JP2009208087A - 鋼の熱間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることができる鋼の熱間圧延方法を提供する。
【解決手段】上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、圧延の進行に伴い、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進するのを抑制するため、ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにしたことを特徴とする鋼の熱間圧延方法。
【選択図】図1
【解決手段】上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、圧延の進行に伴い、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進するのを抑制するため、ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにしたことを特徴とする鋼の熱間圧延方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることが可能な鋼の熱間圧延方法に関する。
小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることが可能な圧延機は各種方式で実現されている。
たとえば、ロールバレル外形がS字形状であるロールを圧延スタンドに組み込み、上下で互いに逆向きに同じシフト量だけロール軸方向に移動させるクラウン制御方式の圧延機が公知である(特許文献1)。
特許文献1に記載のクラウン制御方式を採用した圧延機によれば、図6(a)、(b)に示したように、ロール軸方向位置において上下で互いに補完し合うS字形状のイニシャルロールカーブ11で形成された上下一対のワークロールWを、上下で互いに逆向きに同じシフト量δだけロール軸方向に移動させ、ロールギャップGの形状を凸形状から凹形状にまで変更させることができる。
たとえば、ロールバレル外形がS字形状であるロールを圧延スタンドに組み込み、上下で互いに逆向きに同じシフト量だけロール軸方向に移動させるクラウン制御方式の圧延機が公知である(特許文献1)。
特許文献1に記載のクラウン制御方式を採用した圧延機によれば、図6(a)、(b)に示したように、ロール軸方向位置において上下で互いに補完し合うS字形状のイニシャルロールカーブ11で形成された上下一対のワークロールWを、上下で互いに逆向きに同じシフト量δだけロール軸方向に移動させ、ロールギャップGの形状を凸形状から凹形状にまで変更させることができる。
図6(a)には、シフト量δ=0のとき、ロールギャップGがロール軸方向に一様な形状になることを示し、図6(b)には、シフト量δ>0のとき、ロールギャップGが凸形状になることを示す。シフト量δ<0のとき、ロールギャップGは凹形状となる(図示せず)。シフト量δは、ロールバレル長Lの中央と、ミル中心とが一致したときを基準(δ=0)とし、図6(b)のように上下一対のワークロールをシフトするときを正と定義した。Lはロールバレル長で上下同じ値である。P点、Q点は、上下のS字形状のイニシャルロールカーブ11の最大直径部(ワークロールの最大直径部)である。
また、クラウン形状制御能力が高いイニシャルロールカーブ11として、2次以下の項を含む3次関数曲線も示されている(特許文献2)。
このようなクラウン制御方式の圧延機を以下、WRシフト−CVC圧延機(Continuous Variable Crown Rolling Mill)という。
一方、仕上げ圧延機に組み込んだ上下のワークロールは、高温の被圧延材を圧延するため、圧延の進行とともにロール摩耗が生じ、これによって被圧延材の幅方向板厚偏差(クラウン)が大きくなり、次工程の冷間圧延で形状不良を発生するという問題があった。この上下のワークロールに生じるロール摩耗を抑制し、クラウン制御能力を拡大可能な鋼の熱間圧延方法が提案されている(特許文献3)。
このようなクラウン制御方式の圧延機を以下、WRシフト−CVC圧延機(Continuous Variable Crown Rolling Mill)という。
一方、仕上げ圧延機に組み込んだ上下のワークロールは、高温の被圧延材を圧延するため、圧延の進行とともにロール摩耗が生じ、これによって被圧延材の幅方向板厚偏差(クラウン)が大きくなり、次工程の冷間圧延で形状不良を発生するという問題があった。この上下のワークロールに生じるロール摩耗を抑制し、クラウン制御能力を拡大可能な鋼の熱間圧延方法が提案されている(特許文献3)。
