JP2009197302A - 鋼の表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ネストを電気化学的手段で確実に除去するだけでなく、更に防食性を高める鋼の表面処理方法を提供する。
【解決手段】 上記課題は、鋼の表面に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンまたはバリウムイオンのうち少なくとも一つを含んでいる電解質水溶液を接触させ、次いで、これに通電して該表面に付着している陰イオンを除去するとともに上記のアルカリ土類金属の塩を電着物として析出させることを特徴とする鋼の表面処理方法によって解決される。
【選択図】なし
【解決手段】 上記課題は、鋼の表面に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンまたはバリウムイオンのうち少なくとも一つを含んでいる電解質水溶液を接触させ、次いで、これに通電して該表面に付着している陰イオンを除去するとともに上記のアルカリ土類金属の塩を電着物として析出させることを特徴とする鋼の表面処理方法によって解決される。
【選択図】なし
Description
本発明は、鋼製品や、鋼構造物の防食性を高める表面処理方法に関するものである。
鋼製品や鋼構造物は腐食が大きな問題であり、その対策が種々講じられている。ところで、大気中で腐食した鋼材は、鋼と錆の界面に塩素イオンや硫酸イオン等の濃縮域が形成され、これが腐食を促進していることが知られている。この濃縮域はネストと呼ばれている。このネストは電気化学的に鋼表面に付着しているため、通常のグラインダなどによる機械研削やブラストなどの物理的方法では完全に除くことが難しい。そこで、電気化学的手段でこのネストを除去する方法が開示されている。(特許文献1、2)。
特許文献1の方法は、塩化物イオンが付着する鋼材表面を、濃度0.1mol/Lの硝酸亜鉛水溶液を電解質溶液とし、鋼材がカソードとなるように電源に接続して定電流を流すことにより、カソード側で水素の還元電位よりも貴な電位に保って水素ガスの発生がない状態で前記付着する塩化物イオンを除去するようにしたものである。亜鉛イオンを用いた理由は、電気化学的処理によって水素ガスが発生すると、これが鋼の内部に吸収されて、鋼の水素脆性を引き起こすとして、水素還元電位よりも貴な電位となるものを選んだことによる。亜鉛イオン以外にも、鉄イオン、錫イオン、鉛イオン、カドミウムイオン、銅イオン、銀イオン、水銀イオン等を使用しうることも開示されている。
また、特許文献2には、塩化物イオンが付着するさび鋼材等の鋼材表面を、電解液に浸漬した状態で、始めに不動態化しない状態でアノード電解の処理をした後、カソード電解の処理を施すことで、水素ガスの発生がないか殆どない状態で前記付着する塩化物イオンを除去するようにしたものが開示されている。これも水素による鋼の脆化を生じないようにしたものである。
本発明は、ネストを電気化学的手段で確実に除去するだけでなく、更に防食性を高める鋼の表面処理方法を提供することを解決課題としている。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、鋼材に付着する陰イオンを、電気化学的処理をして除去するにあたり、該電気化学的処理において、さらに電着物を析出させるようにしたものである。このようにすることにより、電気化学的に陰イオンを除去しながら被膜を形成させて鋼の腐食を抑制することができる。
すなわち、鋼の界面には、鉄やクロムなどの陽イオンが溶出する。腐食促進因子である陰イオンは、鋼の界面を電気的に中性を保つため、鋼の界面にネストとして電気化学的に捕捉されている。よって、水洗のような簡便な手法では陰イオンを除去することが困難である。そこで、陰イオンを除去するため、鋼板をカソードにして陰イオンを鋼表面から移動(離脱)させようとした場合、陰イオンのアノードへの移動と同時に、カソード側では溶存酸素の還元反応により鋼材表面pHが上昇する。このpHの上昇を利用して、アルカリ環境で難溶性の沈殿物を生成しやすいカルシウムやマグネシウム、ストロンチウム、バリウムを用いることでこれらを鋼材表面に沈殿させて鋼材を防食する本発明を完成した。
すなわち、本発明は、鋼の表面に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンまたはバリウムイオンのうち少なくとも一つを含んでいる電解質水溶液を接触させ、次いで、これに通電して該表面に付着している陰イオンを除去するとともに上記のアルカリ土類金属の塩を電着物として析出させることを特徴とする鋼の表面処理方法を提供するものである。
