JP2009203434A - 多層構造重合体粒子からなる高耐熱ゴムフィルム、およびその製造方法 - Google Patents

多層構造重合体粒子からなる高耐熱ゴムフィルム、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】耐熱性および耐衝撃性に優れた高耐熱ゴムフィルム、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明により得られる、特定の化学構造を最外層に有し、ゴム成分層を最内層に有する多層構造重合体粒子を特定の条件下で加熱成形したフィルムは、透明性、耐熱性および耐衝撃性において優れたフィルムを提供することができる。また、多層構造重合体粒子からなるゴム分散体を加熱成形した場合においても同様のフィルムを提供することができる。このようにして得られるフィルムは、特に耐熱性、成形加工性が要求される車内外の自動車用部材、光学部品用途に好適に用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多層構造重合体粒子を加熱成形してなる高耐熱ゴムフィルム、およびその製造方法に関するものである。
ポリメタクリル酸メチル(以下PMMAと称する)に代表されるアクリル系樹脂は、優れた透明性や寸法安定性を有するが、耐衝撃性が十分ではないという問題点があるため、用途が限られていた。この問題点を解決するために、アクリル系樹脂に対し、熱可塑性樹脂成分とゴム成分を含有する多層構造重合体粒子を添加する方法が開示されており、この方法により得られたアクリルフィルムが広範な分野で使用されている(特許文献1および2)。
しかし近年、例えば自動車のナビゲーションシステム、ハンディカメラなどの普及により、使用範囲が屋外や自動車の車内などの耐熱性が要求される過酷な使用環境下へと移行してきている。さらに、車内空間を大きくするためやガソリン燃費を改良するために、テールランプレンズやインナーレンズ、ヘッドランプ、シールドビーム等の各種レンズと光源の間隔を小さくするなど、部品の薄肉化が図られる傾向にあり、より優れた耐衝撃性、成形加工性が要求されるようになっている。すなわち、耐熱性および耐衝撃性の優れたアクリル系樹脂が市場において強く要求されている。
そこでこれらの要求に応える方法として、グルタル酸無水物構造単位を含有する熱可塑性樹脂共重合体組成物に、ゴム成分を含む多層構造重合体粒子を添加する方法が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、これら特許文献に開示されたゴム成分の添加量では、優れた耐衝撃性を得ることはできず、より成型加工性が求められる用途への適用は難しかった。一般に耐衝撃性を改善するためには、熱可塑性樹脂組成物中のゴム成分の含有量を増加すればよいが、当該特許文献の方法で、ゴム成分の添加量を増加しても、熱可塑性樹脂中へのゴム成分の分散性が不良となるため、フィルムや薄肉成形品を得た際の、表面平滑性や外観での欠点が多くなるという問題点が生じることが知られている。すなわち、これまで十分な耐熱性、耐衝撃性に優れたアクリル樹脂系のフィルムは知られていなかった。
特開平11−292940号公報 特開2006−8900号公報 特開2007−169626号公報
本発明は、多層構造重合体粒子を加熱成形してなる耐衝撃性、耐熱性に優れた高耐熱ゴムフィルム、およびその製造方法を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するゴム含有多層構造重合体粒子を特定の条件下で加熱成形したフィルムが、透明性、耐熱性および耐衝撃性においても優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記の構成を有する。
[1]多層構造重合体粒子中の最外層に含まれる共重合体中に、下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物構造単位を少なくとも有する、ガラス転移温度が120℃〜200℃である熱可塑性樹脂層(A)を最外層に有し、かつ内部に少なくとも1層以上のゴム弾性を有する単量体単位および他の単量体単位を有する共重合成分からなるゴム成分層(B)を有する、2つ以上の層からなる多層構造重合体粒子であり、ゴム成分層(B)と熱可塑性樹脂層(A)との質量比は、(B)/(A)において50/50〜90/10である多層構造重合体粒子を加熱成形してなることを特徴とする高耐熱ゴムフィルム。
Figure 2009203434
(上記式中、R、Rは、同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す。)
[2]多層構造重合体粒子からなるゴム分散体を加熱成形してなることを特徴とする[1]記載の高耐熱ゴムフィルム。
[3]ゴム成分層(B)が均一に分散していることを特徴とする[1]から[2]いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルム。
[4]多層構造重合体粒子を、有機溶媒で抽出した時のS可溶成分の重量平均分子量が2万以下であることを特徴とする[1]から[3]いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルムの製造方法。
[5]加熱成形温度が140℃〜240℃であることを特徴とする[1]から[4]いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルムの製造方法。
