JP2009198946A - 光路変換構造とその製造方法及び光送受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで光路変換構造を構築でき、設計の自由度が上がり、且つ装置の低背化を実現可能な光路変換構造とその製造方法及びこれを適用した光送受信装置の提供。
【解決手段】光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とを有することを特徴とする光路変換構造。基板に光受発光素子を実装し、次いで該光受発光素子を透明樹脂で封止し、該光受発光素子の光受発光部近傍に、この透明樹脂からなり、前記基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を形成して光路変換機能を有する光路変換部材を形成し、本発明の光路変換構造を製造することを特徴とする光路変換構造の製造方法。
【選択図】図4
【解決手段】光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とを有することを特徴とする光路変換構造。基板に光受発光素子を実装し、次いで該光受発光素子を透明樹脂で封止し、該光受発光素子の光受発光部近傍に、この透明樹脂からなり、前記基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を形成して光路変換機能を有する光路変換部材を形成し、本発明の光路変換構造を製造することを特徴とする光路変換構造の製造方法。
【選択図】図4
Description
本発明は、機器内や機器間といった比較的短い距離を、光通信によって情報伝送するための発光素子、受光素子及び光伝送路などを備えた光送受信装置などに用いられる光路変換構造とその製造方法に関し、特に、低コストで光路変換構造を構築でき、設計の自由度が上がり、且つ装置の低背化を実現可能な光路変換構造とその製造方法及びこれを適用した光送受信装置に関する。このような短距離の光通信は、将来的に、サーバー・ルーターなど高速データ転送装置、自動車内の映像伝送、携帯電話、業務用複写機、次世代ゲーム機といった分野に適用される。
従来、光通信においては、光源に端面光出射型のレーザーダイオードが使われてきた。しかし、消費電力が大きいこと、歩留まりが低く価格が高い事から、機器内や機器間の光通信に対しては、近年、表面発光型のレーザーダイオード(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下、VCSELと記す。)の適用が盛んに研究されている。VCSELは、素子表面から略円形形のビームを放射すること、低閾値でレーザー発振可能なこと、構造的に歩留まりを上げやすく安価、という特徴がある。
VCSELや、従来から有る表面受光型のフォトダイオード(以下、PDと記す。)を用いて光送受信部を作製する場合、基板に対し垂直に出入射する光を、何らかの手法で水平或いはそれに類した方向へ光路変換して光ファイバなどの光伝送路と結合することが一般的に行われている。なぜなら、基板に垂直な光軸に対して光ファイバやレンズ、高分子導波路などを直接結合すると、それら光伝送路の取り回しで占有される空間が基板垂直方向に大きくなり、限られた大きさの機器内で、複数の基板を高密度に実装することが難しくなるからである。
このため、光路を変換するため、従来より様々な方法が提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照。)。
米国特許第6081638号明細書
特開平10−300961号公報
特開2003−172836号公報
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題がある。
特許文献1には、図1に示すように、支持基材3にサブマウント4を介して発光素子1を実装し、光ファイバ2の端面を斜面形状に加工して支持基材3に固定して構成され、光ファイバ2の先端面か半透明反射面で発光素子1からの出射光を反射させ、光路変換を行う構造が開示されている。しかし、この従来技術は、光ファイバ端面の斜め研磨が必要でコスト高になる問題がある。また、斜め形状になると光ファイバの回転対称性が失われ、光の結合には回転軸の精密調整が必要となり、コスト増の要因となる。
特許文献1には、図1に示すように、支持基材3にサブマウント4を介して発光素子1を実装し、光ファイバ2の端面を斜面形状に加工して支持基材3に固定して構成され、光ファイバ2の先端面か半透明反射面で発光素子1からの出射光を反射させ、光路変換を行う構造が開示されている。しかし、この従来技術は、光ファイバ端面の斜め研磨が必要でコスト高になる問題がある。また、斜め形状になると光ファイバの回転対称性が失われ、光の結合には回転軸の精密調整が必要となり、コスト増の要因となる。
特許文献2には、図2に示すように、基板5上に設けられた光導波路の光軸に対して、所望の角度(例えば45度)を持つダイシングブレード11により、V溝10を設け、光導波路の上部クラッド7、コア6及び下部クラッド8が露出した傾斜端面9を形成する技術が開示されている。しかし、この従来技術は、所望の導波路光軸ばかりでなく、その周囲の基体にも同様のV溝がつくことは避けられない。よって、本来光路変換の必要がない箇所でも斜面が形成されてしまうので、自由度が少ないという問題がある。
