JP2006080046A - 電子放出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低消費電力で狙いとする方向に電子を放出することができる電子放出装置を提供すること。
【解決手段】 電子放出装置10は、誘電体からなるエミッタ部13と、下部電極12と、微細貫通孔を有する複数の上部電極14と、エミッタ部の上面であって互いに隣接する上部電極の間に形成された絶縁層15と、絶縁層の上に形成され一定の電位が付与される集束電極16とを備えている。電子放出装置10は、上部電極の電位を負の電位にしてエミッタ部13に電子を蓄積し、その後、上部電極の電位を正の電位にする。これにより、エミッタ部の分極が反転するため、蓄積された電子はクーロン力により上部電極の微細貫通孔を通して放射される。このとき、電子には集束電極により形成された電界が加わるので、電子はコーン状に広がることなく上部電極の直上部へと進行する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電体からなるエミッタ部と、前記エミッタ部の下部に形成された下部電極と、前記エミッタ部の上部に形成された上部電極とを備えた電子放出装置に関する。
従来から、誘電体からなるエミッタ部と、エミッタ部の下面に形成された下部電極(下部電極層)と、エミッタ部の上面に形成され多数の微細な貫通孔を有する上部電極(上部電極層)と、を備え、上部電極と下部電極の間に高圧パルスを付与して誘電体の分極を反転動作させることにより上部電極の微細貫通孔から電子を放出する電子放出装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この装置は、更に、上部電極の上部の全面に形成された絶縁層と、その絶縁層の上部に形成された駆動電極層とを備えていて、上部電極と下部電極の間に上記高圧パルスを付与し続けて誘電体の反転動作を繰り返し行うことにより放出可能な電子を発生させるとともに、駆動電極層に画像信号などの制御信号を付与することにより電子を最終的に放出するか否かを決定するようになっている。
特許第3160213号(請求項1、0016〜0019段落、図2及び図3)
しかしながら、上記従来の電子放出装置は、電子の放出を最終的に行わない場合であっても、上部電極と下部電極との間に常に高圧パルスを付与して分極反転動作を継続的に繰り返し行わせているので、消費電力が大きいという問題がある。
本発明の目的は、低消費電力でありながら電子を狙いとする方向に確実に放出することができる電子放出装置を提供することにある。
即ち、本発明による電子放出装置は、
誘電体からなるエミッタ部と、前記エミッタ部の下部に形成された下部電極と、前記エミッタ部を挟んで前記下部電極に対向するように同エミッタ部の上部に形成されるとともに微細貫通孔を複数有してなり電子を放出させる必要がある場合に同下部電極に対する電位が負の電位とされた後に正の電位とされることにより同微細貫通孔を通して電子を放出させる上部電極と、を有する素子を少なくとも二つ備え、同二つの素子のうちの一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差が他の一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差と独立して変更可能に構成された電子放出装置である。
これによれば、一つの素子の上部電極の電位は、その上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合、同一つの素子の下部電極に対して負の電位とされる。これにより、電子が一つの素子の上部電極近傍のエミッタ部に蓄積される。そして、一つの素子の下部電極に対する上部電極の電位はその後に正の電位とされる。これにより、一つの素子のエミッタ部の分極が反転せしめられるので、蓄積された電子はクーロンの反発力を受けて一つの素子の上部電極の微細貫通孔を通して放出させられる。
同様に、他の一つの素子の上部電極の電位は、その上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合、同他の一つの素子の下部電極に対して負の電位とされる。これにより、電子が他の一つの素子の上部電極近傍のエミッタ部に蓄積される。そして、他の一つの素子の下部電極に対する上部電極の電位はその後に正の電位とされる。これにより、他の一つの素子のエミッタ部の分極が反転せしめられるので、蓄積された電子はクーロン力を受けて他の一つの素子の上部電極の微細貫通孔を通して放出させられる。
本発明による電子放出装置は、このような電子放出作動を、一つの素子と他の素子とで独立に行うことができるように構成されている。換言すると、一つの素子及び他の一つの素子は、それぞれの上部電極の微細貫通孔を通して電子を放出する必要がある場合にのみそれぞれのエミッタ部の分極を反転させるように電力を消費する。従って、この電子放出装置は、電子の放出を必要としないときに無駄な電力を消費しないので、電力消費量を低減することができる。
更に、この電子放出装置は、
前記一つの素子の上部電極と前記他の一つの素子の上部電極との間に配設された絶縁体と、
前記絶縁体の上に形成され所定の電圧が付与される集束電極と、
を備えている。
これにより、集束電極は電界を発生させる。従って、一つの素子及び他の一つの素子からそれぞれ放出される電子は、集束電極により形成された電界により一つの素子の上部電極及び他の一つの素子の上部電極のそれぞれから上方向に向けて(広がることなく)進行するようになる。この結果、狙いとする箇所に的確に電子を照射することが可能となる。
また、集束電極は、一つの素子の上部電極と他の一つの素子の上部電極との間に配置される。換言すると、一つの集束電極は二つの素子の上部電極からの電子放出に対して作用する電界を発生する。従って、素子毎に一つの集束電極を備える装置に比較して、集束電極の面積を小さくすることが可能であり、その結果、各上部電極の開口率(平面視において空間に露出している上部電極の面積の単位面積に対する割合)を大きくすることができるので、より多くの電子を放出することができる。
この場合、前記集束電極は、平面視において前記一つの素子の上部電極及び前記他の一つの素子の上部電極の何れにも重ならないように形成されることが好適である。
集束電極は、電子の進行方向を制御するものであって、電子を放出するか否かを制御(決定)するものではない。従って、上記のように集束電極を構成することができ、且つ、そのように集束電極を構成すれば、その集束電極は放出される電子の進路を妨げることがないので、電子放出装置は効率よく電子を放出させることができる。なお、集束電極は、平面視において前記一つの素子の上部電極及び前記他の一つの素子の上部電極の何れにも実質的に重ならないような態様(集束電極の周辺部が上部電極の周辺部と平面視で僅かに重なるような態様)で形成されてもよい。
更に、上記電子放出装置は、各素子の上部電極と下部電極との間に所定の電位差を与える電位差付与手段を備えることが好適である。
この電位差付与手段は、
前記一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合に同一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させ同電子を同上部電極近傍の同エミッタ部に蓄積させるように同一つの素子の下部電極に対する同上部電極の電位が負の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、次いで、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させるために同下部電極に対する同上部電極の電位が正の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、
前記他の一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合に同他の一つの素子の上部電極から同他の一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させ同電子を同上部電極近傍の同エミッタ部に蓄積させるように同他の一つの素子の下部電極に対する同上部電極の電位が負の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、次いで、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させるために同下部電極に対する同上部電極の電位が正の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与えるように構成される。
これによれば、各素子のエミッタ部に蓄積された電子が各素子の上部電極の微細貫通孔を通して放出させられる。
更に、上記電子放出装置は、前記集束電極に前記所定の電位を付与する集束電極電位付与手段を備えることが好適である。
これによれば、各素子の上部電極の微細貫通孔から放出させられた電子は、集束電極により形成される電界の影響を受けることにより各素子の上部電極から上方向に向けて(広がることなく)進行するようになる。この結果、狙いとする箇所に的確に電子を照射することが可能となる。
この場合、前記集束電極電位付与手段は、
前記一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子が放出される期間は同上部電極の電位よりも低い電位を前記集束電極に付与している状態を維持するように構成されることが好適である。
これによれば、少なくとも電子が放出されている期間、電子を広がることなく上部電極の上方向に進行せしめる電界が発生させられる。
前記集束電極電位付与手段は、常に一定の電圧を前記集束電極に付与するように構成されてもよい。これによれば、集束電極に電位を付与する構成(回路構成)を簡素化することができる。
また、前記集束電極電位付与手段は、時間とともに変化する電圧を前記集束電極に付与するように構成されてもよい。これによれば、例えば上部電極の微細貫通孔から電子を放出しない期間において、同微細貫通孔から電子を放出する期間より、大きさが大きい負の電位を集束電極に付与することができ、不要な電子の放出を抑制することができる。
