JP2009199812A - 透明導電性膜付基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ITOを積層した透明導電性基材に比して、低いシート抵抗値を有すると同時に外部からの熱に対して耐熱性を備えてなるような、長期間にわたり安定した性能を発揮できる耐性を備えた透明導電性基材を提供する。
【解決手段】
高分子樹脂フィルムよりなる透明基板と、導電性を備えた物質を積層してなる導電性層と、導電性を備えると同時に耐熱性をも備えた物質を積層してなる耐熱導電性層と、をこの順に積層してなるものであり、前記導電性層と前記耐熱導電性層とは共に物理的蒸着法(PVD)により積層されてなり、前記導電性層を積層する際の第1成膜雰囲気における酸化度よりも前記耐熱導電性層を積層する際の第2成膜雰囲気における酸化度の方が高くなるようにしてなる、透明導電性基材とした。
【選択図】 なし

Description

本発明は透明導電性膜が積層されている基板に関するものであり、具体的には高分子樹脂フィルム又はガラス板の表面にガリウム−酸化亜鉛を用いた透明導電性膜を積層してなる基板に関する。
日常生活において今や広く普及しているタッチパネルは、例えば銀行などの現金自動支払機(ATM)や券売機などに広く用いられるが、それにはいわゆる透明導電性膜を積層したガラス板やフィルム(以下これらを総称して「透明導電性膜付基板」と言う。また基板がフィルムの場合は「透明導電性フィルム」とも言う。)が用いられている。具体的には、この透明導電性膜付基板は、光線を透過し、電気も通す、という性質を兼ね備えたものであり、そのような性質を利用してタッチパネルの電極として用いられている。
また特に昨今の携帯電話や携帯端末などのいわゆるモバイル機器では軽薄短小化が強く求められるのに伴い、基板としてフィルムが用いられる場面が増大している。そして基板をフィルムとした透明導電性フィルムでは、透明導電性膜として酸化インジウム−酸化スズ(ITO)膜が広く用いられている。
このITO膜を積層した透明導電性フィルムは、一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に対し、スパッタリング法等の物理的蒸着法(PVD)によりITOを積層することにより得られるのが一般的である。
しかし従来の、ITOをスパッタリング法により積層した透明導電性フィルムでは、特にITOにより構成される透明導電性層の耐性が常に問題となっていた。即ち、剥離しやすい、クラックが生じやすい、耐擦傷性が低い、等の問題である。透明導電性フィルムをタッチパネルに用いた場合、透明導電性フィルムは常に同じ範囲の場所を押下され続けるために押下された部分でクラックが生じてしまったり剥離したりしやすくなってしまい、またITOによる透明導電性層であると擦傷が生じやすいので、やはりその部分からクラックが生じてしまう、等のような状況に陥ってしまうため、結果としてそのようなITOを用いた透明導電性フィルムは耐久性、耐摺動性がさほど高くないものとなってしまい、実際にそれをタッチパネルに用いたとしても性能低下等の問題が生じてしまうのである。
さらにこのような透明導電性フィルムをタッチパネルの透明電極として用いる場合にはこれが例えば画像表示装置の表面に位置することで長期間にわたり発熱体と接することもしくは環境が高温になることが考えられるが、その熱に長期間さらされることによりITOの性能が低下してしまい、即ちシート抵抗値が高くなるように変化してしまうことがある。つまり長期間経過するとITO膜のシート抵抗が変化してしまい、ひいては長期間にわたり安定した性能が求められるタッチパネルにおいて、その性能劣化・低下を招くこととなり、このような耐熱性の点で問題であった。さらに昨今、ITOそれ自体が資源枯渇問題により入手が困難な状況に至ろうとしている点も問題であった。
そこで上述したような耐久性、耐熱性における問題を解決するために、またITOに変わる部材を用いつつITOを用いた場合と同等の性能を発揮できる透明導電性積層体として、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように酸化亜鉛系物質を用いることが提案されている。
特開2007−113109号公報 特開2007−113110号公報
