JP2009208721A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定変速比モードにおいて、エンジン及びモータジェネレータを含めたシステム効率を適切に向上させる。
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、エンジン及びモータジェネレータを駆動源として有し、無段変速モードと固定変速比モードとの2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両に搭載される。具体的には、制御手段は、固定変速比モードで走行中に、エンジン効率とモータジェネレータ効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、当該動作点に基づいてエンジンを動作させる制御及びモータジェネレータを発電させる制御を行う制御手段を備える。つまり、モータジェネレータの効率だけでなくエンジン効率も考慮して運転を行う。これにより、固定変速比モードでのシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。
【選択図】図5
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、エンジン及びモータジェネレータを駆動源として有し、無段変速モードと固定変速比モードとの2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両に搭載される。具体的には、制御手段は、固定変速比モードで走行中に、エンジン効率とモータジェネレータ効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、当該動作点に基づいてエンジンを動作させる制御及びモータジェネレータを発電させる制御を行う制御手段を備える。つまり、モータジェネレータの効率だけでなくエンジン効率も考慮して運転を行う。これにより、固定変速比モードでのシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。
【選択図】図5
Description
本発明は、ハイブリッド車両に好適な制御装置に関する。
エンジンに加えて、電動機やモータジェネレータなどの動力源を備えるハイブリッド車両が既知である。ハイブリッド車両では、エンジンを可及的に高効率状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機又はモータジェネレータで補う。また、このようなハイブリッド車両において、無段変速モードと固定変速比モードとを切り替えて運転する技術が提案されている。
例えば特許文献1には、固定変速比モードにおいて、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータの両方によって発電を行う技術が記載されている。更に、特許文献2には、固定変速比モードにおいて、駆動力変化や外乱などが発生した場合に、エンジントルクやモータトルクを修正して、ショックを低減する技術が記載されている。
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、固定変速比モードにおいて、エンジン効率を考慮せずにモータジェネレータにて発電を行っていたため、エンジンの動作点によってはハイブリッド車両におけるシステム効率が低下してしまう場合があった。なお、特許文献2には、システム効率を考慮して、エンジン及びモータジェネレータを動作させることについての記載はない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、固定変速比モードにおいて、エンジン及びモータジェネレータを含めたシステム効率を適切に向上させることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点では、エンジン及びモータジェネレータを有し、無段変速モードと固定変速比モードとの少なくとも2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両に対して制御を行うハイブリッド車両の制御装置は、前記固定変速比モードで走行中において、前記エンジンの効率と前記モータジェネレータの効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、前記動作点に基づいて前記エンジンを動作させる制御及び前記モータジェネレータを発電させる制御を行う制御手段を備える。
