JP2009210833A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各色の走査線相互間に生じる走査線形状のずれを補正して、被走査面を精度よく走査することを可能とする。
【解決手段】光学系を構成する光学素子を変形して、レーザ光による被走査面上の走査線と所定の基準線とが一致するように、被走査面上のレーザ光の入射位置を調整し、さらに、発光面上に二次元配置された発光領域のうちから、適当な発光領域を選択し、また発光領域を発光させるタイミングを調整することで、被走査面上に入射するレーザ光の入射位置を副走査方向へ調整する。これにより、被走査面上に所望の基準線に沿った走査線を形成することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、被走査面を走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
従来から、カールソンプロセスを用いて多色画像を形成する画像形成装置としては、例えば、黒、イエロー、マゼンダ、シアンの成分画像に対応する潜像を、4つの感光ドラムの表面上にそれぞれ形成し、これらの潜像を対応する色のトナーにより可視化して得られたトナー像を、転写体を介して記録媒体としての用紙上にそれぞれ重ね合わせて定着させることによりカラー画像を形成する画像形成装置が知られている。
上述のような複数の感光ドラムをもつタンデム型の画像形成装置では、それぞれの感光体へ入射するレーザ光は各々異なる経路を通って感光体に入射することとなる。このため、各感光体の被走査面に形成される走査線は、走査線相互間で形状や形成位置にばらつきが生じる。例えば、ここでいう形状のばらつきにとは、走査線の傾き及び曲がりの度合いなどであり、形成位置のばらつきとは、主走査方向及び副走査方向の形成位置のずれなどであると考えられる。そして、走査線の形状及び形成位置のばらつきは、特に低コストに適した樹脂製の走査レンズを用いると顕著にみられるようになる。その理由はレンズを成形する時の温度条件のばらつきや、金型のばらつきに起因するレンズ自体の形状の微差によるものである。
そこで、走査線の形状等のばらつきを抑制する方法として、例えばレーザ光を被走査面に集光するための光学系を構成する走査レンズを押圧部材により押圧して、走査レンズを副走査方向へ機械的に変形(湾曲)させることにより、走査線の曲がりを低減させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−168240号公報
しかしながら、走査レンズを押圧して変形させる場合には、レンズ等の材質に起因する変形の限界があるため、各色の走査線の重なり具合をレンズの変形の限界を超えて向上させることができない。
本発明は係る事情の下になされたもので、その第1の目的は、各色の走査線相互間に生じる走査線形状の差異を補正して、被走査面を精度よく走査することが可能な光走査装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、カラー画像を精度よく形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明は第1の観点からすると、レーザ光を偏向して被走査面を主走査方向へ走査する光走査装置であって、前記レーザ光を射出する複数の発光領域が二次元的に配置された光源と;前記光源から射出された前記レーザ光を前記主走査方向へ偏向走査する偏向装置と;偏向走査された前記レーザ光に対して、少なくとも前記主走査方向に直交する副走査方向のパワーを付与する光学素子を有し、偏向走査された前記レーザ光を前記被走査面上に集光する光学系と;前記光学素子を、前記偏向走査されたレーザ光による前記被走査面上の走査線の形状と、前記被走査面上の所定の基準線との形状が一致するように、前記副走査方向へ変形させる変形機構と;前記偏向走査されたレーザ光による前記被走査面上の走査線と、前記被走査面上の所定の基準線とが重なるように、前記レーザ光を射出する前記発光領域を選択するか又は前記発光領域を発光させるタイミングを調整して、前記被走査面上に入射する前記レーザ光の入射位置を補正する補正装置と:を備える光走査装置である。
これによれば、光学系を構成する光学素子が変形されることで、レーザ光による被走査面上の走査線と所定の基準線とが一致するように、被走査面上のレーザ光の入射位置が調整され、さらに、発光面上に二次元配置された発光領域のうちから、適当な発光領域が選択され、また発光領域を発光させるタイミングが調整されることで、被走査面上に入射するレーザ光の入射位置が副走査方向へ調整される。したがって、被走査面上に所望の基準線に沿った走査線を形成することが可能となる。
また、本発明は第2の観点からすると、多色画像に関する情報から得られる各色ごとの潜像に基づいて形成されたトナー像を、記録媒体に重ね合わせて定着させることにより、多色画像を形成する画像形成装置であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置と;前記光走査装置により各色に応じた潜像がそれぞれ形成される複数の感光体と;前記複数の感光体の被走査面にそれぞれ形成された潜像を顕像化する現像手段と;前記現像手段により顕像化された各色ごとのトナー像が形成される転写体と;前記転写体に形成されたトナー像を前記記録媒体に定着させる転写手段と;を備える画像形成装置である。
これによれば、それぞれの感光体上には基準線にほぼ一致した走査線による潜像が形成され、この潜像に基づいて最終的に記録媒体上に画像が形成される。したがって、記録媒体上に、正確に重ね合わされた各色ごとのトナー像による色ずれ等の少ない画像を形成することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図23に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成が示されている。
画像形成装置10は、例えば、黒、イエロー、マゼンダ、シアンのトナー像を普通紙(用紙)上に重ね合わせて転写することにより、多色画像を印刷するタンデム方式のカラープリンタである。この画像形成装置10は、図1に示されるように、光走査装置100、4本の感光ドラム30A、30B、30C、30D、転写ベルト40、位置ずれ検出装置45、給紙トレイ60、給紙コロ54、第1レジストローラ56、第2レジストローラ52、定着ローラ50、排紙ローラ58、上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置、及び上記構成部品を収容するほぼ直方体状のハウジング12などを備えている。
ハウジング12には、上面に印刷が終了した用紙が排出される排紙トレイ12aが形成され、その排紙トレイ12aの下方に光走査装置100が配置されている。
光走査装置100は、感光ドラム30Aに対しては、上位装置(パソコン等)から供給された画像情報に基づいて変調された黒色画像成分のレーザ光を走査し、感光ドラム30Bに対してはシアン画像成分のレーザ光を走査し、感光ドラム30Cに対してはマゼンダ画像成分のレーザ光を走査し、感光ドラム30Dに対してはイエロー画像成分のレーザ光を走査する。なお、光走査装置100の構成については後述する。
4本の感光ドラム30A、30B、30C、30Dは、その表面にレーザ光が照射されると、その部分が導電性となる性質をもつ感光層が形成された円柱状の部材であり、光走査装置100の下方にX軸方向に等間隔に配置されている。
感光ドラム30Aは、ハウジング12内部の−X側端部にY軸方向を長手方向として配置され、不図示の回転機構により図1における時計回り(図1の矢印に示される方向)に回転される。そして、その周囲には、図1における12時(上側)の位置に帯電チャージャ32Aが配置され、2時の位置にトナーカートリッジ33Aが配置され、10時の位置にクリーニングケース31Aが配置されている。
