JP2009203767A - 構造物の耐震補強方法及び補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 橋脚等の構造物の耐震補強において、基礎の強度を考慮して、地震発生時に、基礎の破損がなく、振動エネルギーを効率よく吸収することができる構造物の耐震補強方法及び耐震補強構造を提供する。
【解決手段】 構造物1は補強部15により補強されている。補強筋16の下方は基礎3に埋め込まれており、定着部17で構造物1と基礎3とが補強筋16により定着される。定着部17における補強筋16の降伏震度は、基礎3および木杭5が設けられた地盤による降伏震度よりも小さい。すなわち、定着部17における補強筋16は、基礎3よりも小さな作用力で降伏する。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物、特に既存のレンガ等からなる橋脚の耐震補強を行う上で、地震の際の基礎が破損することを防ぐとともに、構造物等の振動エネルギーを効率よく吸収可能な構造物の耐震補強方法及び耐震補強構造に関するものである。
従来、構造物の耐震補強を行う場合には、既存の構造物の周囲に鉄筋コンクリートを巻きたてたり、既存の構造物の周囲に炭素繊維シート等を張りつける方法が一般的である。
このような構造物の補強方法としては、例えば既設のコンクリート製橋脚等の周囲に所定間隔を隔てて有孔鋼板を設置し、その周囲に型枠を設けて、型枠と橋脚等の間にコンクリートを打設する補強方法がある(特許文献1)。
また、基礎フーチング上の橋脚等に対して、橋脚等の上面から斜めまたは鉛直方向に基礎まで貫通する孔を設け、孔に補強部材を挿入する補強構造がある(特許文献2)。
特開平10−183534号公報 特開2007−247302号公報
しかし、特許文献1に記載の補強方法は、橋脚等の構造物そのものの補強には有効であるが、基礎を含めた全体についての補強は考慮されておらず、特に基礎の強度を考慮していないため、構造物のみの強度が向上する結果、地震時に、構造物ではなく基礎自体が破損する恐れがあり、また、基礎が破損すると、その復旧にはコスト、工数を要するという問題がある。
また、特許文献2に記載の補強構造は、補強部材を基礎まで貫通して設けるが、特許文献1と同様、基礎の強度は考慮されていないため、構造物及び構造物と基礎との定着部の強度が補強により増加するため、地震時に、最も強度的に弱い基礎部が破損する恐れがあるという問題がある。
図9は、従来の補強方法により構造体50を示す図である。図9(a)に示すように、構造体50は、コンクリート製であり例えば橋脚等である。構造体は木杭53上に設けられた基礎51の上に設けられている。前述の補強方法では、補強部材55が構造体50の周囲に設けられ、下方では定着部57で基礎51と定着される。
地震が発生し、構造体50へ作用力が付与されると、図9(b)に示すように、杭頭破損部59で木杭53の頭部が潰れ、または折損する。すなわち、構造体50及び基礎51と構造体50との定着部57の強度(降伏震度)が補強により極めて高いため、構造体50と基礎51とが略剛結される。従って、地震時には木杭53が破損する恐れがある。または、図9(c)に示すように、基礎破損部61で基礎51自体が破損する恐れがある。
木杭53を含む基礎51が破損すると、その復旧には相当の工数を要し、場合によっては上方の構造体を撤去する必要も生じる。