更に、前記集束電極電位付与手段は、前記一つの素子の上部電極に対する電位差を前記集束電極に付与するように構成されることが好適である。
これによれば、集束電極の電位は上部電極に対して所定の電位差を有することになるので、前記電子を広がることなく上部電極の上方向に進行せしめる電界を安定して発生させることができる、。
加えて、前記集束電極電位付与手段は、
前記一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させて同エミッタ部に蓄積している期間に前記集束電極をフローティング状態に維持し、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させている期間に前記所定の電位を同集束電極に付与するように構成されることが好適である。
前記一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させ同電子をエミッタ部に蓄積している期間において、前記集束電極をフローティング状態(何らの電位も付与されない状態)に維持していないと、上部電極(又は下部電極)の電位が変更せしめられることにともなって上部電極と集束電極との間の電位差(又は下部電極と集束電極との間の電位差)が変化する。その結果、集束電極と上部電極との容量結合(又は集束電極と下部電極との容量結合)に基づいて過渡的に電流が流れるので、電力を無駄に消費してしまう。これに対し、上記構成の集束電極電位付与手段は、前記一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させている期間に前記集束電極をフローティング状態に維持するから、前記過渡的な電流が流れず、無駄な電力消費を回避することができる。
更に、前記電子放出装置は、
前記一つの素子の上部電極の上方に配置されるとともに電子照射により第1の色の光を発光する第1蛍光体と、
前記他の一つの素子の上部電極の上方に配置されるとともに電子照射により前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光する第2蛍光体と、
を備えることが好適である。
これによれば、電子放出装置はカラーディスプレイにも適用することができる。また、上記集束電極が備えられているので、一つの素子の上部電極の微細貫通孔を通して放出された電子が、他の一つの上部電極の上方に配置された第2蛍光体に照射されることがない。同様に、上記集束電極が備えられているので、他の一つの素子の上部電極の微細貫通孔を通して放出された電子が一つの素子の上部電極の上方に配置された第1蛍光体に照射されることがない。この結果、色純度の低下が発生しないので、鮮明な画像を表示するディスプレイが提供され得る。
更に、上記電子放出装置は、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体の近傍に前記一つの素子の上部電極及び前記他の一つの素子の上部電極に対向するように配置されたコレクタ電極を備えることが好適である。
これによれば、一つの素子の上部電極及び他の一つの素子の上部電極から放出された電子は、高いエネルギーをもって第1蛍光体及び第2蛍光体にそれぞれ衝突するから、輝度を増加させること及び高い効率での発光が可能となる。従って、より鮮明な画像を提供し得るディスプレイが提供され得る。
また、上記電子放出装置は、密閉空間を形成する空間形成部材を備えるとともに、少なくとも前記一つの素子の前記エミッタ部の上部と前記上部電極、及び、前記他の一つの素子の前記エミッタ部の上部と前記上部電極が略真空状態にされた同密閉空間内に配置されていることが好適である。このような空間形成部材は、電子放出装置が上記蛍光体を備えたディスプレイに適用される場合、上記コレクタ電極や、その近傍に配置される透明板等をその一部に含むことができる。また、この場合、前記一つの素子の全体及び前記他の一つの素子の全体が前記密閉空間内に配置されてもよい。
これによれば、電子が放出される空間が略真空の状態となっているので、放出された電子の直進を阻害する分子の数が少ない。従って、この構成によれば、上記集束電極の作用とともに、電子を狙いとした位置により確実に照射することができる。
以下、本発明による電子放出装置の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
(構造)
図1乃至図3に示したように、本発明の第1実施形態に係る電子放出装置10は、基板11、複数の下部電極(下部電極層)12、エミッタ部13、複数の上部電極(上部電極層)14、絶縁層15及び集束電極(集束電極層)16を備えている。なお、図1は電子放出装置10の部分平面図である図3の1−1線に沿った平面にて電子放出装置10を切断した断面図、図2は図3の2−2線に沿った平面にて電子放出装置10を切断した断面図である。
基板11は、互いに直交するX軸及びY軸により形成される平面(X−Y平面)に平行な上面及び下面を有し、X軸及びY軸のそれぞれに直交するZ軸方向に厚み方向を有する薄板体である。基板11は、酸化ジルコニウムを主成分とした材料(例えば、ガラス又はセラミックス)からなっている。
下部電極12のそれぞれは、導電性物質(ここでは、銀又は白金)からなり、基板11の上面の上に層状に形成されている。各下部電極12の平面視における形状はY軸方向に長手方向を有する帯状である。図1に示したように、互いに隣接する二つの下部電極12は、X軸方向において所定の距離だけ離れた位置に形成されている。なお、図1において、符合12−1、12−2及び12−3が付された下部電極12は、便宜上、第1下部電極、第2下部電極及び第3下部電極とそれぞれ称呼される。
エミッタ部13は、比誘電率が大きい誘電体(例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)及びジルコン酸鉛(PZ)の3成分系材料PMN−PT−PZ。材質については、後に詳述する。)からなり、基板11の上面及び下部電極12の上面の上に形成されている。エミッタ部13は、基板11と同様な薄板体である。エミッタ部13の上面には、図4に拡大して示したように、誘電体の粒界による凹凸13aが形成されている。
上部電極14のそれぞれは、導電性物質(ここでは、白金)からなり、エミッタ部13の上面の上に層状に形成されている。各上部電極14の平面視における形状は、図3に示したように、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ沿った短辺及び長辺を有する長方形である。複数の上部電極14は互いに離間し、マトリクス状に配列されている。また、上部電極14のそれぞれは、下部電極12のそれぞれに対向し、平面視において下部電極12のそれぞれに重なる位置に配設されている。更に、上部電極14のそれぞれには、図4及び上部電極14の部分拡大平面図である図5に示したように、複数の微細な貫通孔14aが形成されている。なお、図1及び図3において、符合14−1、14−2及び14−3が付された上部電極14は、便宜上、第1上部電極、第2上部電極及び第3上部電極とそれぞれ称呼される。また、X軸方向に配列された複数の上部電極14同士は図示しない導体からなる層により接続され、同電位に維持されるようになっている。
下部電極12、エミッタ部13及び白金レジネートペーストからなる上部電極14は焼成処理によって一体化させられている。この一体化のための焼成処理により、上部電極14となる膜が例えば厚み10μmから厚み0.1μmに収縮する。このとき、上部電極14には前述した複数の微細貫通孔14aが形成される。
以上に述べたように、平面視において上部電極14と下部電極12とが重なった部分は一つの電子放出のための素子を形成していることになる。例えば、第1下部電極12−1、第1上部電極14−1及び第1下部電極12−1と第1上部電極14−1とにより挟まれたエミッタ部13は、第1の素子を構成している。また、第2下部電極12−2、第2上部電極14−2及び第2下部電極12−2と第2上部電極14−2とにより挟まれたエミッタ部13は、第2の素子を構成している。更に、第3下部電極12−3、第3上部電極14−3及び第3下部電極12−3と第3上部電極14−3とにより挟まれたエミッタ部13は、第3の素子を構成している。このように、電子放出装置10は、複数の独立した電子放出素子を備えていることになる。
絶縁層15は、エミッタ部13の上面の上に、複数の上部電極14の間を埋めるように形成されている。絶縁層15の厚み(Z軸方向長さ)は、上部電極14の厚み(Z軸方向長さ)より僅かだけ大きくなっている。図1及び図2に示したように、絶縁層15のX軸及びY軸方向端部は、上部電極14のX軸方向両端部及びY軸方向両端部の上に配置されている。
集束電極16は、導電性物質(ここでは、銀)からなり、絶縁層15の上に層状に形成されている。図3に示したように、各集束電極16の平面視における形状はY軸方向に長手方向を有する帯状である。互いに隣接する二つの集束電極16は、平面視においてX軸方向にて互いに隣接する上部電極14の間(X軸方向に互いに隣接している素子の各上部電極の間であって、各上部電極の斜め上方、即ち、電子放出方向に僅かに離間した位置)に形成されている。総ての集束電極16は、図示しない導体からなる層により接続されている。
なお、図1及び図3において、符合16−1、16−2及び16−3が付された集束電極16は、便宜上、第1集束電極、第2集束電極及び第3集束電極とそれぞれ称呼される。この称呼方法を利用すると、第2集束電極16−2は第1の素子の第1上部電極14−1と第2の素子の第2上部電極14−2との間であって、第1上部電極14−1及び第2上部電極14−2の斜め上方に形成されていると言える。同様に、第3集束電極16−3は第2の素子の第2上部電極14−2と第3の素子の第3上部電極14−3との間であって、第2上部電極14−2及び第3上部電極14−3の斜め上方に形成されていると言える。
この電子放出装置10は、ディスプレイに適用されていて、更に、透明板17、コレクタ電極(コレクタ電極層)18及び蛍光体19を備えている。