また、本発明は、電解質水溶液が、さらにリン酸、有機酸または珪酸のうち少なくとも一つを含んでいることを特徴とする上記の鋼の表面処理方法を提供するものである。
さらに、鋼表面に通電する電極の先端がブラシまたはスポンジであることを特徴とする上記の鋼の表面処理方法をも提供するものである。
すなわち、本発明は、鋼の表面に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンまたはバリウムイオンのうち少なくとも一つを含んでいる電解質水溶液を接触させ、次いで、これに通電して該表面に付着している陰イオンを除去するとともに上記のアルカリ土類金属の塩を電着物として析出させることを特徴とする鋼の表面処理方法を提供するものである。
また、本発明は、電解質水溶液が、さらにリン酸、有機酸または珪酸のうち少なくとも一つを含んでいることを特徴とする上記の鋼の表面処理方法を提供するものである。
さらに、鋼表面に通電する電極の先端がブラシまたはスポンジであることを特徴とする上記の鋼の表面処理方法をも提供するものである。
本発明により、腐食の原因となるネストを確実に除去するとともに鋼表面に腐食被膜を形成できるので鋼製品や鋼構造物の腐食を防止してその寿命を延ばすことができる。
本発明は、橋梁や鉄塔などの鋼構造物や配管、タンクの表面処理方法に関するものであり、特に耐候性鋼や海岸耐候性鋼の表面処理、また劣化して塗装が剥離した炭素鋼の下地処理方法に利用しうるものである。
耐候性鋼材は例えばJIS G 3125に規定される鋼材もしくは同種の鋼材であって、塗装を全く施さない表面に自然に形成される安定なさびにより、一度さびが形成されると腐食速度が非常に小さくなる鋼材であり、橋梁などを中心に広く使用されている。この耐候性鋼は安定なさびが形成されるまでの間、鋼材表面から出る流れさびなどの外観の問題から、さび安定化処理を施すことがある。
しかし、耐候性鋼は飛来塩分の多い環境では安定なさびを形成することが難しく、腐食速度が増大することがあった。そのため、飛来塩分の多い環境では、耐食性を向上させる元素を添加した海岸耐候性鋼が使用されている。
一方、炭素鋼は塗装して使用されているものの、塗装が劣化して剥離することがある。塗装が剥離した箇所は、耐候性鋼のように安定なさびが形成されにくいため、通常はさびを除去した後、補修塗装を行う。
本発明を現場において実施する場合に、高圧水などで付着力の小さなさびや汚れなどを前もって除去したものに実施することで処理の効率は向上する。
電解質水溶液は、通電性を有し、電気化学的処理において、塩化物イオンや硫酸イオン等の陰イオンの腐食を進行させるアニオン類を除去するものである。電解質には、各種のものを用いうるが、本発明では、通電によって塩化物イオンや硫酸イオン等の陰イオンを除去しうるばかりでなく、電着物を析出して保護被膜を形成しうるものを用いる。
このような電解質として、アルカリ土類金属イオンがあり、具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンを挙げることができる。これらは電流を通して炭酸塩や水酸化塩として付着させることでその効果を発揮する。一方、前述の特許文献1には、電解液に水素発生電圧より貴な電位で還元される成分を加えることが挙げられる。このような成分として、例えば、第一鉄イオン(Fe2+)や第二鉄イオン(Fe3+)、亜鉛イオン(Zn2+)の他に、錫イオン(Sn2+)鉛イオン(Pb2+)、カドミウムイオン(Cd2+)、銅イオン(Cu2+)、銀イオン(Ag2+)、水銀イオン(Hg2+)等が例示されているが、これらのイオンはカソードに付着しなかったり、銅や銀など付着しても鉄よりも貴な金属であるためこれら貴金属と鉄との間で電池を形成して逆に腐食を促進させる。
前記のアルカリ土類金属イオンを水中で生じる電解質としては、これらの塩化物、炭酸塩、硝酸塩等の酸の塩、水酸化物等を挙げることができる。電解質の濃度としては、0.01mol/L以上、より好ましくは0.05mol/L以上となるように添加することが適当である。
本発明の方法においては、この電解質水溶液を、接触あるいは散布してから電気を流す間に腐食が進行する可能性がある。これを防止するために、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンの他にさらにリン酸、有機酸、珪酸を含むことで前記水溶液を接触あるいは散布してから電気を流す間も防食作用を保持することができる。これらの添加量は、0.005mol/L以上、好ましくは0.02mol/L以上添加するのがよい。リン酸、有機酸、珪酸はアルカリ金属の塩の形で添加してもよい。