しかし上記した特許文献1又は特許文献2に記載の発明であると、いずれも基材として用いられるものはアクリル樹脂に限定されており、それ以外への素材に対する展開ができずに問題である。即ち、昨今軽薄短小化が求められているとはいえ、未だガラス板を基板としたタッチパネル用透明電極板が求められているのは事実であるし、また高分子樹脂フィルムとしてはアクリル樹脂に限定されるものではなく、むしろそれ以外にも多種多様な高分子樹脂フィルムが存在し、またそれらの多種多様な高分子樹脂フィルムを基材として用いることも広く求められている事実を鑑みると、これら特許文献において基材をアクリル樹脂に限定することは好適ではないと言わざるを得ない。
またこれらの特許文献において透明導電性を呈するために酸化亜鉛系透明導電膜を用いることとしており、またガリウムをドーピングすることも記載されてはいるものの、これらの特許文献における酸化亜鉛系透明導電膜はただ単純に従来周知の手法により積層されているだけであるが、ただ単純に積層しただけであれば前述したITOの場合に生じた諸問題、即ち密着性が充分ではない、耐熱性が充分ではない、等の諸問題を解決するには至らない。
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来の酸化亜鉛を積層してなる透明導電性基材に比して、シート抵抗値の制御性を有すると同時に外部からの熱に対して耐熱性を備えてなるような、つまり長期間にわたり安定した性能を発揮できる耐性を備えた透明導電性基材を提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも、ガラス又は高分子樹脂フィルムよりなる透明基板と、導電性を備えた物質を積層してなる導電性層と、導電性を備えると同時に耐熱性をも備えた物質を積層してなる耐熱導電性層と、をこの順に積層してなる透明導電膜付基板であって、前記導電性層と前記耐熱導電性層とは共に物理的蒸着法(PVD)により積層されてなり、前記導電性層を積層する際の第1成膜雰囲気における酸化度よりも前記耐熱導電性層を積層する際の第2成膜雰囲気における酸化度の方が高くなるようにしてなり、得られた透明導電膜付基板を90℃で500時間放置した後のシート抵抗の値Rがと放置前のシート抵抗値をRとの関係が、0.8≦(R/R)≦1.5 を満たすこと、を特徴とする。
本願発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の透明導電膜付基板であって、前記透明基板において前記導電性層を積層する側の表面に予めアンダーコート層が積層されてなること、又は前記透明基板の反対側表面に対しハードコート(HC)処理又は反射防止(AR)処理が予め施してあること、のいずれか若しくは両方の処理が施してあること、を特徴とする。
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の透明導電膜付基板であって、前記導電性層を形成する導電性物質が、酸化亜鉛を含有してなる酸化亜鉛系物質であり、前記耐熱導電性層を形成する耐熱導電性物質が、酸化亜鉛を含有してなる酸化亜鉛系物質であること、を特徴とする。
本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の透明導電膜付基板であって、前記酸化亜鉛系物質が酸化ガリウム−酸化亜鉛(GZO)であること、を特徴とする。
本願発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の透明導電膜付基板であって、前記物理的蒸着法がスパッタリング法であり、かつ、前記第1成膜雰囲気が、アルゴン−水素混合ガスによるものであり、なおかつ水素濃度がアルゴンに対し体積比で30%以下であり、前記第2成膜雰囲気が、アルゴン−酸素混合ガスによるものであり、なおかつ酸素濃度がアルゴンに対し酸素20%以下であること、を特徴とする。
