JP2009203030A - 昇降機機器用ローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータのローラガイド装置やエスカレータのローラチェーン装置などの昇降機機器用ローラの転動部の外層弾性体の変形を防止し、振動・騒音の発生を抑制する。
【解決手段】昇降機機器用ローラの転動部の外層弾性体の内部に周状の剛性部材を備え、弾性体の変形を抑えた。また、軸方向断面で剛性部材の断面形状を凸型にしたり、凹型にしたり、外層弾性体の外形形状と剛性部材の外形形状を略同形にしたりして、さらに効果を高めた。
【選択図】図2
【解決手段】昇降機機器用ローラの転動部の外層弾性体の内部に周状の剛性部材を備え、弾性体の変形を抑えた。また、軸方向断面で剛性部材の断面形状を凸型にしたり、凹型にしたり、外層弾性体の外形形状と剛性部材の外形形状を略同形にしたりして、さらに効果を高めた。
【選択図】図2
Description
この発明は、エレベータのローラガイド装置、エレベータのドア装置、エスカレータのローラチェーン装置などの昇降機機器に用いる転送面が弾性体のローラに関する。
昇降機機器のローラは一般に振動・騒音を防止するために、転送面を弾性体とするものが汎く用いられている。しかし、このような転送面が弾性体のローラは、荷重を受ける状態で長時間停止している場合には前記弾性体の接触部に平らな変形が生じ、この状態からローラが回転すると、一回転に一回の割合で振動が発生するという問題点がある。
特許文献1には、転送面が弾性体のローラを備え、かごが長時間停止した時の弾性体のローラの変形を防止するバックアップ機構を備えたエレベータのローラガイド装置が開示されている。これによれば、テーパープレートと転送面が剛性材のバックアップローラとを設け、かごが停止する際には前記バックアップローラがテーパープレートに乗り上げることにより、転送面が弾性体のローラの変形を防止している。
特許文献1には、転送面が弾性体のローラを備え、かごが長時間停止した時の弾性体のローラの変形を防止するバックアップ機構を備えたエレベータのローラガイド装置が開示されている。これによれば、テーパープレートと転送面が剛性材のバックアップローラとを設け、かごが停止する際には前記バックアップローラがテーパープレートに乗り上げることにより、転送面が弾性体のローラの変形を防止している。
図7に従来の転送面が弾性体のローラの側面を、図8に従来の転送面が弾性体のローラの半断面を示す。ローラ1は中心に軸穴を備えた軸受部2と、転動部3とで構成されており、転動部3はホイール4と外層弾性体5とを備えている。ここで、外層弾性体5の素材はポリブタジエンゴム、天然ゴム、ナイロン、ウレタンなどの弾性材である。ここで、外層弾性体5はホイール4の外周面に接着剤を塗布しておき、ホイール4にかぶせた型枠に前記弾性材の材料を流し込んだのち加硫することにより形成するものであり、外層弾性体5は、ホイール4に接着固定されている。図7の矢印は、外層弾性体5に作用する接触荷重による接触圧の分布を模式的に示したものである。図7に示したような接触荷重を受ける状態が長時間継続すると外層弾性体5の弾性材にはいわゆるヘタリと称する変形が発生し、荷重を除いてもすぐには元の形状に回復しない。エレベータのローラガイド装置、エレベータのドア装置やエスカレータのローラチェーン装置などの昇降機機器に用いられるローラが荷重を受ける状態で長時間停止すると、外層弾性体5の接触面が平らに変形し、この後にローラが回転すると変形して平らになった面が間歇的に転送面に衝突するため、振動や騒音が発生する。
特許文献1に記載されたエレベータのローラガイド装置はこの問題点を解決するものであるが、テーパープレートとバックアップローラを備えたバックアップ機構を備え、かごが停止する際に前記バックアップローラがテーパープレートに乗り上げることにより外層弾性体5のローラはガイドレールと接触しなくなるので変形を生じないという複雑な構成となっている。