帯電チャージャ32Aは、長手方向をY軸方向として、感光ドラム30Aの表面に対し所定のクリアランスを介して配置され、感光ドラム30Aの表面を所定の電圧で帯電させる。
トナーカートリッジ33Aは、黒色画像成分のトナーが充填されたカートリッジ本体と、感光ドラム30Aとは逆極性の電圧によって帯電された現像ローラなどを備え、カートリッジ本体に充填されたトナーを現像ローラを介して感光ドラム30Aの表面に供給する。
クリーニングケース31Aは、Y軸方向を長手方向とする長方形状のクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードの一端が感光ドラム30Aの表面に接するように配置されている。感光ドラム30Aの表面に吸着されたトナーは、感光ドラム30Aの回転に伴いクリーニングブレードにより剥離され、クリーニングケース31Aの内部に回収される。
感光ドラム30B〜30Dは、感光ドラム30Aと同等の構成を有し、感光ドラム30Aの+X側に所定間隔隔てて順番に配置されている。そして、その周囲には、前述の感光ドラム30Aと同様の位置関係で、帯電チャージャ32B〜32D、トナーカートリッジ33B〜33D及びクリーニングケース31B〜31Dがそれぞれ配置されている。
帯電チャージャ32B〜32Dは、前述した帯電チャージャ32Aと同様に構成され、感光ドラム30B〜30Dの表面を所定の電圧で帯電させる。
トナーカートリッジ33B〜33Dは、それぞれシアン、マゼンダ、イエロー画像成分のトナーが充填されたカートリッジ本体と、感光ドラム30B〜30Dとは逆極性の電圧によって帯電された現像ローラなどを備え、カートリッジ本体に充填されたトナーを現像ローラを介して感光ドラム30B〜30Dの表面にそれぞれ供給する。
クリーニングケース31B〜31Dは、クリーニングケース31Aと同様に構成され、同様に機能する。
以下、感光ドラム30A、帯電チャージャ32A、トナーカートリッジ33A及びクリーニングケース31Aを合わせて第1ステーションと呼び、感光ドラム30B、帯電チャージャ32B、トナーカートリッジ33B及びクリーニングケース31Bを合わせて第2ステーションと呼び、感光ドラム30C、帯電チャージャ32C、トナーカートリッジ33C及びクリーニングケース31Cを合わせて第3ステーションと呼び、感光ドラム30D、帯電チャージャ32D、トナーカートリッジ33D及びクリーニングケース31Dを合わせて第4ステーションと呼ぶものとする。
転写ベルト40は、無端環状の部材で、感光ドラム30Aの下方に配置された従動ローラ40aと、感光ドラム30Dの下方に配置された従動ローラ40cと、これらの従動ローラ40a、40cより少し低い位置に配置された駆動ローラ40bに、上端面が感光ドラム30A〜30Dそれぞれの下端面に接するように巻回されている。そして、駆動ローラ40bが図1における反時計回りに回転することにより、反時計回り(図1の矢印に示される方向)に回転される。また、転写ベルト40の+X側端部近傍には、上述した帯電チャージャ32A、32B、32C、32Dとは逆極性の電圧が印加された転写チャージャ48が配置されている。
位置ずれ検出装置45は、転写ベルト40の−X側に配置され、図1及びハウジング12内の光走査装置100を示す斜視図である図2を総合するとわかるように、転写ベルト40の−Y側端部を照明するLED42aとその反射光を受光するフォトセンサ41a、転写ベルト40の中央部を照明するLED42bとその反射光を受光するフォトセンサ41b、転写ベルト40の−Y側端部を照明するLED42cとその反射光を受光するフォトセンサ41cを備えている。
そして、図2に示されるように、転写ベルト40上に、Y軸方向に沿って形成された3つのトナー像の検出パターンを、LED42a、42b、42cによりそれぞれ照明し、反射光をフォトセンサ41a、41b、41cでそれぞれ受光することにより得られる検出信号の時間差などに基づいて、Y軸方向のレジスト及び倍率、X軸方向におけるレジスト及び傾きを検出する。画像形成装置10では、この検出結果に基づき、色毎(複数の被走査面に相当する)の走査線の補正量が決定される。
なお、本実施形態では、転写ベルト40上の3箇所のパターンを検出しているが、転写ベルト40上の5箇所や7箇所にパターンを形成し、このパターンを検出することとしてもよい。これにより、走査線曲がりの形状、すなわち、走査線の形状がW字型であるか、あるいは逆W字型、V字型、逆V字型であるかを判別することが可能となる。また、パターンの検出を行う際には、各レーザ光による一走査の中で転写ベルト40上に検知用のパターンを形成する。このとき、各色の検知用のパターンは、転写ベルト40上において互いに副走査方向に等間隔となるように形成される。また、この位置ずれ検出装置45の構成は特許第3644923号公報に開示され公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
図1に戻り、給紙トレイ60は、転写ベルト40の下方に配置されている。この給紙トレイ60は略直方体状のトレイであり、内部に印刷対象としての複数枚の用紙61が積み重ねられて収納されている。そして、給紙トレイ60の上面の+X側端部近傍には矩形状の給紙口か形成されている。
給紙コロ54は、給紙トレイ60から用紙61を一枚ずつ取り出し、一対の回転ローラから構成されるレジストローラ56を介して、転写ベルト40と転写チャージャ48によって形成される隙間に導出する。
定着ローラ50は、一対の回転ローラから構成され、用紙61を過熱するとともに加圧し、レジストローラ52を介して、排紙ローラ58へ導出する。
排紙ローラ58は一対の回転ローラから構成され、導出された用紙61を排紙トレイ12aに順次スタックする。
次に、光走査装置100の構成について説明する。この光走査装置100は、図2及び図3を総合するとわかるように、偏向器104、偏向器104の−X方向に順次配置されたfθレンズ105、反射ミラー106B及び反射ミラー106A、fθレンズ105の下方に配置された反射ミラー108B、この反射ミラー108Bの−X方向に順次配置されたトロイダルレンズ107B、反射ミラー108A、トロイダルレンズ107A、ならびに、偏向器104の+X方向に配置されたfθレンズ305、反射ミラー306C及び反射ミラー306D、fθレンズ305の下方に配置された反射ミラー308C、この反射ミラー308Cの+X方向に順次配置されたトロイダルレンズ307C、反射ミラー308D、トロイダルレンズ307Dを備え、さらに、第1ステーション及び第2ステーションを走査する入射光学系200Aと、第3ステーション及び第4ステーションを走査する入射光学系200Bの2つの光学系を備えている。
前記入射光学系200A,200Bは、図2の入射光学系200Bに代表的に示されるように、光源201、カップリングレンズ202、アパーチャ部材203、ハーフミラープリズム204、一組の液晶素子205A,205B、一組のシリンダレンズ206A,206Bを備えている。なお、本実施形態では、図2に示されるように、入射光学系200Aを構成する光学素子はY軸と所定の角度をなす方向(y軸方向)に配列されている。そこで、入射光学系200Aについての説明をするにあたっては、Z軸を中心に所定の角度回転された座標系(xy座標系)を用いるものとする。
図4は光源201を示す図である。図4に示されるように、前記光源201の−y側の面には、主走査方向(x軸方向)と所定の角度をなす方向を行方向とし、副走査方向(Z軸方向)と平行な方向を列方向とする4行8列のマトリクス状に、−y方向にレーザ光を射出する発光領域VCSELが形成されている。本実施形態では、これら32個の発光領域VCSELは、副走査方向の間隔がωsとなり、主走査方向の間隔がωmとなるように形成されており、1度の走査により、ステーション毎に32(=4×8)ラインが同時に走査されるようになっている。