以上のように、本願発明に係る透明導電性膜付基板であれば、従来の透明導電性膜付基板に比べ、導電性層とさらにその表面に耐熱導電性層とを積層しているので、従来に比して耐熱性を有した透明導電性膜付基板を得ることができる。そして導電性層と耐熱導電性層とを組み合わせて用いることで、耐熱性を得ると同時にシート抵抗値の制御性がよい透明導電性膜付基板とすることが容易に可能となる。そしてシート抵抗値に関して考察すると、導電性層と耐熱導電性層との層厚を変化させることにより、シート抵抗値として数10Ω/□から数kΩ/□までの範囲の値を容易にかつ自在に設定できる。よって、本願発明に係る透明導電性膜付基板の基材に高分子樹脂フィルムを用い、それをタッチパネル用透明電極とすれば、耐熱性と低抵抗値を備えた透明導電性フィルムとして利用できるので、かかるタッチパネルの性能低下又は性能劣化の速度を抑制することが出来るようになる。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずもこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本願発明に係る透明導電性膜付基板につき、第1の実施の形態として説明するが、その前にかかる基板の基材は透明高分子樹脂フィルムを用いることとし、以下の説明においては透明導電性フィルムを念頭に行うこととする。但し以下の説明は基本的に基材をフィルムに限定するものではなく、例えばガラス板であっても同様に考えることが可能であることを予め断っておく。
本実施の形態に係る透明導電性フィルムは、少なくとも、高分子樹脂フィルムよりなる透明基板と、導電性を備えた物質を積層してなる導電性層と、導電性を備えると同時に耐熱性をも備えた物質を積層してなる耐熱導電性層と、をこの順に積層してなる透明導電膜付基板である。
以下それぞれにつき順次説明をする。
まず基材となる高分子樹脂よりなる透明基材フィルムは、当然透明度に優れるものであればよく、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルメタアクリレートフィルム、等の樹脂フィルムを用いるとよく、本実施の形態においてはPENフィルムを用いることとする。またその厚みは、本実施の形態に係る透明導電性フィルムを用いる装置等において必要とされる透明導電性フィルムの厚みに応じた厚みであればよく、例えばタッチパネルの透明電極として用いるのであれば、基材フィルムの厚みは10μm以上200μm以下であると好ましいものとすることができる。
次にこの高分子樹脂による基材フィルムの表面に積層されてなる導電性層につき説明する。
この導電性層は透明基材フィルムの表面に積層されており、本実施の形態において最も導電性を司る部分となるが、その材料として本実施の形態では、例えばガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、亜鉛とガリウムの混合物、を添加した酸化亜鉛系物質であることが好ましく、本実施の形態ではガリウム−酸化亜鉛(GZO)を用いることとする。
本実施の形態においてこの導電性層は物理的蒸着方法(PVD)により積層されるものであり、例えば直流(DC)スパッタリング法、電子ビーム(EB)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱法、高周波(RF)スパッタリング法、等を用いれば良く、本実施の形態においてはDCスパッタリング法を用いることとする。
そして本実施の形態における導電性層の厚みは1nm以上10nm以下であり、この厚みは最終的に設定される本実施の形態に係る透明導電性フィルムのシート抵抗値により決定されればよい。
本実施の形態において導電性層を積層するためにDCスパッタリング法を実行するに際して提供される第1成膜雰囲気では、アルゴン−水素混合ガスを使用するものとし、またその際の水素濃度はアルゴン−水素混合ガスにおける体積比で30%以下であるものとする。この条件とする理由については後述する。
このように導電性層を積層したら次にその表面に耐熱導電性層を積層する。この耐熱導電性層につき説明する。
この耐熱導電性層は、本実施の形態において導電性を有するも、それ以上に本実施の形態において耐熱性を付与する主たる部分となるが、その材料として本実施の形態では、例えばガリウム、インジウム、アルミニウム、ホウ素、およびその酸化物を添加した酸化亜鉛系物質であることが好ましく、本実施の形態では酸化ガリウム−酸化亜鉛(GZO)を用いることとする。
本実施の形態においてこの耐熱導電性層は先の導電性層の場合と同様に物理的蒸着方法(PVD)により積層されるものであり、例えば直流(DC)スパッタリング法、電子ビーム(EB)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱法、高周波(RF)スパッタリング法、等を用いれば良く、本実施の形態においてはDCスパッタリング法を用いることとする。
