JP2009203887A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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小久保  直樹
Yoshiyuki Kobayashi
喜幸 小林
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Abstract

【課題】いかなる機関運転状態においても、安定した位相角保持性能と、迅速な位相変換性能が得られるバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】第1電磁コイル20への通電によって渦ディスク13に電磁ブレーキ力を付与して、タイミングスプロケット2とカムシャフト1との相対回動位相を変更する。機関運転状態に応じて皿ばね29のばね力によって前記渦ディスクを係合ピン11側へ押し付けて所定の相対回転位置に保持すると共に、第2電磁コイル33への通電及び通電量の制御により発生する電磁吸引力によって前記渦ディスクを前記皿ばねのばね力に抗して前方へ移動させることによって前記保持力を解除して速やかな相対回転位相の変換を行うと共に、内部フリクションを制御してVTCの最適な作動性を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸気弁または排気弁の開閉タイミングを、例えばヒステリシスブレーキを用いて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されるようなものがある。
このバルブタイミング制御装置は、機関のクランクシャフトから回転力が伝達されるタイミングスプロケットと、該タイミングスプロケットに対して所定の角度範囲内で相対回転自在に支持されたカムシャフトと、該カムシャフトに連結されたスリーブと、前記タイミングスプロケットと前記スリーブとの間に設けられ、機関運転状態に応じて前記タイミングスプロケットとカムシャフトの相対回転位相を変更させる位相変更機構とを備えている。
この位相変更機構は、前記タイミングスプロケットに形成された径方向ガイド窓と、渦ディスクに形成された渦巻き状ガイド(渦巻き溝)と、基端部が前記スリーブに回転自在に設けられて、先端部が前記径方向ガイド内を径方向移動可能に配置されたリンク部材と、該リンク部材の先端部に設けられて、先端の球状部が前記渦巻き状ガイドに係合した係合部と、機関運転状態に応じて前記渦ディスクにブレーキ力を付与するヒステリシスブレーキとを備えている。
そして、ヒステリシスブレーキの電磁コイルに通電して、ヒステリシス材を介して前記渦ディスクに電磁ブレーキを作用させる。これによって、前記係合部が径方向ガイド窓に沿って径方向に移動しつつ渦巻き状ガイド内を摺動して、前記タイミングスプロケットと前記スリーブ(カムシャフト)とを所定の角度範囲内で相対的に回転させる。これにより、吸気弁の開閉タイミングを機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
特開2005−299604号公報
一般に前述のようなバルブタイミング制御装置にあっては、機関始動時に、特に前記タイミングスプロケットとスリーブとの相対回転位相の検出周期が長いクランキング時などの状況下では、始動に適した任意の位置で前記相対回転位置を保持した状態で機関を始動したいという要求と、機関始動後は、機関の運転変化に応じて前記相対回転位相を応答性良く高速で変換したいという要求の二律相反した制御が求められている。
ところが、前記従来のバルブタイミング制御装置では、主として通常運転時の良好な応答性を得るために高速な位相変換速度になるように設定されている。したがって、例えば機関始動時の任意の相対回転位相角に保持することは困難であった。
本発明は、前記従来の技術的課題を解決するために案出されたもので、請求項1に記載の発明は、クランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、カムシャフトに前記駆動回転体からの回転力を伝達する従動回転体と、互いに当接状態に配置された複数の構成部材が相対移動することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する位相変更機構と、少なくとも前記一方の構成部材が他方の構成部材に対して相対移動する際における移動抵抗を調整可能な抵抗調整機構と、を備えたことを特徴としている。
この発明によれば、位相変更機構による相対回転位相の変更時において、抵抗調整機構によって前記一方および他方の構成部材の移動抵抗(フリクション)を自由に調整することによって、例えば、機関の低温始動時には、前記フリクションを大きくして位相変更機構による始動に適した相対回転位相位置に保持することができると共に、定常運転時には、前記フリクションを十分に低下させて、所望の相対回転位相角に速やかに変更させることができる。
したがって、いかなる相対回転位相角の状態においても、該位相角を保持することによって安定した位相角保持性能が得られ、また前記大きなフリクションを低下させることによってその後の迅速な位相変更性能が得られ、これらの両立が可能になる。
しかも、前述のように、位相変更時のフリクションの大きさを自由に調整することができるので、例えばアイドリング運転中における前記位相変更速度を任意に変化させることによって、燃費の向上や機関回転の安定化などが図れる。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の各実施例を図面に基づいて説明する。なお、この各実施例では、内燃機関の吸気側の動弁装置に適用したものであるが、排気側の動弁装置に同様に適用することも可能である。
〔第1実施例〕
このバルブタイミング制御装置(VTC)は、図1及び図2に示すように、内燃機関の図外のシリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端側に配置されて、該カムシャフト1と相対回転可能な駆動回転体であるタイミングスプロケット2と、該タイミングスプロケット2の内周側に配置されて、両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3とを備えている。
前記カムシャフト1は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つのカム1a、1aを有すると共に、先端部に従動回転体である従動軸部材4がカムボルト5によって軸方向から結合され、この従動軸部材4の先端部にスリーブ6が圧入固定されている。
前記従動軸部材4は、前記カムボルト5が内部の貫通孔を介して挿通する円筒状の軸部4aと、該軸部4aのカムシャフト1側の端縁に一体に形成された大径フランジ状の拡径部4bとを備えている。
また、前記スリーブ6は、前記従動軸部材4の軸部4aの先端部外周に圧入によって固定されていると共に、先端部の外周に環状溝6aが形成されている。また、スリーブ6の先端部の内周縁には、前記カムボルト5の良好な挿通性を得るためのテーパ面6bが形成されていると共に、前記環状溝6aの後方側近傍には、後述するコイルスプリング16の一端部16aを係止させる係止孔6cが径方向から貫通形成されている。
前記タイミングスプロケット2は、外周に図外のタイミングチェーンを介してクランク軸に連係されるリング状のギア歯車2aが外周に一体に形成されていると共に、このリング状歯車部2aの内周側にほぼ円板状のプレート部材2bを有している。また、このプレート部材2bの中央に形成された挿通孔2cの内周面が前記従動軸部材4の軸部4aの外周に回転自在に支持されている。
また、前記プレート部材2bには、対面する平行な側壁を有する径方向ガイドである2つ径方向窓孔7,7がタイミングスプロケット2のほぼ直径方向に沿うように貫通形成されていると共に、この2つの径方向窓孔7、7の間に、2つのリンク部材8,8の各基端部8a、8aが周方向へ移動可能に係入保持される2つのガイド孔2d、2dが貫通形成されている。この各ガイド孔2d、2dは、前記挿通孔2cの外周部に円周方向に沿って円弧状に形成されて、その軸方向の長さが前記各基端部8a、8aが移動する範囲内(カムシャフト1とタイミングスプロケット2の相対回動範囲内)の大きさに設定されている。