この特許文献3に記載の鋼の熱間圧延方法は、仕上げ圧延機の少なくとも1スタンドのワークロールに、図3(a)、(b)に示した構造のロールを用いる方法である。図3(a)には、鋼製軸芯8の胴部に超硬合金スリーブ7を嵌め込み、鋼製側端リング9で固定してなる構造のロールを示した。図3(b)には、超硬合金スリーブ7と鋼製軸芯8の間に鋼製緩衝材10を設けた構造のロールを示した。どちらも圧延部表層が超硬合金スリーブ7からなる耐摩耗性に優れたロールである。
したがって、WRシフト−CVC圧延機の上下のワークロールに、特許文献3に記載の極めて耐摩耗性が優れている圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用いれば、ワークロールに生じるロール摩耗を抑制でき、小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることが可能になる。
特開昭57−091807号公報
特公平05−071322号公報
特開2001―321804号公報
しかしながら、たとえば仕上げ圧延機の前段スタンドに上記したWRシフト−CVC圧延機を導入した場合、ワークロールのイニシャルロールカーブ11の直径差ΔD≒300μmにもなる(図2(a)参照)。
すなわち、WRシフト−CVC圧延機のシフト量δの制約上、小さいクラウンの熱延鋼帯を得るにはΔDを大きくせざるを得ず、上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、ワークロールとバックアップロール間に潤滑剤を供給しない場合、次のような問題が発生した。
すなわち、WRシフト−CVC圧延機のシフト量δの制約上、小さいクラウンの熱延鋼帯を得るにはΔDを大きくせざるを得ず、上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、ワークロールとバックアップロール間に潤滑剤を供給しない場合、次のような問題が発生した。
仕上げ圧延機の圧延スタンドに、使用前の上下のバックアップロールを組み込んだ以降、圧延の進行に伴い、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進されてしまうことが起こる。このため、サイクルの後半で被圧延材の蛇行量が大きくなって次圧延スタンドで噛み込み不良が発生し、熱間圧延ラインが停止状態となる。
そこで、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることが可能な鋼の熱間圧延方法が必要とされていた。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることができる鋼の熱間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることができる鋼の熱間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明者は、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることができる鋼の熱間圧延方法について鋭意検討した結果、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分へ潤滑剤を供給すれば、バックアップロールの近傍部分で生じるロール摩耗が潤滑剤で抑制できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ロール軸方向位置において上下で互いに補完し合うS字形状のイニシャルロールカーブで形成された上下一対のワークロールを、上下のバックアップロールと組み合わせて圧延スタンドに組み込み、上下のワークロールを互いに逆向きに同じシフト量だけロール軸方向に移動させるクラウン制御方式の4重式圧延機を配置した仕上げ圧延機で被圧延材を圧延する鋼の熱間圧延方法において、
前記上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、被圧延材を圧延した際、圧延の進行に伴い、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進するのを抑制するため、前記ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにしたことを特徴とする鋼の熱間圧延方法。
2.前記潤滑剤を供給する領域を、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分に限定したことを特徴とする上記1.に記載の鋼の熱間圧延方法。
3.前記近傍部分は、前記ワークロールの最大直径部を中心に、ロール軸方向距離が300mm以下の領域であることを特徴とする上記1.または2.に記載の鋼の熱間圧延方法。
4.前記潤滑剤の組成は、合成エステルをベースオイルとし、硫化エステル、リン酸エステルなどの極圧剤を所定量添加し、残部鉱油であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
