JP2009205963A - マグネトロン - Google Patents
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Abstract
【課題】陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を導くことができて、磁気回路効率の更なる向上が図れるマグネトロンを得る。
【解決手段】外径が環状磁石13A,13Bの外径と同等か又はそれ以下で、且つ陽極筒体11の外径と同等かそれ以上であり、更に内周端から外周端に向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成された磁石リング20を設ける。この磁石リング20は、従来のような切り起し部や突起部も無いことから磁束線の流れを阻害してしまうことがなく、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を流すことが可能となる。したがって、磁気回路効率の更なる向上が図れる。
【選択図】図2
【解決手段】外径が環状磁石13A,13Bの外径と同等か又はそれ以下で、且つ陽極筒体11の外径と同等かそれ以上であり、更に内周端から外周端に向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成された磁石リング20を設ける。この磁石リング20は、従来のような切り起し部や突起部も無いことから磁束線の流れを阻害してしまうことがなく、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を流すことが可能となる。したがって、磁気回路効率の更なる向上が図れる。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子レンジ等のマイクロ波利用機器に用いられるマグネトロンに関する。
上述したマグネトロンには、陰極構体の周りの作用空間への磁力の向上を図る目的で、内壁面に複数のアノードベインが放射状に配設された陽極筒体と該陽極筒体の開口端側に配設される環状磁石との間に磁性材料からなる磁石リング(収束板あるいはシム板とも呼ばれる)を配設したものがある(例えば特許文献1参照)。磁石リングを配設することで、陰極構体の周りの作用空間に多くの磁束を導くことができ、磁気回路効率の向上が図れる。
ところで、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を導くことは磁気回路効率を向上させるうえで重要であるが、従来のマグネトロンの磁石リングは均一な厚さであるため、磁束を陰極構体の周りの作用空間へ導くのにあまり寄与していない外周側でも磁束を引き寄せており、磁気回路効率の向上に限界がみえていた。
また、従来のマグネトロンの磁石リングは環状の一様な形状を成し、径方向に対して規制できず、自由な状態にあるため、マグネトロンの製造工程においてその位置決めが困難であり、環状磁石および陽極筒体の径方向に対して中心軸がずれた状態になることが多い。磁石リングの中心軸ずれが生じた場合は、陰極構体の周りの作用空間における磁気特性が設計通りにならず、発振が不安定になり、目的とした発振効率が得られない問題が生じる。この問題に対し、特許文献1で開示されたマグネトロンでは、図14の斜視図と図15の部分断面図に示すように、磁石リング100の外周部に切り起こし部100aを設けて、この切り起こし部100aと環状磁石110の陰極構体側の外周部とを嵌合させて位置決めし、磁石リング100と環状磁石110の径方向の位置ずれを防止するようにしている。なお、特許文献1では、他の例として、切り起こし部を内周部に設けたものや、環状磁石と接する側の全面に任意の個数の突起部を設けたものも開示されている。
しかしながら、特許文献1で開示されたマグネトロンは、環状磁石と磁石リングの位置ずれを抑制する目的で、磁石リングの外周部や内周部に切り起しを設けたり、全面に任意の個数の突起部を設けたりしているが、これらの切り起し部や突起部が磁束線の流れを阻害し、磁気回路効率を低下させるという問題がある。
この発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を導くことができて、磁気回路効率の更なる向上が図れるマグネトロンを提供することを目的とする。
本発明のマグネトロンは、内壁面に複数のベインが放射状に配設された陽極筒体と、前記陽極筒体の開口端側に近接配設された環状磁石と、前記陽極筒体と前記環状磁石との間に配設された磁性材料からなる磁石リングと、を備えたマグネトロンであって、前記磁石リングは、その外径が前記環状磁石の外径と同等か又はそれ以下で、且つ前記陽極筒体の外径と同等かそれ以上であり、更に前記陽極筒体の外径と対応する位置から前記環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みとその他の部分の厚みが異なることを特徴とする。
この構成によれば、環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みとその他の部分の厚みが異なるので、従来のような切り起し部や突起部が磁束線の流れを阻害してしまうことがなく、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を流すことが可能となり、磁気回路効率の向上が図れる。また、従来のような陽極筒体の開口部に径大なシールフランジを接合し、そのシールフランジに磁石リングを接合する構成を採らず、陽極筒体と磁石リングが別体となるので、組立てを容易に行うことが可能となる。
磁石リングにおける厚みの違いは具体的には以下の通りである。
・陽極筒体の外径と対応する位置から環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みをその他の部分の厚みより薄くする。
・陽極筒体の外径と対応する位置から環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分を部分的に薄くする。
