JP2009199873A - 画像表示装置 - Google Patents

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    • H01J31/12Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes with luminescent screen
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Abstract

【課題】従来のP22型の蛍光体を用いたFEDパネルを用いた画像表示装置を用いてHDTVの画像を表示させると、CRT型の画像表示装置に比べて、動画の視認性が劣る場合があった。
【解決手段】本発明は、複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、電子放出素子を駆動する駆動回路と、を有する画像表示装置であって、蛍光体が、CaAlSiN3:Eu2+であって、1走査あたり蛍光体に電流を供給する電子放出素子から、画素に2μs以上70μs以下の間電子が供給されることを特徴とする画像表示装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、画像表示装置に関するものである。
近年、画像情報の多様化、高密度化に伴い、画像表示装置(ディスプレイ)には更なる高性能化、大型化と画像品位の一層の向上が求められている。特に、省エネルギー及び省スペースといった要請が高まる中で、ブラウン管と呼ばれる陰極線管を使った画像表示装置から、フラットパネルディスプレイへの需要が高まってきている。以下、陰極線管をCRT(Cathode Ray Tuber)と、フラットパネルディスプレイをFPD(Flat Panel Display)と、略す。
FPDには、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、あるいは、電界放出型画像表示装置(Field Emission Display、以下、FEDと略す)等がある。FEDは、微小な電子放出素子を画素の数だけ基板上に配置し、電子放出素子から真空中に電子を放ち、蛍光体にぶつけて発光させる原理の画像表示装置である。電子放出素子は、ブラウン管の電子銃に相当するもので、CRTのような明るくてコントラストの高い画像を大型平面ディスプレイで実現することができ、次世代の自発光型FPDとして期待されている。
FEDとしては、錐状のエミッタの錐の先端部から電子を放出するスピント型と呼ばれるタイプのものと、表面伝導型電子放出素子(Surface−conduction Electron−emitter)という平面構造の素子を用いる技術等がある。以下、表面伝導型電子放出素子をSCE素子、表面伝導型電子放出型画像表示装置(Surface−conduction Electron−emitter Display)をSEDと略す。
比較的高電圧で電子を加速させ蛍光体を発光させるタイプのFEDでは、従来のCRT用のP22型蛍光体を流用、もしくは改良して用いることが多い。
特許文献1には、電子線励起用の赤色蛍光体として広く使われている、ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド蛍光体(Y22S:Eu3+)よりも高輝度が得られるユーロピウム付活カルシウムアルミニウムシリコンナイトライド蛍光体(CaAlSiN3:Eu2+、以下CASN)が開示されている。
特開2006−070239号公報
比較的高電圧で電子を加速させ蛍光体を発光させるタイプのFEDでは、CRTで実績のある、P22型と呼ばれるZnS:Ag(青色蛍光体)、ZnS:Cu(緑色蛍光体)、及び、Y22S:Eu3+、以下YOS(赤色蛍光体)が一般的である。
しかしながら、P22型の蛍光体を用いたFEDを用いてHDTV(High Definition Television)の画像を表示させると、CRT型の画像表示装置に比べて、動画の視認性が劣る場合があった。
原因を調査した結果、P22型の赤色蛍光体、であるY22S:Eu3+等の赤色蛍光体は、
1.高電荷密度域での輝度直線性が悪く、更に、
2.発光減衰については、1/10減衰時間で1ms程度と線順次駆動の選択時間に比して極端に長く、
このため、残光視認による動画表示能低下、階調表現能低下といった点で問題があることが確認された。
一方、FEDでは、ビーム収束上等の理由により、電子放出素子が形成されているリアプレートと蛍光体の形成されているフェイスプレートの間隔は通常数mm以内に抑えられる。この狭ギャップにより耐放電上の制約が大となり、通常CRTで用いられている加速電圧を印加することはできなかった。
特許文献1に開示されている、CaAlSiN3:Eu2+が、Y22S:Eu3+よりも高輝度になる条件は、25kvの加速電圧下で、連続照射またはそれに近い選択時間であることがわかった。
本発明は、複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、前記電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、前記電子放出素子を駆動する駆動回路と、を有する画像表示装置であって、前記蛍光体が、CaAlSiN3:Eu2+であり、1走査あたり前記蛍光体に電流を供給する前記電子放出素子から、前記画素に2μs以上70μs以下の間電子が供給されることを特徴とする画像表示装置である。