本発明の特定の化学構造を有するゴム含有多層構造重合体粒子を特定の条件下で加熱成形したフィルムは、透明性、耐熱性および耐衝撃性においても優れるため、電気電子部品、自動車部品、OA機器、医療機器関連部品の用途にとって有用である。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本発明における多層構造重合体粒子は、内部に少なくとも1層以上のアクリル酸アルキルエステル単位を有する共重合体からなるゴム成分層(B)を有し、かつ熱可塑性樹脂共重合体で構成される最外層(A)を有する。本発明の多層構造重合体粒子を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層で構成されていても4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、層(B)(最内層)/層(A)(最外層)の構成であり、3層構造の場合は、層(B)(最内層)/層(B)(中間層)/層(A)(最外層)、層(B)(最内層)/層(A)(中間層)/層(A)(最外層)又は層(A)(最内層)/層(B)(中間層)/層(A)(最外層)の構成であり、4層構造の場合には、例えば、層(B)(最内層)/層(A)(中間層)/層(B)(中間層)/層(A)(最外層)の構成を有することができる。これらの中でも、取扱い性に優れる点において、層(B)(最内層)/層(A)(最外層)の2層構造が好ましい。
また、層(B)と層(A)の総重量比は、(B)/(A)において50/50〜90/10の範囲内である。層(B)の割合がこの範囲より小さいと多層構造重合体粒子の耐衝撃性が不十分となり、反対に層(B)の割合がこの範囲より大きいと耐熱性が不十分となる。
本発明における多層構造重合体粒子の最外層は、熱可塑性樹脂共重合体で形成され、その中の共重合体の構造単位中に少なくとも、下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物構造単位を有する。
Figure 2009203434
この際、上記式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを示す。また、これらは同一または相異なるものであってもよい。
このうち、好ましいものとしては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、特に好ましいものは、水素原子、メチル基である。
上記、グルタル酸無水物構造単位の含有量としては、好ましくは熱可塑性樹脂層(A)100質量部中に10〜50質量部、より好ましくは15〜30質量部である。10質量部未満である場合、ガラス転移温度が120度未満となり、耐熱性が十分ではなくなる。
本発明における多層構造重合体粒子中最外層の熱可塑性共重合体のうち、グルタル酸無水物構造単位以外の共重合成分としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位または、不飽和カルボン酸であることが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を形成するための単量体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
上記、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の含有量としては、熱可塑性樹脂層(A)100質量部中に好ましくは50〜75質量部、より好ましくは55〜70質量部である。
不飽和カルボン酸単位を形成するための単量体の好ましい具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、なかでもメタクリル酸が最も好ましく用いられる。
上記、不飽和カルボン酸単位の含有量としては、10質量部以下、すなわち0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量部、最も好ましくは0〜1質量部である。不飽和カルボン酸単位が10質量部を超える場合には、吸湿による寸法安定性が低下する傾向がある。
また、本発明における多層構造重合体粒子の最外層の熱可塑性樹脂共重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが耐熱性の面で必要である。ガラス転移温度は、150℃以上が好ましい。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/minで測定したガラス転移温度(Tg)である。
本発明における多層構造重合体粒子は、内部に少なくとも1層以上のゴム弾性を有する単量体単位および他の単量体単位を有する共重合成分からなるゴム成分層(B)を有する。
ゴム弾性を有する単量体単位の具体例としては、アクリル系単量体、シリコーン系単量体、スチレン系単量体、ニトリル系単量体、共役ジエン系単量体、ウレタン結合を生成する単量体、エチレン系単量体、プロピレン系単量体、イソブテン系単量体などを重合させたものが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル系単位およびブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン系単位から構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴムも好ましい。例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン系単位から構成されるゴム、および(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル系単位、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン系単位およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン系単位から構成されるゴムなどが挙げられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、アクリル酸アルキルエステル単位、および、置換または無置換のスチレン単位を含有する重位であるゴムが、透明性および機械特性の点から、最も好ましい。
上記、ゴム弾性を有する単量体単位の含有量としては、ゴム成分層を構成する共重合成分中の 50〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜75質量%である。
本発明における多層構造重合体粒子の内部にあるゴム成分の他の単量体単位としては、上記アクリル酸アルキルエステル単位と共重合させることが可能な不飽和結合を有するものであればいずれも使用可能である。これらは、多官能単量体であっても良い。