このように、従来の方法では、構造体50は補強されるが、構造体50が剛体に近くなり、構造体50と基礎51との定着部57が剛結となるため、地震による振動エネルギーを吸収する能力が小さく、補強の困難な基礎51、木杭53が破損するという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、橋脚等の構造物の耐震補強において、基礎の強度を考慮して、地震発生時に、基礎の破損がなく、振動エネルギーを効率よく吸収することができる構造物の耐震補強方法及び耐震補強構造を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、第1の発明は、基礎を有する構造物の耐震補強方法であって、基礎または基礎地盤のばね定数を得る工程(a)と、前記ばね定数から前記基礎の降伏震度を算出する工程(b)と、前記構造物と前記基礎との定着部の降伏震度が、前記基礎の降伏震度よりも小さくなるように、前記構造物と前記基礎とを定着する補強部材量を算出する工程(c)と、前記補強部材を前記構造物と前記基礎とに設ける工程(d)と、を具備することを特徴とする構造物の耐震補強方法である。
ここで、降伏震度とは、構造物が地震によって変形し、弾性限度を超えて残留変形が大きくなり始める状態である降伏点における震度をいう。従って、降伏震度が小さいとは、より小さな震度(すなわち作用力)によって降伏し、塑性変形が開始することを意味する。
前記補強部材は、弾塑性変形により前記構造体と前記基礎との間の振動エネルギーを吸収することが望ましく、また、前記工程(c)の後、前記補強部材量が所定の必要最低補強部材量よりも少ない場合には、前記定着部の位置を前記構造物の中心に近づけて、前記補強部材量を再度算出する工程(e)を更に具備し、前記補強部材量が、前記必要最低補強部材量よりも大きく、かつ、前記定着部の降伏震度は前記基礎の降伏震度よりも小さくしてもよい。
必要最低補強部材量とは、橋脚等の構造物を補強する際に定められた補強部材の最低量を示す基準であり、例えば、「鉄道構造物等設計標準・同解説 コンクリート構造物」(丸善出版 (財)鉄道総合技術研究所 編 平成16年4月発行)に記載の施工基準である。
また、前記工程(d)では、前記補強部材の前記基礎への埋設深さが、前記補強部材の径の20倍以上であることが望ましく、前記工程(d)では、前記基礎へ設けられる前記補強部材の埋設穴径が前記補強部材の2.5倍以上であることが望ましい。また、前記基礎は木杭基礎であってもよい。
第1の発明によれば、基礎の強度を考慮して、構造物と基礎との定着部の強度が、基礎の降伏震度よりも小さな降伏震度となるように、補強部材量が設定されるため、地震時に基礎が破損する前に、定着部の補強部材が降伏し、また、定着部における補強部材の延性変形によって振動エネルギーを吸収するため、基礎の破損がなく、また、定着部における補強部材が十分な変形能を有すれば、振動エネルギーを効率よく吸収する耐震補強方法を得ることができる。
また、補強部材量が所定基準値よりも少ない場合は、定着部を構造物の中心方向に近づけることで、定着部における降伏震度を変更することなく必要補強部材量を増やすことができ、最低限の補強部材量で耐震補強を行うことができるため、無駄な補強部材を設置する必要がなく、コスト、施工性に優れる。また、補強部材の埋設深さを補強部材径の20倍以上とし、また、補強部材の埋設径を補強部材径の2.5倍以上とすれば、既存の基礎部材のひび割れの発生等、損傷を抑制することができ、補強部材の変形能を最大限活用することができる構造物の耐震補強方法を得ることができる。
第2の発明は、基礎を有する構造物の補強構造であって、前記基礎と前記構造物に設けられる補強部材の定着部の降伏震度が、前記基礎の降伏震度よりも小さいことを特徴とする構造物の補強構造である。
前記補強部材は、前記基礎と前記構造物との定着部近傍で、前記構造物の中心方向に曲げられ、前記基礎と前記構造物との定着部は、前記構造物に前記補強部材が設けられた部位よりも、前記構造物の中心方向にずれていてもよい。
第2の発明によれば、基礎の強度を考慮して、構造物と基礎との定着部の強度が、基礎の降伏震度よりも小さな降伏震度となるように、補強部材量が設定されるため、地震時に基礎が破損する前に、定着部の補強部材が降伏し、また、定着部における補強部材の延性変形によって振動エネルギーを吸収するため、基礎の破損がなく、また、定着部における補強部材が十分な変形能を有すれば、振動エネルギーを効率よく吸収する耐震補強構造を得ることができる。