上記のハイブリッド車両の制御装置は、エンジン及びモータジェネレータを駆動源として有し、無段変速モードと固定変速比モードとの2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両などに搭載される。具体的には、制御手段は、固定変速比モードで走行中において、エンジンから動力を出力させる制御を行うと共に、モータジェネレータにて発電が行われるように制御を行う。この場合、制御手段は、エンジンの効率とモータジェネレータの発電時における効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、当該動作点に基づいてエンジン及びモータジェネレータを運転させる。つまり、モータジェネレータの効率だけでなくエンジン効率も考慮して運転を行う。これにより、固定変速比モードでのシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。
上記のハイブリッド車両の制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記モータジェネレータで発電された電力を充電するバッテリにおける入力制限値に基づいて、前記システム効率が最大となる動作点を決定する。
この態様では、制御手段は、システム効率が最大となる動作点を決定する場合において、バッテリにおける入力制限値を超えない動作点を決定する。これにより、バッテリにて充電できない余分な出力を抑えることが可能となる。
上記のハイブリッド車両の制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づき、前記ハイブリッド車両における駆動力が一定となるように前記モータジェネレータでのトルク配分を決定し、前記トルク配分に基づいて前記システム効率が最大となる動作点を決定する。
この態様によれば、エンジントルクが増加した場合にも、モータジェネレータからのトルクにてエンジントルクを適切に吸収することができ、運転者に与える違和感を適切に抑制しつつ、バッテリの充電を行うことが可能となる。
上記のハイブリッド車両の制御装置において好適には、前記エンジンを最適に動作させた場合のシステム効率と、前記モータジェネレータを最適に動作させた場合のシステム効率とを比較することによって、前記システム効率が最大となる動作点を決定する。つまり、制御手段は、エンジンを最適に動作させた場合のシステム効率とモータジェネレータを最適に動作させた場合のシステム効率とのうち、最大効率が得られるものの動作点にて運転を行う。
好適な実施例では、前記モータジェネレータは、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータを備える。
本発明におけるハイブリッド車両の制御装置は、エンジン及びモータジェネレータを有し、無段変速モードと固定変速比モードとの少なくとも2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両に対して制御を行うハイブリッド車両の制御装置は、固定変速比モードで走行中において、エンジン効率とモータジェネレータ効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、当該動作点に基づいてエンジンを動作させる制御及びモータジェネレータを発電させる制御を行う制御手段を備える。つまり、制御手段は、モータジェネレータの効率だけでなくエンジン効率も考慮して運転を行う。これにより、固定変速比モードでのシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[装置構成]
図1に本発明を適用したハイブリッド車両の概略構成を示す。図1の例は、機械分配式2モータ型と称されるハイブリッド車両であり、エンジン(内燃機関)1、第1のモータジェネレータMG1、第2のモータジェネレータMG2、動力分配機構20、を備える。動力源に相当するエンジン1と、回転数制御機構に相当する第1のモータジェネレータMG1とが動力分配機構20に連結されている。動力分配機構20の出力軸3には、駆動トルク又はブレーキ力のアシストを行うための副動力源である第2のモータジェネレータMG2が連結されている。第2のモータジェネレータMG2と出力軸3とはMG2変速部6を介して接続されている。さらに、出力軸3は最終減速機8を介して左右の駆動輪9に連結されている。第1のモータジェネレータMG1と第2のモータジェネレータMG2とは、バッテリ、インバータ、又は適宜のコントローラ(図2参照)を介して、もしくは直接的に電気的に接続され、第1のモータジェネレータMG1で生じた電力で第2のモータジェネレータMG2を駆動するように構成されている。
図1に本発明を適用したハイブリッド車両の概略構成を示す。図1の例は、機械分配式2モータ型と称されるハイブリッド車両であり、エンジン(内燃機関)1、第1のモータジェネレータMG1、第2のモータジェネレータMG2、動力分配機構20、を備える。動力源に相当するエンジン1と、回転数制御機構に相当する第1のモータジェネレータMG1とが動力分配機構20に連結されている。動力分配機構20の出力軸3には、駆動トルク又はブレーキ力のアシストを行うための副動力源である第2のモータジェネレータMG2が連結されている。第2のモータジェネレータMG2と出力軸3とはMG2変速部6を介して接続されている。さらに、出力軸3は最終減速機8を介して左右の駆動輪9に連結されている。第1のモータジェネレータMG1と第2のモータジェネレータMG2とは、バッテリ、インバータ、又は適宜のコントローラ(図2参照)を介して、もしくは直接的に電気的に接続され、第1のモータジェネレータMG1で生じた電力で第2のモータジェネレータMG2を駆動するように構成されている。
