JP2009202028A - 透視玩具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 常態では不可視状態にある内部の玩具要素が、水を媒体として透視でき、水の蒸発により自然に元の不可視状態に復する透視玩具を提供する。
【解決手段】 プラスチック製透明乃至半透明材料により形成された外殻基材21の外面に、低屈折率顔料とバインダー樹脂とエチルアルコールと水を少なくとも含む塗布液を吹き付けて、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層22を積層した外殻体2と、前記外殻体の内部に接触乃至非接触状に配置した玩具要素3とからなり、前記多孔質層が吸水状態において、前記玩具要素が透視されるよう構成した透視玩具1。
【選択図】 図1

Description

本発明は透視玩具に関する。更に詳細には、水を媒体として内部を透視できる透視玩具に関する。
従来、支持体に低屈折率顔料を含有する多孔質層を積層し、前記多孔質層に水等の液体を吸液させて該多孔質層を透明化させて、下地の色調を現出させる加工紙やシートが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特公昭50−5097号公報 特公平5−15389号公報
本発明は、前記した多孔質層の特性を玩具分野に応用し、常態では不可視状態にある内部の玩具要素を水を媒体として透視できる立体性玩具構造となし、幼児等が安心して遊べる、玩具性且つ安全性に富む透視玩具を提供しようとするものである。
本発明を図面について説明する(図1〜図3参照)。
本発明は、プラスチック製透明乃至半透明材料により形成された外殻基材21の外面に、低屈折率顔料とバインダー樹脂とエチルアルコールと水を少なくとも含む塗布液を吹き付けて、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層22を積層した外殻体2と、前記外殻体2の内部に接触乃至非接触状に配置した玩具要素3とからなり、前記多孔質層22が吸水状態において、前記玩具要素3が透視されるよう構成した透視玩具1を要件とする。
更には、外殻基材21は、着色透明乃至着色半透明であること、低屈折率顔料は微粒子状珪酸であり、バインダー樹脂は、ウレタン系樹脂から選ばれること等を要件とする。
本発明は、常態では不可視状態にある内部の玩具要素が、水を媒体として透視でき、水の蒸発により自然に元の不可視状態に復し、前記様相変化が互変的且つ可逆的であるので、幼児等が安心して繰り返し遊ぶことができ、安全性及び玩具性に富む透視玩具を提供できる。
本発明の透視玩具の一実施例の状態変化の説明図であり、(イ)非透視状態、(ロ)透視状態をそれぞれ示す。 本発明の透視玩具の他の実施例の状態変化の説明図であり、(イ)非透視状態、(ロ)透視状態をそれぞれ示す。 本発明の透視玩具の他の実施例の状態変化の説明図であり、(イ)非透視状態、(ロ)透視状態をそれぞれ示す。
前記における外殻基材21は、ガラス、プラスチック製の透明乃至半透明の材料により形成でき、玩具要素3を接触乃至非接触状態に内在させるスペースを有する、適宜の大きさ、形状のものが有効であり、容器状或いは蓋状のもの、人形、動物、乗物、その他の玩具形象物を挙げることができる。
前記外殻基材21の外面には、多孔質層22が積層されて外殻体2が構成される。前記多孔質層22は、常態では不透明性であり、吸水状態では透明化する層であり、内部の玩具要素3を隠顕させる機能を果たす。
玩具要素3は、玩具形象の造形体であり、人形、動物、乗物、植物、食品等の形態を模した、自体が玩具形象を有する個体、或いは外殻基材21と不可分の関係にある造形体、例えば、動物或いは人形等の外形を模した外殻基材21と、前記の内部骨格や内蔵、乗物玩具の外形を模した外殻基材21と、内部構造の関係等を例示できる。
前記低屈折率顔料としては、微粒子状珪酸、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.7の範囲にあり、水等を吸液すると良好な透明性を示すものであり、粒径0.03〜10.0μmのものが好適である。更には、複数種の低屈折率顔料を併用することができる。
好適に用いられる低屈折率顔料としては微粒子状珪酸が挙げられる。前記微粒子状珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法微粒子状珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるもの(以下、湿式法微粒子状珪酸と称する)とに大別され、いずれを用いることも可能であるが、湿式法微粒子状珪酸を用いた場合、乾式法微粒子状珪酸の系に較べて常態での隠蔽性が大きいため、微粒子状珪酸に対するバインダー樹脂の混合比率を大きくすることが可能となり、多孔質層の皮膜強度を向上させることができるので、より好適に用いられる。
前記した如く多孔質層の常態での隠蔽性を満足させるために用いられる微粒子状珪酸としては、湿式法微粒子状珪酸が好ましい。これは、乾式法微粒子状珪酸と、湿式法微粒子状珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法微粒子状珪酸は以下に示されるような珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、
Figure 2009202028
湿式法微粒子状珪酸は、以下に示されるように、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。従って、前記乾式法微粒子状珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法微粒子状珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法微粒子状珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