そして本実施の形態における耐熱導電性層の厚みは50nm以上500nm以下でありるが、50nm未満であると充分に耐熱性を発揮することができず、また500nmを超えると透明導電性フィルム全体の厚みが増してしまい、導電性層に割れが発生し、導電性を著しく損なうため、これらの現象を回避するために上記範囲内とすることが好適であるといえる。
本実施の形態において耐熱導電性層を積層するためにDCスパッタリング法を実行するに際して提供される第2成膜雰囲気では、アルゴン−酸素混合ガスを使用するものとし、またその際の酸素濃度はアルゴン−酸素混合ガスにおける体積比で10%以下であるものとする。この条件とする理由については後述する。
このようにして本実施の形態に係る透明導電性フィルムが形成されるのであるが、基材フィルムと導電性層、耐熱導電性層との層間密着力をより一層好適なものとするために、導電性層を積層するに先立って基材フィルム表面にアンダーコート層を積層することが考えられる。
本実施の形態においてアンダーコート層を積層する場合、一般的に公知な素材を用いて積層すれば良く、例えば珪素アルコキシドの加水分解物のアンダーコート剤を、グラビアコーティング法等のいわゆるウェットコーティング法により積層すれば良い。尚、本実施の形態では珪素アルコキシドの加水分解物をグラビアコーティング法により厚み50nmとなるように積層し、これをアンダーコート層とするものである。
尚、アンダーコート層を設ける手法以外にも、例えば基材フィルム表面に対しプラズマ処理を施すことによって導電性層等の密着性を向上させる手法も考えられるが、ここではその詳述については省略する。
また本実施の形態に係る透明導電性フィルムに対し、さらにハードコート性や反射防止性を付与することもかんがえられるが、それらの機能性を付与するためには、本実施の形態においては、基材フィルムの表面であってアンダーコート層、導電性層、耐熱導電性層、を積層しているのとは反対側の表面に従来公知の手法、物質によりハードコート層や反射防止層を積層することで対処することが出来るが、これらに関する詳述もまたここでは省略する。
さて、上述したように、本実施の形態に係る透明導電性フィルムは、基材フィルム/アンダーコート層/導電性層/耐熱導電性層、という構成を有してなるものであるが、導電性層と耐熱導電性層とは同一の素材、即ちGZOを用いてなり、またその積層方法もいずれもDCスパッタリング法という同一の手法を用いるものの、それらを成膜する際の雰囲気、即ち第1成膜雰囲気と第2成膜雰囲気とを異なるものとすることで、積層されるGZOによる層の呈する特性が異なるものとしている。そこでこのようにした理由に関し以下説明をする。
まず第1成膜雰囲気ではアルゴン−水素混合ガスを使用するものとし、またその際の水素濃度はアルゴン−水素混合ガスにおける体積比で30%以下であるものとする。一方、第2成膜雰囲気ではアルゴン−酸素混合ガスを使用するものとし、またその際の酸素濃度はアルゴン−酸素混合ガスにおける体積比で10%以下であるものとする。そしていずれの成膜もDCスパッタリング法を用いている。
即ち、DCスパッタリングを実行する際の雰囲気に酸素ガスを用いるか否かで成膜されるGZOの性質が変わるのである。つまり第1成膜雰囲気により得られるGZO膜と、第2成膜雰囲気により得られるGZO膜とでは、第2成膜雰囲気により得られるGZO膜の方が酸化度の高いものとなる。
よって本実施の形態に係る透明導電性フィルムの構成は言い換えると、基材フィルム/アンダーコート層/低酸化度GZO膜/高酸化度GZO膜、という構成を有している、とも言うことが出来る。
ここでGZO膜について説明すると、これはITO膜よりも透過率が高いという利点を備えており、また酸化亜鉛にガリウムを添加することで導電性をより好適なものとすることが出来ることが知られている。そして本実施の形態では基本的に導電性層も耐熱導電性層も共にGZOによる膜としているので、この部分での密着性は非常に好適なものとすることが出来る。また最外層を高酸化度の膜とすることにより、この部分が長期間発熱体にさらされてもその熱が層構成内部に向かって影響を及ぼすことは殆どなく、なおかつ最外層もGZOによる膜であるため一定の導電性を備えていることがわかる。しかしこれだけでは充分な導電性を呈しないため、本実施の形態においては、さらに導電性を増加させるために最外層のGZO膜の内側に酸化度の非情に低いGZO膜を設けることとしたのである。