エンジン1は燃料を燃焼して動力を発生する熱機関であり、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどが挙げられる。第1のモータジェネレータMG1はエンジン1からトルクを受けて回転することにより主として発電を行うものであり、発電に伴うトルクの反力が作用する。第1のモータジェネレータMG1の回転数を制御することにより、エンジン1の回転数が連続的に変化する。このような変速モードを無段変速モードという。無段変速モードは、後述する動力分配機構20の差動作用により実現される。
第2のモータジェネレータMG2は、駆動トルク又はブレーキ力を補助(アシスト)する装置である。駆動トルクをアシストする場合、第2のモータジェネレータMG2は電力の供給を受けて電動機として機能する。一方、ブレーキ力をアシストする場合には、第2のモータジェネレータMG2は、駆動輪9から伝達されるトルクにより回転させられて電力を発生する発電機として機能する。なお、以下では、第1のモータジェネレータMG1及び第2のモータジェネレータMG2の区別をしないで用いる場合には、「モータジェネレータMG1、MG2」とも表記する。
図2は、図1に示すモータジェネレータMG1、MG2、並びに動力分配機構20の構成を示す。
動力分配機構20は、エンジン1の出力トルクを第1のモータジェネレータMG1と出力軸3とに分配する機構であり、差動作用を生じるように構成されている。具体的には複数組の差動機構を備え、互いに差動作用を生じる4つの回転要素のうち、第1の回転要素にエンジン1が連結され、第2の回転要素に第1のモータジェネレータMG1が連結され、第3の回転要素に出力軸3が連結される。第4の回転要素はブレーキ部7により固定可能となっている。ブレーキ部7が第4の回転要素を固定していない状態では、第1のモータジェネレータMG1の回転数を連続的に変化させることによりエンジン1の回転数が連続的に変化し、無段変速モードが実現される。一方、ブレーキ部7が第4の回転要素を固定している状態では、動力分配機構20により決定される変速比がオーバードライブ状態(即ち、エンジン回転数が出力回転数より小さくなる状態)に固定され、固定変速比モードが実現される。
本実施形態では、図2に示すように、動力分配機構20は、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される。第1の遊星歯車機構はリングギア21、キャリア22、サンギア23を備える。第2の遊星歯車機構はダブルピニオン式であり、リングギア25、キャリア26、サンギア27を備える。
エンジン1の出力軸2は第1の遊星歯車機構のキャリア22に連結され、そのキャリア22は第2の遊星歯車機構のリングギア25に連結されている。これらが第1の回転要素を構成する。第1のモータジェネレータMG1のロータ11は第1の遊星歯車機構のサンギア23に連結され、これらが第2の回転要素を構成している。
第1の遊星歯車機構のリングギア21と第2の遊星歯車機構のキャリア26は相互に連結されているとともに出力軸3に連結されている。これらが第3の回転要素を構成している。また、第2の遊星歯車機構のサンギア27は回転軸29に連結されており、回転軸29とともに第4の回転要素を構成している。回転軸29はブレーキ部7により固定可能となっている。
電源ユニット30は、インバータ31、コンバータ32、HVバッテリ33及びコンバータ34を備える。第1のモータジェネレータMG1は電源線37によりインバータ31に接続されており、第2のモータジェネレータMG2は電源線38によりインバータ31に接続されている。また、インバータ31はコンバータ32に接続され、コンバータ32はHVバッテリ33に接続されている。さらに、HVバッテリ33はコンバータ34を介して補機バッテリ35に接続されている。
インバータ31は、モータジェネレータMG1、MG2との間で電力の授受を行う。モータジェネレータの回生時には、インバータ31はモータジェネレータMG1及び/又はMG2が回生により発電した電力を直流に変換し、コンバータ32へ供給する。コンバータ32は、インバータ31から供給される電力を電圧変換し、HVバッテリ33を充電する。一方、モータジェネレータの力行時には、HVバッテリ33から出力される直流電力はコンバータ32により昇圧され、電源線37及び/又は38を介してモータジェネレータMG1及び/又はMG2へ供給される。
HVバッテリ33の電力はコンバータ34により電圧変換されて補機バッテリ35に供給され、各種の補機の駆動に使用される。