前記各リンク部材8は、それぞれがほぼ円弧状に折曲形成されて、一端側の前記各基端部8aが円筒状に形成されている一方、他端側の各先端部8b、8bも円筒状に形成されて、それぞれがプレート部材2b方向に突設されている。また、前記従動軸部材4の拡径部4bのカムシャフト1側の端部内周側に2つの突起4cが一体に突設され、この各突起4c、4cの内部にそれぞれ貫通形成された各保持孔に各ピン9、9の一端部が圧入固定されていると共に、該ピン9,9の他端部に前記各リンク部材8、8の各基端部8a、8aが回転自在に連結されている。
また、各リンク部材8、8は、先端部8b、8bが前記各径方向窓孔7,7に係入していると共に、この先端部8b、8bには、軸方向前方側に開口する収容穴10が形成され、この収容穴10に、前記各径方向窓孔7,7を介して、後述する渦ディスク13の渦巻き溝15に係合する球面状の先端部を有する係合部材である係合ピン11と、この係合ピン11を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね12とが収容されている。
そして、各リンク部材8は、各先端部8bが対応する各径方向窓孔7に係入した状態において、各基端部8a、8aがピン9、9を介して前記従動軸部材4に連結されているため、リンク部材8の先端部8b、8b側が、外力を受けて各径方向窓孔7に沿って変位すると、タイミングスプロケット2と従動軸部材4とは、各リンク部材8、8の基端部8a、8aが各ガイド孔2d、2dに沿って移動して、各先端部8b、8bの変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
一方、前記軸部4aの外周には、前記プレート部材2bの前方側に対向配置された中間回転体である円板状の渦ディスク13が回転自在に支持されている。この渦ディスク13は、軸部4aの外周面に摺動自在に支持された内周部13aと、該内周部13aの外周側に有するディスク部13bとから構成されている。前記内周部13aは、ほぼ円筒状に形成されていると共に、前端側内部に形成された円環溝13cを介して内周側筒部と外周側筒部とを備えている。
また、前記ディスク部13bのカムシャフト1側の後面に、ガイドである断面半円状の2条の渦巻き溝15が形成されている。この各渦巻き溝15には、前記各リンク部材8の各係合ピン11の先端部が摺動自在に係合案内されている。
前記各渦巻き溝15は、互いに分離されて、タイミングスプロケット2の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されていると共に、最外周側の先端溝部15aが所定の角度をもって内方へ屈曲(偏曲)形成されており、該先端溝部15aは、その長手方向のほぼ中央位置から先端側がさらに内方へ小さな角度で内方に屈曲形成されている。
すなわち、この各渦巻き溝15は、それぞれの先端溝部15a以外の一般部位15bは渦(位相)の変化率が一定に形成されているが、先端溝部15aは、渦の変化率が前記内方へ屈曲した偏曲部から先端に向かって一般部位15bに比較して小さく形成されて渦ディスク13の接線方向に沿ってほぼ直線状に形成されており、この先端溝部15aの長さが比較的長く設定されている。また、この先端溝部15aは、長手方向のほぼ中央部位(屈曲部)から先端部位がさらに極小さな角度で内方に屈曲形成されている。
そして、前記各係合ピン11が渦巻き溝15に係合した状態において、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対して遅れ方向に相対回動すると、各リンク部材8の先端部8bは、各径方向窓孔7に案内されつつ渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側(進角側)に移動し、逆に、渦ディスク13が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動して、係合ピン11が前記渦巻き溝15の偏曲部に位置した状態で最遅角側に制御される。
さらに、前記係合ピン11が前記渦巻き溝15の先端溝部15aの先端部域に位置すると、機関の始動に適した僅かに進角側の位置となるように制御されるようになっている。
前記渦ディスク13は、カムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が各渦巻き溝15と各係合ピン11の先端部を通してリンク部材8の先端部8bを各径方向窓孔7内で径方向に変位させ、このときリンク部材8の作用でもってタイミングスプロケット2と従動軸部材4に相対的な回動力を伝達する。
前記回動操作力を付与する機構は、図1及び図2に示すように、渦ディスク13を、前記スリーブ6を介してタイミングスプロケット2の回転方向(進角側)に付勢するトーションスプリング16と、渦ディスク13をタイミングスプロケット2の回転方向と逆方向(遅角側)に制動付勢する電磁ブレーキ機構であるヒステリシスブレーキ17と、該ヒステリシスブレーキ17の制動力を機関運転状態に応じて制御する図外の位相制御手段である電子コントローラ(ECU)とを備え、機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ17の制動力を適宜制御することにより、渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して相対回動させ、あるいは両者の回動位置を維持するようになっている。
前記トーションスプリング16は、前記スリーブ6の外周側に配置され、その一端部16aが前記スリーブ6の係止孔6cに径方向から挿通係止されている一方、他端部16bが前記内周部13aの内部軸方向に形成された係止孔に挿通係止されて、機関停止後に前記渦ディスク13を始動用の回転位相方向へ回転付勢するようになっている。
一方、前記ヒステリシスブレーキ17は、渦ディスク13の外周側前端部にビスによって固定された非磁性材の環状プレート14と、該環状プレート14の前端面に固定されたヒステリシスリング18と、該ヒステリシスリング18の前端部に配置された円環状の第1コイルヨーク19と、該第1コイルヨーク19の内部に収容配置されて、該第1コイルヨーク19に磁気を誘導する第1電磁コイル20と、を備えている。
前記環状プレート14は、オーステナイト系ステンレス材によって所定幅の円環状に形成されて、前記渦ディスク13の外周側前端面に溶接によって固定され、その外径が前記渦ディスク13の外径よりも大きく設定されている。
前記ヒステリシスリング18は、図1に示すように、その径方向の幅が前記環状プレート14の幅よりも十分に小さく設定された小さな円筒状に形成されて、前記環状プレート14の前端面の径方向の外周側に溶接によって固定されていると共に、前記外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束が変化する特性をもつヒステリシス材(半硬質材)によって形成されている。
前記第1コイルヨーク19は、断面ほぼコ字形状に形成されており、内周側のインナーステータ22と、外周側のアウターステータ23と、該両ステータ22,23の前端側を一体に結合する環状ヨーク24とから構成されて、これらの内部に前記第1電磁コイル20を取り囲むように全体がほぼ円筒形状に形成されている。
前記インナーステータ22は、外周側に圧入などによって一体的に固定された環状ステータ部22aを有すると共に、内周面と前記渦ディスク内周部13aとの間に、前記渦ディスク13をインナーステータ22に回転自在に支持させるボールベアリング25が設けられている。
このボールベアリング25は、前記渦ディスク内周部13aの先端側外周面に嵌着固定されたCリング46によって軸方向外方への移動が規制されるようになっていると共に、前記ヒステリシスブレーキ17全体と渦ディスク13とを一緒に軸方向へ移動可能に連結するようになっている。
また、前記インナーステータ22(環状ステータ部22a)とアウターステータ23は、内外周側に一定の所定幅の隙間を介して径方向から対向する凸状のS極となるインナー極歯26と、N極となるアウター極歯27がそれぞれ円周方向へ等間隔で複数設けられている。前記対向するインナー極歯26とアウター極歯27は、それぞれ円周方向へ交互に配置されて、対向する前記内外周面相互の近接する極歯26,27がすべて円周方向にずれている。
したがって、各極歯26,27の両対向面の近接する各極歯26,27間には、基本的に第1電磁コイル20の励磁によってヒステリシスリング18内を通る円周方向に傾きをもった磁界が発生する。
また、極歯26,27の各対向面と前記ヒステリシスリング18の内外周面とは、エアーギャップをもって非接触状態で径方向から対向しており、このエアーギャップは、大きな磁力を確保するために微小隙間に設定されている。
