JP2009207566A - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、液透過性表面シート30と、液不透過性シート11と、これら表面シートと液不透過性シート11との間に設けられた、尿を吸収保持する吸収体56と、吸収体56と液不透過性シート11との間に設けられた断熱層57と、表面シート30と断熱層57との間に含有された、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質40とを備えることにより解決される。
【選択図】図3
Description
この代表的なものが、ソルビトール等のように尿との接触により尿に温度変化をもたらす物質の利用である(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術では、ソルビトール等の温度変化物質を含む部材を、吸収性組立体の身体側に配置することが提案されている。また、特許文献2記載の技術では、浸透性層と不浸透性層との間にソルビトール等の温度変化物質を挟んでなる要素を、吸収性コア上に配置することが提案されている。
そこで、本発明の主たる課題は、温度変化における外気温の影響を低減することにある。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと、
裏面側シートと、
これら表面シートと裏面側シートとの間に設けられた、尿を吸収保持する吸収体と、
前記吸収体と裏面側シートとの間に設けられた断熱層と、
前記表面シートと前記断熱層との間に含有された、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質と、
を備えたことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
表面シートを透過した尿は、温度変化物質との接触により冷却又は加熱されるとともに吸収体に保持され、その温度が装着者の身体に伝達され、装着者に排尿を知覚させる。この際、本発明では、吸収体の裏面側が断熱層により覆われているため、外気温が極端に高い場合(真夏や、冬季の暖房装置付近)や、低い場合(冬季の屋外等)であっても、吸収体に保持された尿の温度が維持され、所望の温度変化が得られるようになる。
前記吸収体は繊維密度が2.25〜6.75g/m3の繊維集合体から形成されており、
前記断熱層は繊維密度が0.5〜1.5g/m3の繊維集合体から形成されており、且つ
前記吸収体の繊維密度が前記断熱層の繊維密度の4.5倍以上である、
請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
吸収体及び断熱層が本項記載のように構成されていると、吸収体に吸収された尿が断熱層に移動し難くなり、温度変化した尿を身体に近い部分に保持できるとともに、断熱層が尿を保持することによる断熱性の低下が発生し難くなる。
前記断熱層は前記吸収体とは別に、前記断熱層より繊維密度の高い繊維集合体からなる断熱層包被シートにより包まれている、請求項1又は2記載の使い捨て吸収性物品。
断熱層がこのような繊維集合シートにより包まれていると、吸収体を透過した尿が断熱層側に至ったとしても、その尿が繊維集合シートに吸収保持され、断熱層内に保持され難くなるため、断熱性を維持することができる。
前記断熱層は、前記吸収体の裏面のうち50%以上の面積を覆っている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
断熱層は、吸収体の一部のみ(例えば股間部のみ等)を覆っているだけでも良いが、吸収体の裏面のうち50%以上の面積を覆うことによって、より確実且つ十分な断熱効果が発揮される。
前記吸収体は、高吸収性ポリマーを少なくとも表面側層に含んでおり、
前記温度変化物質は前記吸収体の表面上に配置されており、
これら吸収体及び温度変化物質が吸収体包被シートにより包まれている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
本項記載の発明では、排尿時に表面シートを透過した尿は、当初は温度変化物質により冷却又は加熱された後に速やかに吸収体の表面側層の高吸収性ポリマーで保持されるため、着用者に対して効果的に温度変化を伝えることができる。そして、表面側層における高吸収性ポリマーの吸収が飽和した後は、温度変化物質の減少等により尿の冷却又は加熱が不十分となっても、その尿は吸収体の表面側層で吸収保持されずに吸収体内で裏面側に移動する。つまり、十分に冷却又は加熱した尿は吸収体の表面側層において高吸収性ポリマーにより吸収保持され、冷却又は加熱が不十分となった尿は吸収体の表面側層に保持されずに裏面側に移動するため、温度変化物質による冷却又は加熱の効果が物品表面側に効果的に伝達され、物品表面に大きな温度変化がもたらされるようになる。またその結果、吸収体に吸収された尿が断熱層に移動し難くなり、断熱層が尿を保持することによる断熱性の低下が発生し難くなる。しかも、尿は高吸収性ポリマー中に保持され、表面シートを透過した尿が肌側に逆戻りし難いため、さらさらした使用感が得られ、肌への負担も少ないものとなる。
前記吸収体は裏面側よりも表面側のほうが前記高吸収性ポリマーの密度が高くなっている、請求項5記載の使い捨て吸収性物品。
このような構造を採用することによって、冷却又は加熱された尿を吸収体の表面側により多く保持でき、物品表面における温度変化をより大きくすることができる。