インバータ31、コンバータ32、HVバッテリ33及びコンバータ34の動作はECU4により制御されている。ECU4は制御信号S4を送信することにより、電源ユニット30内の各要素の動作を制御する。また、電源ユニット30内の各要素の状態などを示す必要な信号は制御信号S4としてECU4に供給される。具体的には、HVバッテリ33の状態を示すSOC(State Of Charge)や入出力制限値などが、制御信号S4としてECU4に供給される。
ECU4は、エンジン1、第1のモータジェネレータMG1、及び第2のモータジェネレータMG2との間で、制御信号S1〜S3を送受信することにより、それらを制御する。本実施形態では、ECU4は、固定変速比モードで走行中において、エンジン効率とモータジェネレータMG1、MG2の効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、当該動作点に基づいてエンジン1及びモータジェネレータMG1、MG2に対する制御を行う。このように、ECU4は、本発明におけるハイブリッド車両の制御装置に相当し、制御手段として機能する。
[制御方法]
次に、本実施形態においてECU4が行う制御について具体的に説明する。
次に、本実施形態においてECU4が行う制御について具体的に説明する。
本実施形態では、ECU4は、固定変速比モードで走行中において、エンジン1から動力を出力させる制御を行うと共に、モータジェネレータMG1、MG2の両方にて発電が行われるように制御を行う。言い換えると、モータジェネレータMG1、MG2の両方を発電機として機能させて、HVバッテリ33を充電する。具体的には、ECU4は、固定変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1、MG2の両方からのトルクによってエンジントルクを吸収させて、固定変速比モードにおける走行を行わせる。
この場合において、ECU4は、エンジン効率とモータジェネレータMG1、MG2の発電時における効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点にて、エンジン1を動作させると共に、モータジェネレータMG1及びMG2の両方を発電させる制御を行う。つまり、ECU4は、固定変速比モードで走行中に、システム効率が最大となるようなエンジン1及びモータジェネレータMG1、MG2における動作点をそれぞれ決定して、これらを動作させる制御を行う。このような制御を行うことにより、固定変速比モードでのシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。
より詳しくは、ECU4は、エンジン1を最適に動作させた場合のシステム効率(以下、「第1のシステム効率」と呼ぶ。)、第1のモータジェネレータMG1を最適に動作させた場合のシステム効率(以下、「第2のシステム効率」と呼ぶ。)、及び、第2のモータジェネレータMG2を最適に動作させた場合のシステム効率(以下、「第3のシステム効率」と呼ぶ。)をそれぞれ求め、これらを比較することによって、最大効率が得られる動作点にて運転を行う。第1のシステム効率は、エンジン1における最適な動作点(以下、「エンジン最適動作点」と呼ぶ。)を求めると共に、当該エンジン最適動作点でのモータジェネレータMG1、MG2の動作点などを求めることで計算される。第2のシステム効率は、モータジェネレータMG1における最適な動作点(以下、「MG1最適動作点」と呼ぶ。)を求めると共に、当該MG1最適動作点でのエンジン動作点などを求めることで計算される。第3のシステム効率は、モータジェネレータMG2における最適な動作点(以下、「MG2最適動作点」と呼ぶ。)を求めると共に、当該MG2最適動作点でのエンジン動作点などを求めることで計算される。なお、固定変速比モードであるため、基本的には、エンジン1及びモータジェネレータMG1、MG2における各回転数は変わらない。そのため、ECU4は、エンジン1及びモータジェネレータMG1、MG2のそれぞれから出力させるべきトルクを求め、当該トルクに基づいて各動作点を決定する。
更に、本実施形態では、ECU4は、HVバッテリ33の入力制限値(以下、「Win制限」と表記する。)に基づいて、エンジン1及びモータジェネレータMG1、MG2の動作点を決定する。つまり、ECU4は、HVバッテリ33における充電量の範囲内に抑えた上で、各動作点を決定する。具体的には、ECU4は、エンジン出力やモータジェネレータMG1、MG2のパワーがWin制限を越えないように各動作点を決定する。詳しくは、Win制限を越えないようなエンジン最適動作点、MG1最適動作点、及びMG2最適動作点を決定する。例えば、ECU4は、エンジン1における最適な燃費が得られる動作点であってもWin制限を越えるような場合には、当該動作点をエンジン最適動作点として用いずに、Win制限に概ね等しくなるような動作点をエンジン最適動作点として決定する。こうすることにより、HVバッテリ33にて充電できない余分なエンジン1などの出力を抑えることが可能となる。