5.前記潤滑剤を水と混合し、潤滑剤の供給量を50〜600cc/minとすることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ロール軸方向位置において上下で互いに補完し合うS字形状のイニシャルロールカーブで形成された上下一対のワークロールを、上下のバックアップロールと組み合わせて圧延スタンドに組み込み、上下のワークロールを互いに逆向きに同じシフト量だけロール軸方向に移動させるクラウン制御方式の4重式圧延機を配置した仕上げ圧延機で被圧延材を圧延する鋼の熱間圧延方法において、
前記上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、被圧延材を圧延した際、圧延の進行に伴い、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進するのを抑制するため、前記ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにしたことを特徴とする鋼の熱間圧延方法。
2.前記潤滑剤を供給する領域を、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分に限定したことを特徴とする上記1.に記載の鋼の熱間圧延方法。
3.前記近傍部分は、前記ワークロールの最大直径部を中心に、ロール軸方向距離が300mm以下の領域であることを特徴とする上記1.または2.に記載の鋼の熱間圧延方法。
4.前記潤滑剤の組成は、合成エステルをベースオイルとし、硫化エステル、リン酸エステルなどの極圧剤を所定量添加し、残部鉱油であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
5.前記潤滑剤を水と混合し、潤滑剤の供給量を50〜600cc/minとすることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
本発明によれば、超硬合金スリーブの圧延部外層の表面に突出した超硬合金中のWCの硬質粒子でバックアップロールの近傍部分が削られ、バックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進されるのを潤滑剤で抑制できる。この結果、安定して小さいクラウンの熱延鋼帯を得ることができる。
まず、本発明に至る知見について、図2(a)、(b)を用い説明する。
WRシフト−CVC圧延機の上下のワークロールに、圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、ワークロールとバックアップロール間に潤滑剤を供給しない場合、以下のようになる。
なお、以下には上のワークロール(最大直径部P点)に関して説明するが、下のワークロールも同様であり、その場合P点に代え、最大直径部Q点とすればよい(図6参照)。
(1)ロール間線圧は、ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分で高く、高線圧領域に対応するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進される。このため、図2(b)に示したように、圧延の進行に伴い、S字形状のイニシャルロールカーブに見合うロール摩耗がバックアップロール側に生じる。
(2)図2(a)中、高線圧領域は、線圧が、平均線圧に対して1.05倍以上となる領域であり、通常ワークロールの最大直径部P点を中心に、ロール軸方向の距離が300mm以下の範囲に生じる。
(3)ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分は、超硬合金中のCoまたはNiなどの結合材が優先的に摩耗するため、超硬合金スリーブの圧延部外層の表面に突出した超硬合金中のWCなどの硬質粒子で削られる。
WRシフト−CVC圧延機の上下のワークロールに、圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、ワークロールとバックアップロール間に潤滑剤を供給しない場合、以下のようになる。
なお、以下には上のワークロール(最大直径部P点)に関して説明するが、下のワークロールも同様であり、その場合P点に代え、最大直径部Q点とすればよい(図6参照)。
(1)ロール間線圧は、ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分で高く、高線圧領域に対応するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進される。このため、図2(b)に示したように、圧延の進行に伴い、S字形状のイニシャルロールカーブに見合うロール摩耗がバックアップロール側に生じる。
