JP2009202183A - 円形穴部の内面肉盛方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属製母材2に、夫々表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部31、32を形成し、両面のテーパ状穴部31、32を内部で連通させることにより貫通した穴部3を形成し、該穴部3にこれと同一形状の肉盛材4を夫々嵌め込み、母材2の表面側から回転工具1をテーパ状穴部31の連通部33まで回転圧入し、回転の摩擦熱により肉盛材4を塑性流動させて母材内面に肉盛層を形成した後、裏面側から回転工具1を連通部33まで回転圧入して貫通させ、母材2の穴部内面に肉盛層4を形成した。
【選択図】図1
Description
従来、穴部内面への肉盛には、溶融溶接が多く用いられていた。例えば、穴内部で摺動するような部品は、内面の摺動部に対してTIG溶接による肉盛溶接が行なわれていた。
しかし、手作業で肉盛溶接を行なうことは作業者により品質がばらつくことがあった。また、溶融溶接による肉盛は高温となるため、部品の変形や材料の強度低下が発生することにより肉盛不良を生じることがあった。
また、特許文献2(特開2006−102803号公報)には、外側構造体の円形内面に、予めパイプ状となした内側パイプを挿入してバックアップ材で下から押さえておき、円盤状の回転加圧部が先端に取り付けられた回転工具を回転させつつ加圧下に押し付けて、内側パイプを加熱軟化させることにより円形内面に肉盛を形成する方法が開示されている。
金属製母材に形成された穴部に異種金属材料からなる肉盛材を嵌め込み、該肉盛材に回転工具を回転しながら圧入し、回転の摩擦熱により肉盛材を塑性流動させて前記母材の内面に肉盛層を形成する円形穴部の内面肉盛方法において、
前記穴部は、前記母材の一面側から他面側に向けて少なくとも一部が縮径したテーパ面を有し、
前記穴部にこれと同一形状の前記肉盛材を嵌め込み、前記一面側から前記回転工具を挿入し、前記テーパ面に対して前記肉盛材を押し付けて前記回転工具を回転圧入することを特徴とする。
前記穴部に前記肉盛材を嵌め込み、前記母材の表面側から前記回転工具をテーパ状穴部の連通部まで回転圧入して肉盛層を形成した後、裏面側から前記回転工具を前記連通部まで回転圧入して貫通させ、前記母材の穴部内面に肉盛層を形成したことを特徴とする。
これは、予め表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部が内部で連通した貫通穴部を形成しておき、最初に表面側から連通部まで肉盛を形成した後、裏面側から連通部まで肉盛を形成して貫通した肉盛層を形成することにより、夫々の肉盛材を押さえ板で押さえる必要がなく、精度良く穴部肉盛を形成することが可能となる。
前記穴部に前記肉盛材を嵌め込み、前記母材の表面側から裏面側まで前記回転工具を回転圧入して前記母材の穴部内面に肉盛層を形成することを特徴とする。
これは、予め表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部が内部で連通した貫通穴部を形成しておき、表面側から裏面側まで一度に肉盛を形成することにより、作業工程数を減少させ、より簡単に肉盛層を形成することが可能となる。
このように、肉盛を形成した後に平滑面を切削することにより、穴部の寸法を調整することができるとともに、平滑化により高精度の部品を製作することが可能となる。
さらにまた、前記金属製母材がステンレス材料で形成され、前記肉盛材がステライト材料で形成されることが好適である。
さらに、予め表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部が内部で連通した貫通穴部を形成しておき、表面側から裏面側まで一度に肉盛を形成することにより、作業工程数を減少させ、より簡単に肉盛層を形成することが可能となる。
本実施形態の円形穴部の内面肉盛方法は、円形穴部に該穴部と同一形状の肉盛材を嵌め込み、該肉盛材に対して回転工具を回転しながら圧入し、回転の摩擦熱により肉盛材を塑性流動させて母材の内面に肉盛層を形成するものである。
母材としては、例えば図2乃至図4に示される機械部品が用いられる。
図2に、穴内部で摺動する機械部品20の斜視図を示す。機械部品20は、2枚の平板部2bが離間して平行に配置され、該平板部2bが連結部2aで連結されたコの字形状を有する。連結部2aには、1つの貫通した穴部3が形成され、平板部2bには夫々貫通した穴部6a、6bが形成されている。
図3(A)は図2に示した穴部3の断面図である。穴部3は機械部品20の母材2に貫通する穴であり、表面側から裏面側に向けて縮径するテーパ状穴部31と、裏面側から表面側に向けて縮径するテーパ状穴部32が形成され、該テーパ状穴部31とテーパ状穴部32とが連結部33にて連結し、貫通した1つの穴部3を構成している。
