JP2009197308A - 溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設備負荷を増加したり、合金化処理での不安定性を助長したりするなど、何らかの副作用をもたらす従来のドロス欠陥対策とは異なる新たなドロス抑制手段を備える溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法を提供する。
【解決手段】Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用い、Ni、Cr、およびMnからなる群から選ばれる1種または2種以上をFeに対する質量比で0.01以上、および/または、SiをFeに対する質量比で0.002以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行って溶融亜鉛めっき鋼材を得る。得られた溶融亜鉛めっき鋼材を加熱して合金化処理を行って合金化溶融亜鉛めっき鋼材を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法に関する。さらに詳しくは、連続的な操業において、めっき浴での浮遊ドロスおよびボトムドロスの発生が抑制される、溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法に関する。
溶融亜鉛めっき鋼板は、安価な防錆鋼板として、家電、建材、家具、什器等様々な用途に適用されている。とりわけ、溶融亜鉛めっき後に亜鉛めっき層をFe-Zn合金化処理した合金化溶融めっき鋼板は溶接性と塗装後の耐食性がよいので自動車外装用鋼板に大量に使用されている。このような用途拡大に伴い、溶融亜鉛めっき鋼板の品質特性、特に表面品質に対する要求が厳しくなっている。
この表面品質に影響を及ぼすものの一つに、溶融亜鉛めっきを施す際にめっき槽内で発生するドロスが挙げられる。溶融亜鉛めっき作業中、母材は溶融亜鉛めっき浴に浸漬されるが、この間に母材から少量のFe原子が浴中に溶出する。「ドロス」とは、この溶出したFe原子が浴中のZnやAlと反応して金属間化合物などを形成し、それが粒状に凝集成長したものである。鋼板にドロスが付着すると、外観が損なわれるうえ、プレス成形時に鋼板に押し込まれて反対面にプリントスルーと称される外観不良が発生する要因になる。このように表面欠陥の原因になるため、ドロスが付着した鋼板は外観が重要視される用途には使用できない。
Feとめっき材料との合金であるドロスの中で、比重が大きいものは、めっき槽底部に沈降し堆積する。このようなドロスはボトムドロスまたは浴低ドロスと呼ばれ、Fe-Zn系合金(特にFeZn)を主成分とする。一方、比重が小さいものは、めっき浴表面に浮上する。これはトップドロスまたは浴面ドロスと呼ばれ、通常Fe-Al系合金(特にFeAl)を主成分とする。これ以外に、Fe-Zn系合金のものでも比較的結晶粒径が小さいものやFe-Zn系とFe-Al系の混合形態のものは、Znポットを長時間静置してもめっき浴中に浮遊したままであって浴面まで浮上しきらない場合が多い。このようなドロスを「浮遊ドロス」と定義し、トップドロス(浴面ドロス)およびボトムドロス(浴低ドロス)と区別する。
ドロス欠陥対策の一つは、溶融亜鉛めっき浴のAl濃度を高めることである。Al濃度を高めることにより鋼板からのFeの溶出が抑制される。また、下記の反応式(1)に示されるドロスの変態を利用してボトムドロスをトップドロス化して浮上させることができる。なお、トップドロスは操業中でもくみ出すことによって容易に除去することができる。
2FeZn7+5Al → Fe2Al5+14Zn (1)
しかし、めっき浴のAl濃度を増加させてめっきすると、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に、めっき層をFe-Zn合金化する際の反応性が著しく阻害される場合がある。この場合には、生産性が損なわれる上、合金化反応が不均一になるため鋼板の表面性状が悪くなってしまう。これらの理由から、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たって、溶融亜鉛めっき浴のAl濃度を必要以上に増加させるべきではない。