前記環状ヨーク24には、円周方向の所定位置に前記第1電磁コイル20の図外のハーネスを貫通させて前記電子コントローラに案内する貫通孔24aが穿設されていると共に、後述するピンの一端部が圧入固定される挿通孔24bが軸方向に沿って貫通形成されている。
前記第1電磁コイル20は、前記ハーネスを介してコントローラから通電されると、コイルヨーク19を介して磁界が発生し、この磁力によってヒステリシスリング18にブレーキトルクを発生させるようになっている。すなわち、前記第1電磁コイル20への通電によってヒステリシスリング18が各極歯26,27間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング18の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング18の回転速度(前記対向内外周面とヒステリシスリング18の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、すなわち、第1電磁コイル20の励磁電流の大きさにほぼ比例した一定の値となる。
前記電子コントローラは、機関の回転数を検出するクランク角センサや機関の吸入空気量から負荷を検出エアーフローメーター、スロットルバルブ開度及び機関水温センサなどの各種のセンサ類からの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を検出していると共に、カム角センサなどから検出された前記タイミングスプロケット2とカムシャフト1の実際の相対回転位置と予め設定された目標相対回転位置とに基づいて第1電磁コイル20に制御電流を出力している。
なお、前記位相変更機構3の組付角変換機構は、前記タイミングスプロケット2の径方向窓孔7、リンク部材8、係合ピン11、レバー突起、渦ディスク13、渦巻き溝15及び前記ヒステリシスブレーキ17によって構成されている。また、前記第1コイルヨーク19は、環状ヨーク24に穿設された挿通孔24bに一端部が圧入されたピン43によってVTCカバー44に係合穴44aを介して回り止めされているが、軸方向への移動は許容されている。
さらに、前記スリーブ6と渦ディスク13との間には、該渦ディスク13を回転軸方向の一方向(図1中右方向)へ付勢して前記タイミングスプロケット2とカムシャフト1(従動軸部材13)を所定の相対回転位置に保持する付勢機構が設けられていると共に、前記コイルヨーク19の内周側には、前記付勢機構による付勢の解除と付勢力による一方の構成部材である前記渦ディスク13の渦巻き溝15と他方の構成部材である前記係合ピン11との間の摺動抵抗を調整可能な抵抗調整機構が設けられている。
前記付勢機構は、前記スリーブ6の後端面と渦ディスク13の内周部13aの前端面との間に形成された環状隙間28と、該環状空間部28内に設けられた付勢部材である金属製の皿ばね29によって主として構成されている。
この皿ばね29は、両側には撓み変形した際に良好な摺動性を確保するために円環状のリテーナ30,31が配置されていると共に、ばね力によって前記渦ディスク13全体を図1中、右方向へ押圧付勢して前記渦巻き溝15の内周面を前記各係合ピン11の先端面に弾接させ、この摩擦抵抗力によって渦ディスク13の回転を規制してその相対回転位置に保持するようになっている。前記摩擦抵抗力は、皿ばね29のばねセット荷重によって大小自由に設定することが可能であるが、本実施例では、大きなものではなく比較的小さく設定されている。なお、前記付勢部材としては、皿ばね29以外にウエーブばねワッシャなどであってもよい。
一方、前記抵抗調整機構は、電磁石によって構成され、前記インナーステータ22の内周側に有するデッドスペース内でかつ前記渦ディスク13の内周部13bの前方位置に配置された第2コイルヨーク32と、該第2コイルヨーク32の内部に収容された第2電磁コイル33とから構成されている。
前記第2コイルヨーク32は、全体が断面ほぼコ字形状に形成され、ほぼフランジ状に形成された前端側ステータ32aと、該前端側ステータ32aの後面ほぼ中央に一体に結合されたほぼ円筒状の後端側ステータ32bと、を備えている。また、この第2コイルヨーク32は、前記インナーステータ22の内周に形成されたクランク状の段差面22bに嵌合して軸方向と径方向に位置決めされつつ圧入固定されている。
前記前端側ステータ32aは、断面ほぼクランク状に折曲形成されて、外周部32cが前記環状ヨーク24の前端面に当接して全体のインナーステータ22に対する最大圧入量を規制するようになっていると共に、該外周部32cの外周縁に径方向へ一体に延出した複数の突部32dがボルト45によって前記インナーステータ22の内周側に固定されている。また、前端側ステータ32aの内周部の内周面32eが前記スリーブ6の環状溝6aと軸方向で位置ずれしていて、内周面32eの後端側が前記環状溝6aに臨み、前端側がスリーブ6の外周面に当接配置されている。一方、前記後端側ステータ32bは、円環状の後端面が前記渦ディスク13の内周部13bの環状先端面に微小隙間を介して近接配置されている。
前記第2電磁コイル33は、図外のハーネスを介して第1電磁コイル20に通電する同じ電子コントローラ(抵抗制御手段)から通電(オン)あるいは非通電(オフ)の信号が出力されると共に、前記通電時における通電量が制御されようになっている。
すなわち、第2電磁コイル33は、電子コントローラからオン信号が出力されて最大の通電量になると、その磁力によって前記前端側ステータ32aの内周面32eの環状溝6aとの特異な配置構成に基づきスリーブ6に対して前記ヒステリシスブレーキ17と渦ディスク13をともに皿ばね29の付勢力(ばね力)に抗して図1中、左方向(VTCカバー44方向)へ移動させて、前記渦巻き溝15の内周面を係合ピン11から離間させるようになっている。また、このオン信号の出力中にその通電量が増加あるいは減少制御されて、前記皿ばね29の付勢力による渦ディスク13の押し付け力によって発生する摩擦抵抗力、つまり前記渦巻き溝15の内周面と係合ピン11の先端部との間の摩擦抵抗力を調整することが可能になっている。
さらに、本実施例では、前記位相変更機構3に冷却オイルを供給する冷却装置(オイル供給手段)が設けられている。
前記冷却装置は、図1に示すように、カムシャフト1とカムボルト5との間に形成された環状通路34と、前記従動軸部材4の軸部4aの内周側から拡径部4b内に傾斜状に穿設されて、上流端が前記環状通路34と連通するオイル供給通路35と、該オイル供給通路35を通流する冷却用オイルの流量をオイルの温度に応じて制御する流量制御弁36とから構成されている。
前記環状通路34は、図外のオイルポンプから吐出された潤滑油を機関の各摺動部に供給するメインオイルギャラリーと連通しており、前記オイルポンプから吐出されたオイルの一部が導入されるようになっている。
前記オイル供給通路35は、下流端が前記流量制御弁36のバルブ孔37を介して位相変更機構3の内部に連通している。
前記流量制御弁36は、前記拡径部4bの内部軸方向に貫通形成されて、前記オイル供給通路35の下流端と連通する前記バルブ孔37と、該バルブ孔37の内部に摺動自在(進退自在)に設けられた弁体38と、供給されたオイルの温度を含む雰囲気温度によって撓み変形して前記弁体38をバルブ孔37内で進退動させる感温部材39と、から主として構成されている。
前記バルブ孔37は、前記拡径部4bの内周側に形成されて、内径がほぼ均一な円柱状に形成されており、内側の一端開口が前記拡径部4bとスプロケット2のプレート部材2bとの間の空間部Cに臨んでいると共に、軸方向のほぼ中央位置に前記オイル供給通路35の下流端が開口形成されている。
前記弁体38は、ほぼ段差径状の円柱状に形成され、ほぼ中央に有する小径な軸部と、該軸部の後端側に一体に形成されて、外周面が前記バルブ孔37の内周面に摺接する円形状のランド部と、軸部の前端側に一体に形成されて、外周面がバルブ孔37の内周面に摺接するほぼ円柱状の弁部38aと、該弁部38aの前端部に一体に形成された係止部と、を備えている。
前記軸部は、その外周面とバルブ孔37の内周面との間に円環状のオイル導入室40を形成し、該オイル導入室40に前記オイル供給通路35の下流端が常時臨んでいる。また、前記オイル供給通路35の前記バルブ孔37を挟んだ対向位置には、前記オイル導入室40内に導入されたオイルの余剰分を外部に排出する排出通路41が形成されている。この排出通路41は、その断面積が前記オイル供給通路35の断面積よりも十分に小さく形成されていると共に、低油温時に拡径部4bなどを介してオイルの温度が感温部材39に伝達される程度の大きさに設定されている。