図3(B)は穴部6a、6bの断面図である。穴部6a、6bは、機械部品20の母材2の表面側と裏面側に独立した2つの穴部6a、6bとして構成されている。両穴部6a、6bは同軸上に位置する。夫々の穴部6a、6bは、底面が表層側から内層側に向けて縮径するテーパ面61、62を有している。即ち、底面が逆円錐形状を有する構成となっている。
図5に回転工具の概略構成図を示す。該回転工具1は、不図示の駆動手段により回転駆動する主軸部11と、主軸部11の先端に取り付けられ該主軸部11と同時に回転駆動するピン12とから構成される。回転工具1は、駆動手段により所定速度で回転するとともに、少なくとも上下方向に変位移動する。
穴部の内面肉盛は、上記したように回転工具1による摩擦撹拌接合によって行なう。摩擦撹拌接合は、被接合材の材質より硬質でかつ、溶融温度の高い材質の回転工具を被接合材の接合部に挿入し、回転工具を回転させながら移動することにより、被接合材との間に発生する摩擦熱で被接合材を軟化させ接合する周知の方法である。
以下、実施例1乃至4において、上記した円形穴部の内面肉盛方法につき具体例を示す。
まず、図3(A)に示されるように、母材2に穴部3を形成する。該穴部3は、表面側から内層側に向けて縮径するテーパ状穴部31を形成した後、裏面側から内層側に向けて縮径するテーパ状穴部32を形成し、該テーパ状穴部31とテーパ状穴部32とを連結部33にて連結し、貫通した1つの穴部3を形成する。尚、表面、裏面とは、母材2の一面側と他面側のことであり、特に限定されるものではない。
図1(b)に示されるように、表面側の肉盛材4に対して、回転工具1を差し込み、連結部33まで回転しながら圧入し、所定時間保持する。一例として、回転工具1の差込回転数は1200rpm、該回転工具1の差込速度は1mm/min、挿入後の保持時間を30秒とする。回転工具1の回転の摩擦熱により肉盛材4は塑性流動し、母材2の内面に結合して肉盛層4が形成される。
図1(d)は表裏両面の肉盛層4が形成された状態を示す。母材表面には、肉盛材4のバリ41が存在し、肉盛材4が母材2表面より盛り上がった状態となっている。
これを所定の板厚となるように切削線Aにて切削加工し、図1(e)に示される状態にする。
そして、所定の穴径となるように肉盛材4の切削線Bにて円筒状に切削加工し、図1(f)に示される状態とする。これにより、平滑化した肉盛層4面を有する穴部3が形成される。
本実施例2では、まず母材2に、図3(A)に示したように2つのテーパ状穴部31、32からなる1つの貫通穴部3を形成しておき、図6(a)に示されるように、これらのテーパ状穴部31、32に夫々肉盛材4を嵌め込む。
その後、回転工具1を引き抜くと、図6(c)に示すように穴部内面に肉盛が形成された状態となる。母材表面には、肉盛材4のバリ41が存在し、肉盛材4が母材2表面より盛り上がった状態となっている。
これを所定の板厚となるように切削線Aにて切削加工して、図6(d)に示される状態にする。
そして、所定の穴径となるように肉盛材4を切削線Bにて円筒状に切削加工し、図6(e)に示される状態とする。これにより、平滑化した肉盛層4面を有する穴部3が形成される。
また、本実施例2を応用させた例として、図7に示すように、穴部3を表面側から裏面側に向けて縮径する1つのテーパ状穴部35とし、該テーパ状穴部35にこれと同一形状の肉盛材4を嵌め込んだ後、表面側から裏面側まで回転工具1を差込み、回転圧入して肉盛4を形成するようにしてもよい。これにより、穴部3の構造を簡素化できる。
本実施例3では、まず母材2に、図3(B)に示したように独立した2つの穴部6a、6bを形成しておく。該穴部6a、6bは夫々有底円筒形状に形成され、同軸上に位置させる。さらに、夫々の穴部底面は、表層側から内層側に向けて縮径するテーパ面61、62を有している。即ち、底面が逆円錐形状を有する。
この穴部6a、6bに対して、図8(a)に示されるように夫々肉盛材4を嵌め込む。尚、裏面に嵌合する肉盛材4は、表面の肉盛が終了した後に嵌め込むようにしてもよい。
表面側の肉盛材4の肉盛が終了したら回転工具1のピン12を引き抜き、母材2を裏返して裏面側の穴部6bに嵌合された肉盛材4に回転工具1を差し込み、回転しながら圧入し、表面と同様に肉盛層4を形成する。
図8(d)は表裏両面の肉盛が形成された状態を示す。母材表面には、肉盛材4のバリ41が存在し、肉盛材4が母材2表面より盛り上がった状態となっている。
そして、所定の穴径となるように切削線Bで肉盛材4の内部を円筒状に切削除去し、図8(f)に示されるように、平滑化した肉盛層4が形成された穴部6a、6bとする。
本実施例3によれば、図2に示されるように、平行して配置される平板部2b、2bに対して同軸上の穴穴部6a、6bを形成する時に好適に用いられ、また、穴部6a、6bの底面を夫々テーパ面61、62としているため、肉盛4を確実に固定することが可能となる。
