JP2009210554A - 各種疾患の検査方法及び診断用キット - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の検査方法及び診断用キットを提供する。
【解決手段】花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、上記選択された疾患の非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比することを特徴とする、検査方法、ならびに生体試料中に存在するs−IgA量を測定することを特徴とする花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断用キット。
【選択図】なし
【解決手段】花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、上記選択された疾患の非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比することを特徴とする、検査方法、ならびに生体試料中に存在するs−IgA量を測定することを特徴とする花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断用キット。
【選択図】なし
Description
本発明は、簡便な花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法及び診断用キットに関する。
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻みずなどのアレルギー症状を起こす病気で、季節性アレルギー性鼻炎・結膜炎とも呼ばれている。日本人の約20%が花粉症であるといわれ、大きな社会問題となっている。
また、花粉症以外にも、喘息、アトピー性皮膚、あるいはダニなどのハウスダストが原因となる通年性アレルギー性疾患、例えば通年性アレルギー性鼻炎もあり、これも社会問題となっている。
また、花粉症以外にも、喘息、アトピー性皮膚、あるいはダニなどのハウスダストが原因となる通年性アレルギー性疾患、例えば通年性アレルギー性鼻炎もあり、これも社会問題となっている。
ところで、アレルギー性疾患の診断では、一般に、問診、家族歴、被検体の既往症の確認が重要な要素となっている。また、アレルゲン特異的IgE測定、白血球ヒスタミン遊離試験、又はリンパ球幼若化試験の血液検査なども用いられる。一方、患者を実際にアレルゲンに接触させたときに観察される免疫応答をアレルギーの診断に用いる方法もある。例えば、プリック・テスト、スクラッチ・テスト、パッチ・テスト、皮内反応、又は誘発試験などである。
花粉症の診断には、被験者の血清中のスギ特異的IgE抗体を検出する方法が用いられている。その他に、スギ花粉由来のアレルゲンがスギ花粉の天然粗抽出物に対してタンパク量で10重量%以上添加されたスギ花粉抽出物を用いたアレルギー診断試薬(特許文献1)を用い被験者の皮膚で反応をみる方法、スギ花粉症者と健常者(無症状者)との血漿成分又は血清成分につき、質量電荷比をバイオマーカーとしたスギ花粉症の検査・評価方法(特許文献2)が知れられている。
アトピー性皮膚炎については、皮膚試料中のセマフォリン3A又はセマフォリン3A遺伝子量を測定することを特徴とするアレルギー性皮膚炎の診断方法(特許文献3)、単離された真菌由来の抗原性蛋白質及び/又はその抗原性断片を有効成分として含有してなるアトピー性皮膚炎の検出用試薬(特許文献4)が知られている。
喘息については、IL−7様サイトカイン、thymic stromal lymphopoietin(TSLP)遺伝子上に存在する遺伝子多型を、特定の塩基配列を有するプローブ、プライマーを用いて分析し、該分析結果に基づいて免疫疾患、特に喘息を診断する方法(特許文献5)、指標遺伝子の発現レベルの比較に基づく、気管支喘息の検査方法(特許文献6)が知られている。
喘息については、IL−7様サイトカイン、thymic stromal lymphopoietin(TSLP)遺伝子上に存在する遺伝子多型を、特定の塩基配列を有するプローブ、プライマーを用いて分析し、該分析結果に基づいて免疫疾患、特に喘息を診断する方法(特許文献5)、指標遺伝子の発現レベルの比較に基づく、気管支喘息の検査方法(特許文献6)が知られている。
一方、IgAの測定が、尿路感染症の診断(特許文献7)、感染症病原菌の診断(特許文献8)、う蝕リスクの検査(特許文献9)に用いられているが、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断や検査に使用できることは知られていない。
特開2001−151797号公報
特開2006−308411号公報
特開2008−107275号公報
特開2003−166993号公報
特開2008−109915号公報
特開2004−121218号公報
特開平9−196919号公報
特開平11−118798号公報
特開2004−184266号公報