特許文献1に記載されたエレベータのローラガイド装置はこの問題点を解決するものであるが、テーパープレートとバックアップローラを備えたバックアップ機構を備え、かごが停止する際に前記バックアップローラがテーパープレートに乗り上げることにより外層弾性体5のローラはガイドレールと接触しなくなるので変形を生じないという複雑な構成となっている。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、簡便な手段で外層弾性体の変形を抑止し、振動や騒音の増大を抑制することを実現した転送面が弾性体のローラを提供することを目的とする。
この発明に係るエレベータのローラは、外層弾性体の内部に剛性部材を備えたことを特徴とするものである。
この発明によれば、長時間停止した後にローラが起動する場合でも、外層弾性体が変形するのを抑止し、振動や騒音の発生を抑制することが簡便な構成で可能となる。
以下に、この発明の実施の形態について、図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係るローラの側面を、図2にこの発明の実施の形態1に係るローラの半断面を示す。ローラ1は中心に軸穴を備えた軸受部2と、転動部3とで構成されており、転動部3はホイール4に外層弾性体5を接着により接合したものであり、外層弾性体5の内部には周状の剛性部材6を備えている。ここで、剛性部材6は鉄やアルミなどの金属部材であり、外層弾性体5の外周面と剛性部材6の外周面とは近接している。ここで、外層弾性体5はホイール4の外周面に接着剤を塗布しておき、加硫済の弾性体ブロックによりホイール4の外周面から剛性部材6を支えた状態で、ホイール4にかぶせた型枠に前記弾性材の材料を流し込んだのち加硫することにより形成するものである。この際、剛性部材6にはあらかじめ接着剤を塗布しておき、剛性部材6と外層弾性体とを接着固定する。このような構造にすることにより、ローラの外層弾性体5に作用する接触荷重は剛性部材6と外層弾性体5の嵌合固定部とに分散されるため、外層弾性体に作用する接触荷重が小さくなり外層弾性体の変形は少なくなる。図2に記載の矢印はこの荷重分布を模式的に表現したものである。このような荷重分布となるので、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を抑制することができる。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係るローラの側面を、図2にこの発明の実施の形態1に係るローラの半断面を示す。ローラ1は中心に軸穴を備えた軸受部2と、転動部3とで構成されており、転動部3はホイール4に外層弾性体5を接着により接合したものであり、外層弾性体5の内部には周状の剛性部材6を備えている。ここで、剛性部材6は鉄やアルミなどの金属部材であり、外層弾性体5の外周面と剛性部材6の外周面とは近接している。ここで、外層弾性体5はホイール4の外周面に接着剤を塗布しておき、加硫済の弾性体ブロックによりホイール4の外周面から剛性部材6を支えた状態で、ホイール4にかぶせた型枠に前記弾性材の材料を流し込んだのち加硫することにより形成するものである。この際、剛性部材6にはあらかじめ接着剤を塗布しておき、剛性部材6と外層弾性体とを接着固定する。このような構造にすることにより、ローラの外層弾性体5に作用する接触荷重は剛性部材6と外層弾性体5の嵌合固定部とに分散されるため、外層弾性体に作用する接触荷重が小さくなり外層弾性体の変形は少なくなる。図2に記載の矢印はこの荷重分布を模式的に表現したものである。このような荷重分布となるので、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を抑制することができる。
実施の形態2.
