JP2009193792A - 除電装置及び除電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不活性ガス雰囲気下において、帯電したワークを除電するのに必要な電荷量に対応した除電動作を行う。
【解決手段】グランドと接続される放電電極3と、放電電極3に少なくともマイナスの極性の高電圧を印加する高電圧電源2と、放電電極3に印加可能であるマイナスの極性に対する逆極性であるプラスの極性に帯電したワークWと放電電極3との間に、放電電極3に高電圧電源2から電圧を印加することなく、グランドと放電電極3と間で自己放電によるマイナスの放電電流を発生させ、帯電したワークWを所定のプラスの帯電圧値まで除電を行う受動除電モードと、受動除電モードの後に、前記マイナスの極性の高電圧を放電電極3に対して予め定められた除電条件にて印加して前記所定のプラスの帯電圧値に帯電したワークの残留電荷量を許容可能な値まで低下させる能動除電モードとを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、除電装置に関し、より詳しくは、放電電極に電圧を印加することにより生成されるイオンや電子によって帯電体つまり被除電物を除電する除電装置及び除電方法に関する。
除電装置は、高電圧が印加される放電電極を備え、この放電電極に高電圧を印加することによりプラスイオン、マイナスイオンを生成し、このイオンを使って被除電物の除電を行う。
除電装置は、被除電物の除電によって消費されるイオン量に対応するイオンバランス制御が実行される。特許文献1は、放電電極とは別にイオン電流測定電極を用意し、このイオン電流測定電極によってイオン電流の電流値及び方向によって必要な極性のイオンが相対的に多くなるように放電電極に印加する高電圧を制御することを開示している。特許文献2は、イオンバランス制御の方法として、接地線に流れる電流を検出して、この電流の電流値及び方向によって必要な極性のイオンが相対的に多くなるように放電電極に印加する高電圧の電圧値又はパルス幅を制御することを開示している。
放電電極は(「放電電極針」とも呼ばれる)は、一般的にステンレスやタングステンで作られているが、特許文献3は、固有抵抗値が5MΩ/cm〜20MΩ/cm(10Ω/cm)の酸化ジルコニウムからなる放電電極を提案し、酸化ジルコニウムは耐摩耗性に優れているため、摩耗による金属粒子の発塵が少なく且つ安定した放電特性を長時間継続できると共に電撃も少ないという利点を主張している。
ところで、特定の雰囲気中における被除電物に関して除電機能が十分に機能しないという問題が存在する。この問題点を特許文献4は詳しく説明している。すなわち、TFT(薄膜トランジスタ)をガラス板や透明樹脂板の表面に形成したEL(エレクトロルミネッセンス)素子基板に対する製造工程は、窒素ガス雰囲気などに素子基板をおいて行われる。しかしながら、この窒素などの不活性ガス雰囲気における除電(ここでの除電とは、電極に高電圧を印加することにより、電極周りのガスをイオン化させることにより除電を行うコロナ放電タイプの除電を指す。)は、大気中における除電に比べ、除電機能が十分でないという問題がある。
その理由としては、特許文献5が指摘するように、窒素ガス雰囲気又は希ガス雰囲気つまり不活性ガス雰囲気でコロナ式放電タイプの除電装置を動作させた場合に、高純度の窒素や希ガスが電子と結合しないためマイナスイオンが生成されないという問題が発生することが知られている。すなわち、窒素ガス雰囲気下では、マイナスイオンが生成されず、代わりに電子がグランドから放電電極を介して放出されるという問題である。電子の移動速度はプラスイオンに比べて100〜1000倍であることから、イオンバランスが極端にマイナス方向に片寄ってしまい上述したイオンバランス制御が実質的に不可能になってしまう。このことから、特許文献5では、電子と結合する所定の少量のガスを放電電極の近傍に注入してマイナスイオンを生成することを提案しており、電子と結合するガスとして、空気、酸素、二酸化炭素などを例示している。
特開2005−228655号公報 特開2007−149419号公報 特開平11−297455号公報 特開2004−47179号公報 特表2002−533887号公報
しかしながら、特許文献5のように、少量とは言え空気などのガスを放電電極の近傍に注入することは、注入した酸素などによって不活性ガス雰囲気を害することであり、高純度の窒素や希ガスの雰囲気下で管理する必要のある被除電物に対して適用することができない。
本発明の目的は、イオンバランスの制御が困難な不活性ガス雰囲気中での除電に好適な、放電電極に電圧を印加することにより生成されるイオンや電子によって帯電体つまり被除電物を除電する除電装置及び除電方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、不活性ガス雰囲気下において、帯電したワークを除電するのに必要な電荷量に対応した除電動作を行う除電装置及び除電方法を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、図1を参照して、
