JP2009197670A - エンジンの制御方法及びエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの長時間使用時における過給器系の性能劣化を自動的に補正する制御で、エンジン性能の中で、吸入空気量等の参照パラメータにおいて、性能劣化前の初期状態の目標値に近い値を維持できるように、エンジンの制御値を補正するエンジンの制御方法及びエンジンを提供する。
【解決手段】EGR弁開度Cad、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズル開度Cbd、燃料の噴射時期Ccd、燃料の噴射圧力Cddの制御パラメータのうちの少なくととも2つ以上を補正対象パラメータとし、参照パラメータD2iの検出値と目標値の偏差を目的関数とする最適化法を用いて、補正対象パラメータの最適制御値Cieを求めて、この最適制御値Cieと、現状の制御値Cidとの差から補正量ΔCiを算出し、この補正量ΔCiで、補正対象パラメータの制御値Cidを算出するためのデータを補正する。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンの過給器系の経時変化等による性能劣化に対応して、EGR弁開度等の幾つかの制御値を補正することにより、このエンジンの過給器系の性能劣化を補って、燃料消費率等の性能を、性能劣化が生じる前の状態に近い状態にするエンジンの制御方法及びエンジンに関する。
トラックやバス等の車両搭載のエンジンの運転制御においては、排出ガスの厳しい規制値を達成するために、刻一刻と変化するエンジン運転状態に合わせて、エンジンコントロールユニット(ECU)と呼ばれる制御装置が、EGR弁開度、可変容積型ターボチャージャー(VGT)の可変ノズル開度、燃料の噴射時期、燃料噴射圧力等の制御値を算出し、フィードバック制御で、EGR弁、可変ノズル、燃料噴射装置等を制御している。
しかしながら、エンジンを長時間使用するとエンジンの諸性能が劣化する。大型車においては、ライフサイクルが100万kmにも達するため、性能の劣化は避けられず、特に、燃料消費率が大きく劣化する。この性能の劣化を引き起こす要因には、ピストンリングの磨耗や可変容量式ターボチャージャーの性能低下による空気量、筒内圧の低下等がある。その結果、過給圧の不足から、EGRガス量が増加し、スモークが増加するため、排気エミッションが悪化し、燃費も悪化する。
例えば、ターボチャージャーのタービンやコンプレッサの羽根に、排気ガスやEGRガスに含まれている未燃燃料、SOF、PM等が付着する。更に、図1に示すように、クランクケース内で発生したブローバイガスをエンジンに再循環するために、コンプレッサ17aの入口部のダクトにブローバイガスを戻す方法が広く採用されており、このブローバイガスがコンプレッサ17aを通過することになるため、その際にオイルセパレータ21で処理しきれなかったブローバイガス中のオイルミストがコンプレッサハウジングの内壁に堆積して、コンプレッサ効率の低下を引き起こす。また、コンプレッサ17aの羽根にも、ブーローバイガス中の油分が付着し、コーキングする。そのため、コンプレッサの回転性能が劣化し効率が低下する。
これに関連して、エンジンと燃料噴射装置に製造上のバラツキが生じた場合であっても、エンジンを目標値通りに作動させることを目的に、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジン運転状態と予め設定された目標の運転状態とを比較してエンジンのバラツキに応じた補正量を求め、この補正量に基づいて燃料噴射量を決定する制御装置とを備える自律補正型燃料噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この自律補正型燃料噴射装置では、エアセンサで検出される実際の単位吸気量と回転速度から算出される目標の単位吸気量とから燃料噴射量の補正量を求めて、この補正量に基づいて燃料噴射量を決定し、経時変化による黒煙発生や出力不足の発生等の不具合も抑えて、生産ラインで合わせこみ工数を不要にし、コストを低減しようとしている。
また、経時変化の状態を複数の進行段階に分けて、それぞれに応じた補正量を記憶させて、その進行段階にあった補正量を用いて、燃料噴射指令値を補正する内燃機関の燃料噴射装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この自律補正型燃料噴射装置では、吸気量に関して、製造時のバラツキや経年変化による燃料噴射量の補正を行っており、また、内燃機関の燃料噴射装置では予め設定した補正量で燃料噴射指令値の補正を行っているが、実際のエンジンの運転では、過給器系だけでも、EGR弁開度、可変容積式ターボチャージャーの可変ノズル開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力等を制御しており、単純に、燃料噴射量一つを変更しただけでは、エンジンの運転状態に対して、エンジンの総合的な性能を経時変化による劣化前の状態に近い状態にすることはできない。