更に、本実施形態では、ECU4は、力(トルク)の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づいてモータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定し、当該トルク配分に基づいて動作点を決定する。つまり、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いを考慮して、駆動力が一定となるように、モータジェネレータMG1、MG2からのトルク(以下、モータジェネレータMG1及びMG2からのトルクを、それぞれ「MG1トルク」及び「MG2トルク」と表記する。)を決定する。これにより、エンジントルクが増加した場合にも、MG1トルク及びMG2トルクにてエンジントルクを適切に吸収することができるため、運転者に与える違和感を適切に抑制しつつ、HVバッテリ33の充電を行うことが可能となる。
図3は、上記したエンジン最適動作点を求める方法を説明するための図である。図3は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸にエンジントルクを示している。具体的には、図3には、エンジン1の最適燃費線B1(太い実線で示す)、固定変速比モードでの動作線B2(太い破線で示す)、等パワー線B3、及び等効率線B4を示している。
通常は、固定変速比モードでは、動作線B2上の動作点(例えば点C1)でエンジン1が運転される。当該動作線B2は、システムにおける効率などに応じて予め設定されている。しなしながら、図示のように、動作線B2上の動作点は、エンジン1の効率や燃費などが比較的低くなる傾向にある。したがって、本実施形態では、固定変速比モードにおいてエンジン1が最適に動作されるように、最適燃費線B1上の動作点にてエンジン1を動作させることを考える。具体的には、ECU4は、基本的には、最適燃費線B1上の動作点をエンジン最適動作点として決定する。この場合、ECU4は、現在のエンジン回転数に対応する最適燃費線B1上の動作点をエンジン最適動作点として決定する。このような最適燃費線B1上の動作点を用いた場合には、エンジントルクがアップする傾向にある(つまりエンジン出力がアップする傾向にある)。例えば、白抜き矢印で示すように、現在のエンジン回転数N1に対応する最適燃費線B1上の動作点C2を用いた場合には、エンジントルクTr1からエンジンTr2にアップする。したがって、ECU4は、上記のようにエンジン最適動作点を決定した場合に、エンジントルクのアップ分がMG1トルク及びMG2トルクによって適切に吸収されるように(つまり駆動力が一定となるように)、モータジェネレータMG1、MGの動作点を決定する。
なお、前述したように、ECU4は、最適燃費線B1上の動作点を用いた際のエンジン出力アップ量がWin制限を超える場合には、当該動作点をエンジン最適動作点として用いない。この場合には、ECU4は、エンジン出力アップ量がWin制限と等しくなるような動作点を、エンジン最適動作点として決定する。つまり、最適燃費線B1上の動作点におけるトルクをある程度下げた動作点を、エンジン最適動作点として決定する。
図4は、モータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する方法を説明するための図である。図4は、上下方向に回転数を示し、固定変速比モードにおける共線図を示している。具体的には、左から順に第1のモータジェネレータMG1、ブレーキ部7、エンジン1、及び出力軸3(一義的に第2のモータジェネレータMG2)の回転数を示している。固定変速比モードでは、ブレーキ部7にて固定が行われるため、ブレーキ部7における回転数は0となっている。また、この場合には、車速などに応じて、エンジン回転数やモータジェネレータMG1、MG2の回転数は一義的に決まる。
ここで、「Tg」を第1のモータジェネレータMG1におけるMG1トルクとし、「TBK」をブレーキ部7に働くトルクとし、「Teng」をエンジントルクとし、「Tm」を第2のモータジェネレータMG2におけるMG2トルクとし、「Tout」を車両から出力されるトルクとする。なお、「Tout」は車速などの車両状態から得られる。また、「x」、「y」、及び「z」はギヤ比に対応する。この場合、力の釣り合いは式(1)で表され、出力軸3回りのモーメントの釣り合いは式(2)で表される。
Tout+Tm+TBK=Teng+Tg 式(1)
Teng×z+Tg×(x+y+z)−TBK×(y+z)=0 式(2)