特許文献3には、図3に示すように、回路基板15の下面側に、下部クラッド12とコア13と上部クラッド14とからなる光導波路が設けられ、上面側に受発光素子17が実装され、光導波路の端面に別途樹脂ブロック16を形成し、VCSEL出射光18を樹脂ブロック16と空気の界面で反射させて光導波路のコア13に導く構造が開示されている。しかし、この従来技術は、基板とVCSEL、導波路の総高さを低減する観点では、特に記述されていない。一般的な素子、基板で構成すると、その総高さは1mm以上になると思われる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、低コストで光路変換構造を構築でき、設計の自由度が上がり、且つ装置の低背化を実現可能な光路変換構造とその製造方法及びこれを適用した光送受信装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とを有することを特徴とする光路変換構造を提供する。
本発明の光路変換構造において、前記光路変換部材が、樹脂からなることが好ましい。
本発明の光路変換構造において、前記光路変換部材が、光受発光素子を実装した基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を有することが好ましい。
また本発明は、基板に光受発光素子を実装し、次いで該光受発光素子を透明樹脂で封止し、該光受発光素子の光受発光部近傍に、この透明樹脂からなり、前記基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を形成して光路変換機能を有する光路変換部材を形成し、前述した本発明に係る光路変換構造を製造することを特徴とする光路変換構造の製造方法を提供する。
本発明の光路変換構造の製造方法において、光受発光素子を透明樹脂で封止した後、光受発光素子の光受発光部近傍の透明樹脂にダイシングブレード加工又はレーザ加工を施して、光路変換部材を形成することが好ましい。
本発明の光路変換構造の製造方法において、基板に実装した光受発光素子を成形型で包囲し、該成形型に透明樹脂を充填し硬化させた後、該成形型を離型するモールディング法によって光路変換部材を形成することもできる。
また本発明は、基板上に、前述した本発明に係る光路変換構造と、該光路変換構造に光学的に結合された光伝送路とを有することを特徴とする光送受信装置を提供する。
本発明の光路変換構造は、光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とで構成したものなので、光受発光素子と光路変換部材の間に空間を設ける必要が無く、総高さを低減できる。また、光出射部或いは入射部に近接することで、拡散する光の集光効率を上げられるとともに、光受発光素子を外部環境から守り、信頼性を向上させることができる。
本発明の光路変換構造の製造方法は、前述した通り高性能な光路変換構造を低コストで歩留まりよく製造することができる。
本発明の光送受信装置は、前述した通り高性能な光路変換構造を有するものなので、小型化でき、信頼性も高い光送受信装置を低コストで提供することができる。
本発明の光路変換構造は、光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とを有することを特徴としている。
光路変換部材の材料は、従来からある透明樹脂を用いることができる。ポリイミド、ポリシロキサン、ポリシラン、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、などが好適に用いられるが、これらに限定されない。
光路変換部材は、基板に対し垂直な面と傾斜した面を有する。このうち、傾斜した面が基板に対して垂直方向の光軸を変換し、垂直な面に接合された光導波路や光ファイバ、レンズへの光軸と一致させる。
本発明の光路変換構造は、光受発光素子に接触し、且つ覆っている光路変換部材から構成される。すなわち光受発光素子と光路変換部材の間に空間を設ける必要が無く、総高さを低減できる。また、光出射部或いは入射部に近接することで、拡散する光の集光効率を上げられるとともに、光受発光素子を外部環境から守り、信頼性を向上させることができる。
本発明の光路変換部材は、例えば、以下の工程を経て製造できる。
1.光受発光素子を基板上の所望の位置に実装する。
ここでの実装とは、アノード、カソードの配線を行い、受発光できる状態にすることを意味している。
2.光受発光素子を、透明樹脂で封止する。
液状の樹脂をインクジェット、ディスペンサ、スクリーン印刷、モールドなど、公知の方法により光受発光素子に塗布し、封止構造を形成する。
3.封止樹脂に対し、傾斜面加工および垂直面加工を行う。
光受発光素子を画像認識で位置を把握し、それに対し光路変換ができる箇所に斜面を形成しても良い。2の封止構造の形成と同時に行っても良い。斜面を形成する方向も特に限定されない。加工方法としては、ダイシングブレード加工、レーザー加工などを用いることができる。
1.光受発光素子を基板上の所望の位置に実装する。
ここでの実装とは、アノード、カソードの配線を行い、受発光できる状態にすることを意味している。
2.光受発光素子を、透明樹脂で封止する。
液状の樹脂をインクジェット、ディスペンサ、スクリーン印刷、モールドなど、公知の方法により光受発光素子に塗布し、封止構造を形成する。
3.封止樹脂に対し、傾斜面加工および垂直面加工を行う。
光受発光素子を画像認識で位置を把握し、それに対し光路変換ができる箇所に斜面を形成しても良い。2の封止構造の形成と同時に行っても良い。斜面を形成する方向も特に限定されない。加工方法としては、ダイシングブレード加工、レーザー加工などを用いることができる。
図4を参照しながら、本実施例の構成を説明する。図4は、本発明の光路変換構造の実施例1を示す図である。この図中、符号19は基板、20は光受発光素子の一例である面発光レーザ、21は光伝送路の一例である光ファイバ、22はコア、23はクラッド、24は透明樹脂(光路変換部材)、25aは傾斜ミラー部、25bは光取り出し面である。