Figure 2009202028
又、前記多孔質層に含まれる低屈折率顔料は、吸液する媒体が主に水であることから、湿式法微粒子状珪酸は乾式法微粒子状珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、従って、適度の親水性を有するため好適に用いられる。
前記湿式法微粒子状珪酸を低屈折率顔料として用いる場合、湿式法微粒子状珪酸の種類、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1g/m〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5g/m〜20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、対象物に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層22を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
中でも、ウレタン系樹脂を用いるか、或いはウレタン系樹脂を少なくとも含有させたものが効果的である。
前記バインダー樹脂中にウレタン系樹脂を含有することにより、多孔質層の皮膜強度を向上させることができ、耐久性を必要とする種々の用途に適用でき、しかも、乾燥状態での隠蔽性と吸液状態での透明性を損なうことがない。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解及至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。 前記ウレタン系樹脂は単独で用いることが好ましいが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層22のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分重量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記の如くして形成される多孔質層22中には、従来より公知の二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を添加したり、一般染料や顔料、蛍光染料や顔料を添加して色変化を多様にすることもできる。更に、温度変化により可逆的に色変化する可逆熱変色性材料を多孔質層中に含有させたり、可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を配設することもできる。
前記可逆熱変色層の形成に用いられる可逆熱変色性材料には、例えば、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物、液晶、AgHgI、CuHgI等が用いられる。
前記電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物として、具体的には、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44708号公報、特公昭52−7764号公報、特公平1−29398号公報、特開平7−186546号公報等に記載のものが挙げられる。前記は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、変化前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要する熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、所謂、温度変化による温度−色濃度について小さいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色するタイプである。
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性組成物、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するタイプの変色材であり、低温側変色点と高温側変色点の間の常温域において、前記低温側変色点以下又は高温側変色点以上の温度で変化させた状態を記憶保持できる特徴を有する可逆熱変色性組成物も有効である。
又、加熱発色型の組成物として、消色状態からの加熱により発色する、本出願人の提案による、電子受容性化合物として、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を適用した系(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、或いは特定のヒドロキシ安息香酸エステルを適用した系(特願平11−286202号)を挙げることができる。
前記した電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。即ち、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.1〜30μmの範囲が実用性を満たす。
前記可逆熱変色性組成物(好適にはマイクロカプセル顔料)は、膜形成材料である樹脂を含むビヒクル中に分散されて、インキ、塗料等の色材として塗布され可逆熱変色層を形成させることができる。又、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散してシート状或いはその他各種形態に成形され、それ自体が可逆熱変色層を備えた外殻基材21として適用することもできる。
前記多孔質層22及び可逆熱変色層を形成する方法としては、スプレー塗装が挙げられ、外殻基材21が複雑な凹凸形態にあっては、ウレタン系樹脂を含むビヒクルからなる塗布液の吹き付け塗装が効果的である。