透明板17は、透明な材質(ここでは、ガラス又はアクリル製)からなっていて、上部電極14の上方(Z軸方向)に所定の距離だけ離れた位置に形成されている。透明板17は、その上面及び下面がエミッタ部13の上面及び上部電極14の上面と平行(X−Y平面内)となるように配設されている。
コレクタ電極18は、導電性物質(ここでは、透明導電膜,ITO)からなっていて、透明板17の下面全体に層状に形成されている。
蛍光体19のそれぞれは、電子の衝突により赤、緑及青色の何れかの光を発するようになっている。各蛍光体19は、平面視において各上部電極14と略同一の形状を備え、各上部電極14と重なる位置に配設されている。図1において、符合19R、19G及び19Bが付された蛍光体19は、赤色、緑色及び青色をそれぞれ発光するようになっている。従って、本例においては、赤色蛍光体19Rは第1上部電極14−1の直上部(Z軸正方向)に位置し、緑色蛍光体19Gは第2上部電極14−2の直上部に位置し、青色蛍光体19Bは第3上部電極14−3の直上部に位置している。なお、エミッタ部13、上部電極14、絶縁層15、集束電極16及び透明板17(コレクタ電極18)により囲まれた空間は略真空(10〜10−6Paが好ましく、より好ましくは10−3〜10−5Pa)に維持されている。
換言すると、透明板17及びコレクタ電極18は、図示しない電子放出装置10の側壁部とともに密閉空間を形成する空間形成部材を構成している。そして、この密閉空間は略真空に維持されている。従って、電子放出装置10の素子(少なくとも各素子のエミッタ部13の上部と上部電極14)は、空間形成部材により略真空状態に維持されている密閉空間内に配置されていることになる。
加えて、電子放出装置10は、図1に示したように、電子放出制御回路(電位差付与手段)21と、集束電極電位付与回路(集束電極電位付与手段)22と、コレクタ電位付与回路(コレクタ電位付与手段)23と、を備えている。
電子放出制御回路21は、各上部電極14及び各下部電極12に接続されていて、互いに対向する上部電極14と下部電極12との間にパルス状に変化する電位差(後述)を付与するようになっている。集束電極電位付与回路22は、集束電極16に接続されていて、集束電極16に一定の負の電位(電圧)Vsを常に付与するようになっている。コレクタ電位付与回路23は、コレクタ電極18に接続されていて、正の電位(電圧)Vcを付与するようになっている。
(作動原理)
次に、上記のように構成された電子放出装置10の作動原理について説明する。
先ず、図6に示したように、上部電極14と下部電極12との間に電位差Vdifが生じておらず、且つ、エミッタ部13の双極子の負極がエミッタ部13の上面(Z軸正方向、即ち、上部電極14側)に向いた状態となっている場合から説明する。この状態は、図7に示したグラフ上の点p1の状態である。図7のグラフは、横軸に上部電極14と下部電極12との間の電位差(下部電極12の電位を基準とした上部電極14の電位)Vdifをとり、縦軸に上部電極14近傍部分の電荷Qをとったエミッタ部13の電圧−分極特性のグラフである。
次に、電子放出制御回路21は、電位差Vdifを負の方向に大きくして行く。これにより、電位差Vdifが負の抗電圧V1となる点p2の近傍にて双極子の向きが反転し始める。即ち、図8に示したように、分極反転が開始する。この分極反転により、エミッタ部13の上面と、上部電極14と、これらの周囲の媒質(この場合、真空)との接触箇所(トリプルジャンクション)及び/又は上部電極14の先端部分において電界が大きくなり(電界集中が発生し)、図9に示したように、上部電極14からエミッタ部13に向けて電子が放出される。
この放出された電子は、主としてエミッタ部13の上部であって上部電極14の微細貫通孔14aから露呈している部分の近傍及び微細貫通孔14aを形成している上部電極14の端部近傍(以下、単に「微細貫通孔14a近傍」とも言う。)に蓄積される。その後、電子放出制御回路21は、電位差Vdifを負の方向に更に大きくして行く。この結果、電子の蓄積が進行し、やがて同電子の蓄積が進行しない状態(電子の蓄積飽和状態)に到る。係る状態が、図7の点p3の状態である。
次に、電子放出制御回路21は、電位差Vdifの大きさを小さくし(0に近づけ)、更に、正の方向に大きくして行く。この場合、電位差Vdifの値が図7の点p4での電位差よりも小さい場合、図10に示したように、エミッタ部13の帯電状態が維持される。その後、電子放出制御回路21は、電位差Vdifの大きさを更に正の方向に大きくして行く。これにより、双極子の負極がエミッタ部13の上面側に向き始める。即ち、図11に示したように、分極が再び反転する。係る状態が図7の点p4近傍の状態である。
その後、電子放出制御回路21は、電位差Vdifを正の方向に大きくして行く。これにより、負極がエミッタ部13の上面側に反転した双極子の数が多くなる。この結果、図12に示したように、クーロンの反発力により微細貫通孔14aの近傍に蓄積されていた電子が微細貫通孔14aを通って上方(Z軸正方向)に放出され始める。
そして、電子放出制御回路21は、電位差Vdifの大きさを更に正の方向に大きくして行く。これにより、図7の点p5を越える領域から分極の再反転が一層進行し、且つ、電子の放出量が増大する。この結果、蓄積されていた電子の殆どが放出される。係る状態が図7の点p6の状態である。その後、電子放出制御回路21は、電位差Vdifの大きさを負の方向に向けて小さくして行き、エミッタ部13の状態を当初の図9に示した状態(図7の点p1の状態)へと復帰させる。以上が、電子放出時の作動原理である。
なお、電子放出制御回路21は、電子放出を行うべき上部電極14に対してのみ電位差Vdifを負の値とし、電子放出を行う必要のない上部電極14に対しては電位差Vdifを「0」の値に維持し、その後、総ての上部電極14に対して電位差Vdifを正の大きな値に変化させることにより、電位差Vdifが負の値とされていた上部電極14の微細貫通孔14aのみから電子を放出させるようになっている。従って、電子放出を行う必要のない上部電極14近傍のエミッタ部13内では分極反転が発生しない。
ところで、電子が上部電極14の微細貫通孔14aを通して放出されるとき、図13に示したように、電子は次第に広がりながら(コーン状に)Z軸正方向に進行する。この結果、従来の装置においては、一つの上部電極14(例えば、第2上部電極14−2)から放出された電子が、その上部電極14の直上に存在する蛍光体(例えば、緑色蛍光体19G)に到達するのみでなく、隣接する蛍光体(赤色蛍光体19R及び青色蛍光体19B)にも到達してしまう場合があった。このような状態が発生すると、色純度が低下して画像の鮮明さが低下する。
これに対し、本実施形態に係る電子放出装置10は負の電位が付与される集束電極16を備えている。この集束電極16は、隣接する上部電極14の間(隣接する素子の各上部電極の間)であって、上部電極14よりも若干だけ上方の位置に配設されている。従って、図14に示したように、上部電極14の微細貫通孔14aから放出された電子は、集束電極16によりもたらされる電界によって広がることなく実質的に直上方向に放出される。換言すると、電子の速度は、Z軸正方向成分を含み、Y軸方向及びX軸方向の成分を殆ど有さない。この結果、第1上部電極14−1から放出された電子は赤色蛍光体19Rのみに到達し、第2上部電極14−2から放出された電子は緑色蛍光体19Gのみに到達し、第3上部電極14−3から放出された電子は青色蛍光体19Bのみに到達する。従って、ディスプレイの色純度が低下することなく、より鮮明な画像を得ることができる。
(電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の具体的構成及び作動)
次に、電子放出制御回路21及び集束電極電位付与回路22の具体的構成及び作動について説明する。
電子放出装置10は、図15に示したように、前述した電子放出制御回路21及び集束電極電位付与回路22に加え、信号制御回路100と、電源回路110とを備えている。電子放出制御回路21は、行選択回路21a、パルス発生源21b及び信号供給回路21cを備えている。図15において、符合D11、D12、…D22、D23などが付されたものは、それぞれ、前述した一つの素子(上部電極14と下部電極12とが重なった部分により構成される電子放出素子)を示している。また、この例における電子放出装置10は、行方向にn個、列方向にm個の素子を備えている。
行選択回路21aは、信号制御回路100の制御信号線100aと、電源回路110の正極ライン110p及び負極ライン110mとに接続されている。行選択回路21aは、更に、複数の行選択線LLと接続されている。行選択線LLのそれぞれは一群をなす複数の素子の下部電極12と接続されている。例えば、行選択線LL1は素子D11、D12、D13、…D1mの各下部電極12と接続され、行選択線LL2は素子D21、D22、D23、…D2mの各下部電極12と接続されている。
行選択回路21aは、信号制御回路100からの制御信号に応答して行選択線LLの一つに対し一定の期間(行選択時間)Tsだけ選択信号Ss(ここでは、50Vの電圧信号)を出力し、残りの行選択線LLに非選択信号Sn(ここでは、0Vの電圧信号)を出力するようになっている。行選択回路21aは、選択信号Ssを出力する行選択線LLを、一定の行選択時間Ts毎に順次変更して行くようになっている。
パルス発生源21bは、電荷蓄積期間Tdにおいて基準電圧(ここでは、0V)を発生するとともに、発光期間(電子放出期間)Thにおいて所定の一定電圧(ここでは、−400V)を発生するようになっている。パルス発生源21bは、電源回路110の負極ライン110mとグランド(GND)との間に接続さている。
信号供給回路21cには、信号制御回路100の制御信号線100bと、電源回路110の正極ライン110p及び負極ライン110mと、が接続されている。信号供給回路21cは、内部に、パルス生成回路21c1と振幅変調回路21c2とを備えている。
パルス生成回路21c1は、電荷蓄積期間Tdにおいて一定のパルス周期で一定の振幅(ここでは、50V)を有するパルス信号Spを出力するとともに、発光期間Thにおいて基準電圧(ここでは、0V)を出力するようになっている。
