JP2002303628A - アレルギー病態の鑑別方法 - Google Patents

アレルギー病態の鑑別方法

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豊彦 三木
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裕之 北島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 患者に負担、苦痛を与えない方法によりアレ
ルギー抗原特異的な粘膜免疫状態を測定し、アレルギー
に直接関与していると考えられる抗原を予測でき、アレ
ルギー治療にとって重要な情報を提供すること。 【解決手段】 アレルギー患者のアレルギー抗原に対す
る特異的分泌型IgAと血中IgEを測定し、その数値
間の相対関係を指標としてアレルギーの重篤度を鑑別す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アトピー性皮膚
炎、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎等のアレルギ
ー性疾患の治療に有用な情報を提供するためのアレルギ
ー診断法及び、そのためのシステムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アレルギーの原因となる抗原を把握する
ことは、アレルギーの治療において非常に重要なことで
ある。一般にアレルギー疾患は、その原因抗原に感作さ
れることにより、血清及び、組織において抗原特異的な
IgE抗体が産生され、そのIgE抗体が、肥満細胞及
び、好塩基球のIgEレセプターに結合し、再びその抗
原に暴露されることにより、細胞の活性化が起こり、ケ
ミカルメディエーターであるヒスタミン、セロトニン、
ロイコトリエンを始めとした脂質代謝物、サイトカイン
類等を放出し、生理的反応が現れると言われている。従
来、アレルギーの診断には、この血液中の抗原特異的な
IgE抗体量やそれによる生理的反応を確認する皮膚反
応テストにより原因抗原を特定することが一般的であ
る。しかしながら、これら方法で測定した結果と臨床症
状が一致しないのは臨床家が良く経験する事実であり、
実際に病態に関与している原因抗原とこれら診断法の結
果が必ずしも一致するものではない。
【0003】一方、アレルギーの病態について、患者よ
り採取した検体中のアレルギーの原因抗原に対する分泌
型IgA抗体の量と血中IgE抗体の量を測定し、その
数値間の相対関係を指標とするものは、全く知られてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにアレルギ
ーの病態に直接関与する原因抗原を特定することは、ア
レルギーの治療にとって非常に有用なことであり、その
方法が臨床において望まれている。また、従来の診断法
は、採血、皮内注射等の人体にとって苦痛を伴う処置を
行わなければならない。患者のQOLを考えた場合、苦
痛を与えずに正確にアレルギー治療に有効な情報を得る
ことは非常に有用なことである。本発明の目的は、従来
の全身系免疫の活性化にともなう原因抗原に特異的なI
gE産生による一連のアレルギー診断法以外の方法を加
味することにより、より病態に直接且つ密接に関与して
いる原因抗原が特定でき、しかも生体の分泌液を測定す
ることにより、検査による苦痛を伴わないアレルギーの
診断方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】粘膜免疫は、局所での生
体防御機能に加えて、生体が自ら持ち合わせているアレ
ルギー抑制のためのシステムであるといえる。生体は、
抗原を粘膜免疫の誘導組織である鼻咽頭関連リンパ組織
(NALT)、気管支関連リンパ組織(BALT)、腸
管関連リンパ組織(GALT)などで感作誘導させ、粘
膜免疫機構の液性免疫の中心をなす分泌型IgAを産生
するため、循環帰巣経路(CMIS)を通じて全身の実
効組織へと抗原特異的な免疫細胞を送り込む。この実効
組織としては、腸管、鼻腔、咽頭、泌尿生殖器などの粘