図2に戻り、前記カップリングレンズ202は、光源201からの光ビームそれぞれを平行光にするとともに、−x側の焦点位置でカップリングする。
前記アパーチャ部材203は、矩形状又は楕円形状の開口を有し、該開口中心がカップリングレンズ202の焦点位置又はその近傍に位置するように配置されている。光源201から射出される複数の光ビームは、カップリングレンズ202によって略平行光とされた後、アパーチャ部材203の開口を通過することで、そのビーム形状が所望の形状に整形される。
図5は、ハーフミラープリズム204の概略構成を示す図である。図5に示されるように、ハーフミラープリズム204は、+y側から入射するレーザ光を+Z方向へ進行するレーザ光と−y方向へ進行するレーザ光に分岐するハーフミラー面204aと、ハーフミラー面204aで分岐され+Z方向へ進行するレーザ光を−y方向へ反射するミラー面204bとを有している。光源201から射出され、カップリングレンズ202、アパーチャ部材203を介してハーフミラープリズム204へ入射したレーザ光は、図5に示されるように、上下方向に隣接し+y方向へ進行する相互に平行な2つのレーザ光に分岐される。
図2に戻り、液晶素子205A,205Bは、ハーフミラープリズム204の−y側に上下方向に隣接して配置され、後述する駆動回路205fからの電圧信号に応じてレーザ光を副走査方向へ偏向する。図6は、前記液晶素子205Aを代表的にとりあげて示す図である。図6を参酌するとわかるように、液晶素子205A,205Bそれぞれは、透明電極205b及び配向膜205cとが積層形成され、スペーサ205dを介して相互に対向した状態で配置された一対のレーザ透過部材205aと、この一対のレーザ透過部材205aとの間に形成された液晶層205eとを有している。そして、駆動回路205fによって、矩形波または正弦波状の電圧が印加されることによって、図7を参酌するとわかるように、+y側から入射するレーザ光を副走査方向に偏向させる。なお、電圧が印加されない場合には、レーザ光は偏向されることなく、液晶素子205A,205Bを透過する。また、本実施形態では、液晶素子205A,205Bは、ハーフミラープリズム204によって2つに分割されたレーザ光を独立して偏向することが可能となっている。
シリンダレンズ206A,206Bは、ハーフミラープリズム204に2分割された各レーザ光に対応して上下方向に隣接して配置され、その一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようになっている。そして、入射したレーザ光それぞれを偏向器104へ集光する。なお、このシリンダレンズ206A,206Bは少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、偏向器104の反射面上で、一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズ107A,107B,307C,307Dとにより偏向点と感光ドラム30A〜30Dの表面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなしている。
偏向器104は、側面にレーザ光の偏向面が形成された1組の正4角柱状部材からなり、それぞれの部材は相互に45度位相がずれた状態で上下方向に隣接して配置されている。そして、不図示の回転機構により、図2に示される矢印の方向に一定の角速度で回転されている。このため、入射光学系200A,200Bのハーフミラープリズム204で上下方向へ2つに分岐されたレーザ光は、偏向器104の上段の偏向面及び下段の偏向面で交互に主走査方向に偏向走査される。
fθレンズ105,305は、レーザ光の入射角に比例した像高をもち、偏向器104により、一定の角速度で偏向走査されるレーザ光の像面をY軸に対して等速移動させる。
反射ミラー106A,106B,306C,306Dは、長手方向をY軸方向とし、fθレンズ105,305を経由したレーザ光を折り返し、トロイダルレンズ107A、107B、307C、307Dそれぞれに導光する。
トロイダルレンズ107Aは、長手方向をY軸方向とする樹脂製のレンズであり、ホルダ70に保持された状態でX軸と平行な軸回りに微小回動可能に配置されている。本実施形態では、図8(B)を参酌するとわかるように、トロイダルレンズ107Aは、光走査装置100の光学ケース100aに中央部が支持され、この部分を中心に回動するようになっている。このトロイダルレンズ107Aは、反射ミラー106Aにより折れ返されたレーザ光を、Y軸方向を長手方向とする反射ミラー108Aを介して、感光ドラム30Aの表面に結像する。
前記ホルダ70は、図8(A)〜図8(C)を参酌するとわかるように、長手方向をY軸方向とする長方形板状のベース部材71と、トロイダルレンズ107Aをベース部材71に押圧する3つの弾性部材73とを有している。トロイダルレンズ107Aは、+Y側端部および−Y側端部がベース部材71に設けられた一対の突出部70aに当接し、中央部がベース部材71に設けられたZ軸方向に移動可能な調整ネジ72に当接した状態となっている。そして、3つの弾性部材73によって、+Y側端部、中央部および−Y側端部がベース部材71に押圧されている。これにより、調整ネジ72を回転させてZ軸方向に移動させることで、トロイダルレンズ107Aを副走査方向に湾曲させることができるようになっている。なお、ホルダ70には、調整ネジ72を回転させるためのモータなどを含む回転機構を設けることとしてもよい。
図9は、走査線の傾き及び曲がりの補正方法を説明するための図である。曲線L1は補正前の走査線と基準線との残差を示し、曲線L2は走査線の傾きを補正した後の走査線と基準線との残差を示し、曲線L3は、例えば製造工程における調整後の走査線と基準線との残差を示している。また、図中の横軸は、感光ドラム30A〜30Dの被走査面に形成された走査線上の中心点からの主走査方向の距離(像高:単位mm)であり、縦軸は目標となる基準線に対する副走査方向の残差(単位μm)である。
トロイダルレンズ107Aは、走査線の残差が曲線L1で示される状態から曲線L2で示される状態となるように、X軸に平行な軸回りに回動される。そして、走査線の残差が曲線L2で示される状態から曲線L3で示される状態となるように、調整ネジ62のZ軸方向の位置が調整される。これにより、トロイダルレンズ107Aが湾曲され、走査線の曲がりが抑制される。上述の調整により走査線の形状は、樹脂成形されたトロイダルレンズ107Aの特性から、複雑なランダム形状ではなく、概ねW字形、逆W字形、V字形、逆V字形のいずれかになる。
トロイダルレンズ107B,307C,307Dも、上述のトロイダルレンズ107Aと同等の構成を有し、同様に補正された状態で配置されている。そして、反射ミラー106B,306C,306Dによりそれぞれ折れ返されたレーザ光を、Y軸方向を長手方向とする反射ミラー108B,308C,308Dを介して、感光ドラム30B〜30Dの表面にそれぞれ結像する。
上述のように構成された光走査装置100では、入射光学系200Aの光源201から射出された複数のレーザ光は、ハーフミラープリズム204により上下方向に2分割され、液晶素子205A,205Bそれぞれを透過することで副走査方向の位置補正がなされた後、シリンダレンズ206A,206Bより偏向器104の偏向面に集光される。そして、偏向器104で偏向されたレーザ光は、fθレンズ105へ入射する。
fθレンズ105へ入射した上方のレーザ光は、反射ミラー106Bで反射されトロイダルレンズ107Bへ入射する。そして、トロイダルレンズ107Bにより、反射ミラー108Bを介して感光ドラム30Bの表面に集光される。また、fθレンズ105へ入射した下方のレーザ光は、反射ミラー106Aで反射されトロイダルレンズ107Aへ入射する。そして、トロイダルレンズ107Aにより、反射ミラー108Aを介して感光ドラム30Aの表面に集光される。なお、偏向器104は上述したように上下の偏向面間に45度の位相差がある。したがって、上方のレーザ光による感光ドラム30Bの走査と、下方のレーザ光による感光ドラム30Aの走査は−Y方向へ向かって交互に行われることとなる。