本発明は、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の研究過程で知見を得たものであり、s−IgA(分泌型IgA)測定値を利用した上記疾患の新規な検査方法及び診断用キットを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息の患者から採取された生体試料中に存在するs−IgA量が、当該疾患の非罹患体のs−IgA量よりも統計学的に有意に低いことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、上記選択された疾患の非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比することを特徴とする、検査方法;及び
(2)生体試料中に存在するs−IgA量を測定することを特徴とする、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断用キットに関する。
すなわち、本発明は、
(1)花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、上記選択された疾患の非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比することを特徴とする、検査方法;及び
(2)生体試料中に存在するs−IgA量を測定することを特徴とする、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断用キットに関する。
本発明の方法は、簡便かつ高精度な検査方法であって、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息の罹患の予知検査に利用することが可能である。また、従来のIgE抗体を検出するような花粉症などの上記罹患の予知検査では、実際にはIgE陽性者のうち半数程度にしか花粉症などの上記疾患が発症しなかったが、IgE抗体検出に本発明の方法を組み合せることで、より良好な精度で花粉症などの上記疾患の発症を予知することができる。
本発明において、被検体とは、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査や診断等を受けるヒト又は哺乳類動物である。上記選択された疾患の非罹患体とは、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していると、医師や獣医師に診断されていないヒト又は哺乳類動物である(以下「非罹患体」ともいう)。上記選択された疾患の罹患体とは、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していると、医師や獣医師に診断されたヒト又は哺乳類動物である(以下「罹患体」ともいう)。
非罹患体は、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していなければよく、それ以外の上記列記の疾患を罹患していてもよいし、罹患していなくてもよい。例えば、花粉症を検査・診断する場合、非罹患体は花粉症に罹患していなければよく、それ以外の上記列記の疾患、すなわち、通年性アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、喘息に罹患していてもよいし、罹患していなくてもよい。しかしながら、検査や診断等の精度が高まる点から、非罹患体は、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される何れの疾患にも罹患していないことが好ましい。
上述のとおり、非罹患体は、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していなければよく、当該疾患の既往歴があってもなくてもよい。しかしながら、検査や診断等の精度が高まる点から、非罹患体は、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していない上に、その疾患の既往歴がないのが好ましく、特に上記列記の疾患、すなわち、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される何れの疾患の既往歴もないのが好ましい。
罹患体は、被検体で検査や診断等される疾患に罹患していればよく、それ以外の上記列記の疾患を罹患していてもよいし、罹患していなくてもよい。しかしながら、検査や診断等の精度が高まる点から、罹患体は、被検体で選択された疾患以外の上記列記の疾患を罹患していないのが好ましく、その上既往歴もないことがより好ましい。例えば、被検体で花粉症を検査・診断する場合、罹患体は、花粉症に罹患していればよく、それ以外の上記列記の疾患、すなわち通年性アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、喘息に罹患していてもよいし、罹患していなくてもよく、好ましくは通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される何れの疾患にも罹患していないこと、より好ましくは通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される何れの疾患の既往歴もないことである。