つまり、エンジンの性能に関する指標としては、単に吸気量だけでなく、過給器系に関係するものでも、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数等がある。そして、エンジンは、複数の制御値で制御されているため、これらのエンジンの性能を示す指標も、複数の制御値に絡み合って変化するため、単一の指標を改善するために、単一の制御値を補正しても、他の指標が悪化したりする。そのため、総合的なエンジンの性能、例えば、NOx排出量を低い状態に維持したまま、燃料消費率(燃費)の悪化を抑制するようなことはできないという問題がある。
上記のように、単一の制御値の補正だけでは、総合的なエンジン性能を劣化前の状態に近い状態にすることは困難なため、エンジン性能に影響する性能劣化、即ち、エンジンを長時間使用した時におけるターボチャージャー等の性能劣化に対して、エンジン性能を総合的に性能劣化前の状態に維持することができるような補正を、自動的にする制御方法及びこの制御方法を備えたエンジンが強く望まれる。
特開2002−242731号公報 特開2005−201141号公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンの長時間使用時における過給器系の性能劣化を自動的に補正する制御で、エンジン性能の中で、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部において、総合的な観点から劣化前の状態に近い状態になるように、EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の少なくととも2つ以上を所定の時期に自動的に補正するエンジンの制御方法及びエンジンを提供することにある。
上記の目的を達成するためのエンジンの制御方法は、エンジンの過給器系の性能劣化に対してエンジンの制御値を補正するエンジンの制御方法において、EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の少なくととも2つ以上を補正対象パラメータとすると共に、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部を参照パラメータとし、所定の場合に、所定のエンジン運転状態の下で、前記参照パラメータの検出値と目標値との偏差が全体的に小さくなるように、最適化法を用いて、前記補正対象パラメータの最適制御値を求めて、前記補正対象パラメータの最適制御値と制御値との差から補正量を算出し、この補正量で、前記補正対象パラメータの制御値を算出するためのデータを補正することを特徴とする方法である。
つまり、センサで検出でき、エンジンの運転状態に深く関係する参照パラメータを、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数の中の一つ又は幾つか又は全部を選択し、これらの検出値とそのエンジン運転状態で設定された目標値との偏差を小さくすることを目的とする。また、補正対象パラメータとして、エンジンの運転時に制御するEGR弁開度、可変ノズルの開度、燃料の噴射時期(噴射タイミング)、燃料の噴射圧力の制御パラメータのうちの少なくとも2つ以上を用いる。
この補正対象パラメータと、参照パラメータとの関係は、予め実験などにより、求めて置き、各参照パラメータは、2つ以上の補正対象パラメータで表現できるようにしておく。言い換えれば、各参照パラメータを補正対象パラメータの関数として表現する。
この補正対象パラメータで表現された参照パラメータの目標値において、検出値との偏差を、全体的に小さくするように、多目的最適化法を用いて、補正対象パラメータの最適制御値を求める。なお、選択した参照パラメータが一つの場合には、目的が一つとなるため、多目的最適化ではなくなり、単なる最適化となる。
この最適制御値と実際の制御値とを比較して、その偏差を各補正対象パラメータの補正量として、各制御値を算出する際のマップデータ等のデータを自動的に補正する。これにより、この自動補正後の制御値で制御することにより、参照パラメータの実際の値を示す検出値が、経時変化前の初期設定時の目標値に近づくことになる。
この補正マップの算出では、参照パラメータにおける目標値と検出値の差分を少なくすために変更パラメータを書き換えるが、変更パラメータと参照パラメータには複雑な関係があるため、変更パラメータをどの程度補正すれば良いかの判断は非常に難しい。本発明においては、この参照パラメータのどの差分をどれだけ少なくするかの指標として、目的関数として、NOx排出量等の参照パラメータの検出値と目標値との偏差を使用し、この目的関数が最小になるように、補正対象パラメータの最適制御値を求めて、現状の制御値と比較して補正量を求める。
これにより、ピストンリングの磨耗やターボチャージャーの性能低下等のエンジンの性能劣化による、空気量、筒内圧の低下分を補って、経時変化前のエンジンの運転状態に近い状態にすることができるようになる。
なお、参照パラメータが安定し、また、制御パラメータの制御値も一定値を保つエンジンの運転状態の方が、より適切に補正量を算出することができるので、この所定のエンジン運転状態は、安定していることが望ましく、エンジン暖機完了後の定常運転の運転状態等が好ましい。このエンジンの運転状態を示すものとしては、エンジン回転数、燃料噴射量をはじめ、エンジン暖機状態(冷却水温度)、外気温度、大気圧等がある。
上記のエンジンの制御方法において、前記所定の場合が、走行距離が所定の走行距離以上の場合、あるいは、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又はその組み合わせ又は全部における検出値と目標値との偏差が所定の閾値より大きくなった場合であると、自動補正を行う時期を簡単な方法で決定することができる。つまり、走行距離や参照パラメータを所定の閾値と比較するだけであるので、自動補正の開始判断が容易にできるようになる。