またGZO膜を用いた場合、その膜の表面は大変緻密で平坦なものとなる場合が多いので、このままであれば光線反射を呈しやすくなることが考えられるが、そのための対処として前述した反射防止膜を基材フィルム表面の導電性層積層側とは反対側に設けておくことは有効であるといえる。
そして導電性層と耐熱導電性層とを基本的にはGZO膜とすることで、得られる本実施の形態に係る透明導電性フィルムのシート抵抗値を自在に変化させることがやりやすくなる。即ち導電性層と体熱導電性層と、それぞれの膜厚を変化させることにより、得られるシート抵抗値は数10Ω/□から数kΩ/□の範囲で自在に設定しやすくなる。
このようにして得られる本実施の形態に係る透明導電性フィルムのシート抵抗値を90℃で500時間放置した後に測定した値Rは、放置前のシート抵抗値をRとの関係で言うと
0.8≦(R/R)≦1.5
を満たすものであるが、これは耐熱導電性層を設けたことにより外部からの加熱に対し透明導電性フィルムがさほど影響を受けないことを示しているものと言える。即ち、本実施の形態に係る透明導電性フィルムは、その最外層は導電性を有するもののそれ以上に耐熱性を備えた層とし、そのすぐ内側に位置する導電性層は従来のITO並みの導電性を示す物質で構成し、なおかつ耐熱導電性層と導電性層とを基本的に同一の素材により構成してなるので、層間密着性は好適なものとでき、また耐熱導電性層が外部からの熱が内部に影響を及ぼさないように働き、なおかつ耐熱導電性層と導電性層とで充分な導電性を維持することができる、ということを示しているものと言える。
尚、以上はGZO膜を想定して説明をしたが、導電性層と耐熱導電性層とを同一の物質で構成し、それらの酸化度を変化させて積層させるのであれば、前述したGZO以外の酸化亜鉛系物質を用いても構わないし、求められる特性等に応じて導電性層と耐熱導電性層とを異なる物質で構成することも考えられるが、長期間にわたり耐熱性を維持すると同時にシート抵抗値も上昇しない、という観点からGZOを用いることが好適であることを本願発明に係る発明者は見いだしたのである。
またGZOではなくAZOを用いることも考えられるが、この場合、低抵抗化という観点からは好適な選択であると言えるが、耐熱性を維持するという点でGZOを用いた方が優れた結果を示すこと、また周知のことではあるが、AZOを用いる場合は基板温度を200℃程度までに上昇させなければシート抵抗の低い膜を形成ことができないのに対しGZOでは基板温度を常温としたままでもシート抵抗の低い、実用に供することができる膜を積層することができる、ということも併せて述べておく。
尚、冒頭にも述べたが以上は基材を透明プラスチックフィルムとした場合を想定して説明をしたが、ガラスを用いても同様の効果が得られるものであり、また基材をガラスとした場合の種々積層物に関しても全く同様であることを述べておく。
以下、本発明に係る透明導電性膜付基板につき、さらに実施例により説明する。
まず基材として厚み125μmのPENフィルム(東レデュポン(株)製 製品名「テオネックス」)を用いる。その表面にアンダーコート層として、グラビアコーティング法により厚みが50nmとなるように珪素アルコキシドの加水分解物のアンダーコート剤を積層した。これを用いて実施例及び比較例に係る積層体を製造し、比較をした。
(実施例1)
導電性層としてGZOを50nm、耐熱導電性層としてGZOを150nm、積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、第1成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚水素濃度は体積比で10%であった。また第2成膜雰囲気としてアルゴン−酸素混合ガスを用いた。尚酸素濃度は体積比で2%であった。
(実施例2)
導電性層としてGZOを100nm、耐熱導電性層としてGZOを100nm、積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、第1成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚水素濃度は体積比で10%であった。また第2成膜雰囲気としてアルゴン−酸素混合ガスを用いた。尚酸素濃度は体積比で5%であった。
(実施例3)