更に、複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、前記電子放出素子から放出された電子線を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、前記電子放出素子を駆動する駆動回路と、を有する画像表示装置であって、少なくとも1以上の画素が、前記電子放出素子から放出された電子線を受けて蛍光を発する第1の蛍光体と、前記第1の蛍光体が発する前記蛍光を受けて前記画素が画像を形成するための可視光を発光する第2の蛍光体と、がフェイス側基板上に、前記第2の蛍光体、前記第1の蛍光体の順に積層されていることを特徴とする画像表示装置である。
本発明によれば、選択時間が短い条件での動画像を表示しても動画の視認性の良好なFEDを得ることができる。
P22型の蛍光体を用いたFEDのHDTVの画像の動画の視認性が、CRTを用いた画像表示装置に比べて、劣る原因を鋭意検討した。
CRTとFEDとの構造上の差異は、CRTの場合、電子放出素子と蛍光体が塗布された面との間隔が数10cmである。これ対し、FEDの場合電子放出素子が形成されたリアプレートと蛍光体が塗布されたフェイスプレートとの間隔が通常数mm以内に抑えられている。
電子放出素子と蛍光体との間隔がCRTよりもFEDでは狭い。このため、25kV以上の加速電圧で駆動されているCRTに対して、一般的に高電界型といわれるタイプのFEDでも15kV以下程度が一般的である。理由は、電子放出素子と蛍光体との間隔が狭いため、耐放電上の制約があることに起因している。
CRTの場合、十分な加速電圧で駆動できるので、蛍光体層へ侵入する電子の拡散長を十分に長くすることができるので、「点」で画素を更新していく「点順次駆動方式」を採用することができる。これに対し、FEDのように十分な加速電圧で駆動できない場合は、電子の拡散長がCRTに比較して小さくなるため、走査線毎に画素の一斉更新を行う「線順次駆動方式」が採用される。
蛍光体は、線順次駆動方式の場合、点順次方式よりも単位時間当りに換算して、高い電荷密度に晒され、且つ、点灯している時間が長いことになる。
動画視認性がCRTに劣る原因が、中高速型のFEDの赤色蛍光体として広く使われているP22型蛍光体である、Y22S:Eu+3にあることがわかった。P22型のY22S:Eu+3赤色蛍光体を線順次駆動法であるFEDに用いると、青色及び緑色蛍光体に比べ、
1.高電荷密度域における輝度直線性が悪い、
2.発光減衰が劣る、
ことが原因であることを知見し、青色及び緑色蛍光体と同等の高電荷密度域での直線性と発光減衰時間を持った蛍光体を用いることで動画視認性が改善できることを知見したものである。
発明者は、複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、電子放出素子を駆動する駆動回路とを有するFEDの、蛍光体として、CaAlSiN3:Eu2+を用い、1走査あたり蛍光体に電流を供給する電子放出素子から、CaAlSiN3:Eu2+が形成された画素に2μs以上70μs以下の間電子を供給することで課題を解決できることを見いだした。
CaAlSiN3:Eu2+が赤色蛍光体であるので、更に、青色蛍光体と緑色蛍光体とを用いてカラー表示することができる。
更に、少なくとも1以上の画素に第1の蛍光体と、第1の蛍光体が発する蛍光を受けて画素が画像を形成するための可視光を発光する第2の蛍光体と、がフェイス側基板上に、第2の蛍光体、第1の蛍光体の順に積層され、
第1の蛍光体がCaAlSiN3:Eu2+であることを特徴とする画像表示装置である。
更に、第2の蛍光体が一般式M1lM2mSi26:Eu2+(ここでM1、M2は、Ba、Sr、CaあるいはMgのいずれかであり、1<l+m<3である)で表される複合アルカリ土類シリケート蛍光体であることが好ましい。
更に、第2の蛍光体が、CalMgmSi26:Eu2+、SrlMgmSi26:Eu2+、BalMgmSi26:Eu2+、SrlCamSi26:Eu2+、BalCamSi26:Eu2+、あるいは、BalSrmSi26:Eu2+であることがより好ましい。
上述の積層構造にすると、電子を受けて第1の蛍光体が近紫外から可視域の光を発光する。第2の蛍光体は、第1の蛍光体が発光する、近紫外から可視域の光を受けて発光することで、電子を受けて発光するよりも発光強度を大きくすることができる。
これは、電子を受けた際の第1の蛍光体の蛍光の波長帯域が、第2の蛍光体の励起帯域と対応した波長帯域であることを意味している。
この場合も、更に、青色蛍光体と緑色蛍光体とを用いてカラー表示することができる。
以下、本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
本発明のFED(電界放出型画像表示装置)パネル及びFEDパネルを用いたFED(電界放出型画像表示装置)の構成を、図1の模式図を用いて説明する。
図1に示されるFEDパネル2の模式図は、フェイスプレート1とリアプレート4とを具備し、フェイスプレート1とリアプレート4とが側壁10を介して封止され、封止された内部空間は10-5Pa程度以下に減圧されている。以下、この状態を真空状態と称する場合がある。