上記のディーゼルエンジンの制御方法において、前記参照パラメータを用いて、最適化法により目標値としての燃料消費率を優先的に最小にすると、つまり、最適化計算をする際に燃料消費量を優先的に最小にすると、参照パラメータの間での重み付けなどが比較的簡単になるため、最適化が非常に単純化されて、各制御パラメータの補正量の算出が容易となる。また、燃料消費率は、エンジン性能の中でも重要視されているので、劣化補正によるエンジン性能の回復の方向が好ましい方向となる。
つまり、各参照パラメータの幾つか又は全部の検出値と目標値の偏差を小さくしようとすると、一つの参照パラメータ(例えば、吸入空気量)の偏差を小さくできても、必ずしも、他の参照パラメータ(例えば、NOx排出量)の偏差を小さくできるとは限らないため、各参照パラメータの間で優先度合を決めて重み付けを行うか、目的関数そのものを工夫して擬似的な別の目的関数を作り出す必要がある。参照パラメータが多くなると、この重み付けや重み付けされた目的関数の最適化の計算が増えたり、擬似的な別の目的関数の作成が難しくなる。そのため、最適化計算を実行する際に、燃料消費率を優先的に小さくするようにすると簡単な最適化法で、制御パラメータの最適制御値を算出することができるようになる。
上記のエンジンの制御方法において、前記参照パラメータと前記補正対象パラメータとを、実験データを基に最小二乗法を用いて求めた回帰モデルで関連付けると、比較的容易に両者の関連付けができる。
上記の目的を達成するためのエンジンは、エンジンの過給器系の性能劣化に対してエンジンの制御値を補正する制御装置を備えたエンジンにおいて、前記制御装置が、EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の少なくととも2つ以上を補正対象パラメータとすると共に、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部を参照パラメータとし、所定の場合に、所定のエンジン運転状態の下で、前記参照パラメータの検出値と目標値との偏差が全体的に小さくなるように、最適化法を用いて、前記補正対象パラメータの最適制御値を求めて、前記補正対象パラメータの最適制御値と制御値との差から補正量を算出し、この補正量で、前記補正対象パラメータの制御値を算出するためのデータを補正する劣化自動補正手段を備えて構成される。
この構成により、ピストンリングの磨耗やターボチャージャーの性能低下等のエンジンの性能劣化による、空気量、筒内圧の低下分を補って、経時変化前のエンジンの運転状態に近い状態にすることができるようになる。
上記のエンジンにおいて、前記制御装置が、前記所定の場合を、走行距離が所定の走行距離以上の場合、あるいは、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又はその組み合わせ又は全部における検出値と目標値との偏差が所定の閾値より大きくなった場合とするように構成すると、走行距離や参照パラメータを所定の閾値と比較するだけであるので、自動補正の開始判断が容易にできるようになる。
上記のエンジンにおいて、前記制御装置が、前記参照パラメータを用いて、最適化法により目標値としての燃料消費率を優先的に最小にするように構成すると、つまり、最適化計算を実行する際に、燃料消費率を優先的に最小にするように構成すると、参照パラメータの間での重み付けなどが比較的簡単になるため、最適化が非常に単純化されて、各制御パラメータの補正量の算出が容易となる。また、燃料消費率は、エンジン性能の中でも重要視されているので、劣化補正によるエンジン性能の回復の方向が好ましい方向となる。
上記のエンジンにおいて、前記制御装置が、前記参照パラメータと前記制御パラメータとを、実験データを基に最小二乗法を用いて求めた回帰モデルで関連付けるように構成すると、比較的容易に両者の関連付けができる。
本発明に係るエンジンの制御方法及びエンジンによれば、エンジンの長時間使用時における過給器系の性能劣化に対して、EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の制御パラメータのうちの2つ以上の補正対象パラメータの制御値を自動的に補正することができ、エンジン性能の中で、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数の一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部の参照パラメータにおいて、検出値が劣化前の初期に設定される目標値に近い値になるようにすることができ、これにより、燃料消費率等のエンジン性能の低下を改善することができる。
以下、本発明に係るエンジンの制御方法及びエンジンについて、図面を参照しながら説明する。ここではディーゼルエンジンを例にして説明するが、本発明はこのディーゼルエンジンに限定されるものではなく、他のエンジンにも適用できる。
