JP2009195106A - 速度センサレスベクトル制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータパラメータの設定誤差に対しロバストな制御を実現する。
【解決手段】速度演算部11は、指令Q軸電流isqrefとQ軸電流isqとを一致させるように回転子速度ωrを推定し、すべり周波数演算部12は、Q軸電流isqを用いてすべり周波数ωslipを推定する。電圧指令演算部15は、定常状態の電圧方程式に基づいて指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを演算し、電圧指令補正部34は、指令一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向にD軸電流誤差に応じた比例補償を行うことで指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを補正する。位相誤差演算部35は、二次磁束軸とD軸との誤差量を推定演算し、軸ずれを位相の次元で補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、本発明は、モータ電流を検出し、トルク電流指令値とトルク電流検出値とを一致させるように回転子速度を推定する速度センサレスベクトル制御装置に関する。
誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置にはいくつかの公知例が存在するが、そのアプローチには、速度センサ付ベクトル制御をセンサレス化しようとする方式と、V/f制御における低速領域の発生トルク、制御性能面での特性を改善しようとする方式とに分けられる。その他にも、高速な演算装置(プロセッサ)が安価に手に入るようになった近年では、モデル規範適応システム(MRAS)を適用するアプローチも見られるようになった。
速度センサ付ベクトル制御を速度センサレス化しようというアプローチから開発された方式として、例えば非特許文献1に開示された制御法が挙げられる。この方式は、電動機電圧に現れる回転子スロット高調波電圧を利用したすべり周波数検出法に基づくすべり周波数形速度センサレスベクトル制御法である。
また、非特許文献2に開示された制御法も挙げられる。この制御法は、Q軸電流の指令値と推定値とが一致するように一次周波数を制御し、電動機の二次時定数に相当する時定数を持つ一次遅れ要素を用いた演算により誘起電圧推定値の積分を行い、初期値問題が解決された二次磁束の推定法を用いて、電動機パラメータ変動(一次抵抗)の影響を受けない励磁エネルギーによる磁束振幅演算により得られた二次磁束の大きさを用いて、磁束一定制御を行う。この制御は、実機試験により一次抵抗の変動の影響を受けにくいことが示されている。しかし、二次磁束の推定の入力として電圧検出値が用いられており、この電圧検出値を指令電圧値とすると、制御性能が劣化することが予想される。また、電圧検出部が必要であるため、電圧センサレスに比べてコスト高となる。
これに対し、V/f制御における低速領域の発生トルクや、速度、制御性能の面での特性を改善しようとするアプローチとしては、例えば非特許文献3に開示された制御法が挙げられる。この方式にて用いられる出力電圧指令値は、誘導電動機の電圧方程式に対し、「定常状態、二次磁束D軸成分が一定、二次磁束Q軸成分が0」という条件を付加した式から演算している。
出力される一次周波数は、Q軸電流指令値とQ軸電流検出値との偏差が一致するように一次周波数を得、Q軸電流から得られるすべり周波数を一次周波数から減算したものを速度推定値とし、速度制御系へのフィードバック量として用いている。当該文献の中で、電流調整器の特性が速度推定に影響しないことをシミュレーションにより確認し、速度制御系は実速度をフィードバックするシステムと同様に設計できることを示している。
さらにこの方式を基本にして、非特許文献4において、速度調整器を持たない簡略化された制御電圧源によるすべり周波数形の速度センサレスベクトル制御が提案され、V/f制御に比べて特性が改善されることが示されている。
さらに、非特許文献5においては、一次周波数を推定し一次電圧指令値にトルク電流検出値を用いる非特許文献3、4の方式に対し、回転子速度を推定し、一次電流指令値にQ軸電流指令値を用いる方式を提案している。両方式に対し安定性の解析を行い、高速運転域での安定性が向上することを示している。
このように、速度センサ付ベクトル制御をセンサレス化する方式は種々提案されているが、スロット高調波を用いる方法は、その特性がモータの固体により大きく異なってしまうという問題がある。また、誘起電圧を用いて二次磁束の推定演算を行う方式では、制御信号が小さくなる極低速域において電圧指令値を用いると不安定になることから電圧検出器が必要になるなど、比較的コスト高となる。これに対して、V/f制御から発展した方式は、モータ検出電流のみを制御に用いて、誘導電動機の定常状態におけるベクトル制御理想状態の電圧値を指令として与える構成であるため、演算量も少なく比較的安価に構成できる。
石田、岩田、「回転子みぞ高調波を利用した誘導電動機速度制御法」、電気学会論文誌B、昭和58年8月、第103巻、第8号、p.48−54 大谷、渡辺、高崎、高田、「ベクトル制御による誘導電動機の速度センサレスドライブ」、電気学会論文誌D、昭和62年2月、第107巻、第2号、p.199−206 奥山、藤本、松井、久保田、「誘導電動機の速度・電圧センサレスベクトル制御法」、電気学会論文誌D、昭和62年2月、第107巻、第2号、p.191−197 奥山、藤本、藤井、「速度・電圧センサレスベクトル制御における制御定数設定誤差の影響とその補償法」、電気学会論文誌D、平成2年5月、第110巻、第5号、p.477−485 関根、津田、深尾、「高速誘導機の速度センサレスベクトル制御」、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−89−6(1989)、平成元年6月、p.49−57
上述したセンサレスベクトル制御法の中でも、比較的安価であって且つ高性能化が図れる方式として、モータ端子電圧の検出回路を有さず電流検出値のみを用いた制御方式で、トルク電流指令値とトルク電流検出値とを一致させるように回転子速度を推定し、その推定値にトルク電流検出値を用いて得られるすべり周波数を加算して一次周波数を得、定常状態の電圧方程式に基づいた一次電圧指令値の演算にトルク電流検出値のフィルタリング後の値を用いる方式が挙げられる。
図13は、この方式によるセンサレスベクトル制御装置のブロック構成を示している。センサレスベクトル制御装置1は、3相の電圧型インバータ2とベクトル制御部3とから構成されており、インバータ2の直流入力端子間にはコンデンサ4が接続され、交流出力端子には3相の誘導電動機5(以下、モータ5と称す)が接続されている。ベクトル制御部3は、電流検出器6、7、座標変換部8、9、Q軸電流指令生成部10、速度演算部11、すべり周波数演算部12、加算器13、積分器14、電圧指令演算部15およびPWM発生回路16を備えて構成されている。
しかし、この方式は、一次抵抗の設定値や、インバータ2のスイッチングデバイスの短絡防止のために施すデッドタイムの補正(電圧検出のない補正の場合)の誤差、スイッチングデバイスのオンドロップ電圧の補正誤差等が存在すると、極低速時において所望の特性が得られないばかりか、運転不能状態を引き起こすことがある。その原因として、電圧指令値は、力行負荷が増加する場合には電圧指令の大きさが増加するので、誤差の出力電圧に占める割合は減少するが、回生領域においては、回生負荷の増加に伴い電圧指令の大きさは減少するため、先に述べた誤差要因が出力電圧に占める割合が大きくなり、出力電圧精度を保つことが難しくなる。このため、制御が不安定に陥ると考えられる。