図10(A)及び図10(B)は、この状況を説明するための図である。図10(A)及び図10(B)においては、図が煩雑になるのを避け、偏向器104へ入射するレーザ光(実際には複数本である)を「入射光」、偏向されるレーザ光を「偏向光a、偏向光b」として示している。図10(A)は、入射光が偏向器104に入射し、上側の部材の偏向面で反射されて偏向された「偏向光a」が光走査位置へ導光されるときの状況を示している。このとき、下側の部材の偏向面で反射された偏向光bは光走査位置へは向かわない。図10(B)は、下側の部材の偏向面で反射されて偏向された「偏向光b」が光走査位置へ導光されるときの状況を示している。このとき、上側の部材の偏向面で反射された偏向光aは光走査位置へは向かわない。なお、偏向器104の一方の部材による偏向光が光走査位置へ導光されている間に、他方の部材による偏向光がゴースト光として作用しないように、図10(A)及び図10(B)に示されるように、適宜遮光部材SDを用いて、光走査位置へ導光されない偏向光を遮光するのがよい。
本実施形態では、感光ドラム30A〜30Dは、上述したように走査されるため、例えば、感光ドラム30Aに対する光走査が行われるときはレーザ光の光量を、ブラック画像の画像信号で変調し、感光ドラム30Bに対する光走査が行われるときはレーザ光の光量を、シアン画像の画像信号で変調すれば、感光ドラム30Aには黒画像の静電潜像を、感光体30Bにはシアン画像の静電潜像を書込むことができる。
図11には、ブラック画像とシアン画像の書込みを行う場合において、「有効走査領域において全点灯する場合」のタイムチャートが示されている。実線はブラック画像の書込みに相当する部分、破線はシアン画像の書込みに相当する部分を示している。ブラック画像、シアン画像の書き出しのタイミングは、例えば、有効走査領域外に配備される同期検知手段などで光走査開始位置へ向かうレーザビームを検知することにより決定することができる。ブラック画像を書込む時間領域とシアン画像を書込む時間領域でのレーザ光の発光光量を同じに設定すると入射光学系200Aの光源201から感光ドラム30A,30Bに至る各光路において、光学素子の透過率や反射率に相対的な差異が存在するため、感光ドラム30A,30Bそれぞれに入射するレーザ光の光量に差異が生じる場合には、一例として図11に示されるように、異なる感光ドラムを走査する際に、光源201からのレーザ光の光量を走査する感光ドラムごとに異ならせることにより、感光ドラム相互間に入射するレーザ光の光量を等しくすることができる。
一方、入射光学系200Bの光源201から射出された複数のレーザ光は、ハーフミラープリズム204により上下方向に2分割され、液晶素子205A,205Bそれぞれを透過することで副走査方向の位置補正がなされた後、シリンダレンズ206A,206Bより偏向器104の偏向面に集光される。そして、偏向器104で偏向されたレーザ光はfθレンズ305へ入射する。
fθレンズ305へ入射した上方のレーザ光は、反射ミラー306Cで反射されトロイダルレンズ307Cへ入射する。そして、トロイダルレンズ307Cにより、反射ミラー308Cを介して感光ドラム30Cの表面に集光される。また、fθレンズ305へ入射した下方のレーザ光は、反射ミラー306Dで反射されトロイダルレンズ307Dへ入射する。そして、トロイダルレンズ307Dにより、反射ミラー308Dを介して感光ドラム30Dの表面に集光される。なお、偏向器104は上述したように上下の偏向面間に45度の位相差がある。したがって、上方のレーザ光による感光ドラム30Cの走査と、下方のレーザ光による感光ドラム30Dの走査は+Y方向へ向かって交互に行われることとなる。
感光ドラム30A〜30Dそれぞれの表面の感光層は、帯電チャージャ32A〜32Dにより所定の電圧で帯電されることにより、電荷が一定の電荷密度で分布している。そして、上述したように、感光ドラム30A〜30Dがそれぞれ走査されると、レーザ光が集光したところの感光層が導電性を有するようになり、その部分では電荷移動がおこり電位が零となる。したがって、図1の矢印の方向にそれぞれ回転している感光ドラム30A〜30Dに対し、画像情報に基づいて変調したレーザ光を走査することにより、それぞれの感光ドラム30A〜30Dの表面に、電荷の分布により規定される静電潜像を形成することができる。
感光ドラム30A〜30Dそれぞれの表面に静電潜像が形成されると、図1に示されるトナーカートリッジ33A〜33Dの現像ローラにより、感光ドラム30A〜30Dそれぞれの表面にトナーが供給される。このときトナーカートリッジ33A〜33Dそれぞれの現像ローラは感光ドラム30A〜30Dと逆極性の電圧により帯電しているため、現像ローラに付着したトナーは感光ドラム30A〜30Dと同極性に帯電されている。したがって、感光ドラム30A〜30Dの表面のうち電荷が分布している部分にはトナーが付着せず、走査された部分にのみトナーが付着することにより、感光ドラム30A〜30Dの表面に静電潜像が可視化されたトナー像が形成される。そして、このトナー像は転写ベルト40に転写される。
また、本実施形態では、図2に示されるように、感光ドラム30A,30Bの−Y側には受光器142A,142Bがそれぞれ配置され、感光ドラム30C,30Dの+Y側には受光器142C、142Dがそれぞれ配置されている。これらの、受光器142A〜142Dは、光源201からの光学的な距離が、光源201から感光ドラム30A〜30Dの被走査面までの光学的な距離と等しくなる位置に配置されている。なお、受光器142A〜142Dは、反射ミラーなどを介してレーザ光を受光する構成としてもよいが、本実施形態のように、感光ドラム30A〜30Dに入射するレーザ光を直接受光する構成とすることで、レーザ光の検出誤差を低減することが可能となる。
図12は、受光器142Aの構成を、関連する信号とともに概略的に示す図である。前記受光器142A〜142Dそれぞれは相互に同等の構成を有し、図12を参酌するとわかるように、基板142dと、この基板142dに設けられた受光素子PD1、増幅器142a、コンパレータ142cなどを含んで構成され、全体としては1つのICとして1パッケージ化(樹脂からなる透過部材)されている。
受光素子PD1は2つの受光領域である受光領域PD1aと受光領域PD1bの2部分を有し、受光領域PD1aと受光領域PD1bはボンディング部材143aによって電気的に接続されている。そして、前記受光領域PD1aは図12に示されるように、長手方向が副走査方向(X軸方向)に平行となるように形成され、受光領域PD1bは長手方向がY軸と45度の角度をなす直線と平行となるように形成されている。なお、本実施形態では受光領域PD1aに対して受光領域PD1bが、45度の角度をなすように形成されているが、これに限らず、受光領域PD1bは、受光領域PD1aに対して0度より大きくて90度より小さい角度をなすように形成されていればよい。しかしながら、好ましくは、受光領域PD1bを、受光領域PD1aに対して30度から60度程度の角度をなすように形成するのがよい。その理由は、30度よりも小さいと走査されるレーザ光に対する検出感度が悪くなるからであり、一方60度を超えると図12中の主走査方向の受光面の全幅Dに対する副走査方向の有効検出高さHが小さくなるため、受光器142Aが大型化してしまうためである。具体的には、図12中の受光面の副走査方向の寸法Hを1〜3mm、受光面の全幅Dを5mm以下に設定することが好ましい。また、2つの受光領域のうち一方をレーザビームの走査方向(主走査方向)に対し垂直に形成すると、レーザ光が副走査方向にずれた場合にも最初の出力のタイミングが変化しないので主走査同期信号を得るのに好適となる。