そこで、特許文献1には、溶融亜鉛めっき浴のめっき槽をめっき域、ドロス処理域、Al除去域に区分する方法が開示されている。この方法では、まず、ドロスを含有するめっき浴をドロス処理域に導き、Alを添加してドロスと反応させて浴中ドロスを浮上させてこれを除去する。その後Al除去域においてドロス除去浴に脱Al剤を添加してAl含有量を調整し、これをめっき域に戻してめっき浴としている。しかしこの方法では、めっき域以外にドロス処理域および浴のAl濃度調整域が必要であるため、従来の方法に較べて大型のめっき槽が必要となる。このため、スペースや設備費が増すこととなり、容易には行うことができない。
また、特許文献2には、溶融亜鉛めっき浴のスナウト内部のめっき浴の表面に浮遊するドロスを470℃以上に加熱し、めっき浴温度を450℃以上、470℃未満に保持してめっきを行う方法が開示されている。この方法は、スナウト内部に存在するドロスを加熱して軟化させ、めっき浴に浸漬される鋼板にドロスが接触してもすり疵とならないようにするものである。しかしながら、このように浴面だけを加熱する手段では、局所的に浴温が不均一になる。このとき、浴内で相対的に浴温が低下した個所ではFeが過飽和となる場合があり、このFeがドロスの核発生となり浮遊ドロスの助長要因となりうる。
特許文献3には、めっき浴中に0.005重量%から飽和するまでの量のSiを含有させた溶融亜鉛めっき浴を用いてめっきする方法が開示されている。この方法によれば、ボトムドロスの形成が抑制され、さらにアルミニウムを含むトップドロス(該公報では「浮遊ドロス(floating dross)」と記されている。)も発生せず、少量のFe−Siを発生する程度であるとされている。しかしながら、このように多量のSiを含有するめっき浴を用いてめっきすると、Siによって合金化処理時の反応性が阻害されるおそれがある。
特開平2-34761号公報 特開昭58−167708号公報 特開平8-502098号公報
このように、これまで提案されているドロス欠陥対策は、設備負荷を増加したり、合金化処理での不安定性を助長したりするなど、何らかの副作用をもたらすものであった。また、上記のようなドロス欠陥対策はめっき鋼板のみならずめっき鋼材全般に共通の課題である。
そこで、本発明では、従来のドロス欠陥対策とは異なる新たなドロス抑制手段を備える溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するに当たって、本発明者は、ドロス抑制の必要性について、ドロスの種類ごとに改めて検討を行った。
まず、浮遊ドロスは、めっき浴中に浮遊するため、めっき浴中に送給されるめっき鋼板などのめっき鋼材に容易に付着しうる。したがって、浮遊ドロスはできる限り少なくすることが好ましい。
次に、ボトムドロス(Fe-Zn系のドロス)は、通常、浴底部に堆積しており、そのままであればめっき鋼材に付着することはない。しかしながら、めっき鋼材製造時のめっき浴の流動等によりめっき浴中に巻き上げられたり、連続操業中にめっき浴中にFeが不可避的に供給され、その結果として浴中に過飽和に存在したときに前記(1)の反応により比重の低い成分に変態したりする場合がある。この場合には、浮遊ドロスとなって浴中に浮遊してしまい、ドロス欠陥をもたらすおそれがある。このため、ボトムドロスの発生および堆積は極力抑えた方がよい。
続いて、トップドロス(Fe−Al系のドロス)は、浴面に浮いているので、たとえ浴面に残留していても、仕切板やポンプ等で鋼材と接触しないようにすれば、これに起因するドロス欠陥を抑制することができる。しかしながら、トップドロスは、連続操業中のめっき浴中のAl濃度低下に伴って、その一部または全部が前記式(1)の逆反応により比重が高い成分に変態する場合がある。この場合には、浮遊ドロスとなって浴中に浮遊したり、ボトムドロスとなって浴底部に沈降したりして、ドロス欠陥の原因となる。すなわち、トップドロスは、浴面に浮遊するという物理的特性は問題にならないが、前記式(1)の逆反応を起こすという化学的な特性ために存在が否定されているといえる。
従来のドロス欠陥防止方法は、このような観点から、ボトムドロス、トップドロス、浮遊ドロスのいずれも云わば悪者として扱い、これらをいずれも発生させないか、または発生したものを除去することに中心に検討されてきた。
このような従来の考え方に対し、本発明者は、トップドロスは、化学的性質を変化させて浮遊ドロスとの親和性を高めれば、むしろ除去しなくてもよいとの着想に基づき、次の発明を完成させた。
(1)Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、Ni、Cr、およびMnからなる群から選ばれる1種または2種以上をFeに対する質量比で0.01以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法。