本実施形態では、ECU4は、式(1)及び式(2)を用いて、モータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する。つまり、モータジェネレータMG1及びMG2からのMG1トルクTg及びMG2トルクTmを得る。こうして得られるMG1トルクTg及びMG2トルクTmより、モータジェネレータMG1、MG2の動作点(例えば、エンジン最適動作点を用いた場合におけるモータジェネレータMG1、MG2の動作点など)が得られる。このようなモータジェネレータMG1、MG2の動作点で動作させることにより、エンジントルクが増加した場合にも、駆動力を一定にすることができる。
Teng×z+Tg×(x+y+z)−TBK×(y+z)=0 式(2)
本実施形態では、ECU4は、式(1)及び式(2)を用いて、モータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する。つまり、モータジェネレータMG1及びMG2からのMG1トルクTg及びMG2トルクTmを得る。こうして得られるMG1トルクTg及びMG2トルクTmより、モータジェネレータMG1、MG2の動作点(例えば、エンジン最適動作点を用いた場合におけるモータジェネレータMG1、MG2の動作点など)が得られる。このようなモータジェネレータMG1、MG2の動作点で動作させることにより、エンジントルクが増加した場合にも、駆動力を一定にすることができる。
[具体的な処理]
次に、図5を参照して、ECU4が行う処理について説明する。当該処理においては、ECU4は、第1のシステム効率、第2のシステム効率、及び第3のシステム効率をそれぞれ求め、これらを比較することによって、最大効率が得られる動作点にて運転を行う。具体的には、ECU4は、エンジン最適動作点、MG1最適動作点、及びMG2最適動作点のそれぞれを求めて、第1のシステム効率、第2のシステム効率、及び第3のシステム効率を計算する。
次に、図5を参照して、ECU4が行う処理について説明する。当該処理においては、ECU4は、第1のシステム効率、第2のシステム効率、及び第3のシステム効率をそれぞれ求め、これらを比較することによって、最大効率が得られる動作点にて運転を行う。具体的には、ECU4は、エンジン最適動作点、MG1最適動作点、及びMG2最適動作点のそれぞれを求めて、第1のシステム効率、第2のシステム効率、及び第3のシステム効率を計算する。
まず、ステップS101では、ECU4は、発電要求があるか否かを判定する。発電要求がある場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進み、発電要求がない場合(ステップS101;No)、処理はステップS101に戻る。ステップS102では、ECU4は、運転状態情報などに基づいて、固定変速比モードで走行中であるか否かを判定する。つまり、ODロック状態であるか否かを判定する。固定変速比モードである場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進み、固定変速比モードでない場合(ステップS102;No)、処理はステップS101に戻る。
ステップS103では、ECU4は、現在の車速から、エンジン回転数Ne、MG1トルクTg、MG2トルクTmを取得する。そして、処理はステップS104及びステップS113に進む。ステップS104〜S112の処理は第1のシステム効率を求めるための処理であり、ステップS113〜S121の処理は第2のシステム効率及び第3のシステム効率を求めるための処理である。
まず、ステップS104〜S112の処理について説明する。ステップS104では、ECU4は、現在のエンジン出力を計算する。具体的には、ECU4は、ステップS103で取得されたエンジン回転数Neと、固定変速比モードでの動作線におけるエンジントルクとから、エンジン出力を計算する。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、ECU4は、現在のエンジン回転数Neに対応する最適燃費線上のエンジントルクを読み取る。そして、処理はステップS106に進む。ステップS106では、ECU4は、最適燃費線上でのエンジン出力を計算する。具体的には、ECU4は、エンジン回転数Neと、ステップS105で取得されたエンジントルクとから、エンジン出力を計算する。そして、処理はステップS107に進む。
ステップS107では、ECU4は、ステップS106で計算されたエンジン出力からステップS104で計算されたエンジン出力を減算することでエンジン出力アップ量を求め、当該エンジン出力アップ量がWin制限未満であるか否かを判定する。エンジン出力アップ量がWin制限未満である場合(ステップS107;Yes)、処理はステップS109に進む。この場合には、ECU4は、最適燃費線上の動作点をエンジン最適動作点として決定し(ステップS109)、処理はステップS110に進む。
これに対して、エンジン出力アップ量がWin制限以上である場合(ステップS107;No)、処理はステップS108に進む。この場合には、ECU4は、Win制限を越えないようなエンジントルクを新たに計算する(ステップS108)。具体的には、ECU4は、エンジン出力アップ量がWin制限と概ね等しくなるようなエンジントルクを計算する。そして、ECU4は、ステップS108で計算されたエンジントルクに対応する動作点をエンジン最適動作点として決定し(ステップS109)、処理はステップS110に進む。