受光領域PD1a,PD1bは、副走査方向の寸法が1〜3mm、主走査方向の寸法が0.1〜3mm程度とするのが好適である。副走査方向の寸法が1mm未満の場合には、受光領域PD1a,PD1bの幅が狭くなるため、初期状態(調整しない状態での組立初期時)では、走査されたレーザ光が受光領域PD1a,PD1bに入射しなくなるおそれがある(調整しない状態では光学素子の部品寸法交差や取付寸法公差のばらつきの影響で走査されたレーザ光の副走査方向の走査位置が本来の走査位置から1mm以上ずれる場合がある)。また、受光領域PD1a,PD1bの副走査方向の寸法が3mmを超える場合には、受光素子PD1のサイズが大きくなるため、受光素子PD1の感度品質の均一性を確保することが困難となる。また、受光素子PD1自体も高価となり装置自体のコストアップを招来する。
一方で、受光領域PD1a,PD1bの主走査方向の寸法は、レーザ光のビーム径(0.1mm(1/e2))より広く設定する必要がある。受光領域PD1a,PD1bの主走査方向の寸法を、レーザ光のビーム径よりも狭く設定すると、レーザ光を正確に検知することができなくなるためである。また、受光領域PD1a,PD1bの主走査方向の寸法が3mmを超える場合には、同様に受光素子PD1のサイズが大きくなるため、受光素子PD1の感度品質の均一性を確保することが困難となる。また、受光素子PD1自体も高価となり装置自体のコストアップを招来する。
上述の受光領域PD1a、PD1bが走査されると、増幅器142a及びコンパレータ142cからは、図12に示されるように、AMP1出力信号及びCMP出力信号が出力される。AMP1出力信号及びCMP出力信号の最初の立ち下がりから次の立ち下がりまでの時間Tsは、レーザ光が走査される副走査方向の位置に依存する。例えば、レーザ光が矢印aの走査線に沿って走査された場合の時間Tsと、レーザ光が矢印bで示される走査線に沿って走査された場合の時間Tsとの時間差ΔTsは、次式(1)で示される。ただし、vは被走査面上におけるビームスポットの移動速度である。
Δh=(v×ΔTs)/tanθ …(1)
偏向器104に偏向されたレーザ光は、面倒れやジター成分の存在により、走査毎に時間Tsの大きさに誤差(ばらつき)が発生する。本実施形態においては、誤差成分による検出精度の悪化を防止するため以下に説明する対応を行うこととしてもよい。
図13(A)には、連続回転している偏向器104によって偏向されたレーザ光が、受光素子PD1に間欠的に入射することによって得られるCMP出力信号が示されている。図13(A)では、レーザ光が受光素子PD1を走査する時間をT(受光領域PD1aから受光領域PD1bまでスポットが移動する時間間隔)と、それ以外の時間をT(受光領域PD1bから次の偏向面で走査される受光領域PD1aまでスポットが移動する時間間隔)としている。時間Tと時間Tの比率は走査幅と偏向器104の回転数(走査速度)等により決まるものであり、その比率は1:200〜400程度である。
図13(B)には、上記時間間隔をヒストグラム化したグラフが示されている。偏向器104の面倒れなどによる時間間隔のばらつきの影響を軽減するために、光走査装置100では、時間間隔の計測データを順次記憶手段にメモリしておき2つの時間間隔グループに分け、時間間隔の短い方の平均値をレーザ光の副走査位置と判断する。例えば、この判断方法として、2つのグループに含まれる時間間隔の相互間の差はある程度大きな差であることから、時間間隔Tと、時間間隔Tの中間時間間隔を演算して、フィルタをかける方法がある。
なお、偏向器104のある特定面のみに基づく計測を行うと問題があるため、偏向器104の全周面の時間間隔を計測データとすることが好適である。その理由は、偏向器104のある偏向面のみが面倒れやミラー面の傷、打痕や平面度(画像に影響しない程度)が他の面と大きく異なるときには、レーザ光の検出に影響を及ぼし、副走査位置の検出精度を劣化させる可能性があるためである。
なお、時間間隔の計測サンプル数はばらつき成分を考慮すると多いほどよいが、検出時間を要するという副作用もあるため(画像形成装置における画像形成(光走査装置の光源を画像信号に基づいて発光制御している時間)と次(ページ)の画像形成の間となる非画像形成時間(プリントページ間)内で走査される回数以下とすることが好適である)、実際には時間間隔Tを平均化するためのサンプル数は100〜500くらいが好適である。サンプル数は偏向器104の偏向面の数の偶数倍が好適である。その理由は、偏向面1面分のサンプル数は2(時間間隔Tと時間間隔T)であり、面倒れ、ジター成分は偏向器104の1回転分(全周面)の周期を持つためである。
本実施形態にかかる画像形成装置10では、受光器142A〜142Dへのレーザ光の入射は、以下のように適正化される。
図14(A)には、前述した光源201が示されている。例えば、図14(A)に着色して示されるように、1つの発光領域VCSELを駆動して、感光ドラム30A〜30Dの走査を行った場合には、受光素子PD1の受光領域PD1a及び受光領域PD1bに入射するレーザ光の光量が足りないため、図12に示されるように、AMP1出力信号がスレッシュ電圧Vs以下とならず、CMP出力信号が変化しない。
面発光型のレーザ素子などは、複数の発光領域が2次元配列されているが、それぞれの発光領域から射出されるレーザ光の光量は、端面発光型のレーザ素子などに比べて低い(光量を増加すべく駆動電流を与えても、温度上昇が過大となり素子寿命が著しく低下する)という問題があり、一例として図14(A)に着色して示されるように、1つの発光領域VCSELを駆動して走査を行っても、AMP1出力信号がスレッシュ電圧Vs以下とならないため、CMP出力信号の変化を検出できない。
そこで、本実施形態では、図14(B)に着色して示されるように、主走査方向に隣接する4つの発光領域VCSELを駆動して、受光素子PD1に4本のレーザ光を入射させることでAMP1出力信号をスレッシュ電圧Vs以下とし、CMP出力信号の変化を検出する。この場合には、4つの発光領域の平均位置(重心)の副走査方向の位置が検出されることとなるが、この重心の福走査方向の位置変動は、各レーザ光の入射位置の副走査方向の位置変動と等価である。
ただし、図14(B)に示されるように、隣接する4つの発光領域VCSELを駆動すると、両側が発光領域VCSELに隣接する2つの発光領域VCSELの放熱効率が低くなるため光源201の温度上昇が増大することがある。この場合には、光源201の寿命が短くなる懸念があるので光源の長寿命化を必要とする装置の場合には、例えば図15(A)に着色して示されるように、列の異なる発光領域VCSELを駆動することで、発光領域VCSEL周囲の放熱効率を向上させることができる。
ただし、この場合には、4本のレーザ光による照明領域の主走査方向(X軸方向)の寸法Ws(ωm×3+レーザ光のビーム径(1/e))よりも、各受光領域PD1a,PDbの主走査方向の寸法を広くする必要がある。また、レーザ光の検出信号であるCMP出力信号が出力されるのは、4本のレーザ光のうち最も後端側に位置する発光領域VCSELからの射出されるレーザ光が受光領域PD1a,PD1bに入射しているときである。4本のレーザ光の一部が受光領域PD1a,PD1bに入射したときに、AMP1出力信号がスレッシュ電圧Vs以下となってしまうような場合は、必然的にレーザ光の光量を増加させているのであり、先に述べたように温度上昇による寿命劣化が進む問題が生じる。したがって、光源201の複数の発光領域VCSELを駆動する場合には、それぞれ低い光量で均等に点灯することが望ましく、4本のレーザ光のうち最も後端側のレーザ光が受光領域PD1a,PD1bに入射したときに、CMP出力信号が出力されるのが好適である。
また、図15(B)に示されるように、相互間の距離が最も離れた4つの発光領域VCSELを駆動して走査を行ってもよい。この場合には、発光領域VCSEL間の距離が最大となり、その距離が最も均一な間隔になる。このようにすることにで、温度上昇による光源の寿命の短縮化を抑制することが可能となる。