図3に発明の実施の形態2に係るローラの断面を示す。ホイール4の外周断面を凸形にして軸方向の中央近傍では剛性部材6の内周との距離を近接させている。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中央近傍で大きいが、この部分の弾性材の厚みが小さいため、外層弾性体5の変形はさらに少なくなり、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を、より良く抑制することができる。なお、実施例ではホイール4の外周断面を凸形としているが、軸方向の中央近傍で剛性部材6の内周との距離が近接する形状であれば、同様の効果が得られることは自明である。
図3に発明の実施の形態2に係るローラの断面を示す。ホイール4の外周断面を凸形にして軸方向の中央近傍では剛性部材6の内周との距離を近接させている。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中央近傍で大きいが、この部分の弾性材の厚みが小さいため、外層弾性体5の変形はさらに少なくなり、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を、より良く抑制することができる。なお、実施例ではホイール4の外周断面を凸形としているが、軸方向の中央近傍で剛性部材6の内周との距離が近接する形状であれば、同様の効果が得られることは自明である。
実施の形態3.
図4に発明の実施の形態3に係るローラの断面を示す。剛性部材6の外周断面の曲率は外層弾性体5の外周断面の曲率と同じにしており、外層弾性体5の外周表面から剛性部材6の外周までの距離すなわち弾性体の厚みは軸方向でほぼ均等である。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中心近傍で大きく、軸方向の外側にゆくにつれ小さくなるが、剛性部材6の外周形状をこのように形成することで、外層弾性体5の外周形状は同じであってもより大きな荷重まで、外層弾性体5の変形を小さくとどめることができるので、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を、より良く抑制することができる。
なお、実施例では剛性部材6の外周断面の曲率は外層弾性体5の外周断面の曲率を同じとしているが、剛性部材6の外周断面形状を外層弾性体5の外周断面形状に対して縮小相似形にしても同様の効果が得られることは自明である。
図4に発明の実施の形態3に係るローラの断面を示す。剛性部材6の外周断面の曲率は外層弾性体5の外周断面の曲率と同じにしており、外層弾性体5の外周表面から剛性部材6の外周までの距離すなわち弾性体の厚みは軸方向でほぼ均等である。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中心近傍で大きく、軸方向の外側にゆくにつれ小さくなるが、剛性部材6の外周形状をこのように形成することで、外層弾性体5の外周形状は同じであってもより大きな荷重まで、外層弾性体5の変形を小さくとどめることができるので、長時間停止した後にローラが起動する場合でも振動や騒音の発生を、より良く抑制することができる。
なお、実施例では剛性部材6の外周断面の曲率は外層弾性体5の外周断面の曲率を同じとしているが、剛性部材6の外周断面形状を外層弾性体5の外周断面形状に対して縮小相似形にしても同様の効果が得られることは自明である。
実施の形態4.
図5に発明の実施の形態4に係るローラの断面を示す。ここでは剛性部材6の外周形状を略凹形にしている。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中央近傍で大きく、軸方向の外側にゆくにつれ小さくなるが、剛性部材6の外周形状を略凹形に形成することで、外層弾性体5の軸方向の外側の部分の弾性材に作用する単位長さあたりの圧縮力と軸方向の中央近傍の弾性材に作用する単位長さあたりの圧縮力とが均等化される。これにより、弾性材の磨耗が均一化され、磨耗進行が抑制され、長寿命となる。
図5に発明の実施の形態4に係るローラの断面を示す。ここでは剛性部材6の外周形状を略凹形にしている。ローラに作用する接触荷重は軸方向の中央近傍で大きく、軸方向の外側にゆくにつれ小さくなるが、剛性部材6の外周形状を略凹形に形成することで、外層弾性体5の軸方向の外側の部分の弾性材に作用する単位長さあたりの圧縮力と軸方向の中央近傍の弾性材に作用する単位長さあたりの圧縮力とが均等化される。これにより、弾性材の磨耗が均一化され、磨耗進行が抑制され、長寿命となる。
実施の形態5.