前記ランド部と弁部38aの対向する内端面が前記オイル導入室40に導入されたオイルの受圧面として構成されており、これらの各受圧面積は投影面積では同一になっている。また、ランド部と弁部38aの各外径は、前記バルブ孔37の内周面の内径よりも若干小さく設定されて、それぞれの間に良好な摺動性を確保するために微小クリアランスが形成されているが、この微小クリアランスは、互いの内外周面間に油膜を形成する程度の大きさに設定されている。
また、前記オイル導入室40は、その断面積が前記オイル供給通路35と排出通路41及び後述する両制御通路溝のそれぞれの断面積の総和よりも大きく設定されている。
前記弁部38aは、外周面の円周方向ほぼ180°の位置に受圧面側から段階的に上方へ傾斜した前記一対の制御通路溝38bが形成されている。この両制御通路溝38bは、受圧面側に形成された最も低い平坦面と、ここから前方斜め上方向へ傾斜状に形成された傾斜面と、該傾斜面の先端側に形成されて僅かに傾斜状に形成された先端面とから構成されている。
前記感温部材39は、バイメタルなど薄肉な長方形状の金属板材を4枚重ねによって構成され、外周が円弧状に形成された基端部にボルト挿通孔が形成されていると共に、矩形状の先端部に前記係止部にほぼU字形状の係止溝を介して挟み込むように係止する二股状の係止片が形成されている。前記基端部は、ボルト挿通孔に挿通されたボルト42によってワッシャを介して拡径部4bに締結固定されている。
前記空間部Cに供給されたオイルは、前記リンク部材8の基端部8aなどの周囲を通って前記プレート部材2bとディスク部2bとの間に供給され、さらにここから前記ディスク部2bに穿設された油孔45を通ってボールベアリング25やヒステリシスリング18及び各極歯26,27間などに供給されるようになっている。
以下、この実施例の基本的な作動について説明する。まず、機関停止時には、電子コントローラから第1電磁コイル20への通電が遮断されて電磁ブレーキ機構の作動が停止されることから、渦ディスク13は、トーションスプリング16のばね力によってタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転する。これにより、係合ピン11は、球状先端部が渦巻き溝15の先端溝部15aの先端縁に当接位置して、クランク軸とカムシャフト1の相対回転位相(機関弁の開閉タイミング)が始動に最適な僅かに進角側寄りの位置となる。
一方、同時に前記第2電磁コイル33に対しても前記電子コントローラからオフ信号が出力されて、ヒステリシスブレーキ17と渦ディスク13が、図3(A)に示すように、皿ばね29のばね力によって後方、つまり図1中、右方向に付勢されて移動し、前記渦巻き溝15の溝部内周面が前記係合ピン11の先端面に軸方向から弾接する。したがって、渦ディスク13は、前記所定の進角側寄りの位置に安定かつ確実に保持される。なお、かかる機関停止時の具体的な制御については後述する。
次に、イグニッションスイッチがオンされて機関のクランキングが開始されると、この時点ではいまだ前記コントローラから第2電磁コイル33へ通電されず、非通電状態になっており、したがって、渦ディスク13は、前記停止時の僅かに進角した回転位置に保持された状態を維持する。このため、カムシャフト1とタイミングスプロケット2との最適な相対回転位相によって機関の始動性が良好になる。
その後、クランキングが終了してファーストアイドリング運転に移行すると、第2電磁コイル33に通電されて、第2コイルヨーク32に発生する電磁吸引力によって前記渦ディスク13を、図1及び図3(B)に示すように、皿ばね29のばね力に抗して前方(左方向)へ僅かに移動させる。これにより、前記皿ばね29による渦ディスク13の渦巻き溝15と係合ピン11との弾接状態が解除されて、渦ディスク13の自由な回転が許容される。
したがって、続くアイドル運転などの低回転域に移行すると、前記コントローラから第1電磁コイル20にも通電されて、この励磁によって、ヒステリシスリング18にブレーキトルクが発生して、トーションスプリング16のばね力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。
これによって、前記係合ピン11は、渦巻き溝15の先端溝部15aから脱出して偏曲部側に移動する。これにより、渦ディスク13が、タイミングスプロケット2の回転方向に対して僅かに逆方向に回転する。これによってリンク部材8の先端の係合ピン11が、各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔7に沿って外側に揺動し、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の回転位相角が最遅角側に変更される。
この結果、クランク軸とカムシャフト1の相対回転位相が機関運転状態に応じた任意な位相に変更される。例えば、低回転に適した遅角側や最遅角状態など、運転状態に応じた位相である。これによって、アイドル運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
そして、このアイドリング運転中には、前記第2電磁コイル33にも前記電子コントローラによって通電量が適宜調整されながら通電される。すなわち、例えば機関温度状態や前記VTCによる位相変化状態などの機関状態に応じて前記第2電磁コイル33への通電量を適宜調整する。これにより、前記渦ディスク13が、図1、図3中僅かに右方向へ移動しあるいは左方向へ移動する。このため、前記回転位相角の変更時における前記渦巻き溝15の内周面と係合ピン11の先端部との間の摩擦抵抗力が変化して、前記回転位相角変更作用が緩慢に行われる。
この結果、機関温度変化などに応じて前記相対回転位相角を緩やかに変更することができるので、燃費の向上や機関回転の安定化が図れる。
次に、このアイドリング運転状態から機関の運転が通常運転に移行して、例えば高回転時になると、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラから発され、第1電磁コイル20にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング16のばね力に抗する大きな制動力がヒステリシスリング18を介して渦ディスク13に付与される。
これにより、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転して、リンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔7に沿ってさらに内側に揺動し、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の相対回転角が最進角側に変更される。
この結果、クランク軸(タイミングスプロケット2)とカムシャフト1の回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることになる。
そして、前記機関運転の変化に応じて渦ディスク13が遅角側あるいは進角側へその回転位置を変更する際には、コントローラから予め前記第2電磁コイル33に通電されて皿ばね29による保持力を解除して渦ディスク13の自由な回転を許容するが、前記タイミングスプロケット2とカムシャフト1の所望の相対回転位相に保持する場合には、前記第2電磁コイル33にオフ信号(非通電)が出力されて、前記皿ばね29によって渦ディスク13の回転位置に保持する。
これによって、いかなる相対回転位相角の状態においても、該位相角を保持することによって安定した位相角保持性能が得られ、また、第2電磁コイル33への通電による皿ばね29の保持の解除によってその後の迅速な位相変換性能が得られ、これらの両立が可能になる。
また、前記第2電磁コイル33への通電量を制御する場合としては、前記アイドリング運転中に限定されるものではなく、前記定常運転中でも機関運転状態などによって任意に行うことが可能である。この定常運転時の通電量を制御することによって、VTCによる相対回転位相角を緩慢に制御することが可能になることから、アクセル開度(燃料噴射量)を変えずに機関トルクを制御することができるので、燃費などの向上が図れる。
以下、前述した機関の運転状態が変化した際における前記付勢機構である皿ばね29と、抵抗調整機構である第2電磁コイル33などの電磁石による具体的な作動及び制御について説明する。