本実施例4では、上記した実施例3と同様に形成した2つの穴部6a、6bに対して、図9(a)に示されるように夫々肉盛材4を嵌め込む。
次いで、図9(b)に示されるように、表面側から回転工具1を差し込み、回転しながら圧入していく。回転工具1は、所定速度にて裏面側を突き抜けるまで挿入し、所定の保持時間だけ保持する。回転工具1の回転の摩擦熱により肉盛材4は塑性流動し、母材2の内面に結合して肉盛層4が形成される。
肉盛材4の肉盛形成が終了したら回転工具1のピン12を引き抜く。図8(c)は肉盛が形成された状態を示す。
そして、所定の穴径となるように肉盛材4の内部を切削線Bで円筒状に切削除去し、図8(e)に示されるように、平滑化した肉盛層4が形成された穴部6a、6bとする。
本実施例4によれば、図2に示されるように、平行して配置される平板部2b、2bに対して同軸上の穴を形成する時に好適に用いられ、また、穴部の底面を夫々テーパ状としているため、肉盛4を確実に固定することが可能となる。さらに、表面側から裏面側まで回転工具1を回転圧入することにより、一度に肉盛を形成することにより、作業工程数を減少させ、より簡単に肉盛層を形成することが可能となる。
2 金属製母材
2a 連結部
2b 平板部
3、6a、6b 穴部
4 肉盛材
11 主軸部
12 ピン
20 機械部品
31、32 テーパ状穴部
33 連結部
61、62 テーパ面
63 境界部
Claims (5)
- 金属製母材に形成された穴部に異種金属材料からなる肉盛材を嵌め込み、該肉盛材に回転工具を回転しながら圧入し、回転の摩擦熱により肉盛材を塑性流動させて前記母材の内面に肉盛層を形成する円形穴部の内面肉盛方法において、
前記穴部は、前記母材の一面側から他面側に向けて少なくとも一部が縮径したテーパ面を有し、
前記穴部にこれと同一形状の前記肉盛材を嵌め込み、前記一面側から前記回転工具を挿入し、前記テーパ面に対して前記肉盛材を押し付けて前記回転工具を回転圧入することを特徴とする円形穴部の内面肉盛方法。 - 前記母材の表面及び裏面に、夫々表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部を形成し、両面のテーパ状穴部を内部で連通させることにより貫通した前記穴部を形成し、
前記穴部に前記肉盛材を嵌め込み、前記母材の表面側から前記回転工具をテーパ状穴部の連通部まで回転圧入して肉盛層を形成した後、裏面側から前記回転工具を前記連通部まで回転圧入して貫通させ、前記母材の穴部内面に肉盛層を形成したことを特徴とする請求項1記載の円形穴部の内面肉盛方法。 - 前記母材の表面及び裏面に、夫々表層側から内層側に向けて縮径した2つのテーパ状穴部を形成し、両面のテーパ状穴部を内部で連通させることにより貫通した前記穴部を形成し、
前記穴部に前記肉盛材を嵌め込み、前記母材の表面側から裏面側まで前記回転工具を回転圧入して前記母材の穴部内面に肉盛層を形成することを特徴とする請求項1記載の円形穴部の内面肉盛方法。 - 前記肉盛層を形成した後、該肉盛層の内面側を円筒状に切削して穴部内面を平滑化することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の円形穴部の内面肉盛方法。
- 前記金属製母材がステンレス材料で形成され、前記肉盛材がステライト材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の円形穴部の内面肉盛方法。
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KR101730946B1 (ko) | 2014-06-17 | 2017-04-27 | 카와사키 주코교 카부시키 카이샤 | 축대칭체 및 축대칭 제품의 제조 방법 |
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JP2000312981A (ja) * | 1999-04-28 | 2000-11-14 | Daido Steel Co Ltd | 円柱内面のコーティング方法 |
JP2001071154A (ja) * | 1999-09-07 | 2001-03-21 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 穴部の肉盛り方法および肉盛り装置 |
JP2007502711A (ja) * | 2003-08-19 | 2007-02-15 | ゲーカーエスエス・フォルシュングスツェントルム ゲーストアハト ゲーエムベーハー | 摩擦溶接による被加工物の安定性および/または耐荷量の増大方法 |
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