(2)図2(a)中、高線圧領域は、線圧が、平均線圧に対して1.05倍以上となる領域であり、通常ワークロールの最大直径部P点を中心に、ロール軸方向の距離が300mm以下の範囲に生じる。
(3)ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分は、超硬合金中のCoまたはNiなどの結合材が優先的に摩耗するため、超硬合金スリーブの圧延部外層の表面に突出した超硬合金中のWCなどの硬質粒子で削られる。
そこで本発明は、圧延の進行に伴い、ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分が削られ、ロール摩耗が促進するのを抑制するため、ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにした。
すなわち、この潤滑剤の役割は、超硬合金スリーブの圧延部外層の表面に突出した超硬合金中のWCの硬質粒子でバックアップロールの近傍部分が削られ、バックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進されるのを抑制することである。
すなわち、この潤滑剤の役割は、超硬合金スリーブの圧延部外層の表面に突出した超硬合金中のWCの硬質粒子でバックアップロールの近傍部分が削られ、バックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進されるのを抑制することである。
このような潤滑剤としては、合成エステルをベースオイルとし、硫化エステル、リン酸エステルなどの極圧剤を所定量添加し、残部鉱油である組成とするのが、ロール摩耗抑制作用に優れるので好ましい。ただし、ベースオイルは合成エステルに限定されず、鉱油ベースとすることもできる。
ワークロールとバックアップロール間へ供給する潤滑剤は水と混合し、潤滑剤の供給量を50〜600cc/minとするのが好ましい。その理由は、潤滑剤の供給量を50cc/min未満とすると、ロール摩耗抑制作用が不十分となり、一方潤滑剤の供給量を600cc/min越えとすると、ロール間でスリップ現象が生じる恐れがあるからである。
ワークロールとバックアップロール間へ供給する潤滑剤は水と混合し、潤滑剤の供給量を50〜600cc/minとするのが好ましい。その理由は、潤滑剤の供給量を50cc/min未満とすると、ロール摩耗抑制作用が不十分となり、一方潤滑剤の供給量を600cc/min越えとすると、ロール間でスリップ現象が生じる恐れがあるからである。
次いで、本発明に用いて好適な潤滑剤供給方式について、図1を用い説明する。
複数個のスプレーノズル1はヘッダに取り付けされ、潤滑剤2を満たした潤滑剤タンク3、潤滑剤供給用精密ギアポンプ4、混合器(オリフィスノズルなど)5、水供給用ポンプ6に、配管を介して接続されている。この構成によって、上下のワークロールWを互いに逆向きに同じシフト量δだけロール軸方向に移動させるWRシフト−CVC圧延機において、ワークロールの最大直径部Pと接触するバックアップロールBの近傍部分へ、水との混合液として潤滑剤を供給することができる。
複数個のスプレーノズル1はヘッダに取り付けされ、潤滑剤2を満たした潤滑剤タンク3、潤滑剤供給用精密ギアポンプ4、混合器(オリフィスノズルなど)5、水供給用ポンプ6に、配管を介して接続されている。この構成によって、上下のワークロールWを互いに逆向きに同じシフト量δだけロール軸方向に移動させるWRシフト−CVC圧延機において、ワークロールの最大直径部Pと接触するバックアップロールBの近傍部分へ、水との混合液として潤滑剤を供給することができる。
なお、シフト量δは式(1)を満たさなければならないという制約がある。
δmax≦シフト量δ≦δmax ・・・・・・・(1)
δmax:WRシフト−CVC圧延機の仕様最大シフト量。
本発明に用いて好適なロールの構造は、図3(a)、(b)に示したように、圧延部外層が超鋼合金スリーブ7からなる。この超硬合金スリーブ7は、複数個の超硬材料混合粉末からなるスリーブ部材をロール軸方向に接合・一体化して形成したものである。WC粉末にCo:5〜50mass%(好ましくはCo:20mass%)とNi適量を添加した混合粉末を用いるのが、焼結して得られる超硬合金の耐摩耗性、靭性などの観点から好ましい。このようにして形成した超硬合金スリーブ7を鋼製軸芯8の胴部にそのままか、鋼製緩衝材10を設けて嵌め込み、鋼製側端リングで固定してロールとすることができる。このような構造をもつロールは、公知のロール製造技術で製造することが可能である。
δmax≦シフト量δ≦δmax ・・・・・・・(1)
δmax:WRシフト−CVC圧延機の仕様最大シフト量。
