JP2009201425A - 糖転移能が改善された欠失変異酵素を用いた配糖体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘテロオリゴ糖をアルコール性水酸基を有する化合物に転移させる配糖体の製造方法において、より容易な酵素試料の提供と反応の高収率化を図る酵素の製造方法を提供する。
【解決手段】β1,4グルコシド結合切断活性を有する酵素の触媒ドメインを酵素源とする、高効率にラクトースもしくはN−アセチルラクトサミン単位を転移する手法。また、該当する酵素を組み換え培養液からpH調整、遠心分離からなる簡便な工程より、高い精製レベルで製造する手法。酵素の触媒ドメインとして、トリコデルマ・リーセイ由来エンドグルカナーゼI(EG I)の活性ドメインを利用する。
【選択図】図8
【解決手段】β1,4グルコシド結合切断活性を有する酵素の触媒ドメインを酵素源とする、高効率にラクトースもしくはN−アセチルラクトサミン単位を転移する手法。また、該当する酵素を組み換え培養液からpH調整、遠心分離からなる簡便な工程より、高い精製レベルで製造する手法。酵素の触媒ドメインとして、トリコデルマ・リーセイ由来エンドグルカナーゼI(EG I)の活性ドメインを利用する。
【選択図】図8
Description
本発明は、ラクトシル配糖体またはN−アセチルラクトサミニル配糖体の製造方法に関する。
従来、この種の配糖体の製造方法としては、例えば、「特許文献1」に掲載されたものが知られている。ここでは、β1,4グルコシル結合切断活性を持つ酵素の存在下でラクトースまたはN−アセチルラクトサミンを種々のアルコール性水酸基、フェノール性水酸基に転移する反応について述べられている。
また、「文献1」において糖転移活性を持つ酵素種がセルラーゼ中のエンドグルコシダーゼに分類されることを推察している。
しかしながら、「特許文献1」の配糖体の製造方法にあっては、反応に用いる酵素源としては、市販の酵素製剤(粗酵素)を用いた実施例にとどまり、特定の酵素によるものか評価されていいない。「文献1」においてもエンド型の酵素の一種が糖転移能を示すことを推察するのに限られている。トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来のセルラーゼには、セロビオヒドラーゼ、エンドグルカナーゼ、β−グルコシダーゼに大別されておりそれぞれ複数種存在する。そのため、どの種類のどの酵素が糖転移に有用であるのか示されていない。
また、反応効率についても、市販の酵素製剤を用いた反応では、製剤中に複数種の酵素が混入されているため、糖転移の単位である2糖のラクトース、ラクトサミンが分解され単糖となる活性も含有されている。転移酵素に有用な酵素を特定し、当該酵素を組み換え発現した酵素原液を用いることで、夾雑する活性を除去することも可能であるが、組み換え体の宿主由来の夾雑活性が問題になることがある。また、組み換え遺伝子に特定の配列を付加することで、培養液からカラム分離等の操作で目的酵素を回収する手法が存在するが、産業への利用する規模で酵素原液を得るためには操作が煩雑であり、コストが高い製造法となる。以上の理由で、これまでの先行技術では、実際の産業に応用するには問題が多く、利用が限定されている。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、糖転移反応を大幅に効率改善する酵素と、該当する酵素の製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の技術的手段は、β1,4グルコシド結合切断活性を有する酵素の触媒ドメインを酵素源とすることで、酵素の混合物もしくは特定の酵素を用いる手法と比較して、高効率にラクトースもしくはN−アセチルラクトサミン単位を転移する手法を提供するものである。また、該当する酵素を組み換え培養液からpH調整、遠心分離からなる簡便な工程より、高い精製レベルで製造する手法を提供するものである。
さらに詳細には、β1,4グルコシド結合切断活性を有する酵素の触媒ドメインとして、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来エンドグルカナーゼI(EG I)の活性ドメインを利用する。当該酵素を大腸菌で組み換え発現し、pH調整と遠心分離からなる簡便な工程をより、精製酵素を得る手法を提供するものである。