振幅変調回路21c2は、パルス生成回路21c1からのパルス信号Spを入力するように、パルス生成回路21c1と接続されている。また、振幅変調回路21c2は、複数の画素信号線ULと接続されている。画素信号線ULのそれぞれは一群をなす複数の素子(同一列上の素子)の上部電極14と接続されている。例えば、画素信号線UL1は一群をなす素子(第1列の素子)D11、D21、…Dn1の各上部電極14と接続され、行選択線LL2は一群をなす素子(第2列の素子)D12、D22、…Dn2の各上部電極14と接続され、行選択線LL3は一群をなす素子(第3列の素子)D13、D23、…Dn2の各上部電極と接続されている。
振幅変調回路21c2は、電荷蓄積期間Tdにおいてパルス信号Spを選択されている行の画素の輝度レベルに応じて振幅変調し、その振幅変調した信号(ここでは、0、30、50Vの何れかの電圧信号)を画素信号Sdとして複数の画素信号線UL(UL1、UL2、…ULm)に出力するようになっている。更に、振幅変調回路21c2は、発光期間Thにおいて、パルス生成回路21c1が発生する基準電圧(0V)をそのまま出力するようになっている。
信号制御回路100は、映像信号Sv及び同期信号Scを入力し、これらの入力信号に基づいて行選択回路21aを制御する信号及び信号供給回路21cを制御する信号を、線100a及び信号線100bにそれぞれ出力するようになっている。
電源回路110は、正極ライン110bの電位を負極ライン110mの電位よりも一定電圧(ここでは50V)だけ高くするための電圧信号を正極ライン110b及び負極ライン110mに出力するようになっている。
集束電極電位付与回路22は、総ての集束電極16を接続する接続線SLと接続されている。集束電極電位付与回路22は、この接続線SLにグランドに対する電位Vs(例えば−50V)を付与するようになっている。
次に、このように構成された回路の作動について説明する。先ず、ある時点において、行選択回路21aは、信号制御回路100からの制御信号に基づいて第1行の行選択線LL1に選択信号Ss(50V)を出力し、他の行選択線LLに非選択信号Sn(0V)を出力する。これにより、第1行の素子D11、D12、D13、…D1mの各下部電極12の電位が選択信号の電圧(50V)となる。また、他の素子(例えば、第2行の素子D21…D2m、第3行の素子D31…D3m)の各下部電極12の電位は非選択信号の電圧(0V)となる。
このとき、信号供給回路21cは、信号制御回路100からの制御信号に基づいて、選択されている行の素子(即ち、第1行の素子D11、D12、D13、…D1m)により構成される各画素の輝度レベルに応じた画素信号Sd(ここでは、0、30、50Vの何れかの電圧信号)を複数の画素信号線UL(UL1、UL2、…ULm)に出力する。
この場合、例えば、画素信号線UL1に0Vの画素信号Sdが付与されたと仮定すると、素子D11の上部電極14の下部電極12に対する電位差Vdif(D11)は−50Vとなる。これにより、非常に多くの電子が素子D11の上部電極14近傍のエミッタ部13に蓄積される。また、画素信号線UL2に30Vの画素信号Sdが付与されたと仮定すると、素子D12の上部電極14の下部電極12に対する電位差Vdif(D12)は−20V(=30V−50V)となる。
これにより、素子D11よりは少ない電子が素子D12の上部電極14の近傍のエミッタ部13に蓄積される。更に、画素信号線UL3に50Vの画素信号Sdが付与されたと仮定すると、素子D13の上部電極14の下部電極12に対する電位差Vdif(D13)は0V(=50V−50V)となる。従って、素子D13のエミッタ部13には電子が蓄積されない。素子D13のエミッタ部13には分極反転が発生しない。
次いで、行選択期間Tsが経過すると、行選択回路21aは、信号制御回路100からの制御信号に基づいて第2行の行選択線LL2に選択信号Ss(50V)を出力し、他の行選択線に非選択信号Sn(0V)を出力する。これにより、第2行の素子D21、D22、D23、…D2mの各下部電極12の電位が選択信号Ssの電圧(50V)となる。また、他の素子(例えば、第1行の素子D11…D1m、第3行の素子D31…D3m)の各下部電極12の電位は非選択信号Snの電圧(0V)となる。
このとき、信号供給回路21cは、信号制御回路100からの制御信号に基づいて、選択されている行の素子(即ち、第2行の素子D21、D22、D23、…D2m)のそれぞれにより構成される各画素の輝度レベルに応じた画素信号Sd(0、30、50Vの何れかの電圧信号)を複数の画素信号線UL(UL1、UL2、…ULm)に出力する。この結果、第2行の素子D21、D22、D23、…D2mの各エミッタ部に、画素信号Sdに応じた量の電子が蓄積されて行く。
更に、行選択期間Tsが経過すると、行選択回路21aは、第3行の行選択線LL3(図示省略)に選択信号Ss(50V)を出力するとともに、他の行選択線に非選択信号Sn(0V)を出力する。また、信号供給回路21cは、選択されている第3行の素子のそれぞれにより構成される各画素の輝度レベルに応じた画素信号Sdを複数の画素信号線ULに出力する。このような動作が、行選択時間Tsの経過毎に総ての行が選択されるまで繰り返される。この結果、すべての素子のエミッタ部13に、各素子が構成する画素の輝度レベルに応じた量(「0」を含む量)の電子が蓄積される。以上が、電荷蓄積期間Tdにおける作動である。
次いで、行選択回路21aは、発光期間Thの間、総ての行選択線LLに対して大きな負の電圧(ここでは、電源回路110の発生する+50Vとパルス発生源21bが発生する−400Vの差である−350V)を印加する。これにより、総ての素子の下部電極12の電位は大きな負の電圧(−350V)となる。同時に、信号供給回路21cは、振幅変調回路21c2を介してパルス生成回路21c1が発生する基準電圧(0V)をそのまま総ての画素信号線ULに出力する。これにより、総ての素子の上部電極14の電位は基準電圧(0V)となる。
この結果、総ての素子の上部電極14の下部電極12に対する電位差Vdifは大きな正の電圧(350V)となるので、分極が再び反転し、それぞれの素子のエミッタ部13に蓄積されていた電子はクーロン反発力によって一斉に放出させられる。これにより、各素子の上部に位置する蛍光体が発光し、画像が表示される。なお、電荷蓄積期間Tdにおいて電位差Vdifが「0」とされることにより電子を蓄積していなかった素子のエミッタ部においては、分極反転が発生していないので、電位差Vdifが大きな正の電圧となったときも分極反転は発生しない。従って、例えば、あるタイミングにおいて画像の関係から電子を放出する必要の無い素子は、分極反転に伴う無駄な電力を消費することがない。
また、上述したように、各集束電極には所定の電位(Vs)が与えられているから、各素子の上部電極14から放射された電子は各上部電極14の上部に存在する蛍光体のみに照射される。この結果、鮮明な画像が提供される。
次に、上記第1実施形態に係る電子放出装置の各変形例が適用されたディスプレイについて説明する。なお、以下の各変形例において特に言及していない点は上記第1実施形態と同一である。また、この変形例は、後述する本発明に係る他の電子放出装置にも同様に適用される。
(第1実施形態の第1変形例)
この第1変形例は、平面図である図16に示したように、一つの画素PX内に3つの異なる色を発するための上部電極14(第1上部電極14−1,第2上部電極14−2,第3上部電極14−3)をX軸方向に沿って順に備えている。また、第1変形例は、上記実施形態と同様、第1上部電極14−1の直上に赤色蛍光体、第2上部電極14−2の直上に緑色蛍光体、第3上部電極14−3の直上に青色蛍光体(いずれも図示せず)を備えている。そして、各画素PXの第1上部電極14−1、第2上部電極14−2及び第3上部電極14−3は、それぞれY軸方向に整列している。これにより、第1変形例の電子放出装置が適用されたディスプレイは、所謂「縦ストライプ」の画面を構成するようになっている。更に、第1変形例においては、集束電極16が、平面視において互いにX軸方向において隣接する上部電極の間のみに形成されている。
従って、第1変形例によれば、上記実施形態と同様、ある素子の上部電極14から放出された電子はX軸方向において隣接する他の素子の上部電極14上方にある蛍光体に到達しないので、色純度が低下しない。従って、第1変形例は、鮮明な画像を得ることができる。なお、Y軸方向において互いに隣接する他の素子の上部電極間には集束電極16が形成されていないので、ある素子の上部電極14から放出された電子はY軸方向において隣接する他の素子の上部電極14の上方にある蛍光体に到達し、同蛍光体を発光させる場合がある。しかしながら、この場合に発光される色は同色であるので、色純度の低下は発生しない。
(第1実施形態の第2変形例)
次に、本発明による電子放出装置の第2変形例が適用されたディスプレイについて図17を参照しながら説明する。この第2変形例は、集束電極16が、平面視において互いにX軸方向において隣接する上部電極14の間のみだけでなく、Y軸方向において互いに隣接する上部電極14の間にも形成されている点のみにおいて、第1変形例と相違している。
この第2変形例においては、第1変形例と同様に、ある素子の上部電極14から放出された電子はX軸方向において隣接する他の素子の上部電極14の上方にある蛍光体に到達しない。従って、第2変形例は、色純度を良好に維持することができる。更に、第2変形例においては、Y軸方向において互いに隣接する二つの素子の各上部電極14の間にも集束電極16が形成されているので、ある上部電極14から放出された電子はY軸方向において隣接する上部電極14の上方にある蛍光体にも到達しない。この結果、画像パターンがにじむことを回避することができる。
(第1実施形態の第3変形例)
次に、本発明による電子放出装置の第3変形例が適用されたディスプレイについて説明する。この第3変形例は、平面図である図18に示したように、一つの略正方形の画素PX内に4つの素子(従って、4つの上部電極14である第1上部電極14−1,第2上部電極14−2,第3上部電極14−3,第4上部電極14−4)と、集束電極16とを備えている。これらの上部電極14のそれぞれの平面視における形状は、一つの画素PXを4個に分割して形成された小さな正方形である。