図16は、図15(B)に示されるように、相互間の距離が最も離れた4つの発光領域VCSELを駆動して走査を行うときの様子を模式的に示す図である。また、図17は、相互間の距離が最も離れた4つの発光領域VCSELを駆動して走査を行うときに観察されるAMP1出力信号とCMP出力信号とを示す図である。図16に示されるように、光源201からのレーザ光のスポットが、矢印1から矢印5で示される位置まで移動する間に、AMP1出力信号は図17に示されるように変化する。すなわち、走査開始から時間T1経過するまでの、いずれのレーザ光も受光領域PD1aに入射しない状態から、2本の光ビームが受光領域PD1aに入射した状態になると、AMP1出力信号は一段階低くなり、この状態から時間T2経過して、すべての光ビームが受光領域PD1aに入射した状態になると、AMP1出力信号はさらに一段階低くなり、その大きさがスレッシュ電圧より小さくなる。そして、この状態から、時間T3経過すると、最初に入射した2本のレーザ光が受光領域PD1aに入射しなくなり、AMP1出力信号は一段階高くなり、この状態から、時間T4経過すると、すべてのレーザ光が受光領域PD1aに入射しなくなり、AMP1出力信号はさらに一段階高くなる。これにより、走査開始から、時間T1及び時間T2が経過してから、受光器142A〜142Dから出力されるCMP出力信号が変化する。
本実施形態では、図16を参酌するとわかるように、主走査方向及び副走査方向に最も距離が離れた発光領域VCSELからのレーザ光が同時に受光領域PD1aに入射するように、受光領域PD1aの主走査方向の寸法が設定されている。
また、図18を参酌するとわかるように、受光領域PD1bにおいても、主走査方向の寸法Daは、光源201の発光領域VCSELからの射出するすべてレーザ光が同時に入射することが可能な大きさに設定されている。具体的には,受光領域PD1aを含む面内のレーザ光による照明領域の副走査方向の幅Hs2と主走査方向の幅Wsで規定される平行四辺形が受光領域PD1b内に収まるように、受光領域PD1bの主走査方向の寸法Daが設定されている。
なお、一般に、図19に示されるように、受光器142A〜142DからのAMP1出力信号は、実線で示される信号から波線で示される信号のように変化する場合が考えられる。例えば光学素子の反射率や透過率の低下(経時劣化)のほか画像形成時の画素密度の変化に対応するため偏向器104の回転数の低減(解像度が1200dpiから600dpiに変化することにともなって、偏向器104の回転数は50%低下した回転数となる)される場合である。この場合には、COMP出力信号を決定するAMP1出力信号の立下時間が長くなる(傾きが緩くなる)ため、結果的に、レーザ光による走査位置が副走査方向に変化したものとする誤った検出が行われる。
前記立下時間は受光素子へ入射する光量の積分量(積分光量)と相関があり、積分光量が一定となるように制御することにより、上記不具合を解消することができる。図20には変形例にかかる受光器142Aが示されている。この変形例にかかる受光器142Aは、前述の受光素子PD1と、この受光素子PD1と同等の構成を有する受光素子PD2とを有し、受光素子PD1と受光素子PD2とによる最大素子幅(主走査方向の幅)はD2となっている。
受光素子PD1と受光素子PD2とは、受光領域PD1aと受光領域PD2aとが隣接し、受光領域PD1bと受光領域PD2bとが隣接するように配置されている。そして、受光素子PD1及び受光素子PD2からの出力信号は、それぞれ増幅器142a、及び増幅器142bによって、電流電圧変換及び電圧増幅が行われた後コンパレータ142cに入力される。コンパレータ142cでは、増幅器142aからのAMP1出力信号と、増幅器142bからのAMP2出力信号とを比較して、AMP2出力信号の値がAMP1出力信号の値より小さくなったときに、CMP出力信号を一段低く変化させる。変形例にかかる受光器142Aでは、AMP1出力信号とAMP2出力信号のクロスポイントを検知しているので、レーザ光の光量が変化しても検出精度が低下することがなく、レーザ光を高精度に検出することが可能となる。
受光器142A〜142Dそれぞれは、副走査方向に移動可能に配置することが好ましい。例えば、本実施形態では、受光器142A〜142Dそれぞれは、送りネジ機構などにより副走査方向に移動可能なホルダを介して配置されている。光走査装置100の製造(組立)工程においては、走査されたレーザ光のスポットが受光素子PD1,PD2の受光領域の副走査方向の略中央に入射するように、受光器142A〜142Dそれぞれの位置が調整される。その理由は、走査されたレーザ光の副走査方向の走査位置が副走査方向上流、又は下流側に変化する可能性があるため、できるだけ受光器142A〜142Dそれぞれの検出範囲を副走査方向上流側と下流側とで同程度となるようにしておくためである。なお、略中央とは厳密に中央というのは困難なので、中央部に対して副走査検出可能範囲Hの1/10の誤差程度に調整することが好適である。
また、レーザ光の副走査方向の位置の変化については、基準となる時間間隔を予め工場出荷時や補正開始時のレーザ光の走査位置に相当する値を基準位置の情報として記憶手段に記憶させておき、検出器で検出された時間間隔と基準となる時間間隔の差分を演算することにより、レーザ光の副走査方向の位置の変化を検出することが可能となる。上記基準位置は補正制御のもととなる副走査位置データとなるため非常に重要であり、レーザビーム検出器での計測は少なくとも3回以上同じ計測を行い、内1回が他の副走査方向の位置データよりも著しく異なる場合(3回以上の平均+標準偏差σよりも大きい)にはその副走査方向の位置データを削除し、再度計測を行い、再度上記チェックを行い基準位置とすることが好適である。
次に、上述のように構成された画像形成装置10における走査線の補正方法について、図21〜23に示されるフローチャートに基づいて説明する。
《ステップS1》
光走査装置100の製造時などに、不図示の走査線曲がり検査器で光走査装置100を用いて形成した走査線の形状(曲がり、傾き)を測定し、その測定した走査線形状と、予め所望とする理想走査線の形状(直線が最も好適であるが、成形ばらつきなどの要因により困難な場合は、画像上問題のないレベルとしてPV5μm以下の曲線)とを比較し、像高ごとの偏差を算出する。そして、トロイダルレンズ107A,107B,307C,307Dを保持するホルダ70の調整ネジ72を回転させて、先に算出された像高ごとの偏差が小さくなるように、それぞれのトロイダルレンズ107A,107B,307C,307Dを副走査方向に湾曲させる。
《ステップS2》
光走査装置100では、画像形成装置10の実使用時(画像形成時)の連続プリント枚数が設定された枚数を超えた場合や、図示しない画像形成装置10を構成する部品の温度が設定値以上となると、補正開始信号が出力される。
《ステップS3》
画像形成装置10は、補正開始信号の出力を完了すると、位置ずれ検出装置45による走査線の形状を検出するために、転写ベルト40上に上述した検出パターンを形成する。なお、検出パターンは、主走査方向に対して約45度傾いたブラック、シアン、マゼンタ、イエローのラインパターンが副走査方向に配列されたシェブロンパッチと呼ばれるラインパターン群である。そして、位置ずれ検出装置45は、転写ベルト40の回転に応じて基準色となる例えばブラックのラインパターンとの検出時間差を計測し、感光ドラム30Aの走査線に対する、各感光ドラム30B〜30Dの走査線の傾き度合い、及び曲がり度合いを演算する。
《ステップS4》
感光ドラム30Aによって転写ベルト40に形成された走査線に対する、各感光ドラム30B〜30Dによって転写ベルト40に形成された走査線の傾き度合い、及び曲がり度合いの演算が終了すると、画像形成装置10では、図22のフローAに示される処理と、図23のフローBに示される処理とが行われる。以下、説明の便宜上、感光ドラム30A〜30Dによって転写ベルト40上に形成された走査ラインをそれぞれの走査ラインA〜走査ラインDと呼ぶものとする。