このような低速領域の安定性の確保、より広い速度制御範囲の要求から、モータパラメータの推定精度の改善とともに、モータパラメータの設定に対しロバストな制御系の実現が不可欠である。特に、一次抵抗の設定誤差が大きく影響する低速での特性改善が望まれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、速度センサを用いずに誘導電動機を駆動するものであって、モータパラメータの設定誤差に対しロバストである速度センサレスベクトル制御装置を提供することにある。
請求項1記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機を駆動するインバータと、速度検出器を用いることなくD軸とQ軸とからなるDQ軸直交座標系上でD軸が前記誘導電動機の二次磁束軸に一致するように当該誘導電動機を駆動制御するセンサレスベクトル制御手段とを備えた速度センサレスベクトル制御装置において、
前記センサレスベクトル制御手段は、
前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、
この電流検出手段により検出された相電流に基づいてD軸電流とQ軸電流とを演算するDQ軸電流演算手段と、
指令Q軸電流と前記DQ軸電流演算手段により演算されたQ軸電流とを一致させるように回転子速度を演算する回転子速度演算手段と、
指令D軸電流またはD軸電流、指令Q軸電流またはQ軸電流、および前記インバータの周波数に基づいて、指令D軸電圧と指令Q軸電圧を演算するDQ軸電圧指令演算手段と、
前記誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を推定する軸ずれ量演算手段と、
この軸ずれ量演算手段により推定された前記誘導電動機の二次磁束とD軸との誤差量に基づいて、前記インバータの周波数または電圧指令位相を補正する軸ずれ補正演算手段と、
指令一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向にD軸電流誤差に応じた比例補償を行う電圧指令補正手段とを具備したことを特徴とする。
この構成によれば、例えば制御対象である誘導電動機の一次抵抗設定値に誤差が存在した場合に、電圧指令補正手段は、一次抵抗の設定誤差の正負極性とD軸電流誤差(指令D軸電流とD軸電流との誤差)の正負極性との関係を求め、指令一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向に比例補償を行う。ただし、一次抵抗の設定誤差とD軸電流誤差との関係は、負荷トルクによって変化する(図2、図3参照)。負荷トルクを正確に得ることができれば、一次抵抗の設定誤差による電圧指令誤差を正確に演算することができるが、制御装置側で負荷トルクを正確に得ることは難しいため、D軸電流誤差量を利用した比例項のみの補償としている。
従って、上記の電圧補正は完全な補正ではなく、指令D軸電流とD軸電流との間には誤差が残ることになる。そこで、さらに軸ずれ量演算手段と軸ずれ補正演算手段とを具備し、D軸電流誤差を用いて二次磁束軸とD軸との誤差量を推定し、その誤差量に基づいて逐次、位相または周波数の形で補正を施すことにより安定性を一層向上させることができる。
その結果、上記一次巻線抵抗値の設定誤差をはじめ、スイッチングデバイスの短絡防止のために施すデッドタイム分の補正電圧の誤差、オンドロップ分電圧の補正の誤差が存在しても、これまで問題となってきた低速時における制御特性を改善することができる。例えば、インバータ出力電圧不足による起動トルクの不足、回生時におけるトルク抜け、速度が振動的になるなどの不安定な現象が生じにくくなり、また、インバータ出力電圧過大による電流値の増加や過電流状態の発生を抑制できる。
請求項2記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を位相として推定し、その位相誤差量をインバータの出力電圧の位相の次元で補正するものである。
請求項3記載の速度センサレスベクトル制御装置においては、誘導電動機の二次磁束軸と制御側のD軸との位相誤差を表す式を幾何学的に求めた結果に基づいて、誤差量(位相)Δθを導出している。この誤差量の演算の特徴は、制御側で指令D軸電流、D軸電流、指令Q軸電流またはQ軸電流が得られた場合に、二次磁束の大きさが理想値から変化しないための実際の誘導電動機の理想二次磁束軸を逆算するところにある。本手段によれば、二次磁束を常にD軸に且つ理想の大きさに保持する効果があるので、安定性が一層向上する。
請求項4記載の速度センサレスベクトル制御装置は、平均的な負荷状態としてQ軸電流が指令D軸電流と一致する状態を選定し、そのときに得られる位相誤差の式に一次のテーラー展開を施すことにより、補正演算式を簡易化している。簡易化した位相誤差の導出式を用いて出力電圧の位相を逐次補正することにより、センサレスベクトル制御手段としてのプロセッサの演算量を低減でき、演算処理時間の短縮化が図られる。
請求項5記載の速度センサレスベクトル制御装置は、誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を周波数として推定し、その周波数誤差量をインバータの出力周波数の次元で補正するものである。
請求項6記載の速度センサレスベクトル制御装置においては、実際の誘導電動機の二次磁束軸とそれに直交する座標軸上で、一次電流を磁束成分(D軸)電流とトルク成分(Q軸)電流に分解することで得られるすべり周波数と、制御側のD軸とそれに直交する座標軸上で、一次電流を磁束成分電流とトルク成分電流に分けることで得られるすべり周波数との誤差に、回転子速度推定誤差は等しいことに着目すると、位相誤差と回転子速度推定誤差との関係が得られる。この関係を表す式に基づいて一次周波数を補正すれば、二次磁束を常にD軸に且つ理想の大きさに保持する効果があるので、安定性が一層向上する。
請求項7記載の速度センサレスベクトル制御装置は、平均的な負荷状態としてQ軸電流が指令D軸電流と一致する状態を選定し、そのときに得られる位相誤差の式に一次のテーラー展開を施すことにより、補正演算式を簡易化している。簡易化した位相誤差の導出式を用いて出力電圧の位相を逐次補正することにより、センサレスベクトル制御手段としてのプロセッサの演算量を低減でき、演算処理時間の短縮化が図られる。
本発明の速度センサレスベクトル制御装置によれば、モータパラメータの設定誤差に対しロバストな制御系を構築でき、特に低速時における制御特性を改善することができる。
本発明の第1の実施形態を示す速度センサレスベクトル制御装置の機能ブロック図 指令一次電流ベクトル、検出一次電流ベクトル、二次磁束ベクトルおよび一次電圧ベクトルを示す図(一次抵抗設定値=0.6Rs) 図2相当図(一次抵抗設定値=1.4Rs) 図2相当図(力行負荷100%) 図2相当図(回生負荷100%) MT座標軸とDQ座標軸との関係を示す図 指令D軸電流よりもD軸電流が大きい場合のベクトル図 指令D軸電流よりもD軸電流が小さい場合のベクトル図 本発明の第2の実施形態を示す図1相当図 関数Fd(isd)とFdq(isd,isq)の計算結果を示す図 第1の実施形態で説明したαの定義および範囲を示す補足説明図 図11相当図 従来技術を示す図1相当図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図8を参照しながら説明する。