図1に、本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンの構成を示す。このディーゼルエンジン10では、エンジン本体11に新規空気Aを導入するための吸気通路12と、排気ガスGを排出するための排気通路13とが接続されている。また、排気再循環(EGR)を行うためにEGRガスGeを循環させるためのEGR通路14が排気通路13と吸気通路12を接続して設けられている。また、エンジン本体11のクランクケース内で発生したブローバイガスGbを再循環させるためのブローバイガス通路15がエンジン本体11とコンプレッサ17aの上流側の吸気通路12に接続している。
吸気通路12には、エアクリーナー16と、可変容量式ターボーチャージャー(VGT)17のコンプレッサ17aとインタークーラー18とが配置されている。排気通路13には可変容量式ターボーチャージャー17のガスタービン17bと排気ガス浄化装置(図示しない)と消音器(図示しない)が配置されている。また、EGR通路14には、EGRクーラー19とEGR弁20とが配置され、ブローバイガス通路15にはオイルセパレータ21が配置されている。また、エンジン本体11の燃焼室22には、燃料噴射弁(インジェクタ)23が配置されている。
そして、吸気通路12に、吸入空気量D2aを検出するための吸入空気量センサ31、過給圧D2bを検出するための過給圧センサ32、吸気酸素濃度D2cを検出するための吸気酸素濃度センサ33が配置される。また、燃焼室22に、筒内圧(シリンダ内圧力)D2dを検出するための筒内圧センサ34が配置され、排気通路13に、NOx排出量D2eを検出するためのNOxセンサ35と排気温度D2fを検出するための排気温度センサ36とが配置される。また、ガスタービン17bのタービン回転数D2gを検出するためのタービン回転数センサ37を設ける。
これらのセンサの検出値は、エンジン10を制御するECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれる制御装置30に入力される。更に、この制御装置30には、エンジン運転状態を示すエンジン回転数Neやアクセル開度センサ38で検出されるアクセル開度、燃料噴射量Q、冷却水温度、排気温度D2f、タービン回転数D2g等も入力される。この制御装置30では、これらのエンジンの運転に必要なデータを入力して、予め設定されたデータやプログラムにより、EGR弁開度Cad、可変容量式ターボチャージー17の可変ノズル開度Cbd、燃料の噴射時期Ccd、燃料の噴射圧力Cdd等の制御パラメータの制御値(指示値)Cid(Cad,Cbd,Ccd,Cddの代表としてCidとする)を算出して、これらに対応する制御信号を出力して、EGR弁20、可変容量式ターボーチャージャー17の可変ノズル(図示しない)、燃料噴射弁23、燃料ポンプ(図示しない)を制御している。
次に、エンジン10の制御ロジックについて説明する。エンジン10の運転時に制御する制御パラメータとして、EGR弁開度Cad、VGT開度Cbd、噴射時期Ccd、噴射圧力Cdd等の制御値(指示値)Cidを算出して、この制御値CidでEGR弁20、可変ノズル開度、燃料噴射弁23等の燃料噴射制御装置を制御している。この制御値Cidを算出する算出ロジックのブロック図の例を図2〜図4に示す。
図2に、EGR弁開度の制御値Cadを算出するブロック図の例を示す。このEGR弁開度Cadの算出のブロックは、制御値算出ブロックA1aと自動補正量算出ブロックA2aとからなり、制御値算出ブロックA1aは基本開度算出ブロックB1aと補正開度算出ブロックB2aと目標過給圧算出ブロックB3aとを有して構成され、自動補正量算出ブロックA2aは劣化自動補正量算出ブロックB4aを有して構成されている。
このEGR弁20の弁開度の最終的な制御値(指示弁開度)Cadは、次のようにして算出される。制御値算出ブロックA1aでは、制御時の、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Q、エンジン暖機状態(冷却水温度)、外気温度、大気圧等のエンジン運転状態を示すデータD1を入力して、基本開度ブロックB1aで、基本開度Caaが算出される。また、目標過給圧算出ブロックB3aで、その時々のエンジン運転状態を示すデータD1から目標過給圧D2acが算出される。この目標過給圧D2acと過給圧センサ32で計測された測定過給圧D2amとの偏差が、補正開度ブロックB2aに入力されて、補正開度Cabが算出される。この補正開度Cabは、主に過渡運転時の過給圧遅れによるEGR率の過剰を防止するために算出される。そして、この基本開度Caaと補正開度Cabの和としてEGR弁20の最終的なEGR弁開度Cadが求められる。なお、ここでは、補正開度Cabの算出に過給圧を用いたが、空気量を用いてもよい。
本発明では、制御値算出ブロックA1aに、自動補正量算出ブロックA2aを加えて設ける。この自動補正量算出ブロックA2aでは、劣化自動補正量算出ブロックB4aで、エンジンの運転状態を示すデータD1と、エンジンの劣化度合のモニター用として使用される参照パラメータのデータD2とから、EGR弁開度に対する補正量ΔCaを算出する。この参照パラメータとしては、吸入空気量D2a、過給圧D2b、吸気酸素濃度D2c、筒内圧D2d、NOx排出量D2e、排気温度D2f、タービン回転数D2gのうちのいずれか一つ、又は、幾つかの組み合わせ、又は、全部を用いる。この補正量ΔCaが経時変化による性能劣化に対する補正量として基本開度算出ブロックB1aに入力される。なお、この図2では、参照パラメータのデータD2としても使用される測定過給圧D2amが、この自動補正以外の補正開度算出ブロックB2aでも使用されているので、参照パラメータのデータD2とは別にして示してある。