尚、側壁10は、フェイスプレート1及びリアプレート4とは別に設けられているが、側壁10が、フェイスプレート1あるいはリアプレート4と一体化された構造であっても良い。
リアプレート4は、リア側基板11と、複数の信号線9と、複数の走査線8と、複数の電子放出源となる電子放出素子(不図示)と、端子D0x1〜D0xm及びD0y1〜D0ymと、を具備している。
リアプレート4は、ガラス等の透明な材料からなるリア側基板11上に、複数の信号線9、及び、複数の走査線11が絶縁膜(不図示)を介して形成され、信号線8と走査線9の交点に、信号線9及び走査線8と接続された電子放出素子を有している。図中、5は、詳細は後述する電子放出素子が形成された位置を示している。
尚、図示していないが、信号線9及び走査線8は、絶縁膜を介して形成されている。
端子D0x1〜D0xmは、外部から信号線9に電圧を印加するための端子で、D0y1〜D0ymは、外部から走査線に電圧を印加するための端子である。
フェイスプレート1は、フェイス側基板14と、蛍光体からなる蛍光面6と、メタルバック7と、高圧端子Hv3と、を具備している。フェイスプレート1は、ガラスからなるフェイス側基板14上に、蛍光体が配された蛍光面6が形成され、該蛍光面6上にメタルバック7が形成されている。高圧端子Hv3は、メタルバック7に接続されている。
メタルバックは、アノードの機能を有している。
FEDパネル2を用いた画像表示装置は、FEDパネル2の信号線8と、走査線9と、が駆動回路25に接続されている。駆動回路25は、画像信号(不図示)が入力され、入力された画像信号を受けて信号線8と走査線9とに画像信号に対応した電圧が出力される。
駆動回路25から出力される電圧を受けて、配線の交点に形成された電子放出素子と、高電圧(加速電圧)が印加されたアノードとなる金属膜(メタルバック7)と、の間に高電界が印加され、電子放出素子から電子が放出される。電子放出素子から放出された電子が、メタルバック7に衝突し、メタルバック7とガラス基板14との間に形成された蛍光体から蛍光がガラス基板14を介して外部に放射される。この結果、FEDパネル2上に画像が形成される。
電子放出素子としては、表面伝導型電子放出素子(SCE)、Spindt型電子放出素子、MIM型電子放出素子、あるいは、カーボンナノチューブ(CNT)を放出部とする素子等を用いることができる。特に、容易に作製できる表面伝導型電子放出素子は、本発明の画像表示装置の電子放出素子として好適に用いることができる。
蛍光体の配置を、図2の、リアプレート4側からみた蛍光面41の部分を拡大した平面図を用いて説明する。カラー表示を行う場合、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三色を用いてカラー表示を行うことが一般に行われているので、R、G、および、Bの3色を用いた例で説明する。
尚、1色のみを用いて表示を行う場合は、蛍光体は、1種類の蛍光体のみを用いても良い。
蛍光面41は、赤色(R)蛍光体43、緑色(G)蛍光体44、および青色(B)蛍光体45及びブラックマトリックス42を具備し、フェイス側基板上に設けられている。
蛍光体41は、フェイス側基板(不図示)上に、設けられたブラックマトリックス42に設けられた開口部に赤色(R)蛍光体43、緑色(G)蛍光体44、および青色(B)蛍光体45が形成されている。ブラックマトリックス42に設けられた赤色(R)蛍光体43、緑色(G)蛍光体44、および青色(B)蛍光体45の組は、ピクセル(画素)と呼ばれ、カラー表示を行うための最小単位である。更に、赤色・青色・緑色各セルをサブピクセル(副画素)と称する場合もある。1画素の面積は、画素数と表示面のサイズにより決定される。
ブラックマトリックス42が黒色である理由は、電子の照射位置に多少のずれがあっても、隣接の蛍光体への周り込みが生じないようにするためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐためである。更に、蛍光体の電子によるチャージアップの防止によるチャージアップを防止するために、導電性の材料を用いることが好ましい。
典型的には黒鉛を主成分として用いることができるが、これ以外の材料を用いてもよい。
蛍光体やブラックマトリックス42は、スクリーン印刷等により形成される。
また、サブピクセルの形状は、ストライプ状の配列に限られるものではない。
図1の構成のFEDパネルを、駆動させる場合、走査線数をn本、フレーム周波数をfとすると一回の走査あたりに1走査線に信号を印加することができる最大許容時間t(秒)の最大値は、以下の式(1)で与えられる。最大許容時間を、ライン選択時間あるいは走査線選択時間と称する場合がある。
t=C1/(f・n)・・・(1)
ここで、C1は、駆動方式に依存する定数で、プログレシヴ駆動では1、インターレース走査では2である。
HDTVの1080iの場合、走査線数が1080本、フレーム周波数が29.97Hzのインターレース走査であるので、ライン選択時間は、約61.8μsとなる。このFEDパネルを、PC(パーソナルコンピュータ)を用いて駆動すると、フレーム周波数が60Hzのプログレッシブ走査となるので、ライン選択時間は、約15μsとなる。