《フローA》
ステップA1では、ステップS4での演算の結果、各走査ラインA〜D相互間の副走査方向のレジストが検出される。そして、各走査ラインA〜D相互間の副走査方向のレジストが第一の設定値(図4に示される副走査方向に隣接する発光領域の間隔ωs)未満の場合には、走査ラインの補正を完了し、各走査ラインA〜D相互間の副走査方向のレジストが第1の設定値以上である場合には、次のステップA2に移行する。
ステップA2では、走査ラインAに対する走査ラインC〜Dの重なり度合の判断が行われる。その結果、走査ラインAに対する走査ラインC〜Dの重なり度合いが、副走査方向に1ラインピッチ(1200dpiのときは21μm、2400dpiのときは111μm、4800dpiのときは5μm)を超えて一致しない場合には、次のステップA3へ移行し、走査ラインAに対する走査ラインC〜Dの重なり度合いが、副走査方向に1ラインピッチを超えることなく一致しない場合には、次のステップA4へ移行する。
ステップA3では、光源の書出しタイミングを調整(面発光レーザの点灯タイミングの調整)が行われる。これにより、走査ラインAに対する走査ラインC〜Dの重なり度合いは、1ラインピッチ以下となるように調整される。
ステップA4では、光源201の発光領域VCSELのうち、次回の走査で駆動する発光領域VCSELが、1ラインピッチ以下分副走査方向にシフトした位置に対応する発光領域VCSELとするような決定がなされる。本実施形態では、光源201に形成された発光領域VCSELの副走査方向の配列間隔ωsは5μmに設定されており、解像度を4800dpiとする場合には前記1ラインピッチは5μmであることから、走査線の形成位置を5μm以下の範囲で補正することはできない。したがって、5μm以下の範囲での走査線の位置補正は次のステップA5で行われる。
ステップA5では、液晶素子205A,205Bによる、走査線の位置の調整が行われる。走査線の位置を調整するために液晶素子205A,205Bに供給される信号は、偏向方向(副走査方向の上側か下側か)と偏向量の2つの情報を含んでいる。液晶素子205A,205Bの駆動に要する時間は、連続プリントのページ間における非画像形成時間よりも短くなるように設定されている。具体的には5ms/μm以下(1μmの走査位置可変を要する時間が5ms以下)の速度で動作している。この値は解像度が600dpiの1ラインピッチ42μm分の位置補正を行う場合でも、0.21s以下で補正を完了させることが可能な性能であり、非画像形成時間が短い高速機でも対応可能である。また、補正が完了した後には、各感光ドラム30A〜30D上のレーザ光の入射位置は、受光器142A〜142Dで検出される。その結果、各感光ドラム30A〜30Dに入射するレーザ光の、液晶素子205A,205Bによる偏向量が、液晶素子205A,205Bに供給される信号による偏向量以上または第一の設定値以上であった場合には、ステップ5での処理が繰り返し行われる。ステップA5の処理が終了すると、以降ステップA1での判断が否定されるまで、ステップA1〜ステップA5までの処理が繰り返し行われる。
なお、ステップA5では、ここでの処理が設定回以上行われるか、または設定時間以上行われた場合には、ステップ5の処理を強制的に終了し画像形成を実行することとしてもよい(画像形成装置のダウンタイムを極力低減するため)。なお、設定回および設定時間は予め設定しておくことも、外部から任意に設定することも可能である。
また、本実施形態では、各感光ドラム30A〜30Dに形成される走査線の副走査方向の位置は、受光器142A〜142Dを介して走査ごとに検出されている。したがって、走査線の位置を受光器142A〜142Dを介して検出した結果が、各感光ドラム30A〜30Dの基準線と走査線とが1ラインピッチ以上副走査方向に乖離している場合には、再度フローAにおける処理を行うことが好ましい。その理由は、走査位置の調整を行う例えば液晶素子205A,205B、及び制御装置などの故障、或いは、受光器142A〜142Dによる誤検知が考えられるためである。
受光器142A〜142Dによる誤検知であるか否かを判断するためには、レーザ光の位置補正を行うことなく走査を行い、再度走査線の位置を受光器142A〜142Dを介して検出し、前回の走査による検出結果との比較を行う。検出結果が同様な結果であれば、受光器142A〜142Dによる検知が正常に行われていると判断することができる。この場合には、再度フローAにおける処理を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、各感光ドラム30A〜30Dに形成される走査線の副走査方向の位置は、受光器142A〜142Dを介して走査ごとに検出されている。このため、走査位置の調整を行う例えば液晶素子205A,205B、及び制御装置などの故障以外の突発的な異常を検知することもできる。
《フローB》
フローBのステップB1では、ステップS3での演算によって検出された走査線の傾き度合いが、所定の値以上であるかが判断される。そして、ここでの判断が肯定されるとステップB2へ移行し、否定されるとステップB2へ移行する。
ステップB2では、走査線の傾き度合いに基づいて、トロイダルレンズ107A,107B,307C,307DをX軸方向に回動し、走査線の傾きを感光ドラム30A〜30D上の所望の基準線の傾きに一致させる。
ステップB3では、走査線の曲がり度合いが、所定の値以上であるか判断する。そして、ここでの判断が肯定されるとステップB4へ移行し、否定されるとフローBの動作を終了する。
ステップB4では、予め形状パターンにより設定されている主走査方向の分割数(図9中のマトリクスの個数に相等)に応じて、決められた光源201の発光パターンにしたがって画像データを書き換える。これにより、図9の曲線L3で示される走査線と基準線との残差が、直線L4で示される残差となるように補正される。直線L4で示される残差は、図9中のマトリクスに対応した離散的に分離されたものとなるが、実際に用紙などに形成される画像では、残差の大きさの違いがトナーの粒径(概ね8〜100μm)以下であれば実用上問題はない。
なお、一層の高画質を求める装置においては、1ラインから数ライン程度の副走査間隔毎に分割位置(マトリクス境界)を100μm以下の幅でランダムに変動させる(光源を発光させるデータを変動させる)。これにより残差が離散的に分離することに起因する筋を極力無くすことができる。
また、本実施形態では、補正開始信号に基づきトナーパターンを形成し、副走査レジストや走査線形状を検出する旨を記載したが、予め画像形成装置の使用者が用意した理想の原稿画像を画像読取手段により読取って上記検出パターンに換えることにより無駄なトナーの消費を少なくすることができる。また、検出パターンの形成に要する装置の無駄時間を無くすことができる。
以上説明したように、本実施形態では、トロイダルレンズ107A,107B,307C,307Dが副走査方向に湾曲されることで、走査線の曲がり度合いが補正され、さらに光源201の発光領域VCSELの選択、発光タイミングの調整、及び液晶素子205A,205Bによるレーザ光の偏向が行われることにより、所定の基準線上に走査線が位置決めされる。したがって、感光ドラムの被走査面上に所望の基準線に沿った走査線を形成することが可能となる。
また、本実施形態の液晶素子205A,205Bはメカ的な摺動機構がないので、画像形成装置10において長期間に渡って走査位置の補正を正確に行うことが可能となる。
また、本実形態では、各感光ドラム30A〜30Dに形成される走査線の副走査方向の位置は、受光器142A〜142Dを介して走査ごとに検出されている。そして、この検出結果にもとづいて走査線の位置が常時補正される。したがって、記録媒体に精度よく画像を形成することが可能となる。