ここで、「溶融亜鉛めっき」とは、Zn,Alのほか、浴中にPb、Sb、Cd、Sn、Bi、Mg、Ti等を含有しているめっきをも含むものとする。
(2)Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、SiをFeに対する質量比で0.002以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法。
(3)Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、Ni、Cr、およびMnからなる群から選ばれる1種または2種以上をFeに対する質量比で0.01以上かつSiをFeに対する質量比で0.002以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載される溶融亜鉛めっき浴でめっきされた鋼材を加熱して合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法。
本発明によれば、溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造時に、めっき浴中の浮遊ドロスや粒径の大きいボトムドロスの発生量を抑え、鋼材にドロスが付着することを防止できる。このため、建材、自動車、家電等の構成部材として好適な、良好な表面品質特性を備えた溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材を効率的に製造することができる。
以下に、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法の最良の形態について説明する。以下の説明における溶融亜鉛めっき浴中成分の含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
1.めっきの母材となる鋼材
めっき母材の種類は特に限定するものではなく、極低炭素鋼、低炭素鋼、Si、Mn、Pなどを含有する鋼が対象となる。鋼の強度で言えば、軟鋼や各種の高張力鋼等である。鋼の形態は鋼板に限定する必要はなく、鋼管、条鋼、形鋼等でもよいが、鋼板において特に有用である。鋼板の品種としては冷間圧延鋼板でも熱間圧延鋼板でも構わない。
以下では、鋼板を母材とし、連続溶融めっきライン(CGL)での実施形態を例として説明する。
2.めっきまでの工程
母材はめっき浴温度近傍に調整された後溶融亜鉛めっき槽に送給される。この温度調整として、めっき前の処理として還元雰囲気内で母材を高温加熱または焼鈍し、めっき浴温度近傍まで冷却することが好ましいが、この方法に限定されることはなく、例えば高温加熱や焼鈍を経ないでめっき浴温度近傍まで直接加熱してめっきする方法でも構わない。
3.めっき
本発明では、製品品質や操業に害を与えない範囲で、トップドロスを完全に除去するのではなくめっき浴面に浮遊させながら操業する。以下にその詳細について説明する。
(1)めっき浴組成
a)必須成分
本発明の溶融亜鉛めっき鋼材および合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法(以下「本発明に係るめっき鋼材の製造方法」と略記する。)におけるめっき浴には、ZnおよびAlがめっき成分として含まれ、鋼板に由来するFeも操業中に不可避的に含まれる。
このうち、Alについては、めっき浴中濃度が少なすぎると、トップドロスが前述したような成分であっても、前記式(1)の逆反応が進みやすくなり、ボトムドロスを生成する可能性が高まる。したがって、めっき浴中のAl濃度は0.08%以上とする。より好ましい範囲は0.10%以上である。
一方、浴中Al濃度の上限は特に限定されない。反応式(1)から明らかなように、めっきAl濃度が高いほどボトムドロスが形成されにくいためである。なお、Al濃度が0.30%超であれば、後述する添加成分を含まない通常のトップドロスでも極めて安定しているので、本発明のトップドロスを用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法はAl濃度が0.30%以下の領域で特に有用である。また、浴中のAl濃度が高い場合には合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に合金化反応が遅延され、生産性が阻害されたり合金化ムラが生じたりしやすい。したがって、合金溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、または合金化溶融鉛めっき鋼板と通常の溶融亜鉛めっき鋼板を同一のラインで連続して製造する場合には、めっき浴中のAl濃度を0.15%以下とすることが好ましい。