以下の説明において、Rs、Rr(またはR2)、Ls、Lr(またはL2)、M、σは、それぞれモータの一次抵抗、二次抵抗、一次インダクタンス、二次インダクタンス、相互インダクタンス、漏れ係数を表しており、pは微分演算子を表している。
また、vsd、vsq、isd、isq、φrd、φrq、ωr、ωstat、ωslipは、それぞれ一次電圧のD軸成分、一次電圧のQ軸成分、一次電流のD軸成分(D軸電流)、一次電流のQ軸成分(Q軸電流)、二次磁束のD軸成分、二次磁束のQ軸成分、回転速度(以下、単に速度と称す)、一次周波数、すべり周波数を表している。なお、数式において推定値には当該推定値の表記記号の上に^を付して表しているが、以下の説明文では文字表記の都合上^を省略している。
図1は、速度センサレスベクトル制御装置の構成を機能ブロックにより示している。この図1において、従来構成を示す図13と同一構成部分には同一符号を付している。センサレスベクトル制御装置21は、インバータ2とベクトル制御部22(センサレスベクトル制御手段に相当)とから構成されている。このうちインバータ2は、IGBTなどのスイッチング素子(図示せず)が3相ブリッジ接続されてなる電圧型インバータである。
このインバータ2の交流出力端子と誘導電動機(モータ)5の端子との間には、任意の2相例えばU相とW相の相電流iu、iwを検出するホールCT等からなる電流検出器6、7(電流検出手段に相当)が設けられている。ベクトル制御部22のうち電流検出器6、7を除く部分は、DSPなどの高速演算可能なプロセッサを用いてソフトウェア処理されるようになっている。その制御プログラムは、予め不揮発性記憶手段(メモリ)に記憶されている。
図1に示す個々の機能ブロックについて説明する。
座標変換部8(DQ軸電流演算手段に相当)は、相電流iu、iwを入力として3相−2相変換と回転座標変換とを行い、D軸電流isdとQ軸電流isqを出力するようになっている。同様に、座標変換部9は、後述する指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを入力として回転座標変換と2相−3相変換とを行い、指令U相電圧vuref、指令V相電圧vvref、指令W相電圧vwrefを出力するようになっている。
PWM発生回路16は、座標変換部9から出力される上記指令電圧Vuref、Vvref、Vwrefに基づいて、例えば三角波比較PWM制御方式により、上記スイッチング素子に対するゲート信号を生成するようになっている。さらに、PWM発生回路16は、アーム短絡防止のためにデッドタイムを設定し、これによる出力電圧の低下を補償するためにデッドタイム補償を行うようになっている。
Q軸電流指令生成部10は、安定化フィルタ23と、指令速度ωrrefから安定化フィルタ23を通した推定速度ωrを減算する減算器24と、速度偏差を比例・積分演算して指令Q軸電流isqrefを出力するPI制御器25とから構成されている。また、速度演算部11(回転子速度演算手段に相当)は、指令Q軸電流isqrefからQ軸電流isqを減算する減算器26と、Q軸電流偏差を比例演算するP制御器27と、Q軸電流偏差を積分演算するI制御器28と、P制御器27とI制御器28の出力を加算して推定速度ωrを出力する加算器29とから構成されている。なお、上記安定化フィルタ23には、I制御器28の出力のみからなる推定速度ωrが入力されるようになっている。
すべり周波数演算部12は、後述する(3)式を用いてすべり周波数ωslipを推定演算するもので、加算器13は、すべり周波数ωslipと推定速度ωrとを加算して一次周波数ωstatを生成するようになっている。そして、積分器14は、この一次周波数ωstatを積分し、加算器30(軸ずれ補正演算手段、位相補正手段に相当)は、後述する(65)式に示すように、上記積分結果と後述する位相補正角Δθとを加算して軸ずれ補正を施した位相角θを生成するようになっている。
電圧指令演算部15(DQ軸電圧指令演算手段に相当)は、指令D軸電流isdrefとQ軸電流isqとを入力とし、後述する(13)式、(14)式を用いて指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefとを出力するようになっている。また、加算器31は、上記指令D軸電圧vsdrefと後述するD軸補正電圧Δvsdとを加算して補正した指令D軸電圧vsdrefを生成し、加算器32は、上記指令Q軸電圧vsqrefと後述するQ軸補正電圧Δvsqとを加算して補正した指令Q軸電圧vsqrefを生成するようになっている。これら補正された指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefは、上記座標変換部9に与えられる。
補正電圧生成部33は、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqを入力とし、後述する(32)式を用いてD軸補正電圧ΔvsdとQ軸補正電圧Δvsqを演算するようになっている。この補正電圧生成部33と上記加算器31、32とにより、電圧指令補正部34(電圧指令補正手段に相当)が構成されている。また、位相誤差演算部35(軸ずれ量演算手段、位相誤差演算手段に相当)は、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqを入力とし、後述する(64)式または(71)式を用いて位相補正角Δθを演算するようになっている。
以上の構成を簡単にまとめれば、フィードバック信号の入力手段としてモータ5の端子電圧検出器を有さず電流検出器6、7のみを具備した制御方式であって、速度演算部11は、トルク電流指令値(指令Q軸電流isqref)とトルク電流検出値(Q軸電流isq)とを一致させるように回転子速度ωrを推定し、すべり周波数演算部12は、トルク電流検出値(Q軸電流isq)を用いてすべり周波数ωslipを推定する。そして、これら推定速度ωrとすべり周波数ωslipとを加算して一次周波数ωstatを得る。
一方、電圧指令演算部15は、Q軸電流検出値のフィルタリング後の値を用いて、定常状態の電圧方程式に基づいた一次電圧指令値(指令D軸電圧vsdref、指令Q軸電圧vsqref)を演算し、電圧指令補正部34は、指令D軸電流(指令励磁電流)isdref、D軸電流(励磁電流)isdおよびQ軸電流(トルク電流)isqを用いて、指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを補正する。さらに、位相誤差演算部35は、モータ5の二次磁束軸とD軸との誤差量を推定演算し、加算器30は、二次磁束軸とD軸との誤差である軸ずれをインバータ2の出力電圧の位相の次元で補正する。
次に、ベクトル制御部22の制御内容を図2ないし図8も参照しながら説明する。
はじめに、速度ωr、すべり周波数ωslip、一次周波数ωstat、指令D軸電圧vsdref、指令Q軸電圧vsqrefの演算について説明する。
制御対象である誘導電動機(モータ5)の電圧方程式は、以下に示す(1)式のようになる。
Figure 2009195106
速度演算部11は、次の(2)式に従って、指令Q軸電流isqrefと検出したQ軸電流isqとが一致するように推定速度ωrを演算する。ここで、Kpi、Kiiは、それぞれP制御器27の比例ゲイン、I制御器28の積分ゲインである。
Figure 2009195106