グランドと接続される放電電極3と、
前記放電電極3に少なくともマイナスの極性の高電圧を印加する高電圧電源2と、
前記放電電極3に印加可能であるマイナスの極性に対する逆極性であるプラスの極性に帯電したワークWと前記放電電極3との間に、前記放電電極3に前記高電圧電源2から電圧を印加することなく、前記グランドと前記放電電極3との間で自己放電によるマイナスの放電電流を発生させ、前記帯電したワークWを所定のプラスの帯電電圧値まで除電する受動除電モードと、
該受動除電モードの後に、前記マイナスの極性の高電圧を前記放電電極3に対して予め定められた除電条件にて印加して前記所定のプラスの帯電圧値に帯電したワークWの残留電荷量を許容可能な値まで低下させる能動除電モードとを有することを特徴とする除電装置を提供することにより達成される。
すなわち、本発明によれば、放電電極3を用意し、プラス極性に帯電したワークWと放電電極3との間で自己放電させることで第1段階の除電が行われる。この放電電極3とワークWとの間の自己放電は、自己放電可能な電圧までワークWの帯電電圧が低下するまで継続され、そして、自己放電可能な電圧よりも低い電圧になった段階で自動的に停止する。この自己放電可能な電圧は、ワークWと放電電極3との間の距離や雰囲気によって一義的に決まる。
したがって、受動除電モードによる自己放電が停止した段階でのワークWの帯電電圧は一義的に決まる。したがって、能動除電モードでは、この一義的に決まるワークWの残留電荷量を許容可能な値、最も好ましくはゼロボルトにするための除電が行われる。この除電はマイナス放電電極3に印加する高電源2の電圧が一定であれば、時間を制御することでワークWの残留電荷量を許容可能な値にするための電荷量を規定することができる。
以下の本発明の好ましい実施の形態の説明から、本発明の上記目的及び他の目的並びにその作用効果が明らかになるであろう。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する前に、本発明の基本的な考え方を説明する。
図2及び図3を参照して、ワークWと放電電極3との間の位置関係つまりワークWと放電電極3との間の離間距離を一定とし(図2)、第1電源2から放電電極3に印加する電圧の値Ve及び第2電源4からワークWに印加する電圧の値Vwを共に変化させたときに、除電電流Idが流れ始める電圧値をプロットしたのが図3である。より詳細には、高濃度(99%以上の濃度からなる窒素ガス)の窒素ガス雰囲気中でワークWに第2電源4を用いて、プラスからマイナスの様々な帯電状態を設定し、ワークWの各帯電状態において、放電電極3に第1電源2からプラスからマイナスの様々な電圧を印加し、放電電極3からのプラス側ならびにマイナス側における各々の除電電流Idが流れ始める電圧値をプロットしたのが図3である。
この図3に示すように、コロナ放電式イオン生成の原理に基づいてプラスイオンの発生を開始するのは、例えばワークWが約−3.5kVに帯電している場合は、図に×印にて示すように、放電電極3にかかる電圧はほぼ0kVの状態、ワークWが約2kVに帯電している場合は、放電電極3にかかる電圧はほぼ5kVの状態となっている。つまり、図3に示すワークWに印加される各電圧にて実験し、確認された除電電流Idが流れ始める電圧値を示す×印を結ぶ直線がワークWに対するプラスイオンをベースとした放電開始可能なラインを示している。一方、マイナスの電子の発生を開始するのは、例えばワークWが約−2kVに帯電している場合は、図に△印にて示すように、放電電極3にかかる電圧はほぼ−5kVの状態、ワークWが約3kV強に帯電している場合は、放電電極3にかかる電圧はほぼ0kVの状態となっている。
つまり、図3に示すワークWに印加される各電圧にて実験し、確認された除電電流Idが流れ始める電圧値を示す△印を結ぶ直線がワークWに対するマイナスの電子をベースとした放電開始可能なラインを示している。このことから、×印を結ぶラインよりプラス側の電圧値を放電電極に印加する領域である領域Aは、放電電極3にプラス極の高電圧を印加することによりプラスイオンが生成され、これによりワークWと放電電極3との間に除電電流(放電電流)Idが流れる領域である。同様に、△印を結ぶラインよりマイナス側の電圧値を放電電極に印加する領域である領域Cは、放電電極3にマイナス極の高電圧を印加することにより放電電極3とワークWとの間に除電電流(放電電流)Idが流れる領域である。更に、これらの領域AならびにCの間に位置する領域である領域Bは、放電電極3とワークWとの間に放電電流Idが流れない領域つまり放電電極3とワークWとの間で放電つまり除電が行われない領域である。