まず、前記第2電磁コイル33に対する前記電子コントローラによるオン−オフ信号及び通電量制御信号を送信する処理ルーチンを、図4のフローチャート図によって説明する。なお、この処理ルーチンは、例えば10ms毎に実行される。
ステップ1では、機関始動後の通常運転中などにおいて、カム角センサとクランク角センサから検出された現在のクランクシャフトとカムシャフトとの相対的な実位相角と、予め設定されている目標相対回転位相角(ターゲット)との偏差値が規定値(しきい値)以上であるか否かを判別する。
前記ステップ1において前記偏差値が規定値以上であると判別した場合は、ステップ2に移行する。ここでは、第2電磁コイル33にオン信号を出力して、皿ばね29による押付け力(保持力)に抗して渦ディスク13及びヒステリシスブレーキ17を図3(B)に示すように、前進(図中左方向へ移動)させ、渦巻き溝15の内周面と係合ピン11との弾接力を低減させて保持力を解除する。
同時に、第1電磁コイル20へ通電してその操作力を上昇させる。つまり、渦ディスク13に電磁ブレーキ力を付与してトーションスプリング16のばね力に抗して前記渦ディスク13を従動軸部材4に対して相対回転させる操作力を予め高めておく。
続いて、ステップ3では、渦ディスク13の保持が解除された状態で、前記第1電磁コイル20による電磁ブレーキ力とトーションスプリング16のばね力とのトルクバランスを一致させることによって前記実位相角を中間位置に保持する。
ステップ4では、第1電磁コイル20への通電量、つまり操作力を制御する処理を行って、前記ターゲットへ迅速に実位相角を収束させて、ステップ1にリターンする。
したがって、機関運転状態の変化に応じてタイミングスプロケット2とカムシャフト1の相対回転位相角を速やかに変換させることが可能になる。
前記ステップ1で、偏差値が規定値以下であると判別した場合は、ステップ5に移行する。ここでは、実位相角が前記目標相対回転位相角に近いので第2電磁コイル33への通電量を減少させ操作力を低減させる、と同時に、第1電磁コイル20への通電量も減少させて操作力を低減させて前記渦巻き溝15の内周面と係合ピン11との間のフリクションを増加させる。
その後、ステップ6に移行し、このステップ6では、前記内部フリクションの増加した状態で、自己保持力及び第1電磁コイル20で発生するブレーキトルクと前記トーションスプリング16のばねトルクとのトルクバランスによって実位相角を保持する制御を行い、そのままリターンする
したがって、渦ディスク13は、ヒステリシスブレーキ17とともに皿ばね29のばね力によって前記図3(A)に示すように係合ピン11側に押付けられて、渦巻き溝15内周面が係合ピン11の先端面に強く弾接する。これによって、タイミングスプロケット2とカムシャフト1は任意の相対回転角で保持(ロック)状態となるため、第1電磁コイル20の操作力がなくなり前記位相角が保持される。
この状態では、トーションスプリング16の復元力や第1電磁コイル20への通電よる電磁ブレーキ力及び前記カムシャフト1に入力されるカムトルクなど、全ての入力による影響を受けない完全固定状態となる。
図5は前記保持、解除制御における第1電磁コイル20の操作力とVTC位相角との関係を示し、この特性図からも明らかなように、前記皿ばね29によって渦ディスク13が保持ロックされた状態(一点鎖線)から第2電磁コイル33の吸引力によって渦ディスク13の保持が解除された際(太い実線間)には、第1電磁コイル20による操作力が速やかに上昇する。したがって、VTCの作動応答性が大幅に向上する。
また、前記第2電磁コイル33への通電量の制御によって前記渦巻き溝15と係合ピン11との間のフリクションが制御された際(図中斜線範囲)には、第1電磁コイル20による操作力が緩やかに行われることになる。つまり、斜線部分では、第1電磁コイル20の操作力を減少させても内部フリクションの増加によって相対回転位相角の保持が可能であると共に、外乱に対しても安定性の高い特性となる。
図6は前記図4に対応して前記VTCの操作時におけるタイムチャートを示しており、一点鎖線は実際のVTC位相角、二点鎖線はターゲット角(目標相対回転角)、破線は第1電磁コイル20への通電による操作量、実線は第2電磁コイル33への通電による操作量である。
タイミングスプロケット2とカムシャフト1との実位相角とターゲット角との偏差値が小さい場合(a)は、前述のように、第1,第2電磁コイル20,33への通電がそれぞれオフされてVTCがロックされている。また、前記偏差値が大きくなった場合(b)は、先に第1電磁コイル29に通電して操作力を大きくした段階で、第2電磁コイル33に通電する。つまり、皿ばね29による保持状態を解除する。その後、第1電磁コイル20とトーションスプリング16による作動によって前記偏差値を小さくする(c)。
続いて、機関高回転時などにおいて第1電磁コイル20への通電量を増加させてVTCの位相角が最進角側に制御されて偏差値も小さく位相角が安定した場合(d)は、第1電磁コイル20への通電をオフすると共に、第2電磁コイル33への通電もオフする。これによって、皿ばね29のばね力によってかかるVTCが最進角状態で保持ロックされることになる。
図7は機関を停止してから再始動時までのタイムチャートを示し、機関停止時にイグニッションスイッチ(IGS)をオフすると、第2電磁コイル33に通電されて皿ばね29による渦ディスク13の保持状態を解除すると共に、第1電磁コイル20への通電をオフする。したがって、渦ディスク13は、トーションスプリング16のばね力によって始動に適した前記渦巻き溝15の先端溝部15aの内方へ屈曲した先端部の位置に回転移動してタイミングスプロケット2とカムシャフト1が僅かに進角側の相対回転位相角に制御される。
次に、機関始動時において、IGSをオンにすると、スタータモータがオンされて作動しクランキングが開始され、さらにクランキングが終了してファーストアイドルが開始された直後の時点で、前記第2電磁コイル33に初めて通電されて渦ディスク13の保持状態を解除する。
つまり、IGSをオンにしてファーストアイドルが開始されるまでの間は、皿ばね29のばね力によって渦ディスク13が係合ピン11側に押し付けられて、機関停止時の位相角を保持している。したがって、機関のクランキング中の良好な始動性を安定かつ確実に得ることが可能になる。
その後、ファーストアイドルの開始直後に第2電磁コイル33の吸引力によって前記保持状態が解除されることから、第1電磁コイル20の電磁ブレーキ力とトーションスプリング16のばね力とによってアイドリング運転時の最遅角制御及び通常運転時の最適な相対回転位相角を速やかに得ることが可能になる。
しかも、前述のように、前記アイドリング運転中は、第2電磁コイル33への通電量を制御することによって、フリクションを制御してVTCの作動速度を変化させるようにしたため、燃費の向上などが図れる。
また、本実施例では、付勢機構として皿ばね29を用いたため、たとえばコイルスプリングなどを用いた場合に比較して装置の軸方向の長さを大きくする必要がなく十分に短尺化することができる。この結果、装置の機関への搭載性が向上する。
さらに、前記第2電磁コイル33へは解除する場合と解除後の一時的な場合にのみ通電するだけであるから、その電力消費を十分に低減できる。
また、付勢機構と抵抗調整機構のそれぞれの構造が簡素化されているため、製造作業や組付作業が良好になり、コストの高騰も抑制できる。
前記各係合ピン11は、その後端部に有するコイルスプリング12のばね力によって常時前記渦ディスク13の渦巻き溝15の内周面方向へ押し付けられているため、両者間のガタ付きの発生を防止できる。
さらに、前記第2コイルヨーク32及び第2電磁コイル33を第1コイルヨーク19の内周側のデッドスペースに配置したことから、該デッドスペースの有効利用が図れると共に、この点でも装置全体の大型化を抑制することが可能になる。
また、第1コイルヨーク19にボールベアリング25を介して渦ディスク13を回転自在に支持するようにしたことから、渦ディスク13の径方向の位置ズレを防止することができる。