前記吸収体の表面上に、前記温度変化物質及び高吸収性ポリマーを含有する温度変化層が設けられており、
これら吸収体及び温度変化層が吸収体包被シートにより包まれている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
このような構造を有すると、温度変化層に供給された尿は温度変化物質により冷却又は加熱された後、他の部材に伝熱することなく、速やかに、高吸収性ポリマーにより吸収されるため、請求項5記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。また本項記載の発明では、温度変化物質により冷却又は加熱した尿を肌により近い位置で保持できるため、物品表面における温度変化をより一層のものとすることができる。
前記液透過性表面シートは、厚みが0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2の不織布からなり、
前記吸収体包被シートは、厚みが0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2のクレープ紙または不織布からなり、
前記液透過性表面シートと前記吸収体との間における、少なくとも前記高吸収性ポリマーを有する部分と重なる部分には、他の部材を有しないものであり、
前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
前記温度変化物質の目付けは300〜800g/m2であり、
前記温度変化物質を有する部分の面積は2,500〜20,000mm2であり、
前記温度変化物質により前記吸収体に生じうる熱量変化の総量は50cal以上であり、
前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上であり、
前記高吸収性ポリマーは吸収速度が50秒以下であり、
前記高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2であり、
前記高吸収性ポリマーを有する部分の面積は2,500〜20,000mm2である、
請求項5〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
温度変化物質及び高吸収性ポリマーを吸収体包被シートで包む形態では、本項記載のような構造を採用し、本項記載のような種類、性能及び量の温度変化物質及び高吸収性ポリマーを使用するのが好ましい。なお、吸収速度とは、2gの試料が50gの生理食塩水を吸収するのに要する時間であって、JIS K 7224−1996に基づき測定されるものである(以下同じ)。
前記表面シートと前記吸収体との間に、前記温度変化物質及びこの温度変化物質により冷却又は加熱した尿を吸収保持する高吸収性ポリマーを含む温度変化層が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
本項記載の発明では、排尿時に表面シートを透過した尿は、当初は液透過性表面シートと吸収体との間に位置する温度変化層において、温度変化物質により冷却又は加熱された後に速やかに吸収体の表面側層の高吸収性ポリマーで保持されるが、温度変化層における高吸収性ポリマーの吸収が飽和した後は、温度変化物質の減少等により尿の冷却又は加熱が不十分となっても、その尿は温度変化層で吸収保持されずに裏面側の吸収体に移動し吸収保持される。つまり、十分に冷却又は加熱した尿は液透過性表面シートと吸収体との間において温度変化層の高吸収性ポリマーにより吸収保持され、冷却又は加熱が不十分となった尿は温度変化層に保持されずに裏面側の吸収体に移動するため、温度変化物質による冷却又は加熱の効果が物品表面側に効果的に伝達され、物品表面に大きな温度変化がもたらされるようになる。しかも、温度変化物質により冷却又は加熱した尿を肌により近い位置で保持できるため、物品表面における温度変化をより一層のものとすることができる。またその結果、吸収体に吸収された尿が断熱層に移動し難くなり、断熱層が尿を保持することによる断熱性の低下が発生し難くなる。さらに、尿は高吸収性ポリマー中に保持され、表面シートを透過した尿が肌側に逆戻りし難いため、さらさらした使用感が得られ、肌への負担も少ないものとなる。
前記液透過性表面シートは、厚みが0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2の不織布からなり、
前記液透過性表面シートと前記温度変化層との間における、少なくとも前記高吸収性ポリマーを有する部分と重なる部分には、他の部材を有しないものであり、
前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
前記温度変化物質の目付けは300〜800g/m2であり、
前記温度変化物質を有する部分の面積は2,500〜20,000mm2であり、
前記温度変化物質により前記温度変化層に生じうる熱量変化の総量は50cal以上であり、
前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上であり、
前記高吸収性ポリマーは吸収速度が50秒以下であり、
前記高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2であり、
前記高吸収性ポリマーを有する部分の面積は2,500〜20,000mm2である、
請求項9記載の使い捨て吸収性物品。