第1上部電極14−1は、一つの画素PX内の4つの上部電極14の重心を原点にとったx−y座標を考えると、第1象限内に形成されている。第1上部電極14−1の直上には図示しない緑色蛍光体が配設されている。第2上部電極14−2は、第2象限内に形成されている。第2上部電極14−2の直上には図示しない赤色蛍光体が配設されている。第3上部電極14−3は、第3象限内に形成されている。第3上部電極14−3の直上には図示しない青色蛍光体が配設されている。第4上部電極14−4は、第4象限内に形成されている。第4上部電極14−4の直上には図示しない赤色蛍光体が配設されている。集束電極16は、各上部電極14を取り囲むように各上部電極14の周囲に形成されている。
このように、「縦ストライプ」ではない画素PXの場合には、集束電極16によって各上部電極14を取り囲むことが好適である。これによれば、ある素子の上部電極14から放出された電子はその上部電極14の直上に配置された蛍光体のみに到達するから、色純度を良好に維持するとともに画像パターンのにじみを回避することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子放出装置30について図19乃至図22を参照しながら説明する。図19は電子放出装置30の部分平面図であり、図20、図21及び図22は、それぞれ図19の3−3線、4−4線及び5−5線に沿った平面にて電子放出装置30を切断した断面図である。なお、図19において、透明板、コレクタ電極及び蛍光体は省略されている。また、これらの図面において、電子放出装置10と同一構成部分には同一符号を付している。
この電子放出装置30は、下部電極32、エミッタ部33及び上部電極34を備えてなる完全に独立した素子を基板11上に配列し、各素子の間を絶縁体35で満たし、且つ、その絶縁体35の上面であってX軸方向において互いに隣接する素子の各上部電極34の間に集束電極36を形成した点において電子放出装置10と相違している。
より具体的に述べると、図20に図示した第1素子A1は、第1下部電極32−1、第1エミッタ部33−1及び第1上部電極34−1からなっている。同様に、第2素子A2は、第2下部電極32−2、第2エミッタ部33−2及び第2上部電極34−2からなり、第3素子A3は、第3下部電極32−3、第3エミッタ部33−3及び第3上部電極34−3からなっている。
下部電極32のそれぞれは、基板11の上面の上に層状に形成されている。各下部電極32の平面視における形状は、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ沿った短辺及び長辺を有する長方形である。複数の下部電極32は、平面視においてマトリクス状に配置されている。
エミッタ部33のそれぞれは、X軸、Y軸及びZ軸に沿った辺を有する直方体であり、基板11及び下部電極32の上面に形成されている。各エミッタ部33は各下部電極32を覆うように形成されている。
上部電極34のそれぞれは、エミッタ部33のそれぞれの上に層状に形成されている。各上部電極34の平面視における形状は、各下部電極32と同一である。各上部電極34は、平面視において各下部電極32と重なる(一致する)ように配置されている。
絶縁体35のそれぞれは、互いに隣接するエミッタ部33の間に形成された空間及び互いに隣接する上部電極36の間に形成された空間を満たすように形成されている。絶縁体35の上面は、X−Y平面に平行であり、上部電極34よりも僅かだけ高くなっている。各絶縁体35は、各上部電極34のX軸方向両端部及びY軸方向両端部の上部にまで形成されている。換言すると、各上部電極34の上面は、各絶縁体35に覆われた端部を除き上方に露呈している。
集束電極36は、絶縁体35の上に層状に形成されている。図19に示したように、各集束電極36の平面視における形状はY軸方向に長手方向を有する帯状である。各集束電極36は、平面視においてX軸方向にて互いに隣接する上部電極34の間に形成されている。
この電子放出装置30は、電子放出装置10と同様にディスプレイに適用されていて、透明板17、コレクタ電極18及び蛍光体19(19R,19G,19B)を備えている。図20に示したように、赤色蛍光体19Rは第1素子A1の第1上部電極34−1の直上部に位置し、緑色蛍光体19Gは第2素子A2の第2上部電極34−2の直上部に位置し、青色蛍光体19Bは第3素子A3の第3上部電極34−3の直上部に位置している。
また、電子放出装置30の電子放出制御回路(図示省略)は、各素子の下部電極32と上部電極34との間に上記電位差Vdifを他の素子とは独立して付与できるようになっている。
このように構成された電子放出装置30は、各素子から独立したタイミングにて或いは同時に電子を放出することができる。このとき、電子放出装置30は、X軸方向において互いに隣接する素子の各上部電極34間に集束電極36を備えているから、ある上部電極34から放出された電子はX軸方向において隣接する上部電極34の上方にある蛍光体に到達しない。この結果、電子放出装置40を用いたディスプレイにおいては、色純度が低下しない。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電子放出装置40について図23乃至図25を参照しながら説明する。図23は電子放出装置40の部分平面図であり、図24は図23の6−6線に沿った平面にて電子放出装置40を切断した断面図である。なお、図23において、透明板、コレクタ電極及び蛍光体は省略されている。図25は、上部電極の上面に沿った平面にて切断した断面図(図24の7−7線に沿った平面にて電子放出装置40を切断した断面図)である。これらの図面において、電子放出装置10と同一構成部分には同一符号を付している。
この電子放出装置40は、基板11、下部電極42、エミッタ部43、上部電極44、絶縁層45及び集束電極46を備えている。
下部電極42は、第1実施形態に係る電子放出装置10の下部電極12と同様に形成されている。即ち、下部電極42は基板11の上に層状に形成されている。特に、図25に示したように、下部電極42の平面視における形状はY軸方向に長手方向を有する幅狭帯状である。各下部電極42は、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れた位置に形成されている。エミッタ部43は、第1実施形態に係る電子放出装置10のエミッタ部13と同一構造を有している。
上部電極44は、エミッタ部43の上面に層状に形成されている。上部電極44の平面視における形状はX軸方向に長手方向を有する帯状である。各上部電極44は、互いにY軸方向に所定の距離だけ離れた位置に形成されている。
絶縁層45は、上部電極44の上面及びY軸方向において互いに隣接する上部電極44の間に露呈しているエミッタ部13の上面に形成されている。絶縁層45は、平面視において上部電極44と下部電極42とが重なる部分の上部電極44を長方形状に上部に露呈させる窓部(穴)45aを備えている。
集束電極46は、絶縁層45の上面に層状に形成されている。集束電極46の平面視における形状はY軸方向に長手方向を有する帯状である。各集束電極46は、平面視においてX軸に沿って互いに隣接する上部電極44の間に配置されている。
また、電子放出装置40の電子放出制御回路(図示省略)は、任意の下部電極42を選択して電位を付与し、且つ、任意の上部電極44を選択して所定の電位を付与できるようになっている。これにより、電子放出回路は、任意の下部電極42と任意の上部電極44との間に上記電位差Vdifを付与できるようになっている。
このように構成された電子放出装置40は、一つの下部電極42、一つの上部電極44及びこれらの下部電極42と上部電極44とに挟まれた部分に存在するエミッタ部43の部分とで一つの電子放出素子を構成している。例えば、下部電極42−1と、上部電極44−2と、下部電極42−1と上部電極44−2との間に存在するエミッタ部43(図24において符合E1にて示す部分)とにより、電子放出素子B1が構成されている。そして、電子放出装置40は、このように構成された各素子から電子を上方に放出する。
このとき、電子放出装置40は、X軸方向において互いに隣接する素子の各上部電極44の間に集束電極46を備えているから、ある上部電極44から放出された電子はX軸方向において隣接する上部電極44の上方にある蛍光体に到達しない。この結果、電子放出装置40を用いたディスプレイにおいては、色純度が低下しない。
<集束電極の電位設定に関する変形例>
次に、集束電極に対する電位付与方法の変形例(以下、「回路変形例」という。)について説明する。図26は、先に説明した電子放出制御回路21及び集束電極電位付与回路22の基本的態様を示した図である。以下の変形例は、図26に示した下部電極12、上部電極14及び集束電極16にそれぞれ接続された接続点A,B及びCへの接続方法及び/又は回路が上記各実施形態から変更されたものである。なお、以下に述べる回路において、接続点A又は接続点Bを接地してもよく、接続点A又は接続点Bをインピーダンスを介して接地してもよい。
(第1回路変形例)
第1回路変形例は、図27に示したように、集束電極電位付与回路22の正極を接続点Bに接続したものである。これにより、集束電極16には上部電極14に対して常に一定の電位差Vsが付与される。
(第2回路変形例)
第2回路変形例は、図28に示したように、発生電圧を時間的に変化させることができる駆動回路24を接続点Bに接続したものである。これにより、集束電極16には上部電極14に対して時間的に変化する電位差Vs(t)が付与される。従って、例えば、電子を放出させて蛍光体19を発光させる期間(点灯期間、発光期間)よりも、電子を放出させないで蛍光体19の発光を行わない期間(消灯期間)において、電位差Vs(t)を大きさがより大きい負の電圧とすることができる。これにより、消灯期間において不要な電子の放出を抑制できるので、画像のコントラストをより改善することができる。
(第3回路変形例)