上記、共重合可能な他の単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミド、N−(クロロフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。
上記多官能性単量体としては、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸とアリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコール又はエチレングリコール、ブタンジオール等のグリコールとのエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステル等が包含され、具体的には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性単量体の中でも、メタクリル酸アリルが特に好ましい。なお、前記の「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。
本発明における多層構造重合体粒子は、1次粒子の平均粒径が、0.05mm〜0.5mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.1mm〜0.3mmである。0.05mm未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下する傾向を生じ、0.5mm以上の範囲では、透明性が低下する傾向がある。尚、多層構造重合体の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真にて、任意粒子の100個の直径の平均から算出することができる。なお、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
本発明の高耐熱ゴムフィルムは、(1)ゴム成分層を形成させるための重合反応工程と(2)最外層に不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位有する共重合体である熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重合反応工程とを所定の順序で行い、最外層に該熱可塑性樹脂層、内部に少なくとも一つのゴム成分層を有する多層構造重合体前駆体(C)を得た後に、(3)加熱環化する工程を行うことによってグルタル酸無水物構造単位を最外層に有する多層構造重合体粒子を得、(4)特定の条件下で加熱成形する工程を行うことで製造することができる。
多層構造重合体粒子前駆体(C)の重合は、公知の製造方法に準じて、製造することができる。
重合法については特に制限はなく、例えば、通常の多層構造重合体粒子を製造するための公知の重合法に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、またはこれらの組み合わせを採用することができる。すなわち、ゴム成分層を重合した後に、ゴム成分層の存在下で熱可塑性樹脂層の重合を行えばよい。
例えば、乳化重合では公知の手段に従い、各層を形成させるための重合を行うことにより、本発明の多層構造重合体粒子を得ることができる。乳化重合の温度としては、必ずしも限定されないが一般的な範囲は0℃〜100℃である。ここで使用する乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、及びステアリン酸ナトリウム等の脂肪族のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルアリルスルホン酸等が挙げられ、これらは、1種類ないし2種類以上の組み合わせで用いられる。乳化重合で使用する重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を単独で用いることができる。また、ラジカル重合開始剤として、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類と、遷移金属塩等の還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤を使用することができる。
また必要に応じて連鎖移動剤を使用することができる。具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが好ましい。
本発明における、上記熱可塑性樹脂層前駆体(C)は、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位及び不飽和カルボン酸単位の共重合体であることが好ましい。その好ましい割合は、該単量体混合物を100質量部として、不飽和カルボン酸単量体が15〜50質量部、より好ましくは20〜45質量部、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位は好ましくは50〜85質量部、より好ましくは55〜80質量部である。不飽和カルボン酸単位が15質量部未満の場合には、後の加熱環化による上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物構造単位の生成量が少なくなり、耐熱性向上効果が小さくなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸単位が50質量部を超える場合には、加熱による環化反応後に、不飽和カルボン酸単位が多量に残存する傾向があり、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。
乳化重合後、生成した多層構造重合体粒子前駆体(C)の重合反応系からの分離取得は、公知の手法に従い行うことができる。公知の分離取得法としては、例えば、酸析法、塩析法、スプレードライ法、凍結凝固法などを採用することができる。