液透過性表面シートと吸収体との間に、温度変化物質及び高吸収性ポリマーを含む温度変化層を備えた形態では、本項記載のような構造を採用し、本項記載のような種類、性能及び量の温度変化物質及び高吸収性ポリマーを使用するのが好ましい。
前記温度変化物質を有する部分の前後両側及び幅方向両側の少なくとも一方に、前記高吸収性ポリマーを有する部分を備えている、請求項5〜10のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
吸収性物品においては、尿は吸収部分において物品前後方向及び幅方向に拡散するため、本項記載のような構造を採用することで、温度変化物質を有する部分において冷却又は加熱した尿のうち、温度変化物質を有する部分の周囲に拡散する分を高吸収性ポリマーにより効果的に吸収保持することができる。よって、物品表面のより広範囲に大きな温度変化をもたらすことができる。
<パンツ型使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させる中間シート(セカンドシート)を設けることもできるが、肌への熱伝達が阻害されるため、表面シート30と吸収要素50との間には、少なくとも後述する高吸収性ポリマーを有する部分と重なる部分、好ましくは全体にわたり、他の部材を設けないのが好ましい。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特には、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
ただし、本発明では、断熱性の観点から、比較的に通気性の低い無孔フィルムや微多孔性シートが好適である。
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む吸収体包被シート58とを有するものとなっている。しかし、後述する温度変化物質の位置によっては吸収体包被シート58が熱伝達の妨げとなるおそれがあるため、必要に応じて、図10に示すように吸収体包被シート58を省略することもできる。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。液保持性の観点からは親水性繊維又は親水化処理された繊維が好ましい。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
吸収体包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
吸収体56と液不透過性シート11(裏面側シートに相当する)との間には断熱層57が設けられている。断熱層57は、基本的に吸収要素50と同様の構造を採用することができる。この場合において、断熱層57を吸収要素50と全く同じ構成としても良いが、必要に応じて一部の素材や寸法、含有量、物性等を吸収要素50に対して異ならしめることもできる。断熱層57は各種の不織布により構成しても良い。特に、断熱層57を構成する繊維の密度は、吸収要素50を構成する繊維の密度よりも低くなっていることが好ましい。
特に好ましいのは、断熱層57の繊維密度が0.5〜1.5g/m3となり、吸収体56の繊維密度が2.25〜6.75g/m3の範囲内で断熱層57の繊維密度の4.5倍以上となるように吸収体56及び断熱層57を構成する形態である。
また、最初の排尿の大部分を吸収体56内に保持するために、吸収体56を構成する繊維の親水度及び/又は保水量を、断熱層57を構成する繊維の親水度及び/又は保水量よりも高くすることも好ましい。吸収体56を構成する繊維の保水量は、8cc/g以上、特に10cc/g以上が好ましく、断熱層57を構成する繊維の保水量は、8cc/g以下、特に5cc/g以下が好ましい。
1.200ccビーカーに20℃のイオン交換水200ccを入れる。
2.その中に繊維集合体1gを入れ、ガラス棒で30秒間攪拌する。
3.内径62mmのブフナー漏斗を支持台にセットし、ビーカー内の試料および水を10秒間で流し込み、自然ろ過する。
4.底面が直径60mmで、重さ1450gの円筒形の重りを試料の上に載せ、1分間放置する。(10cm四方あたりの荷重は5kgとなる。)
5.繊維の重量を量り、前後の重量差から繊維の保水量(1g=1ccとする)を求め、この保水量を繊維1gあたりに換算して、繊維1gあたりの保水量とする。
なお、試料が不織布等のシート状物である場合は、1gのシートを長さ20mm×幅2mmで、厚さ2mm以下にカットしたものを用いて測定する。
表面シート30と断熱層57との間には温度変化物質40が含有される。温度変化物質40は、尿に接触して溶解熱、水和熱、又は反応熱等により熱を吸収又は放出し、尿を冷却又は加熱するものであり、粒子状(粉体状含む)のものが好適に用いられるが、繊維状、シート状等の他の形状のものを用いることもできる。尿への溶解により熱を吸収する温度変化物質40の例としては、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の含水塩、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム等の無水塩、尿素、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等を挙げることができる。尿への溶解により熱を放出する温度変化物質40の例としては、塩化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化アルミニウムカリウム等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。尿への溶解により吸熱又は放熱する物質を用いる場合、尿への溶解度が低いと、十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、20cal/g以上の温度変化を生じるものが好ましく、35cal/g以上の温度変化を生じるものがより好ましい。