本発明の第2の実施形態では、蛍光体が積層構造をしている点が第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態における蛍光体は、フェイス側基板上に、電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する第1の蛍光体と、第1の蛍光体が発する蛍光を受けて画素が画像を形成するための可視光を発光する第2の蛍光体と、がフェイス側基板上に、第2の蛍光体、第1の蛍光体の順に積層されている。
(実施例)
以下、比較例と具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
比較例と実施例で用いたFEDパネルは、図1で構成を説明したFEDパネルである。以下、FEDパネルの製造方法を説明する。
まず、メタルバックにアルミニウムを用いたフェイスプレートの製造方法を図3に示した作成フローを用いて説明する。
始めに、ソーダライムガラス基板を大気雰囲気中550℃で1時間加熱することにより、焼成19を行い不必要なアルカリ成分を析出させる。
この基板を室温まで冷却させたのち、中性洗剤の水溶液に浸漬させスクライブ洗浄を行い、更に、純水超音波リンス等を十分に行った後乾燥させることにより、ガラス基板洗浄20を行う。
ついでこのガラス基板をスクリーン印刷機にセットし、黒色顔料ペーストを用い、パターニングされたエマルジョン版を介してスクリーン印刷を行い、乾燥、焼成を経てブラックマトリクス印刷21を行い、乾燥後に550℃で1時間加熱することにより焼成22を行い、開口部が形成されたブラックマトリクスの形成された基板を得ることができる。
次いで、ブラックマトリックスに形成された開口部に、蛍光体を形成する。
まず青色蛍光体を蓋付テフロン容器に入れ、蛍光体の計量23を行い、ついでエチルセルロースを高濃度に溶解させたターピネオール溶液と粘度調整用のターピネオールを適量加え、ペースト調整24を行った。その後、ロールミル装置により混練25を施し、更に遊星式攪拌機により脱泡26を行うことにより、青色蛍光体ペーストを得ることができる。
次いで、上記ガラス基板を再びスクリーン印刷機にセットし、上記青色蛍光体ペーストを用い、パターニングされたエマルジョン版を介して蛍光体膜印刷27、乾燥28、焼成29を行った。この結果、ブラックマトリックスの所望の開口部に青色蛍光体を塗布することができる。
同様に緑色蛍光体、赤色蛍光体を用い、23から29の工程を繰り返すことにより、緑色蛍光体、及び、赤色蛍光体をブラックマトリックスの所望の開口部に塗布することができる。
続いて、上述の基板をスピンコーター上に設置し、基板表面を純水にて十分に湿潤させ、かつ同時に蛍光体粉末間、蛍光体−ガラス基板間を接着させる目的で、コロイダルシリカ水溶液を散布した。その後、続いてアクリルラッカーのトルエン溶液を噴霧することにより樹脂中間層形成30を行う。
更にこの基板をEB蒸着機内にセットし、アルミニウムを蒸着させメタルバックとなるアルミバック形成31を行い、最後に、大気中で、1時間加熱することにより焼成32を行い、樹脂中間層を除去しフェイスプレートが完成する。加熱温度は、450℃程度が用いられる。
電子放出素子が形成されたリアプレートは下記に示す方法にて製造することができる。
まずフェイスプレートと同様の方法にて洗浄したガラス基板上に、Agペーストと絶縁ペーストのスクリーン印刷、乾燥、焼成を繰り返すことにより、配線を形成する。
ついで上記配線の形成後、配線が交差する位置に電子放出素子を形成する。電子放出素子は、フェイス側基板上に設けられた蛍光体に対応する位置に、本実施例においてはスピント型と呼ばれる電子放出素子を形成した。
続いてアルミバック付フェイスプレートと、上記リアプレートとを、鉛フリットの塗布された1.6tのガラス周辺支持枠材を介して対峙させ、加圧しながら加温処理を行うなどして密閉容器を形成させ、さらに排気管等を通じ適当な排気系に接続をして十分な排気を行ったのち封止処理し真空容器であるFEDパネルを得ることができる。
尚、比較例及び実施例では、0.3mm×0.7mmの開口部が、x方向にピッチ0.5mmで1920個、y方向にピッチ1.5mmで480個形成された、ブラックマトリクスを用いた。この結果、走査線の本数が480本のVGAの表示解像度に相当するFEDパネルが得られる。
メタルバックとなるアルミニウムは、膜厚80nmで形成し、樹脂中間層は、450℃の大気中で、1時間の加熱することにより焼成を行って除去した。
電子放出素子は、スピント型の素子を用いた。
(比較例)
比較例では、青色蛍光体として、ZnS:Ag,Cl、緑色蛍光体として、ZnS:Cu,Al、及び、赤色蛍光体として、Y22S:Eu3+を用いた。青色蛍光体は、化成オプトニクス社製P22−B1、緑色蛍光体は、化成オプトニクス社製P22−GN4、赤色蛍光体は、化成オプトニクス社製P22−RE3を用いた。
FEDパネルに、実験用の駆動回路を接続し、FEDを構成し、黒色の背景中を赤色の文字を移動させることで、フレーム周波数を変えた条件での動画視認性を確認した。このため、FEDは、マイクロソフト社製ウインドウズ2000がインストールされているパーソナルコンピューターに接続した。
黒色の背景中の赤色の文字の移動は、スクリーンセイバーの「伝言板表示」を利用して行った。この際の設定条件は、背面を黒色に、文字は、MS明朝、太字、サイズ144、赤色のフォントにて「認識」という文字を表示するよう設定した。