ここで、図3で注目すべきことは、ワークWに印加される電圧がマイナスの値であるVsの値よりマイナス側に位置する領域におけるA領域の部分とワークWに印加される電圧がプラスの値であるVsの値よりプラス側に位置する領域におけるC領域の部分である。詳細には、Vsの値よりマイナス側に位置する領域におけるA領域の部分は、A領域内の放電電極に印加する電圧であれば、マイナスの電圧を放電電極3に印加しても、放電電極3からはプラスの放電電流IdがワークWに向かって流れることを示し、一方、Vsの値よりプラス側に位置する領域におけるC領域の部分は、C領域内の放電電極に印加する電圧であれば、プラスの電圧を放電電極3に印加しても、放電電極3からはマイナスの放電電流IdがワークWに向かって流れることを示している。本出願の発明者はこのような放電電流Idの発生に着目し、「Vsの値よりマイナス側に位置する電荷を有するワークWは、放電電極3に電圧をかけなくても、放電電極3からの自己放電によるプラスの放電電流IdによりVsの値まで除電が可能であること、またはVsの値よりプラス側に位置する電荷を有するワークWは、放電電極3に電圧をかけなくても、放電電極3からの自己放電によるマイナスの放電電流IdによりVsの値まで除電が可能である」ことを見出した。なお、ここでの自己放電とは、一般的には、放電電極3に電圧を印加しない、つまり放電電極3に対する印加電圧がゼロボルトの状態においても、ワークWと放電電極3との間の電位差が所定値より大きい場合に、ワークWが帯電している極性と逆極性の除電電流Idが放電電極3からワークWに向けて流れる状態を意味するが、後に説明するように、放電電極3に対して、放電電極から電子の放出を生じない程度の電圧を印加して、帯電したワークWとの間の電位差を意図的に変化させることでワークWと放電電極3との間に発生する放電も含む。
図1を再び参照すると、帯電したワークWの電位VwがVsよりも低いとき又はVsよりも高いときには、ワークWと放電電極3との間の自己放電によってVs又はVsまで除電される。しかしこの段階では、ワークWは、電位をゼロボルトまたはその近傍値である、つまり中和状態まで除電できていない。このため、ワークWを帯電状態Vs又はVsの値から電位をゼロボルトまたはその近傍値である、つまりワークWを中和状態とする除電行為が必要である。このため、ワークWの静電容量Cwが既知であるとすると、ワークWに残留する帯電電位Vs又はVsをゼロボルトにするのに必要な電荷量を求めることができるので、この中和に必要な電荷量を、放電電極3に電圧を印加して生成することで、ワークWを完全に除電することができる。例えば、放電電極3に印加する高電圧を一定としたときに、この高電圧を放電電極3に印加する最適な時間を予め計測してメモリ4aに記憶しておき、このメモリ4aに記憶されている所定の能動除電時間、放電電極3に、ワークWが帯電している極性と逆極性のプラス極またはマイナス極の高電圧を印加することで、プラスまたはマイナスに帯電したワークWを過不足無く除電することができる。なお、ここで言う能動除電とは、放電電極3に、第1電源2から高電圧を印加することにより、電極周りの雰囲気をプラスイオンに変えたり又は放電電極から電子を放出することにより、放電電極3とワークWと間に放電電流Idを流すことのできる除電行為を意味する。もちろん、この際、放電電極3に対してプラス側の電圧を印加するか、マイナス側の電圧を印加するかは、自己放電においてグランドから放電電極との間に流れる電流の向きを検出することにより、自己放電の結果、ワークWがVs又はVsのいずれの状態になるのかを判断し、Vsの状態あると判断された場合(放電電極に対してプラス方向の電流が流れた場合、ワークWはマイナスに帯電していると判断し、自己放電後はVsになると判断)は、プラスの電圧、Vsの状態あると判断された場合(放電電極に対してマイナス方向の電流が流れた場合、ワークWはプラスに帯電していると判断し、自己放電後はVsになると判断)は、マイナスの電圧を印加するようにすれば良い。
つまり、図1の例で説明すれば、不活性ガス雰囲気において、放電電極3に高電圧を印加しないで放電電極3を介してグランドとワークWとの間で自己放電を行わせる受動除電モードと、これに続いて、制御手段4内に設けられるメモリ4aに記憶されているプラス極ならびにマイナス極の高電圧値とそれぞれの極性に対応した所定の能動除電時間とを使って、放電電極3に所定の電圧値のプラスやマイナス高電圧を所定時間印加する能動除電モードとを実行することで、不活性ガス雰囲気においてプラス極やマイナス極に帯電したワークWを過不足無く除電することができる。
詳細には、受動除電モード、つまり除電開始初期時は、制御手段4によって放電電極3は、グランドと少なくとも流れる電流の方向を検出するための電流計5を介してグランドとをつなぐスイッチ1aを接続状態とし、電流計5に流れる電流の向きを制御手段4が認識する。この際、制御手段4によってプラスの高電圧を発生する電源2aとマイナスの高電圧を発生する電源2bとからなる第1電源2の各電源2aならびに2bと放電電極3とを接続するスイッチ1bならびに1cを制御手段4によって非接続状態とする。この受動除電モードで、電流計5に流れる電流の向きによって、受動除電の結果、ワークWの電位がVs又はVsのいずれになるのかを判断できる。