セルラーゼ粗酵素中には物理化学的性質の似通った複数のセルラーゼが存在しており糖転移反応の効率が高い酵素のみを精製することは大変困難である。本発明によれば、触媒ドメインを発現し、培養液をpH調整、遠心分離することにより、簡便に目的活性をもつ酵素のみを得ることができる。また、触媒ドメインのみの反応は酵素全体を用いた反応と比較して効率が上昇する。
現在、セルラーゼ製剤として市販されている製品にはトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)を由来とする製品が多い。本微生物は、図1に示すように2種のセロビオハイドロラーゼ(CBH)と多種のエンドグルカナーゼ(EG)を生産する。
セルラーゼの活性触媒ドメインは各種酵素により異なるが、Glycosyl Hydrolase Family 7(GHファミリー7)に属するエンドグルカナーゼ等の場合は、UNIPLOT等のデータベースによれば、図11に示すように、アミノ酸237〜260の領域の保存性が高く、共通するアミノ酸配列として挙げられる。必要に応じて変異を導入してドメイン内のアミノ酸配列を改変しても良い。
組み換え体に用いるベクターやプラスミドについては特に制限はない。酵素の生産量の関係より、プロモーター領域を改変したり、発現誘導する薬剤マーカーを導入したり、宿主における発現場所を指定するためシグナル配列を導入しても良い。
組み換え体の宿主は、本発明のpH調整、遠心分離からなる手法が可能であれば、特に制限はない。酵素の生産量の関係より、大腸菌、枯草菌、糸状菌、酵母等、組み換え発現する手法が確立している生物種を宿主とするのが望ましい。
組み換え体の培養において種菌の量、培地組成、培養温度、pHについては特に制限はない。発現誘導する薬剤マーカーを導入した場合には適切な培養フェーズにおいて誘導を行うことができる。
Trichoderma reesei由来EG Iの触媒ドメインを酵素源として、大腸菌で組み換え発現した場合の詳細な組み換え体の作成法、培養法を「実施例1」、「実施例2」に示す。
組み換え体からの酵素の精製法は、pH調整、遠心分離からなる手法であれば特に制限はない。pH調整の範囲は宿主由来のタンパク質や組み換え酵素の等電点(pI)、目的酵素の安定性、溶解性を考慮して任意に設定する。遠心分離については目的酵素の回収率に応じて任意に設定できる。
Trichoderma reesei由来EG Iの触媒ドメインを酵素源として、大腸菌で組み換え発現した場合の、精製酵素の回収例を「実施例3」に示す。
組み換え酵素を用いたヘテロオリゴ糖単位の転移反応については、β1,4結合で構成されるヘテロオリゴ糖単位であれば制限はない。産業上利用が可能な糖質として、ラクトース、N−アセチルラクトサミンが挙げられる。
転移反応におけるアクセプターとしては、水酸基(OH)を有するものであれば特に制限はない。
転移反応における、反応温度、pHは酵素の安定性、反応の効率を考慮して、任意に選択できる。
転移反応の確認はTLCにおけるRf値の比較、およびにHPLC分析における溶出時間の比較を行うことで縮合生成物の成否を判定できる。
二糖としてラクトース(以下、Lacという)、N−アセチルラクトサミン、アグリコンのモデルとして、1,6−ヘキサンジオール(以下、HDという)やオリゴエチレングリコールを用い、Trichoderma reesei由来EG Iの触媒ドメインを酵素源として、縮合反応を実施した例を、「実施例4」、「実施例5」、「実施例6」に示す。
トリコデルマ・リーセイ由来の酵素製剤(粗酵素)や、それから調製した精製酵素(EG I)を用いた反応を「比較例2」に示す。精製酵素の調製方法は「比較例1」に示す。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る配糖体の製造方法について詳細に説明する。
(実施例1)組み換え遺伝子の作成法
図2に大腸菌におけるEG I CD発現系構築の模式図を示す。トリコデルマ・リーセイのegl1遺伝子のシグナル配列、セルロース結合ドメインおよびリンカーをコードするDNA配列を除去し、図11におけるアミノ酸配列23から397に相当する領域を触媒ドメインとして、メルク社のpET Expression SystemのpET22b(+)のMCSに組み込んだ発現ベクターpET22begl1cdを構築し、メルク社のE. coli Rosetta?gami B(DE3)pLacIを宿主とした形質転換体を用いて酵素調製を行った。得られたEG I CD産生形質転換体を2×YT培地で15℃、1日間培養し、終濃度1mMのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)で2日間誘導培養することで酵素生産を行った。EG I CDはシグナルペプチドを除去しているので菌体内に生産される。