電解質水溶液は、電気化学的に付着している塩素イオンや硫酸イオン等の陰イオンを除去しようとする鋼の部位に接触させる。接触手段は、当該部位の周囲に枠を設けて、そこに電解質水溶液を張ってもよいが、本発明者らは、単に電解質水溶液を散布するだけでもよいことを見出した。散布手段は、通常の塗布に利用する手段を用いればよく、例えば、スプレー、刷毛、スポンジ、へらなどを利用できる。散布量としては100〜450g/m2、好ましくは150〜300g/m2程度でよい。この電解質水溶液を予め散布した後電気を流したり、散布しながら電気を流しても良い。さらに、水溶液を不織布やスポンジ、ブラシなどに染み込ませて電気を流しても良い。不織布や織布としては、ガラス繊維やアラミド繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維から成るものが採用される。スポンジの材質は、例えばポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラニン樹脂、ゴム等の発泡材が用いられる。電気化学的処理は、陰イオンを除去しようとする鋼材側がカソードになるように電流を流す。このように電気を流すと既設の鋼構造物の腐食箇所に付着する陰イオンを効率よく除去でき、更にカソード表面がアルカリ性になることによって、カソード側に電着物を析出させて防食作用を持つ。
電極から流す電流は直流だけでなく、交流も用いることができる。交流を用いる利点としては、大電流を流しても水素発生が起こりにくい。ただし、電流が流出側になると鋼材の腐食を促進させるため、電気が流入する側に直流を重畳した交流を用いる必要がある。
電気化学的処理を行う条件としては、電圧が0.8〜10V程度、好ましくは1〜5V程度、電流密度が0.1〜50A/m2程度、好ましくは0.1〜10A/m2程度で、通電時間は数秒〜20分程度、好ましくは30秒〜10分程度が適当である。
電極は、電解などに使用される通常のものを用いればよいが、高圧水などで付着力の小さなさびや汚れなどを前もって除去することが困難な場合でも通電する電極の先端がブラシまたはスポンジであることにより、さびを除去する効果と電気を流す効果の二つを持たせることができる。この通電により、電気化学的に付着しているアニオンが除去されるとともに、陰極側がアルカリ性になることにより、カルシウムイオンやストロンチウムイオン、バリウムイオンは主に炭酸塩、マグネシウムは主に水酸化物としてカソードに付着する。
電極は、電解などに使用される通常のものを用いればよいが、高圧水などで付着力の小さなさびや汚れなどを前もって除去することが困難な場合でも通電する電極の先端がブラシまたはスポンジであることにより、さびを除去する効果と電気を流す効果の二つを持たせることができる。この通電により、電気化学的に付着しているアニオンが除去されるとともに、陰極側がアルカリ性になることにより、カルシウムイオンやストロンチウムイオン、バリウムイオンは主に炭酸塩、マグネシウムは主に水酸化物としてカソードに付着する。
本発明による電気化学的処理が終了したら、水洗後、必要により塗料を塗布するなどしてもよい。
実施例1
本発明の実施例について説明する。炭素鋼(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。この腐食した試験片の表面の浮き錆をナイロンブラシで除去する。この浮き錆を除去した後、本発明の実施例として、濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのMgCO3(炭酸マグネシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのStCl2(塩化ストロンチウム)水溶液、濃度0.1mol/LのBaCl2(塩化バリウム)水溶液を各1L用意し、これらについて、アノード(陽極)が電極体であるステンレス鋼製の棒、カソード(陰極)が前記作製した試験片となるよう電源に接続された状態において、電流密度1A/m2の条件で10分間通電する。なお、その後水洗は実施しなかった。比較材として浮き錆をナイロンブラシで除去したままの試験片と、これら溶液中で処理した試験片(処理材)を1日室温で乾燥させた後にエポキシ樹脂を75μm塗装した。室温で1週間保持した後、塗装試験片を作製した。さらにカッターを用いて30°で交わるように塗膜に二本の切れ目(クロスカット)を入れた。塗装試験片を、塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に30日間供し、クロスカット部からの塗膜の剥離幅を測定した。表面以外の部分はタールエポキシ塗料を200μm塗装した。比較材はクロスカット部分の剥離幅が6mmであった。処理材については1mm以下であった。