また、補強部材量が所定基準値よりも少ない場合は、定着部を構造物の中心方向に近づけることで、定着部における降伏震度を変更することなく必要補強部材量を増やすことができ、最低限の補強部材量で耐震補強を行うことができるため、無駄な補強部材を設置する必要がなく、コスト、施工性に優れた構造物の耐震補強構造を得ることができる。
本発明によれば、橋脚等の構造物の耐震補強において、基礎の強度を考慮して、地震発生時に、基礎の破損がなく、振動エネルギーを効率よく吸収することができる構造物の耐震補強方法及び耐震補強構造を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる構造物1について説明する。図1は、本実施の形態にかかる構造物1を示す図である。
構造物1は基礎3上に設けられた躯体であり、例えば橋脚等である。基礎3下には木杭5が設けられる。なお、本実施の形態のいては木杭5を用いたが、べた基礎でもよく、また基礎3の形状は、段フーチング等であってもよい。
構造物1は補強部15により補強されている。補強部15は、鉛直方向の補強部材としての補強筋16と図示を省略した水平方向の補強筋等が設けられた後、周囲にコンクリート等が打設されて構築される。補強筋16の下方は基礎3に埋め込まれており、定着部17で構造物1と基礎3とが補強筋16により定着される。定着部17における補強筋16の降伏震度は、基礎3および木杭5が設けられた地盤による降伏震度よりも小さい。すなわち、定着部17における補強筋16は、基礎3よりも小さな作用力で降伏する。補強筋16の降伏震度については、詳細を後述する。なお、補強筋16は例えば鋼製であり、強度が高く、塑性変形能に優れた材料が望ましい。
補強筋16と基礎3との定着は、基礎3へ図示を省略した孔が設けられ、孔に補強筋16の端部が挿入される。孔と補強筋16との隙間にはコンクリートやモルタルが充填され定着される。なお、基礎3へ定着される補強筋16の埋設深さ(孔の深さ)は、補強筋16の径の20倍以上であることが望ましい。補強筋16が延性変形して径が細くなる際に、基礎3からの抜けを防止するためである。また、基礎3への補強筋16の埋設径(孔の径)は、補強筋16の径の2.5倍以上であることが望ましい。補強筋の径の2.5倍よりも小さいと補強筋16への引張力により、基礎3へのひび割れの発生等があるためである。
次に、構造物1の耐震補強の工程を説明する。図2は耐震補強における工程を示すフローチャートである。
まず、構造物1の衝撃試験を実施する(ステップ101)。図3は衝撃試験の実施状態を示す図である。構造物1の上方を重錘7により打撃すると、構造物は固有の振動モードで振動する。構造物1には、予めセンサ9a、9b、9cが構造物1の上方、中央、下方にそれぞれ取り付けられている。センサ9a、9b、9cは、重錘7によって付与された衝撃によって、各測定位置での加速度等を測定する。
次に、構造物1の固有値を解析し、基礎3(および地盤)のばね定数を算出する(ステップ102)。構造物1の振動状態から構造物1の剛性を算出するとともに、地盤をばねとして基礎3のばね定数3を算出する。基礎3のばね定数の算出は、衝撃試験での実測振動数と振動モードから、構造物1の固有値解析を行うことで算定される。
次に、基礎3の降伏震度を算出する(ステップ103)。ステップ102で算出された基礎3のばね定数に基づいて、基礎3の大きさから直接基礎としての降伏震度を算出する。なお、降伏震度の値は、許容応力度設計法に基づく設計基準「建造物設計標準解説(基礎構造物及び抗土圧構造物)、日本国有鉄道(編)昭和49年6月」に準拠し、算出するものとする。
次に、定着部17における補強筋16の設計降伏震度を決定する(ステップ104)。補強筋16を使用して構造物1と基礎3とが定着される場合において、定着部17における補強筋16の降伏震度は、ステップ103で算出された基礎3の降伏震度よりもわずかに小さく設定される。すなわち、構造物1に作用力を付与した際に、基礎3が降伏するよりもより小さな力で、定着部17において補強筋16が降伏して延性変形を開始するように、補強筋16の降伏震度を設定する。