さらにこの文字が右から左に2秒間で移動するように速度を調節した。
次に、スクリーンセイバーの画面を、任意に抽出した100人に同じ位置から観賞させ、フレーム周波数を変化させることによりライン選択時間を70、35μs、2μs及び1μsに変化させた場合の夫々の文字の見づらさについて調査した。フレーム周波数70μsでは2人が、35μsでは56人が、また2μs、1μsでは100人全員が見づらいと感じ、動画視認性に問題あることが判明した。
この結果を表1に示す。
続いてこのFEDパネルを実験用の駆動回路に接続し、加速電圧を10kVに設定し、各電子放出素子が20mA/cm2の電流を放出するように、駆動電圧を設定し、フレーム周波数60Hzのプログレシヴ駆動にて赤色の単色を表示させた。この時の選択時間は70μsである。
続いてこのFEDパネルのフェイスプレートから0.4m離れた位置に放射輝度計(TOPCON社製 SR−3)を設置した。次いで駆動電圧のパルス幅が2μsから20μsの間で可変するように調節し、夫々のパルス幅Pwに対する輝度Lvをプロットし、下記に示す式(2)にて回帰させた。
Lv=C2・Pwδ・・・(2)
ここでC2・δは定数である。
δはパルス幅に対する輝度の直線性を示す値であり、本比較例ではδ=0.85が得られ、パルス幅に対する輝度の直線性が不十分であることがわかる。
またパルス幅が20μsの際の輝度とCIE色度を測定したところ相対輝度値100、色度は(x、y)=(0.657,0.336)であった。
この相対輝度値を表1に列記する。
ついでパルス幅を20μsに固定させた状態で、電流密度が1mA/cm2から40mA/cm2の間で可変するように駆動電圧を調節し夫々の電流密度Jeに対する輝度値Lvをプロットし、下記に示す式(3)により回帰させた。
Lv=C3・Jeγ・・・(3)
ここでC3、γは定数である。
γは電流密度に対する輝度の直線性を示す値であり本比較例ではγ=0.7が得られ、電流密度に対する輝度の直線性も不十分であることがわかる。
また電流密度を20mA/cm2に固定し、輝度が100cd/m2になるように駆動電圧のパルス幅を調節し、10000時間の連続駆動を行ったところ輝度維持率は95%を十分上回るものであった。
(実施例1)
比較例と同様の方法によりFEDパネルを得た。但し赤色蛍光体にCaAlSiN3:Eu2+蛍光体(CASN)を用いた。
CASNの合成は以下の手順に従った。
まずEu金属粒を5%H2/N2の雰囲気下にある遊星型ボールミル装置に入れ、適量の1mmφメノウビーズにて十分に粉砕し、次いで5%H2/N2雰囲気下のグローブボックス下に取り出した。
ついでこの粉砕されたEu金属粒をBN坩堝中に入れ、真空管状態の炉中に入れた後、真空排気し、管内にアンモニアガスを2L/minの流量でフローしつつ600℃で4時間加熱することにより高純度のEuNを得た。
ついでこのEuNを窒素雰囲気下のグローブボックス中に取り出し、Ca32、AlN、Si34をそれぞれ化学量論比となるよう混合し、メノウ乳鉢で混合粉砕した後、そのままの状態でBN坩堝中に封入した。
封入後のBN坩堝は更に酸素に晒されないように大きいBN坩堝中に封入し二重坩堝構造とした。
この坩堝を高圧焼結炉中に入れ、真空排気の後、9.5気圧の窒素雰囲気を維持しつつ600℃/時間のレートで1800℃に加熱し、この状態で7時間維持し、その後室温まで徐冷した。
このようにして得られた試料混合物にブラックライト照射し、丹念に表面の非発光形成物を取り除き、最後にメノウ乳鉢で十分に粉砕した。
合成したCASN蛍光体は濃橙色の体色を呈するもので、粉末X線回折にて構造を確認した。
また発光分光分析にてCa、Al、Siの濃度を同定し、CaAlSiN3:Eu2+であることを確認した。
尚、Eu2+が、3wt%になるよう合成を行った。
このようにして得られたFEDパネルを比較例と同様に駆動回路とパーソナルコンピューターとに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例では全てのフレーム周波数において、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは1人、選択時間1μsでは31人の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、δ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ相対輝度値は58、CIE色度は(x、y)=(0.670,0.328)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
これらの値も表1に列記する
尚、輝度は電流密度に対する直線性に優れているため電流密度Je=33mA/cm2にて比較例を上回ることがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率は初期輝度の95%を十分上回るものであった。
(実施例2)
実施例2〜実施例7は、実施例1の赤色蛍光体の上に、一般式M1lM2mSi26:Eu2+(ここでM1、M2は、Ba、Sr、CaあるいはMgのいずれかである)で表される複合アルカリ土類シリケート蛍光体を積層した。CASN蛍光体ペーストを用いてストライプを形成した後、一般式M1lM2mSi26:Eu2+蛍光体を、図3の27から29の工程を繰り返すことにより重ねて印刷し、二層構造とした。