本発明の実施例について説明する。炭素鋼(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。この腐食した試験片の表面の浮き錆をナイロンブラシで除去する。この浮き錆を除去した後、本発明の実施例として、濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのMgCO3(炭酸マグネシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのStCl2(塩化ストロンチウム)水溶液、濃度0.1mol/LのBaCl2(塩化バリウム)水溶液を各1L用意し、これらについて、アノード(陽極)が電極体であるステンレス鋼製の棒、カソード(陰極)が前記作製した試験片となるよう電源に接続された状態において、電流密度1A/m2の条件で10分間通電する。なお、その後水洗は実施しなかった。比較材として浮き錆をナイロンブラシで除去したままの試験片と、これら溶液中で処理した試験片(処理材)を1日室温で乾燥させた後にエポキシ樹脂を75μm塗装した。室温で1週間保持した後、塗装試験片を作製した。さらにカッターを用いて30°で交わるように塗膜に二本の切れ目(クロスカット)を入れた。塗装試験片を、塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に30日間供し、クロスカット部からの塗膜の剥離幅を測定した。表面以外の部分はタールエポキシ塗料を200μm塗装した。比較材はクロスカット部分の剥離幅が6mmであった。処理材については1mm以下であった。
実施例2
耐候性鋼(0.36Cu−0.22Ni−0.51Cr)(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。この腐食した試験片の表面の浮き錆をナイロンブラシで除去する。この浮き錆を除去した後、本発明の実施例として濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのMgCO3(炭酸マグネシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのStCl2(塩化ストロンチウム)水溶液、濃度0.1mol/LのBaCl2(塩化バリウム)水溶液を用意し、これらの溶液を脱脂綿で試験片表面に150g/m2の濃度で塗布し、アノード(陽極)が電極体であるステンレス鋼製の棒の先端に不織布を巻きつけ、カソード(陰極)が前記作製した試験片となるよう電源に接続された状態において、電流密度1A/m2の条件で10分間通電する。なお、その後水洗は実施しなかった。比較材として浮き錆をナイロンブラシで除去したままの試験片と、これら処理した試験片を1日室温で乾燥させた試験片(処理材)を6ヶ月屋外で暴露試験に供した。6ヶ月の暴露試験後、浮き錆をナイロンブラシで除去し、クエン酸アンモニウム溶液中で腐食生成物の除去を行った後、重量測定を行った。重量減少量、露出面積および比重(7.85g/cm3)から試験片の露出部分が均一に腐食したと仮定して、試験片の減肉量を算出した。減肉量は比較材が0.05mm、処理材が0.02〜0.03mmであり、処理材の方が比較材よりも腐食量は40〜60%と小さかった。
耐候性鋼(0.36Cu−0.22Ni−0.51Cr)(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。この腐食した試験片の表面の浮き錆をナイロンブラシで除去する。この浮き錆を除去した後、本発明の実施例として濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのMgCO3(炭酸マグネシウム)水溶液、濃度0.1mol/LのStCl2(塩化ストロンチウム)水溶液、濃度0.1mol/LのBaCl2(塩化バリウム)水溶液を用意し、これらの溶液を脱脂綿で試験片表面に150g/m2の濃度で塗布し、アノード(陽極)が電極体であるステンレス鋼製の棒の先端に不織布を巻きつけ、カソード(陰極)が前記作製した試験片となるよう電源に接続された状態において、電流密度1A/m2の条件で10分間通電する。なお、その後水洗は実施しなかった。比較材として浮き錆をナイロンブラシで除去したままの試験片と、これら処理した試験片を1日室温で乾燥させた試験片(処理材)を6ヶ月屋外で暴露試験に供した。6ヶ月の暴露試験後、浮き錆をナイロンブラシで除去し、クエン酸アンモニウム溶液中で腐食生成物の除去を行った後、重量測定を行った。重量減少量、露出面積および比重(7.85g/cm3)から試験片の露出部分が均一に腐食したと仮定して、試験片の減肉量を算出した。減肉量は比較材が0.05mm、処理材が0.02〜0.03mmであり、処理材の方が比較材よりも腐食量は40〜60%と小さかった。