次に、定着部17における補強筋16の量を決定する(ステップ105)。設定された設計降伏震度となるように、補強筋16の径、本数が決定される。なお、降伏震度は、補強筋16の材質が一定であれば、補強筋16の断面積と、基礎3の回転半径に依存する。すなわち基礎3の中心線から遠い位置で定着すれば、より少ない補強筋16でより大きな降伏震度を得ることができる。ここでは、通常、補強筋16の設置位置が構造物1の表面近傍であるとして、構造物1の幅の約半分を定着部17の位置として決めておき、補強筋16の量(径および本数)を決定する。
次に、補強筋16の量と構造体1の耐震補強における必要最低補強部材量とを比較する(ステップ106)。前述の通り、必要最低補強部材量は、耐震補強を行う上で基準として示された最低限の補強部材量である。すなわち、耐震補強を行う上では、必要最低補強部材量以上の補強筋を使用する必要がある。
ステップ105で算出された補強筋16の量(補強筋16の径および本数)が、必要最低補強部材量よりも多ければ、ステップ109へ進みそのまま施工することができる(ステップ107)。
図4は、ステップ105で算出された補強筋16の量で耐震補強を行った場合を示す図である。前述の通り、補強筋16は構造物1の外周面近傍に設けられる。したがって、構造物1の中心線19から定着部17までの定着距離21は、通常、構造物1の幅によって決定される。なお、この場合には、補強筋16は鉛直方向にまっすぐに配置され、基礎3と定着部17で定着される。
ステップ105で算出された補強筋16の量(補強筋16の径および本数)が、必要最低補強部材量よりも少なければ、定着部17の位置を見直す(ステップ108)。すなわち、定着部17を構造物1の中心方向にずらして再度補強筋16の量を算出しなおす。
図5は、補強筋16が曲げ部23で斜めに曲げられ、定着部17が中止線19側にずれた状態を示す図である。補強筋16は構造物1の大部分で鉛直方向にまっすぐであるが、定着部17よりもわずか上方に曲げ部23が設けられる。曲げ部23よりも下方では、補強筋16は中心線19側に斜めに設けられる。補強筋16が曲げられるため、定着距離21は通常の場合と比較して短くなる。
定着距離21が短くなると、定着距離21が長い場合と同じ降伏震度を得るためには、より多くの補強筋16の量が必要となる。すなわち、定着距離21を短くすることで、降伏震度を維持したまま、補強筋16の量を増やすことができる。以上により再計算された補強筋16の量と定着距離21によって耐震補強が施される(ステップ109)。
図6は、このようにして耐震補強が施された構造物1に、地震等の作用力が付与された状態を示す図である。構造物1、基礎3は十分な強度を有しており、作用力によって降伏することはないが、定着部17において補強筋16が降伏し、延性変形を開始する。
図7は、基礎3の降伏と定着部17における補強筋16(以後単に「定着部」とする)の降伏を比較した概念図である。基礎の降伏点25よりも定着部の降伏点27は低い。従って、より低い作用力で定着部は降伏する。定着部は降伏後も、定着部の変位28に示すように、延性変形を続ける。また、定着部の延性変形時に、定着部の変形に必要な作用力は、基礎の降伏点25を越えることはない。更に定着部の変形能は十分に大きい。従って、基礎の回転変位26よりも大きな変位量を得ることができる。
すなわち、定着部17の降伏震度が基礎3の降伏震度よりも小さいため、地震等による作用力を受けた際に、まず定着部17が降伏し、延性変形を行うため、基礎3は降伏することはない。また、定着部17の変形能は十分に大きいため、変形時に大きな振動エネルギーを吸収することができる。
なお、地震後には定着部17が降伏して永久変形を起こしているため、再度、耐震補強を施す必要があるが、基礎3や木杭5が破損することがないため、基礎3及び構造物1を全て構築しなおす必要がなく、耐震補強のみを施せばよいため、復旧が容易である。
