20μmの孔径をもつビアパターンを形成した。続いてパターン形成後の基板を10℃/分の昇温レートでガラス粉末の軟化点付近まで昇温し、10分保持して焼成を行った。
次のゲート電極作製以降の工程は実施例1と同様に行い、ビア加工率、膜厚比率、発光評価を行った。結果を表1に示した。
実施例5〜6
無機粉末が異なる以外は実施例3と同様の操作を行い、ビア加工率、膜厚比率、発光評価を行った。結果を表1に示した。
実施例7
無機粉末が異なる以外は実施例1と同様に、表1に示す組成比の感光性ペースト1を作製した後、支持体としてPETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、85℃で15分間乾燥を行った。得られたシートを200mm×200mmの大きさに切断した。得られたシートの平均膜厚は40μmであった。実施例3と同様の手順でパターン形成を行い、ビア加工率を評価した。その結果、20μm共に95%のビア加工率であった。次にシートを支持体からはがして、パターン形成されたシートを10℃/分の昇温レートで850℃まで昇温し、10分保持して焼成を行った。焼成後の絶縁シートの平均膜厚daveは20μmであった。膜厚比を算出したところ、dmax1/dave=1.6、dmax2/dave=1.35であった。この焼成後の絶縁シートの片面にゲート電極を形成した。一方、200mm×200mm×1.8mmのソーダライムガラス基板上にITOカソード電極(厚さ150nm)と位置合わせ用のアライメントマークを形成し、感光性CNTペーストを用いてエミッタを形成した。この基板と、片面にゲート電極を形成した前記絶縁シートを重ね合わせることで背面板を得た。得られた背面板とITO付きガラス基板に蛍光体を塗布した前面板をスペーサーを介して挟み、真空チャンバー内で発光を評価した。結果は表1に示す。
実施例8〜10
露光量が異なる以外は実施例3と同様の操作を行い、膜厚比率、発光評価を行った。結果は表1に示した。
比較例1
実施例1と同様に感光性ペースト1のみを作製し、同様の手順で評価を行った。ビア加工率については100%であった。膜厚比率については、絶縁層周辺端部の縁部での比率はdmax/dave=2.2であり、パターン周辺端部の縁部での比率dmax/dave=1.7であった。発光評価についてはパターン以外の場所が発光し、不良(×)であった。
比較例2〜3
無機粉末が異なる以外は比較例1と同様の手順で評価を行った。結果は表1に示した。発光評価についてはパターン以外の場所が発光し、不良(×)であった。
比較例4
感光性ペーストのシートの露光を片面側からのみ行い、裏面からは行わなかった以外は実施例7と同様の手順で評価を行った。結果は表1に示した。発光評価についてはパターン以外の場所が発光し、不良(×)であった。
比較例5
有機成分として、上記バインダーポリマーIIIを15g、溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を20gを混合・溶解し、メンブレンフィルター(孔径:0.2μm)を用いて濾過した。無機粉末として、上記ガラス粉末Iを85g混合し、3本ロールに5回通した。溶媒(3−メチル−3−メトキシブタノール)を10g添加・攪拌混合することで粘度調整を行い、ペースト1を作製した。ペーストをさらにPTFEフィルター(孔径:4μm)を用いて濾過した。得られた感光性ペーストの粘度は30Pa・sであった。
ITOカソード電極(厚さ150nm)と位置合わせ用のアライメントマークが形成された200mm×200mm×1.8mmのソーダライムガラス基板上に、得られたペーストをスクリーン印刷法にて、20μmのビアパターンが110μmピッチで100個並んでおり、かつ、これを一つの単位としたものが、1mm間隔で12.5cm×12.5cm内に並べられているスクリーンパターンを印刷したが、このような微細なパターンはペーストが流れ込み作製不可能であった。
Figure 2009211973

Claims (5)

  1. 基板上にカソード電極層、感光性ペーストのフォトリソグラフィおよび焼成によりパターンが形成された絶縁層、ゲート電極層の順で積層されてなる電子放出素子であり、前記絶縁層の周辺端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax1と、それ以外の部分における該絶縁層の平均膜厚daveとの比が、0.5≦dmax1/dave≦2であることを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記絶縁層のパターン端部から、絶縁層全体の平均膜厚に対して200%の距離以内の縁部における該絶縁層の最大膜厚dmax2と、daveとの比が、0.75≦dmax2/dave≦1.5であることを特徴とする請求項1記載の電子放出素子。
  3. 絶縁層全体の平均膜厚が2μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の電子放出素子。
  4. 感光性ペーストが無機粉末と感光性有機成分とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の電子放出素子。
  5. 絶縁層の屈折率が1.55以上2.3以下の平均屈折率を有する請求項1〜4のいずれか記載の電子放出素子。
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