また、この実施の形態によれば、機関の始動時において、前記オイル供給通路35からオイル導入室40に導入されたオイル温度(油温)が、例えば10℃以下の極低温である場合は、感温部材39が撓み変形せずにほぼ直線状になっている。このため、前記弁体38は、弁部38aがオイル導入室40を閉塞した状態となることから、前記オイル供給通路35を経てオイル導入室40内に導入されたオイルはここで流動が規制される。したがって、前記空間部Cへのオイル流入が阻止されると共に、オイル導入室40内のオイルは排出通路41を通ってシリンダヘッドの上部側へ排出される。なお、このとき、オイル供給通路35からオイル導入室38内に流入したオイルは、前述のように、排出通路41から排出されるが、この排出通路41の通路断面積がオイル供給通路35よりも小さいため、オイル圧力が前記各内端面に均等に作用して、弁体38が軸方向にバランスされて油圧による進退方向への力が作用しない。
この状態で、前記オイル導入室40に流入したオイルの温度が所定以上になると、この油温が拡径部4bからボルト42を介して感温部材39に伝達されることから、該感温部材39は油温と同じ温度に保持される。これにより、流量制御弁36の作動開始温度のばらつきを抑制することができる。
そして、油温が所定以上に上昇すると、前記感温部材39の先端部側が僅かに外方へ撓み変形して前記弁体38を、係止部を介してタイミングスプロケット2のプレート部材2b側へ引き出して僅かに進出動させる。これによって、前記弁部38aの各制御通路溝38bの先端面と傾斜面の先端側が空間部C内に臨んでバルブ孔37の小さな開口面積となる。これにより、オイル導入室40内のオイルは、その一部が排出通路41から排出され、他の一部が各制御通路溝38bを通って空間部C内に流入する。
その後、さらに油温が上昇すると、この油温上昇に伴い感温部材39の変形と共に弁体38が進出動して前記制御通路溝38bによりバルブ孔37の開口面積が徐々に大きくなって、オイルの流量が漸次増加する。つまり、弁体38が作動し始めた状態でも、空間部Cへのオイルの増加量は徐々に多くなることから、ヒステリシスブレーキ17などへの供給量もなだらかな増加量になる。したがって、ヒステリシスリング18のオイル粘性による引き摺りによる無用の制動力の発生を十分に防止できる。
そして、さらに油温の上昇によって感温部材39の変形が大きくなって弁体38がさら進出すると、先端側の突部が前記プレート部材2bの一端面に当接してそれ以上の移動が規制される。この段階で制御通路溝38bによるバルブ孔37の開口面積が最大になり、空間部Cを介して位相変更機構3の内部には多くのオイルが供給される。したがって、ヒステリシスリング18や第1電磁コイル20などの各部材を効果的に冷却及び潤滑することが可能になる。
〔第2実施例〕
図8は本発明の第2の実施例を示し、付勢機構である皿ばね29の配置などは第1実施例と同じであるが、抵抗調整機構である電磁石をVTCカバー44に取り付けたものである。
すなわち、前記ヒステリシスブレーキ17の第1コイルヨーク19及び第1電磁コイル20が、前記ボールベアリング25を介して前記渦ディスク13と一緒に軸方向へ僅かに移動可能になっている。
また、前記第2コイルヨーク32は、断面ほぼコ字形状に形成され、VTCカバー44の外周部に形成された円環状の支持溝44b内に嵌合保持されていると共に、ボルト47によってVTCカバー44に固定されている。また、第2コイルヨーク32の内部には、第2電磁コイル33が固定されている。さらに、前記第2コイルヨーク32の後端面32aが前記第1コイルヨーク19の環状ヨーク24の前端面24cにエアーギャップを介して対向配置されている。他の構成は、第1実施例と同様である。
したがって、この実施例によれば、第2電磁コイル33への通電がオフされると、皿ばね29のばね力によって渦ディスク13と共にヒステリシスブレーキ17も係合ピン11側へ後退移動して渦ディスク13が各係合ピン11に弾接して保持状態となる一方、第2電磁コイル33に通電されると、第1コイルヨーク19(ヒステリシスブレーキ17)が吸引され、これと一緒に渦ディスク13も皿ばね29のばね力に抗して前方へ移動して前記保持状態が解除される。よって、機関運転状態に応じて保持、解除制御が行われて、前記第1実施例と同様な作用効果が得られる。
しかも、前記第2コイルヨーク32と第2電磁コイル33をVTCカバー44内側のデッドスペースに配置したことから、スペースの有効利用が図れると共に、装置の径方向の大型化を抑制できる。
〔第3実施例〕
図9は第3実施例を示し、付勢機構を電磁石によって構成し、抵抗調整機構を皿ばねによって構成したものである。また、前記スリーブ6の先端部の外周面には、前述の環状溝が廃止されている。
具体的に説明すれば、タイミングスプロケット2のプレート部材2bの筒状内周部2cの前端面と渦ディスク13の内周部13aの後端側内周面に形成された環状溝の底面との間に、前記渦ディスク13を係合ピン11から離間する方向、つまり図10(B)に示すように、左方向の解除方向へ付勢する皿ばね48が設けられている。この皿ばね48は、撓み変形時の良好な摺動性を確保するために前後に円環状のスプリングリテーナ49、50が配置されている。
一方、前記電磁石は、その基本構成は第1実施例とほぼ同じであって、第2コイルヨーク51と第2電磁コイル52とからなり、前記第2コイルヨーク51は、前端側ヨーク51aと後端側ヨーク51bとを有し、前端側ヨーク51aの外周部に有する突部51cがボルト45によって第1コイルヨーク19に固定されていると共に、内周部の内周面51dはその後端側のみが前記スリーブ6の外周面に当接している。
前記第2電磁コイル52は、図外のハーネスを介して前記コントローラからオン(通電)−オフ(非通電)のいずれか一方の信号が出力されるようになっており、オン信号が出力されると、前記内周面51dのスリーブ6の外周面に対する特異な当接状態によって、スリーブ6に対してヒステリシスブレーキ17と渦ディスク13を、図9及び図10(A)に示すように、前記皿ばね48のばね力に抗して保持方向、つまり図中右方向へ吸引移動させるようになっている。
以下、前記第2電磁コイル52に対する前記コントローラによるオン−オフ信号を送信する処理ルーチンを、図11のフローチャート図によって説明する。なお、この処理ルーチンも例えば10ms毎に実行される。
ステップ11では、機関始動後の通常運転中などにおいて、カム角センサとクランク角センサから検出された現在のクランク軸とカムシャフトとの実位相角と、予め設定されている目標相対回転位相角(ターゲット)との偏差値が規定値(しきい値)以上であるか否かを判別する。
前記ステップ11において前記偏差値が規定値以上であると判別した場合は、ステップ12に移行する。
ここでは、第1電磁コイル20へ通電してその操作力を上昇させる。つまり、渦ディスク13に電磁ブレーキ力を付与してトーションスプリング16のばね力に抗して前記渦ディスク13を従動軸部材4に対して相対回転させる操作力を予め高めておく。
同時に、第2電磁コイル52にオフ信号を出力して操作力を減少させ、皿ばね48のばね力によって渦ディスク13及びヒステリシスブレーキ17を図10(B)に示すように、前進(図中左方向へ移動)させ、渦巻き溝15の内周面と係合ピン11との弾接力(フリクション)を低減させて保持力を解除する。
続いて、ステップ13では、渦ディスク13の保持が解除された状態で、前記第1電磁コイル20による電磁ブレーキ力とトーションスプリング16のばね力とのトルクバランスを一致させることによって前記実位相角を中間位置に保持する。
ステップ14では、第1電磁コイル20への通電量、つまり操作力を制御する処理を行って、前記ターゲットへ迅速に実位相角を収束させて、ステップ11にリターンする。
したがって、機関運転状態の変化に応じてタイミングスプロケット2とカムシャフト1の相対回転位相角を速やかに変換させることが可能になる。
前記ステップ11で、偏差値が規定値以下であると判別した場合は、ステップ15に移行する。ここでは、前記目標相対回転位相角に近いあるいは同じなので第2電磁コイル52にオン信号を出力して操作力を増加すると共に、第1電磁コイル20にオフ信号を出力して操作力を減少させる。
その後、ステップ16では、前述のように、第2電磁コイル52へのオン信号の出力によって内部フリクションが増加した状態となり、つまり、渦ディスク13は、ヒステリシスブレーキ17とともに第2電磁コイル52の電磁吸引力によって前記図10(A)に示すように、係合ピン11側に押付けられて、渦巻き溝15内周面が係合ピン11の先端面に強く弾接する。これによって、タイミングスプロケット2とカムシャフト1は任意の相対回転角で保持(ロック)状態となるため、第1電磁コイル20の操作力がなくなり前記位相角が保持される。
この状態では、トーションスプリング16の復元力や第1電磁コイル20への通電よる電磁ブレーキ力及び前記カムシャフト1に入力されるカムトルクなど、全ての入力による影響を受けない完全固定状態となる。