そして、ワークWの電位がVsであると制御手段4によって判断された場合、制御手段4は、受動除電モード後の能動放電モードにおいて(この際、スイッチ1aは常に非接続状態とされる)、スイッチ1bを接続状態とし、(スイッチ1cは非接続状態とされる)、制御手段4がメモリ4aに記憶されたVsを中和状態とするための除電条件に基づいて、電源2aを制御することにより放電電極3にプラスの電圧を供給させ、能動放電が実行されるとともに、一方、ワークWの電位がVsであると制御手段4によって判断された場合、制御手段4は、受動除電モード後の能動放電モードにおいて(この際、スイッチ1aは常に非接続状態とされる)、スイッチ1cを接続状態とし、(スイッチ1bは非接続状態とされる)、制御手段4がメモリ4aに記憶されたVsを中和状態とするための除電条件に基づいて、電源2bを制御することにより放電電極3にマイナスの電圧を供給させ、能動放電が実行される。
この際、上述したように、窒素ガス雰囲気中では、電子とプラスイオンの移動速度が極めて大きく異なるため、メモリ4aには、各々の極性に対応した所定の能動除電時間を記憶させることが好ましい。また、ワークWの静電容量Cwは、ワークの大きさ、材料ならびに形状や放電電極3とワークWとの距離、更には、ワークWの除電位置におけるアース状態などによっても変化するため、実際に除電を行う場所に本除電装置を設置し、受動除電を行い、VsならびにVsの値を見つけると共に、実際に除電器を活用する製造ラインのタクトタイム等を考慮し、VsならびにVs+の各々を中和する除電条件を検証し、これらの評価結果に基づいて、実際の能動除電による除電時間や条件を設定することが望ましい。もちろん、この際、放電電極に対する印加電圧を除電時間に伴って変化させたりしても良い。
図4〜図7は、ワークWの静電容量Cwが不知のときに、受動除電モードを動作させているときに静電容量Cwを演算により求める方法を説明するための図である。図4は自己放電(受動除電モード)による除電モデルである。ここに、放電電極3とワークWとの間の離間距離が一定であり、放電電極3に印加される電圧Veがゼロボルトのときに、ワークの帯電電位Vwと、放電電極3から流れる除電電流(自己放電電流)Idとの関係は図5のとおりである。
受動除電モードでは、ワークWがVsより大きい値のプラス極に帯電しているときには、電圧を印加していない放電電極3とワークWとの間の自己放電によってVsになる。他方、ワークWがVsより小さい値のマイナス極に帯電しているときには、自己放電によってVsになる。そして、この最低の帯電電圧Vs又はVsに至るまでに流れる電流Idつまり自己放電の際に流れる電流はワークWの電位Vwに応じた値となる。ここに、放電電極3とワークWとの間の離間距離が一定であるから、放電電流IdpからワークWの電位Vwpを推定することが可能である。
受動除電モードの開始タイミングt0のときのワークWの電位Vw(t0)から、受動除電モードが終了する時点t1のワークWの電位Vsまで除電される間における、ワーク電位Vw(t)と除電電流Id(t)の経時的変化を表すと図6、図7の通りである。この期間t0〜t1の間に流れた除電電流Id(t)の積算値は、帯電したワークWの電位をVw(t0)からVw(t)まで変化させるのに必要な電荷量Q0である。ここに、Vw(t0)は、図4の電流計5によって検出した開始タイミングt0のときのIdpによってワークWの電位Vw(t0)を推定可能であり、また、受動除電モードが終了した時点のワークWの電位Vsは予め知ることができる。したがって、ワークの電位Vwと帯電電荷量Qwとの関係は、ワークWの静電容量Cwを用いると次式1で表すことができる。
式1:Qw=Cw×Vw
このことから、受動除電モードの期間t0〜t1の変化Vw(t0)*、Vs、Q0から、ワークWの静電容量Cwは次の式2から求めることができる。
式2:Cw=Q0/(Vw(t0)−Vs
ここに、推定値については「」を付してある。
このことから、開始タイミングt0のときの除電電流Idpの計測値に基づいてワークWの初期の帯電電位Vw(t0)を演算により求めることで、ワークWの静電容量Cwを求めることができる。
そして、このワークWの静電容量Cwと、受動除電モードが終了する時点でのワークWの電位Vsとから、受動除電モード終了時点にワークWの残留帯電量Q1 は次の式3によって求めることができる。
式3:Q1 =(Cw)×(Vs
図8は能動除電モードによる除電モデルである。この能動除電モードでは、前述のワークWの残留帯電量Q1 を最も好ましくは「ゼロ」にするのに過不足がないように、放電電極3に高電圧を印加して能動的に除電を行う。
上述したように、受動除電モード終了時点でワークWに残留する帯電量Q1 は、式4:Q1 =(Cw)×(Vs)によって求めることができるが、このワークWの残留帯電量Q1 は、除電雰囲気や、放電電極3とワークWとの間の離間距離などによって、ワークWの自己放電不能な臨界的な電位Vsは一義的に決定される。したがって、この帯電量Q1をゼロにすることのできる放電電極3の電位や、放電電極3に高電圧を印加する最適時間を予め測定して、これをメモリ4a(図1)に記憶させておいてもよい。しかし、演算によって、この最適時間tonを決定するのであれば次の式5に従えばよい。