すべり周波数演算部12は、次の(3)式に従って、Q軸電流isqを用いてすべり周波数ωslipを推定演算する。ここで、isdn、isqn、ωslipnは、それぞれノミナルD軸(励磁)電流、ノミナルQ軸(トルク)電流、ノミナルすべり周波数である。
Figure 2009195106
一次周波数ωstatは、次の(4)式に示すように、加算器13による推定速度ωrと推定すべり周波数ωslipとの加算により得られる。
Figure 2009195106
Q軸電流指令生成部10は、以下の(6)式に従って、指令速度ωrrefと推定速度ωrとの偏差を入力とするPI演算により指令Q軸電流isqrefを求める。フィードバックに用いられる推定速度ωrは、(5)式に示すように、安定化フィルタ23を通過した後の推定速度ωrfilである。この安定化フィルタ23の時定数Trestは、PI制御器25の比例ゲインKpsと積分ゲインKisに応じて決定される。
Figure 2009195106
モータ5に与える指令D軸電圧vsdrefおよび指令Q軸電圧vsqrefは、上記(1)式おいて、定常状態、理想状態時の電圧方程式を用いて得られる。すなわち、(1)式において微分演算子pの項を0とし、ベクトル制御が理想的に行われているとしてφrq=0とすると、以下の(7)式が得られる。
Figure 2009195106
ここで、(7)式の1行目と2行目を書き出すと、以下の(8)式となる。
Figure 2009195106
(7)式の3行目は、以下の(9)式となる。
Figure 2009195106
また、φrd=Misd+Lrirdであるので、上記(9)式を書き直すと次の(10)式が得られる。
Figure 2009195106
(8)式に(10)式を適用すると、次の(11)式が得られる。
Figure 2009195106
漏れ係数σを用いて整理すると、最終的に次の(12)式に示す電圧方程式が得られる。
Figure 2009195106
なお、本実施形態では、次の(13)式、(14)式に示すように、D軸電流に指令値isdrefを用い、Q軸電流に検出値isqを用いる構成としている。
Figure 2009195106
以上が、センサレスベクトル制御の基本的な制御方法である。
次に、一次抵抗設定値に誤差が存在する場合についての制御方法を導出する。まず、理想状態における各状態変数量にアスタリスクを付して表すと、(7)式に基づいて次の(15)式から(18)式が得られる。この理想状態において、(13)式、(14)式により得られる指令電圧は、(15)式、(16)式により得られる電圧と等しい。
Figure 2009195106
いま、一次抵抗Rsの設定値に次のような誤差が存在する場合を考える。
Figure 2009195106
この一次抵抗Rsの設定値誤差により、各状態変数量に(19)式で示すような誤差が生じたと仮定する。
Figure 2009195106
そこで、このような誤差が生じたモータ5に対して、指令D軸電圧vsdrefと指令Q軸電圧vsqrefを最適に補正する方法を検討する。補正電圧をΔvsd、Δvsqとすれば、以下の(20)式が成り立つようにΔvsd、Δvsqを与えればよい。この場合、D軸電流isdとQ軸電流isqは検出可能であるので、それぞれの検出値を用いて表す。また、二次磁束については観測できないので、理想状態からの偏差を含んだ量で表現する。指令電圧が(13)式、(14)式である場合、(7)式の電圧方程式は以下の(20)式となる。なお、一次抵抗以外のモータ定数について誤差はないものと仮定する。
Figure 2009195106
二次磁束についての理想状態は以下のようになる。
Figure 2009195106
これにより、次の(21)式、(22)式が得られる。
Figure 2009195106
次に、電圧補正が正しく行われ、一次抵抗Rsの設定誤差がない指令電圧が与えられた時における、一次電流の理想値からの誤差と二次磁束の理想値からの誤差との関係を求め、(22)式に反映することとする。ここで、(15)式、(16)式で与えられる理想状態の指令電圧が印加されたものとする。
Figure 2009195106
両辺を比較すると以下のようになる。
Figure 2009195106
ここで、指令Q軸電流isqrefとQ軸電流isqとの偏差がなくなるように速度推定が行われており、Q軸電流には指令Q軸電流との誤差がないとすると、次の(24)式、(25)式が得られる。
Figure 2009195106
このとき、(21)式、(22)式は、それぞれ次の(26)式、(27)式となる。
Figure 2009195106
(26)式と(27)式とをまとめて表せば(28)式のようになる。
Figure 2009195106
この(28)式により一次抵抗設定誤差による電圧誤差を補正できれば、制御を理想状態にすることができる。
それでは、(28)式に含まれる一次抵抗設定値の実際値に対する誤差をどのように検出するかを検討する。ベクトル制御部22で得られる情報は、一次電流すなわちD軸電流の検出値isdと、Q軸電流の検出値isqである。このうちQ軸電流isqについては指令Q軸電流isqrefとの偏差をPI演算して速度推定を行っているので、制御誤差として用いることのできる情報は、D軸電流isdの指令D軸電流isdrefに対する誤差である。
図2から図5は、以下に示す4種類の条件の下で計算した指令一次電流ベクトル、検出一次電流ベクトル、二次磁束ベクトルおよび一次電圧ベクトルを表している。
[図2]…条件1
一次抵抗設定値Rs-set=0.6Rs、負荷トルク 回生120%〜力行120%
[図3]…条件2
一次抵抗設定値Rs-set=1.4Rs、負荷トルク 回生120%〜力行120%
[図4]…条件3
負荷トルク 力行負荷100%、一次抵抗の設定値 0.6Rs〜1.4Rs
[図5]…条件4
負荷トルク 回生負荷100%、一次抵抗の設定値 0.6Rs〜1.4Rs
各図において、指令一次電流ベクトルは先端が+印により表されており、そのD軸成分は常にIsdref一定である。検出一次電流ベクトル(図中Isと表記)は先端が○印により表されており、そのQ軸成分であるQ軸電流isqは指令Q軸電流isqrefと等しくなるように制御されている。二次磁束ベクトル(図中φrと表記)は先端が○印により表されている。
一次電圧ベクトル(図中vsと表記)は、先端が○印により表された3つのベクトルの合成により描かれている。すなわち、原点から二次磁束ベクトルに直交する向きに延びるベクトルは、励磁電圧ベクトルである。そして、その先端から検出一次電流ベクトルに平行に延びるベクトルは、一次抵抗Rsによる電圧降下分を示すベクトルで、さらにその先端から検出一次電流ベクトルに直行する向きに延びるベクトルは、一次インダクタンスによる電圧降下分を示すベクトルである。なお、図中のTLは、負荷トルク[%]を示している。
この結果から、一次抵抗設定値の誤差とD軸電流誤差(指令D軸電流isdrefとD軸電流isdとの誤差)との関係が以下の(29)式、(30)式のように導かれる。
力行時においては、
Figure 2009195106
回生時においては、
Figure 2009195106
また、一次抵抗設定誤差(Rs−Rs-set)とD軸(励磁)電流誤差(isdref−isd)は、誤差が小さい場合においては比例関係であると近似できる。このことから、(29)式、(30)式は、まとめて次の(31)式のように表すことができる。なお、正規化のため、指令D軸電流isdrefおよび一次抵抗設定値Rs*(=Rs-set)で除している。
Figure 2009195106