このように、本実施の形態にかかる構造物1の耐震補強によれば、基礎3よりも定着部17の降伏震度が小さく設定されるため、地震時の作用力によって、まず補強筋16が降伏する。このため、基礎3が降伏せず、基礎3が破損することがない。また、補強筋16は十分な変形能を有するため、補強筋16の延性変形によって、地震による振動エネルギーが効率よく吸収される。また、構造物1の中心線19からの定着部17の距離である定着距離21を考慮することで、設計される降伏震度を維持したまま、補強筋量を変更することができる。このため、補強の施工基準に合致した補強を行うとともに、基礎3構造物1との定着部17の降伏震度を自由に設定することができる。
特に、木杭を使用した基礎においては、直接基礎の場合と比較して、木杭の劣化や木杭と基礎との結合状態等を知ることが困難であるため、基礎の変位性能が極めて小さい場合も考えられる。このため、本発明は、木杭基礎の構造物に対して特に有用であり、木杭基礎が降伏するよりも小さな力で降伏するとともに、大きな塑性変形能を有する本発明による構造物によれば、基礎を破損させることなく、振動エネルギーを吸収できるため有効である。
補強筋を試験体に埋め込んだ後に、補強筋への引張力を付与した際の補強筋の降伏力と変形について調査した。図8(a)は、引抜き試験装置30を示す図である。
レンガブロックからなる試験体31に孔33を設けた。その後孔33内のスライムを除去洗浄した。次いで試験に供する補強筋37を孔33に挿入し、孔33へセメントペースト及びモルタルを充填し固定した。なお、レンガブロックのサイズは、1.3mx1.3mx高さ1mである。また、試験に供した補強筋37は外径16mmのねじ節鉄筋である。
試験体31の上方には、H鋼41が一対設けられ、H鋼41の上方には油圧ジャッキ39が設けられる。H鋼41は油圧ジャッキ39からの反力を受ける。補強筋37の上方の端部は油圧ジャッキ39に固定されている。油圧ジャッキ39は図示を省略した油圧ポンプ等によって図中矢印A方向に補強筋37へ引張力を付与する。引抜き試験装置30は、この際の荷重と変位を、図示を省略したロードセルと変位計で計測し記録する。引抜き試験は、孔33の深さである埋め込み長さ45および孔33の径である埋め込み径47を変化させて行った。
図8(b)は、埋め込み深さ45による補強筋37の荷重と変位の関係を示す図である。図中Dは補強筋37の径(16φ)である。すなわち、図8(b)は、埋め込み深さ45として、160mm(10D)、240mm(15D)、320mm(20D)、400mm(25D)での荷重―変位の測定結果である。なおこの際の埋め込み径47は約64mmである。
図8(b)から明らかなように、埋め込み長さ45が10Dでは補強筋37が降伏する前に抜けてしまい、補強筋37が十分に定着されていないことを意味する。埋め込み長さ45が15Dの場合には、補強筋37が降伏して変形が開始した直後に抜けが発生した。すなわち、補強筋37の伸び変形による縮径により、補強筋37が抜けやすくなり、十分な変形をすることができなかったと考えられる。
一方埋め込み長さ45が20D以上では、補強筋37は抜けることなく十分変形しており、振動エネルギーを吸収できるといえる。この結果は、他の補強筋径でもほぼ同様の結果を得られた。従って、補強筋37の埋め込み長さ45は深いほうがより安定した変形を得ることができ、20D以上であることが望ましいといえる。
また、引抜き試験の結果、埋め込み径47/補強筋径43が大きいほど抜け荷重は高くなり、埋め込み径47/補強筋径43が2.0以上、更に望ましくは2.5以上であれば、抜け荷重が安定することが分かった。特に、埋め込み径47/補強筋径43が2.5の場合には、試験体31へのひび割れの発生が見られなかった。これは、埋め込み径47が小さいと、充填するモルタル35と試験体31との接触面積が小さくなるため、試験体31の孔33表面が補強筋37より受ける単位面積当たりの力が大きくなり、このため、試験体31にひび割れ等が生じるためである。したがって、埋め込み径47/補強筋径43は2.5以上であることが望ましい。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