本実施例では、一般式M1lM2mSi26:Eu2+で表される蛍光体として、CalMgmSiO6:Eu2+蛍光体を用いた。
CalMgmSiO6:Eu2+蛍光体は、化学量論組成に従い計量した、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化珪素をメノウ乳鉢で十分に粉砕した後、Eu換算で3wt%となるように塩化ユーロピウムを加え、更にメノウ乳鉢で十分に粉砕した。その後、この混合物を、純水を満たしたビーカーに分散させ、マグネチックスターラで24時間攪拌し、濾過→乾燥することにより前駆体を調製した。
この前駆体を60ccのアルミナルツボ中に入れ、電気炉を用い大気中1350℃にて2時間焼成した。
焼成後、焼成物をアルミナルツボより取り出し、メノウ乳鉢で十分に粉砕した後、再度アルミナルツボに詰め、このアルミナルツボを更に200ccのアルミナルツボに入れた上、周囲に活性炭を充填し、二重ルツボとした。
この二重ルツボを電気炉に入れ、5%H2/N2ガスを1L/minのレートでフローし還元雰囲気にて1200℃、2時間焼成した。
焼成後、焼成物をアルミナルツボより取り出し、ナイロン100メッシュにて水篩しつつビーカーに取出し、純水を満たしマグネチックスターラで十分攪拌した後静置させ、上澄みを除去するといった洗浄を5回繰り返した。
この後濾過、乾燥しCalMgmSiO6:Eu2+蛍光体を得ることができた。
lとmの値は仕込みの化学組成にて調整でき、l+m=1.0、2.0、3.0の3種類を合成した。
これら3種類のCalMgmSiO6:Eu2+蛍光体を比較例同様、図2の23から26に示す方法によりペースト化した。
ついで比較例と同様の方法によりFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様の条件で動画視認性の確認を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは2人以下、選択時間1μsでは36人以上の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で57、l+m=2で113、l+m=3で56であり、l+m=2は比較例や実施例1に比べ、高い輝度が得られることがわかった。
一方、l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.670,0.328)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
(実施例3)
出発原料として炭酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化珪素を用い、実施例2と同様の方法により、l+m=1.0、2.0、3.0の3種類のSrlMgmSi26:Eu2+蛍光体を合成した。
これら3種類のSrlMgmSi26:Eu2+蛍光体を用い、実施例2と同様の方法にて二層の蛍光体構造を有する赤色サブピクセルを備えたFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様にパーソナルコンピューターに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは2人以下、選択時間1μsでは35人以上の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で23、l+m=2で63、l+m=3で38であり、l+m=2は実施例1に比べて高輝度が得られることがわかった。
一方l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.669,0.328)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
(実施例4)
出発原料として炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化珪素を用い実施例2と同様の方法により、l+m=1.0、2.0、3.0の3種類のBalMgmSi26:Eu2+蛍光体を合成した。
これら3種類のBalMgmSi26:Eu2+蛍光体を用い、実施例2と同様の方法にて二層の蛍光体構造を有する赤色サブピクセルを備えたFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様にパーソナルコンピューターに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは2人以下、選択時間1μsでは34人以上の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で54、l+m=2で102、l+m=3で50であり、l+m=2は比較例、実施例1に比べて高輝度が得られることがわかった。
一方、l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.668,0.329)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
(実施例5)