ここで、Kは、力行時は正、回生時は負のゲインである。この(31)式を用いると、(28)式は(32)式となる。
Figure 2009195106
電圧指令補正部34は、この(32)式に従い指令D軸電圧vsdrefおよび指令Q軸電圧vsqrefを補正する。しかし、(32)式を用いて電圧補正を施したとしても、比例ゲインのみでの補償であることから、指令D軸電流isdrefとD軸電流isdとの偏差を完全に0にすることはできない。そこで、モータ5の二次磁束とD軸とのずれを推定し補償する方法を併用する。これが、位相誤差演算部35と加算器30すなわち軸ずれ量演算手段と軸ずれ補正演算手段である。そこで、以下において位相誤差演算部35の演算内容について説明する。
まず、2つの座標軸を定義する。実際のモータ5の二次磁束の方向をM軸とし、M軸から90度進んだ軸をT軸と定義する。また、ベクトル制御部22において二次磁束方向と考えている軸をD軸、D軸から90度進んだ軸をQ軸と定義する。図6は、これらMT座標軸とDQ座標軸を示している。軸ずれとは、図6(b)に示すように、制御上のD軸と実際の二次磁束軸(M軸)とが一致しないことである。ここで、軸ずれ誤差Δθは、D軸から実際の二次磁束軸(M軸)までの位相とし、反時計方向を正と定義する(図6(b)は負の場合である)。
本願発明の特徴として、軸ずれΔθが生じている時、MT軸、DQ軸それぞれで認識されるすべり周波数の違いを補償に利用する。図6(b)の状態は力行時であり、MT軸上における実際のすべり周波数の方が、DQ軸におけるすべり周波数の認識より大きい。この状態は、実際のモータ5の二次磁束がDQ軸で認識している二次磁束よりも小さくなっており、実際のモータ5のすべり周波数が所望のすべり周波数よりも大きい状態である。その結果、推定速度ωrが、実際の速度ωrよりも大きくなっている。
それでは、具体的に数式を用いて説明する。
以下に示す(33)式により実モータMT軸上の電流値にて演算されるすべり周波数(ωslip-MT)は、実際のモータ5におけるすべり周波数を表している。
Figure 2009195106
一方、制御軸であるDQ軸上の電流値で表されるすべり周波数ωslip-DQは、次の(34)式により表せる。
Figure 2009195106
また、ωslip-MTは実際のモータ5におけるすべり周波数であり、インバータ周波数をωINVとすると、実際の速度ωr(真値であるため^は付かない)は次の(35)式により得られる。
Figure 2009195106
一方、制御軸であるDQ軸で観測されるすべり周波数はωslip-DQであるため、推定速度ωr(上述したように、文字表記の都合上^を省略している)は、次の(36)式で示す値に収束する。
Figure 2009195106
従って、速度推定誤差ωr-errは次の(37)式のように表すことができる。
Figure 2009195106
さて、この速度推定誤差ωr-errをDQ軸上での電流成分で表現することを考える。
そこで、まず図6(b)のような軸ずれが生じたときの[isd isq]Tと[ism ist]Tとの関係について説明する。上述した誤差要因により、[isd isq]Tと[ism ist]Tとが一致している図6(a)の状態から図6(b)の状態(Δθ<0)に軸ずれが生じたとき、電流の大きさの変化が微小であると仮定し、電流の変化を無視すると[isd isq]Tと[ism ist]Tは以下の(38)式のように表せる。
Figure 2009195106
(38)式を(33)式に代入すると、以下の(39)式および(40)式が得られる。
Figure 2009195106
(40)式で求めた速度推定誤差ωr-errについて、Δθ=0を中心とする一次のテーラー展開を行う。そのために、一次の導関数を求めると(41)式のようになる。
Figure 2009195106
一次のテーラー展開は、次の(42)式のようになる。
Figure 2009195106
従って、速度推定誤差ωr-errは、軸ずれ位相Δθおよび制御軸上でのD軸電流isdとQ軸電流isqを用いて次の(43)式により求めることができる。
Figure 2009195106
ここで、θIdqはD軸から一次電流I1までの位相角であり、次の(44)式で表される。
Figure 2009195106
インバータ周波数ωINV(一次周波数ωstat)は推定速度ωrに演算したすべり周波数ωslipを加算することで得られ、(37)式より推定速度ωrに速度推定誤差ωr-errを加算すると実速度ωrになることから、次の(45)式に示すように一次周波数ωstatに速度推定誤差ωr-errを加算することにより軸ずれΔθを周波数の次元で補正できる。
Figure 2009195106
次に、(43)式で用いられる二次磁束軸とD軸との誤差Δθの情報を、指令D軸電流isdrefとD軸電流isdとの偏差から推定する方法について説明する。最終的な(64)式を得るにあたり、力行状態と回生状態および指令D軸電流isdrefとD軸電流isdとの大小関係に応じて、以下の(1)から(4)の4つの場合に分けて説明する。
(1)力行状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが大きい場合について
ベクトルを示す図7(a)において、一次電流はベクトルOBである。このときの二次磁束の方向(M軸)は、仮にモータ5の二次磁束の大きさが変化しないとすれば、点Bから原点Oを中心とする半径isdref(指令D軸電流)の円に接線を引いたときの接点をFとしたとき、ベクトルOFの方向であると考察される。従って、二次磁束軸とD軸との誤差Δθは、図6(b)の定義に従うと負の値であることが分かる。
では、図7(a)を使って、図中のΔθを具体的に求める。この時の条件は、次の(46)式のようにまとめられる。
Figure 2009195106
線分OPは、以下の(47)式で表せる。
Figure 2009195106
線分PAは、以下の(48)式で表せる。
Figure 2009195106
(47)式の条件を用いると、線分PAは以下のようになる。
Figure 2009195106
線分OA=isdであるので、以下の(49)式の関係が得られる。
Figure 2009195106
これより、Δθについて解く。cosΔθをかけると、
Figure 2009195106
0<α<π/2とするため、
Figure 2009195106
(2)回生状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが大きい場合について
ベクトルを示す図7(b)において、一次電流はベクトルOBである。このときの二次磁束の方向(M軸)は、仮にモータ5の二次磁束の大きさが変化しないとすれば、点Bから原点Oを中心とする半径isdref(指令D軸電流)の円に接線を引いたときの接点をFとしたとき、ベクトルOFの方向であると考察される。従って、二次磁束軸とD軸との誤差Δθは、図6(b)の定義に従うと正の値であることが分かる。
では、図7(b)を使って、図中のΔθを具体的に求める。この時の条件は、次の(50)式のようにまとめられる。
Figure 2009195106
線分OPは、以下の(51)式で表せる。
Figure 2009195106
線分PAは、以下の(52)式で表せる。
Figure 2009195106
(50)式の条件を用いると、線分PAは以下のようになる。
Figure 2009195106
線分OA=isdであるので、以下の(53)式の関係が得られる。
Figure 2009195106