式5:ton=(ton(0)/Q1(0))×Q1
ここに、ton(0)は、ある帯電電荷量Q1(0)を「ゼロ」にすることのできる最適なON時間を意味する。
また、能動除電モードが開始した後に、この能動除電モードの停止タイミングを決定するのであれば、能動除電モード中の放電電流Idを電流計5で連続的に計測し、このIdの積算値に基づく電荷量が「Q1」に達したら能動除電モードを停止するようにしてもよい。仮に、能動除電モードの停止タイミングが遅れて、Q1よりも多くの荷電を与えたときには、逆極性の高電圧を放電電極3に印加し、この動作を繰り返すことによって最終的にワークWの荷電量を「ゼロ」にするのが好ましい。
受動除電モードと、これに続く能動除電モードにおけるワークWの荷電電位の経時的な変化を図9に示す。図10は、受動除電モード及び能動除電モードでの放電電極3に印加する高電圧制御を示し、図11は、ワークWと放電電極3との間に流れる除電電流(放電電流)Idを示す。
本発明の実施例の他の例を図12〜図14に示す。図12は、プラス極の放電電極3(+)とマイナス極の放電電極3(−)とを用意して、各電極3(+)、3(−)に夫々異なる電圧を印加する構成例であり、図13は、プラス極とマイナス極の放電電極を共通にした例を示し、図14は、放電電極3を用意し、受動除電モードでは放電電極3を使う例を示している。
前述したように、受動除電モードにおいては、ワークWと放電電極3又は放電電極3との間の自己放電は、ワークWと放電電極3又は放電電極3との間の電位差が所定の値を超えたときに始まる。図5に戻って、放電電極3に電圧を印加しない場合では、帯電したワークWの電位がVsより小さいまたはVsより大きいときに自己放電が発生し、VsとVsの間では自己放電による除電が実行されない。この自己放電しない領域を狭めるのに放電電極3に電圧を印加して、ワークWとの間の電位差を増幅するのがよい。
すなわち、ワークWがマイナス極性に帯電しているときには、図15から分かるように、放電電極から電子の放出を生じない程度のプラス極性の電圧を放電電極3に印加することでワークWと放電電極3との間で自己放電し易くなる。逆に、ワークWがプラス極性に帯電しているときには、図16から分かるように、放電電極3にマイナス極性の電圧を印加することでワークWと放電電極3との間で放電し易くなる。このことから、放電電極3を共通電極で構成したときには(図13)、放電電極3にプラス電圧、マイナス電圧を交互に(周期的に)印加することで、プラス電圧、マイナス電圧を交互に(周期的に)印加する工程の後に実行される能動除電が必要な領域、換言すれば、VsとVsとの間の領域を狭めることができる。同様に、プラス極の放電電極3(+)とマイナス極の放電電極3(-)を備えているのであれば(図12)、プラス放電電極3(+)とマイナス放電電極3(-)に交互に電圧を印加することで、プラスのイオンや電子の放出を行う電圧に基づくプラス電圧、マイナス電圧を交互に(周期的に)印加する工程の後に実行される能動除電が必要な領域を狭めることができる。これにより、能動除電が必要な領域を狭めることが可能となり、能動除電にかかる除電時間を短縮することが可能となるとともに、本発明を活用できるワークWの帯電量の範囲が拡大し、更に有効な除電装置を提供可能となる。
変形例として、受動除電モードにおいては、微弱なイオン電流Idが流れる程度のプラス電圧を放電電極3に印加し続けてもよい。これによれば、(1)ワークWが帯電していないとき、つまりVw=0ボルトのときに、プラスのイオン電流Id1が流れ、これによりワークWがプラスに帯電した後に平衡になる(図19の(a))。(2)ワークWがマイナス極性に帯電しているとき、つまりVw<0のときに、プラスのイオン電流Id1が増大する(図19の(b))。(3)ワークWがプラス極性に帯電しているとき、つまりVw>0のときに、プラスのイオン電流Id1が減少し、また、ワークWの帯電量が多いときには、イオン電流Id1が流れない(図19の(c))。
したがって、受動除電モードでは、放電電極3にプラス電圧を印加しておき、ワークWが帯電していないときでもイオン電流(Id1)が流れる状態を維持して電流計5でイオン電流Idをモニタするのがよい。これによれば、Id>Id1のときには、ワークがマイナス極性に帯電していることからプラスの方向に電流Idが流れてワークWの除電が行われる(図19のb)。他方、Id<Id1のときには、ワークがプラス極性に帯電していることから、受動除電モードでは除電が行われず(図19のc)、このプラス極性のワークWは能動除電モードで除電される。
ところで、高純度の不活性ガス雰囲気での除電では、前述したように、イオンバランスの制御が困難である。この点について詳しく説明すると、図20は実験に用いた除電装置10の概念図である。この除電装置10は比較例としての従来例である。同図において、放電電極3には高圧電源2から高電圧が印加される。放電電極3の材料はタングステン(W)である。対向電極13としてアルミニウム製のプレートを用意して、放電電極3に高電圧を印加することに伴う電流値及び印加した電圧値を電流計5、電圧計11で計測したところ、図21、図22に示す結果を得た。