第3回路変形例は、図29に示したように、発生電圧を時間的に変化させることができる駆動回路25をグランドに接続(接地)したものである。即ち、第3変形例においては、図26に示した集束電極付与回路22の定電圧源が駆動回路25に置換されている。これにより、集束電極16には時間的に変化する電位Vs(t)が付与される。従って、第2回路変形例と同様、例えば、消灯期間において点灯期間よりも大きさがより大きい負の電圧を集束電極16に付与することができる。これにより、消灯期間において不要な電子の放出を抑制できるので、画像のコントラストをより改善することができる。
(第4回路変形例及び第5回路変形例)
第4回路変形例の集束電極付与回路26は、図30に示したように、定電圧発生源26a、スイッチ(スイッチング素子)26b、抵抗26c及びスイッチ制御回路26dを備えている。定電圧発生源26aは電圧Vsを発生するようになっている。定電圧発生源26aとスイッチ26bと抵抗26cとは直列接続されている。この例では、定電圧発生源26aの正極が接地され、抵抗26cが接続点Cに接続されている。
スイッチ制御回路26dはスイッチ26bのオン・オフ状態を制御し得るように構成されている。より具体的には、スイッチ制御回路26dは、上記電位差Vdifを負の電位としてエミッタ部13に電子を蓄積させるとき、スイッチ26bをオフ状態とする(開く)ようになっている。これにより、集束電極16はフローティング状態となる。また、スイッチ制御回路26dは、上記電位差Vdifを正の電位として上部電極14の微細貫通孔14aを介して電子を放出するとき、スイッチ26bをオン状態とする(閉じる)ようになっている。従って、電子放出時には集束電極16に第1実施形態(図26)及び第1回路変形例(図27)と同様な所定の電位Vsが付与されるので、放出された電子は広がることなく上部電極14の上方へ進行する。
第5回路変形例は、図31に示したように、第4回路変形例にて説明した集束電極付与回路26の定電圧発生源26aの正極を接続点Bに接続し、抵抗26cを接続点Cに接続したものである。
ところで、第4,第5回路変形例において、上記電位差Vdifを負の電位に変化させてエミッタ部13に電子を蓄積させようとするとき、スイッチ26bがオン状態となっていると、上部電極14と集束電極16との間の電位が変化することにともなって、上部電極14と集束電極16との間の容量結合に基づく過渡的な電流が上部電極14と集束電極16との間に流れ、無駄な電力が消費される。これに対し、第4及び第5変形例においては、電位差Vdifを負の電位に変化させてエミッタ部13に電子を蓄積させようとするとき、スイッチ26bがオフ状態とされて集束電極16がフローティング状態となっているから、上部電極14と集束電極16との間に電流が流れることはなく、従って、無駄な電力消費が回避される。
(第6回路変形例)
第6回路変形例の集束電極付与回路27は、図32に示したように、定電圧発生源27a、スイッチ(スイッチング素子)27b、抵抗27c及びスイッチ制御回路27dを備えている。定電圧発生源27aは電圧Vshを発生するようになっている。定電圧発生源27aとスイッチ27bと抵抗27cとは直列接続されている。この例では、定電圧発生源27aの負極が接続点Aに接続され、抵抗27cが接続点Cに接続されている。スイッチ制御回路27dは、上記スイッチ制御回路26dと同様に動作し、スイッチ素子27bのオン・オフ状態を制御するようになっている。
これによれば、電子が放出されるとき、集束電極16の電位は下部電極12に対して+Vshだけ高い電位V1となる。このとき、電圧Vshは、電位V1が電子放出時の電位差Vdifより小さくなるように設定されている。この結果、集束電極16の電位は上部電極14の電位よりも低い電位となるから、上記各実施形態と同様に、放出された電子は広がることなく上部電極14の上方へ進行する。この場合、スイッチ27bは、Vshという正電位のスイッチングを行うので、例えば、半導体リレーをスイッチに用いる場合、部品の選択の幅が広がるとともに、一般に、耐圧が高くできる効果がある。
また、スイッチ制御回路27dは、上記第4,第5回路変形例と同様、電位差Vdifを負の電位に変化させてエミッタ部13に電子を蓄積させようとするとき、スイッチ27bをオフ状態とし、集束電極16をフローティング状態とする。従って、上部電極14と集束電極16との間に電流が流れることはなく、従って、無駄な電力消費が回避される。
以上、説明したように、集束電極には様々な態様で電位を付与することができる。上述した回路変形例において、共通な事項の一つは、一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子が放出される期間は、その一つの素子の上部電極の電位よりも低い電位を集束電極に付与している状態を維持するように構成されていることである。この場合、集束電極に隣接する二つの素子の何れかから電子が放出されているならば、その電子を放出している側の素子の上部電極の電位よりも低い電位を集束電極に付与することにより、少なくとも、その素子から放射される電子を狙いとする位置に到達させることができる。
また、図26及び図27に示したように、常に一定の電圧(電位)を前記集束電極に付与してもよい。これによれば、集束電極に電位を付与するための集束電極電位付与手段の回路構成を簡素化することができる。
これに対し、図28及び図29に示したように、時間とともに変化する電圧(電位)を集束電極に付与してもよい。これによれば、例えば、上部電極の微細貫通孔から電子を放出しない期間において、同微細貫通孔から電子を放出する期間より、大きさが大きい負の電位を集束電極に付与することができ、不要な電子の放出を抑制することができる。
更に、図27、図28に示したように、一つの素子の上部電極に対する電位差を集束電極に付与してもよい。これによれば、集束電極の電位は、電位が変動する上部電極に対して所定の電位差を有することになるので、電子を広がることなく上部電極の上方向に進行せしめる電界を安定して精密に発生させることができる、。
更に、図30、図31及び図32に示したように、一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させて電子を同エミッタ部に蓄積している期間に集束電極をフローティング状態に維持し、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させている期間に集束電極に所定の電位を付与してもよい。
これにより、集束電極と上部電極との間、或いは、集束電極と下部電極との間の容量結合によって生じる無駄な電力消費を回避することができる。
<透明板、蛍光体及びコレクタ電極の変形例>
次に、コレクタ電極18の変形例について、図33を参照しながら説明する。
この変形例においては、透明板17の裏面(上部電極14と対向する面)に蛍光体19’が形成され、蛍光体19’を覆うようにコレクタ電極18’が形成されている。コレクタ電極18’は、エミッタ部13から上部電極14の微細貫通孔14aを通して放出された電子が貫通できる程度の厚さを有するように形成されている。この場合、コレクタ電極18’の厚さは100nm以下であることが望ましい。コレクタ電極18’の厚さは、放出された電子の運動エネルギーが大きいほど大きくすることができる。
この変形例の構成は、CRT等に採用される構成である。コレクタ電極18’はメタルバックとして機能する。エミッタ部13から上部電極14の微細貫通孔14aを通して放出された電子はコレクタ電極18’を貫通して蛍光体19’に進入し、蛍光体19’を励起し、発光を生ぜしめる。この変形例は、以下の効果を奏することができる。
(a)蛍光体19’が導電性でない場合、蛍光体19’が帯電(負に帯電)することを回避することができる。この結果、電子を加速させる電界を維持することができる。
(b)コレクタ電極18’が蛍光体19’が発生した光を反射するので、その光を効率よく透明板17側(発光面側)に放出させることができる。
(c)蛍光体19’への過度の電子の衝突を防ぐことができるので、蛍光体19’の劣化や蛍光体19’からガスが発生することを回避することができる。
<各構成部材の材料例及び製法例>
次に、上記各電子放出装置の構成部材の材料及び製法例について説明する。
(下部電極)
下部電極には、上述したように導電性を有する物質(例えば、白金、モリブデン、タングステン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属導体)が使用される。以下、下部電極に好適な物質を列挙する。
(1)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体(例えば、金属単体又は合金)
例)白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属
例)銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするもの
(2)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する絶縁性セラミックスと金属単体との混合物
例)白金とセラミック材料とのサーメット材料
(3)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する絶縁性セラミックスと合金との混合物
(4)カーボン系、又は、グラファイト系の材料
これらのうち、白金のみ又は白金系の合金を主成分とする材料が非常に好ましい。なお、電極材料中にセラミック材料を添加する場合、その添加されるセラミック材料の割合は5〜30体積%程度が好適である。また、後述する上部電極14の材料と同様な材料を用いてもよい。下部電極は、厚膜形成法により形成されることが好適である。下部電極の厚さは、好ましくは20μm以下であり、更に好ましくは5μm以下である。
(エミッタ部)
エミッタ部を構成する誘電体としては、上述したように比誘電率が比較的高い(例えば、比誘電率が1000以上)の誘電体を採用することができる。以下、エミッタ部に好適な物質を列挙する。
(1)チタン酸バリウム、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等
(2)上記(1)に記載の物質のうちの任意の物質を組み合わせたものを含有するセラミックス