本発明に用いて好適なロールの構造は、図3(a)、(b)に示したように、圧延部外層が超鋼合金スリーブ7からなる。この超硬合金スリーブ7は、複数個の超硬材料混合粉末からなるスリーブ部材をロール軸方向に接合・一体化して形成したものである。WC粉末にCo:5〜50mass%(好ましくはCo:20mass%)とNi適量を添加した混合粉末を用いるのが、焼結して得られる超硬合金の耐摩耗性、靭性などの観点から好ましい。このようにして形成した超硬合金スリーブ7を鋼製軸芯8の胴部にそのままか、鋼製緩衝材10を設けて嵌め込み、鋼製側端リングで固定してロールとすることができる。このような構造をもつロールは、公知のロール製造技術で製造することが可能である。
図4に示した7スタンドからなる仕上げ圧延機(全スタンド:WRシフト−CVC圧延機)を用い、発明例1、2および従来例のそれぞれの条件で1サイクル=240本の被圧延材Sを仕上げ圧延機の出側圧延速度=800〜1400m/分で圧延し、得られた熱延鋼板のクラウンCr25とバックアップロールの摩耗量を調査した。
(1サイクルの条件)
被圧延材の鋼種=熱延鋼帯(SPHC)、仕上げ圧延機入側板厚=20〜50mm、仕上げ板厚=1.2〜4.0mm、幅=1000〜1600mm、被圧延材の重量=1コイル当り24〜30トン。
(1サイクルの条件)
被圧延材の鋼種=熱延鋼帯(SPHC)、仕上げ圧延機入側板厚=20〜50mm、仕上げ板厚=1.2〜4.0mm、幅=1000〜1600mm、被圧延材の重量=1コイル当り24〜30トン。
なお、バックアップロールの摩耗量は、圧延スタンドからバックアップロールBを抜き出し、ロールプロフィールを調べ、使用後のバックアップロールの直径差(=最大直径−最小直径)で求めた。その結果を図5(a)に示した。そして、使用後のバックアップロールの直径差が小さいことをもって、ワークロールの最大直径部P点と接触するバックアップロールの近傍部分でのロール摩耗抑制作用が大きいと評価した。
熱延鋼板のクラウンCr25は、プロフィルメータで測定した板厚に基づき式(2)で求めた。
クラウンCr25=hc−(h25、op+h25、dr)/2 ・・・・・(2)
ただし、hは板厚を表し、その添字であるCは幅中央を表し、hの添字である数字はエッジからの距離を、数字の次の英文字はエッジの位置が操作側か駆動側かを表す。そして、得られた熱延鋼板のクラウンの平均値でクラウン制御能を評価した。その結果を図5(b)に示した。
(仕上げ圧延機の条件:全スタンド共通)
ワークロールの寸法:最大直径=680mm、バレル長=2050mm、イニシャルロールカーブ11の直径差ΔD≒300μm。ワークロールの構造:圧延部外層が超硬合金スリーブであるロール(図3(b)参照)。
クラウンCr25=hc−(h25、op+h25、dr)/2 ・・・・・(2)
ただし、hは板厚を表し、その添字であるCは幅中央を表し、hの添字である数字はエッジからの距離を、数字の次の英文字はエッジの位置が操作側か駆動側かを表す。そして、得られた熱延鋼板のクラウンの平均値でクラウン制御能を評価した。その結果を図5(b)に示した。
(仕上げ圧延機の条件:全スタンド共通)
ワークロールの寸法:最大直径=680mm、バレル長=2050mm、イニシャルロールカーブ11の直径差ΔD≒300μm。ワークロールの構造:圧延部外層が超硬合金スリーブであるロール(図3(b)参照)。
バックアップロール:鋼製で直径=1600mm、使用前のバックアップロールのイニシャルロールカーブはストレート形状。
(発明例1)
潤滑剤供給範囲:ワークロールWとバックアップロールB間のロール軸方向全長にわたり潤滑剤を供給した(全スタンド同じ)。
(発明例1)
潤滑剤供給範囲:ワークロールWとバックアップロールB間のロール軸方向全長にわたり潤滑剤を供給した(全スタンド同じ)。
水との混合液中の潤滑剤の濃度=3vol%、潤滑剤の供給量=300cc/min。潤滑剤供給開始のタイミング:被圧延材Sが噛み込んだ直後。
潤滑剤の組成:ベースオイル(オレイン酸ブチルエステル=80vol%)、極圧剤(ターシャリーブチルポリサルファイド)=5vol%、残部=パラフィン系鉱物油(スピンドル油)
(発明例2)
発明例1と異なる点は、以下のとおりである。
潤滑剤供給範囲:ロール軸方向全長でなく、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分のみへ潤滑剤を供給した(全スタンド同じ)。
潤滑剤の組成:ベースオイル(オレイン酸ブチルエステル=80vol%)、極圧剤(ターシャリーブチルポリサルファイド)=5vol%、残部=パラフィン系鉱物油(スピンドル油)
(発明例2)
発明例1と異なる点は、以下のとおりである。
潤滑剤供給範囲:ロール軸方向全長でなく、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分のみへ潤滑剤を供給した(全スタンド同じ)。
近傍部分は、ワークロールの最大直径部を中心として、ロール軸方向の距離が300mm以下の領域である(図2参照)。潤滑剤の供給量=600cc/min。
(従来例)
発明例1、2と異なる点は、ワークロールWとバックアップロールB間に潤滑剤を供給していないこと(全スタンド同じ)。