図2に大腸菌におけるEG I CD発現系構築の模式図を示す。トリコデルマ・リーセイのegl1遺伝子のシグナル配列、セルロース結合ドメインおよびリンカーをコードするDNA配列を除去し、図11におけるアミノ酸配列23から397に相当する領域を触媒ドメインとして、メルク社のpET Expression SystemのpET22b(+)のMCSに組み込んだ発現ベクターpET22begl1cdを構築し、メルク社のE. coli Rosetta?gami B(DE3)pLacIを宿主とした形質転換体を用いて酵素調製を行った。得られたEG I CD産生形質転換体を2×YT培地で15℃、1日間培養し、終濃度1mMのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)で2日間誘導培養することで酵素生産を行った。EG I CDはシグナルペプチドを除去しているので菌体内に生産される。
(実施例2)組み換え遺伝体の培養法
図3に菌体の培養法とEG I CD精製法を示す。適切な抗生物質(100mg/lアンピシリン、15mg/lカナマイシン、12.5mg/lテトラサイクリン、30mg/lクロラムフェニコール)を含むLBプレート培地に、EG I CD産生E. coli形質転換体を、37℃で24時間静置培養し、生育したE. coli形質転換体を適切な抗生物質を含む50mlのLB液体培地に植菌し、37℃で120rpm、24時間振とうしながら培養した。600nmにおける濁度を測定し、適切な菌体濃度であることを確認した後、そのうちの2.5mlを適切な抗生物質を含む50mlの2×YT培地に植菌し、15℃、120rpm、20時間培養(OD600=0.4−1.0になるまで)を行った。その後、600nmにおける濁度を測定し適切な菌体濃度であることを確認し、1Mのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を50μl加え、15℃、120rpm、48時間誘導培養を行った。
図3に菌体の培養法とEG I CD精製法を示す。適切な抗生物質(100mg/lアンピシリン、15mg/lカナマイシン、12.5mg/lテトラサイクリン、30mg/lクロラムフェニコール)を含むLBプレート培地に、EG I CD産生E. coli形質転換体を、37℃で24時間静置培養し、生育したE. coli形質転換体を適切な抗生物質を含む50mlのLB液体培地に植菌し、37℃で120rpm、24時間振とうしながら培養した。600nmにおける濁度を測定し、適切な菌体濃度であることを確認した後、そのうちの2.5mlを適切な抗生物質を含む50mlの2×YT培地に植菌し、15℃、120rpm、20時間培養(OD600=0.4−1.0になるまで)を行った。その後、600nmにおける濁度を測定し適切な菌体濃度であることを確認し、1Mのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を50μl加え、15℃、120rpm、48時間誘導培養を行った。
図4に示すようにEG I CD産生E. coli形質転換体の培養温度とEG I CDの発現量の関係は15℃のとき6.9mg/l、20℃のとき1.5mg/l、30℃のとき0.043mg/lであり、培養温度が15℃のとき最も発現量が高かった。
(実施例3)組み換え遺伝体からの酵素精製法
培養液を回収し、遠心分離によって集菌を行った。菌体の培地成分を除去するために生理食塩水(0.9% NaCl)で洗浄し、メルク社製のBugBusterTM protein extract reagentによって菌体を穏やかに破砕した。EG Iとともに混在している大腸菌タンパク質を除去するためにpH4.0の酢酸緩衝液を加え、1晩程度静置し、酸性沈殿を起こさせた。出現した大腸菌タンパク質を遠心分離によって除いたあと、この上澄み液を限外ろ過により濃縮し、精製EG I CD酵素標品を得た。
培養液を回収し、遠心分離によって集菌を行った。菌体の培地成分を除去するために生理食塩水(0.9% NaCl)で洗浄し、メルク社製のBugBusterTM protein extract reagentによって菌体を穏やかに破砕した。EG Iとともに混在している大腸菌タンパク質を除去するためにpH4.0の酢酸緩衝液を加え、1晩程度静置し、酸性沈殿を起こさせた。出現した大腸菌タンパク質を遠心分離によって除いたあと、この上澄み液を限外ろ過により濃縮し、精製EG I CD酵素標品を得た。