本発明において、グルタル酸無水物構造単位を最外層に有する多層構造重合体粒子は、多層構造重合体粒子前駆体(C)を加熱し(イ)脱アルコール及び/又は(ロ)脱水による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には、共重合体を加熱することにより2単位の不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基が脱水されて、あるいは、隣接する不飽和カルボン酸単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールの脱離により1単位の前記グルタル酸無水物構造単位が生成される。
本発明において環化のための加熱温度は200℃〜300℃、より好ましくは220℃〜260℃である。加熱温度が200℃以下であると、環化反応が十分に行えず、300℃以上であると着色する傾向がある。
本発明において、環化反応としては、例えばベントを有する加熱した押出機を用いる方法や、不活性ガス雰囲気下または真空下で加熱脱気できる装置を用いる方法が生産性の観点からも好ましい。この際、成形法により、多層構造重合体粒子からなるゴム分散体の粉末、ペレット、板等が得られる。尚、ここで言うゴム分散体とは、各々の多層構造重合体粒子が集合し、ペレットなどの成形材料を形成している状態を示す。
本発明における多層構造重合体粒子、及びゴム分散体の加熱成形温度を制御することにより、加熱成形して得られたフィルムのゴム成分の分散性が良好となり、表面平滑性や外観での欠点を顕著に減少できる。
すなわち、加熱成形温度は140℃〜240℃が好ましく、より好ましくは180℃〜220℃である。加熱成形温度が高すぎるとゴム成分同士が凝集し分散不良となり表面平滑性や外観の欠点が多い成形品となり、加熱成形温度が低すぎると溶融流動性が低下し、成形品を得ることができない。尚、ここで言う分散性とは、透過型電子顕微鏡にて、フィルム断面を観察し、10mm×10mm当たりの粒子数を100通り数え、標準偏差から評価する。
成形法は公知の製造方法に準じて、製造することができる。公知の成形法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形等の成形法により、粉末状、ペレット状、板状、フィルム又はシート状、パイプ状、中空状、箱状等の任意の形状の成形品に成形することができる。
本発明において、多層構造重合体粒子中に含まれる有機溶媒可溶成分(D)の分子量を制御することにより、加熱成形して得られたフィルムの表面平滑性や外観での欠点を顕著に減少できる。すなわち、多層構造重合体粒子中に含まれる有機溶媒可溶成分(D)の重量平均分子量は2万以下であることが好ましい。分子量が3万以上であると、溶融流動性が低下する傾向にある。
尚、ここで言う有機溶媒可溶成分(D)とは、多層構造重合体粒子を30質量倍中の有機溶媒中、70℃で5時間可溶分の抽出を行った後、20000Gで60分間遠心分離を行い、固液分離した有機溶媒液を濃縮して得られる成分である。
また、用いる有機溶媒は、原則としてテトラヒドロフランを用いるが、それにより可溶分の抽出が困難である場合には、熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂それ自体(例えば(B)層の不存在下で製造した熱可塑性樹脂)を溶解する有機溶媒を用いる。そのような有機溶媒としては、上記条件を満たす限り特に制限はないが、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン芳香族炭化水素系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、エーテル系溶媒などから好ましく選択することができる。
また、ここで言う重量平均分子量とは、上記有機溶媒可溶成分(D)を0.1質量部の測定サンプル溶液とし、示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて、標準ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
本発明において、多層構造重合体粒子中に含まれる有機溶媒可溶成分(D)の重量平均分子量を2万以下にするためには、少なくとも最外層を形成させるための重合工程において、公知の分子量調整方法を用いればよい。公知の方法としては、開始剤量の調整、連鎖移動剤量の調整、重合温度の調整等を用いることができる。
本発明の多層構造重合体粒子における熱可塑性樹脂層(A)における各成分単位の定量には、一般に赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機が用いられる。赤外分光法では、グルタル酸無水物含有単位は、1800cm−1および1760cm−1の吸収が特徴的であり、不飽和カルボン酸単位や不飽和カルボン酸アルキルエステル単位から区別することができる。また、H−NMR法では、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。例えば、グルタル酸無水物含有単位、メタクリル酸単位、およびメタクリル酸メチル単位からなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属は、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
このようにして得られるフィルムは、透明性、耐熱性および耐衝撃性に優れており、このような性能が要求される各種用途に好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中、用いる各測定および評価法は下記の通りである。
(1)粒子径
透過型電子顕微鏡にて、任意粒子の100個の平均をとり、数平均を算出した。なお、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
(2)重量平均分子量測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、標準ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:島津製作所社製 LC−10Aシリーズ
カラム:昭和電工社製KL−806+KL−804
移動相:THF
流速:1.0ml/min
検出:示差屈折率計。