前記構成による本発明の透視玩具1は、常態では、外殻体2は不透明状態であり、内部の玩具要素3を不可視状態となしており、前記外殻体2の多孔質層22が吸水状態では、外殻体2は透明状態となり、玩具要素3を可視状態となし、前記多孔質層22の水が乾燥すると元の常態で呈する様相に戻る、可逆的互変性を有し、玩具性を満たす。
尚、前記多孔質層22への吸水は、水に浸漬、水の吹き付け、筆、刷毛、ペン、スタンプ等による手段で所望の箇所を濡らすことにより、濡れた部分のみを透明乃至半透明化させて透視機能を発現させることができる。
前記多孔質層22に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を併存させた系では、温度による変色機能が付加される。
本発明の透視玩具は、外殻体と玩具要素がそれぞれ別体としてセットされた形態、及び玩具要素が外殻体に内蔵状態で不可分の関係にセットされた形態が有効である。
以下に実施例を示す。尚、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1(図1参照)
無色透明なHIPS(ハイインパクトポリスチレン樹脂)からなる外殻基材21の外面に、アクリルエマルジョン樹脂50部、水10部、エチルアルコール15部、消泡剤0.5部、レベリング剤0.3部からなるアンダーコート用スプレーインキにてスプレー塗装し、透明なアンダーコート層を設け、次いで前記アンダーコート層上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、(固形分33%)〕50部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水10部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、多孔質層形成用水性スプレーインキをスプレー塗装し、室温で放置後、70℃にて1時間加温硬化させ、多孔質層22を形成し、外殻体2を構成した。
前記外殻体2と、別に用意した人物像を模した造形玩具要素3とをセットにして透視玩具1を構成した。
前記外殻体2は、常態では白色不透明であり、内部に収容した玩具要素3は、(イ)非透視状態にあり、前記多孔質層22を水で濡らし吸水状態にすると、(ロ)透視状態となった後、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、外殻体2は元の様相に復し、玩具要素3の視覚を妨げる。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現された。
実施例2(図2参照)
軟質塩化ビニル樹脂からなる、蛍光ピンク色の骨形状の玩具要素3を、恐竜形状の金型にいれて、透明軟質塩化ビニル樹脂コンパウンドを用いて射出成型し、透明表皮(外殻基材21)をもつ恐竜形態の造形物を得た。
次いで、前記外殻基材21の外面に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランHW−920、大日本インキ化学工業(株)製、(固形分50%)〕30部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水20部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、多孔質層形成用水性スプレーインキを用いてスプレー塗装し、室温で放置後、70℃にて30分間乾燥硬化させ、乾燥状態で白色不透明の多孔質層22を形成し、恐竜形態の透視玩具1を構成した。
前記透視玩具1は、常態では、表皮(外殻体2)が白色不透明であり、骨(玩具要素3)は、(イ)不透視状態であり、スプレー等により水を表皮に吹き付けると表皮は透明となり、蛍光ピンク色の骨が(ロ)透視状態となった後、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、表皮は元の様相に復し、骨の視覚が妨げられた。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現される。
実施例3
実施例2の恐竜の表面に、更に、透明性を有する水性青色顔料0.1部、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランHW−920、大日本インキ化学工業(株)製、(固形分50%)〕30部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水20部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、多孔質層形成用水性スプレーインキを用いて、恐竜表面に部分的にスプレー塗装し、室温で放置後、70℃にて30分間乾燥硬化させて、淡青色の多孔質層を形成した。
前記透視玩具は、常態では、表皮(外殻体)が淡青色の不透明部分をもつ白色不透明の状態であり、骨(玩具要素)は、(イ)不透視状態であり、スプレー等により水を表皮に吹き付けると表皮は透明となり、蛍光ピンク色の骨が(ロ)透視状態となった後、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、表皮は元の様相に復し、骨の視覚を妨げる。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現される。
ここで、淡青色の透明部分からは、青色が混ざった状態で、蛍光ピンク色の骨が視認され、リアルな様相を呈した。
実施例4
実施例2の恐竜形態の造形物の表面に、透明青色顔料0.1部、アクリルエマルジョン50部、消泡剤0.5部、水12.5部、エチルアルコール12.5部からなるアンダーコート用スプレーインキで、全体にスプレー塗装し、透明着色層を形成した。次いで、前記着色層上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、(固形分30%)〕50部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水10部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、玩具形成用水性スプレーインキを用いて、スプレー塗装し、室温で放置後、乾燥状態で白色の多孔質層を形成し、恐竜形状の透視玩具を得た。