精製EG I CDのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)の写真を図5に示す。図3に示す簡便な精製法でSDS−PAGE上でほぼ単一バンドとして見えるほど精製された状態になることが分かる。
(実施例4)組み換え酵素を用いたラクトース単位の転移反応
ラクトースと1,6−ヘキサンジオールの縮合反応を精製EG I CDを触媒として実施した。以下に縮合反の条件を示す。2.6mg/mlの酵素溶液100μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、430mg/mlのLacを400μl、444mg/mlのHDを400μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を100μl加え、全量を1000μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。サンプリングはそれぞれ反応開始から、1時間後、12時間後、23時間後、32.5時間後、47時間後に行った。反応は薄層クロマトグラフィー(以下、TLCという、展開溶媒はクロロホルム:メタノール:水=60:35:8)で確認した。TLCはメルク社製のアルミニウムシートシリカゲル60/Kieselgur F254プレコートを用いた。検出は、オルシノール−硫酸法による発色で行った。
ラクトースと1,6−ヘキサンジオールの縮合反応を精製EG I CDを触媒として実施した。以下に縮合反の条件を示す。2.6mg/mlの酵素溶液100μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、430mg/mlのLacを400μl、444mg/mlのHDを400μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を100μl加え、全量を1000μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。サンプリングはそれぞれ反応開始から、1時間後、12時間後、23時間後、32.5時間後、47時間後に行った。反応は薄層クロマトグラフィー(以下、TLCという、展開溶媒はクロロホルム:メタノール:水=60:35:8)で確認した。TLCはメルク社製のアルミニウムシートシリカゲル60/Kieselgur F254プレコートを用いた。検出は、オルシノール−硫酸法による発色で行った。
上記の結果を図6に示す。図中のGalはガラクトース、Lacはラクトースを表し、1h、12h、23h、32.5h、47hはそれぞれ反応時間を表す。Lac−HDは生成物の6−ヒドロキシヘキシル−β−ラクトシド(Lacβ−HD)を表す。Lac−HDのRf値はLacのRf値よりも大きかった。1h〜47hのすべての反応液中に反応生成物であるLacβ−HDが生成されており、反応時間とともに増加する傾向にあった。
図7は、図6のすべての反応液を高速液体クロマトグラフィーにより定量的に分析したクロマトグラムの図である。経時的にサンプリングした図6の反応液を水で3倍に希釈し、Asahipak NH2P−50E HPLC用カラム(φ4.6×250mm)にロードし、80%アセトニトリル水溶液を溶媒として、流速1.0ml/分で分析した。検出には示差屈折率検出器 Shodex RI−101を用いた。Std.は反応の基質と生成物の標準品として、1%のLacとを1%のLacβ−HDを等量混合したものを上記のカラムに供した際の、クロマトグラムである。
図8は、図7のそれぞれの反応時間での高速液体クロマトグラムにおけるLacとLacβ−HDの面積比をプロットしたものである。図8から縮合率は24時間以内に40%近くに到達することがわかる。
(比較例1)トリコデルマ・リーセイ由来EG Iの調製
「文献1」に従い、トリコデルマ・リーセイ由来のセルラーゼ粗酵素(合同酒精(株)製GODO TCD−H3)を0−70%飽和硫安塩析し、沈殿を脱塩後、10mM酢酸緩衝液pH5.5で平衡化したGEヘルスケア社製弱陰イオン交換カラムHiTrap DEAE FF(φ1.6×2.5cm)に供し、吸着部を0−0.5M NaCl直線濃度勾配よって溶出し、p−ニトロフェニルβ−ラクトシド(Lacβ−pNP)に対する加水分解活性を有する画分「FI」として得た。FIをBio−Rad社の強陰イオン交換カラムUNO−Q1(φ0.7×3.5cm)に展開し、吸着部を0−1M NaCl直線濃度勾配によって溶出し、p−ニトロフェニルβ−ラクトシド(Lacβ−pNP)に対する加水分解活性を有する画分「FI−2」を得た。FI−2は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動や等電点電気泳動(GEヘルスケア社製PhastSystem)、MonoPクロマトフォーカシング(GEヘルスケア社製)などの結果からEG Iが含まれていると推察された。