また、他の構成は第1実施例と同様であるから第1実施例と同様な作用効果が得られる。
〔第4実施例〕
図12は第4実施例を示し、この実施例では、前記渦ディスク13の回転ブレーキ制御をヒステリシスブレーキ17に代えて、摩擦ブレーキ53を用いたものである。
すなわち、VTCカバー44の内面に摩擦ブレーキ53が固定されている。この摩擦ブレーキ53は、断面ほぼコ字形状のコイルヨーク54と、該コイルヨーク54の内部に収容配置された電磁コイル55と、前記コイルヨーク54の後端開口を閉塞する状態で固定された円環状の摩擦材56とから構成されている。
前記コイルヨーク54の内周面には、ニードルベアリング57を介して前記渦ディスク13が回転自在に支持されている。また、前記渦ディスク13は、前記ニードルベアリング57を介して軸方向へ僅かに移動可能になっている。
前記電磁コイル55は、図外のハーネスを介してコントローラから制御電流が出力あるいは遮断されるようになっている。
前記摩擦材56は、その後端面56aが前記渦ディスク13の前端面13cに所定の隙間Sを介して対向配置されており、前記電磁コイル55への通電によって渦ディスク13を電磁吸引して前方へ移動させて摩擦材56の後端面56aに渦ディスク13の前端面13cを当接させてこの摩擦抵抗力によって渦ディスク13にブレーキ力を付与するようになっている。前記所定隙間Sは、前記後端面56aと渦ディスク13の前端面13cとの間に前述のようなVTCの内部に導入された潤滑油が介在しても前記渦ディスク13に潤滑油の粘性に起因した連れ回りによる駆動力が作用しないような大きさに設定されている。
また、渦ディスク13は、前記各実施例と同じくトーションスプリング16のばね力によってタイミングスプロケット2の回転方向とは反対方向へ回転付勢されている。
さらに、第1実施例と同じく渦ディスク13の内周部13aとスリーブ6の間には、渦ディスク13を係合ピン11側へ付勢して保持状態とする皿ばね29がリテーナ30,31に挟持状態に配置されている。
他の構成は第1実施例とほぼ同じである。
したがって、この実施例によれば、機関運転状態の変化に応じて前記渦ディスク13を保持する場合には、コントローラから前記電磁コイル55にオン信号が出力されて渦ディスク13が電磁吸引されて、図13Aに示すように、皿ばね29のばね力に抗して図中左方向へ移動して摩擦材56の後端面56aに渦ディスク13の前端面13cが当接する。
これにより、摩擦材56と渦ディスク13との間に摩擦抵抗力が発生して渦ディスク13の自由な回転が規制され、かかる回転位置に保持される。
一方、渦ディスク13の保持を解除する場合は、コントローラから電磁コイル55にオフ信号が出力されて、渦ディスク13に対する吸引力が消失することから、皿ばね29のばね力によって渦ディスク13が係合ピン11側に付勢されて、図13(B)に示すように、右方向へ移動して摩擦材56から離間する。これによって保持状態が解除される。
以上のように、本実施例では、摩擦材56を用いて渦ディスク13の保持状態を確保し、さらに皿ばね29によって解除状態を確保したため、前記各実施例と同様な作用効果が得られると共に、装置全体の構造が簡素化されると共に、軸方向の長さを十分短尺化することが可能になる。
本発明のバルブタイミング制御装置としては、前記電磁ブレーキ機構を用いたものばかりか、例えば特開2007−71057号公報などに記載されたサイクロイド歯車機構を用いた減速機構を備えたバルブタイミング制御装置にも適用することも可能である。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば付勢機構の皿ばねの他にウエーブスプリングやコイルスプリング、その他、弾性力をもつ合成樹脂材などであってもよい。また、例えば感温部材39としてバイメタル以外に形状記憶合金材やワックスペレットを用いることも可能である。
本発明の第1実施例のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。 同バルブタイミング制御装置の分解斜視図である。 本実施例の作用説明図であって、Aは保持状態、Bは解除状態をそれぞれ示している。 本実施例におけるコントローラによる制御フローチャート図である。 本実施例の第1電磁コイルの操作力とVTCの位相角との関係を示す特性図である。 本実施例における制御時のタイムチャート図である。 本実施例における機関停止時から再始動時の制御タイムチャート図である。 第2実施例のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。 第3実施例のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。 本実施例の作用説明図であって、Aは保持状態、Bは解除状態をそれぞれ示している。 本実施例におけるコントローラによる制御フローチャート図である。 第4実施例のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。 本実施例の作用説明図であって、Aは保持状態、Bは解除状態をそれぞれ示している。
符号の説明
1…カムシャフト
2…タイミングスプロケット(駆動回転体)
3…位相変更機構
4…従動軸部材(従動回転体)
13…渦ディスク(中間回転体)
14…環状プレート
17…ヒステリシスブレーキ(電磁ブレーキ機構)
19…第1コイルヨーク
20…第1電磁コイル
29…皿ばね(付勢機構)
32…第2コイルヨーク(抵抗調整機構)
33…第2電磁コイル(抵抗調整機構)
51…第2コイルヨーク(付勢機構・抵抗調整機構)
52…第2電磁コイル(付勢機構・抵抗調整機構)
54…コイルヨーク
55…電磁コイル
56…摩擦材

Claims (24)

  1. クランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、
    カムシャフトに前記駆動回転体からの回転力を伝達する従動回転体と、
    互いに当接状態に配置された複数の構成部材が相対移動することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する位相変更機構と、
    少なくとも前記一方の構成部材が他方の構成部材に対して相対移動する際における移動抵抗を調整可能な抵抗調整機構と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記抵抗調整機構は、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位置を保持するだけの抵抗力を付与することが可能な構成としたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. クランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、
    カムシャフトに前記駆動回転体からの回転力を伝達する従動回転体と、
    互いに摺動可能な複数の構成部材が相対的に摺動することによって機関弁の開閉タイミングを変更する位相変更機構と、
    機関の状態に応じて前記位相変更機構を駆動制御する位相制御手段と、
    該位相制御手段によって前記位相変更機構が駆動制御された際に、前記複数の構成部材間の摺動抵抗力を調整する抵抗調整機構と、
    該抵抗調整機構の作動を制御する抵抗制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記抵抗調整機構は、前記抵抗制御手段から電磁コイルへ通電されることによって前記複数の構成部材間の少なくとも一方の構成部材を他方の構成部材に押し付けて抵抗力を付与し、前記抵抗制御手段によって前記電磁コイルへの通電量を制御することにより前記各構成部材間の摺動抵抗力を任意に変更することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記複数の構成部材間の摺動抵抗力が付与される部位に、潤滑油を供給したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記抵抗調整機構は、付勢部材によって前記一方の構成部材を他方の構成部材側に押し付けるように付勢力を付与し、前記電磁コイルに通電されることによって前記付勢部材の付勢力を減少させるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記位相変更機構は、通電することによって発生する電磁力によって駆動されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記位相変更機構は、前記複数の構成部材の一方に電磁ブレーキ力を作用させることによって機関弁の開閉タイミングを変更するように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記位相変更機構は、前記位相制御手段によって、機関停止時に、機関が始動可能な機関弁の開閉タイミングに制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 請求項9に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記機関が始動可能な機関弁の開閉タイミングは、前記位相変更機構が変更可能な最進角位置と最遅角位置の間の位相であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  11. クランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、