前記透視玩具は、常態では、全身が白色の表皮をもつ恐竜形態をしており、内部を透視できないが、水スプレー等により、表面に水を付着させると、多孔質層が吸水により、白色不透明から透明になり、透明青色の表皮をもつ恐竜となり、透明青色と蛍光ピンク色とが混色となった紫色の骨が視認され、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、表皮は元の様相に復し、骨の視覚が妨げられた。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現された。
実施例5(図3参照)
無色透明なポリスチロールからなるミニチュアカーのボンネット部分(外殻基材21)に、エンジンを模した成型物(玩具要素3)を内蔵させ、ミニチュアカーを作製した。
前記ボンネット部分(外殻基材21)の外面に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、(固形分30%)〕50部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水10部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、多孔質層形成用水性スプレーインキを用いて、スプレー塗装し、室温で放置後、乾燥状態で白色の多孔質層22を形成し、前記ボンネット部分以外の箇所には、青色及び黒色の顔料系スプレー用インキにてスプレー塗装し、ツートンカラーのボディーを形成した。
前記透視玩具1は、常態では、ボンネット部分は白色、ボディー部分は、前記ツートンカラーであり、内部を透視できないが、散水するとボンネット部分が透明になり、内部に配置したエンジン(玩具要素3)が明瞭に視認でき、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、ボンネット部分が元の様相に復し、エンジンの視覚が妨げられた。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現された。
実施例6
黄色透明なABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)からなる半球状外殻基材21の外面に、透明青色顔料0.1部、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−743、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、(固形分33%)〕50部、分散剤0.2部、消泡剤0.3部、粘度調整剤2部、水10部、エチルアルコール5部、及び水性架橋剤5部を均一に攪拌混合してなる、多孔質層形成用水性スプレーインキを用いて、スプレー塗装し、室温で放置後、70℃にて1時間加温硬化させ、多孔質層を形成し、外殻体を構成した。
前記外殻体と、別に用意した人物像を模した造形玩具要素とをセットにして透視玩具を構成した。
前記外殻体は、常態では淡青色不透明を呈しており、内部に収容した玩具要素3は、(イ)非透視状態にあり、前記多孔質層を水で濡らし吸水状態にすると、青色透明となり、黄色の混色により、緑色透明へと変化し、(ロ)内部の人物像を透視状態となした後、24℃、50%(相対湿度)条件下で約5分経過すると、外殻体2は元の様相に復し、玩具要素の視覚を妨げた。
前記(イ)非透視状態と(ロ)透視状態は互変的であり、水を媒体として繰り返し、再現された。
実施例7
実施例1の外殻基材の外面に、35℃にて青色から無色に変色する、透明性を有する粒子径5μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を分散させた熱変色性スプレーインキを用いて、全面にスプレー塗装して熱変色層を設け、次いで、前記熱変色層上に実施例1で用いた多孔質層形成用水性スプレーインキによりスプレー塗装し、室温で放置後、70℃で30分間、乾燥硬化させ、乾燥状態で白色不透明の多孔質層を形成し、外殻体を構成した。
前記外殻体は、常態では白色不透明であり、内部に収容した玩具要素は、(イ)非透視状態にあり、前記多孔質層を水で濡らし吸液状態にすると、白色から青色に変化し、内部は(ロ)透視状態となり、40℃の温水に浸漬すると透視状態のまま青色から無色へと変化し、次に取り出して、24℃、50%(相対湿度)条件下で約1分間放置すると、無色から青色へと変化し、更に5分間放置すると、(イ)非透視状態の白色へと変化した。
前記可逆熱変色性、(イ)非透視状態及び(ロ)透視状態は互変的であり、温度及び水を媒体として繰り返し再現できた。
1 透視玩具
2 外殻体
21 外殻基材
22 多孔質層
3 玩具要素

Claims (3)

  1. プラスチック製透明乃至半透明材料により形成された外殻基材の外面に、低屈折率顔料とバインダー樹脂とエチルアルコールと水を少なくとも含む塗布液を吹き付けて、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を積層した外殻体と、前記外殻体の内部に接触乃至非接触状に配置した玩具要素とからなり、前記多孔質層が吸水状態において、前記玩具要素が透視されるよう構成した透視玩具。
  2. 外殻基材は、着色透明乃至着色半透明である請求項1記載の透視玩具。
  3. 低屈折率顔料は、微粒子状珪酸であり、バインダー樹脂は、ウレタン系樹脂から選ばれる請求項1又は2記載の透視玩具。
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