これより、Δθについて解く。cosΔθをかけると、
Figure 2009195106
0<α<π/2とするため、
Figure 2009195106
(3)力行状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが小さい場合について
ベクトルを示す図8(a)において、一次電流はベクトルOBである。このときの二次磁束の方向(M軸)は、仮にモータ5の二次磁束の大きさが変化しないとすれば、点Bから原点Oを中心とする半径isdref(指令D軸電流)の円に接線を引いたときの接点をFとしたとき、ベクトルOFの方向であると考察される。従って、二次磁束軸とD軸との誤差Δθは、図6(b)の定義に従うと正の値であることが分かる。
では、図8(a)を使って、図中のΔθを具体的に求める。この時の条件は、次の(54)式のようにまとめられる。
Figure 2009195106
線分OPは、以下の(55)式で表せる。
Figure 2009195106
線分PAは、以下の(56)式で表せる。
Figure 2009195106
(54)式の条件を用いると、線分PAは以下のようになる。
Figure 2009195106
線分OA=isdであるので、以下の(57)式の関係が得られる。
Figure 2009195106
これより、Δθについて解く。cosΔθをかけると、
Figure 2009195106
0<α<π/2とするため、
Figure 2009195106
(4)回生状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが小さい場合について
ベクトルを示す図8(b)において、一次電流はベクトルOBである。このときの二次磁束の方向(M軸)は、仮にモータ5の二次磁束の大きさが変化しないとすれば、点Bから原点Oを中心とする半径isdref(指令D軸電流)の円に接線を引いたときの接点をFとしたとき、ベクトルOFの方向であると考察される。従って、二次磁束軸とD軸との誤差Δθは、図6(b)の定義に従うと負の値であることが分かる。
では、図8(b)を使って、図中のΔθを具体的に求める。この時の条件は、次の(58)式のようにまとめられる。
Figure 2009195106
線分OPは、以下の(59)式で表せる。
Figure 2009195106
線分PAは、以下の(60)式で表せる。
Figure 2009195106
(58)式の条件を用いると、線分PAは以下のようになる。
Figure 2009195106
線分OA=isdであるので、以下の(61)式の関係が得られる。
Figure 2009195106
これより、Δθについて解く。cosΔθをかけると、
Figure 2009195106
0<α<π/2とするため、
Figure 2009195106
従って、上記(1)から(4)の場合、つまり
(1)力行状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが大きい場合
(2)回生状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが大きい場合
(3)力行状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが小さい場合
(ただし、図8(a)において|Is|>isdrefのときに限る)
(4)回生状態で、指令D軸電流isdrefよりD軸電流isdが小さい場合
(ただし、図8(b)において|Is|>isdrefのときに限る)
において、Δθの情報を制御軸(DQ座標軸)における状態量すなわち指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqから推定する方法は、以下の(62)式、(63)式のように求められる。
力行時においては、
Figure 2009195106
回生時においては、
Figure 2009195106
これらは、次の(64)式のように表すことができる(厳密式)。
Figure 2009195106
なお、上述したようにベクトル制御部22はDSPなどのプロセッサにより構成されているため、三角関数tan-1(X)、sin-1(X)の逆関数をテーブルを用いて計算する場合、逆関数の値域に関する問題が生ずる虞がある。(64)式は、実際に逆関数のテーブルおよび制御プログラムを作成する場合に誤った位相誤差Δθが出力されないように配慮されている。この点は実際に実施する上では非常に重要であるが、説明がやや詳細となり過ぎるため、本明細書の「発明を実施するための形態」の最後に設けた「逆関数の取り扱いについて」の項において詳しく説明することとする。
上記軸ずれ推定量を、次の(65)式に従って座標変換の位相の補正に直接使うことができる(図1に示す加算器30)。
Figure 2009195106
(64)式の計算式は複雑であり、プロセッサでの演算に時間を要する。そこで、(64)式を簡単化するために、負荷状態の平均的な状態を|isq|=isdrefとし、isdref=isdを中心にテーラー展開することを考える。ここで、(66)式で示す関数F(isd)を定義する。
Figure 2009195106
F(isd)のisdに対する導関数を求めると、次の(67)式のようになる。
Figure 2009195106
isd=isdrefのときの導関数F'(isd)を求めると(68)式のようになる。
Figure 2009195106
isd=isdrefのときのF(isd)を求めると(69)式のようになる。
Figure 2009195106
これら(68)式と(69)式を用いると、(66)式のisd=isdrefにおけるisdに対する一次のテーラー展開は以下の(70)式のように求められる。
Figure 2009195106
この(70)式を用いると、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqからΔθの情報を推定した結果である(64)式は、平均的な負荷状態(|isq|=isdref)の条件下において、次の(71)式に示すように簡易化表現できる(簡易式)。
Figure 2009195106
以上説明したように本実施形態によれば、ベクトル制御部22は、電流検出器6、7により検出したモータ電流に基づいて速度ωrを推定するので、電圧検出器を用いる必要がなく、比較的安価で且つ高性能なセンサレス駆動が可能となる。そして、例えばモータ5の一次抵抗設定値に誤差が存在した場合に、電圧指令補正部34は、一次抵抗の設定誤差の正負極性とD軸電流誤差(指令D軸電流isdrefとD軸電流isdとの誤差)の正負極性との関係に従って、指令一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向に比例補償を行うため((32)式参照)、発生トルク(起動トルク)の不足、過電流や加速不能状態の発生を防止することができ、安定した駆動を行うことができる。
さらに、位相誤差演算部35と加算器30とを具備し、D軸電流誤差を用いて二次磁束軸とD軸との誤差量を推定し、その誤差量に基づいて逐次、位相の形で補正を施すことにより((64)式、(65)式、(71)式参照)、安定性を一層向上させることができる。その結果、上記一次巻線抵抗値の設定誤差をはじめ、インバータ2を構成するスイッチング素子のデッドタイム分の補正電圧の誤差、オンドロップ分電圧の補正の誤差が存在しても、低速時における制御特性を改善することができる。これにより、インバータ2の出力電圧不足による起動トルクの不足、回生時におけるトルク抜け、速度が振動的になるなどの不安定な現象が生じにくくなり、また、インバータ2の出力電圧過大による電流値の増加や過電流状態の発生を確実に抑制できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図9および図10を参照しながら説明する。