図3に、可変容量式ターボチャージャー17の可変ノズル開度(VGT開度)の制御値Cbdを算出するブロック図の例を示す。この可変ノズル開度の算出のブロックは、EGR弁開度の制御値Cadを算出するブロックと同様である。この可変ノズル開度Cbdの算出のブロックは、制御値算出ブロックA1bと自動補正量算出ブロックA2bとからなり、制御値算出ブロックA1bは基本開度算出ブロックB1bと補正開度算出ブロックB2bと目標過給圧算出ブロックB3bとを有して構成され、自動補正量算出ブロックA2bは劣化自動補正量算出ブロックB4bを有して構成されている。
この可変ノズル開度の最終的な制御値(指示開度)Cbdは、次のようにして算出される。制御値算出ブロックA1bでは、制御時の、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Q、エンジン暖機状態(冷却水温度)、外気温度、大気圧等のエンジン運転状態を示すデータD1を入力して、基本開度ブロックB1bで、基本開度Cbaが算出される。また、目標過給圧算出ブロックB3bで、その時々のエンジン運転状態を示すデータD1から目標過給圧D2acが算出される。この目標過給圧D2acと過給圧センサ32で計測された測定過給圧D2amとの偏差が、補正開度ブロックB2bに入力されて、補正開度Cbbが算出される。そして、この基本開度Cbaと補正開度Cbbの和として最終的な可変ノズル開度Cbdが求められる。なお、ここでは、補正開度Cabの算出には過給圧のみを用い、空気量は用いない。
本発明では、制御値算出ブロックA1bに、自動補正量算出ブロックA2bを加えて設ける。この自動補正量算出ブロックA2bでは、劣化自動補正量算出ブロックB4bで、エンジンの運転状態を示すデータD1と、エンジンの劣化度合のモニター用として使用される参照パラメータのデータD2とから、可変ノズル開度に対する補正量ΔCbを算出する。この参照パラメータとしては、吸入空気量D2a、過給圧D2b、吸気酸素濃度D2c、筒内圧D2d、NOx排出量D2e、排気温度D2f、タービン回転数D2gのうちのいずれか一つ、又は、幾つかの組み合わせ、又は、全部を用いる。この補正量ΔCbが経時変化による性能劣化に対する補正量として基本開度算出ブロックB1bに入力される。なお、この図3では、参照パラメータのデータD2としても使用される測定過給圧D2amが、この自動補正以外の補正開度算出ブロックB2bでも使用されているので、参照パラメータのデータD2とは別にして示してある。
図4に、燃料の噴射時期の制御値Ccdを算出するブロック図の例を示す。この燃料の噴射時期の算出のブロックは、制御値算出ブロックA1cと自動補正量算出ブロックA2cとからなり、制御値算出ブロックA1cは基本値算出ブロックB1cを有して構成され、自動補正量算出ブロックA2cは劣化自動補正量算出ブロックB2cを有して構成される。
この燃料の噴射時期の最終的な制御値Ccdは、次のようにして算出される。制御値算出ブロックA1cで、エンジン運転状態を示すデータD1を入力して、基本値算出ブロックB1cで、燃料の噴射時期の基本値Ccaが算出される。本発明では、この通常運転の制御値算出ブロックA1cに、自動補正量算出ブロックA2cが追加して設けられ、劣化自動補正量算出ブロックB2cで、エンジンの運転状態を示すデータD1と、エンジンの劣化度合のモニター用として使用される参照パラメータのデータD2とから、燃料の噴射時期に対する補正量ΔCcを算出する。この補正量ΔCcが経時変化による性能劣化に対する補正量として基本値算出ブロックB1cに入力される。なお、燃料の噴射圧力の制御値Cdd等も、この燃料の噴射時期の制御値Ccdと同様な算出ブロックの構成で,同様に算出される。
次に、劣化自動補正の制御フローについて、図5及び図6を参照しながら説明する。図5の制御フローはエンジンの運転開始と共にスタートし、エンジンの運転制御と並行して実施され、エンジンの運転終了でリターンして終了する制御フローとして示してある。なお、予め、参照パラメータとして、吸入空気量D2a、過給圧D2b、吸気酸素濃度D2c、筒内圧D2d、NOx排出量D2e、排気温度D2f、タービン回転数D2gの一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部を選択し、補正対象パラメータとして、EGR弁開度Ca、VGT開度Cb、噴射時期Cc、噴射圧力Cdの制御パラメータのうちの少なくととも2つ以上を選択しておく。
この制御フローがスタートすると、ステップS11で、エンジン10の運転状態を示すデータD1を入力する。具体的には、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Q、冷却水温度等を入力する。次のステップS12で、劣化補正のための補正量算出が可能なエンジンの運転状態であるか否かを判定する。この判定は、例えば、エンジン冷却水温度が所定の閾値以上、エンジン回転変化率が所定の閾値以内、燃料噴射量変化率が所定の閾値以内、安定時間が所定の閾値以上の全条件を満たしている(YES)か、否か(NO)で判断する。満たしていない場合は、ステップS11に戻り、所定の時間毎にステップS12の判定を行う。満たしている場合には、ステップS13に行く。