b)任意成分
本発明に係るめっき鋼材の製造方法は、通常の溶融亜鉛めっきおよび合金化溶融亜鉛めっき製造時に用いられる亜鉛めっき浴に対して適用可能である。したがって、めっき浴中にPb、Sb、Cd、Sn、Bi、Mg、Ti等が少量含まれていても構わない。
また、めっき槽やめっき設備を構成する部材から若干の元素混入が発生していてもよい。
(2)トップドロスの成分および形成方法
a)成分
本発明におけるトップドロスは、通常と同様FeAlを主体とするものであるが、さらに、Ni、Cr、およびMn、ならびにSiからなる群から選ばれる少なくとも一種(以下「添加成分」という。)を含有する。
このうち、Ni、Cr、およびMnについては、その含有量は、少なくともその一種が、トップドロス中のFeに対する質量比として0.01以上である。一方、これらの元素を過剰に含有してもトップドロスとして存在する限りは問題ないと考えられるが、コスト等の観点をも考慮すると1以下が好ましい。より好ましくは0.5以下である。
一方、Siについては、その含有量は、トップドロス中のFeに対する質量比(Si/Fe)として0.002以上である。より好ましい範囲は0.01以上である。一方、Siの含有量が過剰になると、Siのめっき浴中への溶解度は低いものの、その合金化溶融めっき鋼板の製造時の合金化処理の反応性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、めっき浴中のSi濃度を適正な範囲で維持できるように、トップドロス中のSi/Feの上限を0.1以下とすることが好ましく、0.05以下とすればより好ましい。
これらの添加成分が有効である理由は必ずしも明らかでないが、トップドロスの主成分であるFeAlを効率的に生成しているものと推測される。すなわちトップドロスが、浴中に存在している浮遊ドロスを積極的にトラップし、浴中の浮遊ドロスをトップドロスとして、回収していると考えられる。また、この安定化されたトップドロスでは上記式(1)の逆反応は進行しにくいため、このトップドロスからボトムドロスや浮遊ドロスが生成される可能性は極めて少なくなっていると考えられる。
b)形成方法
このようなトップドロスを形成するには、めっき浴に添加成分のみを単体で、またはめっき成分(Zn、Alなど)との合金としてめっき浴に投入すればよく、例えばめっき浴を補給・成分調整するためのインゴットに含ませてもよい。連続的に操業する際には、トップドロス成分の変動を見ながらこのような方法で適宜添加する。この方法によれば、めっき作業を行うことによって形成されるトップドロスに添加成分が取り込まれる。この他、めっき浴を新たに調製した場合等には、調製直後にはトップドロスが浴面に生成されていないため、必要に応じて、別のめっき浴で生成した本発明に係るトップドロスを採取し、この新たなめっき浴面に浮遊させてもよい。
(3)トップドロスによる浴面の被覆率
本発明に係るめっき鋼材の製造方法では、溶融亜鉛めっき浴の浴面を、製品品質や操業に影響を与えない程度にトップドロスで被覆しつつ、めっきを行う。この被覆の程度の好適な範囲は、添加成分の含有量、母材の組成や送給量、めっき浴量と浴面との比率などによって変動する可能性があるが、被覆率として20%以上にすれば本発明のボトムドロス低減効果を安定的に享受することが実現される。ここで、「被覆率」とは、めっき浴面のトップドロスで覆われている部分の面積を目視で評価したものである。例えば、図1(b)のような状態の場合、トップドロスの被覆率は40%である。実操業(図1(b)も同様)では、スナウト内部のトップドロスの状況を必ずしも視認できないことが多いので、その場合は一応目視可能な部分と同様と推定する。なお、図1の被覆部を拡大すれば図2のようにトップドロスが点在している状態ではあるが、本発明ではこの状態で被覆率として規定する。
一方、トップドロスの被覆率の上限は特に規定されない。ただし、鋼板のめっき浴への侵入時や浴面より引き上げられる時に、鋼板にトップドロスが接触しないようにすべきである。この観点から被覆率の上限は80%以下が好ましい。また、トップドロスが鋼板に接触するのを防ぐため、めっき浴面に仕切りを設けたり、浴面の流動やドロスポンプによる強制流動によってめっきポットのコーナー部にトップドロスが集まるようにしたりしてもよい。
なお、長期間の操業でトップドロスの量が多くなりすぎたときには、適宜浴外に除去すればよい。このときは、トップドロス中に含有される添加成分も同時に浴外に除去されるので、除去量に見合う量の添加成分をめっき浴に加えればよい。
