JP2009196277A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材シート2の面上に多孔質層4を介して染料受容層3を積層してなる熱転写受像シート1であって、多孔質層4は、バインダと中空粒子とをバインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の配合比率にて少なくとも含んでなり、中空粒子は、中空に形成され平均粒子径の異なる2種類の中空粒子成分からなるものである、ことを特徴とする熱転写受像シート1により、熱転写受像シート1として感度を維持しつつ接着性をより一層向上させたものを得ることができる。
【選択図】 図1
Description
基材シート2としては、特に制限されず、従来の熱転写受像シートに使用可能な基材シートを適宜用いることができる。具体的には、基材シート2としては、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフイン紙等の薄葉紙、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチックのシート材、或いはこれらのシート材と前該紙とを複合した複合シート材等が例示される。
本発明の熱転写受像シート1は、次のように製造することができる。
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層を構成する樹脂材料として、昇華性染料に対する染料染着性を有する樹脂材料を選択し、選択された樹脂材料を溶媒に分散・溶解して染料受容層形成用の塗工液を調整する。染料受容層形成用の塗工液を調整する際に使用される溶媒としては、樹脂材料を分散や溶解可能であれば特に限定されず、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用可能である。
平均粒子径の異なる2種類以上の中空粒子成分が選択される。そして、選択された中空粒子を混合させてなる中空粒子と、バインダとを溶媒に溶解、分散させること、あるいは溶媒中でエマルジョンにすることにより、多孔質層形成用の塗工液が調整される。
基材シート2を準備し、上記(2)に調整された多孔質層形成用の塗工液を基材シート面上に塗工して塗工膜(多孔質形成用塗工膜)が作製される。塗工膜の作製方法としては、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法等の一般的な塗工方法を適宜採用することができる。
ところで、上記では、本発明の熱転写受像シート1として、基材シート2に多孔質層4と染料受容層3を形成してなるものを例として詳細に説明したが、これに限定されず、熱転写受像シート1には次のような層が更に形成されてなるものでもよい。
この熱転写受像シート1においては、プライマー層5は、多孔質層4と染料受容層3との接着性を向上させる機能を有する層である。したがって、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4と染料受容層3の両者に接着性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的に、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4を構成するバインダとして選択可能な水系樹脂に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
プライマー層5を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させてプライマー層形成用の塗工液を調整する。プライマー層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、染料受領層3を形成する場合と同様に、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用することができる。
多孔質層4を形成した基材シート2に対して、多孔質層4の露出面上に、プライマー層形成用の塗工液を塗工して塗工膜(プライマー層形成用塗工膜)を作製し、さらに、そのプライマー層形成用塗工膜が乾燥されることで、プライマー層形成用塗工膜がプライマー層5をなす。
熱転写受像シート1において、下引き層6は、基材シート2と多孔質層4との接着性を向上させる機能と同時多層塗工を行う際に高速塗工を可能とする機能を有する層である。したがって、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4と基材シート2の両者に接着性もしくは高速塗工適性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4を構成するための水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
下引き層6を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させて下引き層形成用の塗工液を調整する。下引き層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、多孔質層4を形成する場合と同様に、水系溶媒が採用される。
基材シート2面上に、下引き層形成用の塗工液を塗工して、塗工膜(下引き層形成用塗工膜)を作製し、さらに、その下引き層形成用塗工膜が乾燥されることで、下引き層形成用塗工膜が下引き層6をなす。