    カムシャフトに前記駆動回転体からの回転力を伝達する従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体との間に回転軸方向に移動可能に設けられ、前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転することにより、前記両部材の相対回転位相を変更する中間回転体を備えた位相変更機構と、
    前記中間回転体を回転軸方向に移動させることによって、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相の変更速度を調整する速度調整機構と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  12. 請求項11に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記位相変更機構は、
    周方向に縮径するガイドを備えた中間回転体と、
    前記ガイドに係合する係合部材と、
    該係合部材と前記従動回転体の回転中心から離間した位置とを揺動自在に連結するリンクと、
    前記中間回転体を前記駆動回転体及び従動回転体に対して相対回転させることにより、前記係合部材を径方向へ移動させて前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する組付角操作機構と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体は、付勢部材によって回転軸方向の一方向に付勢されていると共に、前記速度調整機構によって前記付勢部材の付勢力を低下させることにより前記ガイドと係合部材との間の摺動抵抗力を低下させて、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相の変更速度を調整することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  14. 請求項13に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記速度調整機構は、電磁コイルとコイルヨークとによって構成され、前記電磁コイルに通電することによって発生する電磁力によって前記中間回転体を回転軸方向の他方向へ吸引することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  15. 請求項12に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体は、電磁力によって前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  16. 請求項15に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体は、電磁ブレーキ機構の電磁力によって前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  17. 請求項16に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記電磁ブレーキ機構は、前記中間回転体とともに軸方向へ移動可能に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  18. 請求項17に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記速度調整機構は、電磁コイルとコイルヨークとによって構成され、前記電磁コイルに通電することによって発生する電磁力によって、前記電磁ブレーキ機構とともに前記中間回転体を軸方向の他方向へ吸引することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  19. 請求項18に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体は、電磁ブレーキ機構に対してボールベアリングを介して回転自在に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  20. 請求項18に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記速度調整機構は、前記電磁ブレーキ機構の内周側のデッドスペースに設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  21. クランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、
    カムシャフトに前記駆動回転体からの回転力を伝達する従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体との間に回転軸方向に移動可能に設けられ、前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転することにより、前記両部材の相対回転位相を変更する中間回転体を備えた位相変更機構と、
    前記中間回転体を付勢部材の付勢力に抗して回転軸方向の一方向に移動させることによって前記駆動回転体と従動回転体が相対回転する際の抵抗力を変化させると共に、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変化させる電磁ブレーキ機構と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  22. 請求項21に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記電磁ブレーキ機構は、電磁吸引力によって前記中間回転体を回転軸方向の一方向に移動させて摩擦材に接触させることにより前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更させ、
    前記中間回転体が電磁ブレーキ機構によって吸引されていない状態では、前記中間回転体は前記付勢部材の付勢力によって前記摩擦材と離間していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  23. 請求項21に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体が電磁ブレーキ機構の電磁力によって吸引されない状態では、機関の低温始動時に前記中間回転体と摩擦材との間に潤滑油が介在しても前記中間回転体に回転力が作用しない程度に前記中間回転体と摩擦材との間に隙間が形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  24. 請求項21に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記中間回転体が電磁力によって吸引されない状態では、前記中間回転体と摩擦材との間に潤滑油が介在しないだけの隙間が形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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