・陽極筒体の外径と対応する位置から環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みをその他の部分の厚みより薄くする。
・陽極筒体の外径と対応する位置から環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分を部分的に薄くする。
また、磁石リングの外周の周縁部を陽極筒体に向けて折り曲げられている部分と平らな部分を周期的に配置した形状とすることで、陰極構体の周りの作用空間への磁束の流入量の増大と、陽極筒体と磁石リングの位置決めを同時に達成することができる。すなわち、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化を同時に達成することができる。
また、上記マグネトロンを電子レンジ等のマイクロ波利用機器に適用することで、より高性能化が図れる。
本発明のマグネトロンでは、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化が図れる。
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るマグネトロンの一部破断図と、磁気ヨーク内の陽極筒体、環状磁石及び冷却フィン等を示す図である。また、図2は図1のマグネトロン1のA部分を拡大した図である。図1及び図2において、磁気ヨーク10内には、両側開口端のそれぞれにポールピース12が固着された陽極筒体11と、陽極筒体11の上部の直上及び下部の直下のそれぞれ配設されたドーナツ形状の環状磁石13A,13Bと、アノード側の側管14とが配設され、さらに側管14の上部の一部分と環状磁石13Aとの間並びに側管14の下部の一部分と環状磁石13Bとの間のそれぞれに磁石リング20が配設される。
陽極筒体11の外周面には冷却フィン16が嵌着されており、また陽極筒体11の内周面には複数のアノードベイン17が放射状に配設されている(図1では、アノードベイン17が1枚のみ示されている)。また、陽極筒体11の中心部には陰極構体19が配設されており、この陰極構体19とアノードベイン17で囲まれた空間が作用空間18となる。ポールピース12は、鉄などの磁気抵抗の小さい磁性体の板材を絞り加工などにより漏斗状に形成されている。
磁石リング20は、その外径が環状磁石13A,13Bの外径と同等か又はそれ以下で、且つ陽極筒体11の外径と同等かそれ以上の大きさに形成されている。また、図3に示すように、その内周端から外周端に向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成されている。図3は磁石リング20の一部分の断面図と該部分の下面側を示す図である。磁石リング20の厚さを全体的に均一にするのではなく内周側を厚くし外周側を薄くすることで、環状磁石13A,13Bで発生した磁束の多くが内側へ向かうようになる。すなわち、陰極構体19の周りの作用空間18により多くの磁束が流れるようになる。陰極構体19の周りの作用空間18により多くの磁束が流れることで、磁気回路効率の向上が図れる。
図4は磁石リング20を使用した場合の陰極近傍の磁場分布を示す模式図、図5は従来の厚さが均一の磁石リング200を使用した場合の陰極近傍の磁場部分を示す模式図である。また、図6は、磁場解析部分を拡大した図であり、矢印Bで示す位置が陰極近傍、矢印Cで示す部分が磁場分布グラフ化部である。図7は、図6の陰極近傍BでX軸方向の範囲をX=−5〜5mmとしたときの磁束密度をグラフ化した図であり、横軸が距離(mm)、縦軸が磁束密度B(mT)である。図7において、Cv1は本発明の磁石リング20を使用したときの磁束密度の特性であり、Cv2は従来の磁石リング200を使用したときの磁束密度の特性である。本発明の磁石リング20の方が13(mT)程高くなっていることが分かる。
このように本実施の形態のマグネトロン1によれば、外径が環状磁石13A,13Bの外径と同等か又はそれ以下で、且つ陽極筒体11の外径と同等かそれ以上であり、更に内周端から外周端に向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成された磁石リングを有するので、従来のような切り起し部や突起部が磁束線の流れを阻害してしまうことがなく、陰極構体の周りの作用空間により多くの磁束を流すことが可能となり、磁気回路効率の向上が図れる。また、従来のような陽極筒体の開口部に径大なシールフランジを接合し、そのシールフランジに磁石リングを接合する構成を採らず、陽極筒体と磁石リングが別体となるので、組立てを容易に行うことが可能となる。
なお、上記実施の形態では、内周端から外周端に向けて徐々に厚さが薄くなるテーパ状に形成した磁石リング20を用いたが、磁石リングの形状に限定されるものではなく様々な形状が考えられる。以下に磁石リング20の応用例を挙げる。
まず図8に示す磁石リング20Aは、外周側の周縁部20Aaを薄く、それ以外の部分20Abを厚くしたものである。この場合、周縁部20Aaを徐々に薄くなるようにしたのではなく階段状になるようにした。
次に、図9に示す磁石リング20Bは、図8に示す磁石リング20Aと略同様に階段状に厚さを違えているが、外周側の周縁部20Baの先端を傾斜面にした点に違いがある。
次に、図10に示す磁石リング20Cは、図3に示す磁石リング20と略同様にテーパ形状であるが、テーパ開始点が内周端ではなく、やや中央に寄った点から開始する点に違いがある。また、テーパ開始点が陽極筒体11の外径から磁石13A(13B)の外径との間の位置に来る。
次に、図11に示す磁石リング20Dは、図8に示す磁石リング20Aと略同様に外周側の周縁部20Daを薄く、それ以外の部分20Dbを厚くしたものであるが、外周端から陽極筒体11側へ垂直に折り曲げた切り起し部20Dcを一定間隔で形成したものである。すなわち、磁石リング20Dは外周端から陽極筒体11側へ折り曲げた箇所と略平らな箇所を周期的に形成し切り起し部20Dcからの磁気漏れを防ぎ、作用空間の磁界分布を安定させたものである。