「文献1」に従い、トリコデルマ・リーセイ由来のセルラーゼ粗酵素(合同酒精(株)製GODO TCD−H3)を0−70%飽和硫安塩析し、沈殿を脱塩後、10mM酢酸緩衝液pH5.5で平衡化したGEヘルスケア社製弱陰イオン交換カラムHiTrap DEAE FF(φ1.6×2.5cm)に供し、吸着部を0−0.5M NaCl直線濃度勾配よって溶出し、p−ニトロフェニルβ−ラクトシド(Lacβ−pNP)に対する加水分解活性を有する画分「FI」として得た。FIをBio−Rad社の強陰イオン交換カラムUNO−Q1(φ0.7×3.5cm)に展開し、吸着部を0−1M NaCl直線濃度勾配によって溶出し、p−ニトロフェニルβ−ラクトシド(Lacβ−pNP)に対する加水分解活性を有する画分「FI−2」を得た。FI−2は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動や等電点電気泳動(GEヘルスケア社製PhastSystem)、MonoPクロマトフォーカシング(GEヘルスケア社製)などの結果からEG Iが含まれていると推察された。
(比較例2)
トリコデルマ・リーセイの粗酵素、および比較例1より得られるEG I精製酵素を酵素源として、実施例4と同様な反応を実施した。「粗酵素」は、トリコデルマ・リーセイ由来のセルラーゼ粗酵素(合同酒精(株)製GODO TCD−H3)を0.08mg/mlの濃度で用い同様の縮合反応を行ったものである。いずれも縮合率は5%となり、実施例4のように高い縮合率には到達しなかった。
トリコデルマ・リーセイの粗酵素、および比較例1より得られるEG I精製酵素を酵素源として、実施例4と同様な反応を実施した。「粗酵素」は、トリコデルマ・リーセイ由来のセルラーゼ粗酵素(合同酒精(株)製GODO TCD−H3)を0.08mg/mlの濃度で用い同様の縮合反応を行ったものである。いずれも縮合率は5%となり、実施例4のように高い縮合率には到達しなかった。
(実施例5)組み換え酵素を用いたN−アセチルラクトサミン単位の転移反応
実施例4と同様の精製酵素を用いて、HDとN−アセチルラクトサミン(LacNAcという)の縮合反応を行った。HPLCによる縮合反応液の分析結果を図9に示す。2.6mg/mlの酵素溶液5μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、192mg/mlのLacNAcを20μl、444mg/mlのHDを20μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を5μl加え、全量を50μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。HPLC分析には関東化学製のMightysil Si60 HPLC用カラムを用いた。92.5%アセトニトリル水溶液を溶媒とし、生成物の検出は、210nmのUV吸収を測定することにより行った。生成物は、既に構造を確認している標準品、6−ヒドロキシヘキシル−β−N−アセチルラクトサミニド(LacNAcβ−HD)とのHPLC分析における溶出時間の比較を行うことで縮合生成物の成否と同定を行った。精製EG I CDによる縮合反応により約2%のLacNAcβ−HDの生成を認めた。
実施例4と同様の精製酵素を用いて、HDとN−アセチルラクトサミン(LacNAcという)の縮合反応を行った。HPLCによる縮合反応液の分析結果を図9に示す。2.6mg/mlの酵素溶液5μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、192mg/mlのLacNAcを20μl、444mg/mlのHDを20μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を5μl加え、全量を50μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。HPLC分析には関東化学製のMightysil Si60 HPLC用カラムを用いた。92.5%アセトニトリル水溶液を溶媒とし、生成物の検出は、210nmのUV吸収を測定することにより行った。生成物は、既に構造を確認している標準品、6−ヒドロキシヘキシル−β−N−アセチルラクトサミニド(LacNAcβ−HD)とのHPLC分析における溶出時間の比較を行うことで縮合生成物の成否と同定を行った。精製EG I CDによる縮合反応により約2%のLacNAcβ−HDの生成を認めた。