図6に発明の実施の形態5に係るローラの断面を示す。軸方向の中央面で分割したホイール4により剛性部材6を挟みこみ、ボルトなどの締結部材でホイール4を一体化することにより、剛性部材6の最内径をホイール4の最外径より小さくし、剛性部材6の内径面とホイール4の外径面は軸方向中心に水平部を備え、その両側には傾斜部を備え、剛性部材6の内径面とホイール4の外径面とは平行としている。これにより、剛性部材6と外層弾性体5との接触面積を大きくできるので、外層弾性体5の外周面に作用する接触荷重に対する負担荷重の上限を大きくできる。また、傾斜部を備えているので、剪断荷重に対しても負担荷重の上限を大きくできる。これにより、同一外径のローラであっても、より大きな接触荷重まで適用できる。また、接触荷重が同じであれば、ローラ外径を小さくでき、ローラを小型化できる。なお、実施例では分割したホイールをボルト締結により一体化しているが、一体化する方法はこれに限らない。
例えば溶接や接着により一体化しても同様の効果げ得られることは自明である。
図6に発明の実施の形態5に係るローラの断面を示す。軸方向の中央面で分割したホイール4により剛性部材6を挟みこみ、ボルトなどの締結部材でホイール4を一体化することにより、剛性部材6の最内径をホイール4の最外径より小さくし、剛性部材6の内径面とホイール4の外径面は軸方向中心に水平部を備え、その両側には傾斜部を備え、剛性部材6の内径面とホイール4の外径面とは平行としている。これにより、剛性部材6と外層弾性体5との接触面積を大きくできるので、外層弾性体5の外周面に作用する接触荷重に対する負担荷重の上限を大きくできる。また、傾斜部を備えているので、剪断荷重に対しても負担荷重の上限を大きくできる。これにより、同一外径のローラであっても、より大きな接触荷重まで適用できる。また、接触荷重が同じであれば、ローラ外径を小さくでき、ローラを小型化できる。なお、実施例では分割したホイールをボルト締結により一体化しているが、一体化する方法はこれに限らない。
例えば溶接や接着により一体化しても同様の効果げ得られることは自明である。
1 ローラ、2 軸受、3 転動部、4 ホイール、5 外層弾性体、6 剛性部材
Claims (6)
- 軸受部と、ホイールと外層弾性体と備えた転動部とを備え、前記外層弾性体の内部に周状の剛性部材を備えたことを特徴とする昇降機機器用ローラ。
- 前記外層弾性体と前記剛性部材とは、接着により接合されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降機機器用ローラ。
- 前記外層弾性体の内周面と前記剛性部材の内周面との距離は軸方向の中央近傍で近接していることを特徴とする請求項1に記載の昇降機機器用ローラ。
- 前記剛性部材の外周面と前記外層弾性体の転送面とは曲面で構成されており、両者の曲率が同一または縮小相似形であることを特徴とする請求項1に記載の昇降機機器用ローラ。
- 軸方向の中央部の前記外層弾性体の外周面から前記剛性部材の外周面までの距離を大きくし、軸方向の両側面にゆくにつれ、前記外層弾性体の外周面から前記剛性部材の外周面までの距離を小さくしてゆくようにした外周断面形状を備えた剛性部材としたことを特徴とする請求項1に記載の昇降機機器用ローラ。
- 前記ホイールは外周近傍断面の軸方向の中央近傍に水平部を設け、前記水平部の両側に傾斜部を設け、前記剛性部材は内径の軸方向の中央近傍に水平部を設け、前記水平部の両側に傾斜部を設け、前記剛性部材の内径の軸方向中央近傍の径は、前記ホイールの外周の最外径よりも小さく、前記ホイールの前記水平部および前記傾斜部と前記剛性部材の前記水平部および前記傾斜部とは平行で、前記ホイールは軸方向中央面で分割したものを組立てて一体としたことを特徴とする請求項1に記載の昇降機機器用ローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008048173A JP2009203030A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | 昇降機機器用ローラ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008048173A JP2009203030A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | 昇降機機器用ローラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009203030A true JP2009203030A (ja) | 2009-09-10 |
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- 2008-02-28 JP JP2008048173A patent/JP2009203030A/ja active Pending
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