本実施例の光路変換構造は、回路基板19に面発光レーザ20が実装されており、面発光レーザ20は透明樹脂24によって覆われている。透明樹脂24には、後加工により基板に対し45°傾斜したミラー面25aと、基板に対し垂直な光取り出し面25bが形成され、これによって光路変換部材が形成されている。面発光レーザ20を発光させると、出射光は基板19に垂直方向に進んだ後、ミラー面25aで90°光路を変換し、基板19に水平な方向へ進む。光取り出し面25bに光ファイバ21を調芯して近づけると、コア22に光を結合させることができる。透明樹脂24にミラー面25aを形成するので、光路変換に要する距離を大きく低減することが可能で、基板・面発光レーザ・ミラーが占有する総厚を小さくすることができる。面発光レーザ20を覆った透明樹脂24には、外界の水分や酸素から素子を遮断する働きを持たせることが可能である。
図5を参照しながら、この光路変換部材の製法を説明する。
最初に、(a)公知の方法により基板に面発光レーザ20を実装し、アノード、カソードを接続し発光可能な状態にした。
(b)次に、その上に、ディスペンサ26によりエポキシ系のUV硬化樹脂を塗布し、樹脂をUVランプ27で硬化させた。
(c)次に、それから、側面よりCCDカメラにより面発光レーザ20の外形位置を把握しながら、ダイシングブレート28で所定の位置に傾斜ミラー面25aと光取り出し面25bを形成した。
最初に、(a)公知の方法により基板に面発光レーザ20を実装し、アノード、カソードを接続し発光可能な状態にした。
(b)次に、その上に、ディスペンサ26によりエポキシ系のUV硬化樹脂を塗布し、樹脂をUVランプ27で硬化させた。
(c)次に、それから、側面よりCCDカメラにより面発光レーザ20の外形位置を把握しながら、ダイシングブレート28で所定の位置に傾斜ミラー面25aと光取り出し面25bを形成した。
このように形成した光取り出し面25bに、コア50μmのGI型マルチモード光ファイバ21を近づけて、光パワーをモニタしながら調芯したところ、80%以上の光結合効率で光を取り出すことができた。この時、面発光レーザ20下から光ファイバ上面までの総高さは、400μmであった。
図6を参照にしながら、本発明の光路変換部材の実施例2を説明する。
最初に、(a)公知の方法により基板にフォトダイオード29を実装し、アノード、カソードを接続し受光可能な状態にした。
(b)次に、その上に、予め曲率を有したミラー面と光入射面を設計した、石英ガラス製の型枠30を押し付ける。
(c)次に、前記型枠30の材料注入孔からUV樹脂を充填し、UVランプ27で硬化させた。
(d)次に、樹脂が硬化したら、型枠30をはずし、傾斜ミラー面25aと光入射面25cが形成された光路変換部材ができあがる。
最初に、(a)公知の方法により基板にフォトダイオード29を実装し、アノード、カソードを接続し受光可能な状態にした。
(b)次に、その上に、予め曲率を有したミラー面と光入射面を設計した、石英ガラス製の型枠30を押し付ける。
(c)次に、前記型枠30の材料注入孔からUV樹脂を充填し、UVランプ27で硬化させた。
(d)次に、樹脂が硬化したら、型枠30をはずし、傾斜ミラー面25aと光入射面25cが形成された光路変換部材ができあがる。
このように形成した光入射面25cに、コア50μmのGI型マルチモード光ファイバ21を近づけて、フォトダイオード29の光起電力をモニタしながら調芯したところ、80%以上の光結合効率で光を取り出すことができた。この時、フォトダイオード29下面から光ファイバ上面までの総高さは、420μmであった。
19…基板、20…面発光レーザ(光受発光素子)、21…光ファイバ(光伝送路)、22…コア、23…クラッド、24…透明樹脂(光路変換部材)、25a…傾斜ミラー部、25b…光取り出し面、25c…光入射面、26…ディスペンサ、27…UVランプ、28…ダイシングブレード、29…フォトダイオード、30…型枠。
Claims (7)
- 光受発光素子と、該光受発光素子に接触しその光受発光部を覆う透明成形体からなり、前記光受発光素子の光路変換機能を有する光路変換部材とを有することを特徴とする光路変換構造。
- 前記光路変換部材が、樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の光路変換構造。
- 前記光路変換部材が、光受発光素子を実装した基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光路変換構造。
- 基板に光受発光素子を実装し、次いで該光受発光素子を透明樹脂で封止し、該光受発光素子の光受発光部近傍に、この透明樹脂からなり、前記基板に対し、垂直な面と、傾斜した面の両方を形成して光路変換機能を有する光路変換部材を形成し、請求項1〜3のいずれかに記載の光路変換構造を製造することを特徴とする光路変換構造の製造方法。
- 光受発光素子を透明樹脂で封止した後、光受発光素子の光受発光部近傍の透明樹脂にダイシングブレード加工又はレーザ加工を施して、光路変換部材を形成することを特徴とする請求項4に記載の光路変換構造の製造方法。
- 基板に実装した光受発光素子を成形型で包囲し、該成形型に透明樹脂を充填し硬化させた後、該成形型を離型するモールディング法によって光路変換部材を形成することを特徴とする請求項4に記載の光路変換構造の製造方法。
- 基板上に、請求項1〜3のいずれかに記載の光路変換構造と、該光路変換構造に光学的に結合された光伝送路とを有することを特徴とする光送受信装置。
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