(3)上記(2)に記載のセラミックスに、更に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル及びマンガン等の酸化物を添加したもの、上記(2)に記載のセラミックスにこれらの酸化物の任意の物質を組み合わせたものを添加したもの、又は、更に他の化合物を適切に添加したもの
(4)主成分が上記(1)に記載の物質を50%以上有する物質
なお、例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)とチタン酸鉛(PT)との2成分系nPMN−mPT(n,mをモル数比とする。)については、PMNのモル数比を大きくすることにより、キューリー点が低下し且つ室温での比誘電率を大きくすることができる。特に、n=0.85〜1.0及びm=1.0−nとしたnPMN−mPTは、比誘電率が3000以上となるので、エミッタ部の材料として非常に好ましい。例えば、n=0.91及びm=0.09のnPMN−mPTの室温における比誘電率は15000となり、n=0.95及びm=0.05のnPMN−mPTの室温における比誘電率は20000となる。
また、例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)及びジルコン酸鉛(PZ)の3成分系PMN−PT−PZについては、PMNのモル数比を大きくすることにより比誘電率を大きくすることができる。更に、この3成分系においては、正方晶と擬立方晶又は正方晶と菱面体晶のモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)付近の組成とすることにより、比誘電率を大きくすることができる。
例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25とすると比誘電率は5500、PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125とすると比誘電率は4500となり、このような組成のPMN−PT−PZはエミッタ部の材料として特に好ましい。
更に、絶縁性が確保できる範囲内でこれらの誘電体に白金のような金属を混入することにより、誘電率を向上させることが好ましい。この場合、例えば、誘電体に白金を重量比で20%混入させるとよい。
エミッタ部には、更に、圧電/電歪層や反強誘電体層等を用いることができる。エミッタ部に圧電/電歪層を用いる場合、その圧電/電歪層として、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等、又はこれらのいずれかの組み合わせを含有するセラミックスを挙げることができる。
当然、エミッタ部には、主成分が上記化合物を50重量%以上含有するものを使用することができる。また、前記セラミックスのうち、ジルコン酸鉛を含有するセラミックスは、エミッタ部を構成する圧電/電歪層の構成材料として最も頻繁に使用される。
また、圧電/電歪層をセラミックスにて構成する場合、前記セラミックスに、さらに、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物、もしくはこれらのいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を、適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。また、前記セラミックスにSiO2、CeO2、Pb5Ge311もしくはこれらのいずれかの組み合わせを添加したセラミックスを用いてもよい。具体的には、PT−PZ−PMN系圧電材料にSiO2を0.2wt%、もしくはCeO2を0.1wt%、もしくはPb5Ge311を1〜2wt%添加した材料が好ましい。
より具体的には、例えば、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、さらにランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることが好ましい。
圧電/電歪層は、緻密であっても、多孔質であってもよい。多孔質の場合、その気孔率は40%以下であることが好ましい。
エミッタ部13に反強誘電体層を用いる場合、その反強誘電体層としては、ジルコン酸鉛を主成分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするもの、更には、ジルコン酸鉛に酸化ランタンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分に対してジルコン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したものが望ましい。
反強誘電体層は、多孔質であってもよい。多孔質の場合、その気孔率は30%以下であることが望ましい。
更に、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SrBi2Ta29)は、分極反転疲労が小さいので、エミッタ部に適している。このような分極反転疲労が小さい材料は、層状強誘電体化合物で、(BiO22+(Am-1m3m+12-という一般式で表される。ここで、金属Aのイオンは、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Pb2+、Bi3+、La3+等であり、金属Bのイオンは、Ti4+、Ta5+、Nb5+等である。更に、チタン酸バリウム系、ジルコン酸鉛系、PZT系の圧電セラミックスに添加剤を加えて半導体化させることも可能である。この場合、エミッタ部13内で不均一な電界分布をもたせられるので、電子放出に寄与する上部電極との界面近傍に電界を集中させることができる。
また、圧電/電歪/反強誘電体セラミックスに、例えば鉛ホウケイ酸ガラス等のガラス成分や、他の低融点化合物(例えば酸化ビスマス等)を混ぜることによって、エミッタ部13の焼成温度を下げることができる。
また、エミッタ部を圧電/電歪/反強誘電体セラミックスで構成する場合、エミッタ部はシート状の成形体、シート状の積層体、又は、これらを他の支持用基板に積層又は接着したものから作成することができる。
また、エミッタ部に非鉛系の材料を使用すること等により、エミッタ部を融点もしくは蒸散温度の高い材料により形成すれば、電子もしくはイオンの衝突に対し損傷しにくいエミッタ部が得られる。
なお、エミッタ部は、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法、エアロゾルデポジション法等の各種厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)、めっき等の各種薄膜形成法により形成することができる。特に、圧電/電歪材料を粉末化したものを、エミッタ部として形成し、これに低融点のガラスやゾル粒子を含浸させることにより、700℃或いは600℃以下といった低温で膜を形成することができる。
(上部電極)
上部電極には焼成後に薄い膜が得られる有機金属ペースト(例えば、白金レジネートペースト等の材料)が使用される。また、上部電極の材料には、分極反転疲労を抑制する酸化物電極、或いは、分極反転疲労を抑制する酸化物電極を例えば白金レジネートペーストに混ぜた材料が好適である。分極反転疲労を抑制する酸化物電極としては、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)、La1-xSrxCoO3(例えばx=0.3や0.5)、La1-xCaxMnO3(例えばx=0.2)、La1-xCaxMn1-yCoy3(例えばx=0.2、y=0.05)等を挙げることができる。
また、上部電極に、鱗片状の物質(例えば黒鉛等)の集合体や、鱗片状の物質を含んだ導電性の物質の集合体を使用することが好適である。このような物質の集合体は、元来、鱗片と鱗片とが離間している部分を有しているので、焼成などの熱処理を経なくても、その部分を上部電極の上記微細貫通孔として使用することができる。更に、エミッタ部上に有機樹脂と金属薄膜とをこの順に層状に形成した後で焼成し、有機樹脂を燃焼させることにより金属薄膜に微細貫通孔を形成し、上部電極としてもよい。
上部電極は、上記材料を用い、スクリーン印刷、スプレー、コーティング、ディッピング、塗布、電気泳動法等の各種の厚膜形成法や、スパッタリング法、イオンビーム法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)、めっき等の各種の薄膜形成法による通常の膜形成法により形成することができる。
以上、説明したように、本発明による電子放出装置の実施形態及び変形例は、誘電体からなるエミッタ部(例えば、エミッタ部13)と、前記エミッタ部の下部に形成された下部電極(例えば、下部電極12)と、前記エミッタ部を挟んで前記下部電極に対向するように同エミッタ部の上部に形成されるとともに微細貫通孔を複数有してなり電子を放出させる必要がある場合に同下部電極に対する電位が負の電位とされた後に正の電位とされることにより同微細貫通孔を通して電子を放出させる上部電極(例えば、上部電極14)と、を有する素子を少なくとも二つ備え、同二つの素子のうちの一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差Vdifが他の一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差と独立して変更可能に構成された電子放出装置である。
即ち、電子放出装置(電子放出制御回路21)は、電子の放射が必要な箇所の素子の上部電極の下部電極に対する電位差Vdifが負の電位その後正の電位となるように、同上部電極及び同下部電極に電位差を付与する。また、電子放出装置(電子放出制御回路21)は、電子の放射が必要のない箇所の素子の上部電極には、少なくとも分極反転を発生させる電位差を付与しない(電位差Vdifを負の電位にしない)。この結果、本電子放出装置は、装置全体として消費電力量が少ない装置となっている。