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。
(4)最外層グルタル酸骨格生成の確認
赤外分光光度計 (Perkin Elmer社製System2000)で測定し、グルタル酸無水物含有単位の特徴的ピークである1800cm−1および1760cm−1の吸収ピークの有無により、グルタル酸無水物含有単位の生成を確認した。
(5)分散性の評価
透過型電子顕微鏡にて、フィルム断面を観察し、100通り任意の箇所の面積(10mm×10mm)当たりの総粒子を数え、その標準偏差から評価した。
◎:標準偏差5未満
○:標準偏差10未満
×:標準偏差11以上
(6)成形性の評価
フィルム成形中の運転状況を確認し、以下の基準により評価した。
◎:フィルムの厚みが均一で成形できる。
○:フィルムの厚みが不均一だが成形できる。
×:フィルムの厚みが不均一またはフィルム切れが発生する。
(7)耐折り曲げ性
得られたフィルムを1回、180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価した。
○:割れが観測されない。
×:割れが観測される。
製造例1 多層構造重合体粒子(A−1)の製造
窒素雰囲気下、撹拌翼、冷却管を装着した重合器に、脱イオン水100質量部及び乳化剤としてラテムルE−118B(花王株式会社製)1質量部、ピロリン酸ナトリウム0.01質量部を加え、80℃に加熱した。次いで、同温度においてアクリル酸n−ブチル3質量部、スチレン1質量部を加え、過硫酸カリウム0.01質量部を加え重合を開始した。1時間後、ガスクロマトグラフィーで各単量体が全て消費されたことを確認した。次いで、得られた共重合体ラテックスに、脱イオン水57質量部、アクリル酸n−ブチル57質量部、スチレン20質量部、1,4−ブタンジオールジアクリレート4質量部、ピロリン酸ナトリウム0.2質量部、過硫酸カリウム0.1質量部を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応を続け、原料が全て消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し、ゴム成分層共重合体ラテックスを得た。さらに得られた共重合体ラテックスに、脱イオン水35質量部、ラテムルE−118B(花王株式会社)2質量部、メタクリル酸メチル25質量部、メタクリル酸10質量部、ピロリン酸ナトリウム0.1質量部、過硫酸カリウム0.1質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応を続け、原料が全て消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し、熱可塑性樹脂層を重合した。この多層構造重合体粒子前駆体ラテックスを塩化ナトリウムで凝固し、濾過、洗浄した。これを真空オーブンに入れ、70℃で加熱乾燥し、多層構造重合体粒子前駆体を得た。得られた多層構造重合体粒子前駆体を真空オーブンに入れ、180℃で240分、減圧度10torrで加熱処理を行い、多層構造重合体粒子(A−1)を得た。得られた、重合体粒子を赤外分光光度計にて確認を行ったところ、グルタル酸無水物骨格を示すピークが存在することがわかった。透過型電子顕微鏡から平均粒子径は160nmであった。ガラス転移温度は132℃であった。
得られた(A−1)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−1)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は1.8万であった。
製造例2 多層構造重合体粒子(A−2)の製造
熱可塑性樹脂層の重合時の組成をメタクリル酸メチル60質量部、メタクリル酸25質量部とした以外は、上記(A−2)と同様にして、多層構造重合体粒子(A−2)を得た。平均粒径は、170nmであった。
得られた多層構造重合体粒子を赤外分光光度計を用いて分析した結果、1800cm−1及び1760cm−1に吸収ピークが確認され、この多層構造重合体粒子中にグルタル酸無水物単位が形成していることを確認した。ガラス転移温度は133℃であった。
得られた(A−2)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−2)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は1.9万であった。
製造例3 多層構造重合体粒子(A−3)の製造
熱可塑性樹脂層の重合時の組成をメタクリル酸メチル83質量部、メタクリル酸36質量部とした以外は、上記(A−3)と同様にして、多層構造重合体粒子(A−3)を得た。平均粒径は、170nmであった。
得られた多層構造重合体粒子を赤外分光光度計を用いて分析した結果、1800cm−1及び1760cm−1に吸収ピークが確認され、この多層構造重合体粒子中にグルタル酸無水物単位が形成していることを確認した。ガラス転移温度は131℃であった。
得られた(A−3)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−3)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は1.9万であった。
製造例4 多層構造重合体粒子(A−4)の製造
熱可塑性樹脂層の重合時の組成をメタクリル酸メチル35質量部とした以外は、上記(A−1)と同様にして、多層構造重合体粒子(A−4)を得た。平均粒径は、165nmであった。
得られた多層構造重合体粒子を赤外分光光度計を用いて分析した結果、1800cm−1及び1760cm−1に吸収ピークが確認されなかった。ガラス転移温度は100℃であった。
得られた(A−4)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−4)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は1.8万であった。
製造例5 多層構造重合体粒子(A−5)の製造
熱可塑性樹脂層の重合時の滴下時間を0.5時間とした以外は、上記(A−1)と同様にして、多層構造重合体粒子(A−5)を得た。平均粒径は、170nmであった。