導電性層としてGZOを150nm、耐熱導電性層としてGZOを50nm、積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、第1成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚水素濃度は体積比で5%であった。また第2成膜雰囲気としてアルゴン−酸素混合ガスを用いた。尚酸素濃度は体積比で1%であった。
(実施例4)
導電性層としてGZOを150nm、耐熱導電性層としてGZOを150nm、積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、第1成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚水素濃度は体積比で5%であった。また第2成膜雰囲気としてアルゴン−酸素混合ガスを用いた。尚酸素濃度は体積比で1%であった。
(比較例1)
導電性層としてGZOを200nm積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚水素濃度は体積比で20%であった。
(比較例2)
導電性層としてGZOを200nm積層した。
積層の手法としてDCスパッタリング法を用いた。
DCスパッタリングを実行するに際して、成膜雰囲気としてアルゴン−水素混合ガスを用いた。尚酸素濃度は体積比で5%であった。
以上得られた透明導電性フィルムそれぞれに対してシート抵抗値を測定した後、90度の温度下で500時間放置し、その後のシート抵抗値を再び測定した。
Figure 2009199812






この結果から分かるとおり、最外層に酸化度を増すことで耐熱性を持たせた耐熱導電性層を設けることにより、外部からの加熱が透明導電性フィルムに影響を及ぼしていないことがわかり、また最外層に耐熱性のみであって導電性を備えていない層を積層した場合は、導電性が充分でないことがわかる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、
    ガラス又は高分子樹脂フィルムよりなる透明基板と、
    導電性を備えた物質を積層してなる導電性層と、
    導電性を備えると同時に耐熱性をも備えた物質を積層してなる耐熱導電性層と、
    をこの順に積層してなる透明導電膜付基板であって、
    前記導電性層と前記耐熱導電性層とは共に物理的蒸着法(PVD)により積層されてなり、
    前記導電性層を積層する際の第1成膜雰囲気における酸化度よりも前記耐熱導電性層を積層する際の第2成膜雰囲気における酸化度の方が高くなるようにしてなり、
    得られた透明導電膜付基板を90℃で500時間放置した後のシート抵抗の値Rがと放置前のシート抵抗値をRとの関係が、
    0.8≦(R/R)≦1.5
    を満たすこと、
    を特徴とする、透明導電膜付基板。
  2. 請求項1に記載の透明導電膜付基板であって、
    前記透明基板において前記導電性層を積層する側の表面に予めアンダーコート層が積層されてなること、
    又は前記透明基板の反対側表面に対しハードコート(HC)処理又は反射防止(AR)処理が予め施してあること、
    のいずれか若しくは両方の処理が施してあること、
    を特徴とする、透明導電膜付基板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の透明導電膜付基板であって、
    前記導電性層を形成する導電性物質が、酸化亜鉛を含有してなる酸化亜鉛系物質であり、
    前記耐熱導電性層を形成する耐熱導電性物質が、酸化亜鉛を含有してなる酸化亜鉛系物質であること、
    を特徴とする、透明導電膜付基板。
  4. 請求項3に記載の透明導電膜付基板であって、
    前記酸化亜鉛系物質が酸化ガリウム−酸化亜鉛(GZO)であること、
    を特徴とする、透明導電膜付基板。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の透明導電膜付基板であって、
    前記物理的蒸着法がスパッタリング法であり、
    かつ、
    前記第1成膜雰囲気が、アルゴン−水素混合ガスによるものであり、なおかつ水素濃度がアルゴンに対し体積比で30%以下であり、
    前記第2成膜雰囲気が、アルゴン−酸素混合ガスによるものであり、なおかつ酸素濃度がアルゴンに対し酸素20%以下であること、
    を特徴とする、透明導電膜付基板。
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