膜固有層、そして涙腺、唾液腺、乳腺、汗腺などの腺組
織があげられる。これら実効組織から体表面へ分泌され
る分泌型IgAの量は、1日に3000mgにもおよ
び、体内に侵入する抗原や異物に対する最前線の感染防
御機能を形成している。さらに粘膜免疫機構は、全身免
疫系に作用し、抗原特異的な免疫寛容を誘導する。代表
的な現象として経口免疫寛容があげられ、消化管粘膜の
パイエル板等の誘導組織に認識されることでその抗原に
対する抗原特異的な免疫反応の消失(不応答)が得られ
れる。このことは、毎日大量に摂取される食物抗原に対
して生体が、アレルギーを起こさないための重要なメカ
ニズムである。この現象を利用したアレルギーの治療法
も臨床的に試みられているが、現在のところ実用化レベ
ルには至っていない。従来、乳幼児の食物アレルギーの
発症に関してその原因の一つに粘膜免疫の未発達による
ことが指摘されている。(寺井ら、医学のあゆみ(別
冊)57-62,1999)そこでは、粘膜免疫の未発達からくる
分泌型IgAの低下による抗原の暴露がIgE産生へと
つながっている可能性が述べられている。また、この報
告では、血清中の大豆、牛乳に特異的なIgA抗体とI
gE抗体(RAST値)の間に負の相関が認められる
が、卵白では相関がないことも指摘している。また、こ
ういった粘膜免疫の破綻とアレルギー発症の関係につい
ては、注目されているにも係わらず、実際に乳幼児の食
物アレルギー以外の幅広い年齢層、抗原でアレルギー状
態にある患者の粘膜免疫状態と病態の関係を抗原レベル
で解明した報告はない。本発明者らは、アレルギー状態
の幅広い年齢層の患者における従来の方法で診断した原
因抗原に特異的な粘膜免疫の活性化を生体の分泌液中の
粘膜免疫の指標となる分泌型IgAを測定することで探
索した結果、両者の間にこれまで知られていなかった新
たなる関係が存在することを見出した。すなわちアレル
ギー患者におけるIgEと分泌型IgAの関係は、従来報
告されていた負の相関ではなく、抗原の暴露によりIg
Eを産生する群と分泌型IgAを産生する群に2分さ
れ、ほとんどの患者が、そのどちらかに属することが判
明した。さらにこのときIgEを産生する群は、重症患
者が多く、分泌型IgAを産生する群は、健常人、軽症
患者が多いことも判ってきた。また、中等症患者につい
ては、この方法により重症タイプと軽症タイプに2分さ
れ、同じ重症度をもつ中等症患者のなかに重症化の危険
性がある群が識別できた。また、検体中の分泌型IgA
の測定において非特異的IgAによる補正をすることで
安定した抗原特異的な粘膜免疫状態を表す値が得られて
おり、従来の分泌型IgAのみを測定する方法や血中の
IgAを測定する方法に比べて抗原特異的な粘膜免疫状
態を良好に検出できることも判明した。したがって、我
々は、従来のIgE測定に加えて唾液採取等の患者に苦
痛を与えることなく簡易的な方法で分泌型IgAを測定
することでその抗原に対する病態への関与並びに重症化
の危険性を判断するという新しいアレルギーの識別方法
を見出し、発明を完成させるに至った。すなわち、本発
明は、以下に示す技術に関するものである。 (1)アレルギー患者のアレルギー抗原に対する特異的
分泌型IgAと血中IgEを測定し、その数値間の相対
関係を指標とすることを特徴とする、その抗原に起因す
るアレルギー病態の鑑別方法。 (2)抗原特異的分泌型IgA抗体の量が少なく、血中
IgE抗体の量が多い患者のアレルギー病態が重篤であ
ると鑑別することを特徴とする、(1)に記載のその抗
原に対するアレルギー病態の鑑別方法。 (3)アレルギーの原因抗原が、カンジダ抗原、ダニ抗
原、食物抗原、花粉抗原である(1)又は(2)に記載
の測定法。 (4)分泌型IgA抗体を測定する検体が、患者の唾
液、便、涙及び汗から選ばれる1種乃至は2種以上であ
る(1)〜(3)何れか1項に記載の測定法。 (5)抗原特異的分泌型IgAを非特異的分泌型IgA
により補正した値を使用する(1)〜(4)何れか1項
に記載の測定方法 (6)(1)〜(5)何れか1項に記載の免疫グロブリ
ンの測定をELISA法にて行うことを特徴とした測定
キット。 以下、本発明について、実施の形態を中心に更に詳細に