(実施例6)組み換え酵素を用いたラクトース単位の転移反応
ラクトースとオリゴエチレングリコールの縮合反応を精製EG I CDを触媒として実施した。以下に縮合反の条件を示す。2.6mg/mlの酵素溶液100μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、430mg/mlのLacを400μl、それぞれ反応液中の最終濃度が1 mole/l となるよう調製したオリゴエチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール)を400μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を100μl加え、全量を1000μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。サンプリングは反応開始から、14時間後に行った。反応はTLC(展開溶媒はクロロホルム:メタノール:水=60:35:8)で確認した。検出は、オルシノール−硫酸法による発色で行った。
ラクトースとオリゴエチレングリコールの縮合反応を精製EG I CDを触媒として実施した。以下に縮合反の条件を示す。2.6mg/mlの酵素溶液100μl(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解)に、430mg/mlのLacを400μl、それぞれ反応液中の最終濃度が1 mole/l となるよう調製したオリゴエチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール)を400μl、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を100μl加え、全量を1000μlとした。酵素反応は37℃で行い、100℃、10分加熱し、反応を停止させた。サンプリングは反応開始から、14時間後に行った。反応はTLC(展開溶媒はクロロホルム:メタノール:水=60:35:8)で確認した。検出は、オルシノール−硫酸法による発色で行った。
上記の結果を図10に示す。図中のdi、tri、tet、pen、HDは、それぞれ、アグリコンとして用いたオリゴエチレングリコール(エチレン数2〜5)と1,6−ヘキサンジオールを示し、Lac−HDはLacβ−HDを、Galはガラクトースを、Lacはラクトースを表す。反応開始後14時間で既に、ラクトースとオリゴエチレングリコールからなる一連の縮合生成物(図中の枠内、1〜4)が生成しており、それぞれ各アグリコンのラクトシル配糖体と考えられる。
Claims (4)
- 配糖体の製造方法において、β1,4−グルコシル結合切断活性を有する酵素の触媒ドメインを酵素源として、ヘテロオリゴ糖をアルコール性水酸基を有する化合物に転移させることを特徴とする、配糖体の製造方法。
- ヘテロオリゴ糖単位がラクトース、ラクトサミンであることを特徴とする請求項1記載の配糖体の製造方法。
- セルラーゼの活性ドメインが、エンドグルカナーゼであることを特徴とする請求項1または2記載の配糖体の製造方法。
- エンドグルカナーゼが、トリコデルマ・リーセイ由来EG Iであることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の配糖体の製造方法。
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WO2015011285A3 (en) * | 2013-07-26 | 2015-10-22 | Biomethodes | Novel variant trichoderma reesei endoglucanases |
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WO2015011285A3 (en) * | 2013-07-26 | 2015-10-22 | Biomethodes | Novel variant trichoderma reesei endoglucanases |
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