また、上記実施形態では、本発明の光走査装置100がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す図である。 光走査装置を示す斜視図である。 光走査装置を示す側面図である。 光源の平面図である。 ハーフミラープリズムの側面図である。 液晶素子の概略的な構成を示す図である。 液晶素子の動作を説明するための図である。 図8(A)〜図8(C)は、ホルダの概略構成を示す図である。 ホルダ70の動作を説明するための図である。 図10(A)及び図10(B)は、偏向器の動作を説明するための図である。 光源の発光タイミングを説明するための図である。 受光器の概略的な構成を示す図である。 図13(A)及び図13(B)は、受光器の動作を説明するための図である。 図14(A)及び図14(B)は、光源の発光領域を選択する方法を説明するための図である。 図15(A)及び図15(B)は、光源の発光領域を選択する方法を説明するための図である。 受光領域に入射するレーザ光の様子を示す図である。 受光器から出力されるCMP出力信号を説明するための図である。 受光領域に入射するレーザ光の様子を示す図である。 増幅器から出力されるAMP1出力信号を示す図である。 変形例にかかる受光器の概略的な構成を示す図である。 走査線を補正するための処理に基づいてフローチャート(その1)である。 走査線を補正するための処理に基づいてフローチャート(その2)である。 走査線を補正するための処理に基づいてフローチャート(その3)である。
符号の説明
10…画像形成装置、12…ハウジング、12a…排紙トレイ、30A〜30D…感光ドラム、31A〜31D…クリーニングケース、32A〜32D…帯電チャージャ、33A〜33D…トナーカートリッジ、40…転写ベルト、41a〜41c…フォトセンサ、42a〜42c…LED、45…位置ずれ検出装置、50…定着ローラ、52…第2レジストローラ、54…給紙コロ、56…第1レジストローラ、58…排紙ローラ、60…給紙トレイ、70…ホルダ、71…ベース部材、72…調整ネジ、73…弾性部材、100…光走査装置、104…偏向器、105,305…fθレンズ、106A,106B,108A,108B,306C,306D,308C,308D…反射ミラー、107A,107B,307C,307D…トロイダルレンズ、200A,200B…入射光学系、201…光源、202…カップリングレンズ、203…アパーチャ部材、204…ハーフミラープリズム、204a…ハーフミラー面、204b…ミラー面、205A,205B…液晶素子、205a…レーザ透過部材、205b…透明電極、205c…配向膜、205d…スペーサ、205e…液晶層、205f…駆動回路、206A,206B…シリンダレンズ、142A〜142D…受光器、142a,142b…増幅器、142c…コンパレータ、142d…基板、143a…ボンディング部材、PD1,PD2…受光素子、PD1a,PD1b…受光領域、VCSEL…発光領域。

Claims (9)

  1. レーザ光を偏向して被走査面を主走査方向へ走査する光走査装置であって、
    前記レーザ光を射出する複数の発光領域が二次元的に配置された光源と;
    前記光源から射出された前記レーザ光を前記主走査方向へ偏向走査する偏向装置と;
    偏向走査された前記レーザ光に対して、少なくとも前記主走査方向に直交する副走査方向のパワーを付与する光学素子を有し、偏向走査された前記レーザ光を前記被走査面上に集光する光学系と;
    前記光学素子を、前記偏向走査されたレーザ光による前記被走査面上の走査線の形状と、前記被走査面上の所定の基準線との形状が一致するように、前記副走査方向へ変形させる変形機構と;
    前記偏向走査されたレーザ光による前記被走査面上の走査線と、前記被走査面上の所定の基準線とが重なるように、前記レーザ光を射出する前記発光領域を選択するか又は前記発光領域を発光させるタイミングを調整して、前記被走査面上に入射する前記レーザ光の入射位置を補正する補正装置と:を備える光走査装置。
  2. 前記光学素子は、前記被走査面上の走査線の形状と、前記基準線の形状とが一致するように、前記変形機構によって予め変形されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記補正装置は、第1の発光領域からのレーザ光による前記走査線と前記基準線との前記副走査方向の残差に応じて、前記第1の発光領域から前記残差に基づいた距離だけ離間した第2の発光領域を選択するか又は前記第1の発光領域を発光させるタイミングを調整することを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記偏向装置に入射する前の前記レーザ光を、少なくとも副走査方向に偏向可能な偏向素子を更に備え、
    前記偏向素子は、前記レーザ光を偏向することで、前記被走査面に入射する前記レーザ光の入射位置を、前記補正装置による補正量以下の量だけ補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光走査装置。
  5. 前記偏向素子は、印加される電圧に応じて前記レーザ光に対する偏向角が変化する液晶偏向素子であることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  6. 多色画像に関する情報から得られる各色ごとの潜像に基づいて形成されたトナー像を、記録媒体に重ね合わせて定着させることにより、多色画像を形成する画像形成装置であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置と;
    前記光走査装置により各色に応じた潜像がそれぞれ形成される複数の感光体と;
    前記複数の感光体の被走査面にそれぞれ形成された潜像を顕像化する現像手段と;
    前記現像手段により顕像化された各色ごとのトナー像が形成される転写体と;
    前記転写体に形成されたトナー像を前記記録媒体に定着させる転写手段と;を備える画像形成装置。
  7. 前記転写体に形成されたトナー像を読み取ることにより、前記被走査面上の前記走査線と前記基準線との残差を検出する検出装置を更に備え、
    前記補正装置は、前記検出装置によって検出された残差に基づいて、前記被走査面上に入射する前記レーザ光の入射位置を補正することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記光源からの光学的距離が、前記光源から前記被走査面までの光学的な距離と等しい位置に配置され、前記偏向走査されたレーザ光が入射する第1の受光領域と、前記第1の受光領域からの主走査方向の距離が、前記副走査方向に関して異なる第2の受光領域とを有する受光器を更に備え、
    前記補正装置は、偏向走査された前記レーザ光が前記受光器の前記第1の受光領域に入射してから前記第2の受光領域に入射するまでの時間に基づいて、前記被走査面に入射する前記レーザ光の入射位置を補正することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
  9. 所定のパターンが形成された原稿画像を読み取る読み取り手段をさらに備え、前記読み取り手段によって読み取った前記パターンに基づいて、前記被走査面に入射する前記レーザ光の入射位置を補正することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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JP2010185996A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置

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