図21は、放電電極3にマイナスの高電圧を印加したときのグラフであり、四角形は大気雰囲気中で実験したときの印加電圧と放電電流の関係を示し、三角形は高純度Nガス雰囲気中で実験したときの印加電圧と放電電流の関係を示す。他方、図22は、放電電極3にプラスの高電圧を印加したときのグラフであり、四角形は大気雰囲気中で実験したときの印加電圧と放電電流の関係を示し、三角形は高純度Nガス雰囲気中で実験したときの印加電圧と放電電流の関係を示す。
図21、図22から理解できる、大気雰囲気よりも高純度Nガス雰囲気の方が同一電圧で流れる放電電流の電流量が多いことが分かるだけでなく、マイナス極性では、その差が極端に大きいことが分かる。このように高純度Nガス雰囲気で除電を行った場合、極端にマイナス方向にイオンバランスが崩れてしまい、イオンバランス制御を実行するのが不可能になる。また、電極の摩耗、ノイズの発生、除電対象物つまり被除電物への負荷を軽減するために、高純度Nガス雰囲気での除電においては放電電流の上限を制限する必要がある。例示として、放電電流の絶対値を1〜10μAに調整する場合に必要な電圧調整範囲を表1に示す。
Figure 2009193792
高純度Nのマイナス極性の放電では、印加電圧の調整範囲は、「−2.65」kV〜「−2.61」kVというように40Vの幅での調整が必要となり、これを実現するには高精度の電源が必要となる。
図23は、上述した比較例としての除電装置10(図20)に対して、高圧電源2と放電電極3との間に制限抵抗21を介在させた除電装置20の概念図である。このように高圧電源2と放電電極3との間に制限抵抗21を介在させることにより、放電電流の電流量が大きくなるほど放電電極3に印加する高電圧の絶対値が小さくなる。
一般的な除電装置に用いられる電源の性能を念頭において高圧電源2の条件を次のように設定した。
高圧電源2の第1条件:電源電圧の範囲として0〜−10kVとした。
高圧電源2の第2条件:電源電の電圧調整制度としてプラス/マイナス50Vとした。
除電性能(除電速度及びイオンバランス)の観点から放電電流の調整範囲と精度を次のように設定した。
調整範囲:−1μA以下;
調整精度:プラス/マイナス0.5μA。
この条件を満たすことで、例えばパルスDC電源方式の除電器においてイオンバランス制御のDuty比をプラス/マイナス20%程度に抑えることができる。すなわち、Duty比をプラス/マイナス20%の範囲で制御することで、従来から知られている方法によってイオンバランス制御を実行することができる。
上記の条件に基づくときに必要な制限抵抗21の抵抗値(上限値と下限値)は以下のとおりになる。
制限抵抗21の下限値は「0.1」GΩ(0.1×109Ω)である。すなわち、電圧調整精度がプラス/マイナス50Vの電源を用いたときに、放電電流の精度をプラス/マイナス0.5μAに制限するには、制限抵抗21の抵抗値は、(100V/1μA)=0.1GΩ以上が必要となる。
制限抵抗21の上限値は「10」GΩ(10×109Ω)である。すなわち、−10kV未満の電源で−1μA以下の放電電流を流すためには10GΩ未満の抵抗値が必要となる。
如上の検討から、制限抵抗21の抵抗値を図24の斜線で囲んだ0.1GΩ以上且つ10GΩ未満に設定することで、上記の電圧条件(1)、(2)及び放電電流の調整及び精度を確保することができ、従来から知られているイオンバランス制御によってイオンバランスを確保することができる範囲の除電性能を確立することができる。
したがって、放電電極としてタングステン(W)からなる電極を採用したときには、制限抵抗21の抵抗値を0.1GΩ(0.1×10Ω)以上であって10GΩ(10×10Ω)未満に設定することで、一般的な除電装置に用いられる電源の性能であっても除電性能(除電速度)を確保することができる。
図23を再び参照して、制限抵抗21の代わりに、ジルコニア(ZrO2)からなる放電電極3を採用した実験装置(図示せず)を作って、印加電圧と放電電流特性とを検証してみた。このジルコニア製放電電極3を含む実験装置は、図20の放電電極3の材料がジルコニア(ZrO2)であることを除いて図20の装置10と実質的に同じ構成となる。なお、ジルコニア(ZrO2)の体積抵抗率は約10Ωcmである。
図25は、ジルコニア製の放電電極3の抵抗特性を示す。このジルコニア製放電電極3は、図25に矢印で指し示すように、電流が1μA流れるときの抵抗値が0.25GΩ(0.25×109Ω)である。
図26は、ジルコニア製放電電極3にマイナスの高電圧を印加したときのグラフであり、図27は、ジルコニア製放電電極3にプラスの高電圧を印加したときのグラフである。これら図26、図27から理解できるように、導電性材料であるタングステン(W)を用いるときに比べて、ジルコニア製放電電極3を採用することにより、プラス/マイナスの両方の極性において放電電流の絶対値を1〜10μAの範囲に調整するのに必要な電圧調整幅が拡大していることが分かる。