切り起し部20Dcは、アノード側の側管14への係止を可能にするものであり、磁石リング20Dの径方向に対する位置ずれを防止する。磁石リング20Dの位置ずれを防止することで、磁束が安定し作用空間の磁界分布が安定する。なお、切り起し部20Dcを磁石リング20Dの周方向に沿って複数個設けたことで、陽極筒体11と磁石リング20Dの位置決めをより強固にすることが可能となる。また、切り起し部20Dcを設ける位置が磁石リング20Dの外周端ではなく、Db〜Da部が他の部分より薄厚であるため、磁束線の流れを阻害することが殆どなく磁気回路効率を低下させる問題は生じない。この磁石リング20Dは、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化を同時に達成することができる。
次に、図12に示す磁石リング20Eは、外周端から陽極筒体11側へ折り曲げている折り曲げ部20Eaとそうでない平らな平坦部20Ebを周方向に沿って交互に形成したものである。平坦部20Ebの厚さは、それ以外の部分20Ecより薄くなっている。また、折り曲げ部20Eaの先端が陽極筒体11の外径と対応する位置に来る。
折り曲げ部20Eaは、図11に示す磁石リング20Dの切り起し部20Daと比べて幅が狭く高さが低くなっているが、切り起し部20Daと同様に、アノード側の側管14への係止を可能にするものであり、磁石リング20Eの径方向に対する位置ずれを防止する。磁石リング20Eの位置ずれを防止することで、磁束が安定し作用空間の磁界分布が安定する。なお、折り曲げ部20Eaを磁石リング20Eの周方向に沿って複数個設けたことで、陽極筒体11と磁石リング20Eの位置決めをより強固にすることが可能となる。また、折り曲げ部20Eaを設ける位置が磁石リング20Eの外周端ではないので、磁束線の流れを阻害することが殆どなく磁気回路効率を低下させる問題は生じない。この磁石リング20Eは、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化を同時に達成することができる。
次に、図13に示す磁石リング20Fは、外周の周縁部20Faの厚さをその他の部分20Fcより薄くし、さらに外周の周縁部20Faより内周側に周方向に沿って複数の突起部20Fbを一定間隔で形成したものである。突起部20Fbは、図12に示す磁石リング20Eの部分20Ea同様に、アノード側の側管14への係止を可能にするものであり、磁石リング20Fの径方向に対する位置ずれを防止する。磁石リング20Fの位置ずれを防止することで、磁束が安定し作用空間の磁界分布が安定する。
なお、突起部20Fbを磁石リング20Fの周方向に沿って複数個設けたことで、陽極筒体11と磁石リング20Fの位置決めをより強固にすることが可能となる。また、突起部20Fbを設ける位置が磁石リング20Fの外周端ではないので、磁束線の流れを阻害することが殆どなく磁気回路効率を低下させる問題は生じない。この磁石リング20Fでは、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化を同時に達成することができる。
本発明は、磁気回路効率の向上と作用空間の磁界分布の安定化が図れると言った効果を有し、電子レンジ等のマイクロ波利用機器への適用が可能である。
1 マグネトロン
10 磁気ヨーク
11 陽極筒体
12 ポールピース
13A、13B 環状磁石
14 アノード側の側管
16 冷却フィン
17 アノードベイン
18 作用空間
19 陰極構体
20、20A〜20F 磁石リング
20Dc 切り起し部
20Ea 折り曲げ部
20Fb 突起部
10 磁気ヨーク
11 陽極筒体
12 ポールピース
13A、13B 環状磁石
14 アノード側の側管
16 冷却フィン
17 アノードベイン
18 作用空間
19 陰極構体
20、20A〜20F 磁石リング
20Dc 切り起し部
20Ea 折り曲げ部
20Fb 突起部
Claims (5)
- 内壁面に複数のベインが放射状に配設された陽極筒体と、
前記陽極筒体の開口端側に近接配設された環状磁石と、
前記陽極筒体と前記環状磁石との間に配設された磁性材料からなる磁石リングと、
を備えたマグネトロンであって、
前記磁石リングは、その外径が前記環状磁石の外径と同等か又はそれ以下で、且つ前記陽極筒体の外径と同等かそれ以上であり、更に前記陽極筒体の外径と対応する位置から前記環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みとその他の部分の厚みが異なることを特徴とするマグネトロン。 - 前記磁石リングは、前記陽極筒体の外径と対応する位置から前記環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分の厚みがその他の部分の厚みより薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
- 前記磁石リングは、前記陽極筒体の外径と対応する位置から前記環状磁石の外径と対応する位置までの間の部分が部分的に薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
- 前記磁石リングは、外周の周縁部が前記陽極筒体に向けて折り曲げられている部分と平らな部分が周期的に配置された形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマグネトロンを備えたことを特徴とするマイクロ波利用機器。
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JP2008047975A JP2009205963A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | マグネトロン |
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CN112117172B (zh) * | 2020-09-16 | 2022-08-19 | 湖南航天磁电有限责任公司 | 一种磁控管 |
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