ステップS110では、ECU4は、駆動力が一定となるようにMG1トルク及びMG2トルクを求める。つまり、ECU4は、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づいて、モータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する。具体的には、前述した式(1)及び式(2)に、ステップS109で決定されたエンジン最適動作点におけるエンジントルクを代入することによって、MG1トルク及びMG2トルクを求める。そして、処理はステップS111に進む。ステップS111では、ECU4は、ステップS110で算出されたMG1トルク及びMG2トルクに対応する動作点を、MG1の動作点(以下、「MG1動作点」と呼ぶ。)及びMG2の動作点(以下、「MG2動作点」と呼ぶ。)として決定する。そして、処理はステップS112に進む。
ステップS112では、ECU4は、エンジン最適動作点での第1のシステム効率を計算する。具体的には、ステップS109で決定されたエンジン最適動作点と、ステップS111で決定されたMG1動作点及びMG2動作点とに基づいて、第1のシステム効率を計算する。そして、処理はステップS122に進む。
次に、ステップS113〜S121の処理について説明する。ステップS113では、ECU4は、現在のモータジェネレータMG1、MG2の回転数における最高効率値と、当該最高効率値に対応するMG1トルク及びMG2トルクとを読み取る。最高効率値やMG1トルク及びMG2トルクなどは予めマップ(効率マップ)などに規定されており、ECU7は当該マップを参照することで、これらを読み取る。そして、処理はステップS114に進む。ステップS114では、ECU4は、ステップS114で得られたMG1トルク及びMG2トルクなどに対応する動作点でのモータジェネレータMG1、MG2のパワー(以下、モータジェネレータMG1及びMG2のパワーを、それぞれ「MG1パワー」及び「MG2パワー」と表記する。)を計算する。そして、処理はステップS115に進む。
ステップS115では、ECU4は、ステップS114で得られたMG1パワー及びMG2パワーがWin制限未満であるか否かを判定する。MG1パワー及びMG2パワーがWin制限未満である場合(ステップS115;Yes)、処理はステップS117に進む。この場合には、ECU4は、ステップS113で得られたMG1トルク及びMG2トルクをそれぞれ用いて、前述した式(1)及び式(2)より、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づいてモータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する(ステップS117)。なお、エンジントルクには、固定変速比モードでの動作線におけるエンジントルクを用いる。そして、処理はステップS118に進む。
これに対して、MG1パワー又はMG2パワーがWin制限以上である場合(ステップS115;No)、処理はステップS116に進む。この場合には、ECU4は、Win制限を越えないようなMG1トルク、MG2トルクを読み取る(S116)。具体的には、MG1パワー、MG2パワーがWin制限未満となるようなMG1トルク、MG2トルクと、当該MG1トルク、MG2トルクでの効率値とを読み取る。そして、ECU4は、ステップS116で得られたMG1トルク、MG2トルクをそれぞれ用いて、前述した式(1)及び式(2)より、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づいてモータジェネレータMG1、MG2でのトルク配分を決定する(ステップS117)。なお、この場合も、エンジントルクには、固定変速比モードでの動作線におけるエンジントルクを用いる。そして、処理はステップS118に進む。
ステップS118では、ECU4は、上記の処理にて得られたMG1トルク及びMG2トルクに対応する動作点を、それぞれMG1最適動作点及びMG2最適動作点として決定する。そして、処理はステップS119に進む。ステップS119では、ECU4は、ステップS118で得られたMG1最適動作点及びMG2最適動作点のそれぞれでのエンジン1の動作点(以下、「エンジン動作点」と呼ぶ。)を決定する。ECU4は、基本的には、固定変速比モードでの動作線上の動作点をエンジン動作点として決定するが、MG1パワー又はMG2パワーがWin制限以上であるためMG1トルク、MG2トルクを新たに求めた場合(即ちステップS116の処理を行った場合)には、固定変速比モードでの動作線上の動作点を変更した動作点をエンジン動作点として決定する。以上の処理が終了すると、処理はステップS120及びステップS121に進む。