特に、マイナス放電に関する図26において、高純度Nガス雰囲気中で、放電電極3がタングステンのときのマイナス電圧の調整幅が0.04kVであるのに対して、半導電性材料であるジルコニア(ZrO2)で放電電極3を構成した場合には、マイナス電圧の調整幅が1.1kVとなり、これにより電源2として従来から採用されている一般的な電源を採用可能であり、したがって電源2の選択に関する自由度を確保することができる。
また、プラス放電に関して、放電電流を1μA以上流すのに必要な電源の電圧値は4.55kV以上であればよく、図27を参照すると、高純度Nガス雰囲気中で、放電電極3がジルコニア(ZrO2)の場合でも、この条件を満たしていることから、プラス極の放電電極に対してもジルコニア(ZrO2)を採用してもよいことが分かる。したがって、マイナス極だけでなくプラス極の放電電極に関してジルコニア(ZrO2)製の半導電性放電電極を採用したとしても、一般的な精度の電源を採用しつつ十分な除電性能を確保することができる。つまり、不活性ガス雰囲気中での除電において一般的なイオンバランス制御を実行してイオンバランスを確保することができる程度までイオンバランスの不均衡を抑えることができる。
放電電極3に採用可能な半導電性電極の材料として、ジルコニアの他に、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウムを例示することができる。
以上のことから、本発明の実施例の変形例として、図28に例示するように、マイナス極の放電電極3(−)と高圧電源2との間に制限抵抗21を介在させてもよい。また、少なくともマイナス極の放電電極3(−)をジルコニアジルコニア(ZrO2)などの半導電性材料から作ってもよい(図29)。勿論、プラス極の放電電極2に関しても、これをジルコニア(ZrO2)のように高い抵抗値の材料で作ってもよいことは前述したとおりである。
また、プラス極の放電電極2の材料はタングステン(W)のような導電性放電電極であるが、マイナス極の放電電極3(−)を比較的高い抵抗値の半導電性材料を採用すると共に、これに付随して制限抵抗21を設けてもよい(図30)。図30の変形例では、半導電性材料からなるマイナス放電電極3(−)の抵抗値と、制限抵抗21の抵抗値とを合算した抵抗値が、上述した0.1GΩ(0.1×10Ω)以上であって10GΩ(10×10Ω)未満となるように、マイナス放電電極3(−)の半導電性材料の選定及び制限抵抗21の抵抗値が設定される。
本発明の基本概念を説明するための構成図である。 電極とワークとの間の自己放電現象を調べるための実験装置の構成図である。 電極とワークとの間の自己放電現象を説明するための図である。 受動除電モードを説明するためのモデルの構成図である。 受動除電モードにおけるワークの電位と放電電流との関係を示す図である。 受動除電モードにおけるワーク電位の変化を示す図である。 受動除電モードにおける放電電流の変化を示す図である。 能動除電モードを説明するためのモデルの構成図である。 受動除電モード及びこれに続く能動除電モードでのワークの電位の変化を示す図である。 受動除電モード及びこれに続く能動除電モードでの放電電極に対する高電圧の印加を説明するための図である。 受動除電モード及びこれに続く能動除電モードでの放電電流の変化を示す図である。 本発明の第1実施例の概略構成図である。 本発明の第2実施例の概略構成図である。 本発明の第3実施例の概略構成図である。 受動除電モードにおいて放電電極にプラス電圧を印加することで、マイナス極性に帯電しているワークとの間の自己放電を発生し易くことを説明するための図である。 受動除電モードにおいて放電電極にマイナス電圧を印加することで、プラス極性に帯電しているワークとの間の自己放電を発生し易くなることを説明するための図である。 変形例として受動除電モードにおいて放電電極にプラス電圧、マイナス電圧を交互に印加することで、放電電極とワークとの間で自己放電しない領域を狭めることを説明するための図である。 変形例として受動除電モードにおいて放電電極にプラス電圧を印加することで、不活性ガス雰囲気での除電に効果的であることを説明するための図である。 図18の矢印X19で示す部分を拡大した図である。 不活性ガス雰囲気での除電においてイオンバランス制御が困難であることを説明するための図である。 雰囲気が大気の場合と高純度窒素ガスの場合とを対比してマイナス放電のときの印加電圧と放電電極との関係を示す図である。 雰囲気が大気の場合と高純度窒素ガスの場合とを対比してプラス放電のときの印加電圧と放電電極との関係を示す図である。 制限抵抗を介して放電電極に高電圧を印加することで、一般的に採用されているイオンバランス制御が可能になることを説明するための除電装置の基本モデルを示す図である。 制限抵抗を使う場合に、一般的に使用されている電源を使って除電性能を確保可能な抵抗値の大きさの範囲を説明するための図である。 放電電極の材料としてジルコニアを採用したときの放電電極の抵抗特性を示す図である。 雰囲気が大気の場合と高純度窒素ガスの場合とを対比して、ジルコニア放電電極を使ってマイナス放電のときの印加電圧と放電電極との関係を示す図である。 雰囲気が大気の場合と高純度窒素ガスの場合とを対比して、ジルコニア放電電極を使ってプラス放電のときの印加電圧と放電電極との関係を示す図である。 本発明の変形例として、マイナス極の放電電極と電源との間に制限抵抗を介装した例の概略構成図である。 本発明の他の変形例として、マイナス極の放電電極にジルコニアなどの半導電性電極を採用した例の概略構成図である。 本発明の更なる変形例として、マイナス極の放電電極を半導電性電極で構成すると共に制限抵抗を半導電性電極と電源との間に介装した例の概略構成図である。