説明を加える。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、発明を説明する。本発明に
用いられるアレルギー原因抗原は、カンジダ抗原、ダニ
抗原、食物抗原、花粉抗原等の粘膜常在菌、吸入環境抗
原、飲食による腸管内に摂取される抗原である。
【0007】1.カンジダ抗原について ヒトのアレルギー発症・増悪に関与していると言われて
いるカンジダ属真菌であるカンジダ アルビカンス(Ca
ndida albicans)、カンジダ トロピカリス(Candida
tropicallis)、カンジダ グラブラタ(Candida glabr
ata)、カンジダ ボイディニイ(Candida boidinii)
等の菌体粗抽出物または、各構成成分及び、その部分ペ
プチド、さらにその組み合わせが測定抗原として使用さ
れれる。この中でカンジダ アルビカンスが特に重要で
あり、その構成成分である細胞壁マンナン、酸性プロテ
アーゼ、エノラース、ストレス蛋白質HSP90、Mn
-SODなどの他、菌体抽出物並びに膜成分などの粗精
製物などが使用することができる。アレルギー患者の持
っている抗体の認識するカンジダ抗原は、幅広く特定で
きないケースが多いことから、粗精製物による幅広い測
定は、特に重要である。この場合、対象アレルギー患者
としては、食物アレルギー患者、アトピー性皮膚炎患
者、喘息患者などのカンジダアレルギーが病態に関与し
ている可能性が高い患者が想定できる。
【0008】2.ダニ抗原について ヒトのアレルギー発症・増悪に関与していると言われて
いるダニ類であるコナヒョウダニ(Dermatophagoides f
arinase)、ヤケヒョウダニ(Dermatophagoides pteron
yssinus)等の虫体抽出物または、各構成成分及び、そ
の部分ペプチド、さにその組み合わせが測定抗原として
使用される。この中で最も重要なのは、ヒョウダニ属で
あり、その構成成分であり主要アレルゲンとして知られ
るDerf 1、Der f 2であるが、その他のDa
r p 1などの構成成分も使用可能である。さらに幅広
くダニのアレルギーへの関与を把握するために、混合物
並びに粗生成物を使うことも可能である。この場合、対
象アレルギー患者としては、アトピー性皮膚炎患者、喘
息患者などのダニアレルギーが病態に関与している可能
性が高い患者が想定できる。
【0009】3.食物抗原について 食物アレルギーの原因抗原とされている卵、牛乳、魚介
類、小麦、豆類、肉類、そば、米などの種々の原因抗原
が報告されており、それぞれの粗抽出物並びに構成成分
が抗原として使用できる。幅広く食物アレルギーへの食
物抗原の関与を把握するために、これら混合物並びに粗
精製物を使うことが望ましい。この場合の対象アレルギ
ー患者としては、食物アレルギー患者の他にアトピー性
皮膚炎患者などの食物アレルギーが関与する疾患につい
ても対象となることが予想される。
【0010】4.花粉抗原について ヒトの花粉アレルギー発症・増悪には、スギ、ヒノキ、
ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ、イネ科などの種々の植
物の花粉抗原が原因していることが報告されている。ス
ギ花粉症の原因抗原は、主要抗原としてCry j 1、
Cry j 2などの蛋白が報告されており、これら構成
成分も使用することが可能である。また、より幅広い花
粉アレルギーへの花粉抗原の関与を把握するためにこれ
ら構成成分を混合して用いたり、粗生成物を用いること
が望ましい。この場合の対象アレルギー患者としては、
花粉アレルギーによる花粉症患者の他、それに伴うアレ
ルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎患者なども対象にな
る。
【0011】これら各種抗原は、天然からの抽出、さら
に精製を加えることをで製造できる。また、単一蛋白質
による構成成分については、大腸菌、バチルス菌、酵母
などの微生物、人もしくは動物細胞などに対象となる遺
伝子を組み込むことで大量に生産することができる。
【0012】これら抗原の選択は、アレルギー患者の血