図9は、速度センサレスベクトル制御装置の構成を機能ブロックにより示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。この図9に示すセンサレスベクトル制御装置36のベクトル制御部37(センサレスベクトル制御手段に相当)は、図1に示すセンサレスベクトル制御装置21のベクトル制御部22と比較して、モータ5の二次磁束軸とD軸との誤差量を周波数ωcompとして推定し補正する点が異なっている。
すなわち、周波数誤差演算部38(軸ずれ量演算手段、周波数誤差演算手段に相当)は、制御軸における状態量である指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqを入力とし、以下に示す(72)式(厳密式)または(81)式(簡易式)を用いて補正周波数ωcompを演算するようになっている。加算器39(軸ずれ補正演算手段、周波数補正手段)は、この(72)式または(81)式により得られた補正周波数ωcompを用いて(45)式に従って一次周波数ωstatを補正することにより、周波数の次元での軸ずれ補正を行うようになっている。
さて、上述した(64)式を(43)式に代入すると、以下の(72)式が導かれる。
Figure 2009195106
(72)式の計算式は複雑であり、プロセッサでの演算に時間を要する。そこで、(72)式を簡単化するために、負荷状態の平均的な状態を|isq|=isdrefとし、isdref=isdを中心にテーラー展開することを考える。ここで、(73)式で示す関数F1(isd)を定義する。
Figure 2009195106
isq2=isdref2を代入すると(74)式になる。
Figure 2009195106
F1(isd)のisdに対する導関数を求めると、以下の(75)式のようになる。
Figure 2009195106
ここで、
Figure 2009195106
また、(67)式より、
Figure 2009195106
従って、導関数は以下の(77)式のようになる。
Figure 2009195106
isd=isdrefのときの導関数F1'(isd)を求めると(78)式のようになる。
Figure 2009195106
isd=isdrefのときのF1(isd)を求めると(79)式のようになる。
Figure 2009195106
これら(78)式と(79)式を用いると、(73)式のisd=isdrefにおけるisdに対する一次のテーラー展開は以下の(80)式のように求められる。
Figure 2009195106
この(80)式を用いると、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよびQ軸電流isqから軸ずれの情報を推定した結果である(72)式は、平均的な負荷状態(|isq|=isdref)の条件下において、次の(81)式に示すように簡易化表現できる(簡易式)。
Figure 2009195106
二次磁束軸とD軸との誤差を補正するために周波数の次元で補正を施す場合,補正する周波数をωcompとすると,一次周波数ωstatを以下の(82)式のように出力する。
Figure 2009195106
次に、厳密式(72)式に対する簡易式(81)式の演算精度を検証するため、簡易化表現した(81)式に対応した評価用の関数として下記(83)式で示す関数Fd(isd)を定義する。
Figure 2009195106
また、厳密式である(72)式に対応した評価用の関数として下記(84)式で示す関数Fdq(isd,isq)を定義する。
Figure 2009195106
図10は、種々の負荷状態(Q軸電流isq)について上記(83)式、(84)式を計算した結果を示している。(a)は力行時を表し、(b)は回生時を表している。横軸はisd/isdrefを示しており、図中の「1」で示す実線が簡易式の評価関数Fd(isd)であり、図中の「2」から「5」で示す実線が厳密式の評価関数Fdq(isd,isq)である。力行時、回生時ともに、関数Fd(isd)は、isd=isdrefの近傍において種々のQ軸電流isqに対する関数Fdq(isd,isq)の平均的な傾きを示していることが分かる。なお、上述した第1の実施形態における厳密式(64)式と簡易式(71)式についても同様の結論を得られる。
以上説明した本実施形態によれば、周波数誤差演算部38と加算器39とを具備し、D軸電流誤差を用いて二次磁束軸とD軸との誤差量を推定し、その誤差量に基づいて逐次、周波数の形で補正を施すことにより((72)式、(81)式、(82)式参照)、安定した駆動を実現することができる。その結果、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
位相誤差演算部35は、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよび指令Q軸電流isqrefを入力とし、(64)式または(71)式のQ軸電流isqを指令Q軸電流isqrefに置き換えて補正位相Δθを演算し、軸ずれ補正を行うように構成してもよい。同様に、周波数誤差演算部38は、指令D軸電流isdref、D軸電流isdおよび指令Q軸電流isqrefを入力とし、(72)式または(81)式のQ軸電流isqを指令Q軸電流isqrefに置き換えて補正周波数ωcompを演算し、軸ずれ補正を行うように構成してもよい。
(逆関数の取り扱いについて)
図7(a)、(b)および図8(a)、(b)に示す各場合おいて、Q軸電流isq、Δθの符号にかかわりなく、どの条件下でも以下に示す(85)式の関係を導くことができる。
Figure 2009195106
この(85)式をΔθについて解くと(sinでまとめると)、以下の(86)式が得られる。
Figure 2009195106
ここで、αは、図11に示すように定義される。この図11において、横軸はQ軸、縦軸はD軸である。ベクトル制御されているため、無負荷のときには通常時においてD軸電流isdは正となる。従って、αの値域は0<α<πとなる。π/2<αとなるのは、Q軸電流isqが負のときである。
実際にこの三角関数の逆関数を計算するときには以下のことが問題となる。すなわち、プロセッサで逆関数の計算を行う場合には、tan-1(X)のテーブルは−π/2<tan-1(X)<π/2を値域としていることが多く、sin-1(X)のテーブルも−π/2<sin-1(X)<π/2を値域としていることが多い。このような条件の下で(86)式をそのまま計算すると、以下に示すようなことが生じる。
isq<0の場合(図11(b)の場合)、tan-1(X)の定義が−π/2<tan-1(X)<π/2であると、プロセッサは、(86)式の第2項について以下の値を出力する。
Figure 2009195106
このとき、軸ずれがなくisdref=isdであるとき、sin-1(X)の定義が−π/2<sin-1(X)<π/2であると、プロセッサは、(86)式の第1項について以下の値を出力する。
Figure 2009195106
その結果、
Figure 2009195106