符号の説明
2 マイナス極の高電圧電源
3 マイナス放電電極
4 制御手段
4a 制御手段に内蔵されたメモリ

Claims (10)

  1. グランドと接続される放電電極と、
    前記放電電極に少なくともマイナスの極性の高電圧を印加する高電圧電源と、
    前記放電電極に印加可能であるマイナスの極性に対する逆極性であるプラスの極性に帯電したワークと前記放電電極との間に、前記放電電極に前記高電圧電源から電圧を印加することなく、前記グランドと前記放電電極との間で自己放電によるマイナスの放電電流を発生させ、前記帯電したワークを所定のプラスの帯電電圧値まで除電する受動除電モードと、
    該受動除電モードの後に、前記マイナスの極性の高電圧を前記放電電極に対して予め定められた除電条件にて印加して前記所定のプラスの帯電圧値に帯電したワークの残留電荷量を許容可能な値まで低下させる能動除電モードとを有することを特徴とする除電装置。
  2. 該ワークに印加するマイナス極性の高電圧の電圧値と、前記能動除電モードを実行する時間との関係を予め求めて、これらの値を記憶する記憶手段を更に有し、
    該記憶手段に記憶された高電圧値と時間とに基づいて前記能動除電モードが実行される、請求項1に記載の除電装置。
  3. 前記放電電極と前記ワークとの間の距離に基づいて該ワークの帯電電圧と自己放電電流との関係を予め求めて前記記憶手段に記憶し、
    前記受動除電モードのときの自己放電の電流値から前記ワークの初期の帯電電圧を推定し、該自己放電の開始から停止までの時間までの自己放電の電流値を積算して、ワークの帯電電圧を前記自己放電の開始から停止まで変化したワークの変化電荷量を求め、更に、該ワークの変化荷電量と、前記ワークの初期の帯電電圧と、前記自己放電が停止した時の前記ワークの帯電電圧とから該ワークの静電容量を求めた後に、前記ワークの静電容量から前記ワークの残留荷電量を求める演算手段と、
    前記能動除電モードの除電中の放電電流の値の積算値と前記放電電極に印加した電圧値とに基づいて積算した除電のための荷電量が前記ワークの残留荷電量と等しくなったときに前記能動除電モードを停止する、請求項2に記載の除電装置。
  4. 前記受動除電モードにおいて、前記放電電極にかかる電圧が実質的にゼロの状態で前記自己放電を発生させる、請求項2又は3に記載の除電装置。
  5. 前記受動除電モードにおいて、前記放電電極から電子の放出を生じない程度のマイナス極性の電圧が前記放電電極に印加される、請求項2又は3に記載の除電装置。
  6. 前記放電電極と前記放電電極が共通の電極で構成され、該共通電極にマイナス極の電圧を印加する高圧電源によって前記共通電極に印加される電圧が可変である、請求項1に記載の除電装置。
  7. 前記マイナス放電電極と、該マイナス放電電極に高電圧を印加する電源との間に制限抵抗が介装されている、請求項1に記載の除電装置。
  8. 前記マイナス放電電極が半導電性材料から作られている、請求項1又は7に記載の除電装置。
  9. 前記半導電性材料が、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウムからなる群から選択された一つの材料である、請求項8に記載の除電装置。
  10. グランドと接続される放電電極と、
    前記放電電極に少なくともマイナスの極性の高電圧を印加する高電圧電源とを用意し、
    前記放電電極に印加可能であるマイナスの極性に対する逆極性であるプラスの極性に帯電したワークと前記放電電極との間に、前記放電電極に前記高電圧電源から電圧を印加することなく、前記グランドと前記放電電極との間で自己放電によるマイナスの放電電流を発生させ、前記帯電したワークを所定のプラスの帯電圧値まで除電する受動除電工程と、
    該受動除電工程の後に、前記マイナスの極性の高電圧を前記放電電極に対して予め定められた除電条件にて印加して前記所定のプラスの帯電電圧値に帯電したワークの残留電荷量を許容可能な値まで低下させる能動除電工程とを有することを特徴とする除電方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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