このステップS12の判定により、劣化自動補正の補正量が算出可能であるとする時のエンジン運転状態を、参照パラメータD2がそれぞれ安定し、また、制御パラメータの制御値Cidも略一定値を保っている状態とすることができる。この運転状態としては、例えば、エンジン暖機完了後の定常運転の運転状態等が好ましい。このようなエンジン10の運転状態では、より適切に補正量ΔCi(=ΔCa,ΔCb,...)を算出することができる。
ステップS13で、走行距離Mmの入力と、参照パラメータD2の検出値D2im(=D2am,D2bm,.....)と参照パラメータD2の目標値D2ic(=D2ac,D2bc,.....)を入力する。次のステップS14では、次のステップS15で自動補正の時期か否かを判定する前に、ステップS13の制御パラメータの制御値Cid、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Q、参照パラメータの検出値D2imと目標値D2icとその差分等のデータを、ステップS15で自動補正の時期(YES)になるまで、所定のメモリに記憶してデータを蓄積する。この蓄積されたデータで劣化自動補正を確実に精度良く行う。
次のステップS15で、自動補正の時期であるか否かを判定する。この判定は、検出された走行距離Mmが予め設定された所定の走行距離ML以上である場合、又は、参照パラメータD2のいずれか一つ又はその組み合わせにおいて、検出値D2imと、エンジンの運転状態に対応して予め設定されている目標値D2icとの偏差が所定の閾値より大きくなった場合に、自動補正の時期である(YES)と判断する。
ステップS15での判定が自動補正の時期では無い(NO)の場合には、ステップS13に戻り、所定の時間毎にステップS15の判定を行う。自動補正の時期である(YES)場合には、ステップS20の劣化自動補正に行く。
この劣化自動補正は、図6に示すように、ステップS21では、ステップS14で記憶及び蓄積した参照パラメータの検出値D2imと目標値D2icと制御値Cidを入力する。次のステップS22で、多目的最適化により最適制御値Cieを算出する。この自動補正における補正量ΔCiの算出は、次のようにして行われる。
最初に、制御パラメータCiと参照パラメータD2iとの関係は、予め実験などにより求めて置き、各参照パラメータD2iは、EGR弁開度Cad、可変ノズル開度(VGT開度)Cbd、噴射時期Ccd、噴射圧力Cddの4つの制御パラメータの制御値Cidで表現できるように、言い換えれば、各参照パラメータD2iを4つの制御パラメータの制御値Cidの関数として表現できるようにしておく。例えば、これらの関係を示す回帰モデル式を2次多項式で近似して、実験データから最少二乗法を使って、この2次多項式の係数を求めることで、関数表示することができる。
これらの関係を図7に模式的に示す。この図7では、各小図で示すように、縦軸の参照パラメータD2i(=D2a,D2b,...)は、実験結果等で回帰モデルにより、横軸の制御パラメータの制御値Cid(=Cad,Cbd,...)で表現されている。なお、この縦軸以外の横軸は、EGR弁開度Ca、可変ノズル開度Cb、噴射時期Cc、噴射圧力cdの4軸であるが、4軸表現は難しいので、図7では、イメージし易いように仮に2軸で表現している。
次に、多目的最適化について説明する。ここでは、NOx排出量D2e、筒内圧D2d、排気温度D2f、タービン回転数D2g及び燃料消費率D2hの回帰モデルを目的関数とし、燃料消費率D2hを優先的に最小にするように多目的最適化を行う場合について説明する。
この場合、各参照パラメータD2iの検出値D2imと目標値D2icの偏差を少なくする方向に最適制御値Cieを検索すると共に、NOx排出量D2eに関しては所定の値になるようにする。また、筒内圧D2d、排気温度D2f、タービン回転数D2gについては、偏差を少なくすると共に、所定の閾値以下に納める制約条件を適用する。
この多目的最適化により、補正対象パラメータ(設計変数)の最適制御値Cieを求めることが可能となる。また、本発明で補正される補正パラメータは、初期値に対して僅かな補正を想定しているため、最適制御値Cieの算出においては、初期値に対して所定の閾値を設定し、その範囲内でおこなう。
この多目的最適化の演算手法には、遺伝的アルゴリズム等があるが、市販されている商用プログラム等を用いることができ、これらのプログラムを使用することで、容易に補正対象パラメータの最適制御値Cieを求めることができる。
この説明では、多目的最適化で使用する回帰モデルをNOx排出量D2e、筒内圧D2d、排気温度D2f、タービン回転数D2g、及び燃料消費率D2hとしたが、必要に応じ、その他の回帰モデルを使用する。適用する回帰モデルに応じて制約条件が異なるため、運転条件に応じて、適用する回帰モデルを選択する。具体的には、部分負荷運転領域での多目的最適化では、筒内圧に余裕があるため、筒内圧D2dの回帰モデルを適用しなくても良い。
次のステップS23で、この各補正対象パラメータの最適制御値Cieと、現状の制御値Cidとの差から各補正量(劣化補正量)ΔCi(=ΔCa,ΔCb,...)を算出し、この各補正量ΔCiで、各補正対象パラメータの制御値Cidを算出するためのデータを補正する。つまり、この各補正対象パラメータの補正量ΔCiで、劣化自動補正マップを作成し、この劣化自動補正マップを更新する。この更新により、各制御値Cidを算出する際のマップデータ等のデータが自動的に補正される。