上記哺乳類動物として、イヌ及びネコなどの愛玩動物ならびにウシ及びウマなどの家畜が例示される。本発明において被検体、非罹患体、及び罹患体は、お互いに同一種であるべきで、例えば、被検体がヒトである場合、そのs−IgA測定値は、ヒトである非罹患体のs−IgA測定値やヒトである罹患体のs−IgA測定値と対比される。
本発明において使用される生体試料として、例えば、唾液、口腔粘液、鼻汁、涙、初乳、ならびに小腸及び気管支の粘液、例えば痰などの外分泌液が挙げられ、また鼻粘膜、口腔粘膜、ならびに気道及び消化管粘膜などの粘膜も例示される。花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の検査や診断等の精度が高まる点から、生体試料は、唾液及び口腔粘液が好ましく、さらに試験が簡便になる点や検体採取に苦痛を伴わない点を加味すれば、唾液がより好ましい。
なお、本発明において被検体、非罹患体、及び罹患体から採取される生体試料はお互いに同一種であり、例えば、被検体から採取された生体試料が唾液である場合、そのs−IgA測定値は、非罹患体から採取された唾液のs−IgA測定値や罹患体から採取された唾液のs−IgA測定値と対比される。
なお、本発明において被検体、非罹患体、及び罹患体から採取される生体試料はお互いに同一種であり、例えば、被検体から採取された生体試料が唾液である場合、そのs−IgA測定値は、非罹患体から採取された唾液のs−IgA測定値や罹患体から採取された唾液のs−IgA測定値と対比される。
生体試料の採取方法は、生体試料に応じて慣用の方法を適宜選択できる。例えば、粘膜はスプーンを使って口腔内壁を一部掻くなどの方法で採取できる。唾液は、例えば、パラフィンワックスを3分間被検体に噛ませて分泌される刺激唾液として採取してもよいし、あるいはポンプにつなげた吸引チューブを使って唾液を吸引採取してもよい。
上記採取された生体試料はs−IgA量を測定するために必要に応じて調製されてもよい。調製方法として、例えば、採取した生体試料をホモジナイズしたり、生理食塩水などで希釈したり、あるいは遠心分離や簡易カラムクロマトグラフィーなどにより分離精製してもよく、慣用の一般的調製方法が適宜選択できる。
上記採取された生体試料はs−IgA量を測定するために必要に応じて調製されてもよい。調製方法として、例えば、採取した生体試料をホモジナイズしたり、生理食塩水などで希釈したり、あるいは遠心分離や簡易カラムクロマトグラフィーなどにより分離精製してもよく、慣用の一般的調製方法が適宜選択できる。
本発明ではs−IgA量を測定するが、そのための測定方法は、特に制限されず、慣用の方法が用いられる。このような慣用の方法として、免疫学的方法、例えばs−IgAの抗体価を測定する方法が挙げられる(特許文献9)。この抗体価測定法の一つとして酵素抗体法(Enzyme Linked immunosorbent Assay;以下「ELISA」とも記す)を用いることができるが、抗原抗体反応で得られる測定値の感度向上のために一般的に用いられる技術、例えば、唾液中のs−IgAを一旦ビオチン化抗ヒト免疫グロブリンなどと反応させ定量時の測定感度を増すこともでき、一般的な抗原抗体反応に基づく手法がそのまま応用できる。
その他に、酵素免疫法、発光酵素免疫法、イムノクロマト、イムノコンセントレーション、ラテックス凝集法などがいずれも好適に使用できる。
その他に、酵素免疫法、発光酵素免疫法、イムノクロマト、イムノコンセントレーション、ラテックス凝集法などがいずれも好適に使用できる。
本発明で検査又は診断等される花粉症は、特に制限されず、スギ花粉症、ヒノキ花粉症、オオアワガエリ花粉症、ブタクサ花粉症、カモガヤ花粉症、シラカバ花粉症、イネ花粉症、ケヤキ花粉症、イチゴ花粉症、コナラ花粉症、カナムグラ花粉症、及びヨモギ花粉症などが例示される。本発明の方法により良好な精度の検査又は診断結果が得られる点から、スギ花粉症が好ましい。
本発明においてs−IgA測定値を対比して花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息を検査又は診断等するのに、慣用の手法が適用でき、カットオフ値を用いる手法が例示できる。
例えば、非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を複数例、好ましくは10例以上、より好ましくは50例以上、もっとも好ましくは200例以上集め、そのうちの中央の95%を占める範囲を基準範囲とする。正規分布であれば、平均値±2SD(SDは標準偏差)を求め、この平均値−2SD〜平均値+2SDの範囲を基準範囲とする(図1)。この下限の平均値−2SDをカットオフ値としてもよい。
あるいは、基準範囲を平均値−SD〜平均値+SDの範囲とし、下限の平均値−SD値をカットオフ値としてもよい。
あるいは、基準範囲を平均値−SD〜平均値+SDの範囲とし、下限の平均値−SD値をカットオフ値としてもよい。
本発明では、被検体のs−IgA測定値を、非罹患体のs−IgA測定値の他に、罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比してもよい。
非罹患体群と罹患体群のs−IgA測定値に重なりがない場合、カットオフ値は、その中間点とすることができる(図2)。