(4)めっき浴温
本発明に係るめっき鋼材の製造方法を行うに当たって、めっき浴温度は、440〜480℃、好ましくは450〜470℃とする。浴温が480℃を超えると、前記反応式(1)の逆反応がトップドロスにおいて発生しやすくなり、トップドロスからFe−Zn系合金を含むボトムドロスや浮遊ドロスが生成する可能性が高まる。このため、浴温設定は480℃以下とする。好ましくは470℃以下である。一方、めっき浴温度が過度に低くなると溶融亜鉛の粘性が増し、めっき浴から引き上げられた後に施される高圧ガスなどによるめっき付着量の調整が困難になる。このため、例えば鋼板を対象とする場合には通板速度を遅くする必要が生じ、生産性を損なう。さらにめっき浴温度が低くすぎる場合には、めっきたれ(溶融亜鉛の凝固部分が垂れて凸状になったもの)などの表面欠陥が発生しやすくなるので好ましくない。このため、設定温度は440℃以上とする。好ましくは450℃以上である。
4.合金化処理
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法は、上記のめっき工程で得られた溶融亜鉛めっき鋼材に対して合金化処理を行って合金化溶融めっき鋼材を得る。このときの合金化処理は公知の方法で行えばよい。すなわち、鋼材温度が450〜650℃程度の範囲で目的とする性能が得られるように加熱すればよい。加熱手段についても、輻射加熱、直火加熱、高周波誘導加熱、通電加熱の何れの手段によってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.溶融亜鉛めっき浴の作成、分析
(1)溶融亜鉛めっき浴の作成
Al濃度が0.05〜0.32%の範囲にある溶融亜鉛めっき浴を作成した。めっき浴の浴槽には、黒鉛製のルツボを用いた。このめっき浴中にはNi,Cr,MnおよびSiからなる群から選ばれる一種以上が所定濃度となるように、Ni,CrおよびMnについてはそれぞれの金属粉を、SiについてはZn−5%Al−0.6%Si合金インゴットの形で添加した。さらに浴温を435〜485℃の範囲に調整してから、めっき浴の0.1%に相当するFe粉を添加した。最初に添加した固形物が溶解しないまま残存しないように、めっき浴を十分に攪拌した後、24時間静置した。
24時間静置後のめっき浴面に浮遊するトップドロスを、めっき浴面近傍のめっき浴ごとくみ出して、一旦完全に除去した。
(2)浴組成およびドロス分析
上記のようにして採取したトップドロスの組成およびトップドロスを除いた後のめっき浴の組成を、次の方法で分析した。Si以外の元素については、20%のHCl水溶液に所定量のめっき浴(トップドロスの分析の場合は、これを含むめっき浴)を溶解し、ICP発光分析法にて分析した。Siについては、めっき浴(トップドロスの場合は、これを含むめっき浴)をまず15%NaOH水溶液で溶解し、ろ過した残渣を次いで過酸化水素を4%含有する王水中で加熱して溶解させた後、水を加えて所定の容積にしてからICP発光分析法にて分析した。得られた分析値から、Ni,Si等とFeとの質量比を算出した。
2.ドロス堆積量および浮遊量の測定
(1)ボトムドロス堆積厚み
上記のように一旦除去したトップドロスを、浴面の所定の面積を被覆するように、460℃のめっき浴に再び浮遊させた。その状態でめっき浴を1週間静置した後、めっき浴中に磁製の丸棒を垂直に挿入して、固形物と接触する深さを求めた。そのときのめっき浴槽底面からめっき浴面までの高さからその深さを差し引いて、ボトムドロス堆積厚みを求めた。
(2)浮遊ドロス個数
一週間静置した後めっき浴面のトップドロスを除去し、浴の中央部分から採取用のひしゃく(図3参照)でめっき浴をくみ出した。なお浮遊ドロスの個数は、壁面、底面、浴面のごく近傍でなければさほど変わらないことはあらかじめ確認済みである。この浴サンプル凝固させた後、ひしゃく底面を鏡面研磨し、研磨面について0.01%ナイタール液でエッチングし、その表面を光学顕微鏡により観察して、1cm当たりの平均粒径50μm以上の浮遊ドロス個数(個/cm)を計測した。
3.めっきの外観評価
化学組成が、重量%で、C:0.002%、Si:0.01%、Mn:0.25%、P:0.01%、solAl:0.025%、Ti:0.03%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる、厚さ0.7mm、幅60mmの冷間圧延鋼帯を母材とし、この母材を前処理として70℃の3%NaOH水溶液中に浸漬し、水洗し、乾燥した。