第1の好ましい形態は、例えば図3等に示すように、吸収要素50における吸収体包被シート58内において、高吸収性ポリマーを少なくとも表面側層に含む吸収体56の表面上に温度変化物質40を配置する形態である。
液透過性表面シート30の素材:不織布
液透過性表面シート30の厚み:0.1〜0.5mm
液透過性表面シート30の目付けが10〜40g/m2
吸収体包被シート58の素材:クレープ紙またはSMS不織布
吸収体包被シート58の厚み:0.05〜0.2mm
吸収体包被シート58の目付け:5〜25g/m2
温度変化物質の種類:尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するもの。
温度変化物質の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):30g以上、特に50g以上
温度変化物質40の目付け:300〜800g/m2
温度変化物質40を有する部分の面積:2,500〜20,000mm2
温度変化物質40により吸収体56に生じうる熱量変化の総量:50cal以上、特に150cal以上
温度変化物質40を有する部分の単位面積当たりに生じうる熱量変化:1cal/cm2以上、特に2.5cal/cm2以上
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーの吸収速度:50秒以下、特に40秒以下
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーを有する部分の面積:2,500〜20,000mm2
液透過性表面シート30の素材:不織布
液透過性表面シート30の厚み:0.1〜0.5mm
液透過性表面シート30の目付けが10〜40g/m2
吸収体包被シート58の素材:クレープ紙またはSMS不織布
吸収体包被シート58の厚み:0.05〜0.2mm
吸収体包被シート58の目付け:5〜25g/m2
温度変化物質の種類:尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するもの。
温度変化物質の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):30g以上、特に40g以上
温度変化物質の目付け:300〜800g/m2
温度変化物質を有する部分の面積:2,500〜20,000mm2
温度変化物質により温度変化シート42に生じうる熱量変化の総量:50cal以上、特に150cal以上
温度変化物質を有する部分の単位面積当たりに生じうる熱量変化:1cal/cm2以上、特に2.5cal/cm2以上
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーの吸収速度:50秒以下、特に40秒以下
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2
温度変化した尿を吸収する高吸収性ポリマーを有する部分の面積:2,500〜20,000mm2
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
液透過性表面シート30:厚み2mm、目付け25g/m2のPE/PP複合繊維からなるエアスルー不織布。
吸収体56:繊維密度3.7g/cm3のフラッフパルプ(高吸収性ポリマーを分散含有)。
吸収体56の寸法:前後方向中央を基準として前側に205mmの位置から後側に190mmの位置まで、且つ幅方向中央を基準として、左側に70mmの位置から右側に70mmの位置まで。面積は55,300mm2。厚みは2mm。
吸収体包被シート58:厚み1mm、目付けが15g/m2のクレープ紙。
温度変化物質40の種類:ソルビトール(溶解熱はマイナス26cal/g、東和化成工業株式会社製「ソルビット」)
温度変化物質40の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):70g。
温度変化物質40を有する部分の寸法:前後方向中央を基準として前側に160mmの位置から後側に40mmの位置まで、且つ幅方向中央を基準として、左側に50mmの位置から右側に50mmの位置までの矩形範囲。面積は20,000mm2。
温度変化物質40により吸収体56に生じうる熱量変化の総量:208cal(ソルビトール400gsmの場合)。
温度変化物質40を有する部分の単位面積当たりの熱量変化:1.04cal/cm2(ソルビトール400gsmの場合)。
高吸収性ポリマーの吸収速度:35秒。
吸収体56における高吸収性ポリマーの目付け:150g/m2(吸収体56の厚み方向に均一に分散されている)。
高吸収性ポリマーを有する部分の寸法:(吸収体56の全体)。
各サンプルで温度37℃のお湯を入れたビーカーを包み(サンプル内面をビーカーに接触させる)、温度20℃、湿度50%RHの雰囲気下に保持し、ビーカー内のお湯の温度を温度計で所定時間毎に測定した。測定結果を図16に示した。このグラフからも判るように、本発明に係る実施例1及び実施例2のサンプルは、比較例と比べて断熱性が高く、より長時間にわたりおむつ内部の温度を維持できることが判明した。この結果から、温度変化物質による温度変化を行ったときの温度変化維持についても、同様の結果となることが予測される。