実施例3
耐候性鋼(0.36Cu−0.22Ni−0.51Cr)(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。本発明の実験例として濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液を用意した。まず浮き錆が未除去の試験片に対して、溶液を脱脂綿で試験表面に塗布し、ステンレス鋼の先端にナイロンブラシを取り付けたものをアノード(陽極)、カソード(陰極)が前記作製した試験片とする。電源に接続された状態で、ステンレス鋼の先端に取り付けたナイロンブラシで浮き錆を除去しながら通電する。これら処理した試験片を1日室温で乾燥させた試験片を6ヶ月間屋外で暴露試験に供した。6ヶ月間の暴露試験後、浮き錆をナイロンブラシで除去し、クエン酸アンモニウム溶液中で腐食生成物の除去を行った後、重量測定を行った。重量減少量、露出面積および比重(7.85g/cm3)から試験片の露出部分が均一に腐食したと仮定して、試験片の減肉量を算出した。減肉量は実施例1の比較材が0.05mm、実施例1の処理材が0.02〜0.025mmであり、処理材の方が比較材よりも腐食量は40〜50%と小さかった。
耐候性鋼(0.36Cu−0.22Ni−0.51Cr)(70×150×3.2mm)を塩水噴霧試験(35℃ 5%NaClを噴霧)に15日間供し、腐食した試験片を作製する。本発明の実験例として濃度0.1mol/LのCa(OH)2(水酸化カルシウム)水溶液を用意した。まず浮き錆が未除去の試験片に対して、溶液を脱脂綿で試験表面に塗布し、ステンレス鋼の先端にナイロンブラシを取り付けたものをアノード(陽極)、カソード(陰極)が前記作製した試験片とする。電源に接続された状態で、ステンレス鋼の先端に取り付けたナイロンブラシで浮き錆を除去しながら通電する。これら処理した試験片を1日室温で乾燥させた試験片を6ヶ月間屋外で暴露試験に供した。6ヶ月間の暴露試験後、浮き錆をナイロンブラシで除去し、クエン酸アンモニウム溶液中で腐食生成物の除去を行った後、重量測定を行った。重量減少量、露出面積および比重(7.85g/cm3)から試験片の露出部分が均一に腐食したと仮定して、試験片の減肉量を算出した。減肉量は実施例1の比較材が0.05mm、実施例1の処理材が0.02〜0.025mmであり、処理材の方が比較材よりも腐食量は40〜50%と小さかった。
本発明の方法は、鋼の腐食原因となるネストを確実に除去してアルカリ土類金属の被膜をその上に形成できるので鋼の防食に大いに効果を発揮する。そこで、橋梁や鉄塔などの鋼構造物や配管、タンクの表面処理として利用できる。
Claims (3)
- 鋼の表面に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンまたはバリウムイオンのうち少なくとも一つを含んでいる電解質水溶液を接触させ、次いで、これに通電して該表面に付着している陰イオンを除去するとともに上記のアルカリ土類金属の塩を電着物として析出させることを特徴とする鋼の表面処理方法
- 電解質水溶液が、さらにリン酸、有機酸または珪酸のうち少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の鋼の表面処理方法
- 鋼表面に通電する電極の先端がブラシまたはスポンジであることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の表面処理方法
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JP2008042632A JP2009197302A (ja) | 2008-02-25 | 2008-02-25 | 鋼の表面処理方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014085128A (ja) * | 2012-10-19 | 2014-05-12 | Ihi Corp | 放射性廃棄物処分容器及びその製造方法 |
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