次に、通板速度100m/分で、水素10体積%、残り窒素からなる露点が-50℃の雰囲気中で820℃に加熱し60秒間保持する還元焼鈍を施した後、めっき浴浸漬温度(460℃)まで冷却した。
続いて、竪型溶融亜鉛めっきシミュレータを使用し、上記の460℃で1週間静置しためっき浴に対して、上記の所定温度に冷却された母材を浸漬して、溶融亜鉛めっきを行った。溶融亜鉛めっき浴への浸漬時間は3s間であり、その後上方に引き上げ、ノズルから高圧ガスを吹き付けて、狙い値50g/mでめっき付着量を調整した。
こうして得られためっき後の製品表面を目視検査し、めっきたれの発生状況を以下の基準で判定した。
◎:めっきたれが認められない
○:めっきたれが少量発生しているが外観不良とは判定されない
×:めっきたれが多量に発生し外観不良と判定される
表1に状況を示す。
Figure 2009197308
No.3〜15は、添加成分であるNi、Cr、Mn、およびSiからなる群から選ばれるいずれか一種が、No.16はそれらの全てがトップドロス中にFeに対する質量比で所定量以上に含有される場合である。これらは、いずれもボトムドロスの堆積が約1cmまたはそれ以下であり、また浮遊ドロスの数も少ない。
これに対し、No.1、2はトップドロスにおける添加成分の含有量が所定量よりも少ない場合である。いずれの場合も、浮遊ドロス個数が多く、またボトムドロスの堆積厚みも大きい。なお、No.15はトップドロス中のSi/Fe量が0.1を超えているため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際には合金化を遅延させることが懸念される。
No.17〜21は、No.16と同じトップドロス組成を有しているが、めっき浴温がNo.16とは異なる場合である。浴温が480℃を超えているNo.21はボトムドロス堆積量が多く、浴温が440℃未満であるNo.17は、ボトムドロス堆積量は少ないもののめっきタレによりめっきの外観が悪化する。
No.22〜25は、本発明に係る組成のトップドロスを有するが、めっき浴中のAl濃度が0.13%とは異なる場合である。めっき浴中のAl濃度が0.08%未満であるNo.22は、浮遊ドロスも多く、ボトムドロスの堆積量も多くなる。これに対し、No.23〜26に示されるように浴中Al濃度を高めていくと、ボトムドロスの堆積量は少なくなる。なお、浴中Al濃度が0.30%超のとき(No.26)は、トップドロスの成分や浮遊量によらずとも、もともとボトムドロスが発生しにくい。
No.27〜30は、No.16と同じトップドロス組成を有しているが、めっき浴面のドロス被覆率がNo.16とは異なる場合である。被覆率が10%の場合(No.27)には、浮遊ドロス個数も多く、ボトムドロスも発生しやすい。
(a)(b)は、CGLのめっき槽の側断面図、および上から見た図である。 トップドロス浮遊部(例えば図1(b)の丸囲み部分)の拡大図である。 めっき浴からサンプルを採取するためのひしゃくを概念的に示した斜視図である。

Claims (4)

  1. Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、
    Ni、Cr、およびMnからなる群から選ばれる1種または2種以上をFeに対する質量比で0.01以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  2. Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、
    SiをFeに対する質量比で0.002以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  3. Alを0.08質量%以上含有する440℃〜480℃の溶融亜鉛めっき浴を用いる溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法であって、
    Ni、Cr、およびMnからなる群から選ばれる1種または2種以上をFeに対する質量比で0.01以上かつSiをFeに対する質量比で0.002以上含有するトップドロスを、該めっき浴の浴面の20%以上を被覆するように浮遊させながらめっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載される溶融亜鉛めっき浴でめっきされた鋼材を加熱して合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法。
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