更に、上記電子放出装置は、一つの素子の上部電極と他の一つの素子の上部電極との間に配設された絶縁体(例えば、絶縁層15)と、その絶縁体の上に形成され所定の電圧が付与される集束電極(例えば、集束電極16)とを備えている。この集束電極は、少なくとも電子放出時において上部電極よりも低い電位が付与されるから、集束電極は電界を発生させる。この結果、一つの素子の上部電極及びこれに集束電極を挟むように隣接する他の素子の上部電極から放出される電子は、集束電極により形成された電界により各上部電極それぞれから実質的に直上方向に向けて(コーン状に広がることなく)進行するようになる。この結果、狙いとする箇所に的確に電子を照射することが可能となる。換言すると、各上部電極の上部に配置された蛍光体間(或いは、画素間)における電子のクロストークを低減することができる。
また、集束電極を採用することにより、電子が上部電極から実質的に直上方向に放出されるから、上部電極とコレクタ電極18との距離を大きくすることができる。この結果、上部電極とコレクタ電極との間の絶縁破壊を低減或いは回避することができる。更に、上部電極とコレクタ電極18との間の絶縁破壊の可能性が低減するから、コレクタ電極18に付与される正の電位Vc(コレクタ電圧)を大きくすることができる。この結果、蛍光体に到達する電子に大きなエネルギーを付与することができるので、ディスプレイの輝度を向上することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、基板11は、酸化アルミニウムを主成分とする材料、或いは、酸化アルミニウム及び酸化ジルコニウムとの混合物を主成分とする材料から構成されていてもよい。
本発明の第1実施形態に係る電子放出装置の部分断面図である。 図1に示した電子放出装置を異なる平面にて切断した部分断面図である。 図1に示した電子放出装置の部分平面図である。 図1に示した電子放出装置の拡大部分断面図である。 図1に示した上部電極の拡大部分平面図である。 図1に示した電子放出装置の一つの状態を示した図である。 図1に示したエミッタ部の電圧−分極特性のグラフである。 図1に示した電子放出装置の他の状態を示した図である。 図1に示した電子放出装置の他の状態を示した図である。 図1に示した電子放出装置の他の状態を示した図である。 図1に示した電子放出装置の他の状態を示した図である。 図1に示した電子放出装置の他の状態を示した図である。 集束電極を備えない電子放出装置により放出された電子の様子を示した図である。 図1に示した電子放出装置により放出された電子の様子を示した図である。 図1に示した電子放出制御回路と集束電極電位付与回路の回路図である。 図1に示した電子放出装置の第1変形例の部分平面図である。 図1に示した電子放出装置の第2変形例の部分平面図である。 図1に示した電子放出装置の第3変形例の部分平面図である。 本発明の第2実施形態に係る電子放出装置の部分平面図である。 図19の3−3線に沿った平面にて電子放出装置を切断した断面図である。 図19の4−4線に沿った平面にて電子放出装置を切断した断面図である。 図19の5−5線に沿った平面にて電子放出装置を切断した断面図である。 本発明の第3実施形態に係る電子放出装置の部分平面図である。 図23の6−6線に沿った平面にて電子放出装置を切断した断面図である。 図24の7−7線に沿った平面にて電子放出装置を切断した断面図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の基本的態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 電子放出制御回路及び集束電極電位付与回路の他の態様を示した図である。 図1に示した電子放出装置の蛍光体及びコレクタ電極の変形例を示した図である。
符号の説明
10…電子放出装置、11…基板、12…下部電極、13…エミッタ部、14…上部電極、14a…微細貫通孔、15…絶縁層、16…集束電極、17…透明板、18…コレクタ電極、19…蛍光体、19B…青色蛍光体、19R…赤色蛍光体、19G…緑色蛍光体、21…電子放出制御回路、22…集束電極電位付与回路、23…コレクタ電位付与回路。

Claims (12)

  1. 誘電体からなるエミッタ部と、前記エミッタ部の下部に形成された下部電極と、前記エミッタ部を挟んで前記下部電極に対向するように同エミッタ部の上部に形成されるとともに微細貫通孔を複数有してなり電子を放出させる必要がある場合に同下部電極に対する電位が負の電位とされた後に正の電位とされることにより同微細貫通孔を通して電子を放出させる上部電極と、を有する素子を少なくとも二つ備え、同二つの素子のうちの一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差が他の一つの素子の上部電極と下部電極との間の電位差と独立して変更可能に構成された電子放出装置であって、
    前記一つの素子の上部電極と前記他の一つの素子の上部電極との間に配設された絶縁体と、
    前記絶縁体の上に形成され所定の電圧が付与される集束電極と、
    を備えた電子放出装置。
  2. 請求項1に記載の電子放出装置であって、
    前記集束電極は、平面視において前記一つの素子の上部電極及び前記他の一つの素子の上部電極の何れにも重ならないように形成された電子放出装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子放出装置であって、
    前記一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合に同一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させ同電子を同上部電極近傍の同エミッタ部に蓄積させるように同一つの素子の下部電極に対する同上部電極の電位が負の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、次いで、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させるために同下部電極に対する同上部電極の電位が正の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、
    前記他の一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子を放出させる必要がある場合に同他の一つの素子の上部電極から同他の一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させ同電子を同上部電極近傍の同エミッタ部に蓄積させるように同他の一つの素子の下部電極に対する同上部電極の電位が負の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与え、次いで、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させるために同下部電極に対する同上部電極の電位が正の電位となる電位差を同下部電極と同上部電極との間に与える電位差付与手段、
    を備えた電子放出装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の電子放出装置であって、
    前記集束電極に前記所定の電位を付与する集束電極電位付与手段、
    を備えた電子放出装置。
  5. 請求項4に記載の電子放出装置において、
    前記集束電極電位付与手段は、
    前記一つの素子の上部電極の微細貫通孔から電子が放出される期間は同上部電極の電位よりも低い電位を前記集束電極に付与している状態を維持するように構成された電子放出装置。
  6. 請求項5に記載の電子放出装置において、
    前記集束電極電位付与手段は、
    常に一定の電圧を前記集束電極に付与するように構成された電子放出装置。
  7. 請求項5に記載の電子放出装置において、
    前記集束電極電位付与手段は、
    時間とともに変化する電圧を前記集束電極に付与するように構成された電子放出装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の電子放出装置において、
    前記集束電極電位付与手段は、
    前記一つの素子の上部電極に対する電位差を前記集束電極に付与するように構成された電子放出装置。
  9. 請求項4乃至請求項8の何れか一項に記載の電子放出装置において、
    前記集束電極電位付与手段は、
    前記一つの素子の上部電極から同一つの素子のエミッタ部に向けて電子を放出させて同エミッタ部に蓄積している期間に前記集束電極をフローティング状態に維持し、同エミッタ部に蓄積された電子を同上部電極の微細貫通孔を通して放出させている期間に前記所定の電位を同集束電極に付与するように構成された電子放出装置。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の電子放出装置であって、
    前記一つの素子の上部電極の上方に配置されるとともに電子照射により第1の色の光を発光する第1蛍光体と、
    前記他の一つの素子の上部電極の上方に配置されるとともに電子照射により前記第1の色とは異なる第2の色の光を発光する第2蛍光体と、
    を備えた電子放出装置。
  11. 請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の電子放出装置であって、
    前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体の近傍に前記一つの素子の上部電極及び前記他の一つの素子の上部電極に対向するように配置されたコレクタ電極を備えた電子放出装置。
  12. 請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載の電子放出装置であって、
    密閉空間を形成する空間形成部材を備えるとともに、少なくとも前記一つの素子の前記エミッタ部の上部と前記上部電極、及び、前記他の一つの素子の前記エミッタ部の上部と前記上部電極が略真空状態にされた同密閉空間内に配置されている電子放出装置。
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