Claims (11)
- 液透過性表面シートと、
裏面側シートと、
これら表面シートと裏面側シートとの間に設けられた、尿を吸収保持する吸収体と、
前記吸収体と裏面側シートとの間に設けられた断熱層と、
前記表面シートと前記断熱層との間に含有された、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質と、
を備えたことを特徴とする使い捨て吸収性物品。 - 前記吸収体は繊維密度が2.25〜6.75g/m3の繊維集合体から形成されており、
前記断熱層は繊維密度が0.5〜1.5g/m3の繊維集合体から形成されており、且つ
前記吸収体の繊維密度が前記断熱層の繊維密度の4.5倍以上である、
請求項1記載の使い捨て吸収性物品。 - 前記断熱層は前記吸収体とは別に、前記断熱層より繊維密度の高い繊維集合体からなる断熱層包被シートにより包まれている、請求項1又は2記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記断熱層は、前記吸収体の裏面のうち50%以上の面積を覆っている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記吸収体は、高吸収性ポリマーを少なくとも表面側層に含んでおり、
前記温度変化物質は前記吸収体の表面上に配置されており、
これら吸収体及び温度変化物質が吸収体包被シートにより包まれている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。 - 前記吸収体は裏面側よりも表面側のほうが前記高吸収性ポリマーの密度が高くなっている、請求項5記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記吸収体の表面上に、前記温度変化物質及び高吸収性ポリマーを含有する温度変化層が設けられており、
これら吸収体及び温度変化層が吸収体包被シートにより包まれている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。 - 前記液透過性表面シートは、厚みが0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2の不織布からなり、
前記吸収体包被シートは、厚みが0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2のクレープ紙または不織布からなり、
前記液透過性表面シートと前記吸収体との間における、少なくとも前記高吸収性ポリマーを有する部分と重なる部分には、他の部材を有しないものであり、
前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
前記温度変化物質の目付けは300〜800g/m2であり、
前記温度変化物質を有する部分の面積は2,500〜20,000mm2であり、
前記温度変化物質により前記吸収体に生じうる熱量変化の総量は50cal以上であり、
前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上であり、
前記高吸収性ポリマーは吸収速度が50秒以下であり、
前記高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2であり、
前記高吸収性ポリマーを有する部分の面積は2,500〜20,000mm2である、
請求項5〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。 - 前記表面シートと前記吸収体との間に、前記温度変化物質及びこの温度変化物質により冷却又は加熱した尿を吸収保持する高吸収性ポリマーを含む温度変化層が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
- 前記液透過性表面シートは、厚みが0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2の不織布からなり、
前記液透過性表面シートと前記温度変化層との間における、少なくとも前記高吸収性ポリマーを有する部分と重なる部分には、他の部材を有しないものであり、
前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
前記温度変化物質の目付けは300〜800g/m2であり、
前記温度変化物質を有する部分の面積は2,500〜20,000mm2であり、
前記温度変化物質により前記温度変化層に生じうる熱量変化の総量は50cal以上であり、
前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上であり、
前記高吸収性ポリマーは吸収速度が50秒以下であり、
前記高吸収性ポリマーの目付けは50〜400g/m2であり、
前記高吸収性ポリマーを有する部分の面積は2,500〜20,000mm2である、
請求項9記載の使い捨て吸収性物品。 - 前記温度変化物質を有する部分の前後両側及び幅方向両側の少なくとも一方に、前記高吸収性ポリマーを有する部分を備えている、請求項5〜10のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
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