得られた多層構造重合体粒子を赤外分光光度計を用いて分析した結果、1800cm−1及び1760cm−1に吸収ピークが確認され、この多層構造重合体粒子中にグルタル酸無水物単位が形成していることを確認した。ガラス転移温度は130℃であった。
得られた(A−5)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−5)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は12.1万であった。
製造例6 ゴム分散体(C−1)の製造
窒素雰囲気下、撹拌翼、冷却管を装着した重合器に、脱イオン水100質量部及び乳化剤としてラテムルE−118B(花王株式会社製)1質量部、ピロリン酸ナトリウム0.01質量部を加え、80℃に加熱した。次いで、同温度においてアクリル酸n−ブチル3質量部、スチレン1質量部を加え、過硫酸カリウム0.01質量部を加え重合を開始した。1時間後、ガスクロマトグラフィーで各単量体が全て消費されたことを確認した。次いで、得られた共重合体ラテックスに、脱イオン水57質量部、アクリル酸n−ブチル57質量部、スチレン20質量部、1,4−ブタンジオールジアクリレート4質量部、ピロリン酸ナトリウム0.2質量部、過硫酸カリウム0.1質量部を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応を続け、原料が全て消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し、ゴム成分層共重合体ラテックスを得た。さらに得られた共重合体ラテックスに、脱イオン水35質量部、ラテムルE−118B(花王株式会社)2質量部、メタクリル酸メチル25質量部、メタクリル酸10質量部、ピロリン酸ナトリウム0.1質量部、過硫酸カリウム0.1質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応を続け、原料が全て消費されたことをガスクロマトグラフィーで確認し、熱可塑性樹脂層を重合した。この多層構造重合体粒子前駆体ラテックスを塩化ナトリウムで凝固し、濾過、洗浄した。これを真空オーブンに入れ、70℃で加熱乾燥し、多層構造重合体粒子前駆体を得た。得られた粒子を用いて、2軸押出機(TEX30(日本製鉄株式会社製)、L/D=44.5)に供給し、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練を行い、ゴム分散体のペレット(C−1)を得た。得られた、ゴム分散体を赤外分光光度計にて確認を行ったところ、グルタル酸無水物骨格を示すピークが存在することがわかった。透過型電子顕微鏡から平均粒子径は160nmであった。ガラス転移温度は132℃であった。
得られた(C−1)1質量部を30質量部のテトラヒドロフランに加え、70℃で5時間可溶分の抽出を行い、20000Gで60分間遠心分離した。デカンテーションによりテトラヒドロフラン溶液層を分離、減圧濃縮を行った後に、可溶成分(B−6)の分子量測定を行った結果、重量平均分子量は1.8万であった。
実施例1〜2
製造例1(実施例1)および製造例2(実施例2)で得られた粒子を用いて、40mmφのベント付き押出機に供し、210℃で20kg/hの速度で、幅200mmのフィルム製造用T−ダイから押出し、ポリッシングロールに供し、平均フィルム厚が40mmの均質なフィルムを得た。
実施例3
製造例6で得られたゴム分散体を用いた以外は、上記実施例1と同様にし、フィルムを得た。
実施例4
製造例5で得られた粒子を用いた以外は、上記実施例1と同様にし、フィルムを得た。
実施例5
製造例1で得られた粒子を用いて加熱成形温度を260℃とした以外は、上記実施例1と同様にしたが、フィルムを得た。
実施例6
製造例1で得られた粒子を用いて加熱成形温度を150℃とした以外は、上記実施例1と同様にしたが、フィルムを得た。
比較例1
製造例3で得られた粒子を用いて、加熱成形温度を260℃とした以外は、上記実施例1と同様にし、フィルムを得た。
比較例2
製造例4で得られた粒子を用いた以外は、上記実施例1と同様にし、フィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2009203434

Claims (5)

  1. 多層構造重合体粒子中の最外層に含まれる共重合体中に、下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物構造単位を少なくとも有する、ガラス転移温度が120℃〜200℃である熱可塑性樹脂層(A)を最外層に有し、かつ内部に少なくとも1層以上のゴム弾性を有する単量体単位および他の単量体単位を有する共重合成分からなるゴム成分層(B)を有する、2つ以上の層からなる多層構造重合体粒子であり、ゴム成分層(B)と熱可塑性樹脂層(A)との質量比は、(B)/(A)において50/50〜90/10である多層構造重合体粒子を加熱成形してなることを特徴とする高耐熱ゴムフィルム。
    Figure 2009203434
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す。)
  2. 多層構造重合体粒子からなるゴム分散体を加熱成形してなることを特徴とする請求項1記載の高耐熱ゴムフィルム。
  3. ゴム成分層(B)が均一に分散していることを特徴とする請求項1から2いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルム。
  4. 多層構造重合体粒子を、有機溶媒で抽出した時の可溶成分の重量平均分子量が2万以下であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルムの製造方法。
  5. 加熱成形温度が140℃〜240℃であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の高耐熱ゴムフィルムの製造方法。
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