中IgE等のバックグランド情報から選択することがで
きる。アレルギーの原因抗原に対して分泌型IgAが十
分誘導されている場合、アレルギーに対して抵抗性を示
すため、その原因抗原の病態への関与は、非常に低いこ
とが予想される。また、分泌型IgAの誘導が十分でな
い場合には、その原因抗原に対する抵抗力が弱いことが
予想され、抗原が直接病態へ関与している可能性が高い
ことが予想され、また、抗原の接触により病態増悪を引
き起こす危険性も考えられ注意が必要となる。これを言
い換えるならば、アレルギーの原因と考えられる抗原に
対する分泌型IgAの量と血中IgE量の関係を調べ、
血中IgE量が高く、分泌型IgA量も高い場合には、
アレルギーであってもその病態は重篤でないと鑑別し、
逆に分泌型IgAの量が低い場合には、アレルギーの病
態は重篤であると鑑別するのが、本発明の鑑別方法であ
る。この様な鑑別の基礎となる分泌型IgAの量である
が、これを測定するためのサンプルとしては、患者の体
液が好ましく例示でき、例えば、患者の唾液、便、涙及
び汗から選ばれる1種乃至は2種以上が例示できる。こ
れらの内、特に好ましいものは、採取に苦痛を伴わない
唾液である。これらの検体を、ELISAを用いること
により、前記免疫グロブリンの2つのサブタイプのもの
は分けて測定することが出来る。かくして得られた免疫
グロブリンの2つのサブタイプは、それぞれの量を縦軸
と横軸にしてプロットする事により、一目で病態を鑑別
できるので、この様なプロットを用いた鑑別が本発明に
おいては特に好ましい。本発明の測定キットはこの様な
ELISAを行うためのキットであり、アレルギーの原
因となる抗原でコートしたウェルを有するプレート、標
識した抗ヒト分泌型IgA抗体と標識の発現剤からな
り、標識としてはHRP等が好ましく例示でき、発現剤
としては、その発色剤であるTMB試薬が好適に例示で
きる。
【0013】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明について更
に詳細に説明を加えるが、本発明がこの様な実施例にの
み限定されないことは言うまでもない。
【0014】<実施例1> カンジダ特異的分泌型Ig
Aの非特異的分泌型IgAによる補正 午前10時より2時間ごと計5回、口腔内に市販の歯科用コ
ットンロールを左右の耳下腺にふくませて唾液を採取し
た。採取した唾液は、遠心管によりコットンロールから
分離させて測定試料とした。カンジダ特異的分泌型Ig
A抗体量は、ELISA測定用プラスチック96穴プレ
ートに市販のカンジダ抗原エキスをコートし、そこに患
者から採取した試料を添加、洗浄後、HRP標識した抗
ヒト分泌型IgA抗体を添加して反応、さらに洗浄後、
TMB試薬にて発色させた後、10%硫酸を加えて反応
を停止してからプレートリーダーにて452nm−59
5nmの吸光度を測定し算出した。非特異的分泌型Ig
A抗体量は、ELISA用プラスチックプレートに抗ヒ
ト分泌型IgA抗体をコートしたものを用いて同様の操
作を行った。
【0015】結果)結果を表1に示す。唾液の採取時間
によりカンジダ特異的分泌型IgA及び非特異的分泌型
IgAの濃度が異なった。これは、唾液採取時の水分含
量により濃度が異なると思われる。カンジダ特異的分泌
型IgAに対する非特異的分泌型IgAの比率を算出す
ると、全ての時間においてほぼ同様の安定した数値を示
した。
【0016】
【表1】
【0017】<実施例2> カンジダ抗原に対するアト
ピー性皮膚炎患者の粘膜免疫状態 アトピー性皮膚炎患者の口腔内に市販の歯科用コットン
ロールを左右の耳下腺にふくませて唾液を採取した。採
取した唾液は、遠心管によりコットンロールから分離さ
せて測定試料とした。カンジダ特異的分泌型IgA抗体
量は、ELISA測定用プラスチック96穴プレートに
市販のカンジダ抗原エキスをコートし、そこに患者から
採取した試料を添加、洗浄後、HRP標識した抗ヒト分
泌型IgA抗体を添加して反応、さらに洗浄後、TMB
試薬にて発色させた後、10%硫酸を加えて反応を停止
してからプレートリーダーにて452nm−595nm
の吸光度を測定し算出した。非特異的分泌型IgA抗体