非罹患体群と罹患体群のs−IgA測定値に重なりがある場合、この重複範囲にカットオフ値を適宜設定すればよい(図3)。あるいは、重複範囲をs−IgA測定値の低い方向から順に、陽性、疑陽性、疑陰性、及び陰性の各範囲に分類してもよい。
非罹患体群と罹患体群のs−IgA測定値に重なりがない場合、カットオフ値は、その中間点とすることができる(図2)。
非罹患体群と罹患体群のs−IgA測定値に重なりがある場合、この重複範囲にカットオフ値を適宜設定すればよい(図3)。あるいは、重複範囲をs−IgA測定値の低い方向から順に、陽性、疑陽性、疑陰性、及び陰性の各範囲に分類してもよい。
カットオフ値はROC(Receiver Operating Characteristics Curve)曲線を使用して算出してもよい。
上記のようにしてカットオフ値を算出し、これよりも被検体のs−IgA測定値が低ければ花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息と鑑別することができる。あるいは、陽性、疑陽性、疑陰性、及び陰性の各範囲に分けて、どの範囲に属するかを調べて陽性等を鑑別してもよい。
このようなカットオフ値又は陽性等の範囲を記載した対比表を使えば、医師の判断によらなくとも花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息であるかどうかを鑑別することが可能となり、有用である。
このようなカットオフ値又は陽性等の範囲を記載した対比表を使えば、医師の判断によらなくとも花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息であるかどうかを鑑別することが可能となり、有用である。
本発明に係る診断用キットは、前述の測定方法によるs−IgA測定用の試薬を含む。また、本発明の診断用キットはs−IgA測定値の対比手段、例えば上記のカットオフ値や陽性等の範囲を記載した対比表を含んでもよい。本発明の診断用キットは、生体試料の採取用具や調製用具、s−IgA測定用具、例えば、カラムカートリッジ等も含んでもよい。
以下、実施例などを挙げて本発明を更に詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔唾液の採取〕
唾液の採取は、被験者の口内を水で洗浄した後、綿状樹脂を口内に3分間挿入し、唾液を吸着させることで行なった。採取後、綿状樹脂を唾液採取専用スピッツ(SALIVATTE)に入れ、遠心分離器(KR−180B,Kubota)によって遠心分離(1500rpm,10分)を行ない、底面に分離した唾液を分析試料とした。今回用いた唾液採取法は、唾液と空気との接触がほとんどなく、また大気中の異物との接触を抑えることができた。なお、唾液は試料分析まで−80℃で冷凍保存した。
〔s−IgA測定〕
s−IgA抗体産生量の測定:MBL社製(日本国)s−IgAキットを用いて測定を行なった。はじめに、反応用緩衝液で40倍に希釈した唾液の試料10μlを検体とした。次に、抗ヒトセクリタリーコンポーネント(ヒトSC)を均一に結合させたポリスチレン製ボールにこの検体を反応させた(1次反応:37℃で1時間)。リン酸緩衝液で2度洗浄し、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgA(IgA/Fab’)を反応させた(2次反応:室温で1時間)。再びリン酸緩衝液で3度洗浄後、6−フェニレンジアミンと過酸化水素の溶解液500μlを基質液として酵素反応させ(3次反応:室温で30分間)、硫酸水溶液によって反応を停止させた。最後に、分光光度計(492nm)を用いて2,2’−ジアミノアゾベンゾールの生成量を測定し、s−IgA抗体産生量を換算した。
唾液の採取は、被験者の口内を水で洗浄した後、綿状樹脂を口内に3分間挿入し、唾液を吸着させることで行なった。採取後、綿状樹脂を唾液採取専用スピッツ(SALIVATTE)に入れ、遠心分離器(KR−180B,Kubota)によって遠心分離(1500rpm,10分)を行ない、底面に分離した唾液を分析試料とした。今回用いた唾液採取法は、唾液と空気との接触がほとんどなく、また大気中の異物との接触を抑えることができた。なお、唾液は試料分析まで−80℃で冷凍保存した。
〔s−IgA測定〕
s−IgA抗体産生量の測定:MBL社製(日本国)s−IgAキットを用いて測定を行なった。はじめに、反応用緩衝液で40倍に希釈した唾液の試料10μlを検体とした。次に、抗ヒトセクリタリーコンポーネント(ヒトSC)を均一に結合させたポリスチレン製ボールにこの検体を反応させた(1次反応:37℃で1時間)。リン酸緩衝液で2度洗浄し、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgA(IgA/Fab’)を反応させた(2次反応:室温で1時間)。再びリン酸緩衝液で3度洗浄後、6−フェニレンジアミンと過酸化水素の溶解液500μlを基質液として酵素反応させ(3次反応:室温で30分間)、硫酸水溶液によって反応を停止させた。最後に、分光光度計(492nm)を用いて2,2’−ジアミノアゾベンゾールの生成量を測定し、s−IgA抗体産生量を換算した。
実施例1
花粉症患者及び花粉症非罹患者(花粉症既往歴も無い)の唾液を、上記の方法に従い、採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。結果を表1に示す。