となり、isdref=isdであり軸ずれがない状態であるにもかかわらず、位相誤差Δθを出力してしまう。このことを避けるため、定義域をX>0で用いると、tan-1(X)の値域αは0<α<π/2であるので、以下の(87)式、(88)式に示すように解ける。
Figure 2009195106
これら(87)式、(88)式をまとめて書くことにより上述した(64)式が得られる。
Figure 2009195106
また、(85)式についてcosでまとめることによりΔθについて解けば、以下の(89)式が得られる。
Figure 2009195106
ここで、αは、図12に示すように定義される。この図12において、横軸はD軸、縦軸はQ軸であり、D軸電流isdは正である。従って、この場合には、αの値域は−π/2<α<π/2となる。これは、一般的なtan-1(X)の値域と一致するので、上述したような不適合は生じない。しかし、cos-1(X)は、0<cos-1(X)<πが値域になるので、X>0のときは必ずcos-1(X)も正の値になる。その結果、以下に示すようなことが生じる。
isq<0のとき(図12(b)の場合)、tan-1(X)の定義が−π/2<tan-1(X)<π/2であると、プロセッサは、(89)式の第2項について以下の値を出力する。
Figure 2009195106
このとき、軸ずれがなくisdref=isdであるとき、cos-1(X)の定義が0<cos-1(X)<πであると、プロセッサは、(89)式の第1項について以下の値を出力する。
Figure 2009195106
その結果、
Figure 2009195106
となり、isdref=isdであり軸ずれがない状態であるにもかかわらず、位相誤差Δθを出力してしまう。このことを避けるために、(89)式の第1項のcos-1(X)の関数が、isq<0(α<0)で負の値を出力するようにすることで上記問題は解決する。従って、次の(90)式を用いて制御しても、(64)式を用いて制御した場合と同等の結果を得られる。
Figure 2009195106
なお、ここでは(64)式に示すΔθについて述べたが、(72)式に示すωcompについても同様であって、上述同様の検討の下でcos-1(X)の関数を用いても表すことができる。
2はインバータ、5はモータ(誘導電動機)、6、7は電流検出器(電流検出手段)、8は座標変換部(DQ軸電流演算手段)、11は速度演算部(回転子速度演算手段)、15は電圧指令演算部(DQ軸電圧指令演算手段)、21、36はセンサレスベクトル制御装置(速度センサレスベクトル制御装置)、22、37はベクトル制御部(センサレスベクトル制御手段)、30は加算器(軸ずれ補正演算手段、位相補正手段)、34は電圧指令補正部(電圧指令補正手段)、35は位相誤差演算部(軸ずれ量演算手段、位相誤差演算手段)、38は周波数誤差演算部(軸ずれ量演算手段、周波数誤差演算手段)、39は加算器(軸ずれ補正演算手段、周波数補正手段)である。

Claims (7)

  1. 誘導電動機を駆動するインバータと、速度検出器を用いることなくD軸とQ軸とからなるDQ軸直交座標系上でD軸が前記誘導電動機の二次磁束軸に一致するように当該誘導電動機を駆動制御するセンサレスベクトル制御手段とを備えた速度センサレスベクトル制御装置において、
    前記センサレスベクトル制御手段は、
    前記誘導電動機の相電流を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段により検出された相電流に基づいてD軸電流とQ軸電流とを演算するDQ軸電流演算手段と、
    指令Q軸電流と前記DQ軸電流演算手段により演算されたQ軸電流とを一致させるように回転子速度を演算する回転子速度演算手段と、
    指令D軸電流またはD軸電流、指令Q軸電流またはQ軸電流、および前記インバータの周波数に基づいて、指令D軸電圧と指令Q軸電圧を演算するDQ軸電圧指令演算手段と、
    前記誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を推定する軸ずれ量演算手段と、
    この軸ずれ量演算手段により推定された前記誘導電動機の二次磁束とD軸との誤差量に基づいて、前記インバータの周波数または電圧指令位相を補正する軸ずれ補正演算手段と、
    指令一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向にD軸電流誤差に応じた比例補償を行う電圧指令補正手段とを具備したことを特徴とする速度センサレスベクトル制御装置。
  2. 前記軸ずれ量演算手段は、前記指令D軸電流、D軸電流、指令Q軸電流またはQ軸電流を用いて、前記誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を位相として推定する位相誤差演算手段からなり、
    前記軸ずれ補正演算手段は、前記位相誤差演算手段により得られた前記誘導電動機の二次磁束軸とD軸との位相誤差量を前記インバータの出力電圧の位相の次元で補正する位相補正手段からなることを特徴とする請求項1記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  3. 前記位相誤差演算手段は、指令D軸電流をisdref、D軸電流をisd、指令Q軸電流またはQ軸電流をisqとして、
    Figure 2009195106
    で示される演算式を用いて前記誤差量(位相)Δθを推定することを特徴とする請求項2記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  4. 前記軸ずれ量演算手段は、指令D軸電流をisdref、D軸電流をisd、指令Q軸電流またはQ軸電流をisqとして、
    Figure 2009195106
    で示される演算式を用いて前記誤差量(位相)Δθを推定することを特徴とする請求項2記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  5. 前記軸ずれ量演算手段は、前記指令D軸電流と、D軸電流、指令Q軸電流またはQ軸電流を用いて、誘導電動機の二次磁束軸とD軸との誤差量を周波数として推定する周波数誤差演算手段からなり、
    前記軸ずれ補正演算手段は、前記周波数誤差演算手段により得られた誘導電動機の二次磁束軸とD軸との周波数誤差量をインバータ出力電圧の周波数の次元で補正する周波数補正手段からなることを特徴とする請求項1記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  6. 前記軸ずれ量演算手段は、指令D軸電流をisdref、D軸電流をisd、指令Q軸電流またはQ軸電流をisq、前記誘導電動機の二次抵抗をR2、二次インダクタンスをL2、D軸と一次電流ベクトル[isd isq]Tとの位相角をθIdqとして、
    Figure 2009195106
    で示される演算式を用いて前記誤差量(周波数)ωcompを推定することを特徴とする請求項5記載の速度センサレスベクトル制御装置。
  7. 前記軸ずれ量演算手段は、指令D軸電流をisdref、D軸電流をisd、指令Q軸電流またはQ軸電流をisq、前記誘導電動機の二次抵抗をR2、二次インダクタンスをL2として、
    Figure 2009195106
    で示される演算式を用いて前記誤差量(周波数)ωcompを推定することを特徴とする請求項5記載の速度センサレスベクトル制御装置。
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