この劣化自動補正マップの更新により、更新後は、自動的に、エンジンの性能の劣化分を補う補正量が加味された状態で、補正対象パラメータとして選択された制御パラメータの制御値Cidが算出されるようになり、エンジンの劣化状態に対応した制御値Cidとなる。なお、ここでは、図2〜図4の算出ブロックに従って、制御値Cidの算出量のデータを補正量ΔCiで補正しているが、各制御値を算出した後に、この補正量ΔCiで補正して制御値Cidを求めるように構成してもよい。
このステップS20の劣化自動補正が終了すると、図5のステップS16で、走行距離Mmをゼロにリセットする(Mm=0)。このリセットにより、所定の走行距離ML毎に劣化自動補正を行うようになる。このステップS16の後は、ステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS16を繰り返す。なお、エンジンが運転停止になると、割り込みが発生して、リターンして、この図5の制御フローも終了する。但し、終了時の走行距離Mm等は所定のメモリに記憶し、次回の制御フローの開始では、この所定のメモリから読み出した走行距離Mmを初期値として積算が継続されるように構成する。
図5及び図6の制御フローにより、劣化自動補正による補正量ΔCiは、所定の走行距離ML毎に、あるいは、参照パラメータD2iのいずれか一つ又はその組み合わせにおいて、これらの検出値D2imと、エンジンの運転状態に対応して予め設定されている目標D2icとの偏差が所定の閾値より大きくなった場合に改めて算出されて、次の算出まで、その値に固定される。なお、走行距離Mmや参照パラメータD2iを自動補正の開始時期の判定に用いると、自動補正を行う時期を簡単な方法で決定することができる。
これにより、この自動補正後の制御値Cidで、EGR弁20、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズル、燃料噴射弁23、燃料ポンプ等を制御することにより、参照パラメータD2iの実際の値を示す検出値D2imが、経時変化による性能劣化前の初期設定時の目標値D2icに近づくことになり、ピストンリングの磨耗やターボチャージャーの性能低下による空気量、筒内圧の低下分を補って、性能劣化前のエンジンの運転状態を維持できるようになる。
また、この制御方法において、燃料消費率D2hを優先的に最小にするようにすると、参照パラメータの間での重み付けなどが比較的簡単になるため、最適化が容易となる。また、燃料消費率のみを目的関数とすると、一つの目的関数の最適化となり、非常に単純化されるので、各補正対象パラメータの補正量ΔCiの算出が容易となる。
図8に、初期状態A1と劣化補正が無い場合A2と劣化補正した場合A3の燃料消費率D2hの変化を模式的に示す。劣化自動補正により、劣化補正の無いカーブA2であったものが、劣化補正した場合のカーブA3となり、100万km走行後の劣化割合を改善量ΔD2h分だけ改善することができる。ただし、ピストンリングの磨耗等の補正することができない性能劣化もあるため、初期状態をそのまま維持することはできない。
図9に、初期状態と、補正をしない劣化状態と、EGR弁開度と可変ノズル開度のみを補正した補正その1と、EGR弁開度と可変ノズル開度に加えて燃料の噴射時期を補正した補正その2とを示す。
劣化状態では、同じ制御値Cidでエンジンの運転を制御していても、ブローバイガスによるコンプレッサ効率の低下等により、新規空気が減少し、EGRガス量が増加してくる。その結果、初期状態に比べて、NOx排出量D2eは減少するが、燃料消費率(SFC)D2hが増加する。
補正その1では、補正対象パラメータとして、EGR弁開度Cadと可変ノズル開度Cbdを選択し、その両方を小さくする方向(閉じる方向に)補正することで、新規空気量とEGRガス量を調整し、これにより、NOx排出量D2eを初期状態に戻すことができるが、可変ノズル開度を絞ることによる背圧上昇分のポンピングロス増加のため、燃料消費率D2hの悪化が生じる。
補正その2では、補正対象パラメータとして、EGR弁開度Cadと可変ノズル開度Cbdに加えて燃料の噴射時期Ccdを選択し、燃料の噴射時期Ccdを進角させると共に、EGR弁開度Cadと可変ノズル開度Cbdを大きくする方向に補正することで、新規空気量とEGRガス量を調整した。この噴射時期の進角により、筒内の燃焼を改善して、燃料消費率D2hを改善することができ、新規空気量とEGR量を共に初期状態よりも増すことにより、シリンダ内に取り込まれるトータル吸気酸素量を確保すると共にEGR率も確保して、NOx排出量D2eを初期状態に戻すことができる。この補正その2では、NOx排出量D2eと燃料消費率D2hの両方の性能劣化を回復している。但し、ピストンリングの磨耗等の、補正することができない性能劣化もあるため、初期状態をそのまま維持することはできない。
本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンの構成を示す図である。 EGR弁開度の制御値の算出のブロック図である。 可変ノズル開度(VGT開度)の制御値の算出のブロック図である。 燃料の噴射時期の制御値の算出のブロック図である。 劣化自動補正のための制御フローを示す図である。 劣化自動補正の制御フローを示す図である。 参照パラメータと対象パラメータと制御パラメータとの関係を示す図である。 劣化自動補正の効果を説明するための走行距離と燃料消費率の関係を示す図である。 制御パラメータの補正の差による効果の差を説明するための図である。