量は、ELISA用プラスチックプレートに抗ヒト分泌
型IgA抗体をコートしたものを用いて同様の操作を行
った。唾液量による変動を補正するため、カンジダ特異
的分泌型IgA量/総分泌型IgA量の比率を粘膜免疫
状態を示す指標として用いた。また、患者のアレルギー
のバックグランド(血清中のIgE RAST値など)
は、一般診療の検査結果を参考とした。
【0018】結果)結果を図1に示す。この図1より、
患者の血清中のIgE RAST陽性率とアトピー性皮
膚炎重症度の間に有意な正の相関が認められた。一方、
重症患者の抗原特異的分泌型IgA陽性率は低く、軽症
患者では陽性患者が多く存在する。また、この時、血清
中IgEと分泌型IgA値の間に数値的な相関は認めら
れなかった。これより、本発明の鑑別方法により、アレ
ルギーの病態が適切に鑑別できることが判る。
【0019】<実施例> スギ花粉抗原に対するスギ花
粉症患者の粘膜免疫状態 スギ花粉症患者の口腔内に市販の歯科用コットンロール
を左右の耳下腺にふくませて唾液を採取した。採取した
唾液は、遠心管によりコットンロールから分離させて測
定試料とした。スギ花粉特異的分泌型IgAは、ELI
SA測定用プラスチック96穴プレートに市販のスギ花
粉エキスをコートし、そこに患者から採取した試料を添
加、洗浄後、HRP標識した抗ヒト分泌型IgA抗体を
添加して反応、さらに洗浄後、TMB試薬にて発色させ
た後、10%硫酸を加えて反応を停止してからプレート
リーダーにて452nm−595nmの吸光度を測定し
算出した。非特異的分泌型IgA抗体量は、ELISA
用プラスチックプレートに抗ヒト分泌型IgA抗体をコ
ートしたものを用いて同様の操作を行った。唾液量によ
る変動を補正するため、スギ花粉特異的分泌型IgA量
/総分泌型IgA量の比率を粘膜免疫状態を示す指標と
して用いた。また、患者のアレルギーのバックグランド
(血清中のIgE RAST値など)は、一般診療の検
査結果を参考とした。
【0020】結果)スギ花粉に対する分泌型IgA陽性
患者は、スギ花粉に対するIgE RAST陽性患者が
極めて少ないことが判明した。
【0021】
【発明の効果】本発明により患者に負担、苦痛を与えな
い方法によりアレルギー抗原特異的な粘膜免疫状態を測
定し、アレルギーに直接関与していると考えられる抗原
を予測でき、アレルギー治療にとって重要な情報を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2の重症度別分泌型IgAとIgE
RAST値の関係を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者より採取した検体中のアレルギーの
    原因抗原に対する分泌型IgA抗体の量と血中IgE抗
    体の量を測定し、その数値間の相対関係を指標とするこ
    とを特徴とする、その抗原に起因するアレルギー病態の
    鑑別方法。
  2. 【請求項2】 アレルギーの原因抗原に対する分泌型I
    gA抗体の量が少なく、血中IgE抗体の量が多い患者
    のアレルギー病態が重篤であると鑑別することを特徴と
    する、請求項1に記載のその抗原に対するアレルギー病
    態の鑑別方法。
  3. 【請求項3】 アレルギーの原因抗原が、カンジダ抗
    原、ダニ抗原、食物抗原、花粉抗原である請求項1又は
    2に記載の測定法。
  4. 【請求項4】 分泌型IgA抗体を測定する検体が、患
    者の唾液、便、涙及び汗から選ばれる1種乃至は2種以
    上である請求項1〜3何れか1項に記載の測定法。
  5. 【請求項5】 抗原特異的分泌型IgAを非特異的分泌
    型IgAにより補正した値を使用する請求項1〜4何れ
    か1項に記載の測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5何れか1項に記載の免疫グ
    ロブリンの測定をELISA法にて行うことを特徴とし
    た測定キット。
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