花粉症患者及び花粉症非罹患者(花粉症既往歴も無い)の唾液を、上記の方法に従い、採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1とは異なる花粉症患者及び花粉症非罹患者(花粉症既往歴も無い)を対象に各自の唾液を採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。花粉症患者のs−IgA抗体産生量は2回測定した。結果を表2に示す。
実施例1とは異なる花粉症患者及び花粉症非罹患者(花粉症既往歴も無い)を対象に各自の唾液を採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。花粉症患者のs−IgA抗体産生量は2回測定した。結果を表2に示す。
同様の試験を互いに異なる花粉症患者及び花粉症非罹患者を対象にして行ったが、いずれの試験においても、花粉症患者は花粉症非罹患者と比較して、s−IgA抗体産生量が有意に低いことがわかった。
また、喘息や通年性アレルギー性鼻炎の患者についても同様にs−IgA値を測定したところ、これら患者の唾液中のs−IgA測定値は、これら疾患の非罹患体のものと比べて有意に低かった。
実施例3
スギ花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される少なくとも一つの疾患を有する患者、並びにこれら疾患を一つも有していない非罹患者(これらいずれの疾患の既往歴も無い)を対象に各自の唾液を採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。結果を表3に示す。
スギ花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択される少なくとも一つの疾患を有する患者、並びにこれら疾患を一つも有していない非罹患者(これらいずれの疾患の既往歴も無い)を対象に各自の唾液を採取して、その唾液中のs−IgA抗体産生量を測定した。結果を表3に示す。
上記の試験結果から、スギ花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、又は喘息の患者は、これら疾患の非罹患者と比較して、s−IgA抗体産生量が有意に低いことがわかった。
本発明の方法は、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の検査、鑑別、評価、及び診断に有用である。本発明の診断用キットはこれら目的に利用できる。本発明の方法を、上記疾患の公知の検査・診断法と組み合わせて、これら検査・診断法の精度を高めることもできる。
また、本発明の方法は花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の治療又は予防薬のスクリーニングにも利用できる。
さらに、本発明の方法は、喘息、ならびにダニなどのハウスダストが原因となる通年性アレルギー性疾患、例えば通年性アレルギー性鼻炎・結膜炎の検査、鑑別、評価、及び診断にも適用することができる。
また、本発明の方法は花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息の治療又は予防薬のスクリーニングにも利用できる。
さらに、本発明の方法は、喘息、ならびにダニなどのハウスダストが原因となる通年性アレルギー性疾患、例えば通年性アレルギー性鼻炎・結膜炎の検査、鑑別、評価、及び診断にも適用することができる。
Claims (9)
- 花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、上記選択された疾患の非罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値と対比することを特徴とする、検査方法。
- 生体試料が唾液又は口腔粘液である、請求項1記載の検査方法。
- 選択された疾患がスギ花粉症である、請求項1又は2記載の検査方法。
- 花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の検査方法であって、被検体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値を、さらに、上記選択された疾患の罹患体から採取した生体試料中に存在するs−IgA測定値とも対比する、請求項1〜3のいずれか1項記載の検査方法。
- 免疫学的方法を用いてs−IgA量を測定する、請求項1〜4のいずれか1項記載の検査方法。
- 生体試料中に存在するs−IgA量を測定することを特徴とする、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び喘息から選択された疾患の診断用キット。
- 生体試料が唾液又は口腔粘液である、請求項6記載の診断用キット。
- 選択された疾患がスギ花粉症である、請求項6又は7記載の診断用キット。
- 免疫学的方法を用いてs−IgA量を測定する、請求項6〜8のいずれか1項記載の診断用キット。
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