出発原料として炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、酸化珪素を用い実施例2と同様の方法により、l+m=1.0、2.0、3.0の3種類のSrlCamSi26:Eu2+蛍光体を合成した。
これら3種類のSrlCamSi26:Eu2+蛍光体を用い、実施例2と同様の方法にて二層の蛍光体構造を有する赤色サブピクセルを備えたFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様にパーソナルコンピューターに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは2人以下、選択時間1μsでは35人以上の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で23、l+m=2で63、l+m=3で34であり、l+m=2は実施例1に比べて高輝度が得られることがわかった。
一方l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.668,0.329)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
(実施例6)
出発原料として炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化珪素を用い実施例2と同様の方法により、l+m=1.0、2.0、3.0の3種類のBalCamSi26:Eu2+蛍光体を合成した。
これら3種類のBalCamSi26:Eu2+蛍光体を用い、実施例2と同様の方法にて二層の蛍光体構造を有する赤色サブピクセルを備えたFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様にパーソナルコンピューターに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間2μsでは2人以下、選択時間1μsでは36人以上の者が見づらいと感じており、選択時間2μs以上の場合、優れた動画視認性を有していることがわかった。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様にCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で36、l+m=2で72、l+m=3で54であり、l+m=2は実施例1に比べて高輝度が得られることがわかった。
一方、l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.668,0.329)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
(実施例7)
出発原料として炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酸化珪素を用い実施例2と同様の方法により
l+m=1.0、2.0、3.0の3種類のBalSrmSi26:Eu2+蛍光体を合成した。
これら3種類のBalSrmSi26:Eu2+蛍光体を用い、実施例2と同様の方法にて二層の蛍光体構造を有する赤色サブピクセルを備えたFEDパネルを作成した。
このようにして得られたl+mの異なる3種類のFEDパネルを比較例と同様にパーソナルコンピューターに接続し、文字の見づらさについて調査を行った。
本実施例ではl+mの値に拘らず、選択時間2、35、70μsのフレーム周波数で見づらいと感じた人は0人であった。また選択時間1μsでは34人以上の者が見づらいと感じており、選択時間1μsより大で優れた動画視認性を有していることがわかる。
この結果を表1に列記する。
また比較例と同様にδを求めたところ、l+mの値に拘らずδ=1であり、パルス幅に対する輝度の直線性は十分に優れていることがわかる。
さらに比較例と同様にγを求めたところl+mの値に拘らずγ=1であり、電流密度に対する輝度の直線性も十分に優れていることがわかる。
また比較例と同様に相対輝度とCIE色度を測定したところ、相対輝度値はl+m=1で32、l+m=2で68、l+m=3で51であり、l+m=2は実施例1に比べて高輝度が得られることがわかった。
一方l+m=1とl+m=3では実施例1よりも輝度が低く、二層の蛍光体層構成とした効果が見られなかった。
これらの値も表1に列記する。
またCIE色度はl+mの値に拘らず(x、y)=(0.668,0.329)であり、比較例に比べて純度の良い赤色を呈することがわかった。
更に比較例と同様の条件で連続駆動を行ったところ輝度維持率はl+mの値に拘らず95%を十分上回るものであった。
Figure 2009199873
以上述べてきた通り、本発明の赤色蛍光体あるいは、赤色蛍光体と一般式M1lM2mSi26:Eu2+(ここでM1、M2は、Ba、Sr、CaあるいはMgのいずれかであり、1<l+m<3である)で表される複合アルカリ土類シリケート蛍光体との積層構造からなる画素が形成されたFEDパネルは、選択時間に対する動画像応答性、及び、選択時間及び電荷密度に対する輝度直線性に優れている。
選択時間に対する動画像応答性が良いFEDパネルが得られので、従来の、電荷密度(電流密度)を変える階調表示だけでなく、選択時間を変えた階調表示あるいは、電荷密度と選択時間とを変えることで階調表示を行うことができる。