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層形成用の塗工液を調整するにあたり、まず下記表1に示すような組成の樹脂組成物Aが調整された。樹脂組成物Aの調整にあたり、樹脂材料として塩化ビニル系樹脂(日信化学工業社製;ビニブラン900)、添加物(表1中、添加剤1から3)として、ゲル化剤(新田ゼラチン社製;RR)、ポリエーテル変性シリコーン化合物(信越化学工業社製;KF615A)、界面活性剤(日信化学工業社製;サーフィノール440)が用いられた。なお、表1中、配合量(重量部)は、固形分の重量部を示す。そして、樹脂組成物Aを、その全体固形分が30%となるように水で希釈し、染料受容層形成用の塗工液が調整された。
多孔質層形成用の塗工液を調整するにあたり、まず下記表2に示すような組成の樹脂組成物B(表2中、組成物B−1からB−5)が調整された。樹脂組成物Bの調整にあたり、バインダ(表2中、バインダ)として、ゼラチン(新田ゼラチン社製;RR)が用いられ、添加剤(表2中、添加剤)として、界面活性剤(日信化学工業社製;サーフィノール440)が用いられた。このゼラチンは、中空粒子のバインド機能とゲル化剤としての機能を兼ね備えるものである。また、中空粒子については、平均粒子径の大きな中空粒子成分(表2中、中空粒子成分A)を使用する場合には、中空粒子成分Aとして、アクリルスチレン系中空粒子(ロームアンドハース社製;HP−91)が用いられ、中空粒子成分Aよりも平均粒子径の小さな中空粒子成分(表2中、中空粒子成分B)を使用する場合には、中空粒子成分Bとして、アクリルスチレン系中空粒子(ロームアンドハース社製;ST)が用いられた。中空粒子として使用される中空粒子成分A,Bの平均粒子径や平均中空率については、表3に示されるとおりである。なお、表2中、配合量(重量部)は、固形分の重量部を示す。そして、樹脂組成物Bを、その全体固形分が20%になるように水で希釈し、多孔質層形成用の塗工液が調整された。組成物B−1を用いて調整された多孔質層形成用の塗工液を塗工液1とし、以下、組成物B−2,B−3,B−4,B−5を用いて調整された多孔質層形成用の塗工液を、順にそれぞれ塗工液2,3,4,5とする。
基材シートとしてRCペーパー(STF−150、三菱製紙社製)を準備した。次に、多孔質層形成用の塗工液としての塗工液1と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら2種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、塗工液1と染料受容層形成用の塗工液とを上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。
「感度」
印画時の感度は印画試験によって測定された。印画試験は、得られた熱転写受像シートに昇華型熱転写法による所定画像の印画を行うことで実施された。このとき、印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像が用いられ、昇華型熱転写法による印画を行う装置としては、昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)が用いられ、熱転写シートとしては昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)に使用可能な専用インクリボンが用いられた。
熱転写受像シート(寸法;縦×横の寸法が5(cm)×5(cm))に対して、その側端縁よりも内側の領域に、粘着材(メンディングテープ(3M社製;Scotch Brand Tape MP−12))を貼り付けた。熱転写受像シートに粘着材を貼り付けた後、熱転写受像シートの面と粘着材の面の位置関係が熱転写受像シートの面に対して粘着材の面が45度の角をなす位置関係となるように、粘着剤を熱転写受像シートから剥離した。このとき、「熱転写受像シートが接着性に優れて熱転写受像シートの構造に破壊が生じにくいか否か」という「接着性」の評価は、粘着剤と熱転写受像シートとの接触界面で粘着剤の剥離が生じたか、熱転写受像シートを構成する層の一部に粘着剤に追従する部分を生じつつ粘着剤の剥離が生じたかについての観察がなされることで実施された。
実施例1において多孔質層を形成する工程を実施する際に用いられた塗工液1に変えて、比較例1では塗工液2、比較例2では塗工液3、比較例3では塗工液4、比較例4では塗工液5をそれぞれ用いたほかは、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。そして、それぞれ得られた熱転写受像シートを用い、実施例1と同様に「感度」および「接着性」についての評価試験を行い、その評価を行った。それらの結果を表4に示す。
2 基材シート
3 染料受容層
4 多孔質層
5 プライマー層
6 下引き層
Claims (3)
- 基材シートの面上に多孔質層を介して染料受容層を積層してなる熱転写受像シートであって、
多孔質層は、バインダと中空粒子とをバインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の配合比率にて少なくとも含んでなり、
中空粒子は、中空に形成され平均粒子径の異なる2種類の中空粒子成分からなるものである、ことを特徴とする熱転写受像シート。 - 中空粒子は、平均粒子径の異なる2種類の中空粒子成分の合計量を100重量部とする場合に平均粒子径の大きな中空粒子成分の配合量:平均粒子径が小さな中空粒子成分の配合量=50〜70重量部:30〜50重量部の配合比率にて構成されている、請求項1記載の熱転写受像シート。
- 多孔質層は、ゲル化剤を含んで構成されるバインダを含んでなり、
染料受容層と多孔質層は、基材シートの面上に同時多層塗工方法且つスライドコート方法を用いて形成されるものである、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
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