構造物1を示す図。 構造物の耐震補強の工程を示すフローチャート。 構造物1の衝撃試験の実施状態を示す図。 構造物1に補強筋16を設けた状態を示す図。 補強筋16が曲げ部23で構造物1の中心方向に曲げられた状態を示す図。 構造物1に地震による作用力が付与された状態を示す図。 基礎と定着部の降伏点と変位の関係を示す概念図。 補強筋の径Dに対する埋設深さによる補強筋の荷重―変位の関係を示す図。 従来の補強方法による基礎の破損状況を示す図。
符号の説明
1………構造物
3………基礎
5………木杭
7………重錘
9………センサ
11………支柱
15………補強部
16………補強筋
17………定着部
19………中心線
21………定着距離
23………曲げ部
25………基礎の降伏点
26………基礎の回転変位
27………定着部の降伏点
28………定着部の変位
30………引抜き試験装置
31………試験体
33………孔
35………モルタル
37………補強筋
39………油圧ジャッキ
41………H鋼
43………補強筋径
45………埋め込み長さ
47………埋め込み径
50………構造体
51………基礎
53………木杭
55………補強部材
57………定着部
59………杭頭破損部
61………基礎破損部

Claims (8)

  1. 基礎を有する構造物の耐震補強方法であって、
    基礎または基礎地盤のばね定数を得る工程(a)と、
    前記ばね定数から前記基礎の降伏震度を算出する工程(b)と、
    前記構造物と前記基礎との定着部の降伏震度が、前記基礎の降伏震度よりも小さくなるように、前記構造物と前記基礎とを定着する補強部材量を算出する工程(c)と、
    前記補強部材を前記構造物と前記基礎とに設ける工程(d)と、
    を具備することを特徴とする構造物の耐震補強方法。
  2. 前記補強部材は、弾塑性変形により前記構造体と前記基礎との間の振動エネルギーを吸収することを特徴とする請求項1記載の構造物の耐震補強方法。
  3. 前記工程(c)の後、前記補強部材量が所定の必要最低補強部材量よりも少ない場合には、前記定着部の位置を前記構造物の中心に近づけて、前記補強部材量を再度算出する工程(e)を更に具備し、
    前記補強部材量が、前記必要最低補強部材量よりも大きく、かつ、前記定着部の降伏震度が前記基礎の降伏震度よりも小さくなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の構造物の耐震補強方法。
  4. 前記工程(d)では、前記補強部材の前記基礎への埋設深さが、前記補強部材の径の20倍以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の構造物の耐震補強方法。
  5. 前記工程(d)では、前記基礎へ設けられる前記補強部材の埋設穴径が前記補強部材の2.5倍以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の構造物の耐震補強方法。
  6. 前記基礎は木杭基礎であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の構造物の耐震補強方法。
  7. 基礎を有する構造物の補強構造であって、
    前記基礎と前記構造物に設けられる補強部材の定着部の降伏震度が、前記基礎の降伏震度よりも小さいことを特徴とする構造物の補強構造。
  8. 前記補強部材は、前記基礎と前記構造物との定着部近傍で、前記構造物の中心方向に曲げられ、
    前記基礎と前記構造物との定着部は、前記構造物に前記補強部材が設けられた部位よりも、前記構造物の中心方向にずれていることを特徴とする請求項7記載の構造物の補強構造。
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