本発明のFEDパネルを用いて、画像表示装置及び画像表示装置を搭載した電子機器を実現することができる。画像表示装置を搭載した電子機器としては、画像信号を画像として表示する装置一般に使用でき、例えば、テレビ受像器、一体型のパーソナルコンピューター等がある。
無線放送、有線放送、インターネット等の回線を介して供給される画像情報は、変調が掛けられ、更に、圧縮や暗号処理等の符号化(エンコード)処理されている場合がある。画像情報受信回路61は、回線から供給される複数の画像情報から、所望の(希望する)画像情報を選択する。画像情報受信回路61で選択された画像情報が、画像信号生成回路62により復調及び復号化(デコード)処理が施され、画像信号が得られる。
駆動回路は、供給された画像信号に基づいて、FEDパネルに表示用の信号を供給する。駆動回路から供給された信号に基づいて、FEDパネル上に画像が表示される。
画像情報が、符号化されていない場合、復号化は行わない。
画像情報が記録されている記録媒体の情報から、画像表示装置に画像を表示させる場合、記録媒体から画像情報を読み出す読み出し回路により、記録媒体に記録された画像情報を読み出す。読み出された画像情報が、符号化処理が行われている場合は、画像信号生成回路により復号化処理が施され、画像信号が得られる。得られた画像信号が駆動回路に供給される。駆動回路は、供給された画像信号に基づいて、FEDパネルに表示用の信号を供給する。駆動回路から供給された信号に基づいて、FEDパネル上に画像が表示される。
読み出された画像情報が、符号化が行われていない場合は、読み出された画像情報は、画像信号と同じである。読み出された画像信号を、駆動回路に供給する。駆動回路は、供給された画像信号からFEDパネルに表示用の信号を供給する。駆動回路から供給された信号に基づいて、FEDパネル上に画像が表示される。
本発明のFEDの斜視図である。 画素の構成を示す模式図である。 本実施例で用いたアルミバック付蛍光面の作成フローを示す図である。
符号の説明
1 フェイスプレート
2 FEDパネル
3 高圧端子Hv
4 リアプレート
5 電子放出素子のある場所
6 蛍光面
7 メタルバック
8 走査線
9 信号線
10 側壁
11 リア側基板
14 フェイス側基板

Claims (8)

  1. 複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、前記電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、前記電子放出素子を駆動する駆動回路と、を有する画像表示装置であって、
    前記蛍光体が、CaAlSiN3:Eu2+であって、
    1走査あたり前記蛍光体に電流を供給する前記電子放出素子から、前記画素に2μs以上70μs以下の間電子が供給されることを特徴とする画像表示装置。
  2. 更に、前記電子放出素子から放出された電子を受けて青色を発する青色蛍光体及び緑色を発する緑色蛍光体が形成された画素を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 複数の電子放出素子を備えるリアプレートと、前記電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する蛍光体が形成された複数の画素を有するフェイスプレートと、前記電子放出素子を駆動する駆動回路と、を有する画像表示装置であって、
    少なくとも1以上の画素が、前記電子放出素子から放出された電子を受けて蛍光を発する第1の蛍光体と、前記第1の蛍光体が発する前記蛍光を受けて前記画素が画像を形成するための可視光を発光する第2の蛍光体と、がフェイス側基板上に、前記第2の蛍光体、前記第1の蛍光体の順に積層され、
    前記第2の蛍光体がCaAlSiN3:Eu2+であることを特徴とする画像表示装置。
  4. 前記第1の蛍光体の前記電子を受けて発光する蛍光が、近紫外から可視域の発光であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  5. 前記第1の蛍光体の前記電子を受けて発光する蛍光が、前記第2の蛍光体の励起帯域の波長の発光であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  6. 前記第2の蛍光体は、前記第1の蛍光体が前記電子を受けて発光する蛍光を受けて発光する輝度が、前記電子を受けて発光する輝度よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  7. 前記第1の蛍光体が、一般式M1lM2mSi26:Eu2+(ここでM1、M2は、Ba、Sr、CaあるいはMgのいずれかであり、1<l+m<3である)で表される複合アルカリ土類シリケート蛍光体であり、
    前記第2の蛍光体が、CaAlSiN3:Eu2+であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  8. 更に、前記電子放出素子から放出された電子を受けて青色及び緑色の蛍光を発する青色蛍光体及び緑色蛍光体が形成された画素を有することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
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