(従来例)
発明例1、2と異なる点は、ワークロールWとバックアップロールB間に潤滑剤を供給していないこと(全スタンド同じ)。
図5(a)に示したとおり、発明例1、2は、ロール間に潤滑剤を供給していない従来例に比べ、使用後のバックアップロールの直径差が小さく、ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進されるのを抑制できている。
また、発明例1よりも発明例2の方が使用後のバックアップロールの直径差が小さく、摩耗抑制作用が大きい。このため、発明例1、2では、圧延の進行に伴い、サイクル後半で被圧延材の蛇行量が大きくなって次圧延スタンドで噛み込み不良が発生することがなかった。
また、発明例1よりも発明例2の方が使用後のバックアップロールの直径差が小さく、摩耗抑制作用が大きい。このため、発明例1、2では、圧延の進行に伴い、サイクル後半で被圧延材の蛇行量が大きくなって次圧延スタンドで噛み込み不良が発生することがなかった。
一方従来例では、圧延の進行に伴い、サイクル後半でF2スタンド出側で被圧延材の蛇行量が大きくなってF3スタンドで噛み込み不良が発生した。このため、201本目以降の圧延を中止した。
また、図5(b)に示したとおり、発明例1、2は、従来例に比べてクラウン制御能を維持することができ、小さいクラウンの熱延鋼板が安定して得られている。
また、図5(b)に示したとおり、発明例1、2は、従来例に比べてクラウン制御能を維持することができ、小さいクラウンの熱延鋼板が安定して得られている。
G ロールギャップ
S 被圧延材
W ワークロール
L ロールバレル長
B バックアップロール
δ シフト量
ξ ミル中心座標
P点、Q点 最大直径部
1 スプレーノズル
2 潤滑剤
3 潤滑剤タンク
4 潤滑剤供給用精密ギアポンプ
5 混合器(オリフィスノズルなど)
6 水供給用ポンプ
7 超硬合金スリーブ
8 鋼製軸芯
9 鋼製側端リング
10 鋼製緩衝材
11 イニシャルロールカーブ
12 使用後ロールカーブ
S 被圧延材
W ワークロール
L ロールバレル長
B バックアップロール
δ シフト量
ξ ミル中心座標
P点、Q点 最大直径部
1 スプレーノズル
2 潤滑剤
3 潤滑剤タンク
4 潤滑剤供給用精密ギアポンプ
5 混合器(オリフィスノズルなど)
6 水供給用ポンプ
7 超硬合金スリーブ
8 鋼製軸芯
9 鋼製側端リング
10 鋼製緩衝材
11 イニシャルロールカーブ
12 使用後ロールカーブ
Claims (5)
- ロール軸方向位置において上下で互いに補完し合うS字形状のイニシャルロールカーブで形成された上下一対のワークロールを、上下のバックアップロールと組み合わせて圧延スタンドに組み込み、上下のワークロールを互いに逆向きに同じシフト量だけロール軸方向に移動させるクラウン制御方式の4重式圧延機を配置した仕上げ圧延機で被圧延材を圧延する鋼の熱間圧延方法において、
前記上下のワークロールに圧延部外層が超硬合金スリーブであるロールを用い、被圧延材を圧延した際、圧延の進行に伴い、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分でロール摩耗が促進するのを抑制するため、前記ワークロールとバックアップロール間へ潤滑剤を供給するようにしたことを特徴とする鋼の熱間圧延方法。 - 前記潤滑剤を供給する領域を、前記ワークロールの最大直径部と接触するバックアップロールの近傍部分に限定したことを特徴とする請求項1に記載の鋼の熱間圧延方法。
- 前記近傍部分は、前記ワークロールの最大直径部を中心に、ロール軸方向距離が300mm以下の領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の熱間圧延方法。
- 前記潤滑剤の組成は、合成エステルをベースオイルとし、硫化エステル、リン酸エステルなどの極圧剤を所定量添加し、残部鉱油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
- 前記潤滑剤を水と混合し、潤滑剤の供給量を50〜600cc/minとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋼の熱間圧延方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110102578A (zh) * | 2019-05-20 | 2019-08-09 | 王春旭 | 一种型材开坯机用均冷装置 |
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2008
- 2008-02-29 JP JP2008050703A patent/JP2009208087A/ja active Pending
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