ステップS120では、ECU4は、MG1最適動作点での第2のシステム効率を計算する。具体的には、ステップS118で決定されたMG1最適動作点やステップS119で決定されたエンジン動作点などに基づいて、第2のシステム効率を計算する。そして、処理はステップS122に進む。一方、ステップS121では、ECU4は、MG2最適動作点での第3のシステム効率を計算する。具体的には、ステップS118で決定されたMG2最適動作点やステップS119で決定されたエンジン動作点などに基づいて、第3のシステム効率を計算する。そして、処理はステップS122に進む。
ステップS122では、ECU4は、ステップS112、S120、S121で計算された第1のシステム効率、第2のシステム効率、第3のシステム効率を比較し、最大の効率が得られるものを決定する。そして、ECU4は、決定されたシステム効率での動作点にて、エンジン1、モータジェネレータMG1、MG2を運転させる制御を行う。例えば、第1のシステム効率が最大となった場合には、エンジン最適動作点でエンジン1を運転させると共に、MG1動作点及びMG2動作点でモータジェネレータMG1及びMG2を運転(具体的には発電)させる。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
上記した処理によれば、固定変速比モードにおいて、モータジェネレータMG1、MG2の効率だけでなく、エンジン1の効率を含めたシステム効率を適切に向上させることができ、燃費を向上させることが可能となる。具体的には、HVバッテリ33にて充電できない余分な出力を抑制する共に、運転者に与える違和感を抑制しつつ、システム効率を向上させることができる。
1 エンジン
3 出力軸
4 ECU
7 ブレーキ部
20 動力分配機構
31 インバータ
32、34 コンバータ
33 HVバッテリ
MG1 第1のモータジェネレータ
MG2 第2のモータジェネレータ
3 出力軸
4 ECU
7 ブレーキ部
20 動力分配機構
31 インバータ
32、34 コンバータ
33 HVバッテリ
MG1 第1のモータジェネレータ
MG2 第2のモータジェネレータ
Claims (5)
- エンジン及びモータジェネレータを有し、無段変速モードと固定変速比モードとの少なくとも2つのモードを切り替え可能に構成されたハイブリッド車両に対して制御を行う制御装置であって、
前記固定変速比モードで走行中において、前記エンジンの効率と前記モータジェネレータの効率とを含めたシステム効率が最大となる動作点を決定し、前記動作点に基づいて前記エンジンを動作させる制御及び前記モータジェネレータを発電させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記制御手段は、前記モータジェネレータで発電された電力を充電するバッテリにおける入力制限値に基づいて、前記システム効率が最大となる動作点を決定する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記制御手段は、力の釣り合い及びモーメントの釣り合いに基づき、前記ハイブリッド車両における駆動力が一定となるように前記モータジェネレータでのトルク配分を決定し、前記トルク配分に基づいて前記システム効率が最大となる動作点を決定する請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記エンジンを最適に動作させた場合のシステム効率と、前記モータジェネレータを最適に動作させた場合のシステム効率とを比較することによって、前記システム効率が最大となる動作点を決定する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記モータジェネレータは、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータを備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008056354A JP2009208721A (ja) | 2008-03-06 | 2008-03-06 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US10220698B2 (en) | 2016-02-19 | 2019-03-05 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive unit of hybrid vehicle |
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2008
- 2008-03-06 JP JP2008056354A patent/JP2009208721A/ja active Pending
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