符号の説明
10 ディーゼルエンジン
17 可変容量式ターボーチャージャー
20 EGR弁
23 燃料噴射弁(インジェクタ)
30 制御装置(ECU)
31 吸入空気量センサ
32 過給圧センサ
33 吸気酸素濃度センサ
34 筒内圧センサ
35 NOxセンサ
36 アクセル開度センサ
A1a、A1b、A1c 制御値算出ブロック
A2a、A2b、A2c 自動補正量算出ブロック
B1a、B1b 基本開度算出ブロック
B1c 基本値算出ブロック
B2a、B2b 補正開度算出ブロック
B2c、B4a、B4b 劣化自動補正量算出ブロック
B3a、B3b 目標過給圧算出ブロック
Caa、Cba 基本開度
Cab、Cbb 補正開度
Cad EGR弁開度
Cbd VGT開度
Ccd 燃料の噴射時期
Cdd 燃料の噴射圧力
Cid 制御値
Cie,Cae,Cbe,... 補正対象パラメータの最適制御値
D1 エンジンの運転状態を示すデータ
D2 参照パラメータのデータ
D2ac 目標過給圧
D2am 測定過給圧
D2a 吸入空気量
D2b 過給圧
D2c 吸気酸素濃度
D2d 筒内圧
D2e NOx排出量
D2f 排気温度
D2g タービン回転数
D2h 燃料消費率
D2i 参照パラメータ
D2im,D2am,D2bm,..... 参照パラメータの検出値
D2ic,D2ac,D2bc,..... 参照パラメータの目標値
Ne エンジン回転数
Mm 走行距離
ML 所定の走行距離
Q 燃料噴射量
ΔCi 補正量

Claims (8)

  1. エンジンの過給器系の性能劣化に対してエンジンの制御値を補正するエンジンの制御方法において、
    EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の少なくととも2つ以上を補正対象パラメータとすると共に、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部を参照パラメータとし、
    所定の場合に、所定のエンジン運転状態の下で、
    前記参照パラメータの検出値と目標値との偏差が全体的に小さくなるように、最適化法を用いて、前記補正対象パラメータの最適制御値を求めて、前記補正対象パラメータの最適制御値と制御値との差から補正量を算出し、
    この補正量で、前記補正対象パラメータの制御値を算出するためのデータを補正する
    ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  2. 前記所定の場合が、走行距離が所定の走行距離以上の場合、あるいは、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又はその組み合わせ又は全部における検出値と目標値との偏差が所定の閾値より大きくなった場合であることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御方法。
  3. 前記参照パラメータを用いて、最適化法により目標値としての燃料消費率を優先的に最小にすることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの制御方法。
  4. 前記参照パラメータと前記補正対象パラメータとを、実験データを基に最小二乗法を用いて求めた回帰モデルで関連付けることを特徴とする請求項1、2又は3記載のエンジンの制御方法。
  5. エンジンの過給器系の性能劣化に対してエンジンの制御値を補正する制御装置を備えたエンジンにおいて、
    前記制御装置が、
    EGR弁開度、可変容量式ターボチャージャーの可変ノズルの開度、燃料の噴射時期、燃料の噴射圧力の少なくととも2つ以上を補正対象パラメータとすると共に、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又は幾つかの組み合わせ又は全部を参照パラメータとし、
    所定の場合に、所定のエンジン運転状態の下で、
    前記参照パラメータの検出値と目標値との偏差が全体的に小さくなるように、最適化法を用いて、前記補正対象パラメータの最適制御値を求めて、前記補正対象パラメータの最適制御値と制御値との差から補正量を算出し、
    この補正量で、前記補正対象パラメータの制御値を算出するためのデータを補正する劣化自動補正手段を備えている
    ことを特徴とするエンジン。
  6. 前記制御装置が、前記所定の場合を、走行距離が所定の走行距離以上の場合、あるいは、吸入空気量、過給圧、吸気酸素濃度、筒内圧、NOx排出量、排気温度、タービン回転数のいずれか一つ又はその組み合わせ又は全部における検出値と目標値との偏差が所定の閾値より大きくなった場合とすることを特徴とする請求項5記載のエンジン。
  7. 前記制御装置が、前記参照パラメータを用いて、最適化法により目標値としての燃料消費率を優先的に最小にすることを特徴とする請求項5又は6記載のエンジン。
  8. 前記制御装置が、前記参照パラメータと前記補正対象パラメータとを、実験データを基に最小二乗法を用いて求めた回帰モデルで関連付けることを特徴とする請求項5、6又は7記載のエンジン。
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